JP2007194149A - イオン伝導体 - Google Patents
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Abstract
【課題】室温から高温に至るまで、電極間に沿った方向に高いイオン伝導率を示すイオン伝導体を提供する。
【解決手段】 電解質と、アルキレンオキシド、シロキサンおよびフォスファゼンから選ばれる少なくとも1種のオリゴマーと、液晶性分子と、を含むイオン伝導体とする。液晶性分子は、ネマチック液晶またはスメクチック液晶が好ましい。
【選択図】図1
【解決手段】 電解質と、アルキレンオキシド、シロキサンおよびフォスファゼンから選ばれる少なくとも1種のオリゴマーと、液晶性分子と、を含むイオン伝導体とする。液晶性分子は、ネマチック液晶またはスメクチック液晶が好ましい。
【選択図】図1
Description
本発明は、イオン伝導体に関する。具体的には、リチウムおよびリチウムイオン電池、キャパシタ、光電気化学電池、イオンセンサ、フォトクロミック素子、燃料電池等の各種デバイスに適した特性を有するイオン伝導体に関する。
従来から知られているイオン伝導体としては、無機材料を用いた無機固体電解質、有機高分子を用いた高分子固体電解質、水または非水溶媒を用いた液状電解質が挙げられる。高分子固体電解質は、液漏れのおそれがなく不揮発性であり、次世代リチウム二次電池用の電解質等として注目を集めている。しかし、高分子固体電解質は、現段階ではイオン伝導率が十分に高くはない。
イオン伝導率の向上のため、液状電解質をゲル化剤で固化させたゲル電解質も検討されている。しかし、ゲル電解質には揮発しやすい液状成分が残存しているため、デバイスの安全性を十分に確保できない。
近年、固体と液体の中間的性質を有する液晶材料を用い、液晶材料が有する配向性等の特性を利用したイオン伝導体が提案されている(特許文献1〜特許文献3)。
特開2001−338527号
特開2002−105033号
特開2002−358821号
実用に供される条件を考慮すると、電極間に配置されるイオン伝導体は、室温下で、電極間の方向に相対的に高いイオン伝導率を示すことが望まれる。また、デバイスによっては、室温下とともに高温下で高いイオン伝導率を示すことが望まれる。しかし、広い温度域で電極に対して垂直方向に高いイオン伝導率を示す、液晶材料を用いたイオン伝導体は知られていない。
そこで、本発明は、電解質と、アルキレンオキシド、シロキサンおよびフォスファゼンから選ばれる少なくとも1種のオリゴマーと、液晶性分子と、を含むイオン伝導体を提供する。
オリゴマーとは、通常、重合度が2〜20である重合体をいい、本発明では、重量平均分子量が100以上10000以下である重合体が好ましい。
本発明では、電解質とともに、高い導電率を実現しうる特定のオリゴマーと、液晶性分子とを含むイオン伝導体とすることにより、広い温度域で電極に対して垂直方向に高いイオン伝導率を実現することとした。
液晶性分子の配向性により、温度の低下に伴うイオン伝導率の低下が緩和される。液晶性分子は、ネマチック液晶またはスメクチック液晶であることが好ましい。より具体的には、液晶性分子は、下記式(化1)〜(化5)のいずれかにより表示されることが好ましい。
ただし、Aはシアノ基またはフッ素原子であり、R1は炭素数が2以上8以下の直鎖アルキル基であり、R2、R3、R4、R5は炭素数が2以上10以下の直鎖アルキル基である。
上記液晶性分子は、すべて末端に極性基(シアノ基またはフッ素原子)を有するため、電解質との相溶性にも優れている。
本発明のイオン伝導体には、式(化1)〜(化5)のいずれかにより表示される2種以上の液晶性分子が含まれていてもよい。2種以上の液晶性分子は、上記の異なる式により示される分子であってもよく、同じ式により示されるが炭素数が異なるアルキル基を有する分子であってもよい。2種以上の液晶性分子を含ませると、1種類の液晶性分子を含む場合より液晶相を示す温度範囲が拡大する。
本発明のイオン伝導体にはオリゴマーが含まれている。オリゴマーを用いると、分子量がより大きいポリマーを用いたときよりも伝導率が高くなる。
オリゴマーとしても、1種の単量体のオリゴマーに限らず、2種以上の単量体を含んでいてもよい。アルキレンオキシドは、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドの少なくとも1種を含むことが好ましく、例えば、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとの共重合体を含んでいてもよい。
シロキサンのオリゴマーとしては、側鎖にエチレンオキシドを有するオリゴマーが、フォスファゼンのオリゴマーとしても、側鎖にエチレンオキシドを有するオリゴマーが好ましい。
