JP2008006164A - 酸化膜の形成方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】短時間で完了しかつ必要な面のみに酸化膜を形成する方法を提供する。
【解決手段】金属部材を酸化してその表面に酸化膜を形成する酸化膜形成方法において、金属及び/又は金属カーバイドを含む過酸化水素溶液にペースト化剤を加えてペースト化させた過酸化水素含有ペーストを、前記金属部材の表面に接触させ、前記金属部材表面を対応する金属酸化物に変換して酸化膜33を形成する。不要な個所への酸化膜形成を抑制して材料コストを低減し、かつ形成された不要な酸化膜の研磨等による除去を回避できる。
【選択図】図1

Description

本発明は、金属部材への酸化膜形成方法に関し、より詳細には人工歯根材、人工関節や人工骨等の生体インプラント材表面を酸化して酸化膜を形成するための方法に関する。
近年、インプラント技術の発展は目覚ましいものがあり、疾病、災害などにより骨機能や手足の関節機能が失われた場合などに、これらを修復するための治療に整形外科用人工骨及び人工関節等を構成する生体インプラント材が使用されている。特に整形外科の分野では、失われた関節機能を復元するための人工関節が広く用いられ、また、歯科医療の分野では人工歯根が脚光を浴びている。
生体インプラントは生体内で劣化や破壊などの変化を生じ易くまた異物反応などを伴うことから生体に対して無害かつ親和性があり、化学的に安定で、かつ機械的強度の大きい材料が要求される。従って通常生体インプラントは、機械的性質に優れた金属基材の表面に、生体親和性に優れたリン酸カルシウム材料をコーティングして製造される。
このような生体インプラント材のうちの人工歯根材を図6に基づいて説明する。図6は単冠(義歯)を含めた従来の人工歯根材を例示する分解図である。
図示の例では、人工歯根材である生体インプラント材のボディ1は下部の骨内埋込部2と上部のカラー部3から成り、両者は一体成型されている。下端を除く骨内埋込部2の全周にはネジ山4が形成され、このネジ山4を骨などに挿入することにより、ボディ1を骨に固定している。
更に前記カラー部3の上面の中央から、側面がやや内向きに傾斜する中空部5が形成され、この中空部5下端から雌ネジ6が骨内埋込部2本体内に向けて刻設されている。
ヘッド7は、断面が下向き台形状で下端面から下向きに雄ネジ8が刻設された下部ヘッド9と、この下部ヘッド9の上に一体成形された断面が上向き台形状の上部ヘッド10とから成っている。このヘッド7は、前記雄ネジ8を前記雌ネジ6に螺合させることにより、前記ボディ1に固定され、更に前記上部ヘッド10の周面及び上面に接着剤を使用して単冠11が固定される。
特開2003−105557号公報 特開2004−183017号公報(段落0018、0032及び0033)
このような構成から成る人工歯根材では、ボディ1の周面は生体組織に直接接触するため、ハイドロキシアパタイト等を被覆した鏡面に仕上げられるが、ボディ1内の空部5と雌ネジ6には鏡面仕上げは行われず、成形された状態のまま、前記雌ネジ6はヘッド7の雄ネジ8と螺合された状態で顎骨等に装着され、長年使用される。
しかし永年使用によりネジに緩みが生じると、単冠11の固定が不安定になり、応力が生じて各部材の破損が生じるおそれがある。
更に前記雌ネジ6と雄ネジ8の材料が異なった金属であると、界面にガルバニック電流が発生し、当該電流による腐食作用が前記雌ネジ6と雄ネジ8に及び、ネジに緩みが生じるのと同じ状況が発生する。
前述した単冠11が固定される上部ヘッド10の周面及び上面を酸化して酸化膜を形成し、この酸化膜に接着剤を使用して単冠を固定することにより接着力を増大させることが試みられている(特許文献1)。特許文献1における酸化膜形成は、金属部材に過酸化水素水を接触させながら可視光(ハロゲンランプ)等を照射することにより行っている。
