JP2007187296A - 気体圧制御弁 - Google Patents

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勝美 佐々木
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Abstract

【課題】気体圧制御弁において、より簡単な工程で、スプールとスリーブの間に気体軸受機構を設けることである。
【解決手段】気体圧制御弁10は、3つのランド部20,22,24と、ステム部26とを含むスプール14と、スプール14を軸方向移動可能に支持し、1次側気体圧を有する気体を供給する供給口40と、気体を排出する排気口42と、2次側気体圧を取り出す負荷口44とを有するスリーブ16とを備える。スプール14の軸方向の両端に配置される前後ランド部20,24は、スリーブの内径に対応する一様な外径を有する摺動部19,30,31と、摺動部の外径より細い一様な外径を有し、スリーブ16の内壁との間で表面絞り隙間を形成する絞り外径部21,32,33を含む。スプール14は、機械加工によって得ることができる。
【選択図】図2

Description

本発明は気体圧制御弁に係り、特に、スプールとスリーブとを備える気体圧制御弁に関する。
流体圧回路や流体供給回路において管路の圧力制御や流量調整を行うために、移送弁あるいはサーボ弁等と呼ばれるフィードバック機構を内蔵した制御弁装置が用いられる。例えば、特許文献1には、トルクモータでスプールを駆動する油圧回路の流量等を制御するサーボ弁が開示され、特許文献2にはフォースモータでスプールを駆動する流体回路の流量等を制御するパイロットバルブが開示される。これらにおいて、スプールは複数のランド部を有し、そのスプールは軸方向移動可能にスリーブにより支持され、スリーブには圧力流体の供給口と、排出口と、圧力等が制御された流体を負荷に出力する負荷口が設けられ、スリーブに対するスプールの軸方向移動駆動により、スプールのランド部と負荷口等の位置関係を変化させて負荷に出力する流体の圧力や流量を制御している。
例えば、負荷口の軸方向の開口長さとほぼ同じ長さで、スプールの中央ランド部を設定し、そのランド部の一方側に供給口から圧力流体を供給し、他方側を排出口側に接続する構成をとる。この構成の場合では、中立位置ではスプールの中央ランド部がちょうど負荷口をふさぐが、スプールを僅かに排出口側に移動すると、中央ランド部と供給口との間の位置関係が変わり、供給口側と負荷口が連通し、圧力気体が負荷口に流れ込む。これによりスプールはさらに排出口側に移動しようとするが、実際にはサーボ弁にはスプールを中立位置に戻す付勢力が与えられ、あるいは位置検出等のフィードバックが行われるので、スプールは逆に供給口側に戻される。スプールが供給口側に戻されると、中央ランド部と排出口との間の位置関係が変わり、排出口側と負荷口が連通し、負荷側の流体は大気に排出される。そこで再び付勢力又はフィードバックによりスプールは供給口側に戻される。
このように、スプールのランド部と負荷口等との位置関係と、スプールの付勢力又は運動検出のフィードバックにより、スプールは中立位置を中心に微妙に移動させることで、負荷に出力する流体の圧力や流量を制御することができる。
特開昭42−12880号公報 特公昭39−4958号公報
このようなスプールとスリーブを備え、ランド部と負荷口との相対的な位置関係によって負荷側の流体圧を制御する方式においては、スリーブに対するスプールの動きが滑らかであることが望まれる。そこで、スプールとスリーブとを用いる気体圧制御弁においては、スプールのランド部の外周と、ランド部に対向するスリーブの内壁との間に気体軸受機構を設けることが試みられる。気体軸受機構は、狭い隙間に気体を流し、それによってランド部をスリーブの内壁に対し浮上させるものである。