イオン伝導体におけるオリゴマーに対する液晶性分子の比(液晶性分子/オリゴマー)は、オリゴマーや液晶性分子の種類にもよるが、重量比により表示して、95/5〜5/95が好適である。オリゴマーに対する液晶性分子の比が高すぎると、伝導率が低下し、この比が低すぎると液晶相が発現しなくなる。
本発明のイオン伝導体を用いれば、液晶性分子の配向性を利用して、電極に垂直方向に、即ち電極間の方向に沿って、相対的に高い伝導率を得ることができる。本発明のイオン伝導体は、透明導電膜付きガラス電極間に狭持して測定した23℃におけるイオン伝導率が1.0×10-4以上であり、上記電極間に狭持して測定した80℃におけるイオン伝導率が1.0×10-3以上、とすることもできる。
本発明のイオン伝導体における電解質の含有率は1〜30重量%、特に3〜20重量%、が好ましい。電解質が不足すると伝導性の発現に必要なイオンが不足し、電解質が過剰となると液晶相が発現しないことがある。
電解質としては、アルカリ金属塩、特にリチウム塩が好適であり、具体的には、LiPF6、LiBF4、LiN(C2F5SO2)2、LiAsF6、LiSbF6、LiAlF4、LiGaF4、LiInF4、LiClO4、LiN(CF3SO2)2、LiCF3SO3、LiSiF6、LiN(CF3SO2)(C4F9SO2)等を用いることができる。
電解質はデバイスに応じて適宜選択するとよい。リチウム塩以外の電解質としては、LiI、NaI、KI、CsI、CaI2等の金属ヨウ化物、4級イミダゾリウム化合物のヨウ素塩、テトラアルキルアンモニウム化合物のヨウ素塩、LiBr、NaBr、KBr、CsBr、CaBr2等の金属臭化物を例示できる。
電解質の別の好ましい例はプロトン酸である。プロトン酸は無機酸でも有機酸でもよい。無機酸としては、硝酸、硫酸、亜硫酸、重亜硫酸、燐酸、亜燐酸、次燐酸、メタ燐酸、次亜燐酸、アミド燐酸、炭酸、重炭酸、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、オルトホウ酸、メタホウ酸、アルミン酸、アミド硫酸、ヒドラジノ硫酸、スルファミン酸を例示できる。また、有機酸としては、イソ吉草酸、イソ酪酸、オクタン酸、シクロヘキサンカルボン酸、乳酸、酢酸、酪酸、クロトン酸、アゼライン酸、クエン酸、コハク酸、シュウ酸、酒石酸、フマル酸、マロン酸、リンゴ酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アニス酸、安息香酸、p−アミノ安息香酸、ナフトエ酸、テレフタル酸、ピロメリット酸、アスパラギン、アスパラギン酸、4−アミノ酪酸、アラニン、アルギニン、イソロイシン、グリシン、グルタミン酸、システイン、セリン、バリン、ヒスチジン、メチオニン、ロイシン、安息香酸、安息香酸−2−燐酸、アデノシン−2’−燐酸、フェノール−3−燐酸、ガラクトース−1−燐酸、ベンゼンホスホン酸、2−アミノエチルホスホン酸、2−ブロム−p−トリルホスホン酸、2−メトキシフェニルホスホン酸、t−ブチルホスフィン酸、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、4−アミノ−m−クレゾール、2,4−ジニトロフェノール、o−ブロモフェノール、p−フェノールスルホン酸、p−アセチルフェノール、アスコルビン酸、レダクチン、3−ヒドロキシフェニルホウ酸、3−アミノフェニルホウ酸、β−フェニルエチルボロン酸、ヒドラジン−N,N−ジ酢酸、ヒドラジン−N,N’−ジ酢酸を例示できる。プロトン酸は、上記に限らず、例えば、スルフォニルイミド酸、その誘導体等であってもよい。
本発明のイオン伝導体は、上記オリゴマー、液晶性分子、電解質以外に、ゲル化剤その他成分を含んでいてもよいが、その他成分の含有率は、20重量%以下とすることが好ましい。
本発明のイオン伝導体は、リチウムイオン電池、燃料電池等各種デバイスへの適用が可能である。例えば色素増感型太陽電池では不揮発性のイオン伝導体が求められているが、本発明のイオン伝導体は十分に要求特性を満たす。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明する。まず、イオン伝導率の測定方法について説明する。
(垂直方向イオン伝導率の測定方法)
図1に、イオン伝導率の測定に用いたセルを示す。このセルを作製するために、まず、アルゴングローブボックス内にて、予め透明導電膜としてITO(indium tin oxide)膜3を形成した縦15mm、横10mmのガラス板(ITO膜付きガラス電極)4に、試料充填部1として直径(r)6mmの円を打ち抜いた厚み25μmの粘着剤付きポリイミドフィルム(図2参照)をスペーサー2として貼り付けた。次いで、試料充填部1に、加熱して等方性液体状態とした試料(イオン伝導体)を充填し、その後、もう1枚のITO膜付きガラス電極4をITO膜3が充填部1側となるように配置した。