この方法でも酸化膜は形成されるが、形成速度が満足できるレベルに達していないため、膜形成に時間が掛かり過ぎたり、厚さの不十分な膜しか形成できないといった問題点があった。
本出願人はこの欠点を解消するために、チタンなどの金属部材の表面に、タングステンやタングステンカーバイドなどの金属及び/又は金属カーバイドを含む過酸化水素溶液を接触させて、前記金属部材表面に酸化膜を形成する方法を提案した(特願2005−134061)。この方法では、従来より速く酸化膜が形成される。
酸化膜形成という観点からはこの方法は満足できるものである。しかし前述した通り、図示の人工歯根材をはじめ他の生体インプラント材の場合でも、通常その全表面に酸化膜を形成する必要はなく、必要な個所のみに形成できることが望ましい。不要な個所に形成された酸化膜は研磨などで除去する必要があり、材料費の高騰、研磨作業の手間、研磨粉の残留などの問題点が生じている。
従って本発明は、前述の従来技術の欠点を解消し、従来より高速で金属部材表面の所要個所のみを選択的に酸化して酸化膜を形成する方法を提供することを目的とする。
本発明は、金属部材を酸化してその表面に酸化膜を形成する酸化膜形成方法において、金属及び/又は金属カーバイドと過酸化水素を含むペーストを、前記金属部材の表面に接触させ、前記金属部材表面を対応する金属酸化物に変換することを特徴とする酸化膜の形成方法である。
以下本発明を詳細に説明する。
本発明の酸化膜の形成方法では、金属部材をタングステン、タングステンカーバイド、シリコンカーバイド及びチタンカーバイド等から選択される金属及び/又は金属カーバイドと過酸化水素を含むペーストに接触させることにより、前記金属部材の表面のうち前記ペーストに接触した個所のみを酸化して酸化膜を生成させる。
本発明におけるペーストとは、垂直方向の面に塗布しても垂直面を流下せず、半流動状に留まることのできる粘性を有し流動性を有さないか僅かな流動性を有する物体を意味し、ゾルなどが含まれる。
タングステン等を含む過酸化水素含有ペーストを使用すると、過酸化水素水単独、又は過酸化水素水と可視光の併用と比較して、酸化膜形成が促進され、短時間で酸化膜を形成できる。
その理由は、タングステン、タングステンカーバイド、シリコンカーバイドあるいはチタンカーバイド等が、過酸化水素を活性化してヒドロキシラジカルを発生させ、このラジカルが過酸化水素の有する酸化力を更に向上させる能力を有するからであると推測できる。
本発明の酸化膜形成方法は、任意の金属部材に対して適用でき、その金属部材表面の金属を金属酸化物に変換することにより酸化膜を生成させる。金属部材の材質は特に限定されず、生体インプラント材の場合には、純チタン(Ti)、チタン合金、金・銀・パラジウム(Au−Ag−Pd)合金、銀(Ag)合金、コバルト・クロム(Co−Cr)合金、ニッケル・クロム(Ni−Cr)合金、ステンレスなどが使用できる。前記生体インプラント材には、人工歯根材、人工関節、顔面補綴材及び骨補填材などが含まれる。
なお従来の生体インプラント材、特に人工歯根材ではチタンとして純チタン2種が使用されてきたが、噛み合わせ等の応力により折損が生じる場合がある。純チタン4種は純チタン2種より強度が強く、特に人工歯根材を含めた生体インプラント材の材料として好ましく使用できる。
使用する過酸化水素溶液の濃度は特に限定されないが、通常は34%の過酸化水素水を使用することが望ましく、この過酸化水素水を希釈して使用しても良い。
この過酸化水素水に添付する金属等には、タングステン、タングステンカーバイド、シリコンカーバイド及びチタンカーバイド等が含まれ、これらの金属及び/又は金属カーバイドの粉末を前記過酸化水素水中で攪拌して懸濁させた後に、使用することが好ましい。
