JP2007186356A - 単結晶製造装置および製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】シリコン単結晶を育成している際のシリコン融液表面の温度分布を制御することができ、シリコン融液表面の温度に起因する直径の変動を小さくすることができる単結晶製造装置およびシリコン単結晶の製造方法を実現する。
【解決手段】ルツボに収容されたシリコン融液4からシリコン単結晶3を引き上げながら成長させる単結晶製造装置において、メニスカス近傍に配置され、前記メニスカス近傍の前記シリコン融液4を保温する保温体40が設けられている単結晶製造装置30とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、シリコン単結晶を育成している際のシリコン融液表面の温度分布を制御することができ、シリコン融液表面の温度に起因する直径の変動を小さくすることができる単結晶製造装置およびその単結晶製造装置を用いたシリコン単結晶の製造方法に関する。
シリコン単結晶は、ルツボに収容された多結晶シリコン原料をヒータで加熱してシリコン融液とし、チョクラルスキー法(以下、「CZ法」と略記する。)によりシリコン融液から引き上げながら成長させることにより製造される。CZ法によって育成されたシリコン単結晶中には、Grown−in欠陥と呼ばれる欠陥が結晶育成時に形成され、結晶育成後に得られたシリコン単結晶を評価した場合に検出される。
引上げ速度を徐々に低下させながら成長させたシリコン単結晶の縦断面には、R-OSF(Ring - Oxidation induced Stacking Fault)が現われることが知られている。R-OSFが現われる領域は、引上げ速度を小さくしていくと結晶の外周側から内側に収縮していく。R−OSFよりも内側(高速で引き上げられた結晶領域)と外側(低速で引き上げられた結晶領域)とでは、結晶育成後に観察されるGrown−in欠陥が異なる。高速で引き上げられた結晶領域では、COP(crystal originated particle) あるいはFPD(flow pattern defect)ともよばれるボイド欠陥(空孔型欠陥)が検出される。また、低速で引き上げられた結晶領域では、転位を伴う格子間Siの凝集体が発生し、格子間Si欠陥(転位クラスター欠陥)が検出される。
また、R−OSFと格子間Si欠陥領域との間には、Grown−in欠陥が検出されない無欠陥領域がある。シリコン単結晶中のボイド欠陥は、ウェーハの初期の酸化膜耐圧特性の劣化因子である。また、シリコン単結晶中の格子間Si欠陥もデバイス特性を劣化させる。そのため、シリコン単結晶の品質特性上、無欠陥領域での結晶育成が望まれる。
これらのGrown−in欠陥は、シリコン単結晶を成長させるときの引上げ速度V(mm/min)と固液界面近傍の引上げ軸方向の結晶温度勾配G(℃/mm)との比であるV/G(mm/℃・min)値により、その導入量が決定されると考えられている。
すなわち、V/G値を所定の値で一定に制御しながらシリコン単結晶の育成を行うことにより、所望の欠陥状態あるいは所望の無欠陥領域を有するシリコン単結晶を製造することが可能となる。
しかしながら、従来のシリコン単結晶の製造方法では、引上げ速度は、育成するシリコン単結晶の直径を制御するパラメーターの一つとしても使用されている。そのため、所望の欠陥領域あるいは所望の無欠陥領域を有するシリコン単結晶を育成する場合、引上げ速度を調節することによりV/G値の制御を行うと同時に直径制御も行わなければならない。したがって、シリコン単結晶の育成中にV/G値の制御と直径制御とを行う際に、互いに異なる引上げ速度に変更したい場合、どちらか一方の制御しか行うことができない。その結果、シリコン単結晶の引上げ中にシリコン単結晶の直径が大きく変動するか、これを防止するために、V/G値が所望範囲から外れてしまい、いずれにしても所定の径寸法でかつ所望の結晶状態(欠陥状態)を有する単結晶を得ることができず、歩留まりの著しい低下を招いていた。
温度勾配の制御性が難しい例として、例えば、特許文献1に記載される技術が開示されている。この公報記載の技術では、結晶中心部の結晶温度勾配Gc及び結晶周辺部の結晶温度勾配Geを原料融液の融液面と原料融液面に対向配置された遮熱部材との距離を変更することにより制御して、結晶中心部の温度勾配Gcと結晶周辺部の温度勾配Geとの差ΔG=|(Gc−Ge)|が0.5℃/mm以下となるようにするとともに、引上げ速度Vと結晶中心部の温度勾配Gcの比V/Gc(mm/℃・min)を所望の欠陥領域を有する単結晶が育成できるように制御する単結晶の製造方法が提案されている。
特開2005−15313号公報
しかしながら、上述した従来の技術においては、シリコン融液表面の温度を制御するという発想がなく融液表面温度制御ができないので、シリコン単結晶を育成している際のシリコン融液表面の温度分布に起因する直径の変動が大きくなる可能性があり、このような場合には直径制御のために引上げ速度を変動させなければならなかった。直径制御のために引上げ速度を変動させると、V/G値が所望範囲から外れてしまう場合があり、所望の低欠陥の単結晶が育成できないという問題があった。
特に、シリコン融液表面付近の温度がシリコン融点以下に低下してしまった場合には、その部分から固化し始めて、単結晶化そのものが阻害される可能性があった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、シリコン単結晶を育成している際のシリコン融液表面の温度分布を制御することができ、シリコン融液表面の温度に起因する直径の変動を小さくすることができる単結晶製造装置およびその単結晶製造装置を用いたシリコン単結晶の製造方法を実現することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するために、鋭意研究を重ね、以下に示すように、シリコン単結晶の直径の変動が生じる原因を解析した。
