JP2006329575A - 電磁加速用飛翔体 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、飛翔体に設けたシールを電磁加速管の内面に摺接させることにより、摩擦の少ない安定した加速性能を得ることを目的とする。
【解決手段】本発明による電磁加速用飛翔体は、飛翔本体(1)の側面に長手方向に間隔をおいて形成された複数の側面溝(30)と、前記各側面溝(30)に設けられたシール(2)とを有し、前記シール(2)の外周面(2b)は前記導電レール板(71a、71b)及び前記絶縁板(71d、71e)の内面(71c)に対して摺動可能に密着するようにした構成である。
【選択図】図1

Description

本発明は、電磁加速用飛翔体に関し、特に、電磁加速管の内面と飛翔体との間の隙間を十分に設定し、飛翔体に設けたシールを電磁加速管の内面に摺接させることにより、摩擦の少ない安定した加速性能を得るための新規な改良に関する。
従来、用いられていたこの種の電磁加速管としては、例えば、図5で示される特許文献1に記載の構成を挙げることができる。
すなわち、図5において電磁加速管71と電源72とを備えてなる電磁加速装置においては、電磁加速管71の例えば断面正方形の飛翔体通路Sに飛翔体Fを配し、一対の導電レール板71a、71bと一対の絶縁板(図示せず)からなる断面四角状の電磁加速管71の一対をなす前記導電レール板71a、71bの飛翔体打ち出しの飛翔方向A(白抜きの矢印で示す)とは反対側の部位に接続された電源72のコンデンサ72aから、スイッチ72b及びコイル72cを介して導電性材料よりなる前記一対の導電レール板71a、71b間に放電電流を流す。これにより、非導電性材料(電気的絶縁材料)よりなる飛翔体Fの背部に取り付けられた金属箔片(一般にアルミ箔が用いられる)を介して導電レール板71a、71b間が短絡され、飛翔体Fの金属箔片が瞬時にプラズマ化されてプラズマ電機子体Pが形成される。
前記導電レール板71a、71bに流れる放電電流によって形成される磁場と、前記プラズマ電機子体Pを流れる放電電流との間に周知のローレンツ力が働き、このローレンツ力により飛翔体Fを前方へ加速推進するようにしている。
このような電磁加速装置においてプラズマ電機子体Pが冷却された中性ガスが飛翔体Fの背後の飛翔体通路Sに充満し、新たな放電がプラズマ電機子体P以外で発生し、飛翔体Fの加速に著しい悪影響が起こることが問題であり、特許文献1では該中性ガスを加速管72の側面に穴をあけて排気することによって解決を図ろうとするものであった。
特開平5−303322号公報
従来の電磁加速用飛翔体は、以上のように構成されていたため、次のような課題が存在していた。
すなわち、飛翔体背後の中性ガスの影響は比較的口径の小さい電磁加速装置において導電レール板間が狭いのでより重要な問題になるが、口径が大きくなると導電レール板間が広くなり、飛翔体背後での放電は起こりにくくなる。その代わり、口径が大きくなることによって飛翔体通路の内表面積が大きくなりプラズマ電機子体を構成する高温ガス圧力で口径がわずかに増大し、飛翔体と飛翔体通路内面との間にわずかな隙間ができ、該隙間を通ってプラズマが飛翔体の前面に漏れ出し、先行アークプラズマを生じることによる加速への悪影響がより重要な問題となっていた。
本発明による電磁加速用飛翔体は、一対の絶縁板及び導電レール板からなる電磁加速管内に飛翔本体を設け、前記各導電レール板に放電電流を印加し、前記放電電流を用いて形成されるローレンツ力により前記飛翔本体を加速させるようにした電磁加速用飛翔体において、前記飛翔本体の側面に長手方向に間隔をおいて形成された複数の側面溝と、前記各側面溝に設けられたシールとを有し、前記シールの外周面は前記導電レール板及び前記絶縁板の内面に対して摺動可能に密着するようにした構成であり、また、前記側面溝には、前記飛翔本体の飛翔方向に対して後側である前記シールの背部位置に、ガス溜り用の空間が形成されている構成であり、また、前記側面溝には、前記飛翔本体の飛翔方向に向けて下がる状態のテーパ面が形成されている構成である。
本発明による電磁加速用飛翔体は、以上のように構成されているため、次のような効果を得ることができる。
すなわち、飛翔体の側面溝にシールが設けられ、このシールの外周面が電磁加速管の内面に摺接して密着しているため、高温ガスが飛翔体の前面に回り込もうとするが、シールの手前の空間に溜り、シールをガス圧で押し広げようとするため、導電レール板の内面にシールが密着され、ガスが飛翔体の前面に回り込むのを防止することができる。
従って、飛翔体と電磁加速管内面との隙間を比較的大きくとることができ、電磁加速管内面の製造公差による凹凸に直接飛翔体がぶつかることがなく、摩擦の少ない安定した加速性能を得ることができる。
本発明は、電磁加速管の内面と飛翔体との間の隙間を十分に設定し、飛翔体に設けたシールを電磁加速管の内面に摺接させることにより、摩擦の少ない安定した加速性能を得るようにした電磁加速用飛翔体を提供することを目的とする。
以下、図面と共に本発明による電磁加速用飛翔体の好適な実施の形態について説明する。
尚、従来例と同一又は同等部分には、同一符号を用いて説明する。
図1において符号Fで示されるものは、一対の導電レール板71a、71bと一対の絶縁板71d、71eとで四角筒形に形成された電磁加速管71内で飛翔方向Aに飛翔可能に構成された飛翔体であり、この飛翔体Fは長手形状の飛翔本体1と複数のシール2とから構成されている。
前記飛翔本体1の外周面1cと電磁加速管71の内面71cとの間は、わずかな隙間(約0.1mm以下)が形成されるように構成され、加工における公差を吸収して飛翔体Fが摺動して加速されるように構成されている。
前記飛翔本体1の外周すなわち側面には複数の四角枠状の側面溝30が、その長手方向に沿って所定又は任意の間隔で形成され、各側面溝30は、凹溝31と、この凹溝31に連続し前記飛翔方向Aに向けて下がる状態に形成されたテーパ面32とから構成されている。
前記各凹溝31内には、四角枠状に形成され、弾性を有すると共に比較的高温に耐え摩擦係数の小さい絶縁材料(例えば、ポリテトラフルオロエチレン、商品名テフロン(登録商標))で形成されたシール2が設けられており、このシール2の外周面2bは前記電磁加速管71の内面71cすなわち前記各導電レール板71a、71bの内面71cに対して適度な圧接力を持ちかつ密着させて摺動できるように構成されている。
前記側面溝30の前記シール2の前記飛翔方向Aにおける後部である背部位置30Aには、前記テーパ面32に対応して空間33が形成されている。
次に、動作について述べる。前述の図5の従来例において説明したように、各導電レール板71a、71b間に放電電流Iを供給すると、周知のように飛翔体Fの背部に取付けられた金属箔片(図示せず)が瞬時にプラズマ化されてプラズマ電機子体Pが発生し、各導電レール板71a、71bに流れる放電電流Iによって形成される磁場とプラズマ電機子体Pを流れる放電電流Iとの間にローレンツ力が働き、このローレンツ力によって飛翔体Fの背面1bが押されて加速され始めるが、この際、このプラズマによる高温ガスが飛翔体Fと各導電レール板71a、71bの内面71cとの間のわずかな隙間を通って飛翔体Fの前面1a側に回り込もうとするが、この高温ガスはわずかな隙間の壁面で冷やされてシール2に達する。
前記高温ガスは、前記空間33内に溜まり、シール2をガス圧で押し広げようとするため、このシール2が前記各導電レール板71a、71bにより一層密着されるようになる。
従って、前記高温ガスのガス圧によって前記各導電レール板71a、71bの各内面71c間距離が元の状態から大きくなっても、シール2の外周面2bが前記各内面71cに追随して大きくなり、高温ガスの飛翔体Fの前面1a側への回り込みを防止し、高効率の加速を達成することができる。
次に、図2から図4は、本発明による前記シール2を用いた場合と、用いない場合の飛翔体Fの電磁加速管71における各プローブの出力の状態を示すもので、5本のプローブを用いて測定した結果、シール2を用いた飛翔体Fの方が安定していることが確認された。
本発明は、レールガン以外のエアサスペンション、エアアクチュエータ等の封止及び摺動構造にも適用可能である。
本発明による電磁加速用飛翔体を示す構成図である。 本発明による電磁加速用飛翔体の速度測定用磁気プローブの配置構成図である。 シール無し飛翔体を用いた場合の特性図である。 シール付き飛翔体を用いた場合の特性図である。 従来の電磁加速管を用いた加速装置の構成図である。
符号の説明
1 飛翔本体
I 放電電流
2 シール
2b 外周面
A 飛翔方向
30 側面溝
30A 背部位置
31 凹溝
32 テーパ面
33 空間
71a、71b 導電レール板
71d、71e 絶縁板
71c 内面