前記粉末の粒径は望ましくは1〜200μm、より望ましくは5〜100μm、更に望ましくは10〜50μmであるが、これらに限定されない。
前記過酸化水素水にはペースト化剤を加えて過酸化水素含有ペーストを調製する。前記タングステン、タングステンカーバイド等の金属及び/又は金属カーバイドを前記ペースト化剤と同時に又はペースト化剤より後に添加しても良い。
ペースト化剤としては、キトサン、ゼラチン、寒天及びコラーゲン等があり、通常は粉末状にして、前記金属及び/又は金属カーバイドとともに過酸化水素水に添加する。ペースト化剤添加後は、定法に従って攪拌を行えば良く、これにより過酸化水素含有ペーストが得られる。ペースト化剤とともにリンゴ酸などの有機酸を添加すると、前記ペースト化はより促進される。
前記過酸化水素含有ペーストは、浸漬以外の任意の方法、例えば刷毛塗り、噴霧及び滴下等で金属部材表面と接触させれば良い。加熱下で接触させても支障はないが、室温下での接触で十分である。刷毛塗りによる塗布の場合、塗布される過酸化水素含有ペーストは半流動性で塗布された後に、前記金属部材表面の塗布された個所にそのままあるいは若干流動しながら残り、その中のタングステン、タングステンカーバイド等の金属及び/又は金属カーバイドが過酸化水素を活性化して前記金属部材表面の金属を酸化して酸化膜を形成する。
いずれの場合も複数回、塗布、噴霧あるいは滴下を行ってより厚い酸化膜を形成することができる。
過酸化水素含有ペーストは前述の刷毛塗り、噴霧及び滴下などによって金属部材表面と接触するため、その接触個所は調節可能であり、酸化膜を形成することが必要な個所にのみ過酸化水素含有ペーストを接触させ、これによりその個所にのみ酸化膜を形成させることができる。前記必要な個所とは、人工歯根材の場合にはボディ及びヘッドに形成されたネジ部であり、このネジ部のみに過酸化水素含有ペーストを塗布等することにより、他の部分に前記過酸化水素含有ペーストを接触させることなく、前記ネジ部のみに酸化膜を形成でき、他の部分の研磨等が不要になる。
接触時間は長くするほど、厚い酸化膜が得られるが、60分程度の接触で満足できる厚さ(通常は0.05〜2μm、好ましくは0.1〜1μm、より好ましくは0.3〜0.5μmであるがこれらに限定されない)の酸化膜が得られる。
接触により所望厚の酸化膜が形成された金属部材表面の過酸化水素含有ペーストは洗浄や拭き取りにより金属部材表面から除去される。
前述の通り、人工歯根材等の生体インプラント材は、ネジにより互いに螺合したエレメントを含み、このネジに酸化膜を形成することが好ましい。
人工歯根材に限らず、各種ネジでは、雄ネジと雌ネジは加工精度にも依るが、当初から相互間に僅かな間隙が生じていることが多い。特に人工歯根材の場合には永年使用によりボディとヘッドの間に緩みが生じて単冠がぐらついて適正な噛み合わせを保持できなることが多い。
人工歯根材のボディ及びヘッドの少なくとも一方のネジに酸化膜を形成しておくと、当初の螺合時に両ネジ間に酸化膜が存在するため、大きな抵抗が生じるが、一旦両者が互いに嵌合してしまえば、実質的に間隙を生じさせることなく、ボディとヘッドが一体化される。従って永年使用しても緩みが生じることが殆ど無く、長期間に亘って単冠が安定な状態に保持される。人工歯根材以外の生体インプラント材でも同様である。
更に人工歯根材では、歯科衛生上、口腔内での細菌の繁殖を抑制することが要請されている。特に従来の人工歯根材では、ボディとヘッドのネジ部の間隙に食物等に付着している細菌が進入し、この間隙は適度な温度に維持されかつ養分も豊富であることから、前記細菌が繁殖しやすくなっている。
しかし本発明を人工歯根材に適用すると、前記間隙が酸化膜で閉塞されるため、細菌の進入を防止でき、細菌の繁殖も生じない。