図1に、イオン伝導率の測定に用いたセルを示す。このセルを作製するために、まず、アルゴングローブボックス内にて、予め透明導電膜としてITO(indium tin oxide)膜3を形成した縦15mm、横10mmのガラス板(ITO膜付きガラス電極)4に、試料充填部1として直径(r)6mmの円を打ち抜いた厚み25μmの粘着剤付きポリイミドフィルム(図2参照)をスペーサー2として貼り付けた。次いで、試料充填部1に、加熱して等方性液体状態とした試料(イオン伝導体)を充填し、その後、もう1枚のITO膜付きガラス電極4をITO膜3が充填部1側となるように配置した。
こうして得た伝導率測定用セルは、一旦、室温(23℃)まで自然冷却し、室温で、または測定温度にまで昇温してから、インピーダンス測定装置(横河ヒューレットパッカード製4284A)を用いた複素インピーダンス法により、高周波数側の円弧と低周波数側の直線との交点の実数成分インピーダンスを求め、以下の式に基づいて伝導率σ(S/cm)を算出した。
σ=d/(R×A)
d:スペーサー厚み(cm)、R:実数成分インピーダンス(Ω)、A:極板面積(cm2)
σ=d/(R×A)
d:スペーサー厚み(cm)、R:実数成分インピーダンス(Ω)、A:極板面積(cm2)
(実施例1)
エチレンオキシドのオリゴマーであるポリエチレングリコール(和光純薬製「ポリエチレングリコール200」;重量平均分子量200)0.82g、式(化3)においてR3がペンチル基に相当する4’−ペンチルビフェニル−4−カルボニトリル(ワコーケミカル製)0.06g、式(化3)においてR3がヘプチル基に相当する4’−ヘプチルビフェニル−4−カルボニトリル(ワコーケミカル製)0.06g、LiN(CF3SO2)2(キシダ化学製、以下「LiTFSI」と表記する)0.07gを混合し、100℃にて均一な溶液を調製した。その後、上記方法により、室温(23℃)と80℃におけるイオン伝導率を測定した。
エチレンオキシドのオリゴマーであるポリエチレングリコール(和光純薬製「ポリエチレングリコール200」;重量平均分子量200)0.82g、式(化3)においてR3がペンチル基に相当する4’−ペンチルビフェニル−4−カルボニトリル(ワコーケミカル製)0.06g、式(化3)においてR3がヘプチル基に相当する4’−ヘプチルビフェニル−4−カルボニトリル(ワコーケミカル製)0.06g、LiN(CF3SO2)2(キシダ化学製、以下「LiTFSI」と表記する)0.07gを混合し、100℃にて均一な溶液を調製した。その後、上記方法により、室温(23℃)と80℃におけるイオン伝導率を測定した。
(実施例2)
ポリエチレングリコール(和光純薬製「ポリエチレングリコール200」)0.81g、式(化2)においてR2がペンチル基に相当する4’−ペンチロキシビフェニル−4−カルボニトリル(ワコーケミカル製)0.06g、式(化2)においてR2がヘプチル基に相当する4’−ヘプチロキシビフェニル−4−カルボニトリル(ワコーケミカル製)0.07g、LiTFSi0.07gを混合し、100℃にて均一な溶液を調製した。その後、上記方法により、室温と80℃におけるイオン伝導率を測定した。
ポリエチレングリコール(和光純薬製「ポリエチレングリコール200」)0.81g、式(化2)においてR2がペンチル基に相当する4’−ペンチロキシビフェニル−4−カルボニトリル(ワコーケミカル製)0.06g、式(化2)においてR2がヘプチル基に相当する4’−ヘプチロキシビフェニル−4−カルボニトリル(ワコーケミカル製)0.07g、LiTFSi0.07gを混合し、100℃にて均一な溶液を調製した。その後、上記方法により、室温と80℃におけるイオン伝導率を測定した。
(実施例3)
ポリエチレングリコール(和光純薬製「ポリエチレングリコール200」)0.82g、式(化1)においてAがシアノ基、R1がプロピル基に相当する4−(4−プロピルシクロヘキシル)ベンゾニトリル(SYNTHON Chemicals製)0.04g、式(化1)においてAがシアノ基、R1がペンチル基に相当する4−(4−ペンチルシクロヘキシル)ベンゾニトリル(SYNTHON Chemicals製)0.07g、LiTFSi0.07gを混合し、100℃にて均一な溶液を調製した。その後、上記方法により、室温と80℃におけるイオン伝導率を測定した。
