JP2007192906A - 電子写真装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 優れた定着性能と安定したクリーニング性能を有し、電子写真感光体の耐キズ性及び耐摩耗性の機械的強度と電気的特性を両立し、繰り返し安定性に優れた電子写真装置を提供する。
【解決手段】 電子写真感光体が表面粗面化処理をされ、且つ、25℃、湿度50%の環境下でビッカーズ四角錐ダイヤモンド圧子を用いて、電子写真感光体の硬度を試験した時、荷重6mNで押し込んだ時の弾性変形率が45%以上かつ65%以下であり、且つ、現像手段が結着樹脂、着色剤及びワックスを少なくとも含有するトナーを有し、23℃においてn−ヘキサン中に15mg/cmの濃度で該トナーを分散させて1分間抽出して得られる抽出液のワックス濃度が0.080〜0.500mg/cmの範囲であり、且つ、該トナーの平均円形度が0.950〜0.995である電子写真装置とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、特定の電子写真感光体、トナーを有する電子写真装置に関する。
従来、電子写真法としては多数の方法が知られているが、一般には光導電性物質を利用し、帯電手段及び露光手段により電子写真感光体上に静電気的潜像を形成し、次いで該潜像をトナーで現像を行って可視像(トナー画像)とし、紙などの転写材にトナー画像を転写した後、熱、圧力などにより転写材上にトナー画像を定着して複写物を得るものである。この際、転写材上に転写されずに電子写真感光体上に残ったトナー粒子は、ゴムブレードなどを有したクリーニング手段により除去される。
近年、複写機やレーザービームプリンターをはじめとする電子写真装置は、省スペース、省エネルギー等の要求から、小型、軽量、高速、高画質、高信頼性が厳しく追及されてきており、電子写真装置は種々の点でよりシンプルな要素で構成されるようになってきている。その結果、トナーに要求される性能はより高度になり、トナーの性能向上が達成できなければ、より優れた電子写真装置が成り立たなくなってきている。また、近年多様なニーズに伴い、フルカラー画像出力に対する需要も急増しており、更に一層の高画質、高解像度等が望まれている。
通常のフルカラー複写機に搭載されるカラートナーは、色再現性の向上やOHP画像の透明性が重要であり、シャープメルトで低分子量のポリエステル樹脂等を結着樹脂として使用し、定着工程で各色のカラートナーが充分混色するように設計されている。しかし、このようなシャープメルト性を有する樹脂は自己凝集力が弱く、定着ローラ等に溶融したトナーが付着する高温オフセット現象が生じるという問題がある。そこで従来より、高温オフセット現象の防止を目的として定着ローラへシリコーンオイル等を均一塗布することが行われてきたが、この様な構成で得られた画像は、その表面に余分のシリコーンオイル等が付着しているため、特にOHP画像において、ユーザーが使用する際、不快感を生じ好ましくない。
一方、市場で広く使用されているモノクロ複写機、モノクロプリンター用の黒トナーについては、オフセット防止のためにワックスが含有され、定着ローラへのシリコーンオイルの塗布を不要としているものが多い。近年フルカラー用のトナーにおいても、ワックスをトナーに含有させることが試みられているが、前述したようにフルカラー用のトナーは一般にポリエステル樹脂により構成されているためワックスとの相溶性が悪く、結果としてワックスの分散不良が生じ、定着性能が充分ではないだけでなく、トナーの現像性、耐久性、保存安定性等に種々の問題が生じる。
このようなワックスのポリエステル樹脂への分散不良という問題に対して、様々な提案がされている。
例えば、ビニル系共重合体を形成するためのビニル系モノマー、ポリエステル樹脂を形成するための酸及びアルコール成分、並びにワックスからなる混合物からハイブリッド樹脂を合成することにより、ワックスの分散性が改良されたハイブリッド樹脂を用いたトナーが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、スチレン、N含有ビニルモノマー及び(メタ)アクリル酸系モノマーからなる共重合体をポリオレフィンにグラフトしたワックス分散剤、炭化水素系ワックス、ハイブリッド樹脂を少なくとも含有する、ワックスの分散性が良好で、混色性と透過性の優れた高グロスを満足するトナーも提案されている(例えば、特許文献2参照)。
分子量5000〜70000の領域にメインピークを有し、Mw/Mnが100以上であり、集束イオンビーム(FIB)によるトナーの断面観察において、ワックスを含む分散粒径が0.001〜4μmの一次分散粒子が局在されて0.01〜5μmのドメインを形成している、ハイブリッド樹脂を含有するトナーも提案されている(例えば、特許文献3参照)。
また、トナーの平均円形度が0.92〜0.96であり、メタノール疎水化度における降下開始点が35〜60体積%であり、ワックスを含む分散粒径が0.005〜4μmの一次分散粒子が局在されて0.01〜5μmのドメインを形成している、ハイブリッド樹脂を含有するトナーも提案されている(例えば、特許文献4参照)。
さらに、溶剤に溶解したポリエステル樹脂の溶液に、微粒子化したワックスのスラリー及び顔料スラリーを混合してこれを水中で造粒し、その後に溶剤を常温で留去することにより、ワックスを0.1〜40質量%含有し、トナー表面に露出するワックスの存在割合を1〜10質量%とした、ワックスの形状が薄片状であり、ワックスの数平均分散径を0.1〜2μmとしたトナーが提案されている(例えば、特許文献5参照)。
しかし、これらのワックス分散が改良されたトナーであっても、未だワックス分散の最適化は充分とは言えない。ワックスがさらに微細化、均一化されるように、すなわち、ワックスの少なくとも一部を分子レベルで結着樹脂中に均一に分散させた状態とすることにより、より一層の低温定着性、耐高温オフセット性等の定着性能が改善されたトナーが求められている。
また、電子写真感光体には適用される電子写真プロセスに応じた感度、電気特性、光学特性等を備えていることが要求される。特に、繰り返し使用される感光体にあっては、その感光体表面には帯電、画像露光、トナー現像、被転写体への転写、残トナーのクリーニング性等の電気的、機械的外力が直接加えられるため、それらに対する耐久性が求められる。具体的には、摺擦による表面の摩耗や傷の発生に対する耐久性、帯電による表面劣化、例えば転写効率や滑り性の低下、更には感度劣化、帯電能の低下等、電気特性の劣化に対する耐久性が要求される。
一般に、有機電子写真感光体の構成は薄い樹脂層であり、樹脂材料の特性が非常に重要である。上述の諸条件をある程度満足する樹脂として、近年アクリル樹脂やポリカーボネート樹脂などが実用化されているが、前述したような特性のすべてがこれらの樹脂で満足されるわけではない。特に感光体の高耐久化を図る上では、前記樹脂の被膜強度は十分に高いとは言い難い。これらの樹脂を表面層形成用の樹脂として用いた場合でも、繰り返し使用時において表面層の摩耗が起こり、更に傷が発生するという問題点があった。更に、近年の有機電子写真感光体の高感度化に対する要求から、感光体に対して電荷輸送材料などの低分子量化合物が比較的大量に添加される場合が多い。この場合、それら低分子量物質の可塑剤的な作用により、膜強度が著しく低下し、一層繰り返し使用時の表面層の摩耗や、傷発生が問題となっている。また電子写真感光体を長期にわたって保存する際に、前述の低分子量成分が析出してしまい、相分離するといった問題も発生している。
これらの問題点を解決する手段として、硬化性の樹脂を電荷輸送層用の樹脂として用いる試みが開示されている(例えば、特許文献6参照)。このように、電荷輸送層用の樹脂に硬化性の樹脂を用い、電荷輸送層を硬化、架橋することによって機械的強度が増し、繰り返し使用時の耐摩耗性および耐傷性は大きく向上する。しかしながら硬化性樹脂を用いても、低分子量成分は結着樹脂中において可塑剤として作用するため、先に述べたような析出や層分離の問題は根本的な解決になっていない。また有機電荷輸送材料と結着樹脂とで構成される電荷輸送層においては、電荷輸送能の樹脂に対する依存度が大きく、例えば硬度が十分に高い硬化性樹脂では電荷輸送能が十分ではなく、繰り返し使用時に残留電位の上昇が見られるなど、両者を満足させるまでには至っていない。また電荷輸送層に炭素−炭素二重結合を有するモノマーを含有させ、電荷輸送材料の炭素−炭素二重結合と熱あるいは光エネルギーによって反応させて、電荷輸送層硬化膜を形成した電子写真感光体が開示されている(例えば、特許文献7、特許文献8参照)。ただし、電荷輸送材はポリマー主骨格にペンダント状に固定化されているだけであり、先の可塑的な作用を十分に排除できないため機械的強度が十分ではない。また電荷輸送機能の向上のために電荷輸送材料の濃度を高くすると、架橋密度が低くなり、十分な機械的強度を確保することができない。更には重合時に必要とされる開始剤類が電子写真特性へ悪影響を与えることも懸念される。
また、別の解決手段として、熱可塑性高分子主鎖中に電荷輸送能を有する基を導入し、電荷輸送層を形成させた電子写真感光体が開示されている(例えば、特許文献9参照)。しかし、従来の分子分散型の電荷輸送層と比較して析出や層分離に対しては効果があり、機械的強度も向上するが、あくまでも熱可塑性樹脂であり、その機械的強度には限界がある。樹脂の溶解性などを含めたハンドリングや、生産性の面で使いやすい材料ではない。
これらの問題点を改善する目的で、同一分子内に連鎖重合性官能基を有する正孔輸送性化合物および/または前記正孔輸送性化合物に電子線を照射することで重合、硬化したものを含有する感光体を用いることで、高い機械的強度と電荷輸送能の両立を達成することが提案されている(例えば、特許文献10、特許文献11参照)。
電子写真感光体はその像形成プロセスにおいて、帯電、露光、現像、転写、クリーニングおよび除電等の繰り返しの行程を経る。特に、転写工程後の感光体上の残存トナーを除去するクリーニング工程は、鮮明な画像を得るために重要な工程である。このクリーニングの方法としては、第一にクリーニングブレードと称するゴム性の板形状部材を感光体に圧接して感光体とクリーニングブレードとの間の隙間をなくし、トナーのスリ抜けを防止して残存トナーをかきとる方法が挙げられる。第二に、ファーブラシのローラを感光体に接するように回転させて残存トナーを拭き取る、若しくは叩き落す方法も用いられる。これらのクリーニング方法のうち、ゴムブレードの方がコスト、設計の容易さの点で有利であり、現在はクリーニングブレードを用いるクリーニングが主流を占めている。
特にフルカラー現像を行う場合においては、マゼンタ、シアン、イエロー、ブラック等の複数の色を重ねることによって所望の色を再現しているため、トナーの使用量が単色現像よりはるかに多く、そのためゴムブレードを感光体に圧接するクリーニング方法は最適である。
しかしながら、高画質化、高精細化のために小径で円形度の高いトナーを使用した場合、クリーニングブレードと電子写真感光体表面との接触部からすり抜けが発生し、画像欠陥や帯電ローラー汚染を引き起こしてしまうという問題があった。
特開平11−352720号公報 特開2003−76066号公報 特開2003−76056号公報 特開2003−76065号公報 特許3225889号公報 特開平2−127652号公報 特開平5−216249号公報 特開平7−72640号公報 特開平8−248649号公報 特開2000−66424号公報 特開2000−66425号公報
本発明は、上述事情に鑑みてなされたものであり、高画質かつ耐久性能に優れ長期使用時にも品質が低下することのない画像安定性に優れた電子写真装置を提供することにある。
すなわち、本発明は、支持体上に感光層を有する電子写真感光体、帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、定着手段及びクリーニング手段を有する電子写真装置において、該電子写真感光体が表面粗面化処理をされ、且つ、25℃、湿度50%の環境下でビッカーズ四角錐ダイヤモンド圧子を用いて、電子写真感光体の硬度を試験した時、荷重6mNで押し込んだ時の弾性変形率が45%以上かつ65%以下であり、且つ、該現像手段が結着樹脂、着色剤及びワックスを少なくとも含有するトナーを有し、23℃においてn−ヘキサン中に15mg/cm3の濃度で該トナーを分散させて1分間抽出して得られる抽出液のワックス濃度が0.080〜0.500mg/cm3範囲であり、且つ、該トナーの平均円形度が0.950〜0.995であることを特徴とする電子写真装置である。
本発明により、高画質かつ長期使用時にも品質が低下することのない画質安定性に優れた電子写真装置を提供することが可能となった。
以下、本発明をより詳細に説明する。
本発明のトナーは、結着樹脂、着色剤及びワックスを少なくとも含有するカラートナーであり、23℃においてn−ヘキサン中に15mg/cm3の濃度で該トナーを分散させて1分間抽出して得られる抽出液のワックス濃度が0.080〜0.500mg/cm3であることが必須である。前記ワックス濃度がこの範囲を外れると、優れた低温定着性や耐高温オフセット性が発現されない。
本発明のトナーは、ワックスが微細化、均一化されるように、すなわち、トナーの結着樹脂中にワックスの少なくとも一部を分子レベルで均一に分散させた状態となるように製造する。なお、本発明においては、結着樹脂として主にポリエステル系樹脂が好適に用いられる。
なお、ここでいう「ポリエステル系樹脂」とは、ポリエステルユニットを有している樹脂のことであり、ポリエステルユニットとビニル系共重合体ユニットとを有するハイブリッド樹脂、又はポリエステル樹脂、又はビニル系共重合体とこれらの樹脂との混合物のいずれかを示しており、本発明においてはハイブリッド樹脂が好適に用いられる。また、本発明においては、結着樹脂全体の50質量%以上がポリエステルユニットを有する樹脂が好ましく、さらに結着樹脂全体の70質量%以上がポリエステルユニットを有する樹脂が好ましい。
本発明者等は、トナー中のワックスを均一に微分散させるために、結着樹脂の種類、組成及び製造条件、ワックスの種類、融点、添加量、並びにその他のトナー原材料の種類、添加量、トナーの製造条件等について種々の検討を行い、得られたトナーの定着性について検討を行った結果、ワックスを微分散するほど低温定着性と耐高温オフセット性が良好となることを見出した。また同時に、特殊な手法を用いて、ワックスのさらなる微細化と均一化を行い、結着樹脂中にワックスの少なくとも一部を分子レベルで均一に分散させた状態とすることにより、例えば、厚紙を転写材として出力したフルカラー画像を折り曲げても、定着画像の剥離による画像欠陥が生じにくく、美しい画像が転写材に保持されるという、従来に無い優れた低温定着性が発現されることを見出した。
また、トナー中のワックスの分散度合いと、トナーをn−ヘキサンに分散したときのトナーからn−ヘキサンへのワックスの溶出速度との間には相関があり、トナー中にワックスが高度に分散しトナー中に存在するワックス粒子やワックスドメインの存在量が減少するほど、n−ヘキサンへのトナーからのワックスの溶出速度が速くなるということも見出した。そして、ワックスの分散度合いを簡便且つ再現性良く定量化する手段について検討を行った結果、23℃においてn−ヘキサン中に15mg/cm3の濃度でトナーを分散させて、1分間抽出して得られる抽出液のワックス濃度をガスクロマトグラフ法により定量するという方法で、ワックスの分散度合いを簡便且つ再現性良く判定できることを見出した。
種々のトナーについて、23℃においてn−ヘキサン中に15mg/cm3での濃度で該トナーを分散させて1分間抽出して得られる抽出液のワックス濃度の測定と、トナーの定着性についての検討を行った結果、抽出液のワックス濃度が0.080mg/cm3以上、より好ましくは0.120mg/cm3以上となるトナーにすることで、ワックスの少なくとも一部が分子レベルで結着樹脂中に均一に分散された状態となり、トナー中に存在するワックス粒子やワックスドメインの存在量が減少することがわかった。このことにより定着時にトナー内部からも速やかにワックスがしみ出し、ワックスの添加効果が最大限に発現され、前述したように、厚紙を転写材として出力したフルカラー画像を折り曲げても、定着画像の剥離による画像欠陥が生じにくく、美しい画像が転写材に保持されるという、従来に無い優れた低温定着性が発現されることを見出した。
一方で、前記抽出液のワックス濃度が高いほど定着性が向上する傾向があるものの、トナー中のワックス含有量を大幅に増やし、ワックス濃度が0.500mg/cm3を超えるトナーとした場合には、例えば高温高湿環境下にトナーを放置したときに、分子レベルで結着樹脂中に均一に分散していたワックスが凝集を起こしてワックス分散の急激な悪化を生じやすく、優れた定着性が発現しない場合がある。従って、環境変動によらず長期にわたって優れた定着性を発現させるためには、前記抽出液のワックス濃度は、0.500mg/cm3以下となるトナーにすることが必須であり、好ましくは前記抽出液のワックス濃度が0.400mg/cm3以下となるトナーにすることで、再現性良く優れた定着性が発現される。
以上の理由から、本発明のトナーは、23℃においてn−ヘキサン中に15mg/cm3の濃度でトナーを分散させて1分間抽出して得られる抽出液のワックス濃度が0.080〜0.500mg/cm3の範囲にあることが必須であり、好ましくは0.120〜0.400mg/cm3の範囲であるものがよい。
なお、ワックスの少なくとも一部が分子レベルで結着樹脂中に均一に分散された状態となることで、n−ヘキサンへのワックスの溶出速度が速くなる理由については必ずしも定かではないが、本発明者等は以下のように推定している。
結着樹脂に比較して極性が低く、融点が低いワックスは、非極性溶媒であるn−ヘキサンに対する飽和溶解度が常温で数質量%と比較的高いものの、その溶解速度は非常に遅く、数時間をかけて膨潤した後に、徐々に均一に溶解していく。その溶解速度はワックスの粒子径に強く依存しており、粒子径が小さいほど、その溶解速度は加速度的に上昇していく。従って、トナー中に存在するワックスについても同様のことが予想され、トナー中におけるワックスの分散粒子径が小さいほどn−ヘキサンへの溶出速度が上昇すると考えられ、その究極の状態が分子レベルでのワックスの均一分散といえる。また、トナーにワックスを微分散させると、本来n−ヘキサンとは相互作用のほとんどない結着樹脂であっても、分子レベルで均一に分散したワックスの影響で、n−ヘキサンと結着樹脂との馴染み性が良好となる。以上のような理由から、ワックスの少なくとも一部を分子レベルで結着樹脂中に均一に分散させた状態とした本発明のトナーは、n−ヘキサンに分散したときに、トナー内部からも極めて速やかにワックスの溶出が見られるようになったものと考えられる。
前述したように、結着樹脂へのワックスの分散性を改良したトナーがいくつか知られている。しかし、本発明の特徴である、23℃においてn−ヘキサン中に15mg/cm3の濃度で該トナーを分散させて1分間抽出して得られる抽出液のワックス濃度を特定の範囲に調整したトナーについては知られておらず、これらの従来知られているワックスを含有するトナーは、前記した23℃においてn−ヘキサン中に15mg/cm3の濃度で該トナーを分散させて1分間抽出して得られる抽出液のワックス濃度は0.080mg/cm3未満であった。また、そのトナーの定着性能を評価したところ、低温定着性、耐高温オフセット性に改善の余地があることが明らかとなった。
例えば、前述した特許文献1に記載されている、ビニル系モノマー、酸及びアルコール成分、並びにワックスからなる混合物から合成したハイブリッド樹脂をトナー原材料として用いた場合、溶融混練を行った際に樹脂中に分散していたワックス粒子の再凝集が生じやすく、結果として前記抽出液のワックス濃度が0.080mg/cm3未満となる。