更に生体インプラント材を構成し互いに接触する金属(又は金属合金)が異なると、両者間にガルバニック電流が流れ、両金属の界面付近に腐食が生じるが、本発明では前記酸化膜が絶縁膜として機能し、前記ガルバニック電流の発生を阻止する。従って本発明では前記腐食を防止できる。
人工歯根材の単冠との接合部分、つまり前記ヘッドに酸化膜を形成することは特許文献1等から公知であるが、本発明方法により、タングステン、タングステンカーバイド、シリコンカーバイド及びチタンカーバイド等から選択される金属及び/又は金属カーバイドを含む過酸化水素含有ペーストを生体インプラント材の所定部分、例えば人工歯根材のヘッドに接触させることにより、短時間で所望厚さの酸化膜を形成できる。
このように、金属部材が人工歯根材の場合、本発明の酸化膜形成方法では、人工歯根材はボディとヘッドをネジにより互いに螺合した人工歯根材の少なくとも一方のネジに酸化膜を形成することが望ましいが、ネジ以外の部材にも適用可能である。
人工歯根材のボディは、通常、骨に埋め込まれる骨内埋込部とヘッドを介して単冠が固定されるカラー部からなり、骨内埋込部が埋め込まれて骨に接触する。この骨内埋込部の表面に酸化膜が形成されていると、人工歯根材と骨の接合あるいは骨の生育が促進される。従って骨内埋込部の少なくとも一部に酸化膜を形成した人工歯根材は、骨に対する親和性が高くなる。
本発明方法自体は人工歯根材の上記部位への酸化膜形成に限定されるものではなく、人工歯根材の他の部位以外に、他の生体インプラント材や金属製品への酸化膜形成に使用でき、酸化膜形成が必要な個所にほぼ選択的に酸化膜を形成するために適している。
本発明方法で使用できる過酸化水素含有ペーストは人工歯根材のクレンジングにも使用できる。
人工歯根材を前歯に使用する場合、歯肉に埋入され人工歯根材の表面が歯肉を通して対面している人間に視認されることがある。
従来の人工歯根材はハイドロキシアパタイトそのもの、又は鏡面仕上げしたハイドロキシアパタイトであり、ハイドロキシアパタイトの金属様の灰色の外観が直接又は歯肉を通して第三者に視認されて義歯であることが明白になっていた。
本発明で形成される過酸化水素含有ペーストを人工歯根材表面に塗布すると、人工歯根材表面のハイドロキシアパタイトが金色あるいは黄色が強くなり、より自然な色合いの人工歯根材が提供できる。
以上の通り、本発明の酸化膜形成方法によると、従来の酸化膜形成方法より短時間で同じ厚さの酸化膜を、必要な個所にほぼ選択的に形成できる。
過酸化水素をペースト状で使用できるため、金属部材表面に、例えば刷毛塗り、噴霧及び滴下等で金属部材表面と接触させても、ペーストが流下せずに接触個所に留まるため、必要な表面にほぼ選択的な酸化膜形成を可能にする。
本発明方法により酸化膜を形成した人工歯根材の例を図1に基づいて説明する。
図示の例では、人工歯根材である生体インプラント材のボディ21は下部の骨内埋込部22と上部のカラー部23から成り、両者は一体成型されている。下端を除く骨内埋込部22の全周にはネジ山25が形成され、このネジ山25を骨などに挿入することにより、ボディ21を骨に固定している。
更に前記カラー部23の上面の中央から、側面がやや内向きに傾斜する中空部26が形成され、この中空部26下端から雌ネジ27が骨内埋込部22本体内に向けて刻設されている。
ヘッド28は、断面が下向き台形状で下端面から下向きに雄ネジ29が刻設された下部ヘッド30と、この下部ヘッド30の上に一体成形された断面が上向き台形状の上部ヘッド31とから成っている。このヘッド28は、前記雄ネジ29を前記雌ネジ27に螺合させることにより、前記ボディ21に固定され、更に前記上部ヘッド31の周面及び上面に接着剤を使用して単冠32が固定される。
