JP2007188670A - マイクロ波管のコレクタ - Google Patents

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Abstract

【課題】マイクロ波管のコレクタの耐電圧の劣化を防止する。
【解決手段】本発明のマイクロ波管のコレクタ1は、コレクタ電極11と、絶縁体12と、放熱体13とから構成されている。コレクタ1においては、コレクタ電極11を覆っている絶縁体12は、管軸方向にテーパとなる円すい管構造となっている。これに伴い、絶縁体12の内周面に接触して配置されるコレクタ電極11の外径は、絶縁体12とは逆の管軸方向にテーパとなっている。また、絶縁体12の外周面に接触して配置される放熱体13の内径は、絶縁体12とは逆の管軸方向にテーパとなっている。
【選択図】図1

Description

本発明は、電子銃から放射され、高周波回路を通過した電子ビームを捕捉するマイクロ波管のコレクタに関する。
図2は、一般的なマイクロ波管の構造を示す断面図である。
図2を参照すると、一般的なマイクロ波管は、電子ビームを発射する電子銃51と、入力されたRF信号(マイクロ波)を、電子銃51から発射された電子ビームと相互作用させることで増幅して出力する高周波回路52と、高周波回路52を通過した電子ビームを捕捉するコレクタ53と、電子銃51から発射された電子ビームを高周波回路52内に導くアノード電極54とから構成されている。
コレクタ53は、コレクタ電極にて電子ビームを捕捉し、その電子ビームの運動エネルギーを熱エネルギーに変換する。したがって、コレクタ電極には膨大な熱が発生するとともに、高電圧がかかることになる。
そこで、コレクタ電極の耐電圧を高めるために絶縁体で覆い、さらに、コレクタ電極で発生した熱を絶縁体の外側に配置されたヒートシンクへ放散させるようにしたコレクタが採用されている(例えば、特許文献1〜5参照)。
以下、この種のコレクタの従来の構造について説明する。
図3は、従来のマイクロ波管のコレクタの構造を示す図であり、(a)は縦断面図、(b)は(a)のA−A’線に沿った横断面図である。
図3を参照すると、従来のマイクロ波管のコレクタ4は、コレクタ電極41(図中のコレクタ電極41a,41b)と、絶縁体42と、放熱体43とから構成されている。このコレクタ4においては、コレクタ電極41を覆うために、セラミック等からなる円管構造の絶縁体42をコレクタ電極41の外周面に接触して配置している。
また、耐電圧を高めるためには、絶縁体42によってコレクタ電極41を全面的に覆う必要がある。そのため、絶縁体42の一部は、コレクタ電極41の沿面から突出している。以下、絶縁体42の突出している部分の上面、下面、および側面の各距離の合計を沿面放電距離と称す。ただし、沿面放電距離を必要以上に長くすると、コレクタ4の大型化、ひいてはマイクロ波管全体の大型化につながる。よって、耐電圧を高めることと、コレクタ4の大型化を防止することとの両立を図るために、沿面放電距離は、許容範囲で短くしている。
絶縁体42の外周面の図中上側および下側には、金属等からなる放熱体43が接触して配置され、さらに、下側の放熱体43の外側には、ヒートシンク3が接触して配置されている。このため、高周波回路2を通過した電子ビームを捕捉することでコレクタ電極41にて熱が発生すると、その熱は、絶縁体42から放熱体43へと導かれ、さらに、ヒートシンク3へと放散されることになる。
また、絶縁体42は、放熱効果を高めるために、その一部に管軸方向に沿ってすり割り部45が設けられている。その反面、すり割り部45を設けることで、絶縁体42とコレクタ電極41および放熱体43との接触性が悪くなる。そのため、放熱体43を、ネジ44による締付構造を有する部材とし、放熱体43をネジ44で締め付けることにより、絶縁体42とコレクタ電極41および放熱体43との接触性を高めている。
実開平05−087788号公報 特開平05−275018号公報 特開平07−045207号公報 特開2003−162965号公報 特開2005−093176号公報
