JP2007183591A - マスクブランクおよび階調マスク - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明は、透明基板と、上記透明基板上に形成され、透過率調整機能を有する半透明膜とを有するマスクブランクであって、上記半透明膜は、波長365nmでの透過率が波長300nmでの透過率より大きく、波長365nmでの透過率と波長300nmでの透過率との差が所定の範囲内であることを特徴とするマスクブランクを提供することにより、上記目的を達成する。
【選択図】図3
Description
しかしながら、このスリットは解像限界以下である必要があるため、当然のことながら、マスクの本体パターンよりも小さな寸法に仕上げる必要があり、マスク製造に対して大きな負荷となってしまうという問題があった。さらに、広い領域を半透明にするためには、多くのスリットを配置する必要があるため、パターンデータ容量が増え、パターン形成工程や、パターンの欠陥検査工程に対する負荷の増大という問題も生じ、製造・検査時間の増大、マスク製造コストの上昇につながってしまうという問題があった。
特許文献5に記載の階調マスクは、透過率が300nmで5%以下、380nmで45%以上であり、露光光の短波長域(300nm〜350nm程度)をカットし、長波長域(350nm〜450nm程度)のみを利用するというものである。しかしながら、長波長域のみを利用する場合、短波長域を利用する場合と比較してエネルギーが低いため、硬化速度が遅く、露光に時間がかかるという問題がある。
本発明の表示装置製造用階調マスクは、上述した階調マスクを用いたものであるので、表示装置の製造工程の簡略化が可能であり、またパターン形成時の露光時間の短縮化が可能である。
本発明のマスクブランクは、透明基板と、上記透明基板上に形成され、透過率調整機能を有する半透明膜とを有するマスクブランクであって、上記半透明膜は、波長365nmでの透過率が波長300nmでの透過率より大きく、波長365nmでの透過率と波長300nmでの透過率との差が所定の範囲内であることを特徴とするものである。
図1に例示するように、マスクブランク1は、透明基板2上に半透明膜3および遮光膜4がこの順に積層されたものである。この半透明膜3は、透過率調整機能を有し、波長365nmでの透過率が波長300nmでの透過率より大きく、波長365nmでの透過率と波長300nmでの透過率との差が所定の範囲内となっている。また、遮光膜4は、実質的に露光光を透過しないものである。
また、図1に示すマスクブランク1を用いて形成された階調マスク10では、図2に例示するように、透明基板2上に半透明膜3および遮光膜4がパターン状に形成されており、透明基板2上に遮光膜4が設けられた遮光領域11と、透明基板2上に半透明膜3のみが設けられた半透明領域12と、透明基板2上に半透明膜3および遮光膜4のいずれも設けられていない透過領域13とが混在している。
ここで、半透明膜における短波長域および長波長域の透過率の差が少ない階調マスクを用いた場合では、短波長域の光のエネルギーが高過ぎるため、半透明領域でもレジストの表面が先に硬化してしまい、半透明領域と透過領域とで高さや形状の異なるパターンを形成することが難しい。また半透明膜の短波長域の透過率をカットした階調マスクを用いた場合では、感度が低く、エネルギーが不足するため、目的とする高さとなるようにレジストをパターニングできない。一方、本発明においては、半透明膜の短波長域および長波長域での透過率差が十分あり、また波長が長くなるにつれて透過率が高くなるものとされていることから、上記のような高さや形状の異なるパターンを形成することができる。したがって、本発明のマスクブランクを用いることにより、広い波長域を有効に活用でき、パターンの形成に有利な階調マスクを得ることができる。
以下、本発明のマスクブランクの各構成について説明する。
本発明に用いられる半透明膜は、透過率調整機能を有し、波長365nmでの透過率が波長300nmでの透過率より大きく、波長365nmでの透過率と波長300nmでの透過率との差が所定の範囲内となるものである。