前記ボディ21の骨内埋込部22の外周面全面と、前記雌ネジ27及び中空部26のそれぞれの内面には、酸化膜33が被覆されているが、前記中空部26の前記雌ネジ27より下方の内面34には酸化膜は被覆形成されていない。この部分は保護する必要がないからである。
更に前記ヘッド28の外周の雄ネジ29より下方の外面35には酸化膜は被覆形成されていない。この部分も保護する必要がないからである。
前記酸化膜33形成のためには、キトサン等のペースト化剤を混合した、タングステン等を含む過酸化水素含有ペーストを刷毛塗りなどで対象表面に塗布等で接触させる。過酸化水素水でなく、過酸化水素含有ペーストを使用するため、ペーストを前記所定個所にのみ塗布して酸化膜を形成でき、従って酸化膜が形成不要な個所にはペーストは塗布されず、酸化膜も形成されない。従来の浸漬法では前記中空部26内面34のみに酸化膜を被覆形成させないようにすることは不可能である。
図示のヘッド28をその酸化膜33が形成された雄ネジ29を、同じく酸化膜33が形成されたボディ21の雌ネジ27に螺合させて一体化すると、両ネジ27、29に形成された酸化膜33が互いに擦れ合って一部が粉末状に剥離し、この粉末が両ネジ27、29間に生じる間隙を閉塞する。従って長期間ネジの緩みを生じさせることなく使用できる。
更に従来の人工歯根材では、ボディとヘッドの金属の材質が異なるとガルバニック電流が流れてボディやヘッドの腐食要因になっていたが、本例ではボディ21とヘッド28の間に絶縁性の酸化膜33が形成されているため、前記ガルバニック電流の発生が抑制されて材料の腐食を防止できる。
前記一体化されたボディ21とヘッド28は上部ヘッド31の外周面を単冠32の内面に接着剤を使用して接着することにより、前記単冠32を固定するが、上部ヘッド31の外周面に存在する酸化膜33により強固な結合が形成できる。
更に図示の例では、骨内埋込部22の周囲にも酸化膜33が形成されており、この酸化膜33は骨内埋込部22の顎骨等との接合の促進に寄与する。
次に本発明による酸化膜の形成方法を人工歯根材に応用した実施例を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[実施例1]
市販の34%過酸化水素水(関東化学株式会社製)100mLに、市販の粒径が10〜50μmのタングステンカーバイド粒子(大同特殊鋼株式会社製)0.4gとキトサン1.0g及びリンゴ酸1.0gを加え、3分間攪拌して過酸化水素含有ペーストを準備した。
図1と同じ構造の株式会社ヨシオカ製の人工歯根材(純チタン4種製)のボディ21の雌ネジ27に前記過酸化水素含有ペーストを刷毛塗りし、約0.5g/cmで前記ペーストを塗布し、120分放置した。
その後、ボディをイオン交換水で洗浄して前記ペーストを除去し、ネジ部にのみ酸化膜が形成され、雌ネジ以外の中空部26内面に酸化膜が形成されていないことを確認した。
次いで分光反射率測定機にて色の表示方法であるa(赤味)、b(黄味)、ΔE(色差)、L(明度)表色系(JIS−Z−8729:1994)の変化について測定した。それらの結果を順に図2及び表1(a、b、ΔE)と図3及び表2(L)に「HOCH」として示す。なお数値は全て相対値である。
前記中空部に生理食塩水を満たし、流れる腐食電流密度を測定したところ、1.894±0.259A/cmであった。
なお前記人工歯根材(純チタン4種製)自体のa(赤味)、b(黄味)、L(明度)表色系(JIS−Z−8729:1994)を図2(表1)及び図3(表2)に「Tiのみ」として示す。
[比較例1]
キトサン及びリンゴ酸を添加しなかった以外は実施例1と同じ条件でタングステンカーバイド過酸化水素水を準備した。
この過酸化水素を実施例1と同じ人工歯根材の雌ネジに刷毛塗りすることを試みたが、過酸化水素水がネジ表面に留まらず、塗布できなかった。