図7は、従来の単結晶製造装置を示した概略断面図である。図7において符号20は単結晶製造装置を示している。単結晶製造装置20のメインチャンバ1内において、シリコン融液4を収容する石英ルツボ5と、石英ルツボ5を保護する黒鉛ルツボ6とがルツボ駆動機構21によって回転・昇降自在に保持軸13で支持されている。また、メインチャンバ1の内部にはガス整流筒11が設けられており、このガス整流筒11の下部にはシリコン融液4と対向するように遮熱部材12を設置して、シリコン融液4の表面からの輻射を防止することにより、シリコン単結晶3の上部にシリコン融液4からの輻射が到達しないようにしている。
このような単結晶引上げ装置20を用いて、以下のようなシリコン単結晶の引き上げ条件でCZ法によりシリコン単結晶3を育成している際において、ルツボ内のシリコン融液がどのような状態となっているか解析するために、シリコン融液の縦断面における流速、流線、等温線を、シミュレーション解析により求めた。ここで、これらのシミュレーションにおいて設定した引き上げ条件は、Grown−in欠陥が直胴部の全長にわたってない結晶領域となる無欠陥結晶を引き上げる条件とした。
その結果を図8〜図10に示す。図8はシリコン融液の流速ベクトルを示した図であり、図9はシリコン融液の流線を示した図である。図9において、濃淡は便宜上付したもので、淡色の中心と濃色の中心とは、ルツボ内において形成された対流の中心を示している。
また、図10はシリコン融液の等温線を示した図である。図10において、等温線の間隔は2Kとされており、淡色が低温を示し濃色が高温を示しているもので、図10における濃淡から、加熱源となるヒータの設けられたルツボの外側である図示右側のほうが、高温となっていることがわかる。また、図10の左側最上部には、最も淡色である部分があるが、これは、シリコン融点以下の部分領域26、つまり、固化したシリコン単結晶3となる部分に相当するものである。なお、図8〜図10では、図面を見やすくするために、石英ルツボ内のシリコン融液の縦断面を石英ルツボの中心軸15で切断してなる片側部分のみ示した。
図7に示す単結晶引上げ装置20では、シリコン融液4表面の保温がなされていないか不十分であるため、図10に示すように、シリコン融液4の表面温度は、固液界面外側直ぐの位置でメニスカスMからシリコン単結晶3の径方向外側に向かうにつれて一旦低下しており、低温領域25が形成されている。この低温領域25は、上述した固化したシリコン単結晶となる部分領域26と同等の温度状態となっており、すなわち、シリコン融点以下になるか、シリコン融点以下になりそうな状態の部分である。
低温領域25は、シリコン融液4の表面付近に円環状に分布しており、その大きさは、石英ルツボの中心軸15から石英ルツボ5に向かってシリコン単結晶3の半径Rの1.1〜1.5倍の位置に形成されている。
低温領域25よりもシリコン単結晶3の径方向外側に向かう領域では、シリコン融液4の表面温度が上昇しており、上昇方向の安定した温度勾配となっている。
図7に示す単結晶引上げ装置20において、シリコン単結晶3の育成中に低温領域25の温度が融点以下になると、育成中のシリコン単結晶3の直径は、太くなりたがる傾向となる。このため、引き上げ速度を上昇させて育成中のシリコン単結晶3の直径が小さくなるように誘導しなければならなくなる。しかしながら、シリコン単結晶3の直径制御のために引上げ速度を変動させると、V/G値が所望範囲から外れてしまう場合があり、所望の欠陥領域を有するシリコン単結晶3が育成されない場合があった。
特に、無欠陥領域を有するシリコン単結晶3を育成する場合には、固液界面付近における単結晶中心での結晶軸線方向の温度勾配Gが高く、また、固液界面付近における単結晶中心での結晶軸線方向の温度勾配の分布差ΔGが小さく、固液界面が上凸化しやすい引き上げ条件で引き上げた場合、シリコン融液4の表面における低温領域25がより低温化しやすい。しかし、無欠陥領域を有するシリコン単結晶3を育成する場合、引き上げ速度の制御範囲が非常に狭く、直径制御を行うために引き上げ速度を変動させることは非常に困難である。このため、無欠陥領域を有するシリコン単結晶3を、高い収率で育成することは困難であった。
本発明者は、鋭意研究を重ね、図10に示したように、シリコン融液の表面における低温領域25となる固液界面直外側領域を保温することで、結晶成長におおきな影響を及ぼす固液界面直外側に発生する低温領域25を生じさせてしまうような現象、すなわち、シリコン融液の表面付近における局所的な低温化を緩和し、シリコン単結晶を育成している際におけるシリコン融液表面の径方向の温度勾配を安定させるように制御することにより、無欠陥結晶等の所望の結晶状態を有するシリコン単結晶を引き上げつつこのシリコン単結晶の直径の変動を小さくできることを見出した。
すなわち、本発明の単結晶製造装置においては、ルツボに収容されたシリコン融液からシリコン単結晶を引き上げながら成長させる単結晶製造装置において、
固液界面周囲近傍の融液面上側に配置され、前記固液界面近傍において融点以下に温度が低下する可能性がある部分の前記シリコン融液を保温する保温体が設けられていることにより上記課題を解決した。
また、本発明は、前記保温体が、引き上げられるシリコン単結晶の周囲を取り囲む円環状の融液表面を保温することが好ましい。