本発明のマスクブランク1においては、図1に例示するように半透明膜3側の表面に遮光膜4が形成されていてもよく、図5に例示するように透明基板2側の表面に遮光膜4が形成されていてもよい。
本発明に用いられる透明基板は、一般にフォトマスクに用いられる基板を使用することができる。例えば、ホウ珪酸ガラス、アルミノホウ珪酸ガラス等の光学研磨された低膨張ガラス、石英ガラス、合成石英ガラス、パイレックス(登録商標)ガラス、ソーダライムガラス、ホワイトサファイアなどの可撓性のない透明なリジット材、あるいは、透明樹脂フィルム、光学用樹脂フィルムなどの可撓性を有する透明なフレキシブル材を用いることができる。中でも、石英ガラスは、熱膨脹率の小さい素材であり、寸法安定性および高温加熱処理における特性に優れている。
本発明においては、遮光膜上に低反射層が形成されていてもよい。低反射層を設けることにより、本発明のマスクブランクを用いて形成された階調マスクの使用時において、ハレーションを防止することができる。
低反射層としては、例えば酸化クロム、窒化クロム、酸化窒化クロム等の膜が挙げられる。遮光膜がクロム系膜である場合、これらの膜は遮光膜のエッチング時に同時にエッチングすることが可能である。
本発明のマスクブランクの大きさとしては、用途に応じて適宜調整されるが、マスクブランクが例えば液晶表示装置や有機EL表示装置等の表示装置に適用される階調マスクに用いられる場合には、300mm×400mm〜1,600mm×1,800mm程度とすることができる。
次に、本発明の階調マスクについて説明する。
本発明の階調マスクは、透明基板と、遮光膜と、透過率調整機能を有する半透明膜とが順不同に積層され、上記透明基板上に上記遮光膜が設けられた遮光領域と、上記透明基板上に上記半透明膜のみが設けられた半透明領域と、上記透明基板上に上記遮光膜および上記半透明膜のいずれも設けられていない透過領域とを有する階調マスクであって、上記半透明膜は、波長365nmでの透過率が波長300nmでの透過率より大きく、波長365nmでの透過率と波長300nmでの透過率との差が所定の範囲内であることを特徴とするものである。
図2は、本発明の階調マスクの一例を示す概略断面図である。図2に例示するように、階調マスク10は、透明基板2上に半透明膜3および遮光膜4がこの順に積層され、透明基板2上に遮光膜4が設けられた遮光領域11と、透明基板2上に半透明膜3のみが設けられた半透明領域12と、透明基板2上に遮光膜4および半透明膜3のいずれも設けられていない透過領域13とを有するものである。この半透明膜3は、透過率調整機能を有し、波長365nmでの透過率が波長300nmでの透過率より大きく、波長365nmでの透過率と波長300nmでの透過率との差が所定の範囲内となっている。
また半透明膜の短波長域の透過率をカットした階調マスクを用いた場合では、感度が低く、エネルギーが不足するため、目的とする高さとなるようにレジストをパターニングできない。一方、本発明においては、半透明膜の短波長域および長波長域での透過率差が十分あり、また波長が長くなるにつれて透過率が高くなるものとされていることから、上記のような高さや形状の異なるパターンを形成することができる。
以下、本発明の階調マスクの各構成について説明する。
本発明における遮光領域は、透明基板上に遮光膜が設けられた領域である。遮光領域では、透明基板上に少なくとも遮光膜が形成されていればよく、透明基板上に遮光膜および半透明膜が形成されていてもよい。
また、図7に例示する階調マスクの層構成としても、例えば図10(a)に示すように透明基板2、遮光膜4、半透明膜3の順に積層されていてもよく、図10(b)に示すように透明基板2、半透明膜3、遮光膜4の順に積層されていてもよく、図10(c)に示すように半透明膜3、透明基板2、遮光膜4の順に積層されていてもよい。なお、図10(a)〜(c)は、図7のB−B線断面図である。この場合、遮光領域11では透明基板上2に遮光膜4および半透明膜3が設けられ、半透明領域12では透明基板2上に半透明膜3が設けられており、透過領域13は透明基板2のみを有する。このような階調マスクを用いてパターンを形成した場合には、例えば図11に示すようにスペーサ19aおよびオーバーコート層19bを同時に形成することができる。