気体軸受機構において、隙間に流れる気体の流れを滑らかにし、浮上効果を効率的にするために、例えばランド部の表面に軸方向に沿って浅溝が設けられることが望ましい。この浅溝は、スプールの軸方向に沿って流れる気体の高圧側から始まり、軸方向に沿って適当な長さで低圧側に延びる。したがって、気体は、高圧側から浅溝を通り、より狭い隙間に向かって絞られて低圧側に流れ、この絞り効果のため、絞り部分で圧力上昇を生じ、スプールをスリーブに対し効率的に浮上させることができる。細溝の寸法の例としては、幅が10分の数mmから数mm程度、溝深さが数μmから20μ程度、細溝の長さは数mmから数10mm程度である。
このような細溝をランド部の表面に形成するには、複雑な工程を要する。1つの方法は、ランド部に部分的なエッチングを行うことである。この方法は、細溝部分以外の全部の領域について耐エッチング性を有するレジスト材料でマスキングされる必要がある。もう1つの方法は、円筒状のランドから出発し、細溝以外の領域に、細溝の深さに相当する厚みでメッキを行う方法である。この方法は、細溝部分にメッキされないように、細溝部分のところにレジスト材料が配置されてマスキングされる。
いずれの方法を採用するにしても、細い幅に対するマスキングが必要で、エッチングあるいはメッキ工程のあと、そのマスキングに用いられたレジスト材料を除去する必要がある。このように、気体圧制御弁において、スプールのスリーブに対する動きを滑らかにするために、気体軸受機構を設けるには、複雑な工程を必要としている。
また、スリーブにセラミック材料を用いると、腐食性環境に強い等の利点があるが、このような細溝加工等を行うことが極めて困難である。
本発明の目的は、より簡単な工程で、スプールとスリーブの間に気体軸受機構を設けることができる気体圧制御弁を提供することである。他の目的は、セラミック材料で構成されるスプール又はスリーブを用いて、スプールとスリーブの間に気体軸受機構を設けることができる気体圧制御弁を提供することである。
本発明に係る気体圧制御弁は、間隔をおいて軸方向に配置された少なくとも3つのランド部と、隣接するランド部を接続しランド部の外径より細い外径を有するステム部とを含むスプールと、スプールを軸方向移動可能に支持する内壁を有し、スプールと協働してスプールの隣り合うランド部の間の空間を内壁で囲むことで少なくとも2つの圧力室を形成するスリーブであって、1次側気体圧を有する気体を供給する供給口と、気体を排出する排気口と、2次側気体圧を取り出す負荷口とを有するスリーブと、を備え、スリーブに対してスプールを相対的に移動駆動することで2次側気体圧を制御する気体圧制御弁であって、スプールの軸方向の両端に配置される前後ランド部の少なくとも一方は、スリーブの内径に対応する一様な外径を有する摺動部と、ステム部の外径より太く、かつ摺動部の外径より細い一様な外径を有し、スリーブの内壁との間で表面絞り隙間を形成する絞り外径部と、を含み、圧力室の気体が表面絞りの隙間を通って、摺動部とスリーブの内壁との間の隙間に流れることを特徴とする。
また、絞り外径部は、摺動部の外径形状よりも5μm以上30μm以下の範囲で細い外径形状を有することが好ましい。
また、本発明に係る気体圧制御弁において、スプールの軸の内部に設けられる気体流路であって、供給口から1次側気体圧を有する気体が導かれる圧力室から、前後ランド部の一方のランド部における絞り外径部へ、1次側気体圧を有する気体を導く気体流路を有することが好ましい。
また、スプール又はスプールの少なくとも1つは、セラミック材料で構成されていることが好ましい。
上記構成により、スプールの軸方向の両端に配置される前後ランド部の少なくとも一方は、スリーブの内径に対応する一様な外径を有する摺動部と、ステム部の外径より太く、かつ摺動部の外径より細い一様な外径を有し、スリーブの内壁との間で表面絞り隙間を形成する絞り外径部とを含む。つまり、ランド部は、一様な外径の摺動部と、摺動部より細い一様な外径の絞り外径部とからなっている。したがって、異なる外径の加工のみで表面絞り隙間を形成でき、複雑なマスキング工程やその除去工程等を要しない。
また、絞り外径部は、摺動部の外径形状よりも5μm以上30μm以下の範囲で細い外径形状を有するので、例えば研削加工等の周知の外形加工によって所望の寸法を得ることができる。