また、特許文献2及び特許文献3に記載されている、スチレン、N含有ビニルモノマー及び(メタ)アクリル酸系モノマーからなる共重合体をポリオレフィンにグラフトしたワックス分散剤を用いて製造されたトナーや、特許文献4に記載されている混練を段階的に繰り返すことにより製造されたトナーは、ワックスの一次平均分散粒子径自体は微粒子化しているものの、トナー製造工程においてワックスと結着樹脂を混合するという工程を経るため、どうしても分散粒子が近接して凝集したワックスドメインを多数形成しやすく、また、このドメインの粒子径が溶融混練条件により大きくなり過ぎたり、場合によってはワックス分散粒子の再凝集が生じ、ワックス分散粒子径の粗大化を起こすことがあり、結果として前記抽出液のワックス濃度が0.080mg/cm3未満となってしまう。
さらに、特許文献5に記載されている、溶剤に溶解したポリエステルの溶液に、微粒子化したワックスのスラリー及び顔料スラリーを混合してこれを水中で造粒し、その後に溶剤を常温で留去することにより製造したトナーは、ワックスを機械的に微粒子化してこれを溶液状の結着樹脂と混合するというものであり、ワックスの数平均分散粒子径は1μm程度と微分散とは言い難く、前記抽出液のワックス濃度も0.080mg/cm3未満である。
本発明のトナーにおいて、23℃においてn−ヘキサン中に15mg/cm3の濃度で該トナーを分散させて1分間抽出して得られる抽出液のワックス濃度を0.080〜0.500mg/cm3とするためには、ワックスの少なくとも一部を分子レベルで結着樹脂中に均一に分散させた状態とすることにより、製造することができる。
本発明において、ワックスの少なくとも一部を分子レベルで結着樹脂中に均一に分散させた状態とする方法としては、例えば、ワックス、ビニル系共重合体ユニットを形成するためのビニル系モノマー及びポリエステルユニットを形成するための酸及びアルコール成分の混合物からハイブリッド樹脂を合成する際に、ビニル系モノマーの重合反応を、水素引き抜き能力の比較的強い重合開始剤(例えば、t−ブトキシラジカルが分解により生成するジ−t−ブチルパーオキサイド等)を使用して比較的高い重合温度で行い、ビニル系モノマーの重合と共にビニル系モノマーのワックスや樹脂へのグラフト重合を意図的に起こし、ワックスのビニル系共重合体への相溶性及びワックスのハイブリッド樹脂への相溶性を向上させる方法が挙げられる。また、上記モノマー混合物にワックス及びハイブリッド樹脂の良溶媒を添加し、完全に溶解した状態でハイブリッド樹脂を合成し、ワックスを分子レベルで均一に分散する方法、さらに、溶剤に溶解したワックスとハイブリッド樹脂の均一混合物から、低温で溶剤を除去してワックスの高分散性を維持する方法等が適用可能であり、もちろんこれらを組み合わせて適用することもできる。
次に、本発明のトナーの組成について説明する。
本発明のトナーは結着樹脂を少なくとも含有する。
本発明のトナーに含有される結着樹脂は、トナー中にワックスが高分散される限り、従来トナーに用いられる一般的なものが用いられ特に限定されないが、ポリエステルユニットとビニル系共重合体ユニットとを有するハイブリッド樹脂、又はポリエステル樹脂、又はビニル系共重合体とこれらの樹脂との混合物のいずれかのポリエステル系樹脂であることが好ましく、ハイブリッド樹脂がより好ましい。
上述しているが「ポリエステル系樹脂」とは、ポリエステルユニットを有している樹脂のことであり、結着樹脂全体の50質量%以上がポリエステルユニットを有する樹脂が好ましく、さらに結着樹脂全体の70質量%以上がポリエステルユニットを有する樹脂が好ましい。結着樹脂全体の50質量%以上がポリエステルユニットを有する樹脂とすることにより、高い着色力、鮮明な色味と良好な混色性、そして優れた透明性がより顕著に発現できる。さらに、結着樹脂全体の50質量%以上がポリエステルユニットを有するハイブリッド樹脂とすることにより、良好な顔料分散性、ワックス分散性、低温定着性、さらに耐高温オフセット性の向上が期待できる。
なお、本発明において「ポリエステルユニット」とはポリエステルに由来する部分を示し、「ビニル系共重合体ユニット」とはビニル系共重合体に由来する部分を示す。ポリエステルユニットを構成するポリエステル系モノマーは、多価カルボン酸成分と多価アルコール成分である。ビニル系共重合体ユニットを構成するビニル系モノマーは、ビニル基を有するモノマー成分である。
本発明において「ハイブリッド樹脂」とは、ビニル系共重合体ユニットとポリエステルユニットが化学的に結合された樹脂を意味する。具体的には、例えば(メタ)アクリル酸エステル等のカルボン酸エステル基を有するモノマーを重合したビニル系共重合体ユニットとポリエステルユニットとがエステル交換反応によって形成されるものであり、好ましくはビニル系共重合体ユニットを幹重合体、ポリエステルユニットを枝重合体としたグラフト共重合体(又はブロック共重合体)を形成するものである。
本発明のトナーに含有される結着樹脂として、ポリエステル樹脂又はポリエステルユニットを有するハイブリッド樹脂を用いる場合、ポリエステル樹脂又はハイブリッド樹脂のポリエステルユニットを生成するためのポリエステル系モノマーとして、多価のアルコールと多価カルボン酸、多価カルボン酸無水物、又は多価カルボン酸エステル等が原料モノマーとして使用できる。
具体的には、例えば2価アルコール成分としては、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(3.3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(2.0)−ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(6)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等のビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物や、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA等が挙げられる。
3価以上のアルコール成分としては、例えばソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン等が挙げられる。
2価カルボン酸成分としては、例えばフタル酸、イソフタル酸及びテレフタル酸等の芳香族ジカルボン酸類又はその無水物;コハク酸、ドデセニルコハク酸、アジピン酸、セバシン酸及びアゼライン酸等のアルキルジカルボン酸類又はその無水物;炭素数6〜12のアルキル基で置換されたコハク酸又はその無水物;フマル酸、マレイン酸及びシトラコン酸等の不飽和ジカルボン酸類又はその無水物;が挙げられる。
また、3価以上のカルボン酸成分としては、例えば、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸(別名トリメリット酸)、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸及びこれらの無水物やエステル化合物が挙げられる。
なお、上記の中でも、特に、下記一般式(11)で代表されるビスフェノール誘導体をジオール成分とし、2価以上のカルボン酸又はその酸無水物、又はその低級アルキルエステルとからなるカルボン酸成分(例えば、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等)を酸成分として用いることが好ましい。この組成としたポリエステル樹脂又はポリエステルユニットを含有する樹脂は、良好な帯電特性を有する。
Figure 2007192906
(式中、Rはエチレンまたはプロピレン基を示し、A及びBはそれぞれ1以上の整数であり、且つA+Bの平均値は2〜10である。)
本発明のトナーに含有される結着樹脂として、ビニル系共重合体又はビニル系共重合体ユニットを有するハイブリッド樹脂を用いる場合、ビニル系共重合体又はハイブリッド樹脂のビニル系共重合体ユニットを生成するためのビニル系モノマーとして、次のようなものを用いることができる。スチレン;o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロルスチレン、m−ニトロスチレン、o−ニトロスチレン、p−ニトロスチレン等のスチレン及びその誘導体;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン等の不飽和モノオレフィン類;ブタジエン、イソプレン等の不飽和ポリエン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、フッ化ビニル等のハロゲン化ビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル等のビニルエステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル等のα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニル等のアクリル酸エステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類;N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドン等のN−ビニル化合物;ビニルナフタリン類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド等のアクリル酸又はメタクリル酸誘導体等が挙げられる。
さらに、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、アルケニルコハク酸、フマル酸、メサコン酸等の不飽和二塩基酸;マレイン酸無水物、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、アルケニルコハク酸無水物等の不飽和二塩基酸無水物;マレイン酸メチルハーフエステル、マレイン酸エチルハーフエステル、マレイン酸ブチルハーフエステル、シトラコン酸メチルハーフエステル、シトラコン酸エチルハーフエステル、シトラコン酸ブチルハーフエステル、イタコン酸メチルハーフエステル、アルケニルコハク酸メチルハーフエステル、フマル酸メチルハーフエステル、メサコン酸メチルハーフエステル等の不飽和二塩基酸のハーフエステル;ジメチルマレイン酸、ジメチルフマル酸等の不飽和二塩基酸エステル;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ケイヒ酸等のα,β−不飽和酸;クロトン酸無水物、ケイヒ酸無水物等のα,β−不飽和酸無水物、該α,β−不飽和酸と低級脂肪酸との無水物;アルケニルマロン酸、アルケニルグルタル酸、アルケニルアジピン酸、これらの酸無水物及びこれらのモノエステル等のカルボキシル基を有するモノマーが挙げられる。さらに、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート等のアクリル酸又はメタクリル酸エステル類;4−(1−ヒドロキシ−1−メチルブチル)スチレン、4−(1−ヒドロキシ−1−メチルヘキシル)スチレン等のヒドロキシ基を有するモノマーが挙げられる。
本発明のトナーに含有させる結着樹脂として、ビニル系共重合体又はビニル系共重合体ユニットを有するハイブリッド樹脂を用いる場合には、これらの樹脂はビニル基を2個以上有する架橋剤で架橋されたものであってもよい。この場合に用いられる架橋剤としては、以下のものが挙げられる。ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン等の芳香族ジビニル化合物;エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,6ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート等のアルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの;ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール#400ジアクリレート、ポリエチレングリコール#600ジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート等のエーテル結合を含むアルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類及び以上の化合物のアクリレートをメタアクリレートに代えたもの;ポリオキシエチレン(2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレート、ポリオキシエチレン(4)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレート等の芳香族基及びエーテル結合を含む鎖で結ばれたジアクリレート化合物類及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの等が挙げられる。
上記以外に多官能の架橋剤を用いることもでき、多官能架橋剤としては、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルアクリレート及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの;トリアリルシアヌレート、トリアリルトリメリテート等が挙げられる。
ビニル系共重合体ユニットやポリエステルユニットを有するハイブリッド樹脂をトナーに含有させる場合、そのビニル系共重合体ユニットやポリエステルユニット中には、両樹脂成分と互いに反応し得るモノマー成分を含むことが好ましい。ポリエステルユニットを構成するポリエステル系モノマーのうちビニル系共重合体ユニットと反応し得るものとしては、例えば、フタル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸等の不飽和ジカルボン酸又はその無水物等が挙げられる。ビニル系共重合体ユニットを構成するビニル系モノマーのうちポリエステルユニットと反応し得るものとしては、カルボキシル基又はヒドロキシ基を有するもの、アクリル酸又はメタクリル酸エステル類が挙げられる。
ビニル系共重合体ユニットとポリエステルユニットとの反応生成物を得る方法としては、先にあげたビニル系共重合体ユニット及びポリエステルユニットのそれぞれと反応し得るモノマー成分を含むポリマーが存在しているところで、どちらか一方又は両方の樹脂の重合反応をさせることにより得る方法が好ましい。
ビニル系共重合体やビニル系共重合体ユニットを有するハイブリッド樹脂を製造する場合に用いられるラジカル重合開始剤としては、例えば、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル、2,2'−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2'−アゾビス(−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2'−アゾビス(−2メチルブチロニトリル)、ジメチル−2,2'−アゾビスイソブチレート、1,1'−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)、2−(カーバモイルアゾ)−イソブチロニトリル、2,2'−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、2−フェニルアゾ−2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル、2,2'−アゾビス(2−メチル−プロパン)、メチルエチルケトンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド類、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−クミルパーオキサイド、α,α'−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、イソブチルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、m−トリオイルパーオキサイド、ジ−イソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシカーボネート、ジ−メトキシイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシカーボネート、アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシネオデカノエイト、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシベンゾエイト、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、t−ブチルパーオキシアリルカーボネート、t−アミルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサハイドロテレフタレート,ジ−t−ブチルパーオキシアゼレート等が挙げられる。
本発明のトナーに含有させることができるハイブリッド樹脂の製造方法としては、例えば、以下の(1)〜(6)に示す製造方法を挙げることができる。
(1)ビニル系共重合体、ポリエステル樹脂及びハイブリッド樹脂をそれぞれ製造後にブレンドする方法であり、ブレンドは有機溶剤(例えば、キシレン)に溶解・膨潤した後に有機溶剤を留去することで行う。尚、ハイブリッド樹脂は、ビニル系共重合体とポリエステル樹脂を別々に製造後、少量の有機溶剤に溶解・膨潤させ、エステル化触媒及びアルコールを添加し、加熱することによりエステル交換反応を行って合成されるエステル化合物を用いることができる。
(2)ビニル系共重合体ユニット製造後に、これの存在下にポリエステルユニット及びハイブリッド樹脂を製造する方法である。ハイブリッド樹脂はビニル系共重合体ユニット(必要に応じてビニル系モノマーも添加できる)とポリエステル系モノマー(アルコール、カルボン酸)及び/又はポリエステルとの反応により製造される。この場合も適宜、有機溶剤を使用することができる。
(3)ポリエステルユニット製造後に、これの存在下にビニル系共重合体ユニット及びハイブリッド樹脂を製造する方法である。ハイブリッド樹脂はポリエステルユニット(必要に応じてポリエステル系モノマーも添加できる)とビニル系モノマー及び/又はビニル系共重合体ユニットとの反応により製造される。
(4)ビニル系共重合体ユニット及びポリエステルユニット製造後に、これらの重合体ユニット存在下にビニル系モノマー及び/又はポリエステル系モノマー(アルコール、カルボン酸)を添加することによりハイブリッド樹脂が製造される。この場合も適宜、有機溶剤を使用することができる。
(5)ハイブリッド樹脂を製造後、ビニル系モノマー及び/又はポリエステル系モノマー(アルコール、カルボン酸)を添加して付加重合及び/又は縮重合反応を行うことによりビニル系共重合体ユニット及びポリエステルユニットが製造される。この場合、ハイブリッド樹脂は上記(2)〜(4)の製造方法により製造されるものを使用することもでき、必要に応じて公知の製造方法により製造されたものを使用することもできる。さらに、適宜、有機溶剤を使用することができる。
(6)ビニル系モノマー及びポリエステル系モノマー(アルコール、カルボン酸等)を混合して付加重合及び縮重合反応を連続して行うことによりビニル系共重合体ユニット、ポリエステルユニット及びハイブリッド樹脂が製造される。さらに、適宜、有機溶剤を使用することができる。
上記(1)〜(5)の製造方法において、ビニル系共重合体ユニット及び/又はポリエステルユニットは複数の異なる分子量、架橋度を有する重合体ユニットを使用することができる。
