JP2007190628A - 工作機械の異常診断方法及び装置 - Google Patents

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俊雄 横本
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Abstract

【課題】工作機械の異常診断方法及び装置において、迅速で高精度な異常判定を可能とする。
【解決手段】第1、第2、第3サーボモータ14,18,21の電流値を検出する電流センサ31,32,33と、主軸モータ30のモータ電流値を検出する電流センサ34と、主軸ヘッド22のノーズ振動を検出する振動センサ35と、工具Tによって加工されたワークWの加工面を撮影するCCDカメラ47とを設け、各種センサ31〜35の検出結果、CCDカメラ47が撮影した加工面データ、NC制御部54が設定した加工指令値(加工条件)をデータ発信装置51からデータ受信装置52に送信し、データ処理装置53が異常診断を行う。
【選択図】 図1

Description

本発明は、工作機械の異常診断方法及び装置に関するものである。
工作機械として、例えば、マシニングセンタにおいて、ベッドにはテーブルが水平方向に沿って移動自在に支持されている。このベッドにはテーブルを跨ぐように門形のコラムが設置されており、このコラムには水平なクロスレールが固定され、このクロスレールにサドルがテーブルの移動方向にほぼ直交する水平方向に移動自在に支持されている。このサドルにはラムが上下方向に沿って移動自在に支持されており、このラムに主軸ヘッドが装着されている。
従って、テーブル上にワークを治具により固定する一方、主軸ヘッドの先端部に所定の工具を取付け、この状態でテーブルを送り移動しながら、サドル及びラムを上下左右に移動することで、主軸ヘッドの工具よりワークに対して所定の加工を行うことができる。
このようなマシニングセンタにて、テーブル、サドル、ラムなどを移動する搬送装置の搬送モータや主軸ヘッドの主軸モータ、または、このテーブル、サドル、ラム、主軸ヘッドなどの支持部、または、制御データなどに異常が発生すると、ワークの加工面に不良箇所が発生する。そのため、マシニングセンタの制御部は、搬送モータや主軸ヘッドの電流値、機体における複数箇所の振動や温度を常時モニタリングし、モニタリングデータが所定の閾値を超えたときにマシニングセンタの異常を判定して異常個所を推定している。
なお、工作機械の異常診断方法及び装置として、例えば、下記特許文献1に記載されたものがある。この特許文献1に記載された工作機械の監視システムは、カメラにより工作機械の稼働状態を撮像し、通信用コンピュータは、このカメラから入力された画像データを通信ネットワークにより監視用コンピュータに送信し、この監視用コンピュータは、画像データを表示装置に表示し、異常発生時には、工作機械の起動及び停止を行うための起動/停止情報を通信ネットワークにより通信用コンピュータ送信して工作機械の起動及び停止を行うようにしたものである。
特開平06−226956号公報
ところが、上述した従来のマシニングセンタの異常診断方法にあっては、制御部が搬送モータや主軸ヘッドの電流値、機体における複数箇所の振動や温度を常時モニタリングして異常を判定しているが、例えば、主軸モータの電流値と温度に異常が発生した場合、主軸モータ自体の異常なのか、軸受部が異常なるか、加工が過負荷状態なのか、その異常箇所や原因を特定することが困難であり、異常発生時の対策に長時間を要し、加工効率がよくないという問題がある。
なお、上述した特許文献1に記載された工作機械の監視システムにあっては、カメラが撮影した工作機械の稼動状態に基づいて異常を判定しているが、上述したように、工作機械の稼動状態だけでは、異常箇所や原因を特定することが困難である。
本発明は上述した課題を解決するものであり、迅速で高精度な異常判定を可能とした工作機械の異常診断方法及び装置を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するための請求項1の発明の工作機械の異常診断方法は、テーブルに支持されたワークに対して主軸に装着された工具が搬送装置により三次元方向に相対移動自在に支持された工作機械において、前記搬送装置における搬送モータの電流値と、前記主軸における主軸モータの電流値と、前記主軸における先端部の振動と、前記ワークの加工条件と、前記ワークの加工面データに基づいて異常箇所を特定することを特徴とするものである。