本発明に退いて、前記保温体は、平面視して円環状とされ、平面視した際の外径が引き上げされるシリコン単結晶の直径の1.2〜3.0倍であり、かつ、内径が引き上げされるシリコン単結晶の直径の1.0〜1.5倍であることができる。
本発明において、前記保温体と前記シリコン融液との距離が、0.1〜100mmとされていることがある。
本発明は、前記保温体の熱伝導率が5.0 W/mK以下であり、保温体の厚みが0.1〜100mmとされている手段か、または、前記保温体の輻射率が0.01〜0.3であり、保温体の厚みが0.01〜100mmとされている装置を採用することができる。
前記保温体が、前記シリコン融液の液面上に対向する位置に配置された遮熱部材に一体として支持されていることもできる。
本発明は、前記保温体と前記シリコン融液との距離を調整可能に支持する位置調整手段を備えていることが好ましい。
本発明の単結晶製造方法においては、ルツボに収容されたシリコン融液からシリコン単結晶を引き上げながら成長させるシリコン単結晶の製造方法において、
固液界面周囲近傍の融液面上側に配置された保温体により、前記固液界面近傍においてシリコン融液の温度が低下する可能性がある部分を覆って前記シリコン融液の表面上を保温しながら前記シリコン単結晶を引き上げることにより上記課題を解決した。
本発明では、前記保温体と前記シリコン融液との距離を、0.1〜100mmとなるように設定することが好ましい。
本発明は、前記固液界面が、上に凸の状態で引き上げがおこなわれることができる。
本発明は、Grown−イン欠陥フリーの単結晶を引き上げることがある。
本発明の単結晶は、上記のいずれかに記載の単結晶製造装置、または、上記のいずれかに記載の単結晶製造方法により製造されたことができる。
本発明の単結晶製造装置においては、ルツボに収容されたシリコン融液からシリコン単結晶を引き上げながら成長させる単結晶製造装置において、固液界面周囲近傍の融液面上側に配置され、前記固液界面近傍において融点以下に温度が低下する可能性がある部分の前記シリコン融液を保温する保温体が設けられていることにより、シリコン融液の表面における固液界面直外側領域を保温することで、特に、図10に示した低温領域25が生じる部分を少なくとも保温することで、結晶成長におおきな影響を及ぼす固液界面直外側に発生する低温領域25を生じさせてしまうような現象を緩和し、シリコン融液の表面付近における局所的な低温化を防止して、シリコン単結晶を育成している際におけるシリコン融液表面の径方向の温度勾配を安定させることができる。これにより、無欠陥結晶等の所望の結晶状態を有するシリコン単結晶を引き上げつつこのシリコン単結晶の直径の変動を小さくすることが可能となる。
また、上述したように、図10における低温領域25は、シリコン融液4の表面付近に円環状に分布しており、その大きさは、図7における石英ルツボの中心軸15から石英ルツボ5に向かってシリコン単結晶3の半径Rの1.1〜1.5倍の位置付近に形成されることから、この部分のみを保温するために、本発明は、前記保温体が、引き上げられるシリコン単結晶の周囲を取り囲む円環状の融液表面を保温すること、および、前記保温体は、平面視して円環状とされ、平面視した際の外径が引き上げされるシリコン単結晶の直径の1.2〜3.0倍で、かつ、内径が引き上げされるシリコン単結晶の直径の1.0〜1.5倍であるように設定されることにより、まさに低温化が発生するシリコン融液部分を覆ってこの部分を保温するために、前述の低温化が発生することを防止できる。これにより、シリコン融液の局所的な低温化を防止することで、シリコン融液対流の安定化を図るとともに、融液対流における流れの振動を抑制して、引き上げ速度を安定化することができる。なお、低温化が発生する領域は、図6に示すように、シリコン結晶の1.2から1.5倍の位置に発生するためこの位置を覆うように保温体が設けられることが好ましいものである。
保温体の形状としては、低温領域となる部分を覆って、低温化を防止できればよく、平面視して、低温領域に重なるように幅を持った円環板状、つまり、平面視して円環面で、結晶軸線をとおる鉛直断面のうちルツボの中心から片側の断面が、下側がシリコン融液面と平行とされる直線形状(矩形)とされることが好ましく、平面視して円環面となっていればよい。具体的には、ルツボ中心側から外側に向けて上昇するように傾斜した円錐環面、つまり、結晶軸線をとおる鉛直断面のうちルツボの中心から片側の断面がルツボ外側に向けて上昇する直線形状(矩形)とされる形状とされること、あるいは、ルツボ中心側から外側に向けて上昇するように傾斜した放物環面状、つまり、放物線を結晶軸(ルツボ中心軸)周りに回転した形状とされること、あるいは、ルツボ中心側から外側に向けて上昇するように傾斜した球環面状、つまり、円弧を結晶軸(ルツボ中心軸)周りに回転した形状とされること、あるいは、ルツボ中心側から外側に向けて上昇するように傾斜した楕円環面状、つまり、楕円の一部線を結晶軸(ルツボ中心軸)周りに回転した形状とされることができる。
ここで、放物環面、球環面、楕円環面とされた場合には、それぞれ、保温体からの輻射(反射)を低温領域のうち最も低温化が著しい部分かその近辺に集中するように、これらの放物線、円弧、楕円等における焦点、中心などを設定することで、より一層の低温化防止を図ることが可能となる。具体的には、保温体からの輻射が集中する位置を、石英ルツボ5の中心軸15から石英ルツボ5外側に向かってシリコン単結晶3の半径Rの1.2〜1.3倍程度の位置のシリコン融液表面付近に設定することができる。この場合、保温体からの輻射が集中する位置は、水平方向位置が上記のようになっていれば高さ方向がシリコン融液表面近傍でもかまわない。なお、保温体のシリコン融液面と対向しない側の形状は、シリコン融液面と対向する面に沿う形状であってもよいし、シリコン融液面と対向する面に沿う形状でなくてもよく、特に限定されない。