上記の(1)〜(6)の製造方法のうち、本発明のトナーを得るためには(6)の製造方法が好適に採用される。(6)の製造方法により得られたハイブリッド樹脂は、ビニル系共重合体ユニットとポリエステルユニットが非常に均一な状態となりやすく、好ましい。
また、本発明においては、ビニル系モノマー及びポリエステル系モノマーに加えて、さらにワックスもモノマー混合物に共存させ、その状態で付加重合及び縮重合反応を連続して行えば、ワックスの分散性が向上しやすく、好ましい。
さらに、ビニル系モノマーの付加重合の際に、水素引き抜き能力の比較的強い重合開始剤を使用して比較的高い重合温度で行う等、適当に重合条件を選択して、ビニル系共重合体の生成とともにワックスや樹脂へのビニル系モノマーのグラフト重合を意図的に起こせば、ワックスのビニル系共重合体への相溶性、及びワックスのハイブリッド樹脂への相溶性をさらに向上させることができ、結果として、トナー中にワックスの少なくとも一部を分子レベルで均一に分散することが容易であり、特に好ましい。
本発明において用いられる結着樹脂は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定における分子量分布において、テトラヒドロフラン(THF)に可溶な成分のピーク分子量(Mp)が4000〜20000の範囲にあることが好ましく、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が5以上であることが好ましい。前記Mpが4000未満の場合、得られるトナーの保存安定性に問題が生じたり、耐高温オフセット性が不充分になるとともに、電子写真感光体への融着及びフィルミング等が発生しやすくなる場合がある。一方、Mpが20000を越える場合、低温定着性が不充分となるとともに、画像のグロスが低くなりすぎたり、混色性に問題が生じる場合がある。また、Mw/Mnが5未満である場合には耐高温オフセット性に問題が生じる場合がある。
本発明のトナーは、GPC測定における分子量分布において、該トナーに含有されるTHFに可溶な結着樹脂成分のMpが4000〜20000の範囲にあることが好ましく、MwとMnとの比(Mw/Mn)が100以上であることが好ましい。トナーに含有される樹脂成分のMpが4000未満の場合、トナーの保存安定性に問題が生じたり、耐高温オフセット性が不充分になるとともに、電子写真感光体への融着及びフィルミング等が発生しやすくなる場合がある。一方、Mpが20000を越える場合、低温定着性が不充分となるとともに、画像のグロスが低くなりすぎたり、混色性に問題が生じる場合がある。また、Mw/Mnが100未満である場合には耐高温オフセット性に問題が生じる場合がある。
本発明のトナーに含有されるTHFに可溶な結着樹脂成分のMpを4000〜20000の範囲にするためには、THFに可溶な成分のMpが4000〜20000の結着樹脂をトナーの原材料として用いればよい。また、(Mw/Mn)を100以上とするためには、(Mw/Mn)が100以上である結着樹脂を用いても良いし、(Mw/Mn)が100未満の結着樹脂と後述する有機金属化合物とをトナー製造工程のひとつである混練工程において金属架橋させて、Mw/Mnを100以上とすることもできる。また、この金属架橋による方法を用いて(Mw/Mn)を調整する場合には、有機金属化合物の種類、添加量や混練時の温度の調整で、(Mw/Mn)の調整が可能である。
本発明のトナーは、シアントナー用、マゼンタトナー用、イエロートナー用又はブラックトナー用の着色剤を含有する。
例えば、シアントナー用の着色剤としては、C.I.ピグメントブルー2,3,15:1,15:2,15:3,16,17,C.I.アシッドブルー6,C.I.アシッドブルー45又はフタロシアニン骨格にフタルイミドメチル基を1〜5個置換した銅フタロシアニン顔料等が挙げられる。
また、マゼンタトナー用の着色顔料としては、C.I.ピグメントレッド1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17,18,19,21,22,23,30,31,32,37,38,39,40,41,48,49,50,51,52,53,54,55,57,58,60,63,64,68,81,83,87,88,89,90,112,114,122,123,163,202,206,207,209,238,C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.バットレッド1,2,10,13,15,23,29,35等が挙げられる。さらに、マゼンタトナー用の染料としては、C.I.ソルベントレッド1,3,8,23,24,25,27,30,49,81,82,83,84,100,109,121,C.I.ディスパースレッド9、C.I.ソルベントバイオレット8,13,14,21,27、C.I.ディスパースバイオレット1等の油溶染料;C.I.ベーシックレッド1,2,9,12,13,14,15,17,18,22,23,24,27,29,32,34,35,36,37,38,39,40、C.I.ベーシックバイオレット1,3,7,10,14,15,21,25,26,27,28等の塩基性染料が挙げられる。
イエロートナー用の着色顔料としては、C.I.ピグメントイエロー1,2,3,4,5,6,7,10,11,12,13,14,15,16,17,23,65,73,74,83,93,97,155,180、C.I.バットイエロー1,3,20等が挙げられる。
ブラックトナー用の着色剤としては、カーボンブラック、アセチレンブラック、ランプブラック、黒鉛、鉄黒、アニリンブラック、シアニンブラック等が挙げられる。
着色剤の使用量は、中間色の再現性と着色力とのバランスから、結着樹脂100質量部に対して、1〜15質量部、好ましくは3〜10質量部含有していることが良い。
着色剤の含有量が15質量部より多い場合には、透明性が低下し、加えて人間の肌色に代表される様な中間色の再現性も低下し易くなり、更にはトナーの帯電性の安定性が低下し、目的とする帯電量が得られにくくなる。また、着色剤の含有量が1質量部より少ない場合には、目的とする着色力が得られ難く、高い画像濃度の高品位画像が得られ難い。
本発明のトナーはワックスを含有する。
本発明のトナーに含有させることができるワックスとしては、例えば次のものが挙げられる。ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、オレフィン共重合体ワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス、パラフィンワックス等の脂肪族炭化水素系ワックス、また酸化ポリエチレンワックス等の脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物、又はそれらのブロック共重合物;カルナウバワックス、モンタン酸エステルワックス等の脂肪酸エステルを主成分とするワックス類、ベヘン酸ベヘニルやステアリン酸ベヘニル等の高級脂肪酸と高級アルコールとの合成反応物であるエステルワックス、及び脱酸カルナウバワックス等の脂肪酸エステル類を一部又は全部を脱酸化したもの等が挙げられる。
さらに、パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸等の飽和直鎖脂肪酸類;ブランジン酸、エレオステアリン酸、バリナリン酸等の不飽和脂肪酸類;ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコール等の飽和アルコール類;ソルビトール等の多価アルコール類;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミド等の脂肪酸アミド類;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミド等の飽和脂肪酸ビスアミド類;エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N'ジオレイルアジピン酸アミド、N,N'ジオレイルセバシン酸アミド等の不飽和脂肪酸アミド類;m−キシレンビスステアリン酸アミド、N,N'ジステアリルイソフタル酸アミド等の芳香族系ビスアミド類;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム等の脂肪族金属塩(一般に金属石けんといわれているもの);脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸等のビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス類;ベヘニン酸モノグリセリド等の脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂の水素添加等によって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物等が挙げられる。
本発明において、好ましく用いられるワックスとしては脂肪族炭化水素系ワックスが挙げられ、より好ましくはポリエチレンワックス、フィッシャートロプシュワックス、パラフィンワックス、特に好ましくはパラフィンワックスが挙げられる。脂肪族炭化水素系ワックスを用いると、ワックスのトナー中での分散状態を最適としやすく、低温定着性に優れるだけでなく、高い着色力、鮮明な色味と混色性が発現され、現像性、転写性、耐久性等の各種特性のバランスの優れたトナーが得られやすい。
また、優れた低温定着性、高い着色力、鮮明な色味と混色性、及び優れた環境安定性、耐久性を達成するために、前記ワックスの示差熱分析(DSC)測定における吸熱曲線において、最大吸熱ピークのピーク温度が60〜105℃の範囲にあることが好ましく、70〜90℃の範囲にあることがより好ましい。60℃未満であると、例えばトナーの保存安定性が劣る場合があり、105℃を超えると省エネの観点から望まれる低温定着を行うことが困難となる場合がある。
ワックスは結着樹脂100質量部あたり1〜10質量部、好ましくは2〜7質量部使用するのが良い。1質量部よりも少ないと低温定着性に効果が無く、10質量部を超えるとトナーの保存安定性や現像性に問題が出る場合がある。
本発明のトナーは、示差熱分析(DSC)測定における吸熱曲線において、温度30〜200℃の範囲に1個又は複数の吸熱ピークを有し、該吸熱ピーク中の最大吸熱ピークのピーク温度が60〜105℃の範囲にあることが好ましく、特に好ましくは70〜90℃の範囲である。最大吸熱ピークのピーク温度がこの範囲にあれば、優れた低温定着性と現像性とのバランスが良好となる。最大吸熱ピークのピーク温度が60℃未満であるとトナーの保存安定性が劣る場合があり、105℃を超えると省エネの観点から望まれる低温定着を行うことが困難となる場合がある。なお、最大吸熱ピークのピーク温度を60〜105℃とするには、前述した最大吸熱ピークのピーク温度が60〜105℃のワックスを、トナーに含有させることにより達成可能である。
また、本発明のトナーには、さらに有機金属化合物を含有させてもよい。有機金属化合物を含有させると、帯電レベルを調整でき、帯電の立ち上がりを良くし、トナーの熱溶融特性を改良することが出来る等の点で好ましい。本発明のトナーに含有させる有機金属化合物としては、芳香族オキシカルボン酸及び芳香族アルコキシカルボン酸から選択される芳香族カルボン酸誘導体、該芳香族カルボン酸誘導体の金属化合物であることが好ましく、その金属としては、2価以上の金属が好ましい。また、芳香族カルボン酸誘導体としては、サリチル酸誘導体が好ましい。
芳香族カルボン酸の金属化合物は、例えば、2価以上の金属イオンが溶解している水溶液を、芳香族カルボン酸を溶解した水酸化ナトリウム水溶液に滴下し、加熱撹拌し、次に水溶液のpHを調整し、常温まで冷却した後、ろ過水洗することにより合成することができるが、上記の合成方法だけに限定されるものではない。2価の金属としてMg2+、Ca2+、Sr2+、Pb2+、Fe2+、Co2+、Ni2+、Zn2+、Cu2+が挙げられる。これらのうち、Zn2+、Ca2+、Mg2+、Sr2+が好ましい。3価以上の金属としてはAl3+、Cr3+、Fe3+、Ni3+、Zr4+が挙げられる。これら3価以上の金属の中で好ましいのはAl3+、Cr3+、Zr4+であり、特に好ましいのはAl3+、Zr4+である。
本発明のトナーに有機金属化合物を含有させる場合、有機金属化合物は結着樹脂100質量部あたり0.1〜5質量部含有させることが好ましい。この範囲の含有量とするとトナーの帯電レベルを適度に調整できるため現像時に必要な絶対帯電量が得られやすくなり、前述した混練時の金属架橋による(Mw/Mn)の調整も可能であり、トナーの熱溶融特性も改良することができる。
本発明のトナーは、トナー粒子に流動性向上剤が外部添加(以下、「外添」という)されているトナーであることが好ましい。ここで、流動性向上剤とは、トナー粒子に外添することにより、流動性が増加し得る機能を有するものであり、画質向上の観点から添加される。例えば、フッ化ビニリデン微粉末、ポリテトラフルオロエチレン微粉末等のフッ素系樹脂粉末;湿式製法で得られるシリカ微粉末、乾式製法で得られるシリカ微粉末等のシリカ微粉末;それらシリカ微粉末をシラン化合物、チタンカップリング剤、シリコーンオイル等の処理剤により表面処理を施した処理シリカ微粉末;酸化チタン微粉末;アルミナ微粉末、処理酸化チタン微粉末、処理酸化アルミナ微粉末等が用いられる。このような流動性向上剤は、BET法で測定した窒素吸着による比表面積が30m2/g以上、好ましくは50m2/g以上のものが良好な結果を与える。
流動性向上剤は、トナー粒子100質量部に対して0.01〜10質量部、好ましくは0.05〜5質量部使用するのが良い。
本発明のトナーは、少なくとも結着樹脂、着色剤、ワックスを含有するトナー粒子と、必要に応じてトナー粒子に外添される流動性向上剤等の外添剤とから構成される。本発明におけるトナー粒子は、以下で述べる方法により得ることができる。すなわち、トナー原材料をヘンシェルミキサー、ボールミル等の混合機により充分混合し、ニーダー、エクストルーダー等の熱混練機を用いて溶融、捏和及び練肉し、溶融混練物を冷却固化後に固化物を粉砕し、粉砕物を分級することにより、所定の平均粒径のトナー粒子を得ることができる。
本発明のトナーは重量平均粒径が4〜9μmであることが好ましい。このようにトナーの重量平均粒径を小粒径化することにより、画像の輪郭部分、特に文字画像やラインパターンの現像での再現性が良好なものとなる。重量平均粒径が4μm未満であると、例えば電子写真感光体の表面への付着力が高くなり、転写不良に基づく画像の不均一ムラの原因となりやすい。また、トナーの単位質量あたりの帯電量が高くなり、例えば低温低湿環境下において画像濃度が低下してしまう場合がある。さらに、流動性の低下や部材への付着性の増加により、例えば二成分系現像剤とした場合、キャリアとの摩擦帯電がスムーズに行われにくく、充分に帯電し得ないトナーが増大し、非画像部のカブリが目立つ様になる。
また、重量平均粒径が9μmを超えると、高画質化に寄与し得る微粒子が少ないことを意味し、トナーの流動性に優れるというメリットがあるものの、電子写真感光体上の微細な静電荷像上に忠実に付着しづらく、ハイライト部の再現性が低下し、さらに階調性も低下する場合がある。また、電子写真感光体表面等の部材への融着が起きやすい。
さらに、4μm以下の粒径を有するトナーが3〜40個数%含有され、10μm以上の粒径を有するトナーが10体積%以下含有されていると、現像性、転写性のバランスの取れたトナーが得られやすく、特に好ましい。
本発明のトナーは、一成分系現像剤としても二成分系現像剤としても使用可能であるが、二成分系現像剤として使用すると、長期に渡り鮮明なフルカラー画像がより得られやすく、好ましい。
本発明のトナーを二成分系現像剤として用いる場合、本発明のトナーと磁性キャリアとを混合して二成分系現像剤とすればよい。磁性キャリアとしては、例えば表面酸化又は未酸化の鉄、ニッケル、銅、亜鉛、コバルト、マンガン、クロム、カルシウム、マグネシウム、希土類等の金属及びそれらの合金又は酸化物及び磁性フェライト等の磁性キャリアが使用出来る。
また、上記磁性キャリアの表面を樹脂等で被覆した樹脂コートキャリアは、本発明において好適に用いられる。樹脂コートキャリアの製造方法としては、従来公知の方法を採用することができ特に限定されないが、一例を挙げれば、磁性キャリアを浮遊流動させながら樹脂溶液をスプレーしキャリア表面にコート膜を形成させる方法、スプレードライ法、樹脂等の被覆材を溶剤中に溶解又は懸濁させて磁性キャリアと混合し、剪断応力を加えながら溶剤を徐々に揮発させる方法、単に粉体と磁性キャリアを混合する方法等が挙げられる。
磁性キャリアの被覆材料としては、トナー融着等の磁性キャリアへのスペント化を防ぐ為に有用と考えられる表面エネルギーの小さい樹脂、例えばシリコーン樹脂、フッ素樹脂等が挙げられ、その他にもポリエステル樹脂、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド、ポリビニルブチラール、アミノアクリレート樹脂等が例示され、これらは単独又は組み合わせて用いられる。
また、磁性キャリアに対する接着性を高めるために、種々の添加物を併用し被膜の強靭性を高めることが好ましい。特にシリコーン樹脂を被覆する際は使用する被覆樹脂希釈溶剤中に水を添加する事で、得られる被覆キャリアの耐久性及び帯電特性が更に改良される。これは、硬化型シリコーン樹脂の架橋点及びシランカップリング剤の加水分解が促進され、硬化反応がより進行する事、及び短時間ではあるがシリコーン樹脂の表面エネルギーが増加し、磁性キャリアとの密着性が向上する事によるものである。
被膜樹脂の磁性キャリアに対する塗布量は、磁性キャリア100質量部あたり樹脂固形分が0.05〜10質量部、好ましくは0.1〜5質量部である。
また、磁性キャリアの重量平均粒径は25〜80μm、より好ましくは30〜65μmであることが好ましい。粒径の測定はマイクロトラック粒度分析計(日機装(株)製)のSRAタイプを使用し、0.7〜125μmのレンジ設定で行うことができる。磁性キャリアの重量平均粒径が25μmよりも小さい場合、トナーとの混合が難しくなる。また、重量平均粒径が80μmを超えると、磁性キャリアの比表面積が小さいことから、トナー補給時の帯電能力が劣り、カブリやトナー飛散の原因となることがある。
本発明のトナーと上記形態の磁性キャリアとを混合して二成分系現像剤を調製する場合、その混合比率は現像剤中のトナー濃度として、2〜15質量%、好ましくは4〜13質量%にすると通常良好な結果が得られる。トナー濃度が2質量%未満では画像濃度が低下しやすく、15質量%を超えるとカブリや機内飛散が発生しやすく、現像剤の耐用寿命が低下しやすい。
次に、本発明の電子写真感光体について説明する。
本発明の電子写真感光体は、導電性支持体上に感光層が形成されている。前記感光層は電荷発生層、電荷電送層をこの順に積層した構成又は逆に電荷輸送層、電荷発生層をこの順に積層した構成、更には電荷発生材料と電荷輸送材料を結着樹脂中に分散した単層より構成されるもののいずれの構成をとることも可能である。
いずれにしても、本発明の電子写真感光体の表面を構成する表面層は、加熱又は放射線照射により、重合又は架橋反応により硬化された樹脂を含む層であることが好ましい。
この電子写真感光体構成において、本発明の主たる目的の一つは電子写真感光体の耐久性能の向上であるから、電子写真感光体の表面を構成する表面層を加熱又は放射線照射(好ましくは電子線照射)により硬化された樹脂で形成することによってその効果が十分に発揮される。なかでも、電子写真特性、特に残留電位等の電気的特性及び耐久性の点より、電荷発生層、電荷輸送層をこの順に積層した積層型感光層を有し、該電荷輸送層が表面層となる電子写真感光体構成、又は前記電荷発生層、電荷輸送層をこの順に積層した積層型感光層上に更に表面層を形成した構成が好ましい。すなわち、表面層が電荷輸送層として感光層の一部であっても又は感光層の上に構成されても、電子写真感光体の表面を構成する表面層は加熱又は放射線照射により重合又は架橋反応により硬化された樹脂で形成されることが好ましい。