請求項2の発明の工作機械の異常診断方法では、前記搬送装置における搬送モータの電流値と、前記主軸における主軸モータの電流値と、前記主軸における先端部の振動と、前記ワークの加工条件と、前記ワークの加工面データに加え、機体温度と主軸温度と冷却液温度に基づいて異常箇所を特定することを特徴としている。
請求項3の発明の工作機械の異常診断方法では、前記ワークの加工面データに基づいて加工面への工具の食い込みの発生及びびびりの発生を特定することを特徴としている。
請求項4の発明の工作機械の異常診断方法では、前記ワークの加工面データに基づいて加工面への工具の食い込みの発生を特定したときには、制御データにより前記搬送装置の異常を判定することを特徴としている。
請求項5の発明の工作機械の異常診断方法では、前記ワークの加工面データに基づいて加工面のびびりの発生を特定したときには、前記ワークの加工条件と発生したびびりマークとのピッチの適合性によりびびり振動を判定することを特徴としている。
請求項6の発明の工作機械の異常診断方法では、びびり振動が判定されたときには、発生したびびりマークと前記主軸の振動における周波数分析値との適合性により加工条件の変更または前記工作機械の異常を判定することを特徴としている。
請求項7の発明の工作機械の異常診断方法では、異常判定に使用する加工技術データ及び異常診断結果を蓄積し、蓄積した履歴データを検出可能としたことを特徴としている。
請求項8の発明の工作機械の異常診断方法では、異常診断結果に基づいて異常箇所及び対策案を提示することを特徴としている。
請求項9の発明の工作機械の異常診断装置は、テーブルに支持されたワークに対して主軸に装着された工具が搬送装置により三次元方向に相対移動自在に支持された工作機械において、前記搬送装置における搬送モータの電流値を検出する搬送モータ電流値検出手段と、前記主軸における主軸モータの電流値を検出する主軸モータ電流値検出手段と、前記主軸における先端部の振動を検出する主軸先端部振動検出手段と、前記ワークの加工条件を取得する加工条件取得手段と、前記ワークの加工面データを取得する加工面データ取得手段と、前記搬送モータの電流値と前記主軸モータの電流値と前記主軸先端部の振動と前記ワークの加工条件と前記ワークの加工面データに基づいて異常箇所を特定する異常箇所特定手段とを具えたことを特徴とするものである。
請求項10の発明の工作機械の異常診断装置では、機体温度を検出する機体温度検出手段と、主軸温度を検出する主軸温度検出手段と、冷却液温度を検出する冷却液温度検出手段とを設け、前記異常箇所特定手段は、前記搬送モータの電流値と前記主軸モータの電流値と前記主軸先端部の振動と前記ワークの加工条件と前記ワークの加工面データと機体温度と主軸温度と冷却液温度に基づいて異常箇所を特定することを特徴としている。
請求項11の発明の工作機械の異常診断装置では、前記加工面データ取得手段は、前記ワークの加工面を撮影するCCDカメラと、該CCDカメラが撮影した画像を二値化処理する画像処理部を有し、前記異常箇所特定手段は、前記画像処理部が処理した画像に基づいて異常箇所を特定することを特徴としている。
請求項1の発明の工作機械の異常診断方法によれば、搬送装置における搬送モータの電流値と、主軸における主軸モータの電流値と、主軸における先端部の振動と、ワークの加工条件と、ワークの加工面データに基づいて異常箇所を特定するようにしたので、工作機械側の稼動データだけでなく、ワークの加工面データを加味して異常箇所を特定することで、異常個所や原因を迅速に特定することができると共に、高精度な異常判定を可能とすることができる。
請求項2の発明の工作機械の異常診断方法によれば、搬送装置における搬送モータの電流値と、主軸における主軸モータの電流値と、主軸における先端部の振動と、ワークの加工条件と、ワークの加工面データに加え、機体温度と主軸温度と冷却液温度に基づいて異常箇所を特定するようにしたので、異常個所や原因を更に迅速に特定することができると共に、高精度な異常判定を可能とすることができる。
請求項3の発明の工作機械の異常診断方法によれば、ワークの加工面データに基づいて加工面への工具の食い込みの発生及びびりの発生を特定するようにしたので、ワークの加工面データにより事前に加工面への工具の食い込みとびびりを選別することで、異常個所の特定を簡素化することができる。
請求項4の発明の工作機械の異常診断方法によれば、ワークの加工面データに基づいて加工面への工具の食い込みの発生を特定したときには、制御データにより搬送装置の異常を判定するようにしたので、ワーク加工面への工具の食い込みの発生は、制御データの誤設定であることがあり、制御データの誤設定でない場合には、搬送装置の異常と判定することで、異常判定を容易に行うことができる。
