JP2007186833A - カテキン類の耐水化方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の耐水化方法は煩雑な工程を経る必要も無く、カテキン類に水溶性高分子化合物を反応させるだけであるため、安全性や汎用性に優れると共に、その耐水化物は様々な素材に担持せしめることが可能である。当該カテキン類耐水化物は耐水性を備えており、かつ耐水化物の状態でもカテキン類の各種機能が保持される。また口腔内においてカテキン類由来の苦渋味の拡散を抑制する効果も有している。更に、本発明の耐水化方法を用いてカテキン類を形成物へ耐水固定化させたカテキン類耐水固定化形成物においては、洗浄などによるカテキン類の溶出を抑制することができる。
【選択図】なし
Description
しかしながら、カテキン類は水溶性であるため、カテキン類の水溶液を塗布したフィルター等の形成物を水で洗ったりすると、塗布されているカテキン類が溶出し、抗菌性や脱臭性が大きく低下してしまう。また、シート等の形成物にカテキン類を担持した場合には、湿度の高い環境で溶出してしまい、色移りなどの問題もあげられている。そのため、カテキン類に耐水性を付与する技術が強く求められていた。
すなわち、請求項1記載の本発明は、ガレート体カテキン(A)と非ガレート体カテキン(B)の重量比率A/Bが0.8以上であるカテキン類と、水溶性セルロースエーテル類、ポリアルキルエーテル類及びポリビニルアルコール類から選ばれる1種又は2種以上の水溶性高分子化合物を混合し、反応させることを特徴とするカテキン類の耐水化方法である。
本発明におけるカテキン類とは、茶樹(Camellia sinensis)の主に葉、茎、およびこれらを緑茶、紅茶、ウーロン茶、プアール茶等に加工したものを原料とし、それらを水、熱水、有機溶媒、含水有機溶媒等により抽出して得られる茶抽出物に含有される成分であり、(±)−カテキン、(−)−エピカテキン、(−)−エピガロカテキン、(±)−ガロカテキン等の非ガレート体カテキンと、(−)−エピカテキンガレート、(−)−カテキンガレート、(−)−エピガロカテキンガレート、(−)−ガロカテキンガレート等のガレート体カテキンの総称を指す。
茶抽出物としては、例えば、三井農林株式会社製「ポリフェノン」、太陽化学株式会社製「サンフェノン」、株式会社伊藤園製「テアフラン」等の市販品を利用することが簡便である。
カテキン類含量は以下の条件でHPLC法を用いて行い、(±)−カテキン、(−)−エピカテキン、(−)−エピガロカテキン、(±)−ガロカテキン、(−)−エピカテキンガレート、(−)−カテキンガレート、(−)−エピガロカテキンガレート、(−)−ガロカテキンガレートの合計をカテキン類含量とした。
装置 :アライアンスHPLC/PDAシステム(日本ウォーターズ株式会社)
カラム:Mightysil RP−18 GP、4.6mmφ×150mm(5μm)(関東化学株式会社)
移動相:A液 アセトニトリル:0.05%リン酸水=25:1000
B液 アセトニトリル:0.05%リン酸水:メタノール=10:400:200 (体積比)
グラジエント:注入3分後から25分後にA液100%からB液100%に達するリニアグラジエント
流速:1ml/min
検出:UV230nm
カラム温度:40℃
<カテキンフィルムの試作>
カテキン溶液として市販の茶抽出物であるポリフェノン70A(三井農林株式会社製;カテキン類83重量%、ガレート体カテキン/非ガレート体カテキン=12.35)の2重量%水溶液を調整した。
<カテキン類耐水固定化不織布の試作>
カテキン溶液として実施例1で用いたポリフェノン70Aの他に、茶抽出物ポリフェノンCH(三井農林株式会社製;カテキン類28重量%、ガレート体カテキン/非ガレート体カテキン=1.88)、茶抽出物ポリフェノンG(三井農林株式会社製;カテキン類29重量%、ガレート体カテキン/非ガレート体カテキン=1.28)、茶抽出物ポリフェノンKN(三井農林株式会社製;カテキン類32重量%、ガレート体カテキン/非ガレート体カテキン=1.08)を用いて、それぞれカテキン類として4重量%となるようにアスコルビン酸2重量%水溶液に溶解した。