また、1次側気体圧を有する気体が導かれる圧力室から、前後ランド部の一方のランド部における絞り外径部へ、1次側気体圧を有する気体を導く気体流路がスプールの内部に設けられる。これにより、スプールの前後ランド部の一方のランド部には1次側気体圧の圧力室から直接に絞り外径部に、他方のランド部には、スプールの内部を通る気体流路からその絞り外径部に、1次側気体圧を有する気体が導かれて、それぞれ表面絞りを形成することができる。
また、スプール又はスリーブのうち、少なくとも1方は、セラミック材料で構成されているとする。この場合、異なる外径形状、例えば直径が異なる加工のみで表面絞り隙間を形成できるので、セラミック材料のスプール又はスプールに対し、簡単な工程で、表面絞り隙間を形成できる。
上記のように、本発明に係る気体圧制御弁によれば、より簡単な工程で、スプールとスリーブの間に気体軸受機構を設けることができる。また、セラミック材料で構成されるスプール又はスリーブを用いる気体圧制御弁についても、より簡単な工程で、スプールとスリーブの間に気体軸受機構を設けることができる。
以下に図面を用いて本発明に係る実施の形態につき、詳細に説明する。以下において、気体圧制御弁は、3つのランド部を有し、1つの負荷口を有するいわゆる三方弁として説明するが、ランド部の数はこれ以外であってもよい。例えば4つのランド部を有し、2つの負荷口を有するいわゆる五方弁であってもよい。また、スプールを軸方向に駆動するものとしてリニアモータを説明するが、それ以外の駆動機構であってもよい。たとえば、トルクモータであってもよい。また、ランド部及びスプールの断面は円形として説明するが、相互的に摺動が可能な外径形状であれば、多角形断面等であってもよい。ここで外径形状とは、断面の差し渡し代表寸法である外径を規定する形状を意味する。断面が円形の場合、外径は直径で、外径形状は円形である。
図1は、図示されていない負荷、例えば微小移動機構のアクチュエータに、精密に調整された2次側気体圧Paを供給できる気体圧制御弁10の詳細な構成図である。気体圧制御弁10は、気密構造の筐体12の中に、スプール14とスリーブ16と、スプール14を軸方向に移動駆動するリニアモータ50と、スプール14の軸方向の位置情報を検出する差動変圧器方式の変位センサ60等を備える。
気体圧制御弁10の動作は、制御部80により制御される。制御部80には、変位センサ60の検出信号が入力され、これらに基づき、リニアモータ50へ駆動信号が出力される。かかる制御部80は、適当なアナログ電子回路又はディジタル電子回路や、コンピュータ等のデータ処理装置で構成することができる。制御部80は、気体圧制御弁10の一部として構成してもよく、また独立して構成してもよく、あるいは気体圧制御弁10の出力圧力が供給される負荷、例えば微小移動機構のアクチュエータ等における制御部の一部として構成することもできる。
筐体12は、内部に気体圧制御弁10の各構成要素を収納し、スリーブ16の供給口40、排気口42、負荷口44にそれぞれ接続されて外部に開口する各気体ポートを除いて気密であるケース体で、数個のブロックを組み立てて得ることができる。図1の例では、スリーブ16の外周を固定保持するブロックを中心に、リニアモータ50と変位センサ60を組み込みやすいように、全体として3つのブロックに分けられている。かかる筐体12は、適当な金属ブロックを加工し、適当な気密シーリングを用いながら気密に組み立て、適当な固定手段で固定して得ることができる。材質は、気密性、堅牢性等を満たせば金属以外のものを一部用いることができるが、少なくともリニアモータ50のヨークを構成する部分は、磁性体であることを要する。
スプール14はスリーブ16に軸方向移動可能に支持され、スプール14は、軸方向に間隔を置いて配列された3つのランド部20,22,24と、隣接するランド部を接続するステム部26とを含む。スプール14はリニアモータ50によって、図1に示すX方向、すなわち軸方向に移動駆動される。
スリーブ16には、1次側気体圧Psが供給される供給口40と、大気Pに開放される排気口42と、図示されていない負荷に2次側気体圧Paを出力する負荷口44とが設けられる。