請求項5の発明の工作機械の異常診断方法によれば、ワークの加工面データに基づいて加工面のびびりの発生を特定したときには、ワークの加工条件と発生したびびりマークとのピッチの適合性によりびびり振動を判定するようにしたので、ワーク加工面のびびりの発生がワークの加工条件によるものであれば正常と判定する一方、ワーク加工面のびびりの発生がワークの加工条件によるものでなければ異常と判定することで、異常判定を的確に行うことができる。
請求項6の発明の工作機械の異常診断方法によれば、びびり振動が判定されたときには、発生したびびりマークと主軸の振動における周波数分析値との適合性により加工条件の変更または工作機械の異常を判定するようにしたので、びびり振動の発生が主軸の振動によるものであれば加工条件を変更し、びびり振動の発生が主軸の振動によるものでなければ工作機械の異常と判定することで、異常判定を的確に行うことができる。
請求項7の発明の工作機械の異常診断方法によれば、異常判定に使用する加工技術データ及び異常診断結果を蓄積し、蓄積した履歴データを検出可能としたので、異常判定に使用する加工技術データ及び異常診断結果を蓄積することで、次回の異常診断時に蓄積した履歴データを検出して使用することで、異常診断を迅速に、且つ、高精度の実施することができる。
請求項8の発明の工作機械の異常診断方法によれば、異常診断結果に基づいて異常箇所及び対策案を提示するようにしたので、診断結果に対応した対策案を、例えば、顧客に提示することで、工作機械の修理や部品交換などのメンテナンスを迅速に行うことができる。
請求項9の発明の工作機械の異常診断装置によれば、搬送モータの電流値と主軸モータの電流値と主軸先端部の振動とワークの加工条件とワークの加工面データに基づいて異常箇所を特定する異常箇所特定手段を設けたので、工作機械側の稼動データだけでなく、ワークの加工面データを加味して異常箇所を特定することで、異常個所や原因を迅速に特定することができると共に、高精度な異常判定を可能とすることができる。
請求項10の発明の工作機械の異常診断装置によれば、異常箇所特定手段は、搬送モータの電流値と主軸モータの電流値と主軸先端部の振動とワークの加工条件とワークの加工面データと機体温度と主軸温度と冷却液温度に基づいて異常箇所を特定するので、異常個所や原因を更に迅速に特定することができると共に、高精度な異常判定を可能とすることができる。
請求項11の発明の工作機械の異常診断装置によれば、加工面データ取得手段として、ワークの加工面を撮影するCCDカメラと、CCDカメラが撮影した画像を二値化処理する画像処理部を設け、異常箇所特定手段は処理した画像に基づいて異常箇所を特定するので、ワークの加工面データを容易に、且つ、高精度に取得することができ、高精度な異常判定を可能とすることができると共に、ワークの加工面データを蓄積して汎用性を向上することができる。
以下に添付図面を参照して、本発明に係る工作機械の異常診断方法及び装置の好適な実施例を詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。
図1は、本発明の実施例1に係る工作機械の異常診断方法及び装置を実施するためのマシニングセンタの異常診断装置の概略図、図2は、実施例1のマシニングセンタを表す概略図、図3は、実施例1の工作機械の異常診断方法を表すフローチャート、図4は、ワーク加工面に発生したびびりマークを表す概略図である。
実施例1の工作機械の異常診断方法及び装置は、マシニングセンタの異常診断方法及び装置として適用している。実施例1のマシニングセンタにおいて、図2に示すように、ベッド11は所定の床面上に設置され、このベッド11の上面にはガイド12によりテーブル13が水平なY方向に沿って移動自在に支持され、第1サーボモータ(搬送モータ)14により移動可能となっている。そして、このテーブル13上に図示しない治具によりワークWを固定することができる。
ベッド11にはテーブル13を跨ぐように門形をなすコラム15が設置されており、このコラム15の上部にはクロスレール16によりサドル17がテーブル13の移動方向にほぼ直交する水平なX方向に沿って移動自在に支持され、第2サーボモータ(搬送モータ)18により移動可能となっている。このサドル17にラム19がガイド20により上下方向(X方向)に沿って移動自在に支持され、第3サーボモータ(搬送モータ)21により移動可能となっている。そして、このラム19に主軸ヘッド22が装着されており、この主軸ヘッド22の下端部に工具Tが着脱自在に装着されている。
