JP2007181515A - 歯科補綴物及び骨接合術用具、並びにそれらの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 潤滑性に優れるだけでなく、抗菌性にも優れ、さらには、長期に渡って安定的に潤滑性及び抗菌性が維持されるような歯科補綴物及び骨接合術用具、並びにそれらの製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】 金属表面を有する歯科補綴物であって、前記金属表面に電気化学反応により極性基を有する親水性有機化合物を直接的に固定してなる歯科補綴物である。また、金属表面を有する骨接合術用具であって、前記金属表面に電気化学反応により極性基を有する親水性有機化合物を直接的に固定してなる骨接合術用具である。
【選択図】 図1
【解決手段】 金属表面を有する歯科補綴物であって、前記金属表面に電気化学反応により極性基を有する親水性有機化合物を直接的に固定してなる歯科補綴物である。また、金属表面を有する骨接合術用具であって、前記金属表面に電気化学反応により極性基を有する親水性有機化合物を直接的に固定してなる骨接合術用具である。
【選択図】 図1
Description
本発明は、歯科補綴物及び骨接合術用具、並びにそれらの製造方法に関する。
歯科医療において用いられるインプラント、義歯、矯義歯(ブリッジ)、歯冠修復物(充填材、修復材)等の歯科補綴物は、口腔機能の低下、欠落及び形態の以上を修復する目的で使用される。歯科補綴物は、長期間にわたって口腔内で使用されるので、ミュータンス、タンパク質などの口腔汚染物質の付着によってプラークなどのバイオフィルムが形成される。バイオフィルムは、口臭、口腔粘膜の炎症、口内炎などの口腔疾患を引き起こす原因となるため、できるだけバイオフィルムを形成し難くすることが好ましい。そして、特にインプラントにおいては、顎骨から口腔に材料が貫通しているため、口腔内の細菌が歯根部に侵入して炎症を生じ、インプラントの固定維持を脅かす恐れがある。
そのため、歯科補綴物にはバイオフィルムを形成されないようにすることが好ましく、歯科補綴物にバイオフィルムを形成し難くする方法が種々検討されている。バイオフィルムを形成し難くする方法としては、例えば、表面を滑沢にする方法がある。しかしながら、歯科補綴物の表面を滑沢にするには、十分に研磨しなければならないため手間がかかり、また十分に研磨仕上げされた歯科用補綴物であっても口腔内で長時間使用すると、表面が磨耗、着色、変色し、審美性が損なわれるという問題がある。
そこで、表面を滑沢にする方法以外にも、義歯、矯義歯(ブリッジ)、歯冠修復物(充填材、修復材)等の表面を平滑にし、耐磨耗性を付与するためのコーティング剤が提案されている。コーティング剤としては、(特許文献1)〜(特許文献3)に示すようなものが挙げられている。しかしながら、コーティング剤を使用した場合には、被覆直後は歯科補綴物の表面に薄い一層の膜を形成し、平滑性を付与するものの、長時間使用するとはがれ落ちてしまう等して耐久性に問題があった。さらに、十分な研磨あるいはコーティング剤による処理を行なった義歯、矯義歯(ブリッジ)、歯冠修復物(充填材、修復材)等であっても、食物の食べかす、チューインガム等の付着により、プラークが蓄積するという問題は依然残ったままであった。
また、骨接合術用具として用いられるプレートやボルトについても、同様に細菌の繁殖などにより、炎症を引き起こす恐れがあった。
