JP2007186356A - 単結晶製造装置および製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ルツボに収容されたシリコン融液4からシリコン単結晶3を引き上げながら成長させる単結晶製造装置において、メニスカス近傍に配置され、前記メニスカス近傍の前記シリコン融液4を保温する保温体40が設けられている単結晶製造装置30とする。
【選択図】図1
Description
また、R−OSFと格子間Si欠陥領域との間には、Grown−in欠陥が検出されない無欠陥領域がある。シリコン単結晶中のボイド欠陥は、ウェーハの初期の酸化膜耐圧特性の劣化因子である。また、シリコン単結晶中の格子間Si欠陥もデバイス特性を劣化させる。そのため、シリコン単結晶の品質特性上、無欠陥領域での結晶育成が望まれる。
すなわち、V/G値を所定の値で一定に制御しながらシリコン単結晶の育成を行うことにより、所望の欠陥状態あるいは所望の無欠陥領域を有するシリコン単結晶を製造することが可能となる。
また、図10はシリコン融液の等温線を示した図である。図10において、等温線の間隔は2Kとされており、淡色が低温を示し濃色が高温を示しているもので、図10における濃淡から、加熱源となるヒータの設けられたルツボの外側である図示右側のほうが、高温となっていることがわかる。また、図10の左側最上部には、最も淡色である部分があるが、これは、シリコン融点以下の部分領域26、つまり、固化したシリコン単結晶3となる部分に相当するものである。なお、図8〜図10では、図面を見やすくするために、石英ルツボ内のシリコン融液の縦断面を石英ルツボの中心軸15で切断してなる片側部分のみ示した。
低温領域25は、シリコン融液4の表面付近に円環状に分布しており、その大きさは、石英ルツボの中心軸15から石英ルツボ5に向かってシリコン単結晶3の半径Rの1.1〜1.5倍の位置に形成されている。
低温領域25よりもシリコン単結晶3の径方向外側に向かう領域では、シリコン融液4の表面温度が上昇しており、上昇方向の安定した温度勾配となっている。
特に、無欠陥領域を有するシリコン単結晶3を育成する場合には、固液界面付近における単結晶中心での結晶軸線方向の温度勾配Gが高く、また、固液界面付近における単結晶中心での結晶軸線方向の温度勾配の分布差ΔGが小さく、固液界面が上凸化しやすい引き上げ条件で引き上げた場合、シリコン融液4の表面における低温領域25がより低温化しやすい。しかし、無欠陥領域を有するシリコン単結晶3を育成する場合、引き上げ速度の制御範囲が非常に狭く、直径制御を行うために引き上げ速度を変動させることは非常に困難である。このため、無欠陥領域を有するシリコン単結晶3を、高い収率で育成することは困難であった。
固液界面周囲近傍の融液面上側に配置され、前記固液界面近傍において融点以下に温度が低下する可能性がある部分の前記シリコン融液を保温する保温体が設けられていることにより上記課題を解決した。
また、本発明は、前記保温体が、引き上げられるシリコン単結晶の周囲を取り囲む円環状の融液表面を保温することが好ましい。
本発明に退いて、前記保温体は、平面視して円環状とされ、平面視した際の外径が引き上げされるシリコン単結晶の直径の1.2〜3.0倍であり、かつ、内径が引き上げされるシリコン単結晶の直径の1.0〜1.5倍であることができる。
本発明において、前記保温体と前記シリコン融液との距離が、0.1〜100mmとされていることがある。
本発明は、前記保温体の熱伝導率が5.0 W/mK以下であり、保温体の厚みが0.1〜100mmとされている手段か、または、前記保温体の輻射率が0.01〜0.3であり、保温体の厚みが0.01〜100mmとされている装置を採用することができる。
前記保温体が、前記シリコン融液の液面上に対向する位置に配置された遮熱部材に一体として支持されていることもできる。
本発明は、前記保温体と前記シリコン融液との距離を調整可能に支持する位置調整手段を備えていることが好ましい。
本発明の単結晶製造方法においては、ルツボに収容されたシリコン融液からシリコン単結晶を引き上げながら成長させるシリコン単結晶の製造方法において、
