JP2007180406A - 不揮発性スイッチング素子およびその製造方法ならびに不揮発性スイッチング素子を有する集積回路 - Google Patents

不揮発性スイッチング素子およびその製造方法ならびに不揮発性スイッチング素子を有する集積回路 Download PDF

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Abstract

【課題】動作速度が速くかつ集積化が可能な新しい構造の不揮発性スイッチング素子およびこの不揮発性スイッチング素子を有する集積回路を提供することを可能とする。
【解決手段】基板2上に設けられ、所定温度から±80Kの範囲内の温度変化によって電気抵抗率が10倍以上の変化を生じる材料の膜を有するスイッチング部6と、スイッチング部に温度変化を生じさせる機能を有するペルチエ素子10,12,13と、スイッチング部とペルチエ素子との間に設けられペルチエ素子からの熱を伝達する電気絶縁体の膜を有する熱伝達/電気絶縁膜8と、スイッチング部に接続される1対の電極6a、6bと、を備えている。
【選択図】図1

Description

本発明は、不揮発性スイッチング素子およびその製造方法ならびに不揮発性スイッチング素子を有する集積回路に関する。
電気的なスイッチングを行うセルを集積した回路として、最も普遍的に用いられている物は半導体材料によって作製したトランジスタをスイッチング素子として用いるものである。しかしながら近年の半導体回路の微細化の進展に伴ってトランジスタのゲート絶縁膜の薄膜化が進み、リーク電流の増大によってCMOSといえども消費電力の抑制が困難になってきた。
また、メモリとして揮発性なものはDRAM(Dynamic Random Access Memory)あるいはSRAM(Static Random Access Memory)が、不揮発性なもとしてフラッシュメモリが最も用いられているが、MRAM(Magnetic Random Access Memory)、FRAM(Ferroelectric Random Access Memory)、OUM(Ovonic Unified Memory)、RRAM(Resistive Random Access Memory)などがこれらの特性を上回る可能性があるとして各種提案されてきた(例えば、特許文献1参照)。
米国特許出願公開第2004/0188668号明細書
しかしながらDRAMはスケーリングなどの問題、SRAMはセル面積や消費電力の問題、フラッシュは書き込み時間の問題、MRAMは消費電力などの問題、FRAMはスケーリングや信頼性の問題が知られ、OUMやRRAMなどは未だ開発途上段階である。
一方で温度による電気抵抗変化を示す物質を利用したサーミスタが古くから知られ、電流制限、電流減衰無接点スイッチ、温度検知、定温発熱体、温度センサ(赤外線検出器)などの応用が知られていた。しかしながらこれらは集積化する必要性が無いものか、あるいは熱源を回路外に持つものであった。
熱による抵抗変化は知られていたものの、加熱源および冷却源を持つ熱的電気スイッチ素子を集積化して不揮発性のメモリあるいはロジック回路として用いることができるとは考えられていなかった。
また、V系の酸化物においてヒステリシスのある金属/絶縁体転移が存在することが知られている(例えば、Physical Review B、 Volume 22、 Number 6、 1980、 pp2626参照)。しかし、この論文は、V系の酸化物における金属/絶縁体転移の原理を研究しているが、不揮発性メモリあるいはロジック回路への適用については述べられていない。
本発明は、上記事情を考慮してなされたものであって、動作速度が速くかつ集積化が可能な新しい構造の不揮発性スイッチング素子およびその製造方法ならびに不揮発性スイッチング素子を有する集積回路を提供することを目的とする。
本発明の第1の態様による不揮発性スイッチング素子は、基板上に設けられ、所定温度から±80Kの範囲内の温度変化によって電気抵抗率が10倍以上の変化を生じる材料のスイッチング膜を有するスイッチング部と、前記スイッチング部に前記温度変化を生じさせる機能を有するペルチエ素子と、前記スイッチング部と前記ペルチエ素子との間に設けられ前記ペルチエ素子からの熱を伝達する電気絶縁体の膜を有する熱伝達/電気絶縁膜と、前記スイッチング部に接続される1対の電極と、を備えていることを特徴とする。