そこで、本発明は上記従来の状況に鑑み、抗菌性に優れ、さらには、抗菌性が長期に渡って安定的に維持されるような歯科補綴物及び骨接合術用具、並びにそれらの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、極性基を有する親水性有機化合物を溶解した溶液に金属表面を有する材料と電極とを浸漬し、前記材料を陰極、前記電極を陽極として、両極間に電圧を加え、親水性有機化合物を材料の金属表面に電気化学反応により固定することにより、材料の金属表面に対して親水性有機化合物を中間層なしで直接的に固定しうることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、上記課題を解決するため、以下の(1)〜(8)の構成を採用する。
(1) 金属表面を有する歯科補綴物であって、前記金属表面に電気化学反応により極性基を有する親水性有機化合物を直接的に固定してなる歯科補綴物。
(2) (1)記載の歯科補綴物において、親水性有機化合物が、窒素又はリンを含む極性基を有する化合物であることを特徴とする。
(3) (2)記載の歯科補綴物において、窒素を含む極性基が、アミノ基、イミノ基、及びイミド基から選ばれる1種であることを特徴とする。
(4) 金属表面を有する歯科補綴材料及び電極を、極性基を有する親水性有機化合物を溶解した溶液に浸漬し、前記歯科補綴材料と前記電極との間に電圧を加えることによって、親水性有機化合物を歯科補綴材料の金属表面に固定する歯科補綴物の製造方法。
(5) 金属表面を有する骨接合術用の用具であって、前記金属表面に電気化学反応により極性基を有する親水性有機化合物を直接的に固定してなる骨接合術用具。
(6) (5)記載の骨接合術用具において、親水性有機化合物が、窒素又はリンを含む極性基を有する化合物であることを特徴とする。
(7) (6)記載の骨接合術用具において、窒素を含む極性基が、アミノ基、イミノ基、及びイミド基から選ばれる1種であることを特徴とする。
(8) 金属表面を有する骨接合術用具材料及び電極を、極性基を有する親水性有機化合物を溶解した溶液に浸漬し、前記骨接合術用具材料と前記電極との間に電圧を加えることによって、親水性有機化合物を骨接合術用具材料の金属表面に固定する骨接合術用具の製造方法。
(1) 金属表面を有する歯科補綴物であって、前記金属表面に電気化学反応により極性基を有する親水性有機化合物を直接的に固定してなる歯科補綴物。
(2) (1)記載の歯科補綴物において、親水性有機化合物が、窒素又はリンを含む極性基を有する化合物であることを特徴とする。
(3) (2)記載の歯科補綴物において、窒素を含む極性基が、アミノ基、イミノ基、及びイミド基から選ばれる1種であることを特徴とする。
(4) 金属表面を有する歯科補綴材料及び電極を、極性基を有する親水性有機化合物を溶解した溶液に浸漬し、前記歯科補綴材料と前記電極との間に電圧を加えることによって、親水性有機化合物を歯科補綴材料の金属表面に固定する歯科補綴物の製造方法。
(5) 金属表面を有する骨接合術用の用具であって、前記金属表面に電気化学反応により極性基を有する親水性有機化合物を直接的に固定してなる骨接合術用具。
(6) (5)記載の骨接合術用具において、親水性有機化合物が、窒素又はリンを含む極性基を有する化合物であることを特徴とする。
(7) (6)記載の骨接合術用具において、窒素を含む極性基が、アミノ基、イミノ基、及びイミド基から選ばれる1種であることを特徴とする。
(8) 金属表面を有する骨接合術用具材料及び電極を、極性基を有する親水性有機化合物を溶解した溶液に浸漬し、前記骨接合術用具材料と前記電極との間に電圧を加えることによって、親水性有機化合物を骨接合術用具材料の金属表面に固定する骨接合術用具の製造方法。