ポリエチレングリコール(和光純薬製「ポリエチレングリコール200」)0.82g、式(化1)においてAがシアノ基、R1がプロピル基に相当する4−(4−プロピルシクロヘキシル)ベンゾニトリル(SYNTHON Chemicals製)0.04g、式(化1)においてAがシアノ基、R1がペンチル基に相当する4−(4−ペンチルシクロヘキシル)ベンゾニトリル(SYNTHON Chemicals製)0.07g、LiTFSi0.07gを混合し、100℃にて均一な溶液を調製した。その後、上記方法により、室温と80℃におけるイオン伝導率を測定した。
(比較例1)
ポリエチレングリコール(和光純薬製「ポリエチレングリコール200」)0.93g、LiTFSi0.07gを混合し、100℃にて均一な溶液を調製した。その後、上記方法により、室温と80℃におけるイオン伝導率を測定した。
ポリエチレングリコール(和光純薬製「ポリエチレングリコール200」)0.93g、LiTFSi0.07gを混合し、100℃にて均一な溶液を調製した。その後、上記方法により、室温と80℃におけるイオン伝導率を測定した。
以上から得たイオン伝導率を表1に示す。
本発明のイオン伝導体は、室温付近から高温に至るまで高いイオン伝導率を有するため、特に使用温度域が広いデバイスに適した特性を有する。本発明のイオン伝導体は、不揮発性であって、実用面で重要となる電極間の伝導率が大きい。本発明のイオン伝導体は、リチウムイオン電池、燃料電池に代表される各種デバイスの材料として大きな利用価値を有する。
1 試料充填部
2 スペーサー
3 ITO膜
4 ITO膜付きガラス電極
2 スペーサー
3 ITO膜
4 ITO膜付きガラス電極
Claims (6)
- 電解質と、アルキレンオキシド、シロキサンおよびフォスファゼンから選ばれる少なくとも1種のオリゴマーと、液晶性分子と、を含むイオン伝導体。
- 前記液晶性分子が、ネマチック液晶またはスメクチック液晶である請求項1に記載のイオン伝導体。
- 式(化1)〜(化5)のいずれかにより表示される前記液晶性分子を2種以上含む請求項3に記載のイオン伝導体。
- 前記アルキレンオキシドが、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドの少なくとも1種を含む請求項1〜4のいずれか1項に記載のイオン伝導体。
- 前記オリゴマーに対する前記液晶性分子の比が、重量比により表示して、95/5〜5/95である請求項1〜5のいずれか1項に記載のイオン伝導体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006013195A JP2007194149A (ja) | 2006-01-20 | 2006-01-20 | イオン伝導体 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2006013195A JP2007194149A (ja) | 2006-01-20 | 2006-01-20 | イオン伝導体 |
Publications (1)
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JP2007194149A true JP2007194149A (ja) | 2007-08-02 |
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JP (1) | JP2007194149A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US11316194B2 (en) | 2018-01-03 | 2022-04-26 | Lg Energy Solution, Ltd. | Gel polymer electrolyte composition, gel polymer electrolyte prepared thereby, and lithium secondary battery including the gel polymer electrolyte |
-
2006
- 2006-01-20 JP JP2006013195A patent/JP2007194149A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US11316194B2 (en) | 2018-01-03 | 2022-04-26 | Lg Energy Solution, Ltd. | Gel polymer electrolyte composition, gel polymer electrolyte prepared thereby, and lithium secondary battery including the gel polymer electrolyte |
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