ところで、図3に示した従来のマイクロ波管のコレクタ4においては、通常、電子ビームは、最奥のX部分で捕捉される。しかし、マイクロ波管動作のON/OFFや、高周波回路2に入力されるRF信号のON/OFFによって、電子ビームは、X部分だけでなくY部分でも捕捉される。それにより、コレクタ電極41における熱が発生する部分である発熱源の位置が移動する。
絶縁体42は、ネジ44により締め付けられてコレクタ電極41および放熱体43に接触しているものの、断面がストレートな円管構造であるため、各部品同士の熱膨張差により管軸方向に移動しやすい構造になっている。
そのため、上述したようにコレクタ電極41の発熱源の位置が移動すると、それに伴い、絶縁体42が管軸方向に移動し、電子ビームの進行方向の上流側または下流側のいずれか一方の沿面放電距離が短くなり、一定の距離を維持できなくなる場合がある。その場合、コレクタ電極41を絶縁体42で十分に覆うことができず、耐電圧が劣化してしまう。
そこで、本発明の目的は、耐電圧の劣化を防止することができるマイクロ波管のコレクタを提供することにある。
上記目的を達成するために本発明は、
電子銃から放射され、高周波回路を通過した電子ビームを捕捉するコレクタ電極と、前記コレクタ電極の外周面に接触して配置された絶縁体と、前記絶縁体の外周面に接触して配置された放熱体とを有してなるマイクロ波管のコレクタにおいて、
前記絶縁体、前記コレクタ電極の外径、および前記放熱体の内径は、管軸方向にテーパとなっていることを特徴とする。
この構成によれば、絶縁体が管軸方向にテーパとなっているため、コレクタ電極の発熱源の移動に伴い、絶縁体が管軸方向に移動しようとしても、絶縁体の内周面および外周面にそれぞれ接触するコレクタ電極または放熱体によって、絶縁体が一定の位置で停まるように絶縁体の移動が抑制される。したがって、コレクタ電極の発熱源の移動に伴い、絶縁体が管軸方向に移動しようとしても、絶縁体は一定の位置で停まることになるため、絶縁体の沿面放電距離を一定の距離に維持することができ、それにより、耐電圧が劣化することを防止することができる。
なお、前記絶縁体は、電子ビームの進行方向下流側に向かって径が小さくなるように管軸方向にテーパとなっていても良い。
この構成によれば、コレクタの製造に際して、高周波回路の後段にコレクタ電極および放熱体を設置してから絶縁体を設置する場合に、絶縁体を電子ビームの進行方向下流側から容易に挿入して設置することができる。
上述したように本発明によれば、絶縁体が管軸方向にテーパとなっているため、絶縁体が管軸方向に移動しようとしても、絶縁体の内周面および外周面にそれぞれ接触するコレクタ電極または放熱体によって、絶縁体が一定の位置で停まるように絶縁体の移動が抑制される。
したがって、コレクタ電極の発熱源の移動に伴い、絶縁体が管軸方向に移動しようとしても、絶縁体は一定の位置で停まることになるため、絶縁体の沿面放電距離を一定の距離に維持することができ、それにより、耐電圧が劣化することを防止することができるという効果が得られる。
以下に、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態によるマイクロ波管のコレクタの構造を示す図であり、(a)は縦断面図、(b)は(a)のA−A’線に沿った横断面図である。なお、図1において、図3と同一の部分については同一の符号を付す。
図1を参照すると、本実施形態によるマイクロ波管のコレクタ1は、コレクタ電極11(図中のコレクタ電極11a,11b)と、絶縁体12と、放熱体13とから構成されている。このコレクタ1においては、コレクタ電極11を覆っているセラミック等からなる絶縁体12は、管軸方向にテーパとなる円すい管構造となっている。
これに伴い、絶縁体12の内周面に接触して配置されるコレクタ電極11の外径は、絶縁体12とは逆の管軸方向にテーパとなっている。また、絶縁体12の外周面の図中上側および下側に接触して配置される金属等からなる放熱体13の内径は、絶縁体12とは逆の管軸方向にテーパとなっている。