本発明の電子写真感光体における表面層は、加熱又は放射線照射により重合又は架橋し硬化する樹脂であればいずれのものを用いて形成されても構わない。すなわち、加熱又は放射線照射によりラジカル等の活性点が発生し、重合又は架橋し硬化することが可能な化合物であれば、表面層の構成材料として用いることができる。中でも分子内に連鎖重合性官能基を有する化合物、特に不飽和重合性官能基を有する化合物は、反応性の高さ、反応速度の速さ、材料の汎用性等の点から好ましい。本発明における不飽和重合性官能基を有する化合物は、モノマー、オリゴマー又はマクロマーのいずれにも限定されない。
本発明の電子写真感光体における表面層は、感光層の一部として位置する場合又は感光層の上に更に設けられる場合いずれにおいても、両者は硬化後に電荷輸送能を有していることが好ましい。表面層に用いる不飽和重合性官能基を有する化合物が電荷輸送性を有さない場合、電荷輸送材料や導電性材料を添加することにより表面層に電荷輸送性を確保することが好ましい。一方、前記不飽和重合性官能基を有する化合物自体が電荷輸送性を有する化合物である場合においては、この限りではない。ただし、表面層の膜硬度や種々の電子写真特性の点からして、後者のような電荷輸送性を有する化合物を使用するのがより好ましい。更に、電荷輸送性を有する化合物の中でも、電子写真プロセスや材料の汎用性の点からして、正孔輸送性を有する化合物が更に好ましい。
本発明の電子写真感光体の導電性支持体は、導電性を有するものであればよい。例えば、アルミニウム、銅、クロム、ニッケル、亜鉛及びステンレス等の金属や合金をドラム状又はシート状に成形したもの、アルミニウム及び銅等の金属箔をプラスチックフィルムにラミネートしたもの、アルミニウム、酸化インジウム又は酸化錫等をプラスチックフィルムに蒸着したもの、導電性物質を単独又は結着樹脂と共に塗布して導電層を設けた金属、プラスチックフィルム及び紙等が挙げられる。
導電性支持体と感光層の間に、導電性顔料や抵抗調節顔料等を分散した導電層を形成してもよい。この導電層は、前記顔料を分散させたことにより表面が粗面化される。導電性支持体は、電子写真装置に用いられる露光手段がレーザー光のような可干渉光を用いる場合に得られる画像に干渉縞が現れることが多いため、何らかの手段をもって粗面化することが考えられているが、導電層は支持体を粗面化したことと同等の効果が得られ、更に、導電性支持体上に塗布されるため支持体の欠陥をも被覆される作用もあり、支持体の欠陥除去に対しての対策を行う必要がない。導電層の膜厚としては0.2〜40μmが好ましく、より好ましくは1〜35μm、更に好ましくは5〜30μmである。
導電層に用いられる樹脂としては、例えば、スチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、フッ化ビニリデン、トリフルオロエチレン等のビニル化合物の重合体及び共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリウレタン、セルロース樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ケイ素樹脂及びエポキシ樹脂等が挙げられる。導電層は、導電性顔料や抵抗調節顔料等を上記樹脂中に分散又は溶解した溶液を塗布液として用いて形成される。場合によっては、塗布液に加熱又は放射線照射により重合又は架橋し硬化する化合物の添加も可能である。
導電性顔料及び抵抗調節顔料としては、例えば金属としては、アルミニウム、亜鉛、銅、クロム、ニッケル、銀及びステンレス等、又はこれらの金属をプラスチックの粒子の表面に蒸着したもの等が挙げられる。金属酸化物としては、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化ビスマス、スズをドープした酸化インジウム、アンチモンやタンタルをドープした酸化スズ等が挙げられる。これらは、単独で用いることも、2種以上を組み合わせて用いることもできる。2種以上組み合わせて用いる場合は、単に混合しても、固溶体や融着の形にしてもよい。
本発明においては、導電性支持体(又は導電層)と感光層の間にバリアー機能と接着機能を備えた中間層を設けることができる。中間層は、感光層の接着性改良、塗工性改良、導電性支持体の保護、導電性支持体の欠陥の被覆、導電性支持体からの電荷注入性改良、また感光層の電気的破壊に対する保護等のために形成される。
中間層の材料としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリ−N−ビニルイミダゾール、ポリエチレンオキシド、エチルセルロース、エチレン−アクリル酸共重合体、カゼイン、ポリアミド、N−メトキシメチル化6ナイロン、共重合ナイロン、にかわ及びゼラチン等が挙げられる。中間層は、これらの材料をそれぞれ適した溶剤に溶解した溶液を導電性支持体上に塗布し、乾燥することによって形成される。膜厚は0.1〜2μm程度であることが好ましい。
本発明の電子写真感光体が積層型電子写真感光体である場合には、電荷発生層及び電荷輸送層を積層する。電荷発生層に用いる電荷発生材料としては、セレン−テルル、ピリリウム、チアピリリウム系染料、また各種の中心金属及び結晶型を有するフタロシアニン化合物、具体的には、例えばα、β、γ、ε及びX型等の結晶型を有するフタロシアニン化合物;アントアントロン顔料;ジベンズピレンキノン顔料;ピラントロン顔料;トリスアゾ顔料;ジスアゾ顔料;モノアゾ顔料;インジゴ顔料;キナクリドン顔料;非対称キノシアニン顔料;キノシアニン;特開昭54−143645号公報に記載のアモルファスシリコーン;等が挙げられる。
電荷発生層は、前記電荷発生材料を0.3〜4倍質量の結着樹脂及び溶剤と共にホモジナイザー、超音波分散、ボールミル、振動ボールミル、サンドミル、アトライター又はロールミル等を用いる方法で充分に分散し、得られた分散液を導電性支持体上又は中間層上に塗布し、乾燥することによって形成される。又は、前記電荷発生材料の蒸着膜とした単独組成の膜として形成される。電荷発生層の膜厚は5μm以下であることが好ましく、特に0.1〜2μmの範囲であることが好ましい。
電荷発生層に用いる結着樹脂としては、例えば、スチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、フッ化ビニリデン、トリフルオロエチレン等のビニル化合物の重合体及び共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリウレタン、セルロース樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ケイ素樹脂及びエポキシ樹脂等が挙げられる。
電荷輸送層は、電荷輸送材料と熱可塑性の高硬度樹脂、あるいは熱、光又は放射線照射により重合あるいは架橋し硬化する化合物を用いて構成される。前記電荷輸送材料としては、ポリ−N−ビニルカルバゾール及びポリスチリルアントラセン等の複素環や縮合多環芳香族を有する高分子化合物;ピラゾリン、イミダゾール、オキサゾール、トリアゾール及びカルバゾール等の複素環化合物;トリフェニルメタン等のトリアリールアルカン誘導体;トリフェニルアミン等のトリアリールアミン誘導体;フェニレンジアミン誘導体、N−フェニルカルバゾール誘導体、スチルベン誘導体及びヒドラゾン誘導体等の低分子化合物;が挙げられる。これらを高硬度樹脂、あるいは熱、光又は放射線照射により重合あるいは架橋し硬化する化合物と共に適当な溶剤に分散又は溶解させ、先の電荷発生層上に塗布した後、乾燥固化工程、又は重合あるいは架橋し硬化させる工程により電荷輸送層を形成する。
熱可塑性の高硬度樹脂としては、変性ポリカーボネートや変性ポリアリレート樹脂のように一般のエンジニアリングプラスチックよりも機械的強度改善した高分子化合物が使用できる。熱、光又は放射線照射により重合又は架橋し硬化する化合物としては、熱による加水分解や縮合反応を経由して架橋するものとしてフェノール系、エポキシ系、アルコキシシラン系等、熱や光又は放射線照射によりラジカル等の活性点を発生させ、重合又は架橋することが可能な化合物であれば限定されないが、一般的には連鎖重合性官能基を有する化合物が反応性や強度の観点から挙げられ、中でも分子内に不飽和重合性官能基を有する化合物は反応性の高さ、反応速度の速さ、材料の汎用性等の点から好ましく、不飽和重合性官能基として、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基及びスチレン基等が特に好ましく、これらを有する化合物はモノマー、オリゴマー、マクロマー、ポリマーのいずれにも限定されることなく適宜選択又は組み合わせて用いることが出来る。また、電荷輸送性、好ましくは正孔輸送性を有し、且つ熱、光又は放射線照射により重合又は架橋し硬化する化合物を用いる場合は、それ単独で電荷輸送層を形成することができ、この場合は特に電子写真特性に優れ且つ高強度な表面層を形成することが可能となる。また、電荷輸送材料、及び電荷輸送性を有さない熱、光又は放射線照射により重合又は架橋し硬化する化合物を更に適宜混合することも可能である。
電荷輸送性を有し、且つ熱、光又は放射線照射により重合又は架橋し硬化する化合物は、例えば不飽和重合性官能基を有する公知の正孔輸送性化合物や、公知の正孔輸送性化合物の一部に不飽和重合性官能基を付加した化合物が用いられる。公知の正孔輸送性化合物の例としては、ヒドラゾン化合物、ピラゾリン化合物、トリフェニルアミン化合物、ベンジジン化合物及びスチルベン化合物等が挙げられるが、正孔輸送性化合物であればいかなる化合物も使用可能である。更に、本発明において電子写真感光体の表面層の硬度を十分に確保するためには、不飽和重合性官能基を有する化合物は、一分子中に複数の不飽和重合性官能基を有する化合物であることが好ましい。
本発明において、単層型感光層で且つ該単層型感光層自体が表面層となる構成の電子写真感光体の場合には、少なくとも電荷発生材料、電荷輸送材料、及び熱、光又は放射線照射により重合又は架橋し硬化する化合物を分散又は溶解した溶液を用いて硬化させることにより感光層が形成されることが好ましい。この場合においても先の積層型感光層を有する電子写真感光体と同様に、加熱又は放射線照射により重合又は架橋し硬化する化合物が電荷輸送性を有することが好ましい。
本発明において、表面層が感光層の上に構成される場合には、積層型感光層や単層型感光層の構成にかかわらず、表面層が熱、光又は放射線照射により硬化された樹脂により形成されることが好ましい。この場合、表面層の下層となる感光層の構成は、電荷発生層及び電荷輸送層をこの順に積層した積層型感光層、電荷輸送層及び電荷発生層をこの順に積層した積層型感光層、又は単層型感光層のいずれの構成も可能であるが、先に述べた理由により、電荷発生層及び電荷輸送層をこの順に積層した積層型感光層構成が好ましい。この場合、電荷発生層は前述と同様な方法で形成され、電荷輸送層は前記電荷輸送材料を、スチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、フッ化ビニリデン、トリフルオロエチレン等のビニル化合物の重合体及び共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリウレタン、セルロース樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ケイ素樹脂及びエポキシ樹脂等の結着樹脂中に分散又は溶解した溶液を塗布液として用いて形成される。場合によっては電荷輸送層用塗布液に熱、光又は放射線照射により重合又は架橋し硬化する化合物の添加も可能である。
表面層が感光層の上に構成される場合でも、上述したように表面層は硬化後に電荷輸送性を有していることが好ましい。表面層に用いる重合又は架橋し硬化する化合物自体が電荷輸送性を有さない化合物である場合には、電荷輸送層に用いる電荷輸送材料や導電性材料の添加により電荷輸送性を確保することが好ましい。この場合、電荷輸送材料は熱、光又は放射線照射により重合、架橋可能な官能基を有しても有さなくてもかまわないが、電荷輸送材料の可塑性による機械的強度の低下を避けるためには、前者が好ましい。導電性材料としては、酸化チタンや酸化錫等の導電性微粒子が一般的ではあるが、その他として、導電性高分子化合物等の利用も可能である。表面層に用いる、熱、光又は放射線照射による重合又は架橋し硬化する化合物自体が電荷輸送性を有する場合においては、電荷輸送材料や導電性材料を添加しなくてもよい。本発明においては、表面層の膜硬度や種々の電子写真特性の点からして、後者のような、電荷輸送性を有し且つ熱、光又は放射線照射により重合又は架橋し硬化する化合物を用いて形成した表面層が好ましい。
本発明において、各々の層を形成するために溶液を塗布する方法は、例えば、浸漬コーティング法、スプレイコーティング法、カーテンコーティング法及びスピンコーティング法等の公知の塗布方法が可能であるが、効率性/生産性の点からは浸漬コーティング法が好ましい。また、蒸着、プラズマその他の公知の製膜方法も適宜選択できる。
本発明において、中間層、感光層等には各種添加剤を添加することが出来る。添加剤としては、酸化防止剤や紫外線吸収剤等の劣化防止剤;フッ素系樹脂微粒子等の滑材;等が挙げられる。
次に、表面層を重合又は架橋して化合物を硬化させて形成する方法について説明する。本発明において表面層の形成は、熱、光又は放射線照射により、重合又は架橋し硬化する化合物を用いるが、熱あるいは光による硬化あるいは架橋反応による場合は反応開始材を必要とするが、放射線照射の場合には開始材を必要としない点において、電子写真特性の観点から特に好ましい。
次に放射線照射について説明する。本発明における放射線とは、特開2000−66425号公報において開示されたものと同様に、電子線及びγ線等が挙げられ、装置の大きさ、安全性、コスト、汎用性等、種々の点から電子線が好ましい。電子線照射をする場合、加速器としてはスキャニング型、エレクトロカーテン型、ブロードビーム型、パルス型及びラミナー型等のいずれの形成も使用することが出来る。
電子線照射により電子写真感光体を形成する場合において、電子写真感光体の電気特性及び耐久性能を十分に発現させる上で、電子線の加速電圧、吸収線量が非常に重要なファクターであり、加速電圧は300KV以下が好ましく、最適には150KV以下、また線量は好ましくは1〜100Mrad(1×104〜1×106Gy)の範囲、より好ましくは50Mrad(5×105Gy)以下の範囲である。加速電圧が300KVを超えたり、線量が100Mrad(1MGy)を超えると、電子写真感光体への劣化が起こり易い傾向にあることは該公報において示されるとおりである。電子線の加速電圧及び線量を調整しても、得られる電子写真感光体は耐久性能が十分ではなく、更なる耐久性能の向上が必要とされていたが、重合・架橋の効率を上げるために加熱を併用することで、線量を低く抑えたまま十分な硬度を発現出来る硬化膜の製造方法は既に特開2004−12986号公報にて開示されたとおりである。
上記のようにして得られた電子写真感光体の物性としては、後述する方法により測定した感光体表面の弾性変形率が好ましくは45%〜65%、特には50〜65%であることが好ましい。また、ユニバーサル硬さ値(HU)を150〜220N/mm2とすることが好ましい。弾性変形率が45%以下、ユニバーサル硬さ値(HU)が150N/mm2以下となると耐久時における電子写真感光体表面への傷が発生し易くなり、また、弾性変形率が65%以上、ユニバーサル硬さ値(HU)が220N/mm2以上となると、耐久時における電子写真感光体表面への現像材等の融着が発生し易い傾向にある。
また、本発明の電子写真感光体の表面粗さ(十点平均面粗さ)Rzjisの値は0.3μm以上1.3μm以下が好ましい。0.3μm未満や1.3μmを超える場合にはクリーニング性能が低下する傾向にある。なお、本発明において電子写真感光体の表面の表面粗さRzjisは、溝の深さを表す指標とする。
本発明においては、最大高さ粗さRzの値が1.6μm以下であることが好ましい。1.6μmを超えるとハーフトーン画像上で濃淡ムラを生じ易い傾向がある。
本発明の電子写真感光体は、高硬度な表面層を有するため、一般的な感光体と比較して大幅に耐久時の感光体表面層の削れ量が小さく、表面性が低下しやすいことは前述の通りであり、感光体表面を粗面化することは有効な手段の一つである。感光体の表面形状としては、大きく分けて(1)円周方向にスジ状の連続した凹凸形状を有する場合と(2)ディンプル状の凹凸形状を有する場合が挙げられる。
まず(1)円周方向にスジ状の連続した凹凸形状を有する場合について説明する。
本願の電子写真感光体において、円周方向にスジ状の連続した凹凸形状を有するとは、導電性筒状支持体上に感光層あるいは感光層及び表面層を有する電子写真感光体であって、該電子写真感光体の表面形状は、円周方向に形成された溝と平坦部の組み合わせからなり、該溝幅0.5〜40μmの単位長さ1000μm当たりの溝本数密度が20以上1000以下であることを特徴とする。
電子写真感光体の表面に形成される溝幅が40μmを超えると、電子写真装置に用いた場合、クリーニングブレードの追従性が不十分となりやすく、クリーニング性がやや低下し、現像剤がクリーニングブレードをすり抜ける傾向にある。
電子写真感光体の表面に形成される溝本数密度が20より小さいと、クリーニング手段としてクリーニングブレードを有する電子写真装置に用いる場合、通紙枚数の増加によりクリーニングブレードのエッジ部に欠けが生じクリーニング不良となり、画像上に黒スジ画像が発生し易い又はトナー成分の固着による融着を生じ、画像上白点画像となって現れる傾向がある。一方、クリーニングレスの電子写真装置に用いた場合、溝密度が20より小さいと、電子写真感光体の圧接部に不具合を生じる可能性がある。具体的には、帯電手段の汚れ、現像手段中の現像剤の帯電性劣化、転写手段の傷発生等が挙げられる。また、溝密度が1000を超えると文字再現性が劣る傾向があったり、特に低湿環境下においてトナーがクリーニングブレードをすり抜けるクリーニング不良が発生する傾向にある。
前記電子写真感光体の表面形状において、前記平坦部の幅も0.5〜40μmであることがより好ましい。平坦部の幅が40μmを超えると、クリーニング手段としてクリーニングブレードを有する電子写真装置に用いる場合、電子写真感光体表面やトナーの構成材料、各種プロセス条件にもよるが、電子写真感光体とブレード間のトルクが上昇し易く、クリーニング不良が発生し易い。
本発明において、上記周方向に連続した凹凸形状を有する感光体は、以下のような粗面化手段により製造することができる。
本発明において「溝」とは、粗面化手段により形成された0.5μm〜40μmの溝幅のものを指す。
前記粗面化手段として、電子写真感光体の表面を物理的に研磨することによって、前記表面形状をコントロールする方法を具体的に挙げるが、その他の方法として、粗面化された支持体上に感光層/表面層を塗布する工程において支持体の表面形状を電子写真感光体表面まで維持させる方法や、感光層/表面層が塗布後乾燥前あるいは硬化前の流動性のある状態において粗面化手段により前記電子写真感光体表面形状を形成する方法等も可能である。