固液界面周囲近傍の融液面上側に配置された保温体により、前記固液界面近傍においてシリコン融液の温度が低下する可能性がある部分を覆って前記シリコン融液の表面上を保温しながら前記シリコン単結晶を引き上げることにより上記課題を解決した。
本発明では、前記保温体と前記シリコン融液との距離を、0.1〜100mmとなるように設定することが好ましい。
本発明は、前記固液界面が、上に凸の状態で引き上げがおこなわれることができる。
本発明は、Grown−イン欠陥フリーの単結晶を引き上げることがある。
本発明の単結晶は、上記のいずれかに記載の単結晶製造装置、または、上記のいずれかに記載の単結晶製造方法により製造されたことができる。
なお、前記保温体と前記シリコン融液面との距離とは、保温体が円環状とされている場合には、保温体下面とシリコン融液面との距離とされ、それ以外の凹凸を有する保温体の場合には、保温体の下端部とシリコン融液面との距離が上記の範囲に設定されることになる。
本発明のシリコン単結晶またはシリコンウェーハは、上記のいずれかに記載の単結晶製造装置、または、上記のいずれかに記載の単結晶製造方法により製造されたことができる。
このような単結晶製造装置では、メニスカス近傍に配置され、前記メニスカス近傍の前記シリコン融液を保温する保温体が設けられているので、シリコン融液の表面における低温領域が形成される領域が保温され、低温領域の低温化を緩和することができる。このため、シリコン単結晶を育成している際のシリコン融液表面の径方向の温度勾配が安定し、シリコン単結晶を育成している際のシリコン単結晶の直径の変動を小さくすることができ、引き上げ速度の制御が容易となり、V/G値の制御が容易となる。さらに、このような単結晶製造装置によれば、保温体を設けたことにより、シリコン融液の対流を安定させることができるので、V/G値の制御を容易とすることができる。
上述した効果は、特に、低温領域25が低温化しやすく、引き上げ速度の制御範囲が非常に狭い無欠陥領域を有するシリコン単結晶を育成する場合に顕著に得られる。
このような単結晶製造装置とすることで、保温体を所定の位置に容易に配置することができる。
このような単結晶製造装置とすることで、シリコン融液の表面における低温領域が形成される領域が効果的に保温されるものとなり、シリコン単結晶を育成している際のシリコン融液表面の径方向の温度勾配がより一層安定し、シリコン単結晶を育成している際のシリコン単結晶の直径の変動をより一層効果的に抑制することができる。
このような単結晶製造装置とすることで、シリコン融液の表面における低温領域が形成される領域を効果的に保温することができるものとなる。
このような単結晶製造装置とすることで、シリコン単結晶の引き上げ中にシリコン融液の量が変化しても、保温体とシリコン融液との距離を所定の距離とすることが可能なものとなり、全結晶成長過程において低温領域の低温化を緩和することができる。
このような単結晶製造装置とすることで、チャンバ内に導入される不活性ガスなどのガスの流れに支障をきたすことなく、シリコン融液の表面における低温領域が形成される領域を効果的に保温することができるものとなる。
保温体とシリコン融液との距離が、0.1mm未満であると、チャンバ内に導入される不活性ガスなどのガスの流れに支障をきたす虞が生じる。また、保温体とシリコン融液との距離が、100mmを越えると、保温体による保温効果が十分に得られなくなる。
また、上記の単結晶製造装置では、前記保温体の輻射率が0.3以下であり、保温体の厚みが0.01〜100mmとされているものとすることができる。
このような単結晶製造装置とすることで、過剰に保温体の材料を使用することなく、十分な保温効果を有する保温体を備えたものとなる。
このようなシリコン単結晶の製造方法では、シリコン融液の表面における低温領域が形成される領域を保温しながら前記シリコン単結晶を引き上げることができるので、低温領域の低温化を緩和することができる。
このようなシリコン単結晶の製造方法とすることで、シリコン単結晶の引き上げ中にシリコン融液の量が変化しても、保温体とシリコン融液との距離を所定の距離とすることができ、全結晶成長過程において低温領域の低温化を緩和することができる。
このようなシリコン単結晶の製造方法とすることで、チャンバ内に導入される不活性ガスなどのガスの流れに支障をきたすことなく、シリコン融液の表面における低温領域が形成される領域を効果的に保温しながら前記シリコン単結晶を引き上げることができる。