スプール14とスリーブ16の組み合わせは、一般的なもので、スリーブの内径は軸方向に一様で、スプールの各ランド部の外径も、後述する絞り外径部等の一部を除いて、スリーブの内径よりやや小さめであるが同じである。そして、スプール14とスリーブ16との組み合わせで、−X方向から+X方向の順に、第1圧力室46、第2圧力室48が形成される。
すなわち、スプール14の中央側に配置されるランド部22は、その幅がスリーブ16の負荷口44のX方向の開口幅とほぼ等しくあるいはやや長めに設定され、中立状態では、ランド部22は負荷口44をふさぐように向かい合っている。そして、この中央のランド部22と、最も−X側で左側のランド部20と、スリーブ16の内壁と、ステム部26とに囲まれる空間が第1圧力室46で、第1圧力室46に供給口40が接続される。また、この中央のランド部22と、最も+X側で右側のランド部24と、スリーブ16の内壁と、ステム部26とに囲まれる空間が第2圧力室48で、第2圧力室48には排気口42が接続される。
したがって、中央のランド部22は、スリーブ16の内径と協働して、第1圧力室46と、第2圧力室48との間を仕切る機能を有し、その前後の2つのランド部20,24は、それぞれ第1圧力室46、第2圧力室48を外部から仕切り、特に、スプール14の軸方向の移動に対し、スリーブ16の内壁と協働して、直進性のよい摺動を保持する機能を有する。これにより、スプール14が中立状態から図1に示す+X方向に移動駆動されると、中央のランド部22は負荷口44の−方向側を開け、供給口40から1次側気体圧Psが負荷口44へ流れ込む。逆に、スプール14が中立状態から図1に示す−X方向に移動駆動されると、中央のランド部22は負荷口44の+X方向側を開け、負荷口44からの気体が排気口42のほうへ開放される。
スリーブ16の供給口40、排気口42、負荷口44は、それぞれ筐体12の供給ポート、排気ポート、負荷ポートに開口し、筐体12の供給ポートには図示されていない気体供給源が接続され、排気ポートは大気に開放され、負荷ポートには微小移動機構のアクチュエータ等の負荷が接続される。
スプール14とスリーブ16の構成、特にスプール14の詳細な構成は後述することにして、その他の要素について先に説明する。
リニアモータ50は、スプール14を軸方向に移動駆動する駆動機構で、スプール14の軸方向の一方側における先端部に固定して取り付けられる。図1の例では、スプール14の最も左側のランド部20に近い先端部に取り付けられる。リニアモータ50は、軸方向、すなわち図1のX方向に沿って配置される固定子磁気ギャップと、その固定子磁気ギャップの中を軸方向に移動する可動子を含む直線駆動装置で、スプール14を軸方向に移動駆動する機能を有する。具体的には、磁性体である筐体12の一部に、X方向を軸方向とする円環状のギャップが設けられ、そのギャップの一方側に磁石52が取り付けられる。このことで、ギャップが、軸方向に配置された固定子磁気ギャップとなる。可動子は、この固定子磁気ギャップの中を軸方向に移動できる円環状の部分を有する移動体54と、移動体54の円環状の部分に軸方向に配列されたコイル56を含んで構成される。
磁石52は、固定子磁気ギャップを形成し、コイル56に鎖交する磁束を発生するためのものである。磁石52は、上記の円環状ギャップに合わせ、円環状としてもよく、また必要なトルクを得る程度に、円管状ギャップの一部に設けてもよい。かかる磁石としては、高性能の永久磁石を用いることができる。筐体12に磁石52を取り付けるには、適当な接着材を用いてもよく、あるいは、磁性体と磁石の吸引力のみで保持することもできる。
移動体54は、固定子磁気ギャップと協働して駆動力を発生するコイル56を搭載し、またスプール14が取り付けられる部品である。移動体54は、概略お椀形の形状のもので、お椀形の円環状側面にコイル56が円周方向に沿って巻きつけられる。お椀形の底にあたる部分は、スプール14との接続部である。かかる移動体54は、適当な強度を有する樹脂又は金属を用い、一体成形で得ることができる。また、必要なトルクを得られるならば、移動体54を完全な円環状とせずに、円環状の一部の形状として、そこにコイル56を巻回してもよい。