次に、本発明の電子写真感光体の製造に用いる粗面化手段として、研磨シートを含む研磨機の一例を図1に示す。研磨シートは、研磨砥粒が結着樹脂に分散されたものが基材に塗布されたシートである。研磨シート1は中空の軸αに巻かれており、軸αにシートが送られる方向と逆方向に、研磨シート1に張力が与えられるようモータ(不図示)が配置されている。研磨シート1は矢印方向に送られ、ガイドローラ2−1、2−2を介してバックアップローラ3を通り、研磨後のシートはガイドローラ2−3、2−4を介してモータ(不図示)により巻き取り手段5に巻き取られる。研磨は、基本的に未処理の研磨シートが電子写真感光体表面に常時圧接され、電子写真感光体表面を粗面化することで行われる。研磨シート1は基本的には絶縁性であるので、シートの接する部位はアースに接地されたもの、又は導電性を有するものを用いることが好ましい。
研磨シートの送りスピードは10〜500mm/minの範囲が好ましい。送り量が少なければ電子写真感光体表面を研磨した研磨シートが再度電子写真感光体表面に接触することとなり、電子写真感光体表面への深傷の発生、表面溝のムラ、研磨シート表面の結着樹脂の付着等を生じる場合があり好ましくない。
電子写真感光体4は、研磨シート1を介してバックアップローラ3と対向した位置に置かれる。この際、研磨シート1の基材側からバックアップローラが所望の設定値でバックアップローラ3に所定時間押し当てられ、電子写真感光体表面が粗面化される。電子写真感光体の回転方向は、研磨シート1の送られる方向と同一、対向、又は研磨途中で回転方向を変更してもよい。
バックアップローラの電子写真感光体に対する押し当て圧は、研磨砥粒の種類及び粒径、研磨シートに分散される研磨砥粒の番手、研磨シートの基材厚、砥粒シートの結着樹脂膜厚、バックアップローラの硬度、電子写真感光体の表面を構成する表面層の硬度により最適値は異なるが、0.005〜15N/m2の範囲であれば、本発明における電子写真感光体表面の溝形状が達成される。なお、本発明における電子写真感光体表面の溝形状(溝幅、溝密度、表面粗さ等)は、例えば粗面化手段として研磨シートを用いる場合は、研磨シートの送りスピード、パックアップローラの押し当て圧、研磨砥粒の粒径、形状、研磨シートに分散される研磨砥粒の番手、研磨シートの結着樹脂膜厚、基材厚等を適宜選択することにより調整できる。
研磨砥粒としては、酸化アルミニウム、酸化クロム、炭化珪素、ダイヤモンド、酸化鉄、ダイヤモンド、酸化セリウム、コランダム、珪石、窒化珪素、窒化硼素、炭化モリブデン、炭化珪素、炭化タングステン、チタンカーバイト及び酸化珪素等が挙げられる。研磨砥粒の平均粒径は好ましくは0.01〜50μmであり、より好ましくは1〜15μmである。粒径が小さいと、本発明において好適な溝の深さ、溝の幅が得られず、大きいと最大表面粗さRzの値が大きくなり、ハーフトーン画像上のムラ、傷が画に出る等の不具合を生じる傾向がある。なお、研磨砥粒の平均粒径は、遠心沈降法で測定されたメジアン径D50を指す。
基材の上に研磨砥粒が結着樹脂中に分散され塗布される。結着樹脂中の研磨砥粒は粒径分布を有して分散されることも好ましいが、その粒度分布を制御してもよい。例えば、平均粒径は同じでも大粒径側の粒子を除くことにより、最大表面粗さRzの数値をより低減させることが可能となる。別の目的として、シートの生産時、平均粒径のバラツキを抑えることが可能となり、その結果、本発明における電子写真感光体表面の表面粗さ:Rzjisのバラツキを抑えることが可能となる。
研磨シートの結着樹脂に分散される研磨砥粒の番手は研磨砥粒の粒径と相関があり、番手数が小さい方が研磨砥粒の平均粒径が大きく、そのため、電子写真感光体表面に傷を生じさせることとなる。本発明において研磨シートに分散される研磨砥粒の番手の範囲は、500〜20000が好ましく、より好ましくは1000〜3000が好ましい。
研磨シートに用いられる結着樹脂としては、公知の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、反応型樹脂、電子線硬化樹脂、紫外線硬化樹脂、可視光硬化樹脂及び防黴性樹脂等が挙げられる。熱可塑性樹脂としては例えば、塩化ビニル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、アミノ樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、ウレタンエラストマー及びポリアミド−シリコーン樹脂等が挙げられる。熱硬化性樹脂としては、例えば、フェノール樹脂、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、メラミン樹脂及びアルキッド樹脂等が挙げられる。
研磨シートの結着樹脂膜厚は、1〜100μmが好ましい。結着樹脂膜厚が厚いと結着樹脂の膜厚にムラが生じその結果、研磨シート表面に凹凸が大きくなり電子写真感光体を研磨した際、感光体の溝形状(溝幅、溝密度等)にバラツキがでる。一方、結着樹脂膜厚が薄過ぎると研磨砥粒の脱落が起こり易くなる。本発明に用いられる研磨シートとしては、以下のような市販のものを用いることができる。例えば、レフライト(株)製MAXIMA LAP(登録商標)、MAXIMA Tタイプ;(株)KOVAX製ラピカ;住友3M(株)製マイクロフィニッシングフィルム、ラッピングフィルム;三共理化学(株)製ミラーフィルム(登録商標)、ラップングフィルム;日本ミクロコーティング(株)製ミポックス(登録商標)等が挙げられる。
また、本発明においては、所望の溝形状の電子写真感光体表面が得られるように、複数回にわたり粗面化工程を行うことも可能である。その際は、番手の粗い研磨砥粒が分散される研磨シートから番手の細かい研磨砥粒が分散される研磨シート、また逆に番手の細かい研磨砥粒が分散される研磨シートから番手の粗い研磨砥粒が分散される研磨シートの順のどちらから行ってもよい。前者の場合は、電子写真感光体表面に粗い溝の表面に更に細かい溝を重畳させることが可能となり、後者の場合は、研磨溝のムラを低減させることが可能となる。
また、番手数が同等でも研磨砥粒が異なる研磨シートで研磨してもよい。研磨砥粒の硬度が異なるため、本発明が求める電子写真感光体表面の溝形状をより最適化できうるためである。研磨シートに用いる基材としては、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、セルロース樹脂、ビニル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリスルホン樹脂及びポリフェニルスルホン樹脂等が挙げられる。研磨シートの基材厚は10〜150μmが好ましく、より好適には15〜100μmである。基材厚が薄いとバックアップローラで電子写真感光体表面に押し当てた際に、押し当て圧のムラが起こることで研磨シートのよれを生じ、電子写真感光体表面の凹部は数mm程度の未研磨部、凸部は深溝を生じ、ハーフトーン画像上濃度ムラとなって現れ、好ましくない。基材厚が厚いと、シート自体の硬度が高くなり、研磨砥粒分布ムラ、押し当て圧のムラ等を電子写真感光体表面に反映させることになり、本発明が所望する溝密度の範囲を逸脱する場合がある。
バックアップローラ3は、電子写真感光体表面に所望の溝を形成させる手段として有効な手段である。研磨シート1の張力のみで研磨することも可能であるが、バックアップローラ3を介さずに研磨シート1の張力のみで電子写真感光体表面に溝を形成させる方法で研磨してもよい。
電子写真感光体の表面層の硬度が高い場合(主に硬化性樹脂を用いた場合)、研磨シートの張力のみでは電子写真感光体表面に接する圧が低いため、本発明が特定する電子写真感光体表面の溝形状を達成できるように、バックアップローラを用いる方が良い。図2に研磨シート1の張力のみで電子写真感光体表面を研磨する場合の一例を示す。図1と異なる点はバックアップローラ3が無く、電子写真感光体4の表面に形成される溝の形状の制御は、主に研磨シート1に分散される研磨砥粒の番手、研磨シートの電子写真感光体4への押し当て圧、研磨時間等で決定される。
研磨機に用いられるバックアップローラ3の材質としては、金属や樹脂等が挙げられる。電子電子写真感光体の電子写真感光体表面を粗面化する工程において、電子写真感光体の円筒振れ、バックアップローラ3の円筒振れ、研磨シート1のスラスト方向の研磨圧分布等により、電子写真感光体表面の研磨圧分布ムラが生じると思われ、それらを吸収することを考慮するとバックアップローラ3の材質は樹脂が好ましい。更に、ムラを吸収することを第一に考えると発泡性樹脂がより好ましく、その中でも研磨シートが基本的に絶縁性であるためか電子写真感光体表面が摩擦帯電により帯電を生じるため電圧の上昇を抑える目的で、バックアップローラ3の材質は導電性を有するものがより好ましい。
しかし導電性は有するが、研磨シート1表面と電子写真感光体表面には導電性が介在しないので研磨シート1及び電子写真感光体表面は研磨中、少なからず帯電する。各々の抵抗等により、帯電電圧は異なるが、高いものは数KVまで帯電する可能性がある。そのため粗面化工程中に電子写真感光体表面、研磨シート、及びそのニップ部等に除電エアーや静電エアー等を吹付けてもよい。
バックアップローラに発泡性樹脂を用いた場合、その硬度が低いと、電子写真感光体に対する押し当て圧を上げてもバックアップローラの変形を生じ、本発明の範囲の溝幅、溝の深さ、溝密度等の形成がなされない。そのため、発泡性樹脂の場合、硬度の下限値はアスカーC硬度で10以上が好ましい。一方、上限値は、溝密度、溝幅、最大高さ粗さRz≦1.6μmを満足するために70以下が好ましい。より好ましいバックアップローラの硬度は15〜65であり、更には25〜60である。
アスカーC硬度10以上を満たすバックアップローラとしては、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリオレフィン、フッ素ゴム及びフェノール樹脂等の材質が挙げられる。
アスカーC硬度の測定は、エラストン社製ゴム硬度計ESC型(SRIS0101/タイプC)をバックアップローラに接触させて指針位置を読み取ることにより行う。
バックアップローラに発泡性樹脂を用いた場合、発泡性樹脂穴部に異物が溜まり易いので、研磨シート及びバックアップローラの界面には異物が入り込まないよう十分注意することが必要である。場合によっては、常時ローラに空気等を吹付けることも有効であると思われる。バックアップローラの材質としては、発泡性樹脂以外にも、ショアA硬度で好ましくは5〜70、より好ましくは10〜40を満足する樹脂であれば、通常の樹脂においても本発明で特定する電子写真感光体表面の溝形状を形成させることができる。
ショアA硬度5〜70を満たすバックアップローラとしては、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリオレフィン、フッ素ゴム及びフェノール樹脂等が挙げられる。
ショアA硬度の測定は、エラストン社製ゴム硬度計ESA型(JIS 6253/ISO7619 タイプA)をバックアップローラに接触させて指針位置を読み取ることにより行う。
図3に示すように、研磨シートは、研磨砥粒8を基材6に固着させるための結着樹脂7を基材6の上に塗布した構成である。図4に研磨シートの他の例を示す。図4は、研磨砥粒8の切っ先をたたせたものである。結着樹脂7−1及び研磨砥粒8を静電塗布した後、結着樹脂7−2を塗布し切っ先を安定させている。
図5に本発明の電子写真感光体表面の溝の形状を示す。(a)が周方向に対して略並行すなわち0°である溝形状、(b)が周方向に対して10°の傾きを有する溝形状、(c)が周方向に対して±30°の傾きを有し重畳された溝形状を示す。クリーニング手段としてクリーニングブレードを有する電子写真装置に用いる場合、クリーニングブレードと電子写真感光体表面との接触面積を少なくし、より良好なクリーニング性能を得るためには、前記溝は周方向に対して0°以上±90°未満が好ましく、特には±45°未満であることが好ましい。また、クリーニングブレードエッジ等の電子写真感光体に接している部材に異物が挟まった場合には、角度を持たせることにより、異物が除去され易いため好ましく、更には溝が重畳されている場合がより好ましい。
図5の(b)に示されるような10°の角度で溝を形成させる場合を、図6に示す。図6において研磨シート1が矢印A方向に巻き取れられ、同方向の矢印X方向にバックアップローラ3が受け軸(不図示)を中心に従動で回転する。電子写真感光体4は矢印Yの回転方向に回転している。電子写真感光体4がバックアップローラ3に接触し、加圧された状況で電子写真感光体4を点線の矢印B方向に移動させることにより上記の溝形状が形成される。電子写真感光体のスラスト方向に対する溝の角度は、研磨シート1及び電子写真感光体4の送りスピード、電子写真感光体4の回転回数等により調整される。
図7及び図8を用いて、図5(c)に示す溝に±30°の角度をつける方法を説明する。図7において研磨シート1が矢印A方向に巻き取られ、同方向の矢印X方向にバックアップローラ3が受け軸(不図示)を中心に回転する。それと同時に、バックアップローラ3を保持する部材が点線で示される矢印B方向に揺動することにより、研磨シート1も同様に揺動し角度が形成される。角度の設定は前述のように電子写真感光体4、バックアップローラ3の揺動幅、周期の変更、研磨シート1の送りスピードにより調整される。図8の場合は、図7と異なり研磨シート1が巻き取られる際、電子写真感光体4が矢印Y方向に回転すると同時に電子写真感光体4を保持する部材が点線で示される矢印B方向に誘導することにより形成される。角度の変更は図6と同様の設定で調整される。
電子写真感光体のスラスト方向に対する溝の角度は、(株)キーエンス製のカラーレーザー顕微鏡(超深度形状測定顕微鏡VK−8550)を用い、電子写真感光体を20倍の対物レンズで観察し、スラスト方向に対しての角度を測定することにより得られる。
研磨シートで粗面化した場合は、溝の内部に電子写真感光体表面が削れた粉が堆積したり、溝の両端部に盛上りを生じる、又は生じた溝の両端部が再び溝を隠すという現象を生じる。これらの現象を伴った電子写真感光体を電子写真装置に装着して画出しを行うと、トナー又はトナーに外添された微紛等により溝内部の削れ粉が掻き出されたり、クリーニングブレードにより、溝の盛上り部、溝を隠す部位が削り取られる場合がある。なお、「溝を隠す部分」とは、研磨シートで電子写真感光体に溝を作製させるために研磨する際に生じる削れ粉、及び電子写真感光体両端の盛上り部が掻き取られたものが形成された溝に埋め込まれた部分を指す。
削れ粉の掻き出される量及び削り取られる量が多いと、クリーニングブレードエッジに固着し易くなり正常なクリーニングを維持できず、画像上、黒又は白スジとして現れる傾向がある。また、通紙を続行すると電子写真感光体表面に融着を生じ、画像上白点として現れる傾向がある。従来は電子写真感光体表面の削れた粉が潤滑剤として機能していたが、本発明の電子写真感光体のように硬度の硬い表面層を有する場合は、ブレードエッジに削れ粉が存在することにより電子写真感光体の表面に傷を発生したり、トナーが電子写真感光体表面に融着したりという問題が生じる。
そこで本発明においては、製造した電子写真感光体を粗面化工程と同時、又は粗面化工程後に削れ粉の清掃工程を行い、削れ粉量を低減させた感光体となるようにする。
清掃工程について以下に説明する。
図9に粗面化工程と同時に清掃工程を行う場合の一例を示す。研磨シート1が矢印a方向に移動し、電子写真感光体4が矢印b方向に回転している。その際、清掃部材が電子写真感光体に対向するよう回転しつつ圧接され、電子写真感光体表面に堆積する削れ粉を除去する。清掃時間は研磨時間と同等でもよいし、研磨時間終了後、バックアップローラ3が電子写真感光体4から離間した後も電子写真感光体表面に接触させ、清掃時間のみ延長させてもよい。
研磨シート1は絶縁性なので粗面化工程中に帯電を生じる。接触している電子写真感光体4も光導電性ではあるが研磨シート1に接触しているためか帯電を生じる。削れ粉自体も帯電を生じていると思われる。図9においてバックアップローラ3、電子写真感光体4及び清掃部材であるブラシ11はアースに接地しているが、必要に応じて、研磨シート1、電子写真感光体4、ブラシ11に、帯電、除電、光照射等の手段を施し、削れ粉がブラシ11に捕集されるように帯電系列を施してもよい。これらの手段を行う場合を考慮すると、清掃部材は導電性を有することが好ましいと思われる。なお清掃部材の形状として、図9においてはブラシを挙げたが、ローラ、テープ及びブレードのいずれの形状でも構わない。
電子写真感光体4の回転方向は、研磨シート1の送り方向と同等、対向、又は粗面化途中で回転方向を反対にしてもよい。回転方向を逆にする回数や時間等は前述の削れ粉量の評価法に基づき、削れ粉量が上記範囲を満たすように決定されればよい。粗面化工程により生じる削れ粉、溝端部の盛上り等は、電子写真感光体の回転方向に方向性を持っていると思われるので電子写真感光体を逆回転させることによりそれらが、掻き取られる、又は剥がれる傾向にある。そのため、粗面化工程時の電子写真感光体逆回転は、粗面化工程と清掃工程を同時に行う方法の一つにもなり得ると思われる。
粗面化工程と同時又はそれ以降に番手の異なる研磨砥粒が分散された研磨シートで粗面化することで清掃してもよい。番手の異なる研磨砥粒が分散されたシートで粗面化することにより、溝の内部に電子写真感光体表面が削れた粉が堆積したり、溝の両端部に盛上りを生じる、又は溝の両端部が再び溝を隠す等の粗面化により電子写真感光体表面で生じた現象が取り払われる効果を有するためである。従って、後者の研磨シートにおける番手は前者よりも大きい、つまり、研磨砥粒を小さくする方が好ましい。シートの送り方向は前者と同等、対向どちらでもよく、番手の小さな研磨シートの回転方向の変更と同期して回転方向を変更してもよい。
ブラシ11は常に電子写真感光体4に対して対向して回転するよう制御される。従って、研磨シート1の回転方向に伴い、基本的にはそれと同期して対向するように回転させたほうが、削れ粉等の回収には有利である。ブラシ11を連続使用すると、削れ粉等がブラシ穂先に捕集され、性能を維持できなくなるので以下に示すようにブラシ穂先より削れ粉を取り除く手段を取り付けることが好ましい。
図10及び図11に清掃手段のブラシ穂先から粗面化により研磨された削れ粉を取り除く一例を挙げる。図10はブラシ11にある範囲の侵入量をもった板状の削れ粉掻きとり部材12(以下、「スクレーパ」と称す)を押し当てている。スクレーパ12の侵入量の範囲はブラシ11の穂長、電子写真感光体の真直度、粗面化工程の電子写真感光体の回転軸及び電子写真感光体の平行度等の相関を考慮して、0.2〜5mmの範囲が好ましく、より好ましくは0.5〜2.5mmである。スクレーパ12及びブラシ11はアースに接地されているが、それぞれに電圧を印加してスクレーパ12に削れ粉が堆積できるようにしてもよい。ブラシ11が接触しているスクレーパ12の領域には、削れ粉が堆積してゆくので定期的に清掃することが好ましい。
図11は、ブラシ11に削れ粉が負に帯電しているためにそれを捕集するために正の電圧を印加したローラ13を接触させて削れ粉を取り除く例を示す。正の電圧を印加するため、ローラ13は金属を用いることが好ましいが、導電性樹脂を用いてもよい。ローラ13には捕集された削れ粉を回収するブレード14が取り付けられている。ブレード14は、一例として金属板金に接着されたゴムブレードが挙げられるが、ローラ13より削れ粉が捕集されるのであればこれに限らない。ブレード14のローラ接触部には捕集された削れ粉が堆積されるので、清掃することが必要である。
なお、電子写真感光体の清掃に用いられるブラシは複数でもよく、材質、外径、回転数、回転方向、清掃時間等は必ずしも同じでなくてもよい。ブラシの材質としては、例えば、アクリル、ポリアミド、アラミド、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニルポリエステル、ポリブチレンテレフタレート及びポリフェニレンサルファイド等が挙げられる。溝内の削れ粉を掻き取る、溝両端部の盛上りを取る等の目的から材質的に硬いほうが好ましい。また、削れ粉を掻き取り、更に、ブラシから吐き出す能力があるものを選んだ方が良い。この中では、アクリル、ポリアミド及びアラミド等が好ましい。