本発明において、前記保温体と前記シリコン融液面との距離が、0.1〜100mm程度、より好ましくは1〜50mm程度とされていることにより、保温体がシリコン融液と接触して単結晶引き上げに悪影響を及ぼすことや、シリコン融液からの輻射が保温体で反射されないで、前記保温体と前記シリコン融液との間から外部に放射されてしまうことがなく、シリコン融液の局所的な低温化を防止して、シリコン融液対流の安定化を図るとともに、シリコン融液対流における流れの振動が発生することを抑制して、引き上げ速度を安定化することができる。
なお、前記保温体と前記シリコン融液面との距離とは、保温体が円環状とされている場合には、保温体下面とシリコン融液面との距離とされ、それ以外の凹凸を有する保温体の場合には、保温体の下端部とシリコン融液面との距離が上記の範囲に設定されることになる。
本発明は、前記保温体がカーボン等からなり、その熱伝導率が5.0 W/mK以下、より好ましくは1.0 W/mK 以下とされ、かつ、保温体の厚みが0.1〜100mm程度、より好ましくは1〜50mm程度とされている手段か、または、前記保温体がMo等の輻射率が低い材料からなり、その輻射率が0.01〜0.3、より好ましくは0.3以下程度とされ、かつ、保温体の厚みが0.01〜100mm程度、好ましくは0.1〜10mm程度とされている手段を採用することにより、効果的にシリコン融液の保温をおこなって、シリコン融液における低温化の発生を防止することができる。
前記保温体が、前記シリコン融液の液面上に対向する位置に配置された遮熱部材に一体として支持されていることにより、引き上げ中にルツボに対してシリコン融液の高さ位置が変化した場合でも、シリコン融液と下端部の位置を制御する遮熱部材と一体に高さ位置が変更可能なので、シリコン融液と遮熱部材下端部との高さ設定をおこなうことにより、引き上げ中におけるシリコン融液の高さ位置変化に追従して上記の範囲に前記保温体と前記シリコン融液面との距離を設定しつづけることができ、好ましい保温状態を維持することができる。また、遮熱部材の下端部とシリコン融液面との距離を、シリコン融液の保温状態とは関係なく設定することができるので、遮熱部材下端部とシリコン融液液面との距離によって充分なガス流量を維持したい場合などにも、好適なチャンバ内状態を維持することと、シリコン融液面保温による局所的低温化発生防止とを同時に実現することが可能となる。
本発明は、前記保温体と前記シリコン融液との距離を調整可能に支持する位置調整手段を備えていることにより、例えば、ガス流量等の制御をおこなうために、シリコン融液と遮熱部材下端部との高さ設定状態の変化をおこなう必要があった場合などにも、これらに追従することなく、チャンバにおける保温体の高さ状態を独立して所望の状態に設定することができて、上記の範囲に前記保温体と前記シリコン融液面との距離を維持設定することができる。これにより、好適なチャンバ内状態を維持することと、シリコン融液面保温による局所的低温化発生防止とを同時に実現することが可能となる。さらに、引き上げにしたがってシリコン融液量が変化して、融液内の対流状態に変化が生じ、このような対流変化に保温状態を追従させなくてはいけない場合などにおいて、遮熱部材位置に考慮することなく、前記保温体と前記シリコン融液との距離を調整することが可能となる。したがって、引き上げ結晶状態に対するより一層の制御が可能となる。
本発明の単結晶製造方法においては、上記の製造装置により、固液界面周囲近傍の融液面上側に配置された保温体により、前記固液界面近傍においてシリコン融液の温度が低下する可能性がある部分を覆って前記シリコン融液の表面上を保温しながら前記シリコン単結晶を引き上げることにより、シリコン融液の局所的な低温化を防止することができ、これにより、シリコン融液対流の安定化を図るとともに、融液対流における流れの振動を抑制して、引き上げ速度を安定化し、直胴部の全長にわたってGrown−in欠陥のない状態の単結晶を安定して引き上げることが可能となる。
本発明では、前記保温体と前記シリコン融液との距離を、0.1〜100mmとなるように設定することで、上記の局所的融液低温化発生防止を図ることができる。
本発明は、Grown−in欠陥のない状態の単結晶を引き上げる条件として、前記固液界面が、上に凸の状態で引き上げがおこなうことができ、これによって、直胴部の全長にわたってGrown−in欠陥フリーのシリコン単結晶を安定して引き上げることが可能となる。
本発明のシリコン単結晶またはシリコンウェーハは、上記のいずれかに記載の単結晶製造装置、または、上記のいずれかに記載の単結晶製造方法により製造されたことができる。
また、本発明の単結晶製造装置は、ルツボに収容されたシリコン融液からシリコン単結晶を引き上げながら成長させる単結晶製造装置において、メニスカス近傍に配置され、前記メニスカス近傍の前記シリコン融液を保温する保温体が設けられていることを特徴とする。
このような単結晶製造装置では、メニスカス近傍に配置され、前記メニスカス近傍の前記シリコン融液を保温する保温体が設けられているので、シリコン融液の表面における低温領域が形成される領域が保温され、低温領域の低温化を緩和することができる。このため、シリコン単結晶を育成している際のシリコン融液表面の径方向の温度勾配が安定し、シリコン単結晶を育成している際のシリコン単結晶の直径の変動を小さくすることができ、引き上げ速度の制御が容易となり、V/G値の制御が容易となる。さらに、このような単結晶製造装置によれば、保温体を設けたことにより、シリコン融液の対流を安定させることができるので、V/G値の制御を容易とすることができる。