コイル56は、絶縁被服導線を移動体54の円環状側面に円周状に複数回巻回されたもので、導線の抵抗、巻数等は、固定子磁気ギャップの特性設定とともに、リニアモータ50の速度や応答性性能の面から設定される。また、コイル56の引き出し線58は、移動体54の円環状側面に沿って適当に這わされたのち、たわみを十分に持った自由端となって、空中を経由して接続端子70に接続される。このたわみや、導線のしなやかさは、移動体54の高速移動や応答性等に影響が少ないように選ぶことが好ましい。
変位センサ60は、スプール14の軸方向の他方側における先端部に取り付けられ、スプール14の軸方向の変位を差動変圧器方式により検出する機能を有する。ここでは、スプール14の他方側の先端部をさらに延ばし、その先に軟磁性体プローブ62を取り付け、これと協働するトランス巻線64を筐体12側に設ける。軟磁性体プローブ62は、スプール14と一体として軸方向に移動し、トランス巻線64の空洞部への挿入長さに応じた信号がトランス巻線64から出力される。トランス巻線64の各端子は、接続端子72を介して制御部80に接続されるので、必要な動作条件は制御部80から供給され、軟磁性体プローブ62の軸方向変位に応じた信号は制御部80に出力される。
なお、変位センサ60に代えて、サーチコイル型の速度検出センサ、磁気式の位置検出センサ等を用いてもよい。また、位置検出及び速度検出をともに行い、制御部80にフィードバックしてもよく、さらに加速度のフィードバックを行うこととしてもよい。このように、スプール14の運動情報を検出して制御部80に供給することで、制御部80において、変位、速度、加速度等のフィードバック制御を行うことができ、精密な2次側気体圧Paの制御が可能になる。
このような構成の気体圧制御弁10において、制御部80よりリニアモータ50に駆動信号が与えられると、それに応じてリニアモータ50の移動体54が軸方向に移動駆動され、移動体54と接続されるスプール14がスリーブ16に対して相対的に軸方向に移動する。これにより、スプール14のランド部22と負荷口44との相対位置が変化し、その変化量に応じ、負荷口44に調整された2次側気体圧Paが出力され、これを用いて気体アクチュエータ等の負荷が駆動される。
次に、スプール14とスリーブ16の構成について説明する。図2は、気体圧制御弁10のスプール14とスリーブ16の部分を抜き出して示す図であり、図3は、スプール14の中核部分の斜視図である。中央のランド部22は、スリーブ16の内径に対応する一様な外径を有する。ここでスリーブ16の内径に対応するとは、摺動に適した隙間分だけスリーブ16の内径より細い外径であることを意味する。例えば、スリーブ16が軸方向に一様な内径を有しているとし、その内径が10mmの場合、中央のランド部22の外径は、10mmより約14μm程度細い。
最も左側のランド部20は、太さの異なる2つの外径部を有する。1つは、スプール14の最も左側に配置され、スリーブ16の内径に対応する一様な外径を有する摺動部19である。摺動部19の外径は、中央のランド部22の外径と同じで、スリーブ16の内径に対応する外径である。ランド部20のもう1つの外径部は、ステム部26の外径より太く、かつ摺動部19の外径より細い一様な外径を有し、スリーブ16の内壁との間で表面絞り隙間を形成する絞り外径部21である。このように絞り外径部21の外径は、表面絞りを形成するために摺動部19の外径より細いが、その細さは、上記の寸法例では、直径で約5μm以上約40μm以下がよい。スリーブ内径の大きさによりこの細さ範囲は異なるが、スリーブ内径が数mmから数10mmの範囲であれば、絞り外径部21の外径形状は、摺動部19の外径形状より直径で約5μm以上30μm以下の範囲で細いことが好ましい。なお、最も左側のランド部20において、スリーブ内径を約10mmとして、摺動部19の軸方向の長さを約2mm、絞り外径部21の軸方向の長さを約8mm程度とすることができる。