なお、前記スイッチング膜は、(V1−xCr(0.0097≦x≦0.0140)、(Ba0.999−xSr)Ce0.001TiO(0.3≦x≦0.4)の群から選択された1つの材料を含んでいてもよい。
なお、前記スイッチング膜は、(V1−xCr(0.0110≦x≦0.0119)、(Ba0.999−xSr)Ce0.001TiO(0.3≦x≦0.4)の群から選択された1つの材料を含んでいてもよい。
なお、前記スイッチング膜は、(V1−xCr(0≦x≦0.018)、(V1−xTi(0≦x≦0.052)、Ni(S1−xSe(0.26≦x≦0.275)、NiS、CuIr(S1−xSe(0≦x≦0.1)、Ti、Fe、EuO1−x(0.0005≦x≦0.004)、WO3.0、BaCo0.9Ni0.12−x(0.05≦x≦0.20)、Ba0.999−xSrCe0.001TiO(0.3≦x≦0.4)の群から選択された1つの材料を含んでいてもよい。
なお、前記スイッチング膜は、(V1−xCr(0.0048≦x<0.0097)、Ba0.999−xSrCe0.001TiO(x=0または0.3≦x≦0.4)の群から選択された1つの材料を含んでいてもよい。
なお、前記スイッチング膜は、(V1−xCr(ただし−0.00007222×T+0.03344−0.0004≦x≦−0.00007222×T+0.03344+0.0004)(ただし、Tは絶対温度すなわちケルビンによる値)なる組成の材料を含んでいてもよい。
なお、前記スイッチング素子はノーマリオン素子であり、前記スイッチング膜は(V1−xCr(0.0093≦x<0.0097)を含んでいてもよい。
なお、前記スイッチング素子はノーマリオフ素子であり、前記スイッチング膜は(V1−xCr(0.0140≦x≦0.0150)、CuIr(S1−xSe(0.0≦x≦0.05)、WO3.0の群から選択された1つの材料を含んでいてもよい。
なお、前記スイッチング膜の材料は温度的なヒステリシスを有していてもよい。
なお、前記スイッチング膜は前記所定温度環境における電気抵抗率が、前記所定温度から80K低い温度における電気抵抗率よりも10倍以上低いか、または前記所定温度から80K高い温度における電気抵抗率よりも10倍以上高くてもよい。
なお、前記スイッチング部上を覆うように前記熱伝導/電気絶縁膜が設けられ、前記スイッチング部の直上の、前記熱伝導/電気絶縁膜上の領域に前記ペルチエ素子が設けられ、前記スイッチング部の両側面に前記1対の電極が設けられていてもよい。
なお、前記基板と前記スイッチング部との間に設けられた熱伝導率が2.0(W/mK)より低い材料を有する第1絶縁体と、前記ペルチエ素子の側面および上面を覆う熱伝導率が2.0(W/mK)より低い材料を有する第2絶縁体と、の少なくとも一方を備えていてもよい。
なお、前記熱伝導/電気絶縁膜は、前記ペルチエ素子の下面、側面、および上面を覆うように設けられ、前記スイッチング部は前記熱伝導/電気絶縁膜を覆うように設けられていてもよい。
なお、前記熱伝導/電気絶縁膜は前記スイッチング部の下面および側面を覆うように設けられ、前記ペルチエ素子は前記スイッチング部の側面に前記熱伝導/電気絶縁膜を挟むように設けられていてもよい。
また、本発明の第2の態様による集積回路は、マトリクス状に配置された複数のセルを備え、各セルが上記のいずれかに記載の不揮発性スイッチング素子を有していることを特徴とする。
なお、前記セルは、前記1対の電極にそれぞれ接続される1対の第1接続電極と、前記ペルチエ素子に電流を流すための1対の第2接続電極とを有し、前記スイッチング素子が記憶素子として動作するメモリセルであり、少なくとも1つのセルの記憶素子のペルチエ素子に前記第2接続電極を介して電力を与えてスイッチング部の電気抵抗率を変えることにより前記セルに書き込みを行い、前記スイッチング部に前記第1接続電極を介して電流を流すことにより前記セルから読み出しを行ってもよい。
なお、少なくとも1つのセルに書き込みを行う場合に、前記書き込みを行うセルのペルチエ素子の温度変化と逆の温度変化を与える電力を、前記書き込みを行うセルに隣接するセルのペルチエ素子に与える機構を備えていてもよい。