上記の各カテキン類耐水固定化不織布を密封容器に入れ、50mlの水を添加して40℃で放置してカテキン類溶出試験を行なった。30分経過後、不織布を取り除いた溶液を0.45μmのメンブランフィルターで処理し、HPLC法でカテキン類溶出量を測定した。取り除いた不織布は50℃の乾燥機で60分間乾燥後、密封容器に入れ、新しく50mlの水を添加して同様に溶出試験を行った。この操作を繰り返し、計5回の溶出試験を行って上記に示した数1の計算式を用いてコントロールの溶出量に対する各カテキン類の耐水化反応率を求め、判定(◎:良い、○:やや良い、△:やや悪い、×悪い)を行った。
〈耐水カテキン類耐水固定化フィルターの試作〉
カテキン溶液として、10mlの60容量%エタノール水溶液にポリフェノン70Aを30mg(カテキン類として25mg)溶解する。これに、実施例1で用いたメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコールのいずれかをそれぞれ5mg、12.5mg、25mg、50mg、125mg、250mg、1250mg、2500mg加え、攪拌してカテキン類と水溶性高分子化合物の混合溶液を調製する。これらの混合溶液を濾紙(アドバンテック、No.5c、110mm)1枚に滴下塗布し、乾燥させてカテキン類耐水固定化フィルターを試作した。
以上のように試作されたカテキン類耐水固定化フィルターを、1L広口瓶上部にテープで貼り付け、下部に19mlの水と攪拌子を入れる。これに0.4重量%のアンモニア水溶液1mlを加え、すばやくアルミホイルで蓋をして密封し、室温で30分間攪拌後、ヘッドスペース中の残存アンモニア濃度をガス検知管(株式会社ガステック、No.3La使用)で測定を行った。
なお、予備試験において液中のアンモニア濃度と気中のアンモニア濃度は平衡関係にあることを確認してある。
厚さ15mmのスギ無垢材の表面にポリフェノンG水溶液を10g/m2(カテキン類として2.9g/m2)となるように塗布した。乾燥後、メチルセルロースを10g/m2となるように上塗りして乾燥させ、カテキン類耐水固定化木材を試作した。また、コントロールとしてポリフェノンG水溶液のみを塗布したもの及びメチルセルロースのみを塗布したものも試作した。
上記の方法で試作した木材を15cm×5cmに切り取り、木口、及び裏面をアルミテープで覆い、試験片とする。内径24cmのデシケーター底部に300mlの精製水を入れた結晶皿を置き、その結晶皿の上に各試験片10枚を放射状に立てたホルダーを設置した。デシケーターの蓋内側には、直径90mmの濾紙(No.5C、アドバンテック)を貼り付け、そこに約4%ホルムアルデヒド水溶液500μlを滴下し、素早く蓋をしめた。
精製水中に移行したホルムアルデヒド量は、溶液1mlにDNPH試薬(0.24%DNPH/2N−HCl)1mlを加えて室温で30分程反応させて、ホルムアルデヒドをDNPH誘導体化した後に、次の条件によりHPLCにて測定した。
装置 :アライアンスHPLC/PDAシステム(日本ウォーターズ株式会社)
カラム:Mightysil RP−18 GP、4.6mmφ×150mm(5μm)(関東化学株式会社)
移動相:50%アセトニトリル水溶液
流速:1ml/min
検出:UV355nm
カラム温度:40℃
<マスキング剤>
表5に示す処方により打錠剤を試作した。この打錠剤1Kgに対してアスコルビン酸が2重量部、ポリフェノン70Aが4重量部、メチルセルロースが8重量部、エタノールが40重量部、水が46重量部からなるコーティング液を6g/minの速度で30分間スプレー塗布し、被覆した。得られた錠剤について、被覆を行わなかったものと比較し、口に含んだときに感じる不快味の程度を官能検査にて4点評価(4:感じられない、3:ほとんど感じられない、2:やや感じる、1:感じる)を行い、平均を求めた。結果を表5に示す。なお、本試験は10名のパネラーで行った。
<カテキン粉末>
5重量%のポリフェノン70A水溶液にメチルセルロース10重量%水溶液を同量添加し、攪拌混合してカテキン類耐水化物を生成させた。これを遠心分離(16,000rpm×10min)にかけ、上清を除去した。残った耐水化物に蒸留水を加えて、再び同条件で遠心分離し、耐水化物を洗浄した。この洗浄工程を計3回繰り返し、得られた耐水化物を乾燥後、粉砕機で細かく粉砕してカテキン類耐水化物の粉末を得た。
<カテキン肌着>