最も右側のランド部24は、太さが3段階に異なる3つの外径部を有する。最も太い外径部は、第2圧力室48の右側に配置される摺動部30と、スプール14の最も右側に配置される摺動部31である。摺動部30,31の外径は、最も左側のランド部20の摺動部19の外径と同じで、また、中央のランド部22の外径と同じであり、スリーブ16の内径に対応する外径である。ランド部24において、次に細い外径部は、摺動部30のすぐ右側の絞り外径部32と、摺動部31のすぐ左側の絞り外径部33である。絞り外径部32,33の外径は、最も左側のランド部20の絞り外径部21の外径と同じである。ランド部24において、最も細い外径部は、気体供給外径部34である。気体供給外径部34の直径は、ステム部26の外径より太いが、同じであってもよい。なお、最も左側のランド部20において、スリーブ内径を約10mmとして、摺動部30,31の軸方向の長さをそれぞれ約2mm、絞り外径部21の軸方向の長さをそれぞれ約6mmから約8mm程度、気体供給外径部34の軸方向の長さを約2mmから約4mm程度とすることができる。
気体供給路28は、最も左側のランド部20と中央のランド部22との間のステム部に一方の開口27を有し、最も右側のランド部24の気体供給外径部34に他方の開口29を有し、ステム部26の内部を通る気体流路である。図2から理解できるように、気体供給路28の一方の開口27は、第1圧力室46に面して開口する。したがって、供給口40から第1圧力室46に導かれる1次側気体圧Psを有する気体は、この開口27から気体供給路28を通り、他方の開口29から流れ出ることができる。このように、気体供給路28は、1次側気体圧Psを有する気体を、最も右側のランド部24の気体供給外径部34のところに導く機能を有する。
このようなスプールを得るには、次のような機械加工の工程を用いることができる。最初に、スリーブの内径よりやや太目の直径を有する軸を用意する。そして、次にその外径をスリーブの内径とほぼ同じに切削加工する。そして、ステム部に相当する部分も切削加工により細く加工する。ステム部の直径の精度はそれほど重要ではない。これにより、ステム部の加工と、3つのランド部の粗加工がなされたことになる。そして、3つのランド部の外径をすべて同じとして、研削加工により、スリーブの内径より、摺動に適した隙間分細くなるように加工する。この細さは、一例を上げると、スリーブ内径を約10mmとするときに、半径で約7μm程度細く、直径で約14μm程度細くする。その後に、絞り外径部に対応する部分を、さらに半径で約2.5μmから15μm、直径で約5μmから30μm細く研削加工する。
このように、機械加工により、前後ランド部において摺動部と絞り外径部とを備えるスプールを得ることができる。スプールの材質としては、SUSやアルミニウム等の金属材料を用いることができる。
スプールの材質として、アルミナ等のセラミックを用いることもできる。材質としてセラミックを用いる場合は、金属材料に対し加工性が劣るが、その熱伝導性等により、例えば研削時の温度変化を少なくでき、高精度に加工できる。また、加工が切削加工および研削加工であるので、前後ランド部において摺動部と絞り外径部とを備えるスプールを容易に得ることができる。
図4、図5は、スプールの前後ランド部における絞り外径部と摺動部の機能を説明する図である。図4は最も左側のランド部についての気体の流れを示し、図5は最も右側のランド部についての気体の流れを示す図である。
図4において、最も左側のランド部における絞り外径部21の右側は、第1圧力室46で、上記のようにここには1次側気体圧Psを有する気体が導かれている。一方で、最も左側のランド部における摺動部19の左側は大気Poに開放されている。したがって、第1圧力室46の1次側気体圧Psを有する気体は、スリーブ16と絞り外径部21との間の隙間を通り、さらに狭い隙間であるスリーブ16と摺動部19との間を通って、大気Po側に流れる。隙間は、軸の半径について測られるので、上記の例では、絞り外径部21における隙間と、摺動部19における隙間の差は、約2.5μm以上15μm程度である。このように、気体は、高圧側からスリーブ16と絞り外径部21との間の隙間を通り、より狭い隙間に向かって絞られて低圧側に流れるので、いわゆる表面絞り装置となる。この絞り効果のため、絞り部分で圧力上昇を生じ、摺動部19をスリーブ16に対し浮上させる。