この主軸ヘッド22において、図1に示すように、円筒形状をなすケーシング23内には円柱形上をなす主軸24が上下3つの軸受25,26,27により回転自在に支持されている。そして、主軸24の外周部に回転子(ロータ)28が固定される一方、ケーシング23の内周面に固定子(ステータ)29が固定されており、固定子側の図示しないコイルに変化する電流を供給して変動する磁界を発生させることで、回転子28、つまり、主軸24を回転することができる。この場合、回転子28と固定子29により主軸モータ30が構成されている。
従って、このマシニングセンタにあっては、テーブル13に支持されたワークWに対して主軸ヘッド22に装着された工具Tが各サーボモータ14,18,21により三次元方向に相対移動自在に支持されており、このマシニングセンタを用いて所定の加工を行うには、テーブル13上にワークWを固定した状態で、第1サーボモータ14によりテーブル13を送り移動しながら、サドル17やラム19を移動することで、主軸ヘッド22に装着された工具Tに切り込みを与え、ワークWを所定形状に加工することができる。
このように構成されたマシニングセンタにおいて、本実施例では、その加工条件、加工状態、加工結果などに基づいて異常診断を実施可能となっている。
即ち、図1及び図2に示すように、第1、第2、第3サーボモータ14,18,21には、モータ電流値を検出する電流センサ(搬送モータ電流値検出手段)31,32,33が設けられている。そして、主軸モータ30には、モータ電流値を検出する電流センサ(主軸モータ電流値検出手段)34が設けられている。また、主軸ヘッド22にて、ケーシング23の先端部には、ノーズ振動を検出する振動センサ(主軸先端部振動検出手段)35と、軸受外輪振動を検出する振動センサ36が設けられている。
また、ベッド11、テーブル13、コラム15、サドル17の温度(機体温度)を検出する温度センサ(機体温度検出手段)37,38,39,40が設けられている。また、主軸ヘッド22にて、先端部の軸受温度(主軸温度)を検出する温度センサ(主軸温度検出手段)41,42が設けられている。更に、主軸ヘッド22には、主軸34を冷却するための冷却油(冷却液)の供給配管43,44が設けられており、この供給配管43,44に冷却油温度を検出する温度センサ(冷却液温度検出手段)45,46が設けられている。
また、工具Tによって加工されたワークWの加工面(加工面データ)を撮影するCCDカメラ(加工面データ取得手段)47が設けられると共に、照明48が設けられている。
そして、本実施例では、上述した各種センサが検出した検出結果を通信回線(例えば、インターネット)により、例えば、マシニングセンタが設置された加工工場から管理センタに送信し、この管理センタにて、異常診断を実施している。そのため、加工工場には、データ発信装置51が設けられる一方、管理センタには、データ受信装置52が設けられている。そして、データ発信装置51に上述した各種センサ31〜42,45,46が接続され、データ受信装置52にデータ処理装置(例えば、サーバ)53が接続されており、各種センサ31〜42,45,46の検出結果をデータ発信装置51からデータ受信装置52に送信し、データ処理装置53が異常診断を行う。
この場合、データ発信装置51には、NC制御部(加工条件取得手段)54から加工指令値(加工条件として、工具の刃数、工具回転速度、工具送り速度)と、パルスエンコーダFB値、スケールFB値が入力され、これらもデータ受信装置52に送信している。なお、パルスエンコーダFB値とは、各サーボモータ14,18,21に装着されたパルスエンコーダの検出値であり、スケールFB値とは、マシニングセンタに装着された位置センサの検出値である。
また、データ処理装置53は、CCDカメラ47が撮影した画像を画像処理(例えば、二値化処理)する画像処理部55と、各種センサ31〜42,45,46の検出結果及び画像処理部55が処理したワークWの加工面データに基づいて異常診断を行う異常診断処理部(異常箇所特定手段)56を有している。
ここで、本実施例の工作機械の異常診断装置によるマシニングセンタの異常診断方法について詳細に説明する。
マシニングセンタでは、図1及び図2に示すように、テーブル13に治具をもってワークWを固定し、オペレータはNC制御部54に加工条件を入力すると、このNC制御部54は、各サーボモータ14,18,21,30を駆動制御して加工を実施する。即ち、第1サーボモータ14によりテーブル13を送り移動しながら、サドル17やラム19を移動することで、主軸ヘッド22に装着された工具TによりワークWを所定形状に加工する。