カテキン溶液としてポリフェノン70Aを5重量%となるようにアスコルビン酸2重量%水溶液に溶解した。また、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを10重量%となるようにエタノールに溶解し、前記のカテキン溶液とそれぞれ等量混合した。綿100%の肌着用メリヤス生地を生地重量の200%量の混合溶液中に含浸させて100℃で乾燥し、カテキン類耐水固定化肌着を作製した。
<カテキンマスク>
カテキン溶液としてポリフェノン70Aの1重量%水溶液を調製した。また、メチルセルロースを2重量%となるようにエタノールに溶解し、前記のカテキン溶液とそれぞれ等量混合した。この溶液を不織布に50ml/m2となるように滴下塗布を行い、カテキン類耐水固定化不織布とした。別の不織布2枚でカテキン類耐水固定化不織布を挟み合わせ、20cm×15cmの大きさに切断し、ゴムひもを挟みながら端を接着し、カテキンマスクを作製した。
<カテキンゴム手袋>
カテキン溶液としてポリフェノン70Aの2重量%水溶液を調製し、メチルセルロース2重量%水溶液とそれぞれ等量混合した。この溶液をコロイド状水分散液の合成ゴムラテックスに分散させ、熟成後、手型の浸漬を行った。浸漬を2回繰り返して成形した後に、加硫剤(硫黄)を加えて加熱・乾燥させて型からはずし、カテキンゴム手袋を作製した。
Claims (16)
- ガレート体カテキン(A)と非ガレート体カテキン(B)の重量比率A/Bが0.8以上であるカテキン類と、水溶性セルロースエーテル類、ポリアルキルエーテル類及びポリビニルアルコール類から選ばれる1種又は2種以上の水溶性高分子化合物を混合し、反応させることを特徴とするカテキン類の耐水化方法。
- ガレート体カテキン(A)と非ガレート体カテキン(B)の重量比率A/Bが0.8以上であるカテキン類と、水溶性セルロースエーテル類、ポリアルキルエーテル類及びポリビニルアルコール類から選ばれる1種又は2種以上の水溶性高分子化合物を混合し、酸性条件下で反応させることを特徴とするカテキン類の耐水化方法。
- カテキン類に対して、水溶性セルロースエーテル類、ポリアルキルエーテル類及びポリビニルアルコール類から選ばれる1種又は2種以上の水溶性高分子化合物が0.5〜50倍重量であることを特徴とする請求項1又は2記載の耐水化方法。
- 水溶性セルロースエーテル類がメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びヒドロキシエチルメチルセルロースから選ばれる1種又は2種以上の水溶性高分子化合物であり、ポリアルキルエーテル類がポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール及びトリメチロールプロパンポリプロピレングリコールエーテルから選ばれる1種又は2種以上の水溶性高分子化合物であり、ポリビニルアルコール類がポリビニルアルコールである請求項1乃至3いずれかに記載の耐水化方法。
- 請求項1乃至4いずれかに記載の耐水化方法によって得られたカテキン類耐水化物。
- 請求項5記載のカテキン類耐水化物を含有することを特徴とする消臭剤。
- 請求項5記載のカテキン類耐水化物を含有することを特徴とする食品又はその原料。
- 請求項5記載のカテキン類耐水化物を担持せしめたことを特徴とする形成物。
- 請求項1乃至4いずれかに記載の耐水化方法を用いてカテキン類を形成物へ耐水固定化させたことを特徴とするカテキン類耐水固定化形成物。
- 形成物が繊維類であることを特徴とする請求項9記載のカテキン類耐水固定化形成物。
- 形成物が木質材料であることを特徴とする請求項9記載のカテキン類耐水固定化形成物。
- 形成物がゴム類であることを特徴とする請求項9記載のカテキン類耐水固定化形成物。
- 形成物がプラスチック類であることを特徴とする請求項9記載のカテキン類耐水固定化形成物。
- 形成物が建築・家具用材料であることを特徴とする請求項9記載のカテキン類耐水固定化形成物。
- 形成物がシート類であることを特徴とする請求項9記載のカテキン類耐水固定化形成物。
- 形成物がフィルターであることを特徴とする請求項9記載のカテキン類耐水固定化形成物。
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