本発明においては、遮光膜上に低反射層が形成されていてもよい。低反射層を設けることにより、マスク使用時のレジストの解像度を上げることができる。
低反射層としては、例えば酸化クロム、窒化クロム、酸化窒化クロム等の膜が挙げられる。遮光膜がクロム系膜である場合、これらの膜は遮光膜のエッチング時に同時にエッチングすることが可能である。
例えば図8(a)に示すように透明基板2、遮光膜4、半透明膜3の順に積層されている場合、低反射層は遮光膜と半透明膜の間に形成される。また、図8(b)に示すように透明基板2、半透明膜3、遮光膜4の順に積層されている場合、および図8(c)に示すように半透明膜3、透明基板2、遮光膜4の順に積層されている場合、低反射層は遮光膜上に形成される。
本発明の階調マスクは、透過率が3段階以上に段階的に変化するものであり、2階調のマスクに限定されるものではなく、後述するようにパターニングを繰り返すことにより、2階調以上の多階調のマスクとすることが可能である。
本発明の階調マスクを用いた一括露光により2種以上のパターンを同時に形成する用途として、具体的には液晶表示装置におけるスペーサおよび配向制御用突起の同時形成、液晶表示装置における高さの異なるスペーサの同時形成、液晶表示装置におけるスペーサおよびオーバーコート層の同時形成、液晶表示装置用カラーフィルタにおけるスペーサおよび配向制御用突起の同時形成、液晶表示装置カラーフィルタにおける高さの異なるスペーサの同時形成、液晶表示装置カラーフィルタにおけるスペーサおよびオーバーコート層の同時形成、表示装置における半導体素子作製時の厚みの異なるレジストの形成などを挙げることができる。
次に、本発明の階調マスクの製造方法について説明する。本発明の階調マスクの製造方法としては、透明基板上に半透明膜および遮光膜をパターン状に形成することにより、所望の位置に遮光領域、半透明領域、および透過領域を配置することができる方法であれば特に限定されるものではないが、2つの好ましい態様を挙げることができる。以下、各態様について説明する。
本発明の階調マスクの製造方法の第1の態様は、透明基板上に遮光膜を成膜したマスクブランクを準備するマスクブランク準備工程と、遮光膜の一部をパターニングする第1パターニング工程と、パターニングされた遮光膜が形成された透明基板の全面に半透明膜を成膜する半透明膜成膜工程と、遮光膜および半透明膜をパターニングする第2パターニング工程とを有するものである。
本態様の階調マスクを作製するには、まず透明基板2上に遮光膜4aを成膜したマスクブランク20を準備する(図12(a)、マスクブランク準備工程)。
次に、遮光膜4a上にレジスト材料を塗布し、塗布後に所定時間ベークし、第1レジスト膜21aを形成する(図12(b))。次に、遮光膜をパターン露光する。この際、半透明領域12と遮光領域11とが接する境界、および半透明領域12と透過領域13とが接する境界を形成するように、半透明領域12は第1レジスト膜21aが除去される露光量で露光し、遮光領域11および透過領域13は第1レジスト膜21aが残存する露光量で露光する。続いて、現像することにより、第1レジストパターン21bを形成する(図12(c))。次に、第1レジストパターン21bより露出している遮光膜4aをエッチングして、遮光膜中間パターン4bを形成し(図12(d))、残存している第1レジストパターン21bを除去する(図12(e))。この遮光膜中間パターン4bでは、後述する第2パターニング工程にて半透明膜と同じ箇所をエッチングする部分はエッチングされずに残存している。なお、図12(b)〜(e)は第1パターニング工程である。
次に、遮光膜中間パターン4bが形成された透明基板2の全面に、半透明膜3aを成膜する(図12(f)、半透明膜成膜工程)。