Claims (3)

  1. 一対の絶縁板(71d、71e)及び導電レール板(71a、71b)からなる電磁加速管(71)内に飛翔本体(1)を設け、前記各導電レール板(71a、71b)に放電電流(I)を印加し、前記放電電流(I)を用いて形成されるローレンツ力により前記飛翔本体(1)を加速させるようにした電磁加速用飛翔体において、
    前記飛翔本体(1)の側面に長手方向に間隔をおいて形成された複数の側面溝(30)と、前記各側面溝(30)に設けられたシール(2)とを有し、前記シール(2)の外周面(2b)は前記導電レール板(71a、71b)及び前記絶縁板(71d、71e)の内面(71c)に対して摺動可能に密着するように構成されていることを特徴とする電磁加速用飛翔体。
  2. 前記側面溝(30)には、前記飛翔本体(1)の飛翔方向(A)に対して後側である前記シール(2)の背部位置(30A)に、ガス溜り用の空間(33)が形成されていることを特徴とする請求項1記載の電磁加速用飛翔体。
  3. 前記側面溝(30)には、前記飛翔本体(1)の飛翔方向(A)に向けて下がる状態のテーパ面(32)が形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の電磁加速用飛翔体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP6994617B2 (ja) 2017-11-13 2022-01-14 英将 福岡 電磁飛翔体加速装置

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