本発明の歯科補綴物及び骨接合術用具は、金属表面に親水性有機化合物が直接的に固定されており、歯科補綴物及び骨接合術用具の表面に抗菌性が付与される。また、金属表面に親水性有機化合物が中間層なしで直接的に固定されているので、親水性被膜の厚さを小さくすることが可能となる。さらに、本発明の歯科補綴物及び骨接合術用具は、親水性有機化合物が一分子ずつ電気化学反応により金属表面に固定されているために、歯科補綴物及び骨接合術用具の使用中に親水性被膜が剥離、脱落することがなく、長期にわたって抗菌性が維持される。また、本発明の製造方法によれば、このような歯科補綴物及び骨接合術用具を、常温の温和な条件で、短時間に効率よく製造することができる。
本発明の歯科補綴物は、金属表面を有する歯科補綴物において、金属表面に電気化学反応により親水性有機化合物を中間層なしで直接的に固定してなる歯科補綴物である。また、本発明の骨接合術用具は、金属表面を有する骨接合術用具において、金属表面に電気化学反応により親水性有機化合物を中間層なしで直接的に固定してなる骨接合術用具である。本発明に用いる親水性有機化合物としては、例えば、ポリエチレングリコ−ル、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリウレタン、ポリアクリル酸及びその塩、ポリエチレンイミン、カルボキシメチルセルロ−ス、メチルセルロース、アルギン酸、たんばく質、糖類などを挙げることができる。本発明に用いる親水性有機化合物は、数平均分子量が200〜1,000,000であることが好ましく、1,000〜500,000であることがより好ましい。親水性有機化合物の数平均分子量が200未満であると、歯科補綴物及び骨接合術用具に十分な抗菌性が発現しないおそれがある。一方、親水性有機化合物の数平均分子量が1,000,000を超えると、電気化学反応における取り扱いが容易でなくなる場合がある。
本発明において、親水性有機化合物が有する極性基は、炭素原子と異なる電気陰性度を有する原子を含む基であり、例えば、アミノ基(−NH2)、イミノ基(=NH)、アミド基〈−CONH2)、イミド基(−CONHCO−)、エポキシ基、イソシアネート基(一NCO)、シアノ基(−CN)、ニトロ基(−NO2)、メルカプト基(−SH)、チオ基(−S−)、ホスフィノ基(−PH2)などを拳げることができる。親水性有機化合物は、これらの極性基の1種を有することができ、あるいは、2種以上を組み合わせて有することもできる。また、1種の極性基は、1個を有することができ、複数個を有することもできる。これらの極性基の中で、蛮素又はリンを含む極性基を有する親水性有機化合物を好適に用いることができ、アミノ基、イミノ基、アミド基又はイミド基を有する親水性有機化合物を特に好適に用いることができる。
本発明に用いる極性基を有する親水性有機化合物としては、例えば、両末端にアミノ基を有するポリエチレングリコール、両未端にエポキシ基を有するポリエチレングリコールなどを挙げることができる。両未端にアミノ基を有するポリエチレングリコールは、例えば、ポリエチレングリコールと塩化アリルとの反応によりポリエチレングリコールジアリルエーテルとしたのち、二重緒合にアンモニアを付加することにより、両未端にアミノプロピル基を有するポリエチレングリコールを製造することができる。両未端にエポキシ基を有するポリエチレングリコールは、例えば、ポリエチレングリコールとエピクロロヒドリンとの反応により両未端に2−ヒドロキシー3−クロロプロピル基を有するポリエチレングリコールとしたのち、脱塩化水素して閉環することにより、両未端にグリシジル基を有するポリエチレングリコールを製造することができる.