次に、半透明膜3a上にレジスト材料を塗布し、塗布後に所定時間ベークし、第2レジスト膜22aを形成する(図12(g))。続いて、遮光膜および半透明膜のパターン露光を行う。この際、遮光領域11と透過領域13とが接する境界、および半透明領域12と透過領域13とが接する境界を形成するように、透過領域13は第2レジスト膜22aが除去される露光量で露光し、遮光領域11および半透明領域12は第2レジスト膜22aが残存する露光量で露光する。次に、現像することにより、第2レジストパターン22bを形成する(図12(h))。次に、第2レジストパターン22bより露出している半透明膜3aをエッチングし、続いて、下層の遮光膜中間パターン4bが露出している箇所をさらにエッチングすることにより、半透明膜パターン3bおよび遮光膜パターン4cを形成する(図12(i))。次いで、残存している第2レジストパターン22bを除去し(図12(j))、階調マスクを得ることができる。なお、図12(g)〜(j)は第2パターニング工程である。
以下、本態様の階調マスクの製造方法における各工程について説明する。
本態様におけるマスクブランク準備工程は、透明基板上に遮光膜を成膜したマスクブランクを準備する工程である。
透明基板上に遮光膜としてクロム膜が形成されたマスクブランクは、一般的に使用されているマスクブランクであり、容易に入手可能である。
本態様における第1パターニング工程は、遮光膜の一部をパターニングする工程である。遮光膜のパターニング方法としては特に限定されるものではなく、通常、リソグラフィー法が用いられる。リソグラフィー法を用いる場合、マスクブランクの遮光膜上にレジスト材料を塗布し、ベークを行って第1レジスト膜を形成する。
また、図示しないが、第1レジスト膜にネガ型レジスト材料を用いた場合は、半透明領域では露光せず、遮光領域および透過領域で第1レジスト膜が感光される露光量で露光する。
なお、遮光膜および半透明膜の同じ箇所を一括してエッチングするためのパターン露光は、第2パターニング工程で行う。
遮光膜がクロム系膜である場合には、硝酸セリウム系ウェットエッチャントが好適に用いられる。
また、遮光膜が反射防止機能を有する場合は、第1レジスト膜を露光するための露光光の散乱によって、本来露光されるべき領域でない領域が露光されてしまうことを防止することができる。
本態様における半透明膜成膜工程は、パターニングされた遮光膜が形成された透明基板の全面に半透明膜を成膜する工程である。なお、半透明膜の成膜方法については、上記「A.マスクブランク」の半透明膜の項に記載したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
本態様における第2パターニング工程は、遮光膜および半透明膜をパターニングする工程である。遮光膜および半透明膜のパターニング方法としては特に限定されるものではなく、通常、リソグラフィー法が用いられる。リソグラフィー法を用いる場合、遮光膜および半透明膜が形成された透明基板上にレジスト材料を塗布し、ベークを行って第2レジスト膜を形成する。
なお、第2レジスト膜の材料については、上記第1パターニング工程の項に記載した第1レジスト膜の材料と同様であるので、ここでの説明は省略する。
また、図示しないが、第2レジスト膜にネガ型レジスト材料を用いた場合は、透過領域では露光せず、遮光領域および半透明領域で第2レジスト膜が感光される露光量で露光する。
なお、パターン露光のその他の点、および現像については、上記第1パターニング工程の項に記載したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
本発明の階調マスクの製造方法の第2の態様は、透明基板上に半透明膜および遮光膜がこの順に積層されたマスクブランクを準備するマスクブランク準備工程と、半透明膜および遮光膜の一部をパターニングする第1パターニング工程と、遮光膜のみをパターニングする第2パターニング工程とを有するものである。
本態様の階調マスクを作製するには、まず透明基板2上に半透明膜3aおよび遮光膜4aがこの順に積層されたマスクブランク1を準備する(図13(a)、マスクブランク準備工程)。