上述した効果は、特に、低温領域25が低温化しやすく、引き上げ速度の制御範囲が非常に狭い無欠陥領域を有するシリコン単結晶を育成する場合に顕著に得られる。
上記の単結晶製造装置では、前記保温体が、前記シリコン融液の液面に対向配置された遮熱部材と一体化されているものとすることができる。
このような単結晶製造装置とすることで、保温体を所定の位置に容易に配置することができる。
また、上記の単結晶製造装置では、前記保温体の形状が、引き上げられるシリコン単結晶の周囲を取り囲む円環状であるものとすることができる。
このような単結晶製造装置とすることで、シリコン融液の表面における低温領域が形成される領域が効果的に保温されるものとなり、シリコン単結晶を育成している際のシリコン融液表面の径方向の温度勾配がより一層安定し、シリコン単結晶を育成している際のシリコン単結晶の直径の変動をより一層効果的に抑制することができる。
また、上記の単結晶製造装置では、前記円環状の保温体は、外径が引き上げされるシリコン単結晶の直径の1.2〜3.0倍であり、内径が引き上げされるシリコン単結晶の直径の1.0〜1.5倍であるものとすることができる。
このような単結晶製造装置とすることで、シリコン融液の表面における低温領域が形成される領域を効果的に保温することができるものとなる。
また、上記の単結晶製造装置では、前記シリコン単結晶の引き上げ中に、前記保温体と前記シリコン融液との距離を調整する位置調整手段を備えているものとすることができる。
このような単結晶製造装置とすることで、シリコン単結晶の引き上げ中にシリコン融液の量が変化しても、保温体とシリコン融液との距離を所定の距離とすることが可能なものとなり、全結晶成長過程において低温領域の低温化を緩和することができる。
また、上記の単結晶製造装置では、前記保温体と前記シリコン融液との距離が、0.1〜100mmとされているものとすることができる。
このような単結晶製造装置とすることで、チャンバ内に導入される不活性ガスなどのガスの流れに支障をきたすことなく、シリコン融液の表面における低温領域が形成される領域を効果的に保温することができるものとなる。
保温体とシリコン融液との距離が、0.1mm未満であると、チャンバ内に導入される不活性ガスなどのガスの流れに支障をきたす虞が生じる。また、保温体とシリコン融液との距離が、100mmを越えると、保温体による保温効果が十分に得られなくなる。
また、上記の単結晶製造装置では、前記保温体の熱伝導率が5.0 W/mK以下であり、保温体の厚みが0.1〜100mmとされているものとすることができる。
また、上記の単結晶製造装置では、前記保温体の輻射率が0.3以下であり、保温体の厚みが0.01〜100mmとされているものとすることができる。
このような単結晶製造装置とすることで、過剰に保温体の材料を使用することなく、十分な保温効果を有する保温体を備えたものとなる。
また、本発明のシリコン単結晶の製造方法は、ルツボに収容されたシリコン融液からシリコン単結晶を引き上げながら成長させるシリコン単結晶の製造方法において、メニスカス近傍に配置された保温体により、前記シリコン融液の表面上を保温しながら前記シリコン単結晶を引き上げることを特徴とする。
このようなシリコン単結晶の製造方法では、シリコン融液の表面における低温領域が形成される領域を保温しながら前記シリコン単結晶を引き上げることができるので、低温領域の低温化を緩和することができる。
また、上記のシリコン単結晶の製造方法においては、前記シリコン単結晶の引き上げ中に、前記保温体と前記シリコン融液との距離を位置調整手段により調整する製造方法とすることができる。
このようなシリコン単結晶の製造方法とすることで、シリコン単結晶の引き上げ中にシリコン融液の量が変化しても、保温体とシリコン融液との距離を所定の距離とすることができ、全結晶成長過程において低温領域の低温化を緩和することができる。
また、上記のシリコン単結晶の製造方法においては、前記保温体と前記シリコン融液との距離が、0.1〜100mmとなるようにする製造方法とすることができる。
このようなシリコン単結晶の製造方法とすることで、チャンバ内に導入される不活性ガスなどのガスの流れに支障をきたすことなく、シリコン融液の表面における低温領域が形成される領域を効果的に保温しながら前記シリコン単結晶を引き上げることができる。
本発明の単結晶製造装置およびシリコン単結晶の製造方法によれば、シリコン融液の表面における低温領域が形成される領域が保温されて、シリコン単結晶を育成している際のシリコン融液表面の温度分布が制御されるので、シリコン融液表面の温度に起因する直径の変動を小さくすることができる。
以下、図面を参照して本発明の一実施形態による単結晶製造装置およびシリコン単結晶の製造方法について詳細に説明する。図1は、本発明の第1実施形態による単結晶製造装置の概略断面図である。図2(a)は、図1に示す単結晶製造装置の一部を拡大して示した拡大図であり、図2(b)は、図1に示す単結晶製造装置が備える保温体を説明するための図である。なお、図1および図2に示す単結晶製造装置において、図7に示す単結晶製造装置と同一の符号を付し、説明を省略する。
図1において符号30は単結晶製造装置を示している。単結晶製造装置30のメインチャンバ1内において、シリコン融液4を収容する石英ルツボ5と、石英ルツボ5を保護する黒鉛ルツボ6とがルツボ駆動機構21によって回転・昇降自在に保持軸13で支持されている。また、加熱ヒーター7と断熱材8とが、石英ルツボ5、黒鉛ルツボ6を取り囲むように配置されている。また、メインチャンバ1の上部には、育成したシリコン単結晶3を収容し、取り出すための引上げチャンバ2が連接されており、引上げチャンバ2の上部には、シリコン単結晶3をワイヤ14で回転させながら引上げる引上げ機構(図示略)が設けられている。