前述のようにブラシは導電性を有する材質であることが好ましく、その際、接地又は電圧印加されることを考えると、低抵抗であることが好ましく、具体的には101〜108Ω・cmの抵抗値を有することが好ましい。
ブラシの太さとしては1〜20デニール(0.11〜2.22mg/m)が好ましく、より好ましくは2〜12デニール(0.22〜1.33mg/m)である。細いと溝内まで侵入可能である一方、腰が弱く掻き取り能力が落ちる傾向があり、太いと溝の削れ粉が掻き取れなくなる傾向があるためである。
ブラシの穂長は1〜10mmが好ましく、より好ましくは2〜7mmである。ブラシは作製後、所望の長さまで先端を刈り込み調整されるが、穂長が長い場合、腰の強い材質を用いた場合でも刈り込み時に長さにムラを生じる可能性があり、また長さのため腰が弱くなる傾向がある等のため上限は10mmである。短い方が見かけ上腰は強くなるが、電子写真感光体の円筒振れ、粗面化装置の軸の真直度から1mmと思われる。
清掃部材にブレードを用いた場合を図12に示す。清掃部材にブレードを用いる場合、ブレード14のエッジに削れ粉が必要以上に堆積すると、掻き取り効果低減と共に電子写真感光体表面に傷を生じる問題もあり、生産を考慮する場合には定期的にエッジを清掃する手段又は新品のブレードに交換する手段を設ける方がよい。また、不図示の供給手段により、例えばトナーに用いる外添剤又はそれに類似する粒子を供給して、削れ粉の除去に役立ててもよい。ブレードの材質としては、例えば、ウレタン、シリコーンゴム、弗素系ゴム及びアクリルニトリルブタジエンゴム等が挙げられる。
図13に第一の清掃工程終了後に、第二の清掃工程として乾式あるいは湿式の清掃部材10を電子写真感光体に当接させ、電子写真感光体上に残留する削れ粉を更に除去する方法の一例を示す。
前述の方法により研磨及び清掃工程を終了した電子写真感光体4に対して、乾式あるいは湿式の後述する清掃部材10が矢印a方向に移動し、電子写真感光体4が矢印b方向に回転している。この時、清掃部材は所定の圧力でバックアップローラ3によって電子写真感光体に圧接されながら、第二の清掃工程が行なわれる。清掃時間は任意であり、また清掃部材と電子写真感光体の回転方向はカウンター方向であっても構わない。清掃部材の例としては、ウレタンやメラミンを材質とする発泡シートや発泡スポンジが挙げられ、湿式の場合はイオン交換水又はアルコール類等の電子写真感光体を浸食しない溶剤を含有させて使用する。
図14に、清掃手段として磁気ブラシ15を用いた例を示す。磁気ブラシ15はアースに接地している例を示したが帯電を施してもよい。磁気ブラシ内部には、磁極(不図示)が配置されている。磁気ブラシ15は主に金属粒子で形成される。粒子は、樹脂粒子又は金属粒子の表面を処理した物を用いることができる。磁気ブラシを形成する粒子が穂から脱粒すると電子写真感光体表面に傷を生じる場合があるので、取付け位置や帯電電位等を最適化するほうが良い。例えば、図14にあるように粒子が穂から粒子が脱粒しても支障のないように、電子写真感光体の水平位置より下部に金属粒子の容器16を設置する;粒子の脱粒防止を目的に電子写真感光体にメモリーが発生しない程度の電圧を印加する;等が考えられる。磁気ブラシより電子写真感光体4に付着した粒子を取るためにブレード14を配置している。ブレードエッジに粒子が挟まると電子写真感光体4に傷を生じる可能性があるので、ブレードの代わりにブラシを用いてもよく、その組み合わせでもよい。また、磁気ブラシとブレードの間に粒子を取り除く手段、例えば、磁石や金属ローラ等を設けてもよい。
磁気ブラシ内に削れ粉が充満すると傷の要因となりうるので、ブラシの穂の全交換、磁気ブラシのユニット交換、又は帯電等で削れ粉のみ捕集する手段を設けた方が良い。
また、磁気ブラシユニット内に削れ粉の捕集効果向上のために、微粒子を添加してもよい。微粒子の材料としては、主に金属酸化物が挙げられ、特に一般的にトナーの外添剤に用いられるものが好ましく、例えば、シリカ、チタン化合物、アルミナ、酸化セリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム及び燐酸カルシウム等が挙げられる。これらのものは単独でもよく複数用いてもよい。また、微粒子を疎水化処理等の表面処理したものを用いてもよい。
図15に、図11に示す清掃手段と図12に示す清掃手段を組み合わせた例を示す。また、図16に清掃手段を、粘着テープを用いて行う例を示す。粗面化工程と同時に清掃用バックアップローラ18で粘着テープを押し当てて矢印c方向にテープを送り出し、電子写真感光体表面の清掃後、該テープを巻き取る。清掃用バックアップローラ18は、電子写真感光体4に粘着テープ17を密着させることが目的のため、材質としては金属又は硬度の高い樹脂が好ましい。
図17に清掃手段としてローラを用いた例を示す。粗面化工程時、同時にローラ19を電子写真感光体4に圧接させ、ブレード14によりローラ19に付着した削れ粉が掻き取られるようになっている。ローラ19の材質としては、粘着性を有するもの、金属又は導電性樹脂、発泡性樹脂等が用いられる。粘着性を有するものをローラに用いる場合は、ブレード14を配置せずにローラ19を電子写真感光体4に押し当て、削れ粉をローラ19側に移動させたほうが効率的でありローラ19の長寿命化に効果的である。金属又は導電性樹脂をローラに用いる場合、アースに接地させるか電圧を印加し、削れ粉が電子写真感光体4の表面からローラ19に回収されるようにすることが好ましい。発泡性樹脂をローラに用いる場合、電子写真感光体4に圧接させローラ19の発泡部位に削れ粉が埋め込まれるよう構成とするのが好ましい。また、導電性且つ発泡性を有するローラを用いることも好ましい。
本発明における清掃工程は、粗面化工程の後、電子写真感光体を液体に浸漬し且つ振動させることにより行われてもよい。用いる液体としては、水や有機溶剤等が挙げられる。有機溶剤を用いる場合は感光層が溶出しないものを用いた方がよく、例えば、アルコール系やケトン系が好ましい。また、表面層に用いる溶剤を用いてもよい。上記の中から選択された溶剤中に電子写真感光体を所定時間浸漬させる。浸漬と同時に超音波洗浄器により電子写真感光体を微振動させると削れ粉除去が効率的に行われる。
なお、電子写真感光体表面の溝幅、平坦部の幅及び溝密度は、本発明においては、例えば非接触3次元表面測定機(商品名:マイクロマップ557N、(株)菱化システム製)を用いて以下のように測定を行う。
マイクロマップの光学顕微鏡部に5倍の二光束干渉対物レンズを装着し電子写真感光体をレンズ下に固定し、表面形状画像をWaveモードでCCDカメラを用いて干渉像を垂直走査させて3次元画像を得る。得られる画像の範囲は1.6mm×1.2mmである。得られた画像を解析し、データとして単位長さ1000μm当たりの溝数、溝幅が得られる。このデータを基に溝幅、溝数の解析が可能となる。また、溝幅、溝数に関しては、マイクロマップ以外にも市販のレーザー顕微鏡(超深度形状測定顕微鏡VK−8550、VK−9000((株)キーエンス製)、走査型共焦点レーザー顕微鏡OLS3000(オリンパス(株)製)、リアルカラーコンフォーカル顕微鏡オプリテクスC130(レーザーテック(株)製))、デジタルマイクロスコープVHX−100、VH−8000((株)キーエンス製))等により、電子写真感光体表面画像を得、それを基に画像処理ソフト(例えばWinROOF(三谷商事(株)製)WinROOFは登録商標。)を用い溝幅、溝数を求めることが可能である。また、3次元非接触形状測定装置(NewView5032(ザイゴ(株)製))等を用いればマイクロマップと同様に測定することが可能である。
次に(2)ディンプル状の凹凸形状を有する場合について説明する。
本発明の別の形態として、感光体の表面にディンプル状の微細な凹凸形状を持つようにした感光体が挙げられる。特に、粗面化する前の基準面よりも凹み多くを持つように加工された表面であることが好ましい。凹部はできるだけ孤立して存在し、感光体表面の凹凸形状は適度な粗さ、適度な凹凸間隔、適度な凸部と凹部の比率を持ち、特に凹部分がスジ状に連なることがなく、凹部分の存在の仕方に方向性がない様に形成されていることが好ましい。
本発明において、最表面層に上記のディンプル形状を形成できればいかなる製膜法、または粗面化法を用いてよい。
ただし、本発明で求めているような表面形状を得るには何等かの機械的粗面化法を用いることが有効である。数ある機械的粗面化法の中でも、ディンプル形状を形成する方法として、乾式のブラスト法と湿式のホーニング法が好ましい。更に、乾式のブラスト法を用いることが湿度条件に敏感な電子写真感光体を水等の溶媒に接触させることなく粗面化できるためより好ましい。
ブラスト加工の方法としては、圧縮空気を用いて噴射する方法、モータを動力として噴射する方法等があるが、感光体の粗面化を精密に制御が可能で、かつ設備の簡易性という点において、圧縮空気を用いる方法が好ましい。
ブラストに用いる研磨材の材質としては、酸化アルミニウム、ジルコニア、炭化ケイ素、ガラス等のセラミック系、ステンレス、鉄、亜鉛等の金属系、ポリアミド、ポリカーボネート、エポキシ、ポリエステル等の樹脂系が挙げられる。特に粗面化効率およびコスト面から、ガラス、酸化アルミニウム、ジルコニアが好ましい。
本発明において用いるブラスト加工装置の例を図22に示す。容器(不図示)に貯留されている研磨材は2−4の経路よりノズルに導かれ、2−3の経路より導入された圧縮エアを用いて噴射ノズル2−1より噴射され、ワーク支持体2−6により支持され自転している感光体2−7に衝突する。2−5はブラスト砥粒である。
このときノズルとワークの距離は2−2や2−9のノズル固定冶具、アームにより調整されて決められる。ノズルは通常ワークの回転軸方向に対して移動しながら粗面化処理を行い、ノズル支持体2−8がワークの回転軸方向に移動することによりワークに対してムラ無く粗面化処理を施すことができる。
この時、ノズルと感光体表面の最短距離は適当な間隔に調整する必要がある。距離が過剰に近い、若しくは遠いと加工効率が落ちる、若しくは所望の粗面化が行えない場合がある。噴射の動力に用いる圧縮空気の圧力も適度な圧力に調整する必要がある。このように、有機感光体を製膜完成後に粗面化することで生産性の良い製造法が確立できる。
本発明の表面形状、または粗面化は感光体下地の導電性基体の面形状とは無関係である。特に、有機感光層の製膜法が浸漬塗布法の場合、しばしば製膜された面は非常に平滑で、仮に下地を粗面化したとしてもその面形状を反映することはない。
本発明のディンプル状表面形状を機械的粗面化を施して形成する場合、有機感光体を最終的に使用する層まで製膜した後、感光体の最表面層上から粗面化することが好ましい。
本発明のディンプルの形状を詳細に検討した結果について説明する。ディンプル形状の測定には、表面形状測定システム(Surface Explorer SX−520DR型機、(株)菱化システム製)を使用して評価した。
測定は、先ずドラムサンプルをワーク置き台に設置し、チルト調整して水平をあわせ、ウエーブモードで感光体表面の3次元形状データを取り込んだ。その際、対物レンズは50倍の倍率を用いて100μm×100μmの視野観察で行った。次に、データ解析ソフト中の、粒子解析プログラムを用いて表面の等高線データを表示した。
ディンプルの形状、面積等を求める際の孔解析パラメータは、最長径上限:50μm、最長径下限:1μm、深さ下限:0.1μm、体積下限:1μm3以上で観察して画面上ディンプルと見える部分の個数をカウントした。観察は100μm×100μmの視野で行い、ディンプル個数は解析画面の視野中で見えるディンプルの数をカウントして個数とした。
本発明の感光体の適したディンプルの個数は、10000μm2あたり5個〜50個が好ましい。これらディンプルの個数が上限を上回ったり、下限を下回る場合には粗面化した効果が得られ難くなる傾向にある。
本発明においては、これらの個数の数値の規定に適合した表面形状が好ましく、円形に近い形状を有する孤立したディンプル状の凹凸を示している。このような形状を有することにより適度な粗面形状を有し、且つ方向性の無い粗面化表面であるため、前後で述べるような理由により、本発明の改善効果を効率よく得ることができる。
さらに前述(1)の感光体周方向に連続したスジ状の凹凸を形成する粗面化手段においては、研磨テープを使用するために、感光体表面層や研磨テープ自身からの削れ粉が、感光体表面に残留しやすく、現像剤の感光体表面への融着を助長しやすい傾向にあったが、(2)のようなディンプル形状の凹凸をブラスト加工により形成する場合には、感光体表面層の削れ粉が発生しないため、現像剤の感光体表面への融着は非常に発生しにくい点で有利である。
表面形状の測定法において、本発明において電子写真感光体の表面の表面粗さは、十点平均面粗さ(Rzjis)、最大高さ粗さ(Rz)はJIS−B0601−2001に記載の方法に準じて測定したものをいう。
測定は、接触式面粗さ測定機(商品名:サーフコーダSE3500型、(株)小坂研究所製)を用いて行った。
次に、本発明の電子写真装置について説明する。
図18に、プロセスカートリッジを備えた電子写真装置の概略構成の一例を示す。
図18において、4は円筒状の電子写真感光体であり、軸20を中心に矢印方向に所定の周速度で回転駆動される。
回転駆動される電子写真感光体4の表面は、帯電手段(一次帯電手段:帯電ローラーなど)21により、正または負の所定電位に均一に帯電され、次いで、スリット露光やレーザービーム走査露光などの露光手段(不図示)から出力される露光光(画像露光光)22を受ける。こうして電子写真感光体4の表面に、目的の画像に対応した静電潜像が順次形成されていく。
電子写真感光体4の表面に形成された静電潜像は、現像手段23の現像剤に含まれるトナーにより現像されてトナー像となる。次いで、電子写真感光体4の表面に形成担持されているトナー像が、転写手段(転写ローラーなど)24からの転写バイアスによって、転写材供給手段(不図示)から電子写真感光体4と転写手段24との間(当接部)に電子写真感光体4の回転と同期して取り出されて給送された転写材(紙など)Pに順次転写されていく。
トナー像の転写を受けた転写材Pは、電子写真感光体4の表面から分離されて定着手段27へ導入されて像定着を受けることにより画像形成物(プリント、コピー)として装置外へプリントアウトされる。
トナー像転写後の電子写真感光体4の表面は、クリーニング手段(クリーニングブレード)28によって転写残りの現像剤(トナー)の除去を受けて清浄面化され、さらに前露光手段(不図示)からの前露光光(不図示)により除電処理された後、繰り返し画像形成に使用される。なお、図18に示すように、帯電手段21が帯電ローラーなどを用いた接触帯電手段である場合は、前露光は必ずしも必要ではない。
上述の電子写真感光体4、帯電手段21、現像手段23、転写手段24およびクリーニング手段28などの構成要素のうち、複数のものを容器に納めてプロセスカートリッジとして一体に結合して構成し、このプロセスカートリッジを複写機やレーザービームプリンターなどの電子写真装置本体に対して着脱自在に構成してもよい。図18では、電子写真感光体4と、帯電手段21、現像手段23およびクリーニング手段28とを一体に支持してカートリッジ化して、電子写真装置本体のレールなどの案内手段29を用いて電子写真装置本体に着脱自在なプロセスカートリッジ30としている。
図19に、中間転写方式のカラー電子写真装置の概略構成の一例を示す。中間転写方式の場合、転写手段は主に一次転写部材、中間転写体、二次転写部材から構成される。
図19において、4Y、4M、4C、4Kは円筒状の電子写真感光体であり、軸20Y、20M、20C、20Kを中心に矢印方向に所定の周速度で回転駆動される。
回転駆動される電子写真感光体4Y、4M、4C、4Kの表面は、帯電手段(一次帯電手段:帯電ローラーなど)21Y、21M、21C、21Kにより、正または負の所定電位に均一に帯電され、次いで、スリット露光やレーザービーム走査露光などの露光手段(不図示)から出力される露光光(画像露光光)22Y、22M、22C、22Kを受ける。この際の露光光は、目的のカラー画像の第1色成分像(例えばイエロー成分像)に対応した露光光である。こうして電子写真感光体4Y、4M、4C、4Kの表面に、目的のカラー画像の第1色成分像に対応した第1色成分静電潜像(例えばイエロー成分静電潜像)が順次形成されていく。
電子写真感光体4Yの表面に形成された第1色成分静電潜像は、第1色用現像手段(イエロー用現像手段)23Yの現像剤に含まれる第1色トナー(イエロートナー)により現像されて第1色トナー像(イエロートナー像)となる。次いで、電子写真感光体4Yの表面に形成担持されている第1色トナー像が、一次転写手段24Yにより中間転写体25の表面に順次一次転写されていく。
第1色トナー像転写後の電子写真感光体4Yの表面は、クリーニング手段28Yによって一次転写残りの現像剤(トナー)の除去を受けて清浄面化された後、次色の画像形成に使用される。
第2色トナー像(マゼンタトナー像)、第3色トナー像(シアントナー像)、第4色トナー像(ブラックトナー像)も、第1色トナー像と同様にして電子写真感光体4M、4C、4Kの表面に形成され、中間転写体25の表面に順次転写される。こうして中間転写体25の表面に目的のカラー画像に対応した合成トナー像が形成される。
中間転写体25の表面に形成された合成トナー像は、二次転写手段26により転写材(紙など)Pに順次二次転写されていく。
合成トナー像の転写を受けた転写材Pは、中間転写体25の表面から分離されて定着手段27へ導入されて像定着を受けることによりカラー画像形成物(プリント、コピー)として装置外へプリントアウトされる。
また、クリーニング手段28Y、28M、28C、28Kによる転写残りの現像剤(トナー)除去後の電子写真感光体4Y、4M、4C、4Kの表面を、前露光手段(不図示)からの前露光光(不図示)により除電処理してもよいが、図19に示すように、帯電手段21Y、21M、21C、21Kが帯電ローラーなどを用いた接触帯電手段である場合は、前露光は必ずしも必要ではない。
また、図19に示される構成のカラー電子写真装置においても、図18に示される構成の電子写真装置と同様、電子写真感光体、帯電手段、現像手段、転写手段およびクリーニング手段などの構成要素のうち、複数のものを容器に納めてプロセスカートリッジとして一体に結合して構成し、このプロセスカートリッジを複写機やレーザービームプリンターなどの電子写真装置本体に対して着脱自在に構成してもよい。
以下、本発明で用いられる各種物性の測定方法について説明する。
<トナー抽出液のワックス濃度の定量>
(1)サンプルの調製
以下の操作は、23℃に温度制御された室内で行う。
30cm3のサンプルビン(例えば、商品名「SV−30」、日電理化硝子(株)製)にトナー300mgを精秤し、これにマグネティックスターラー用の長さ2cmの攪拌子を入れる。次いで、マグネティックスターラーを用いて攪拌子を回転させながら、液温を23℃に調整した溶剤(n−ヘキサン又はトルエン)20cm3を速やかに容器に入れて密閉し、トナーが溶剤に充分に分散するように攪拌子の回転数を調整し、抽出時間の計測を行う。所定時間が経過したら直ちに抽出液をシリンジで吸引し、ポア径が0.45μmの耐溶剤性メンブランフィルター(例えば、商品名「マエショリディスク」、東ソー(株)製)で濾過して、トナー抽出液としてのサンプル溶液とする。
(2)ガスクロマトグラフ測定装置及び測定条件
得られたサンプル溶液について、以下の条件でガスクロマトグラフ分析を行う。抽出液のワックス濃度の算出には、予めワックスをn−ヘキサン又はトルエンに完全に溶解した標品数点を用意し、これをガスクロマトグラフ分析することでワックス濃度とガスクロマトグラフチャートにおけるワックスピークの面積値から検量線を作成し、この検量線に基づいて、サンプル溶液中のワックス濃度を算出する。
ガスクロマトグラフ:HEWLETT PACKARD 6890GC(HEWLETT PACKARDは登録商標。)
検出器:FID(水素炎イオン化検出器)