この加工中、各電流センサ31〜34が検出した各14,18,21,30の電流値、各振動センサ35,36が検出した振動、各温度センサ37〜42が検出した機体温度、各温度センサ45,46が検出した冷却液温度、NC制御部54からの加工指令値とパルスエンコーダFB値とスケールFB値がデータ発信装置51によりデータ受信装置52に送信されると共に、加工後にCCDカメラ47が撮影したワーク加工面の画像データがデータ発信装置51によりデータ受信装置52に送信され、データ処理装置53はデータ受信装置52が受信した各種データに基づいて異常診断を行う。
即ち、図3に示すように、ステップS11にて、ワーク加工面の画像データを入手し、ステップS12にて、この加工面データに基づいて加工面への工具の食い込みの発生か、または、びびりの発生かを特定する。この場合、目視によりワーク加工面に工具の食い込みマークがあるかびびりマークがあるか判定するが、事前にこの食い込みマークとびびりマークを画像処理して標準化しておき、入手したワーク加工面の画像データとの適合化を判断することで、自動的にワーク加工面に工具の食い込みマークがあるかびびりマークがあるかを判定するようにしてもよい。
そして、このステップS12にて、ワーク加工面の画像データから加工面への工具の食い込みの発生を判定すると、ステップS13にて、食い込み面調査処理を実行する。即ち、ステップS14では、ワークWの加工面に対して工具Tが食い込んだ方向(X,Y,Z)を確認し、ステップS15では、確認した食い込み方向(X,Y,Z)に対するNCデータ(制御データ)、つまり、指令値を確認し、ステップS16にて、NCデータによりワークWの加工面に対して工具Tの食い込みが発生したかどうかを判定する。ここで、マシニングセンタのシミュレータ装置を用い、現在のNCデータを用いて加工シミュレータを行い、ワークWの加工面に対して工具Tの食い込みが発生するかどうか判定する。
ここで、NCデータによりワークWの加工面に対して工具Tの食い込みが発生したと判定されたら、ステップS17にて、マシニングセンタ自体には異常がないため、NC制御部54を用いてNCデータの見直しを行う。一方、NCデータによりワークWの加工面に対して工具Tの食い込みが発生したものではないと判定されたら、ステップS18にて、マシニングセンタの搬送装置に異常が発生したものとし、ステップS19にて、搬送装置における異常箇所を特定する。この場合、例えば、各電流センサ31〜33が検出した各サーボモータ14,18,21の電流値、各温度センサ37〜42が検出した機体温度、各温度センサ45,46が検出した冷却液温度、NC制御部54からのパルスエンコーダFB値及びスケールFB値に基づいて異常箇所診断を行う。
一方、ステップS12にて、ワーク加工面の画像データから加工面にびびりマークの発生を判定すると、ステップS20にて、びびり面調査処理を実行する。即ち、ステップS21では、CCDカメラ47が撮影したワーク加工面の画像データを二値化処理し、ステップS22では、二値化処理した画像からびびりマークのピッチを計測する。具体的には、図4に示すように、ワーク加工面に5本のびびりマークMが発生した場合、各びびりマークのピッチPを計測する。また、ステップS23では、NC制御部54から入力された指令値(加工条件=工具の刃数、工具回転速度、工具送り速度)より加工ピッチを算出する。
そして、ステップS24にて、ワークWの加工条件より算出した加工ピッチと発生したびびりマークのピッチPとの適合性を判定し、ステップS25にて、ワークWの加工条件より算出した加工ピッチとびびりマークのピッチPとが一致しているかどうかを判定する。ここで、両ピッチが一致していれば、ステップS26にて、発生したびびりマークは、所謂、加工目であり、正常な加工が行われてマシニングセンタには異常がないと判定する。一方、両ピッチが一致していなければ、発生したびびりマークは、びびり振動であると判定する。
この場合、ステップS27では、振動センサ35が検出した主軸ヘッド22におけるノーズ振動の周波数分析を実施しており、ステップS28にて、ワークWの加工面におけるびびりマークのピッチPが主軸ヘッド22に発生したノーズ振動の周波数(周波数分析値)と一致しているかどうかを判定する。ここで、ワークWの加工面におけるびびりマークのピッチPが主軸ヘッド22に発生したノーズ振動の周波数と一致していると判定されたら、ステップS29にて、主軸ヘッド22のノーズ振動によりワークWの加工面にびびりマークが発生したものと判定し、ステップS30にて、NC制御部54に指示する加工条件(工具回転速度、工具送り速度)を見直す。