石英ルツボ内のシリコン融液の縦断面また、単結晶製造装置30のメニスカスM近傍には、メニスカスM近傍のシリコン融液3における低温化が発生しやすい部分を保温する保温体40が配置されている。図2(b)に示すように、保温体40は、引き上げられるシリコン単結晶3の周囲を取り囲む円環状とされている。保温体40は、図2(b)に示すように、円環状とすることができるが、例えば、円錐環面、放物環面、球環面や楕円球環面形としてもよい。
図12に示す保温体41は、断面形状が円弧である円環面状のものである。図12に示すように、保温体41を構成する円弧の中心を通る中心軸42は、石英ルツボ5の中心軸15から石英ルツボ5外側に向かってシリコン単結晶3の半径Rの1.2〜1.3倍程度の位置のシリコン融液表面であり、低温領域25のうち最も低温化が著しい部分とされている。また、保温体41の焦点43は、シリコン融液表面から中心軸42に沿う深さ方向に0〜100mm、より好ましくは10〜30mmの位置とされている。
図12に示す保温体41では、保温体41からの輻射(反射)を低温領域25のうち最も低温化が著しい部分およびその近辺に集中させることができ、より一層の低温化防止を図ることが可能となる。
保温体40の厚みtは、熱伝導率が5.0 W/mK以下である場合には0.1〜100mmとすることが望ましく、1〜50mmとすることがより望ましい。また、保温体40の厚みtは、輻射率が0.3以下の低輻射率である場合には、保温体の厚みが0.01〜100mmとされていることが望ましく、0.1〜10mmとすることがより望ましい。
熱伝導率が5.0 W/mK以下である保温体40としては、例えば、少なくとも2枚以上のカーボン製板がシリコン融液4へ向かう方向へ重ねされて保温材40をカバーする2重カーボン構造のものを挙げることができる。また、輻射率が0.3以下の低輻射率である保温体40としては、モリブデン(Mo)からなるもの等を挙げることができる。カーボン、モリブデンのいずれにおいても、従来からチャンバ内構造の素材として採用されてきたものであるため、チャンバ内清浄度等に及ぼす影響が図りやすく、好ましいものである。
保温体40と前記シリコン融液4との距離Hは、0.1〜100mm、好ましくは1〜50mmとされ、位置調整手段により、シリコン単結晶3の引き上げ中に、シリコン融液4の量の変化に対応させて保温体40とシリコン融液4との距離Hを所定の距離Hに調整することができる。
本実施形態においては、シリコン単結晶3の引き上げは、メニスカスM近傍に配置された保温体40により、シリコン融液4の表面上を保温して局所的融液低温化を防止しながら行う。また、シリコン単結晶3の引き上げ中に、保温体40とシリコン融液4との距離Hを位置調整手段により上記範囲に調整する。位置調整手段による調整は、モータ32を動作させてギヤ33を正方向または反対方向に回転駆動させることによって行われる。
固液界面形状△S−L/△S−L(従来技術)=1.100
固液界面近傍結晶中心温度勾配G/G(従来技術)=1.180
結晶中心温度勾配分布差△G/△G(従来技術)=0.3
となるように設定した。
ここで、固液界面形状△S−Lとは、図1に示すように、結晶軸方向におけるメインチャンバ1内の底面から固液界面の中心までの距離Zcと、メインチャンバ1内の底面から固液界面の周縁までの距離Zeとの差(Zc−Ze)であり、固液界面近傍における結晶中心温度勾配Gは、上述した温度勾配Gであり、結晶中心温度勾配分布差△Gは、引き上げ中にこの温度勾配が変化した割合を示すものであり、上記の値は、それぞれ、図7に示した従来の製造装置によって、図8〜図10に示す状態で引き上げをおこない、低温領域が発生した際におけるそれぞれの値との比を示すものである。
また、図5は図10に対応し、シリコン融液の等温線を示した図である。図5において、等温線の間隔は2Kであり、淡色が低温を示し濃色が高温を示している。なお、図3〜図5では、図面を見やすくするために、石英ルツボ内のシリコン融液の縦断面を石英ルツボの中心軸15で切断してなる片側部分のみ示した。図6は、シリコン融液の表面温度と、シリコン融液の径方向の位置との関係を示したグラフである。なお、図6における径方向の位置は、引き上げされるシリコン単結晶3の直径D0の位置を1とし、直径D0の位置から径方向外側に向かう距離を直径D0に対する割合で示した。