本発明の歯科補綴物及び骨接合術用具の製造において、極性を有する親水性有機化合物を金属表面に固定する電気化学反応は、電気化学系において電気化学ポテンシャルが他動的要因こよって変化する反応であり、物質の電極面へ向かっての移動、電極面への吸着、電極面での解離、電子の授受などの過程を経過する。図1は、本発明に用いる電気化学反応の説明図である。ポリエチレングリコール鎖の末端のアミノ基にプロトンが付加して第四級アンモニウム基となり、陰極に向かって移動する。第四級アンモニウム基は、陰極面に吸着され、陰極面において、アミノ基とプロトンに解離する。プロトンに陰極から電子が与えられ、水素ガスが発生する。アミノ基の孤立電子対の電子は、陰極である金属の自由電子と共有されるので、ポリエチレングリコール鎖の未端のアミノ基と陰極である金属の間には強い結合が形成され、通電を停止した後もこの強い結合が保持される。
本発明の歯科補綴物及び骨接合術用具において、親水性有機化合物により形成される被膜の厚さは、乾燥状態において0.01nm〜20μmであることが好ましく、0.1nm〜10μmであることがより好ましい。被膜の厚さが0.01nm未満であると、歯科補綴物及び骨接合術用具に十分な抗菌性が発現しないおそれがある。一方、被膜の厚さが20μmを超えると、被膜の厚さが増加しても抗菌性が向上せず、低下する場合がある。
本発明の歯科補綴物の製造方法においては、極性基を有する親水性有機化合物を溶解した溶液に金属表面を有する歯科補綴材料と電極とを浸漬し、前記歯科補綴材料を陰極とし、前記電極を陽極とし、両極間に電圧を加えることにより、親水性有機化合物を歯科補綴材料の金属表面に電気化学反応により固定する。
また、本発明の骨接合術用具の製造方法においては、同様に、極性基を有する親水性有機化合物を溶解した溶液に金属表面を有する骨接合術用具材料と電極とを浸漬し、前記骨接合術用具材料を陰極とし、前記電極を陽極とし、両極間に電圧を加えることにより、親水性有機化合物を骨接合術用具材料の金属表面に電気化学反応により固定する。
また、本発明の骨接合術用具の製造方法においては、同様に、極性基を有する親水性有機化合物を溶解した溶液に金属表面を有する骨接合術用具材料と電極とを浸漬し、前記骨接合術用具材料を陰極とし、前記電極を陽極とし、両極間に電圧を加えることにより、親水性有機化合物を骨接合術用具材料の金属表面に電気化学反応により固定する。
図2は、本発明の製造方法の実施の一態様の説明図である。電解槽1に貯留した極性を有する親水性有機化合物の水溶液2の中に、陰極となる歯科補綴材料あるいは骨接合術用具材料3と陽極4が浸漬される。親水性有機化合物の濃度は、1〜30重量%であることが好ましく、5〜15重量%であることがより好ましい。親水性有機化合物の濃度が1重量%未満であると、被膜の厚さが薄く、十分な抗菌性が発現しないおそれがある。一方、親水性有機化合物の濃度が30重量%を超えると、被膜の厚さが増加しても抗菌性が向上せず、低下する場合がある。
本発明の製造方法においては、親水性有機化合物の水溶液に、無機電解質を溶解しておくことが好ましい。溶解する無機電解質としては、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウムなどを挙げることができる。無機電解質を溶解しておくことにより、水溶液が電気伝導性を有し、陽極と陰極の間を電子が移動することができる。無機電解質の濃度は、1〜5重量%であることが好ましく、2〜4重量%であることがより好ましい。無機電解質の濃度が1重量%未満であると、水溶液の電気伝導性が低下するおそれがある。無機電解質の濃度が5重量%を超えると、無機電解質中のイオンが金属表面に吸着するおそれがある。
本発明の製造方法においては、陰極と陽極の間に与える電圧は、0.1〜10Vであることが好ましく、1〜7Vであることがより好ましい。電圧が0.1V未満であると、陰極表面への親水性有機化合物の固定による被覆の形成に長時間を要するおそれがある。電庄が10Vを超えると、金属表面に気泡が大量に発生し、均一な破膜が形成されないおそれがある。
本発明の製造方法においては、陰極の表面積に対する電流密度が1×10−7〜5×10−5A/dm2であることが好ましく、5×10−8〜1×10−5A/dm2であることがより好ましい。電流密度が1×10−7A/dm2未満であると、陰極表面への親水性有機化合物の固定による被覆の形成に長時間を要するおそれがある。電流密度が5×10−5A/dm2を超えると、金属表面に気泡が大量に発生し、均一な被膜が形成されないおそれがある。