次に、遮光膜4a上にレジスト材料を塗布し、塗布後に所定時間ベークし、第1レジスト膜23aを形成する(図13(b))。次に、半透明膜および遮光膜のパターン露光を行う。この際、遮光領域11と透過領域13とが接する境界、および半透明領域12と透過領域13とが接する境界を形成するように、透過領域13は第1レジスト膜23aが除去される露光量で露光し、遮光領域11および半透明領域12は第1レジスト膜23aが残存する露光量で露光する。続いて、現像することにより、第1レジストパターン23bを形成する(図13(c))。次に、第1レジストパターン23bより露出している透明膜3aおよび遮光膜4aをエッチングして、半透明膜パターン3bおよび遮光膜中間パターン4bを形成し(図13(d))、残存している第1レジストパターン23bを除去する(図13(e))。この遮光膜中間パターン4bでは、後述する第2パターニング工程にて遮光膜のみをエッチングする部分はエッチングされずに残存している。なお、図13(b)〜(e)は第1パターニング工程である。
次に、半透明膜パターン3bおよび遮光膜中間パターン4bが形成された透明基板2上にレジスト材料を塗布し、塗布後に所定時間ベークし、第2レジスト膜24aを形成する(図13(f))。続いて、遮光膜のパターン露光を行う。この際、半透明領域12と遮光領域11とが接する境界、および半透明領域12と透過領域13とが接する境界を形成するように、半透明領域12は第2レジスト膜24aが除去される露光量で露光し、遮光領域11および透過領域13は第2レジスト膜24aが残存する露光量で露光する。次に、現像することにより、第2レジストパターン24bを形成する(図13(g))。次に、第2レジストパターン24bより露出している遮光膜中間パターン4bをエッチングして、遮光膜パターン4cを形成し、(図13(h))、残存している第2レジストパターン24bを除去する(図13(i))。なお、図13(f)〜(i)は第2パターニング工程である。このようにして階調マスクを得ることができる。
以下、本態様の階調マスクの製造方法における各工程について説明する。
本態様におけるマスクブランク準備工程は、透明基板上に半透明膜および遮光膜がこの順に積層されたマスクブランクを準備する工程である。なお、マスクブランクについては、上記「A.マスクブランク」の欄に記載したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
本態様における第1パターニング工程は、半透明膜および遮光膜の一部をパターニングする工程である。半透明膜および遮光膜のパターニング方法としては特に限定されるものではなく、通常、リソグラフィー法が用いられる。リソグラフィー法を用いる場合、マスクブランクの遮光膜上にレジスト材料を塗布し、ベークを行って第1レジスト膜を形成する。
また、図示しないが、第1レジスト膜にネガ型レジスト材料を用いた場合は、透過領域はで露光せず、遮光領域および半透明領域で第1レジスト膜が感光される露光量で露光する。
なお、遮光膜のみをエッチングするためのパターン露光は、第2パターニング工程で行う。
本態様における第2パターニング工程は、遮光膜のみをパターニングする工程である。遮光膜のパターニング方法としては特に限定されるものではなく、通常、リソグラフィー法が用いられる。リソグラフィー法を用いる場合、パターニングされた半透明膜および遮光膜の上にレジスト材料を塗布し、ベークを行って第2レジスト膜を形成する。
また、図示しないが、第2レジスト膜にネガ型レジスト材料を用いた場合は、半透明領域では露光せず、遮光領域および透過領域で第2レジスト膜が感光される露光量で露光する。
次に、本発明の表示装置製造用階調マスクについて説明する。
本発明の表示装置製造用階調マスクは、上述した階調マスクが表示装置の製造に用いられることを特徴とするものである。