また、メインチャンバ1の内部には、シリコン融液4からシリコン単結晶3への放射を遮断するとともにメインチャンバ1内のガスを整流するためのガス整流筒11が設けられており、このガス整流筒11の下部には、シリコン融液4全面と対向するように遮熱部材12が設置され、シリコン融液4の表面からの輻射をカットするとともにシリコン融液4の表面を保温するようにしている。
石英ルツボ内のシリコン融液の縦断面また、単結晶製造装置30のメニスカスM近傍には、メニスカスM近傍のシリコン融液3における低温化が発生しやすい部分を保温する保温体40が配置されている。図2(b)に示すように、保温体40は、引き上げられるシリコン単結晶3の周囲を取り囲む円環状とされている。保温体40は、図2(b)に示すように、円環状とすることができるが、例えば、円錐環面、放物環面、球環面や楕円球環面形としてもよい。
図12は、保温体の他の例を説明するための図であり、保温体の断面図を、石英ルツボ内のシリコン融液の縦断面の等温線とともに示した図である。図12において、等温線の間隔は2Kであり、淡色が低温を示し濃色が高温を示している。なお、図12では、図面を見やすくするために、石英ルツボ内のシリコン融液の縦断面を石英ルツボの中心軸15で切断してなる片側部分のみ示した。
図12に示す保温体41は、断面形状が円弧である円環面状のものである。図12に示すように、保温体41を構成する円弧の中心を通る中心軸42は、石英ルツボ5の中心軸15から石英ルツボ5外側に向かってシリコン単結晶3の半径Rの1.2〜1.3倍程度の位置のシリコン融液表面であり、低温領域25のうち最も低温化が著しい部分とされている。また、保温体41の焦点43は、シリコン融液表面から中心軸42に沿う深さ方向に0〜100mm、より好ましくは10〜30mmの位置とされている。
図12に示す保温体41では、保温体41からの輻射(反射)を低温領域25のうち最も低温化が著しい部分およびその近辺に集中させることができ、より一層の低温化防止を図ることが可能となる。
図2(b)に示すように、保温体40の外径Dは、引き上げされるシリコン単結晶3の直径Dの1.2〜3.0倍とされ、1.5〜2.5倍とされることが望ましい。また、保温体40の内径dは、引き上げされるシリコン単結晶の直径Dの1.0〜1.5倍とされ、1.0〜1.2倍とすることが望ましい。
保温体40の厚みtは、熱伝導率が5.0 W/mK以下である場合には0.1〜100mmとすることが望ましく、1〜50mmとすることがより望ましい。また、保温体40の厚みtは、輻射率が0.3以下の低輻射率である場合には、保温体の厚みが0.01〜100mmとされていることが望ましく、0.1〜10mmとすることがより望ましい。
熱伝導率が5.0 W/mK以下である保温体40としては、例えば、少なくとも2枚以上のカーボン製板がシリコン融液4へ向かう方向へ重ねされて保温材40をカバーする2重カーボン構造のものを挙げることができる。また、輻射率が0.3以下の低輻射率である保温体40としては、モリブデン(Mo)からなるもの等を挙げることができる。カーボン、モリブデンのいずれにおいても、従来からチャンバ内構造の素材として採用されてきたものであるため、チャンバ内清浄度等に及ぼす影響が図りやすく、好ましいものである。
保温体40は、図2(b)に示すように、外径Dと内径dとの中間の位置で、保温体40の中心に対して対称な2つの位置35、35で遮熱部材12内を貫通するワイヤ31の先端に固定されることによって遮熱部材12と一体化されている。そして、保温体40は、ワイヤ31と、ワイヤ31を支持する回転支持治具34a、34b、34cと、メインチャンバ1外に設けられて、ワイヤ31が巻回されたギヤ33を回転駆動させるモータ32とを備える少なくとも2つの位置調整手段によって上下方向に移動可能に支持されている。
なお、本実施形態においては、2つの位置調整手段を備える単結晶引上げ装置30としたが、位置調整手段の数は特に限定されるものではなく、3つ以上としてもよい。位置調整手段の数を3つ以上とした場合、保温体40を安定して支持することができ好ましいが、位置調整手段の数が多くなるとチャンバ内を汚染する要因が増加するため好ましくない。このため、位置調整手段の数は、2つまたは3つとするのか望ましい。さらに、保温体40をワイヤ31で支持したが、上下方向に延在する矩形断面の棒状部材により保温部材40を支持することもでき、この場合には、保温体40と棒状部材とを1箇所で接続して、回転支持治具のかわりに矩形断面の貫通孔を遮熱部材12に設けて棒状部材を軸とする回転を規制した状態で上下動可能とすることで、位置調整手段を1つとすることもできる。
保温体40と前記シリコン融液4との距離Hは、0.1〜100mm、好ましくは1〜50mmとされ、位置調整手段により、シリコン単結晶3の引き上げ中に、シリコン融液4の量の変化に対応させて保温体40とシリコン融液4との距離Hを所定の距離Hに調整することができる。
また、引上げチャンバ2の上部に設けられたガス導入口10からはアルゴンガス等の不活性ガスを導入でき、引上げ中のシリコン単結晶3とガス整流筒11との間を通過させた後、遮熱部材12とシリコン融液4の融液面との間を通過させ、ガス流出口9から排出することができる。
このような単結晶引上げ装置30を用いて、CZ法によりシリコン単結晶を育成するには、まず、ワイヤ14に固定された種結晶16を石英ルツボ5中のシリコン融液4に浸漬し、その後回転させながら静かに引上げて種絞りを形成した後所望の直径まで拡径し、略円柱形状の直胴部を有するシリコン単結晶3を成長させる。