図5においては、最も右側のランド部の気体供給外径部34の開口29から1次側気体圧Psを有する気体が導かれている。一方で、最も右側のランド部における摺動部30の左側は第2圧力室48で大気Poに開放されており、また摺動部31の右側も大気Poに開放されている。したがって、1次側気体圧Psを有する気体は、スリーブ16と絞り外径部32,33との間の隙間を通り、さらに狭い隙間であるスリーブ16と摺動部30,31との間を通って、大気Po側に流れる。このように、気体は、高圧側からスリーブ16と絞り外径部32,33との間の隙間を通り、より狭い隙間に向かって絞られて低圧側に流れるので、いわゆる表面絞り装置となる。この絞り効果のため、絞り部分で圧力上昇を生じ、摺動部30,31をスリーブ16に対し浮上させる。
このように、摺動部をスリーブの内径に対応した一様な直径を有するものとし、絞り外径部を、摺動部の外径形状より直径で約5μmから約30μmの範囲で細くした一様な直径を有するものとすることで、スプールとスリーブとの間に気体軸受機構を形成することができる。この構成の場合、切削加工と研削加工等で、前後ランド部において摺動部と絞り外径部とを備えるスプールを容易に得ることができ、複雑なマスキング工程及びその除去工程を要しない。
本発明に係る実施の形態における気体圧制御弁の詳細な構成図である。 本発明に係る実施の形態において、スプールとスリーブの部分を抜き出して示す図である。 本発明に係る実施の形態において、スプールの中核部分の斜視図である。 本発明に係る実施の形態において、最も左側のランド部についての気体の流れを示す図である。 本発明に係る実施の形態において、最も右側のランド部についての気体の流れを示す図である。
符号の説明
10 気体圧制御弁、12 筐体、14 スプール、16 スリーブ、19,30,31 摺動部、20,22,24 ランド部、21,32,33 絞り外径部、26 ステム部、27,29 開口、28 気体供給路、34 気体供給外径部、40 供給口、42 排気口、44 負荷口、46 第1圧力室、48 第2圧力室、50 リニアモータ、52 磁石、54 移動体、56 コイル、58 引き出し線、60 変位センサ、62 軟磁性体プローブ、64 トランス巻線、70,72 接続端子、80 制御部。

Claims (4)

  1. 間隔をおいて軸方向に配置された少なくとも3つのランド部と、隣接するランド部を接続しランド部の外径より細い外径を有するステム部とを含むスプールと、
    スプールを軸方向移動可能に支持する内壁を有し、スプールと協働してスプールの隣り合うランド部の間の空間を内壁で囲むことで少なくとも2つの圧力室を形成するスリーブであって、1次側気体圧を有する気体を供給する供給口と、気体を排出する排気口と、2次側気体圧を取り出す負荷口とを有するスリーブと、
    を備え、スリーブに対してスプールを相対的に移動駆動することで2次側気体圧を制御する気体圧制御弁であって、
    スプールの軸方向の両端に配置される前後ランド部の少なくとも一方は、
    スリーブの内径に対応する一様な外径を有する摺動部と、
    ステム部の外径より太く、かつ摺動部の外径より細い一様な外径を有し、スリーブの内壁との間で表面絞り隙間を形成する絞り外径部と、
    を含み、圧力室の気体が表面絞りの隙間を通って、摺動部とスリーブの内壁との間の隙間に流れることを特徴とする気体圧制御弁。
  2. 請求項1に記載の気体圧制御弁において、
    絞り外径部は、摺動部の外径形状よりも5μm以上30μm以下の範囲で細い外径形状を有することを特徴とする気体圧制御弁。
  3. 請求項1に記載の気体圧制御弁において、
    スプールの軸の内部に設けられる気体流路であって、供給口から1次側気体圧を有する気体が導かれる圧力室から、前後ランド部の一方のランド部における絞り外径部へ、1次側気体圧を有する気体を導く気体流路を有することを特徴とする気体圧制御弁。
  4. 請求項1に記載の気体圧制御弁において、
    スプール又はスプールの少なくとも1つは、セラミック材料で構成されていることを特徴とする気体圧制御弁。
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