図3は、本発明の表示装置製造用階調マスク10を用いて液晶表示装置におけるスペーサ16および配向制御用突起17を同時に形成する例である。また、図6および図8に示す表示装置製造用階調マスク10を用いることにより、図9に例示するような液晶表示装置における高さおよび形状の異なるスペーサ18aおよび配向制御用突起18bを同時に形成することができる。さらに、図7および図10に示す表示装置製造用階調マスク10を用いることにより、図11に例示するように液晶表示装置におけるスペーサ19aおよびオーバーコート層19bを同時に形成することができる。このように、本発明の表示装置製造用階調マスクを用いることにより、表示装置における高さや形状の異なる部材を同時に形成することが可能である。
したがって、本発明の表示装置製造用階調マスクを用いることにより、表示装置の製造工程の簡略化および露光時間の短縮化が可能である。
なお、階調マスクについては、上記「B.階調マスク」の項に記載したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
[実施例1]
(階調マスクの作製)
光学研磨された390mm×610mmの合成石英基板上にクロム膜(遮光膜)が厚み100nmで成膜されている常用のマスクブランク上に、市販のフォトレジスト(東京応化工業社製 ip−3500)を厚み600nmで塗布し、120℃に加熱されたホットプレートで15分ベークした後、フォトマスク用レーザ描画装置(マイクロニック社製LRS11000-TFT3)で、所望の遮光膜中間パターンを描画した。
次に、専用のデベロッパー(東京応化工業社製 NMD3)で現像し、遮光膜用レジストパターンを得た。
次に、レジストパターンをエッチング用マスクとし、クロム膜をエッチングし、さらに残ったレジストパターンを剥膜することで、所望の遮光膜中間パターンを得た。クロム膜のエッチングには、市販の硝酸セリウム系ウェットエッチャント(ザ・インクテック社製 MR−ES)を用いた。クロム膜のエッチング時間は、60秒であった。
<成膜条件>
・ガス流量比 Ar:CO2:N2=1:0.5:0.5
・パワー:1.5kW
・ガス圧:3mTorr
酸化窒化炭化クロム膜の膜厚は33nmとした。酸化窒化炭化クロム膜の分光スペクトルを図15および図16に示す。
次に、酸化窒化炭化クロム膜上に市販のフォトレジスト(東京応化製 ip−3500)を再度、厚み600nmで塗布し、120℃に加熱されたホットプレート上で15分ベークした。
続いて半透明膜パターンとなる像を再度、レーザ描画装置(マイクロニック社製LRS11000-TFT3)で描画し、専用デベロッパー(東京応化社製 NMD3)で現像し、レジストパターンを得た。
次に、レジストパターンをマスクとして、市販の硝酸セリウム系ウェットエッチャント(ザ・インクテック社製 MR−ES)で半透明膜および遮光膜をエッチングし、半透明膜パターンおよび遮光膜パターンを得た。エッチングは半透明膜および遮光膜に対して行った。
最後に残ったレジストを剥膜し、パターン寸法検査、パターン欠陥検査などの検査工程を経て、必要に応じてパターン修正を行い、階調マスクを得た。
大きさが100mm×100mm、厚みが0.7mmのガラス基板を準備し、このガラス基板上にネガ型感光性樹脂組成物(JSR製 オプトマーNN850)をスピンコート法により塗布し、減圧乾燥後、100℃にて3分間プリベークした。その後、上記の階調マスクを介して下記条件にて露光した。
<露光条件>
・露光量:100mJ/cm2(I線換算)
・露光ギャップ:150μm
(階調マスクの作製)
下記のように半透明膜を成膜した以外は、実施例1と同様にして階調マスクを作製した。
遮光膜中間パターンが形成された基板について、パターン寸法検査、パターン欠陥検査、必要に応じてパターン修正を行い、よく洗浄した後、クロム膜(半透明膜)をスパッタリング法にて成膜した。クロム膜の膜厚は10nmとした。このクロム膜の分光スペクトルを図15および図16に示す。またこのクロム膜の365nmおよび300nmにおける透過率を表2に示す。
実施例1と同様にして、凸形状の2種のパターンを形成した。
(階調マスクの作製)
下記のように半透明膜を成膜した以外は、実施例1と同様にして階調マスクを作製した。