一方、ステップS28にて、ワークWの加工面におけるびびりマークのピッチPが主軸ヘッド22に発生したノーズ振動の周波数と一致していないと判定されたら、ステップS31にて、マシニングセンタに異常が発生したものと判定し、ステップS32にて、マシニングセンタにおける異常箇所を特定する。この場合、例えば、各電流センサ31〜34が検出した各モータ14,18,21,30の電流値、各温度センサ37〜42が検出した機体温度、各温度センサ45,46が検出した冷却液温度、NC制御部54からのパルスエンコーダFB値及びスケールFB値に基づいて異常箇所診断を行う。
このように実施例1の工作機械の異常診断方法にあっては、第1、第2、第3サーボモータ14,18,21の電流値を検出する電流センサ31,32,33と、主軸モータ30のモータ電流値を検出する電流センサ34と、主軸ヘッド22のノーズ振動を検出する振動センサ35と、工具Tによって加工されたワークWの加工面を撮影するCCDカメラ47とを設け、各種センサ31〜25の検出結果、CCDカメラ47が撮影した加工面データ、NC制御部54が設定した加工指令値(加工条件)をデータ発信装置51からデータ受信装置52に送信し、データ処理装置53が異常診断を行うようにしている。
従って、サーボモータ14,18,21の電流値、主軸モータ30の電流値、主軸ヘッド22のノーズ振動、ワークWの加工面データ、加工指令値(加工条件)に基づいてマシニングセンタの異常箇所を特定することとなり、マシニングセンタ側の稼動データだけでなく、ワークWの加工面データを加味して異常箇所を特定することで、異常個所や原因を迅速に特定することができると共に、高精度な異常判定を可能とすることができる。
また、ベッド11、テーブル13、コラム15、サドル17の温度を検出する温度センサ37,38,39,40と、主軸ヘッド22の先端部の軸受温度(主軸温度)を検出する温度センサ41,42と、主軸ヘッド22の冷却油温度を検出する温度センサとを設け、サーボモータ14,18,21の電流値、主軸モータ30の電流値、主軸ヘッド22のノーズ振動、ワークWの加工面データ、加工指令値(加工条件)に加えて機体温度、主軸ヘッド22の軸受温度、冷却油温度に基づいて異常箇所を特定している。従って、異常個所や原因を更に迅速に特定することができると共に、高精度な異常判定を可能とすることができる。
この場合、本発明の加工面データ取得手段として、ワークWの加工面を撮影するCCDカメラ47と、CCDカメラ47が撮影した画像を二値化処理する画像処理部55を設け、異常診断処理部56が二値化処理した画像に基づいて異常箇所を特定するようにしている。従って、ワークWの加工面データを容易に、且つ、高精度に取得することができ、高精度な異常判定を可能とすることができると共に、ワークWの加工面データを蓄積して汎用性を向上することができる。
また、ワークTの加工面データに基づいて加工面への工具Tの食い込みの発生及びびりの発生を特定するようにしており、ワークWの加工面データにより事前に加工面への工具Tの食い込みとびびりを選別することで、異常個所の特定を簡素化することができる。
そして、ワークWの加工面データに基づいて加工面への工具の食い込みの発生を特定したときには、NC制御部54のNCデータにより搬送装置の異常を判定するようにしている。従って、ワーク加工面への工具Tの食い込みの発生は、NCデータの誤設定であることがあり、このNCデータの誤設定でない場合には、搬送装置の異常と判定することで、異常判定を容易に行うことができる。
一方、ワークWの加工面データに基づいて加工面のびびりの発生を特定したときには、ワークWの加工条件と発生したびびりマークとのピッチの適合性によりびびり振動を判定するようにしている。従って、ワーク加工面のびびりの発生がワークWの加工条件によるものであれば正常と判定する一方、ワーク加工面のびびりの発生がワークWの加工条件によるものでなければ異常と判定することで、異常判定を的確に行うことができる。
そして、びびり振動が判定されたときには、発生したびびりマークと主軸ヘッド22の振動における周波数分析値との適合性により加工条件の変更またはマシニングセンタの異常を判定するようにしている。従って、びびり振動の発生が主軸の振動によるものであれば加工条件を変更し、びびり振動の発生が主軸ヘッド22の振動によるものでなければマシニングセンタの異常と判定することで、異常判定を的確に行うことができる。
図5は、本発明の実施例2に係る工作機械の異常診断方法及び装置を実施するためのマシニングセンタの異常診断装置の概略図である。なお、前述した実施例で説明したものと同様の機能を有する部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