本実施形態においては、シリコン単結晶3の引き上げは、メニスカスM近傍に配置された保温体40により、シリコン融液4の表面上を保温して局所的融液低温化を防止しながら行う。また、シリコン単結晶3の引き上げ中に、保温体40とシリコン融液4との距離Hを位置調整手段により上記範囲に調整する。位置調整手段による調整は、モータ32を動作させてギヤ33を正方向または反対方向に回転駆動させることによって行われる。
位置調整手段の制御は、例えば、ルツボ駆動機構21を制御する位置制御手段(図示略)に位置調整手段を接続して、以下に示す方法などによって行うことができる。例えば、石英ルツボ5の位置、保温体40の位置、CCDカメラなどで測定したシリコン融液4の融液面の位置、単結晶の引上げ長さ等の情報や、シリコン融液4液面や石英ルツボ5の高さ位置、チャンバ内温度やシリコン融液4の表面温度、ガス流量等の情報が位置制御手段にフィードバックされることにより、シリコン単結晶3の引上げ長さに応じて石英ルツボ5の上下方向の位置及び/または保温体40の上下方向の位置をルツボ駆動機構21及び/または位置調整手段を用いて移動させ、保温体40の下端からシリコン融液4の液面までの距離Hを制御する。
このような単結晶引上げ装置30を用いて、以下に示すシリコン単結晶の引き上げ条件でCZ法によりシリコン単結晶3を育成している際のシリコン融液の縦断面における流速、流線、等温線を、シミュレーション解析により求めた。ここでのシリコン単結晶の引き上げ条件は、無欠陥領域を有するシリコン単結晶を育成する条件とされ、その際、
固液界面形状△S−L/△S−L(従来技術)=1.100
固液界面近傍結晶中心温度勾配G/G(従来技術)=1.180
結晶中心温度勾配分布差△G/△G(従来技術)=0.3
となるように設定した。
ここで、固液界面形状△S−Lとは、図1に示すように、結晶軸方向におけるメインチャンバ1内の底面から固液界面の中心までの距離Zcと、メインチャンバ1内の底面から固液界面の周縁までの距離Zeとの差(Zc−Ze)であり、固液界面近傍における結晶中心温度勾配Gは、上述した温度勾配Gであり、結晶中心温度勾配分布差△Gは、引き上げ中にこの温度勾配が変化した割合を示すものであり、上記の値は、それぞれ、図7に示した従来の製造装置によって、図8〜図10に示す状態で引き上げをおこない、低温領域が発生した際におけるそれぞれの値との比を示すものである。
その結果を図3〜図6に示す。図3は図8に対応し、シリコン融液の流速ベクトルを示した図であり、図4は図9に対応し、シリコン融液の流線を示した図である。図4において、図9と同様、濃淡は便宜上付したもので、淡色の中心と濃色の中心とは、ルツボ内において形成された対流の中心を示している。
また、図5は図10に対応し、シリコン融液の等温線を示した図である。図5において、等温線の間隔は2Kであり、淡色が低温を示し濃色が高温を示している。なお、図3〜図5では、図面を見やすくするために、石英ルツボ内のシリコン融液の縦断面を石英ルツボの中心軸15で切断してなる片側部分のみ示した。図6は、シリコン融液の表面温度と、シリコン融液の径方向の位置との関係を示したグラフである。なお、図6における径方向の位置は、引き上げされるシリコン単結晶3の直径Dの位置を1とし、直径Dの位置から径方向外側に向かう距離を直径Dに対する割合で示した。
図1に示す単結晶引上げ装置30では、シリコン融液4の表面温度は、図5および図6に示すように、メニスカスMからシリコン単結晶3の径方向外側に向かうにつれてわずかに低下して低温領域25が形成されているもののシリコンの融点温度である1685K以下になることはなく、シリコン単結晶3の直径Dの位置からシリコン単結晶3の径方向外側に向かう領域では、概ね温度が上昇している。したがって、この図から、本実施形態においては、単結晶成長部分以外において、シリコン融液表面付近でのシリコン融液固化が発生することがないことがわかる。
ここで、図3〜図6に示す本発明の実施形態による結果と、図8〜図10および図6に示す従来の結果とから両者を比較することにより、本発明の効果について評価した。その結果を表1および以下に示す。
Figure 2007186356
図5および図6に示す本発明の実施形態による結果を、図10および図6に示す従来の結果と比較すると、明らかにシリコン融液4の表面における低温領域25の低温化が緩和され、シリコン単結晶3を育成している際のシリコン融液4表面の径方向の温度勾配が安定している。
また、図3および図4に示す本発明の実施形態による結果を、図8および図9に示す従来の結果と比較すると、シリコン融液4の対流が安定していることがわかる。
また、図6に示す本発明の実施形態および従来の結果から、シリコン融液4の表面の径方向の位置1〜1.5までの範囲における平均温度勾配を求めた。その結果を表1に示すように、従来は下降方向との温度勾配となったが、本発明では上昇方向の温度勾配となった。
また、上述の引き上げ条件でADC制御システムで成長速度変動率を制御した場合の従来と本発明のシミュレーション解析を行い、成長速度変動率を求めた。その結果、従来と比較して本発明では引き上げ速度変動率が低下した。なお、ADC制御システムとは、引き上げ中の結晶直径をモニターし、結晶径が大きくなると、引き上げ速度を上昇させて結晶径を小さくするように誘導し、逆に結晶径が小さくなると、引き上げ速度を低下させて結晶径を大きくするように誘導する制御システムである。つまり、結晶径方向制御を自動化した際には、本実施形態のような保温体40を設けることにより、引き上げ速度の安定化を図ることができるものである。
また、上述の引き上げ条件で従来と本発明のシミュレーション解析を行い、無欠陥(ピュア)ウェーハ収率を求めた。その結果、従来と比較して本発明では無欠陥ウェーハ(ピュア)収率が高くなった。