遮光膜中間パターンが形成された基板について、パターン寸法検査、パターン欠陥検査、必要に応じてパターン修正を行い、よく洗浄した後、高屈折率層(屈折率:2.5、厚み:29nm、TiO2膜)と低屈折率層(屈折率:1.5、厚み:48nmのSiO2膜)とを交互に計15層(1層目および15層目は高屈折率層)、スパッタリング法にて成膜した。これにより、波長330nm以下の短波長域をカットする半透明膜を得た。この半透明膜の分光スペクトルを図16に示す。またこの半透明膜の365nmおよび300nmにおける透過率を表2に示す。
下記のように半透明膜を成膜した以外は、実施例1と同様にして階調マスクを作製した。
遮光膜中間パターンが形成された基板について、パターン寸法検査、パターン欠陥検査、必要に応じてパターン修正を行い、よく洗浄した後、酸化窒化炭化クロム膜(半透明膜)を下記の条件でスパッタリング法にて成膜した。
<成膜条件>
・ガス流量比 Ar:CO2:N2=1:0.5:0.5
・パワー:2.2kW
・ガス圧:3mTorr
酸化窒化炭化クロム膜の膜厚は45nmとした。酸化窒化炭化クロム膜の分光スペクトルを図16に示す。またこの酸化窒化炭化クロム膜の365nmおよび300nmにおける透過率を表2に示す。
下記のように半透明膜を成膜した以外は、実施例1と同様にして階調マスクを作製した。
遮光膜中間パターンが形成された基板について、パターン寸法検査、パターン欠陥検査、必要に応じてパターン修正を行い、よく洗浄した後、酸化窒化炭化クロム膜(半透明膜)を下記の条件でスパッタリング法にて成膜した。
<成膜条件>
・ガス流量比 Ar:CO2:N2=1:0.45:0.5
・パワー:2.0kW
・ガス圧:3mTorr
酸化窒化炭化クロム膜の膜厚は43nmとした。酸化窒化炭化クロム膜の分光スペクトルを図16に示す。またこの酸化窒化炭化クロム膜の365nmおよび300nmにおける透過率を表2に示す。
下記のように半透明膜を成膜した以外は、実施例1と同様にして階調マスクを作製した。
遮光膜中間パターンが形成された基板について、パターン寸法検査、パターン欠陥検査、必要に応じてパターン修正を行い、よく洗浄した後、酸化窒化炭化クロム膜(半透明膜)を下記の条件でスパッタリング法にて成膜した。
<成膜条件>
・ガス流量比 Ar:CO2:N2=1:0.55:0.5
・パワー:2.5kW
・ガス圧:3mTorr
酸化窒化炭化クロム膜の膜厚は47nmとした。酸化窒化炭化クロム膜の分光スペクトルを図16に示す。またこの酸化窒化炭化クロム膜の365nmおよび300nmにおける透過率を表2に示す。
下記のように半透明膜を成膜した以外は、実施例1と同様にして階調マスクを作製した。
遮光膜中間パターンが形成された基板について、パターン寸法検査、パターン欠陥検査、必要に応じてパターン修正を行い、よく洗浄した後、酸化窒化炭化クロム膜(半透明膜)を下記の条件でスパッタリング法にて成膜した。
<成膜条件>
・ガス流量比 Ar:CO2:N2=1:0.4:0.5
・パワー:2.2kW
・ガス圧:3mTorr
酸化窒化炭化クロム膜の膜厚は42nmとした。酸化窒化炭化クロム膜の分光スペクトルを図16に示す。またこの酸化窒化炭化クロム膜の365nmおよび300nmにおける透過率を表2に示す。
下記のように半透明膜を成膜した以外は、実施例1と同様にして階調マスクを作製した。
遮光膜中間パターンが形成された基板について、パターン寸法検査、パターン欠陥検査、必要に応じてパターン修正を行い、よく洗浄した後、酸化窒化炭化クロム膜(半透明膜)を下記の条件でスパッタリング法にて成膜した。
<成膜条件>
・ガス流量比 Ar:CO2:N2=1:0.6:0.5
・パワー:2.7kW
・ガス圧:3mTorr
酸化窒化炭化クロム膜の膜厚は49nmとした。酸化窒化炭化クロム膜の分光スペクトルを図16に示す。またこの酸化窒化炭化クロム膜の365nmおよび300nmにおける透過率を表2に示す。
各実施例および比較例について実施例1と同様にして、凸形状の2種のパターンを形成した。