実施例1の工作機械の異常診断方法及び装置では、図5に示すように、マシニングセンタ10は顧客の加工工場に設置される一方、データ処理装置53は工作機械メーカの管理センタに設けられており、データ発信装置51及びデータ受信装置52により通信回線を用いてデータ通信が可能となっている。従って、前述の実施例と同様に、マシニングセンタ10側は、サーボモータ14,18,21の電流値、主軸モータ30の電流値、主軸ヘッド22のノーズ振動、ワークWの加工面データ、加工指令値(加工条件)、機体温度、主軸ヘッド22の軸受温度、冷却油温度をデータ処理装置53に送信し、このデータ処理装置53が各種データに基づいてマシニングセンタ10の異常を判定することができる。
また、本実施例では、データ処理装置53に加工技術データベース61とサービスデータベース62が接続されている。この加工技術データベース61は、収集したワークWの加工面データを含む加工データを蓄積することができる。また、サービスデータベース62は、サーボモータ14,18,21の電流値、主軸モータ30の電流値、主軸ヘッド22のノーズ振動、ワークWの加工面データ、加工指令値(加工条件)、機体温度、主軸ヘッド22の軸受温度、冷却油温度に対する診断結果及び対応策をカルテとして蓄積することができる。
従って、工作機械メーカのサービスフロントは、データ処理装置53を用いて、今回のマシニングセンタ10の診断結果に対して、加工技術データベース61及びサービスデータベース62から過去の各種データ(履歴データ)を検索し、異常箇所や故障箇所を迅速に特定することができる。そして、診断結果や修理箇所などを顧客に提示し、修理や交換部品の手配などの迅速な対応を行うことができる。
この場合、データ発信装置51及びデータ受信装置52をデータを送受信可能な装置とすることで、診断結果、修理箇所、修理内容などを通信回線を用いて顧客に提供することができる。そして、顧客と管理センタを常時接続とすることで、マシニングセンタの加工情報を全て蓄積することで、この異常発生時の加工履歴を分析して対応策を迅速に提供することができると共に、各種データを開発機種へ反映させることができる。
ことができる。
このように実施例2の工作機械の異常診断方法にあっては、加工工場に設置されるマシニングセンタ10と、工作機械メーカの管理センタに設けられるデータ処理装置53を通信回線を用いてデータ通信可能とし、データ処理装置53に加工技術データベース61とサービスデータベース62を接続し、サービスフロントからアクセス可能としている。
従って、異常判定に使用する加工技術データ及び異常診断結果を蓄積し、サービスフロントは蓄積した履歴データを検出可能とすることで、次回の異常診断時に蓄積した履歴データを使用し、異常診断を迅速に、且つ、高精度の実施することができる。また、診断結果に対応した対策案を顧客に提示することができ、マシニングセンタ10の修理や部品交換などのメンテナンスを迅速に行うことができる。
なお、上述の各実施例では、本発明の加工面データ取得手段として、ワークWの加工面を撮影するCCDカメラ47と、CCDカメラ47が撮影した画像を二値化処理する画像処理部55を設けが、この構成に限らず、例えば、オペレータがワークWの加工面を目視し、加工面の状態をキーボードなどの機器を用いて手入力により加工データとして入力するようにしてもよい。
また、データ処理装置53がマシニングセンタ10の異常を判定するとき、主軸ヘッド22のノーズ振動だけでなく、ワークWの振動を検出して異常を判定してもよい。この場合、ワークWまたはその固定治具に加速度センサを装着して振動を検出すればよい。
本発明に係る工作機械の異常診断方法及び装置は、工作機械による加工データだけでなく、ワークの加工面データを用いて異常箇所を特定するものであり、いずれの工作機械にも適用することができる。
本発明の実施例1に係る工作機械の異常診断方法及び装置を実施するためのマシニングセンタの異常診断装置の概略図である。 実施例1のマシニングセンタを表す概略図である。 実施例1の工作機械の異常診断方法を表すフローチャートである。 ワーク加工面に発生したびびりマークを表す概略図である。 本発明の実施例2に係る工作機械の異常診断方法及び装置を実施するためのマシニングセンタの異常診断装置の概略図である。
符号の説明
11 ベッド
13 テーブル
14 第1サーボモータ(搬送モータ)
15 コラム
17 サドル
18 第2サーボモータ(搬送モータ)
19 ラム
21 第3サーボモータ(搬送モータ)
22 主軸ヘッド
23 ケーシング
24 主軸
30 主軸モータ
31,32,33 電流センサ(搬送モータ電流値検出手段)
34 電流センサ(主軸モータ電流値検出手段)