本発明の歯科補綴物の製造方法及び骨接合術用具の製造方法における電気化学反応は、常温において、水溶液中で行うことができる.したがって、歯科補綴物及び骨接合術用具に金属以外の耐熱性や耐溶剤性に乏しい部品が用いられている場合であっても、それらの部品を組み込んだ中間製品として電気化学反応を行うことができる.また、親水性有機化合物による被覆は、電気伝導性を有する金属表面にのみ行われるので、薬剤を塗工する工程のように、不必要な部分にまで被礎がはみ出すおそれがない。
極性基を有する親水性有機化合物を溶解した溶液に、金属表面を有する歯科補綴物又は金属表面を有する骨接合術用具を浸漬し、電気化学反応により親水性有機化合物を金属表面に固定すると、初期段階では親水性有機化合物の付着の状態に部分的に差が生じても、親水性有機化合物の付着が多い部分は電流密度が小さく、親水性有機化合物の付着が少ない部分は電流密度が大きくなるので、親水性有機化合物の付着が少ない部分に選択的に親水性有機化合物が付着し、最終的に均一な厚さの親水性有機化合物の被膜を形成することができる。
本発明の製造方法においては、親水性有機化合物の被膜の厚さは、親水性有機化合物の分子量により制御することができる。例えば、両末端にアミノ基を有するポリエチレングリコールを用いた場合、両末端のアミノ基が金属表面に結合するので、被膜の厚さはポリエチレングリコールの鎖長の約2分の1となる。したがって、厚い被膜が必要な揚合は、分子量の大きいポリエチレングリコールを用い、薄い被膜が必要な場合は、分子量の小さいポリエチレングリコ−ルを用いることにより、選択した厚さの親水性有機化合物の被膜を形成することができる。
以上のようにして得られた歯科補綴物は、インプラント、義歯、矯義歯(ブリッジ)、歯冠修復物(充填材、修復材)等に好適に用いられる。また、得られた骨接合術用具は、プレートやボルト等に好適に用いられる。
次に、実施例を示して、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1)
直径10mm、高さ2mmの円柱状のチタンを基材として用いた。脱イオン水に、両末端にアミノプロピル基を有するポリエチレングリコール(数平均分子量1000)12重量%と塩化ナトリウム3.0重量%を溶解した溶液2.0Lを高さ200mm、底面の内径135mmのガラス製電解槽に入れた。そして、白金電極を陽極とし、基材を陰極としマグネチックスターラーで撹拌子を回転して液を撹拌しながら、両極間に5.0Vの電圧を加えて5分間通電し、電気化学反応を行った。通電を停止したのち、基材表面にポリエチレングリコールの被膜が形成された試験片を得た。なお、試験片のポリエチレングリコールの被膜の厚さは1.2μmであった。
直径10mm、高さ2mmの円柱状のチタンを基材として用いた。脱イオン水に、両末端にアミノプロピル基を有するポリエチレングリコール(数平均分子量1000)12重量%と塩化ナトリウム3.0重量%を溶解した溶液2.0Lを高さ200mm、底面の内径135mmのガラス製電解槽に入れた。そして、白金電極を陽極とし、基材を陰極としマグネチックスターラーで撹拌子を回転して液を撹拌しながら、両極間に5.0Vの電圧を加えて5分間通電し、電気化学反応を行った。通電を停止したのち、基材表面にポリエチレングリコールの被膜が形成された試験片を得た。なお、試験片のポリエチレングリコールの被膜の厚さは1.2μmであった。
(比較例1)
基材であるチタンに対して、ポリエチレングリコールの被膜を形成しなかった以外は、(実施例1)と同様に行った。
基材であるチタンに対して、ポリエチレングリコールの被膜を形成しなかった以外は、(実施例1)と同様に行った。
(抗菌性に関する試験)
(実施例)及び(比較例)で得られた試験片を可溶性タンパク質としてアルブミンを4.5g/L含むPBS(Phosphate Buffered Saline)中に30分間浸漬させた。そして、浸漬させた後の試験片の表面を蛍光顕微鏡(ニコン、E−600)を用いて観察した。なお観察は、フルオレセインを蛍光標識体として用いて行った。そして、図3及び図4に(実施例1)及び(比較例1)の結果を示す。図3及び図4からもわかるように、(実施例1)で得られた試験片は、アルブミンの付着がほとんどなく、抗菌性が高いことが分かる。また、(実施例1)で得られた試験片の表面は耐久性も良好であった。