実施例1、比較例1,2の階調マスクを用いて形成されたパターンの断面形状を走査型電子顕微鏡にて観察し、寸法を測定した。結果を表1に示す。また実施例1〜4、および比較例1〜4について形成されたパターンの断面形状を走査型電子顕微鏡にて観察し、寸法を測定した。この結果を表3に示す。なお、表3における判定は、半透明領域に対応する領域に形成された部材の膜厚が1.1μm〜1.5μmである場合が○、上記範囲より誤差が0.3μm以内である場合が△、誤差が0.3μmより大きい場合を×とした。
2 … 透明基板
3 … 半透明膜
4 … 遮光膜
10 … 階調マスク
11 … 遮光領域
12 … 半透明領域
13 … 透過領域
Claims (12)
- 透明基板と、前記透明基板上に形成され、透過率調整機能を有する半透明膜とを有するマスクブランクであって、前記半透明膜は、波長365nmでの透過率が波長300nmでの透過率より大きく、波長365nmでの透過率と波長300nmでの透過率との差が6.5%〜12.5%の範囲内であることを特徴とするマスクブランク。
- 前記半透明膜側または前記透明基板側のいずれかの表面に遮光膜が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のマスクブランク。
- 前記半透明膜および前記遮光膜がクロム系膜であることを特徴とする請求項2に記載のマスクブランク。
- 前記半透明膜は、波長405nmでの透過率が波長300nmでの透過率より大きく、波長405nmでの透過率と波長300nmでの透過率との差が10.5%〜21.0%の範囲内であることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかの請求項に記載のマスクブランク。
- 前記半透明膜は、波長436nmでの透過率が波長300nmでの透過率より大きく、波長436nmでの透過率と波長300nmでの透過率との差が13.5%〜27.0%の範囲内であることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれかの請求項に記載のマスクブランク。
- 前記半透明膜の波長300nmでの透過率が3.5%〜70%の範囲内であることを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれかの請求項に記載のマスクブランク。
- 透明基板と、遮光膜と、透過率調整機能を有する半透明膜とが順不同に積層され、前記透明基板上に前記遮光膜が設けられた遮光領域と、前記透明基板上に前記半透明膜のみが設けられた半透明領域と、前記透明基板上に前記遮光膜および前記半透明膜のいずれも設けられていない透過領域とを有する階調マスクであって、前記半透明膜は、波長365nmでの透過率が波長300nmでの透過率より大きく、波長365nmでの透過率と波長300nmでの透過率との差が6.5%〜12.5%の範囲内であることを特徴とする階調マスク。
- 前記半透明膜および前記遮光膜がクロム系膜であることを特徴とする請求項7に記載の階調マスク。
- 前記半透明膜は、波長405nmでの透過率が波長300nmでの透過率より大きく、波長405nmでの透過率と波長300nmでの透過率との差が10.5%〜21.0%の範囲内であることを特徴とする請求項7または請求項8に記載の階調マスク。
- 前記半透明膜は、波長436nmでの透過率が波長300nmでの透過率より大きく、波長436nmでの透過率と波長300nmでの透過率との差が13.5%〜27.0%の範囲内であることを特徴とする請求項7から請求項9までのいずれかの請求項に記載の階調マスク。
- 前記半透明膜の波長300nmでの透過率が3.5%〜70%の範囲内であることを特徴とする請求項7から請求項10までのいずれかの請求項に記載の階調マスク。
- 請求項7から請求項11までのいずれかの請求項に記載の階調マスクが表示装置の製造に用いられることを特徴とする表示装置製造用階調マスク。
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