なお、従来と同様に、コレクタ1においても、絶縁体12によってコレクタ電極11を全面的に覆うために、コレクタ電極11の沿面から突出している絶縁体12の沿面放電距離は、許容範囲で短くしている。
また、図中下側の放熱体13の外側には、ヒートシンク3が接触して配置されている。このため、コレクタ電極11にて発生した熱は、絶縁体12から放熱体13へと導かれ、さらに、ヒートシンク3へと放散されることになる。
また、絶縁体12には、放熱効果を高めるために、一部に管軸方向に沿ってすり割り部15が設けられている。また、絶縁体12とコレクタ電極11および放熱体13との接触性を高めるために、放熱体13を、ネジ14による締付構造を有する部材とし、放熱体13をネジ14で締め付けている。
上記のように構成された本実施形態においても、従来と同様に、マイクロ波管動作のON/OFF等によって、電子ビームは、X部分だけでなくY部分でも捕捉され、コレクタ電極11の発熱源の位置が移動する。そのため、コレクタ電極11の発熱源の移動に伴い、絶縁体12は管軸方向に移動しようとする。
しかし、絶縁体12は、電子ビームの進行方向下流側に向けて径が小さくなるようにテーパとなる円すい管構造となっている。そのため、絶縁体12が電子ビームの進行方向上流側に向けて移動しようとしても、コレクタ電極11によって、絶縁体12が一定の位置で停まるように絶縁体12の移動が抑制される。また、絶縁体12が電子ビームの進行方向下流側に向けて移動しようとしても、放熱体13によって、絶縁体12が一定の位置で停まるように絶縁体12の移動が抑制される。
したがって、コレクタ電極11の発熱源の移動に伴い、絶縁体12が管軸方向に移動しようとしても、絶縁体12は一定の位置で停まることになるため、絶縁体12の沿面放電距離を一定の距離に維持することができ、それにより、耐電圧が劣化することを防止することができる。
なお、本実施形態においては、絶縁体12は、電子ビームの進行方向下流側に向けて径が小さくなるようにテーパとなる円すい管構造となっているが、電子ビームの進行方向上流側に向けて径が小さくなるようにテーパとなる円すい管構造としても良い。
しかし、コレクタ1の製造方法としては、高周波回路2の後段にコレクタ電極11および放熱体13を設置してから絶縁体2を設置する方法が一般的である。その際、絶縁体12を電子ビームの進行方向上流側から挿入して設置しようとすると、高周波回路2が邪魔となって設置が困難となるため、絶縁体12は、電子ビームの進行方向下流側から挿入して設置する。したがって、絶縁体12の電子ビームの進行方向下流側からの挿入を容易にするためには、絶縁体12は、図1に示したように、電子ビームの進行方向下流側に向けて径が小さくなるようにテーパとなる円すい管構造とすることが好ましい。
また、本実施形態においては、図2に示すように、コレクタ電極11が2段であるが、1段でも多段でも同様の効果が得られる。
本発明の一実施形態によるマイクロ波管のコレクタの構造を示す図であり、(a)は縦断面図、(b)は(a)のA−A’線に沿った横断面図である。 一般的なマイクロ波管の構造を示す断面図である 従来のマイクロ波管のコレクタの構造を示す図であり、(a)は縦断面図、(b)は(a)のA−A’線に沿った横断面図である。
符号の説明
1 コレクタ
2 高周波回路
3 ヒートシンク
11 コレクタ電極
12 絶縁体
13 放熱体
14 ネジ

Claims (2)

  1. 電子銃から放射され、高周波回路を通過した電子ビームを捕捉するコレクタ電極と、前記コレクタ電極の外周面に接触して配置された絶縁体と、前記絶縁体の外周面に接触して配置された放熱体とを有してなるマイクロ波管のコレクタにおいて、
    前記絶縁体、前記コレクタ電極の外径、および前記放熱体の内径は、管軸方向にテーパとなっているマイクロ波管のコレクタ。
  2. 前記絶縁体は、電子ビームの進行方向下流側に向かって径が小さくなるように管軸方向にテーパとなっている、請求項1に記載のマイクロ波管のコレクタ。
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