35 振動センサ(主軸先端部振動検出手段)
37,38,39,40 温度センサ(機体温度検出手段)
41,42 温度センサ(主軸温度検出手段)
45,46 温度センサ(冷却液温度検出手段)
47 CCDカメラ(加工面データ取得手段)
51 データ通信装置
52 データ受信装置
53 データ処理装置
54 NC制御部(加工条件取得手段)
55 画像処理部
56 異常診断処理部(異常箇所特定手段)
61 加工技術データベース
62 サービスデータベース
T 工具
W ワーク

Claims (11)

  1. テーブルに支持されたワークに対して主軸に装着された工具が搬送装置により三次元方向に相対移動自在に支持された工作機械において、前記搬送装置における搬送モータの電流値と、前記主軸における主軸モータの電流値と、前記主軸における先端部の振動と、前記ワークの加工条件と、前記ワークの加工面データに基づいて異常箇所を特定することを特徴とする工作機械の異常診断方法。
  2. 請求項1に記載の工作機械の異常診断方法において、前記搬送装置における搬送モータの電流値と、前記主軸における主軸モータの電流値と、前記主軸における先端部の振動と、前記ワークの加工条件と、前記ワークの加工面データに加え、機体温度と主軸温度と冷却液温度に基づいて異常箇所を特定することを特徴とする工作機械の異常診断方法。
  3. 請求項1または2に記載の工作機械の異常診断方法において、前記ワークの加工面データに基づいて加工面への工具の食い込みの発生及びびびりの発生を特定することを特徴とする工作機械の異常診断方法。
  4. 請求項3に記載の工作機械の異常診断方法において、前記ワークの加工面データに基づいて加工面への工具の食い込みの発生を特定したときには、制御データにより前記搬送装置の異常を判定することを特徴とする工作機械の異常診断方法。
  5. 請求項3に記載の工作機械の異常診断方法において、前記ワークの加工面データに基づいて加工面のびびりの発生を特定したときには、前記ワークの加工条件と発生したびびりマークとのピッチの適合性によりびびり振動を判定することを特徴とする工作機械の異常診断方法。
  6. 請求項5に記載の工作機械の異常診断方法において、びびり振動が判定されたときには、発生したびびりマークと前記主軸の振動における周波数分析値との適合性により加工条件の変更または前記工作機械の異常を判定することを特徴とする工作機械の異常診断方法。
  7. 請求項1から6のいずれか一つに記載の工作機械の異常診断方法において、異常判定に使用する加工技術データ及び異常診断結果を蓄積し、蓄積した履歴データを検出可能としたことを特徴とする工作機械の異常診断方法。
  8. 請求項1から6のいずれか一つに記載の工作機械の異常診断方法において、異常診断結果に基づいて異常箇所及び対策案を提示することを特徴とする工作機械の異常診断方法。
  9. テーブルに支持されたワークに対して主軸に装着された工具が搬送装置により三次元方向に相対移動自在に支持された工作機械において、前記搬送装置における搬送モータの電流値を検出する搬送モータ電流値検出手段と、前記主軸における主軸モータの電流値を検出する主軸モータ電流値検出手段と、前記主軸における先端部の振動を検出する主軸先端部振動検出手段と、前記ワークの加工条件を取得する加工条件取得手段と、前記ワークの加工面データを取得する加工面データ取得手段と、前記搬送モータの電流値と前記主軸モータの電流値と前記主軸先端部の振動と前記ワークの加工条件と前記ワークの加工面データに基づいて異常箇所を特定する異常箇所特定手段とを具えたことを特徴とする工作機械の異常診断装置。
  10. 請求項9に記載の工作機械の異常診断装置において、機体温度を検出する機体温度検出手段と、主軸温度を検出する主軸温度検出手段と、冷却液温度を検出する冷却液温度検出手段とを設け、前記異常箇所特定手段は、前記搬送モータの電流値と前記主軸モータの電流値と前記主軸先端部の振動と前記ワークの加工条件と前記ワークの加工面データと機体温度と主軸温度と冷却液温度に基づいて異常箇所を特定することを特徴とする工作機械の異常診断装置。
  11. 請求項9または10に記載の工作機械の異常診断装置において、前記加工面データ取得手段は、前記ワークの加工面を撮影するCCDカメラと、該CCDカメラが撮影した画像を二値化処理する画像処理部を有し、前記異常箇所特定手段は、前記画像処理部が処理した画像に基づいて異常箇所を特定することを特徴とする工作機械の異常診断装置。
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