なお、無欠陥ウェーハ収率は、以下に示す方法によって求めた。
以下に、ウェーハにおける無欠陥領域の定義及び測定方法を以下に示す。
まず、観察するウェーハ熱表面に膜厚50nm士5nmの酸化膜を形成し、その平均酸化膜厚(膜厚モニターを用いた平均膜厚の推定値でも可)を求め、
5(MV/cm)・平均酸化膜厚(nm)/10
となるようにより所定の電圧を印加するとともに、Cu溶出前のMeOH抵抗を5,3±1kΩ(φ300mm)としたCu溶出メタノール液によりCuデコレーションを行う。
ウェーハの検査面上において、図11に示すようにリング状に計測領域を設定し、それぞれの領域において欠陥があるかどうかを顕微鏡観察する。
ついで、その結果を図13に示すように、各領域ごとにまとめる。ここで、図13における符号59は欠陥であり、図13では、各領域中にあった欠陥をX軸上に集約した状態を示している。
このような欠陥の存在する領域の面積合計をウェーハの総面積から除き、残った面積をピュア面積(無欠陥面積)とする。
次いで、無欠陥ウェーハ収率として、以下の式より求める。
ピュア(無欠陥領域)収率=無欠陥面積に対応するウェーハ枚数/払い出す結晶のウェーハ総枚数
図1は、本発明の第1実施形態による単結晶製造装置の概略断面図である。 図2(a)は、図1に示す単結晶製造装置の一部を拡大して示した拡大図であり、図2(b)は、図1に示す単結晶製造装置が備える保温体を説明するための図である。 図3は、シリコン融液の流速を示した図である。 図4は、シリコン融液の流線を示した図である。 図5は、シリコン融液の等温線を示した図である。 図6は、シリコン融液の表面温度と、シリコン融液の径方向の位置との関係を示したグラフである。 図7は、従来の単結晶製造装置を示した概略断面図である。 図8はシリコン融液の流速を示した図である 図9はシリコン融液の流線を示した図である。 図10はシリコン融液の等温線を示した図である。 図11は、欠陥計測領域を示した図である。 図12は、シリコン融液の等温線を示した図である。 図13は、欠陥計測結果を説明するための図である。
符号の説明
1:メインチャンバ、3:シリコン単結晶、4:シリコン融液、5:石英ルツボ、6:黒鉛ルツボ、11:ガス整流筒、12:遮熱部材、13:保持軸、15:中心軸、20、30:単結晶製造装置、21:ルツボ駆動機構、25:低温領域、31:ワイヤ、32:モータ、33:ギヤ、40、41:保温体、M:メニスカス

Claims (13)

  1. ルツボに収容されたシリコン融液からシリコン単結晶を引き上げながら成長させる単結晶製造装置において、
    固液界面周囲近傍の融液面上側に配置され、前記固液界面近傍において融点以下に温度が低下する可能性がある部分の前記シリコン融液を保温する保温体が設けられていることを特徴とする単結晶製造装置。
  2. 前記保温体が、引き上げられるシリコン単結晶の周囲を取り囲む円環状の融液表面を保温することを特徴とする請求項1に記載の単結晶製造装置。
  3. 前記保温体は、平面視して円環状とされ、平面視した際の外径が引き上げされるシリコン単結晶の直径の1.2〜3.0倍であり、かつ、内径が引き上げされるシリコン単結晶の直径の1.0〜1.5倍であることを特徴とする請求項2に記載の単結晶製造装置。
  4. 前記保温体と前記シリコン融液との距離が、0.1〜100mmとされていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の単結晶製造装置。
  5. 前記保温体の熱伝導率が5.0 W/mK以下であり、保温体の厚みが0.1〜100mmとされていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の単結晶製造装置。
  6. 前記保温体の輻射率が0.01〜0.3であり、保温体の厚みが0.01〜100mmとされていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の単結晶製造装置。
  7. 前記保温体が、前記シリコン融液の液面上に対向する位置に配置された遮熱部材に一体として支持されていることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の単結晶製造装置。
  8. 前記保温体と前記シリコン融液との距離を調整可能に支持する位置調整手段を備えていることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の単結晶製造装置。
  9. ルツボに収容されたシリコン融液からシリコン単結晶を引き上げながら成長させるシリコン単結晶の製造方法において、
    固液界面周囲近傍の融液面上側に配置された保温体により、前記固液界面近傍においてシリコン融液の温度が低下する可能性がある部分を覆って前記シリコン融液の表面上を保温しながら前記シリコン単結晶を引き上げることを特徴とする単結晶の製造方法。
  10. 前記保温体と前記シリコン融液との距離を、0.1〜100mmとなるように設定することを特徴とする請求項9に記載の単結晶の製造方法。
  11. 前記固液界面が、上に凸の状態で引き上げがおこなわれることを特徴とする請求項9または10に記載の単結晶の製造方法。
  12. Grown−イン欠陥フリーの単結晶を引き上げることを特徴とする請求項9から11のいずれかに記載の単結晶の製造方法。
  13. 請求項1から8のいずれかに記載の単結晶製造装置、または、請求項9から12のいずれかに記載の単結晶製造方法により製造されたことを特徴とする単結晶。

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