なお、各セルのスイッチング部を前記所定温度にするために各セルのペルチエ素子にバイアス電力を与えてもよい。
なお、書き込みが行われるセルに対しては、前記所定温度に戻すためのバイアス電力は、前記書き込みが行われるセルの書き込みのための電力に重畳してもよい。
また、本発明の第3の態様による不揮発性スイッチング素子の製造方法は、基板上に所定温度から±80Kの範囲内の温度変化によって電気抵抗率が10倍以上の変化を生じる材料からなるスイッチング膜を形成する工程と、前記スイッチング膜上に熱を伝達し電気絶縁体からなる熱伝達/電気絶縁膜を形成する工程と、前記スイッチング膜とオーバラップするように前記熱伝達/電気絶縁膜上に第1導電型の第1ペルチエ電極膜を形成する工程と、前記スイッチング膜とオーバラップするように前記第1ペルチエ電極膜上に第2導電型の第2ペルチエ電極膜を形成する工程と、前記第2ペルチエ電極膜および前記第1ペルチエ電極膜をパターニングし、パターニングされた第1および第2ペルチエ電極膜を有するペルチエ素子を形成する工程と、前記ペルチエ素子の両側の前記スイッチング膜にイオン注入することにより、前記ペルチエ素子直下のイオン注入されない前記スイッチング膜の領域をスイッチング部とする工程と、熱処理することにより前記イオン注入された前記スイッチング膜の領域を合金化して前記スイッチング部の電極を形成する工程と、を備えていることを特徴とする。
本発明によれば、動作速度が速くかつ集積化が可能な新しい構造の不揮発性スイッチング素子およびその製造方法ならびに不揮発性スイッチング素子を有する集積回路を提供することができる。
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態による集積回路を、図1(a)乃至図8(c)を参照して説明する。本実施形態の集積回路は、マトリクス状に配置された複数のセルを有し、各セルは、図1(a)、1(b)、1(c)に示す不揮発性スイッチング素子(以下、単にスイッチング素子ともいう)を備えている。図1(a)は本実施形態に係るスイッチング素子1の平面図、図1(b)は図1(a)に示す切断線A−Aで切断したときの断面図、図1(c)は図1(a)に示す切断線B−Bで切断したときの断面図である。なお、図1(a)の平面図においては、後述する層間絶縁膜16は図示されていない。
本実施形態に係るスイッチング素子1は、基板2上に設けられたスイッチング部6と、このスイッチング部6の両側面に接するように設けられた電極部6a、6bと、スイッチング部6上に設けられた熱伝導性が高く電気的絶縁材からなる熱伝導/電気絶縁膜8と、この熱伝導/電気絶縁膜8上に設けられたペルチエ素子13とを備えている。スイッチング部6および電極部6a、6bは基板2上に設けられた絶縁体からなる素子分離領域4によって囲まれており、他のスイッチング素子と電気的に分離されている。スイッチング部6は、後述するように、温度の変化に応じて低抵抗状態から高抵抗状態へ、または高抵抗状態から低抵抗状態へと状態変化が可能な材質からなっている。電極6aは、ペルチエ素子13を覆うように設けられた層間絶縁膜16に形成されたコンタクト19aを介して外部と電気的に接続され、電極6bは層間絶縁膜16に形成されたコンタクト19bを介して外部と電気的に接続される。また、ペルチエ素子13は、第1ペルチエ電極10と、この第1ペルチエ電極10の一部分に重なる部分を有する第2ペルチエ電極12とを備えている。第1ペルチエ電極10と第2ペルチエ電極12との重なる領域は、スイッチ部6を覆うように配置される。第1ペルチエ電極10は層間絶縁膜16に形成されたコンタクト17aを介して外部と電気的に接続され、第2ペルチエ電極12は層間絶縁膜16に形成されたコンタクト17bを介して外部と電気的に接続される。