そのため、前記過酸化水素水に実施例1の人工歯根材を浸漬し120分放置し、その後イオン交換水で洗浄して前記過酸化水素水を除去し、ネジ部を含めた中空部26内面全体に酸化膜が形成されていることを確認した。
次いで分光反射率測定機にて色の表示方法であるa(赤味)、b(黄味)、L(明度)表色系(JIS−Z−8729:1994)の変化について測定した。それらの結果を図2(表1)及び図3(表2)に「HOWC」として示す。
[比較例2]
市販の34%過酸化水素水(関東化学株式会社製)30mLに、実施例1の人工歯根材を浸漬し120分放置し、その後イオン交換水で洗浄して前記過酸化水素水を除去し、ネジ部を含めた中空部26内面全体に酸化膜が形成されていることを確認した。
次いで分光反射率測定機にて色の表示方法であるa(赤味)、b(黄味)、L(明度)表色系(JIS−Z−8729:1994)の変化について測定した。それらの結果を図2(表1)及び図3(表2)に「HOWC」として示す。
[実施例2]
実施例1と同じ条件で準備した過酸化水素含有ペーストを、直径2mm×長さ3mmのチタン棒全面に塗布して酸化膜を形成した後、前記チタン板をラットの顎骨に埋入し、4週間後に麻酔下で屠殺し、チタン板と顎骨の接合状態を示す顕微鏡写真(倍率:4倍)を撮影した。この顕微鏡写真を図4に示す。
[比較例3]
酸化膜を形成しなかったこと以外は実施例2と同じ条件で準備したチタン板をラットの顎骨に埋入し、4週間後に麻酔下で屠殺し、チタン板と顎骨の接合状態を示す顕微鏡写真(倍率:4倍)を撮影した。この顕微鏡写真を図5に示す。
図4と図5の写真を比較すると、実施例2のチタン板と顎骨の接合面に新規な骨の育成が始まっているのに対し、比較例3では処理前と同じであることが判る。
Figure 2008006164
Figure 2008006164
本発明方法を適用した人工歯根材を例示する分解図。 実施例1、比較例1及び比較例2におけるa、b及びΔEを示すグラフ。 実施例1、比較例1及び比較例2におけるL(明度)を示すグラフ。 実施例2で得られた、チタン板と顎骨の接合状態を示す顕微鏡写真(倍率:4倍)。 比較例3で得られた、チタン板と顎骨の接合状態を示す顕微鏡写真(倍率:4倍)。 従来の人工歯根材を示す分解図。
符号の説明
21……ボディ(人工歯根材) 22……骨内埋込部 23……カラー部 27……雌ネジ 28……ヘッド 29……雄ネジ 30……下部ヘッド 31……上部ヘッド 32……単冠 33……酸化膜

Claims (6)

  1. 金属部材を酸化してその表面に酸化膜を形成する酸化膜形成方法において、金属及び/又は金属カーバイドと過酸化水素を含むペーストを、前記金属部材の表面に接触させ、前記金属部材表面を対応する金属酸化物に変換することを特徴とする酸化膜の形成方法。
  2. ペーストを金属部材表面の所望個所に塗布するようにした請求項1記載の酸化膜の形成方法。
  3. 金属及び/又は金属カーバイドが、タングステン、タングステンカーバイド、シリコンカーバイド及びチタンカーバイドから成る群から選択される少なくとも一種である請求項1又は2記載の酸化膜の形成方法。
  4. 金属部材の材質が、コバルト・クロム合金、ニッケル・クロム合金、ステンレス、純チタン、チタン合金、金銀パラジウム合金、銀合金、及び金合金のうちの一種である請求項1から3までのいずれか1項記載の酸化膜の形成方法。
  5. ペーストが、キトサン、ゼラチン、寒天及びコラーゲンから選択される少なくとも1種のペースト化剤を使用して作成される請求項1から4までのいずれか1項記載の酸化膜の形成方法。
  6. 金属部材が生体インプラント部材である請求項1から5までのいずれか1項記載の酸化膜の形成方法。
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