また、図3および図4に示す本発明の実施形態による結果を、図8および図9に示す従来の結果と比較すると、シリコン融液4の対流が安定していることがわかる。
なお、無欠陥ウェーハ収率は、以下に示す方法によって求めた。
まず、観察するウェーハ熱表面に膜厚50nm士5nmの酸化膜を形成し、その平均酸化膜厚(膜厚モニターを用いた平均膜厚の推定値でも可)を求め、
5(MV/cm)・平均酸化膜厚(nm)/10
となるようにより所定の電圧を印加するとともに、Cu溶出前のMeOH抵抗を5,3±1kΩ(φ300mm)としたCu溶出メタノール液によりCuデコレーションを行う。
ついで、その結果を図13に示すように、各領域ごとにまとめる。ここで、図13における符号59は欠陥であり、図13では、各領域中にあった欠陥をX軸上に集約した状態を示している。
次いで、無欠陥ウェーハ収率として、以下の式より求める。
ピュア(無欠陥領域)収率=無欠陥面積に対応するウェーハ枚数/払い出す結晶のウェーハ総枚数
Claims (13)
- ルツボに収容されたシリコン融液からシリコン単結晶を引き上げながら成長させる単結晶製造装置において、
固液界面周囲近傍の融液面上側に配置され、前記固液界面近傍において融点以下に温度が低下する可能性がある部分の前記シリコン融液を保温する保温体が設けられていることを特徴とする単結晶製造装置。 - 前記保温体が、引き上げられるシリコン単結晶の周囲を取り囲む円環状の融液表面を保温することを特徴とする請求項1に記載の単結晶製造装置。
- 前記保温体は、平面視して円環状とされ、平面視した際の外径が引き上げされるシリコン単結晶の直径の1.2〜3.0倍であり、かつ、内径が引き上げされるシリコン単結晶の直径の1.0〜1.5倍であることを特徴とする請求項2に記載の単結晶製造装置。
- 前記保温体と前記シリコン融液との距離が、0.1〜100mmとされていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の単結晶製造装置。
- 前記保温体の熱伝導率が5.0 W/mK以下であり、保温体の厚みが0.1〜100mmとされていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の単結晶製造装置。
- 前記保温体の輻射率が0.01〜0.3であり、保温体の厚みが0.01〜100mmとされていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の単結晶製造装置。
- 前記保温体が、前記シリコン融液の液面上に対向する位置に配置された遮熱部材に一体として支持されていることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の単結晶製造装置。
- 前記保温体と前記シリコン融液との距離を調整可能に支持する位置調整手段を備えていることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の単結晶製造装置。
- ルツボに収容されたシリコン融液からシリコン単結晶を引き上げながら成長させるシリコン単結晶の製造方法において、
固液界面周囲近傍の融液面上側に配置された保温体により、前記固液界面近傍においてシリコン融液の温度が低下する可能性がある部分を覆って前記シリコン融液の表面上を保温しながら前記シリコン単結晶を引き上げることを特徴とする単結晶の製造方法。 - 前記保温体と前記シリコン融液との距離を、0.1〜100mmとなるように設定することを特徴とする請求項9に記載の単結晶の製造方法。
- 前記固液界面が、上に凸の状態で引き上げがおこなわれることを特徴とする請求項9または10に記載の単結晶の製造方法。
- Grown−イン欠陥フリーの単結晶を引き上げることを特徴とする請求項9から11のいずれかに記載の単結晶の製造方法。
- 請求項1から8のいずれかに記載の単結晶製造装置、または、請求項9から12のいずれかに記載の単結晶製造方法により製造されたことを特徴とする単結晶。
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