このように構成された本実施形態に係るスイッチング素子1においては、コンタクト17a、17bの一方からペルチエ素子13に電流を流すことにより、ペルチエ素子13を発熱または吸熱させ、この熱を熱伝導/電気絶縁膜8を介してスイッチング部6に伝達させて、スイッチング部6を低抵抗状態および高抵抗状態のうちの一方の抵抗状態から他方の抵抗状態に転移させる。この転移された後の抵抗状態をコンタクト19a、19b間に電流を流すことにより検出する。第1ペルチエ電極10と第2ペルチエ電極12との重なる領域が、スイッチ部6を覆うように配置されているため、ペルチエ素子13からの発熱または吸熱は効率良くスイッチング部6に伝達される。なお、ペルチエ素子13はp型のペルチエ電極(本実施形態においては、ペルチエ電極12)からn型のペルチエ電極(本実施形態においては、ペルチエ電極10)に電流を流した場合は発熱し、逆方向に、すなわちn型のペルチエ電極からp型のペルチエ電極に電流を流した場合は吸熱が生じる。
次に、本実施形態に係るスイッチング素子1の製造方法を説明する。スイッチング素子1の製造工程を図2(a)乃至図8(c)に示す。
まず、図2(a)、2(b)に示すように、素子形成領域5を取り囲むように素子分離領域4が形成された単結晶Si基板2を用意する。なお、図2(a)は平面図であり、図2(b)は図2(a)に示す切断線A−Aで切断したときの断面図である。続いて、素子形成領域5上に、スイッチング部6として(V0.9885Cr0.0115膜を膜厚5nm成膜する(図3(a)、3(b)参照)。なお、図3(a)は平面図であり、図3(b)は図3(a)に示す切断線A−Aで切断したときの断面図である。
(V0.9885Cr0.0115膜の成膜方法はスパッタ法やCVD(Chemical Vapor Deposition)法、ALD(Atomic Layer Deposition)法、溶液塗布法、MBE(Molecular Beam Epitaxy)法などいずれも可能である。上記(V0.9885Cr0.0115膜は基板2に対して直接エピタキシャルに成膜されていても良いし、図示しないバッファ膜を挟んでエピタキシャルに成膜されても良い。また、図示しない界面層を挟んで高配向状態に成膜されても良いし、多結晶状態でも良いし、アモルファス状態でも良い。スイッチング部6に用いられる材料(V0.9885Cr0.0115は、電気伝導度の結晶方位依存性が若干ある。このため、上記材料をエピタキシャルな膜として用いた方がスイッチング特性は良く、ロジック回路等に適用する場合には都合が良いが、成膜条件が狭いことが予想される。材料(V0.9885Cr0.0115は、電気伝導度の結晶方位依存性が大きくないため、多結晶またはアモルファスな膜でも用いることが可能であり、エピタキシャルな膜に比べればスイッチング特性は劣るが、不揮発性メモリに適用する場合には、十分満足できる仕様であると考えられる。
また、上記基板2はシリコン単結晶に限らず、シリコン以外の物質からなる基板でも可能である。単体、化合物、有機物全て原理的に可能である。また上記基板2は単結晶に限らない。多結晶でも良いし、アモルファスでも可能である。例えばアモルファスSiO基板や、アクリル基板など想定される用途に応じて選択可能である。シリコン基板を用いる場合、例えばトランジスタなどの増幅回路を基板側に作製することで、本スイッチング素子部分の抵抗変化を増幅することができる。その他の基板でも、TFT(Thin Film Transistor)のような増幅回路を本スイッチング素子より基板側に作製することができる。
また、スイッチング部6として、エピタキシャルなV系の膜を成膜し、基板からの面内張力または応力が加わるような状態にすることも可能である。V系の膜に面内張力または応力を与える場合は、基板としてシリコン以外にも適切な格子定数の物質を用いることも有効である。この場合Crを添加しなくてもV系物質の低抵抗状態(金属状態)と高抵抗状態(絶縁体状態)のいずれか一方の抵抗状態から他方の抵抗状態への転移を室温すなわち約25℃付近にすることが可能になるため、20℃以上28℃以下の温度変動がある第1温度環境あるいは1℃以上60℃以下の温度変動がある第2温度環境で用いることが出来るようになるといった利点がある。スイッチング部に応力を加える方法は、基板からの応力以外にもプロセス応力やスイッチング部6以外の膜からの応力などを利用できる。そのような応力が加わっている場合、現実的に可能な応力の範囲から考えてスイッチング部の組成は(V1−xCr(ただしxは0から0.02の範囲)まで拡げることができる。