カラム:DB−1ht
(J&W(株)製 キャピラリーカラム、長さ30m、内径0.25mm、膜厚0.10μm)
注入口温度:400℃
検出器温度:430℃
キャリアーガス:He
オーブン温度:150℃スタート、10℃/分で400℃まで昇温、15分ホールド
注入量:5.0×10-3cm3
スプリットレス、コンスタントフロー1.0cm3/min
<トナーの重量平均粒径及び粒度分布の測定>
トナーの重量平均粒径及び粒度分布はコールターカウンターTA−II型又はコールターマルチサイザー(ベックマンコールター(株)製)等種々の方法で測定可能である。本発明においては、コールターマルチサイザーを用い、個数分布、体積分布を出力するインターフェイス(日科機バイオス(株)製)及びパーソナルコンピュータを接続し、電解液は1級塩化ナトリウムを用いて1%NaCl水溶液を調整する。たとえば、ISOTONR−II(コールターサイエンティフィックジャパン(株)製)が使用できる。
測定法としては、前記電解水溶液100〜150cm3中に分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルフォン酸塩0.1〜0.3cm3を加え、さらに測定試料を2〜20mg加える。試料を懸濁した電解液は超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行い、前記コールターマルチサイザーにより100μmアパーチャーを用いて、2μm以上のトナー粒子の体積、個数を測定して体積分布と個数分布とを算出する。
それから、本発明に係わるところの体積分布から求めた重量平均粒径(D4:各チャンネルの中央値をチャンネルの代表値とする)を求めることができる。
以下、本発明を実施例にしたがってより詳細に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例中の「部」は「質量部」を意味する。
<トナー結着樹脂の製造>
(ハイブリッド樹脂Aの製造例)
温度計、攪拌機、コンデンサー及び窒素導入管を備えたオートクレーブに、トルエン100.00部、オクタン100.00部、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン48.10部(35.0モル%)、ポリオキシエチレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン19.20部(15.0モル%)、テレフタル酸20.40部(31.3モル%)、無水トリメリット酸9.40部(12.4モル%)、フマル酸2.90部(6.3モル%)、DSCにおける最大吸熱ピークのピーク温度が75℃の精製ノルマルパラフィンワックス4.00部及び酸化ジブチル錫0.30部を入れ、オートクレーブ内を窒素ガスで置換した後、密閉した。その後、撹拌しながら徐々に昇温し、180℃で保持した。
一方、スチレン17.80部、アクリル酸2−エチルヘキシル4.80部、フマル酸2.00部、ジ−t−ブチルパーオキサイド0.50部を常温でよく混合し、この混合物を先のオートクレーブに3時間かけて注入してビニル系モノマーのラジカル重合を行い、ビニル系共重合体の生成と共に、前記パラフィンワックスへのビニル系モノマーのグラフト化反応を行った。その後、反応液を200℃まで昇温して3時間保持した後、一旦反応液を100℃まで冷却、保持し、減圧下で、反応で生成した縮合水と共にトルエン、オクタンの大部分を留去した。その後、さらに反応液を200℃まで昇温し、3時間保持することで、縮合反応を完結すると共に脱水、脱溶剤を行い、ハイブリッド樹脂Aを得た。
(ハイブリッド樹脂Bの製造例)
温度計、撹拌機、コンデンサー及び窒素導入管を備えた反応容器に、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン48.10部(35.0モル%)、ポリオキシエチレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン19.20部(15.0モル%)、テレフタル酸20.40部(31.3モル%)、無水トリメリット酸9.40部(12.4モル%)、フマル酸2.90部(6.3モル%)及び酸化ジブチル錫0.30部を入れ、反応容器内を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら徐々に昇温し、130℃の温度で撹拌した。
一方、スチレン4.18部、アクリル酸2−エチルヘキシル1.15部、フマル酸0.52部、α−メチルスチレンの2量体0.12部、ジクミルパーオキサイド0.20部を常温でよく混合し、これを先の反応容器に5時間かけて滴下した。その後、反応液を200℃まで昇温し、6時間反応させてハイブリッド樹脂Bを得た。
(ポリエステル樹脂Cの製造例)
温度計、撹拌機、コンデンサー及び窒素導入管を備えた反応容器に、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン48.10部(35.0モル%)、ポリオキシエチレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン19.20部(15.0モル%)、テレフタル酸20.40部(31.3モル%)、無水トリメリット酸9.40部(12.4モル%)、フマル酸2.90部(6.3モル%)及び酸化ジブチル錫0.30部を入れ、反応容器内を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら徐々に昇温し、215℃で4時間縮合反応させ、ポリエステル樹脂Cを得た。
(ビニル系共重合体Dの製造例)
温度計、撹拌機、コンデンサー及び窒素導入管を備えた反応容器にキシレン200.00部を仕込み、撹拌しながら容器内を十分に窒素で置換して120℃に昇温させた。そこに、下記の各成分を常温でよく混合したものを5時間かけて滴下して、ラジカル重合を行った。さらに昇温を行い、キシレン還流下でラジカル重合を完了し、減圧下で溶媒を蒸留除去して、ビニル系共重合体Dを得た。
・スチレン 77.00部
・アクリル酸2−エチルヘキシル 18.00部
・マレイン酸モノブチル 5.00部
・ジ−t−ブチルパーオキサイド 1.00部
<トナーの製造>
(トナーの製造例1)
・前記ハイブリッド樹脂A 104.00部
・C.I.Pigment Blue 15:3 4.00部
・3,5−ジ−t−ブチルサリチル酸アルミニウム化合物 2.00部
上記の材料を十分にヘンシェルミキサーにより予備混合した。その後、二軸押出し混練機で溶融混練し、冷却後ハンマーミルを用いて約1〜2mm程度に粗粉砕し、次いでエアージェット方式による微粉砕機で20μm以下の粒径に微粉砕した。
その後、機械式衝撃力を用いる表面改質処理(球形化処理)と分級を同時に行う装置にて微粉砕物を処理して、トナー粒子1を得た。
さらに、このトナー粒子1 100.00部と、i−C4H9Si(OCH3)3 30.00部で処理した疎水性酸化チタン微粉末(BET法による比表面積150m2/g)1.50部とをヘンシェルミキサーにより混合して、シアントナー1とした。トナー1の物性を表1に示す。
(トナーの製造例2)
ハイブリッド樹脂A 104.00部を、ハイブリッド樹脂A 78.00部とハイブリッド樹脂B 25.00部に代え、ハイブリッド樹脂Aの製造例で使用したDSCにおける最大吸熱ピークのピーク温度が75℃の精製ノルマルパラフィンワックスを1.00部さらに加えた以外はトナーの製造例1と同様にして、シアントナー2を得た。トナー2の物性を表1に示す。
(トナーの製造例3)
ハイブリッド樹脂A 104.00部を、ハイブリッド樹脂A 78.00部とポリエステル樹脂C 25.00部に代え、ハイブリッド樹脂Aの製造例で使用したDSCにおける最大吸熱ピークのピーク温度が75℃の精製ノルマルパラフィンワックスを1.00部さらに加えた以外はトナーの製造例1と同様にして、シアントナー3を得た。トナー3の物性を表1に示す。
(トナーの製造例4)
ハイブリッド樹脂A 104.00部を、ハイブリッド樹脂A 78.00部とビニル系共重合体D 25.00部に代え、ハイブリッド樹脂Aの製造例で使用したDSCにおける最大吸熱ピークのピーク温度が75℃の精製ノルマルパラフィンワックスを1.00部さらに加えた以外はトナーの製造例1と同様にして、シアントナー4を得た。トナー4の物性を表1に示す。
(トナーの製造例5)
DSCにおける最大吸熱ピークのピーク温度が75℃の精製ノルマルパラフィンワックスの添加量をさらに8.00部添加した以外はトナーの製造例1と同様にして、シアントナー5を得た。トナー5の物性を表1に示す。
(トナーの製造例6)
・前記ハイブリッド樹脂B 100.00部
・ハイブリッド樹脂Aの製造例で使用したDSCにおける最大吸熱ピークのピーク温度が75℃の精製ノルマルパラフィンワックス 4.00部
・C.I.Pigment Blue 15:3 4.00部
・3,5−ジ−t−ブチルサリチル酸アルミニウム化合物 2.00部
上記の材料を十分にヘンシェルミキサーにより予備混合した。その後、二軸押出し混練機で溶融混練し、冷却後ハンマーミルを用いて約1〜2mm程度に粗粉砕し、次いでエアージェット方式による微粉砕機で20μm以下の粒径に微粉砕した。その後、風力分級装置(エルボージェット分級機)を用いて分級を行い、トナー粒子6を得た。
さらに、このトナー粒子6 100.00部と、i−C49Si(OCH33 30.00部で処理した疎水性酸化チタン微粉末(BET法による比表面積150m2/g)1.50部とをヘンシェルミキサーにより混合して、シアントナー6を得た。トナー6の物性を表1に示す。
(トナーの製造例7)
ハイブリッド樹脂Aの製造例で使用したDSCにおける最大吸熱ピークのピーク温度が75℃の精製ノルマルパラフィンワックスを15.00部さらに加え、装置による微粉砕物の処理を行わず、風力分級装置(エルボージェット分級機)を用いて分級を行った以外はトナーの製造例1と同様にして、シアントナー7を得た。トナー7の物性を表1に示す。
Figure 2007192906
<二成分現像剤の調製>
トナーの製造例1〜7で製造した各トナーについて、磁性フェライトキャリアをシリコーン樹脂で表面被覆した樹脂コートキャリア(平均粒径50μm:Mn−Mgフェライト)と、トナー濃度が6質量%になるように均一に混合し、二成分系現像剤1〜7を作製した。
<電子写真感光体の作製>
(電子写真感光体の製造例1)
直径30mm、長さ357.5mmのアルミニウムシリンダーを支持体とした。
次に、SnO2コート処理硫酸バリウム(導電性顔料)10部、酸化チタン(抵抗調整用顔料)2部、フェノール樹脂6部、シリコーンオイル(レベリング剤)0.001部、および、メタノール4部/メトキシプロパノール16部の混合溶媒を、直径1mmのガラスビーズを用いたサンドミル装置で2時間分散して、導電層用塗布液を調整した。
この導電層用塗布液を、支持体上に浸漬塗布し、140℃で30分間熱硬化して、膜厚が15μmの導電層を形成した。
次に、N−メトキシメチル化ナイロン3部および共重合ナイロン3部を、メタノール65部/n−ブタノール30部の混合溶媒に溶解して、中間層用塗布液を調整した。
この中間層用塗布液を、導電層上に浸漬塗布し、80℃で10分間乾燥して、膜厚が0.5μmの中間層を形成した。
次にCuKαのX線回折スペクトルにおける回折角2θ±0.2°の7.4°、28.2°に強いピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニン4部と、ポリビニルブチラール(エスレックBX−1、積水化学(株)製。エスレックは登録商標。 )2部と、シクロヘキサノン60部とを、直径1mmのガラスビーズを用いたサンドミル装置で4時間分散した後、エチルアセテート100部を加えて、電荷発生層用分散液を調製した。
この電荷発生層用塗布液を、中間層上に浸漬コーティングし、80℃で10分間乾燥して、膜厚が0.3μmの電荷発生層を形成した。
次に、下記構造式(1)の電荷輸送物質7部及びポリカーボネート樹脂10部を、モノクロロベンゼン60部とジメトキシメタン20部の混合溶媒中に溶解し、電荷輸送層用塗布液を調製した。
Figure 2007192906
この電荷輸送層用塗布液を電荷発生層上に浸漬塗布法で塗布し、120℃で1時間乾燥して、膜厚が21μmの電荷輸送層を形成した。
次に、下記構造式(2)の電荷輸送物質45部、及びポリテトラフルオロエチレン粒子5部をn−プロピルアルコール80部に混合した後分散処理を行い、表面層用塗布液を調整した。
Figure 2007192906
この表面層用塗布液を電荷輸送層上に塗布し、大気中50℃で10分間乾燥した。
その後窒素中において加速電圧150kV、線量15KGyの条件で前記アルミニウムシリンダを回転させながら2秒間電子線照射を行い、引き続いて窒素中において25℃から120℃までおよそ100秒かけて昇温させ硬化反応を行った。なお電子線照射及び加熱硬化反応中の酸素濃度は10ppmであった。その後大気中において、100℃で30分の後加熱処理を行って、膜厚5μmの表面層を形成し、電子写真感光体を得た。
得られた電子写真感光体は、23℃/50%RHの環境下に24時間放置した後、ユニバーサル硬さ値(HU)及び弾性変形率(We)の硬度測定を行った。
ユニバーサル硬さ値(HU)及び弾性変形率(We)は、圧子に連続的に荷重をかけ、荷重下での押し込み深さを直読することにより連続的硬さが求められる微小硬さ測定装置フィシャースコープH100V(Fischer社製)を用いて測定することができる。圧子としては対面角136°のビッカース四角錐ダイヤモンド圧子を使用することができる。具体的には、最終荷重6mNまで段階的に(各点0.1secの保持時間で273点)測定する。
フィシャースコープH100V(Fischer社製)の出力チャートの概略を図20に示す。また、フィシャースコープH100V(Fischer社製)によって本発明の電子写真感光体を測定した結果の1例を図21に示す。これらの図中、縦軸は荷重F(mN)を、横軸は押し込み深さh(μm)を示す。これらの図は、段階的に荷重を増加させ6mNまで荷重をかけ、その後同様に段階的に荷重を減少させた時の結果を示している。
本発明において、ユニバーサル硬さ値(以下、HUともいう)は、最終荷重6mNで押し込んだ時の同荷重下での押し込み深さから下記式により求めることができる。
Figure 2007192906
弾性変形率は、圧子が膜に対して行った仕事量(エネルギー)、すなわち圧子の膜に対する荷重の増減によるエネルギーの変化より求めることができ、具体的には下記式により求めることができる;
弾性変形率=We/Wt
上記式中、全仕事量Wt(nJ)は図20中のA−B−D−Aで囲まれる面積を示し、弾性変形仕事量We(nJ)はC−B−D−Cで囲まれる面積を示している。
次に、作成した電子写真感光体を、図1に示した装置において、研磨シート(商品名:C−2000(富士写真フィルム(株)製)、研磨砥粒:Si−C(平均粒径:9μm)、基材:ポリエステルフィルム(厚さ:75μm)を用い、研磨シート送りスピード:150mm/min、電子写真感光体回転数:50rpm、押し当て圧:3.0N/m、シート及び電子写真感光体の回転方向は反対方向(以後、「カウンター」と称す)、バックアップローラは外径:直径4cm、アスカーC硬度:40のものを用い、150sec間、粗面化を行った。なお電子写真感光体は複数本準備し、表面形状測定測定用と実機耐久検討用を別とした。
電子写真感光体の表面の溝及び表面粗さを測定したところ、溝本数密度は350、溝幅は9.5μm以下、Rzjisは0.60μm、Rzは0.69μmであった。
なお、溝の測定においては、非接触3次元表面測定機(商品名:マイクロマップ557N、(株)菱化システム製)を用いて次のように行った。具体的には、マイクロマップの光学顕微鏡部に5倍の二光束干渉対物レンズを装着し、電子写真感光体をレンズ下に固定し、表面形状画像をWaveモードでCCDカメラを用いて干渉像を垂直走査させて3次元画像を得る。得られる画像の範囲は1.6mm×1.2mmである。得られた画像において、電子写真感光体のスラスト方向の単位長さ1000μm当たりの溝幅及び溝本数を解析した。なお溝幅は0.5μm以上のものをカウントし、データは電子写真感光体のスラスト方向3点、各スラスト方向で円周方向4点の計12点で解析を行った。
表面粗さは、接触式面粗さ測定機(商品名:サーフコーダSE3500、(株)小坂研究所製)を用いた。検出器:R2μm、0.7mNのダイヤモンド針、フィルタ:2CR、カットオフ値:0.8mm、測定長さ:2.5mm、送り速さ:0.1mmとし、JIS規格2001で最大高さ粗さRz及び十点平均面粗さRzjisのデータを求めた。電子写真感光体のスラスト方向3点、各スラスト方向で円周方向4点の計12点で測定を行いその平均値を求めた。
(電子写真感光体の製造例2)
電子写真感光体の製造例1において、ポリテトラフルオロエチレン粒子を19部とし、n−プロピルアルコールを80部とした以外は電子写真感光体の製造例1と同様に感光体を作製した。
(電子写真感光体の製造例3)
電子写真感光体の製造例1において、ポリテトラフルオロエチレン粒子を30部とし、n−プロピルアルコールを70部とした以外は電子写真感光体の製造例1と同様に感光体を作製した。
(電子写真感光体の製造例4)
電子写真感光体の製造例1において、ポリテトラフルオロエチレン粒子を0部とし、n−プロピルアルコールを75部とした以外は電子写真感光体の製造例1と同様に感光体を作製した。
(電子写真感光体の製造例5)
電子写真感光体の製造例1において、表面層用塗布液を次のように変更した。下記一般式(3)で示される電荷輸送物質10部、及びトリアルコキシシランとテトラアルコキシシランの加水分解縮合物を主成分とする熱硬化型シリコーン樹脂の結着樹脂の不揮発分が13部になるように添加し、2−プロパノールを添加して塗布液全体の固形分が30質量%になるように調製した。
Figure 2007192906
この塗布液を用いて、前記電荷輸送層上に表面層を塗布したのち、130℃で60分間熱処理させることにより硬化させて、膜厚が5μmの表面層を形成した以外は電子写真感光体の製造例1と同様に感光体を作製した。
(電子写真感光体の製造例6)
電子写真感光体の製造例1において、一般式(2)で示される電荷輸送物質45部を30部とし、下記一般式(4)で示されるアクリルモノマーを15部とした以外は、電子写真感光体の製造例1と同様に電子写真感光体を作製した。
Figure 2007192906
(電子写真感光体の製造例7)
電子写真感光体の製造例4において、一般式(2)で示される電荷輸送物質45部を40部とし、一般式(4)で示されるアクリルモノマーを5部とし、線量15KGyを7.5KGyにした以外は、電子写真感光体の製造例4と同様にして電子写真感光体を作製した。
(電子写真感光体の製造例8)
電子写真感光体の製造例1において、粗面化時間を120secとした以外は、電子写真感光体の製造例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
(電子写真感光体の製造例9)
電子写真感光体の製造例1において、研磨シート(商品名:C−1500(富士写真フィルム(株)製)を用いた以外は、電子写真感光体の製造例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
(電子写真感光体の製造例10)
電子写真感光体の製造例1において、研磨シート(商品名:C−1500(富士写真フィルム(株)製)を用い、粗面化時間を120secとした以外は、電子写真感光体の製造例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
(電子写真感光体の製造例11)
電子写真感光体の製造例1において、研磨シート(商品名:C−1500(富士写真フィルム(株)製)を用い、粗面化時間を100secとした以外は、電子写真感光体の製造例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