(実施例)及び(比較例)で得られた試験片を可溶性タンパク質としてアルブミンを4.5g/L含むPBS(Phosphate Buffered Saline)中に30分間浸漬させた。そして、浸漬させた後の試験片の表面を蛍光顕微鏡(ニコン、E−600)を用いて観察した。なお観察は、フルオレセインを蛍光標識体として用いて行った。そして、図3及び図4に(実施例1)及び(比較例1)の結果を示す。図3及び図4からもわかるように、(実施例1)で得られた試験片は、アルブミンの付着がほとんどなく、抗菌性が高いことが分かる。また、(実施例1)で得られた試験片の表面は耐久性も良好であった。
本発明の歯科補綴物または骨接合術用具を用いると、抗菌性を有しており、細菌の繁殖、プラークの蓄積などを防止することが可能となる。さらには、金属表面に親水性有機化合物が直接的に固定されているので、抗菌性が安定的に維持され、優れた歯科補綴物または骨接合術用具として用いることが可能となる。また、本発明の歯科補綴物または骨接合術用具の製造方法によれば、金属表面に親水性有機化合物が直接的に固定された歯科補綴物または骨接合術用具を、温和な条件下に、短時間で、効率的に製造することが可能となる。
1 電解槽
2 親水性有機化合物の水溶液
3 陰極となる歯科補綴材料あるいは骨接合術用具材料
4 陽極
2 親水性有機化合物の水溶液
3 陰極となる歯科補綴材料あるいは骨接合術用具材料
4 陽極
Claims (8)
- 金属表面を有する歯科補綴物であって、前記金属表面に電気化学反応により極性基を有する親水性有機化合物を直接的に固定してなる歯科補綴物。
- 請求項1記載の歯科補綴物において、親水性有機化合物が、窒素又はリンを含む極性基を有する化合物であることを特徴とする歯科補綴物。
- 請求項2記載の歯科補綴物において、窒素を含む極性基が、アミノ基、イミノ基、及びイミド基から選ばれる1種であることを特徴とする歯科補綴物。
- 金属表面を有する歯科補綴材料及び電極を、極性基を有する親水性有機化合物を溶解した溶液に浸漬し、前記歯科補綴材料と前記電極との間に電圧を加えることによって、親水性有機化合物を歯科補綴材料の金属表面に固定する歯科補綴物の製造方法。
- 金属表面を有する骨接合術用の用具であって、前記金属表面に電気化学反応により極性基を有する親水性有機化合物を直接的に固定してなる骨接合術用具。
- 請求項5記載の骨接合術用の用具において、親水性有機化合物が、窒素又はリンを含む極性基を有する化合物であることを特徴とする骨接合術用具。
- 請求項6記載の骨接合術用の用具において、窒素を含む極性基が、アミノ基、イミノ基、及びイミド基から選ばれる1種であることを特徴とする骨接合術用具。
- 金属表面を有する骨接合術用具材料及び電極を、極性基を有する親水性有機化合物を溶解した溶液に浸漬し、前記骨接合術用具材料と前記電極との間に電圧を加えることによって、親水性有機化合物を骨接合術用具材料の金属表面に固定する骨接合術用具の製造方法。
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Cited By (2)
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CN113197690A (zh) * | 2021-05-10 | 2021-08-03 | 山东恒泰医疗器械有限公司 | 一种具有亲水抗菌性能的牙种植体 |
WO2023032947A1 (ja) | 2021-08-31 | 2023-03-09 | 株式会社丸ヱム製作所 | 生体適合性材料およびその製造方法 |
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2006
- 2006-01-04 JP JP2006000208A patent/JP2007181515A/ja active Pending
Cited By (3)
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