上記ではスイッチング部6の材料として(V0.9885Cr0.0115膜を用いたが、(V1−XCr(ただしXは0.0097≦X≦0.0140の範囲)の範囲であれば、第1温度環境から±80℃の温度変化によって、抵抗状態が反転(低抵抗状態から高抵抗状態への変化、あるいは高抵抗状態から低抵抗状態への変化)することが図14(H. Kuwamoto, J. M. Honig, J. Appel, Phys. Rev. B22, 2626, (1980).)および図69(H. Kuwamoto, J. M. Honig, J. Appel, Phys. Rev. B22, 2626, (1980).)から理解される。抵抗状態が反転した後、第1温度環境に戻しても抵抗状態は反転しない。したがって、かかる組成であれば第1温度環境にて実用的に用いることが可能である。例えば第1温度環境を保つような温度調節機構を備えた環境にて用いることが考えられる。この組成範囲であっても、下に述べるチタンのイオンインプランテーション量は下記の値から変化させる必要は無い。
また(V1−xCr(ただし0.0110≦x≦0.0119の範囲であれば、第2温度環境から±80℃の温度変化によって抵抗状態が反転するものの、抵抗状態が反転した後に第2温度環境に戻しても抵抗状態が反転しないことが同様に図68(H. Kuwamoto, J. M. Honig, J. Appel, Phys. Rev. B22, 2626, (1980).)から理解され、第2温度環境にて実用的に用いることができる。例えば通常の屋内環境にて積極的な温度調節機構を使用せずに用いることが考えられる。この組成範囲であっても、下に述べるチタンのイオンインプランテーション量は下記と同程度で十分である。
また、20℃未満のある温度から±4℃の温度変動がある第3温度環境で用いるためには、0≦x≦0.018といった組成範囲のいずれか適切な値を用いることができることが同様に図70(H. Kuwamoto, J. M. Honig, J. Appel, Phys. Rev. B22, 2626, (1980).)から理解される。例えば冷却機構を備えた環境にて用いることが可能である。この組成範囲の場合、下に述べるチタンのイオンインプランテーション量は適切な値を用いることが必要であるが、図12(D. B. McWhan, A. Menth, J. P. Remeika, W. F. Brinkman, T. M. Rice, Phys. Rev. B7, 1920 (1973). )や図14などにより、どのような値にすべきか容易に算出可能である。
また、28℃を超えるある温度から±4℃の温度変動がある第4温度環境で用いるためには、0.0048≦x≦0.0140といった組成範囲のいずれか適切な値を用いることができることが同様に図69および図70から理解される。例えば温度上昇が避けられない環境で、かつ冷却コストを低減することが望まれる環境で用いることが可能である。この組成範囲の場合も、下に述べるチタンのイオンインプランテーション量は適切な値を用いることが必要であるが、図12や図14などにより、どのような値にすべきか容易に算出可能である。
また、温度Tの時間平均値が173K≦T≦403Kの範囲の一定値でかつ温度T(K)の時間変動が±30Kである第5温度環境で用いる場合は、設計された時間平均温度T(K)として、(V1−xCr(ただし−0.00007222×T+0.03344−0.0004≦x≦−0.00007222×T+0.03344+0.0004)なる組成範囲に設定すれば適用可能であることが、図71および第2温度環境における組成範囲導出手法と同様の手法により理解される。温度Tの範囲として173K≦T≦403Kすなわち−100℃から130℃までの間としたのは、第5温度環境とは屋内外の比較的温度変動の激しい環境にて素子全体に対するサーマルヘッドなどのような積極的な温度調節機構を使うことなく、あるいは簡便な温度調節機構のみで用いることを想定しているためであり、そのような想定として考えられる時間平均温度は南極大陸における−100℃程度、炎天下の温室などの130℃程度であると考えられるために記したものである。