(電子写真感光体の製造例12)
電子写真感光体の製造例1において、研磨シート(商品名:AX−2000(富士写真フィルム(株)製)を用いた以外は、電子写真感光体の製造例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
(電子写真感光体の製造例13)
電子写真感光体の製造例1において、研磨シート(商品名:AX−1500(富士写真フィルム(株)製)を用いた以外は、電子写真感光体の製造例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
(電子写真感光体の製造例14)
電子写真感光体の製造例12において、粗面化時間を120secとした以外は、電子写真感光体の製造例12と同様にして電子写真感光体を作製した。
(電子写真感光体の製造例15)
電子写真感光体の製造例13において、粗面化時間を120secとした以外は、電子写真感光体の製造例13と同様にして電子写真感光体を作製した。
(電子写真感光体の製造例16)
電子写真感光体の製造例1において、粗面化と同時に図12に示すようなブレードに加えて、図10に示すブラシを感光体に接触させることによって削れ粉を除去した。ブラシは芯金が直径12mm、穂長が5mm、毛の材質:アクリル、抵抗値:103Ω・cm、太さ:6デニール(0.66mg/m)、本数:150F/mmで、電子写真感光体への侵入量:1mmとし、カウンター方向に60rpmで回転させた。ブラシには削れ粉を除去するためのスクレーバーを当接してある。スクレーバーは材質:アルミニウム、厚さ:3mm、ブラシに対する侵入量:1.5mm、アースに設置した。ブレードは材質:ウレタン、硬度:80°、設定圧:3g/mmとした。粗面化終了後、さらに研磨シートのみを離間させ、清掃工程を5分間行い電子写真感光体を作製した。
(電子写真感光体の製造例17)
電子写真感光体の製造例16において5分間の清掃工程後、さらに図13に示すような洗浄装置を用いて、第2の清掃工程を行った。スクラブシート(マスターテック)を用い、シート送りスピード:10mm/min、電子写真感光体回転数:60rpm、押し当て圧:15N/m、シートおよび感光体の回転方向は逆方向、バックアップローラーは外径:直径4cm、アスカーC硬度:40のものを用い、300sec間、第2の清掃工程を行い、電子写真感光体を作製した。
(電子写真感光体の製造例18)
電子写真感光体の製造例1と同様に電子写真感光体の表面層まで形成した後、図24に示す乾式ブラスト装置(不二精機製造所製)を用いて、下記条件にてブラスト処理を行い、電子写真感光体を作製した。
研磨材砥粒:球状ガラスビーズ、平均粒径が30μm(商品名:UB−01L (株)ユニオン製)を使用した。エア吹き付け圧力:2.5kgf/cm2、ブラストガン移動速度:430mm/s、ワーク(感光体)回転速度:288rpm、ブラストガン吐出口と感光体の距離:100mm、砥粒吐出角度:90°、砥粒供給量:200g/min、ブラスト回数:片道×2回。
更に、感光体表面に残存付着した研磨材を圧縮エアを吹き付けることによって除去した。
電子写真感光体の表面層の表面粗さの測定は、接触式面粗さ測定器(商品名:サーフコーダSE3500型、(株)小坂研究所製)を使用して行った。
また、この電子写真感光体の表面層の10000μm2あたりのディンプルの個数を表面形状測定システム(Surface Explorer SX−520DR型機、(株)菱化システム製)を使用して測定および計算を行った。
得られた表面性数値パラメーターは表2に示した。
(電子写真感光体の製造例19〜24)
電子写真感光体の製造例2〜7と同様に電子写真感光体の表面層まで形成した後、電子写真感光体の製造例18と同様のブラスト処理を行い、電子写真感光体を作製した。
(電子写真感光体の製造例25)
電子写真感光体の製造例18において、エア吹き付け圧力:2.0kgf/cmとした以外は電子写真感光体の製造例18と同様に電子写真感光体を作製した。
(電子写真感光体の製造例26)
電子写真感光体の製造例18において、エア吹き付け圧力:1.5kgf/cmとした以外は電子写真感光体の製造例18と同様に電子写真感光体を作製した。
(電子写真感光体の製造例27)
電子写真感光体の製造例18において、ブラスト回数を1回とした以外は電子写真感光体の製造例18と同様に電子写真感光体を作製した。
(電子写真感光体の製造例28)
電子写真感光体の製造例18において、ワーク(感光体)回転速度:200rpmとした以外は電子写真感光体の製造例18と同様に電子写真感光体を作製した。
(電子写真感光体の製造例29)
電子写真感光体の製造例18において、ワーク(感光体)回転速度:150rpmとした以外は電子写真感光体の製造例18と同様に電子写真感光体を作製した。
(電子写真感光体の製造例30)
電子写真感光体の製造例1において、表面層を形成せず、表面層の粗面化処理を行わず、電荷輸送層の膜厚を26μmとした以外は電子写真感光体の製造例1と同様に電子写真感光体を作製した。
(電子写真感光体の製造例31)
電子写真感光体の製造例1において、表面層の粗面化処理を行わない以外は電子写真感光体の製造例1と同様に電子写真感光体を作製した。
(電子写真感光体の製造例32)
電子写真感光体の製造例1において、粗面化時間を20minとした以外は電子写真感光体の製造例1と同様に電子写真感光体を作製した。
(電子写真感光体の製造例33)
電子写真感光体の製造例1において、押し当て圧:20N/mとした以外は電子写真感光体の製造例1と同様に電子写真感光体を作製した。
(電子写真感光体の製造例34)
電子写真感光体の製造例1において、粗面化時間を10secとした以外は電子写真感光体の製造例1と同様に電子写真感光体を作製した。
(電子写真感光体の製造例35)
電子写真感光体の製造例1において、押し当て圧:0.5N/mとした以外は電子写真感光体の製造例1と同様に電子写真感光体を作製した。
(電子写真感光体の製造例36)
電子写真感光体の製造例1において、研磨シート(商品名:C−1000(富士写真フィルム(株)製)を用いた以外は、電子写真感光体の製造例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
(電子写真感光体の製造例37)
電子写真感光体の製造例32において、研磨シート(商品名:C−1000(富士写真フィルム(株)製)を用いた以外は、電子写真感光体の製造例32と同様にして電子写真感光体を作製した。
(電子写真感光体の製造例38)
電子写真感光体の製造例33において、研磨シート(商品名:C−1000(富士写真フィルム(株)製)を用いた以外は、電子写真感光体の製造例33と同様にして電子写真感光体を作製した。
(電子写真感光体の製造例39)
電子写真感光体の製造例18において、エア吹き付け圧力:0.5kgf/cmとした以外は電子写真感光体の製造例18と同様に電子写真感光体を作製した。
(電子写真感光体の製造例40)
電子写真感光体の製造例18において、エア吹き付け圧力:5.0kgf/cmとした以外は電子写真感光体の製造例18と同様に電子写真感光体を作製した。
(電子写真感光体の製造例41)
電子写真感光体の製造例18において、ブラスト回数:片道×10回とした以外は電子写真感光体の製造例18と同様に電子写真感光体を作製した。
電子写真感光体1〜41の物性を表2に示す。
Figure 2007192906
本実施例の評価について説明する。評価する装置として、図19の中間転写方式のカラー電子写真装置において(電子写真感光体に接触配置された帯電部材に、直流に交流電圧を重畳した電圧を印加(1350Hz、2000μA)して電子写真感光体を帯電させるAC/DC帯電方式、プロセススピード140mm/sec、現像方法は2成分現像法)を、レーザー光量を調節できるように改造して用いた。現像器をプリンター本体から取り外して内部の現像剤を抜き取り、シアントナー1を充填した。クリーニング装置は、硬度60度(JIS A)の弾性ゴムブレードを電子写真感光体に対する線圧が40g/cmになるように調整した。この感光体ユニットに電子写真感光体1を装着した。
なお、評価はすべてシアン単色画像を出力して行った。
次に、各評価項目について説明する。評価結果を表3に示す。
(1)クリーニング性
クリーニング性は画像スジとトナーすり抜けの2種類の評価を行った。
画像スジの評価は高温高湿(30℃、80%RH)環境下で行い、まず、A3サイズの複写機用再生紙(64g/m、キヤノン(株)製)を転写材として用い、紙上のトナーの載り量が0.50〜0.55mg/cmのベタ画像を連続10枚出力した。画像を出力した後、そのままの状態で本体を24時間放置し、再び前記複写機用再生紙1枚を用い、紙上のトナーの載り量が0.20mg/cmのハーフトーン画像を出力し、電子写真感光体周期の画像スジの有無を確認した。
トナーすり抜けの評価は低温低湿(15℃、10%RH)環境下で、前記本体を改造して行った。改造は、転写ベルトユニットおよび、定着器を装着せず、かつ、コピー用紙の無い状態でも動作するようにした。
本体の転写ベルトユニットおよび、定着器を取り外した後、電子写真感光体上のトナーの載り量が0.55〜0.60mg/cmのA3原稿3枚分のベタ画像を形成し、電子写真感光体のクリーニングまで行った。その後、本体から電子写真感光体を取り出し、クリーニングブレードをすり抜けた電子写真感光体上のトナーの量を確認した。なお、評価1〜3は、数字が大きいほどトナーの量が少なく、クリーニング性が良好であることを示す。
(2)電子写真感光体の繰り返し使用時の耐久評価ならびに画像評価
以下の評価は、常温常湿環境下(23℃、65%)で行った。
電子写真感光体の繰り返し使用による耐久性特性の評価は、A4サイズの普通紙を1枚プリントごとに1度停止する間欠モード(15秒/枚のプリント間隔)にて、印字比率3%の画像を100000枚のプリントを行い、その後、電子写真感光体膜厚の摩耗量を測定した。膜厚の測定は膜厚測定器(フィッシャー(株)製;フィッシャースコープMMS 渦電流法プローブEAW3.3)で行った。
また、初期及び100000枚プリント後の画像サンプルについて、目視または拡大鏡による画像評価を行い、以下の基準で評価を行った。
◎:文字画像およびライン画像ともに、細微まで忠実に再現している。
○:細部に多少の乱れまたは中抜けが生じているが、目視では問題無いレベルである。
△:目視でも乱れや中抜けがわかるレベルである。
×:乱れ、中抜けが多数発生し、原稿を再現していない。
(3)トナー転写効率
丸または帯の画像を複数個形成できるチャートを用いて、ドラム上の転写残部分をテーピングし紙上に貼った濃度をD1、紙上に転写された上にテーピングした濃度をD2とし、下式の如く算出する。
転写効率(%)={D2/(D1+D2)}×100
常温常湿環境下(N/N;23℃/65%)にて初期と20000枚耐久後の転写効率の差の評価基準は以下の通りである。
A:2%未満で良好。
B:2%以上で4%未満で良好。
C:4%以上で6%未満で実用上問題なし。
D:6%以上で8%未満で実用上問題あり。
E:8%以上で悪い。
(4)帯電ローラー汚れ
耐久後、帯電ローラーを取り外し、新品電子写真感光体との組み合わせて画像評価を行い、20000枚耐久初期画像と比較することで帯電ローラーの汚れ程度を以下の基準で評価した。
◎:初期画像と同等の画質が得られている。
○:初期画像に比べ、ハーフトーン画像で多少のムラが見られるが、ベタ黒画像および文字画像では問題にならないレベル
△:初期画像に比べ、ハーフトーンおよびベタ黒画像でムラが見られるが、文字画像では問題ならないレベル。
×:初期画像に比べ、ハーフトーン、ベタ黒、文字画像の総てにおいてムラが見られる。
(実施例2〜29)
表3に示した電子写真感光体とトナーの組み合わせで、実施例1と同様にして評価を行った。評価結果を表3に示す。
(比較例1〜12)
表3に示した電子写真感光体とトナーの組み合わせで、実施例1と同様にして評価を行った。評価結果を表3に示す。
Figure 2007192906
上記表3から明らかなように、本発明では、電子写真感光体が表面粗面化処理をされ、且つ、25℃、湿度50%の環境下でビッカーズ四角錐ダイヤモンド圧子を用いて、電子写真感光体の硬度を試験した時、荷重6mNで押し込んだ時の弾性変形率が45%以上かつ65%以下であり、且つ、現像手段が結着樹脂、着色剤及びワックスを少なくとも含有するトナーを有し、23℃においてn−ヘキサン中に15mg/cmの濃度で該トナーを分散させて1分間抽出して得られる抽出液のワックス濃度が0.080〜0.500mg/cm範囲であり、且つ、該トナーの平均円形度が0.950〜0.995であることをであることを特徴とする電子写真装置を使用することにより、高画質かつ長期使用時にも品質が低下することのない画質安定性に優れた電子写真装置を提供することができた。
本発明の電子写真感光体を粗面化させる粗面化手段の概略図である。 本発明の電子写真感光体を粗面化させる他の粗面化手段の概略図である。 本発明の電子写真感光体の製造方法に用いられる研磨シートの一例の概略図である。 本発明の電子写真感光体の製造方法に用いられる研磨シートの他の一例の概略図である。 本発明の電子写真感光体の表面層の形状を示す図(a)〜(c)である。 本発明の電子写真感光体の製造方法の粗面化工程における動作方法を示す図である。 本発明の電子写真感光体の製造方法の粗面化工程における他の動作方法を示す図である。 本発明の電子写真感光体の製造方法の粗面化工程における他の動作方法を示す図である。 本発明の電子写真感光体の製造方法の粗面化工程とブラシによる清掃工程とを説明する図である。 本発明の電子写真感光体の製造方法の清掃工程に用いられる清掃手段を説明する図である。 本発明の電子写真感光体の製造方法の清掃工程に用いられる他の清掃手段を説明する図である。 本発明の電子写真感光体の製造方法の粗面化工程とブレードによる清掃工程とを説明する図である。 本発明の電子写真感光体の製造方法の粗面化工程及び第一の清掃工程後に行う第二の清掃工程を説明する図である。 本発明の電子写真感光体の製造方法の粗面化工程とブレード及び磁気ブラシによる清掃工程とを説明する図である。 本発明の電子写真感光体の製造方法の粗面化工程とブラシ及びブレードによる清掃工程とを説明する図である。 本発明の電子写真感光体の製造方法の粗面化工程と粘着テープによる清掃工程とを説明する図である。 本発明の電子写真感光体の製造方法の粗面化工程とローラによる清掃工程とを説明する図である。 本発明の電子写真感光体を有するプロセスカートリッジを有する電子写真装置の概略構成の一例を示す図である。 本発明の電子写真感光体を有する中間転写方式のカラー電子写真装置の概略構成の一例を示す図である。 本発明の電子写真感光体の弾性率及びユニバーサル硬度を測定する出力チャートの概略図である。 本発明の電子写真感光体の弾性率及びユニバーサル硬度を測定した例である。 本発明のブラスト装置の概略図である。
符号の説明
1 研磨シート
2−1〜2−4 ガイドローラ
3 バックアップローラ
4、4Y、4M、4C、4K 電子写真感光体
5 巻き取り手段
6 基材
7 結着樹脂
8 研磨砥粒
10 清掃部材
11 ブラシ
12 スクレーパ
13 ローラ
14 ブレード
15 磁気ブラシ
16 容器
17 粘着テープ
18 バックアップローラ
19 ローラ
20、20Y、20M、20C、20K 感光体回転軸
21、21Y、21M、21C、21K 帯電手段
22、22Y、22M、22C、22K 露光光
23、23Y、23M、23C、23K 現像手段
24、24Y、24M、24C、24K 転写手段(一次転写手段)
25 中間転写体
26 二次転写手段
27 定着手段
28、28Y、28M、28C、28K 感光体クリーニング手段(クリーニング装置)
29 案内手段
30 プロセスカートリッジ
31 中間転写体クリーニング手段
2−1 ノズル
2−2 ノズル固定冶具
2−3 突出エア供給管
2−4 ブラスト砥粒供給管
2−5 ブラスト砥粒
2−6 ワーク固定冶具
2−7 ワーク(電子写真感光体)
2−8 ノズル支持体
2−9 ノズル固定アーム

Claims (13)

  1. 支持体上に感光層を有する電子写真感光体、帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、定着手段及びクリーニング手段を有する電子写真装置において、該電子写真感光体が表面粗面化処理をされ、且つ、25℃、湿度50%の環境下でビッカーズ四角錐ダイヤモンド圧子を用いて、電子写真感光体の硬度を試験した時、荷重6mNで押し込んだ時の弾性変形率が45%以上かつ65%以下であり、且つ、該現像手段が結着樹脂、着色剤及びワックスを少なくとも含有するトナーを有し、23℃においてn−ヘキサン中に15mg/cm3の濃度で該トナーを分散させて1分間抽出して得られる抽出液のワックス濃度が0.080mg/cm3から0.500mg/cm3範囲であり、且つ、該トナーの平均円形度が0.950から0.995であることを特徴とする電子写真装置。
  2. 前記電子写真感光体の少なくとも表面層が硬化性樹脂を含むことを特徴とする請求項1に記載の電子写真装置。
  3. 前記電子写真感光体の硬度を試験したとき、25℃、湿度50%の環境下でビッカーズ四角錐ダイヤモンド圧子を用いて電子写真感光体の硬度を試験した時、荷重6mNで押し込んだ時のユニバーサル硬さ値(HU)が150N/mm2以上、かつ220N/mm2以下であることを特徴とする請求項1又は、請求項2のいずれかに記載の電子写真装置。
  4. 前記電子写真感光体の表面粗さ(十点平均面粗さ)Rzjisの値が0.3μm以上1.3μm以下であり、且つ、最大高さ粗さRzの値が1.6μm以下であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の電子写真装置。
  5. 前記電子写真感光体の表面形状が、周方向に連続的に形成された溝と平坦部の組み合わせからなることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の電子写真装置。
  6. 前記電子写真感光体の溝において、該溝幅0.5μmから40μmの単位長さ1000μmあたりの溝本数密度が20以上1000以下であることを特徴とする請求項5に記載の電子写真装置。
  7. 前記電子写真感光体の表面形状が、ディンプル状の凹凸を有する(ように粗面化処理された)ことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の電子写真装置。
  8. 前記ディンプル形状の凹部の中で最長径が1μmから50μmの範囲にあってかつ深さが0.1μmから2.5μmの範囲にあるディンプル形状の凹部の個数が、前記電子写真感光体の周面の10000μm2あたり5個から50個である請求項7に記載の電子写真装置。
  9. 前記ワックスが脂肪族炭化水素系ワックスであることを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれかに記載の電子写真装置。
  10. 前記ワックスがパラフィンワックスであることを特徴とする請求項1〜請求項9のいずれかに記載の電子写真装置。
  11. 前記トナーの結着樹脂は、少なくともポリエステルユニットを有している樹脂であることを特徴とする請求項1〜請求項10のいずれかに記載の電子写真装置。
  12. 前記トナーが芳香族カルボン酸の金属化合物を含有することを特徴とする請求項1〜請求項11のいずれかに記載の電子写真装置。
  13. 前記現像手段がトナーと磁性キャリアを有する二成分現像手段であることを特徴とする請求項1〜請求項12のいずれかに記載の電子写真装置。
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