また上記第1温度環境乃至第5温度環境にて、温度変化させる値ΔTとして±80Kを示したが、物質固有の温度ヒステリシスの値より大きければよい。ΔT=±80Kにおいて10倍以上の抵抗変化が生ずるような物質を用いれば、ΔTの絶対値である|ΔT|が80Kより大きい場合、電気抵抗地の変化はさらに大きくなる場合が多い。|ΔT|の値が小さければ素子を動作させる電力が小さくなる利点があるが、下限はスイッチング部に用いる物質固有の温度ヒステリシスの大きさである。上記V系を用いる場合、温度ヒステリシスが80K程度であるから、80Kが下限となる。逆に|ΔT|が大きすぎるとスイッチングに要する電力が増大する上、温度衝撃が大きくなることによるスイッチング素子の経年劣化が著しくなるといった懸念があるため、|ΔT|を無限に大きくすることは不可能である。|ΔT|が既知の技術であるPRAMと同程度の270Kを超えると、本実施形態によるスイッチング素子の低消費電力といった最大の利点が失われるため、事実上の|ΔT|の上限は270Kである。|ΔT|は下限に近い温度に設定して用いることが望ましい。
また上記温度変化ΔTにおける抵抗変化量として、10倍といった値を示した。抵抗変化量は大きければ大きいほど集積回路としての設計が容易になるため好ましい。上限は実際に存在する物質の変化量であり、V系の低温における10倍や、EuO系の低温における1015倍などが上限であろう。逆に抵抗変化量が10倍以内であると、トランジスタなどによって変化量を増幅することが難しくなるため、オン状態とオフ状態の区別が難しくなる。したがって事実上の上限は10倍である。
上記(V0.9885Cr0.0115膜6を成膜後にCMP(Chemical Mechanical Polishing)などによって図3(a)、3(b)に示すように平坦にすれば以降の素子構造が比較的単純になるがが、必ずしもこの段階でのCMPは必要ない。本実施形態では説明が簡便になるように、図3(a)、3(b)のようにCMPをしたものとして以降のプロセスを説明する。
次に、図4(a)、4(b)に示すように、(V0.9885Cr0.0115膜6上に熱伝導/電気絶縁膜8として、例えばAlN膜を2nm成膜する。なお、図4(a)は平面図であり、図4(b)は図4(a)に示す切断線A−Aで切断したときの断面図である。
次に、図5(a)、5(b)、5(c)に示すように、AlN膜8上にペルチエ素子の第1ペルチエ電極10となる例えば、n型のBiTe膜(例えば(BiTe0.95(BiSe0.05など)を膜厚3nm形成する。その後、n型のBiTe膜をパターニングすることにより第1ペルチエ電極10を形成する。なお、図5(a)は平面図であり、図5(b)は図5(a)に示す切断線A−Aで切断したときの断面図であり、図5(c)は図5(a)に示す切断線B−Bで切断したときの断面図である。
次に、図6(a)、6(b)、6(c)に示すように、第1ペルチエ電極10を覆うように、第2ペルチエ電極となるp型のBiTe膜(例えば(BiTe0.25(BiSe0.75など)を膜厚3nm形成する。このp型のBiTe膜をパターニングすることにより、第2ペルチエ電極12を形成する。なお、図6(a)は平面図であり、図6(b)は図6(a)に示す切断線A−Aで切断したときの断面図であり、図6(c)は図6(a)に示す切断線B−Bで切断したときの断面図である。なお、本実施形態においては、n型のBiTe膜を先に成膜し、p型のBiTe膜を後に成膜したが、p型のBiTe膜を先に成膜してもよい。すなわち、ペルチエ電極のn型とp型とが逆になっている構造でもよい。また、ペルチエ電極10をn型、ペルチエ電極12をp型とするような素子と、ペルチエ電極10をp型、ペルチエ電極12をn型とするようなスイッチング素子を交互に配置する場合、配線を単純化することが可能となるとともに、隣り合うスイッチング素子間の干渉を低減することが可能となる。
上記では第1温度環境または第2温度環境にて用いることを想定し、ペルチエ電極として第1温度環境または第2温度環境にて最も高い性能指数が得られるBiTe系を用いたが、第3温度環境または第5温度環境にて用いる場合は、その温度によって適切なペルチエ電極を選択すべき場合があろうし、どのような温度でどのようなペルチエ電極の性能指数が高くなるかについてはよく知られている。本実施形態において、それら第3温度環境にて用いるペルチエ電極材料に置換すること対して、原理的な不具合は存在しない。第4温度環境または第5温度環境にて用いる場合、現時点まで知られているスイッチング材料として適用可能な物質の動作可能温度範囲の程度であれば、上記BiTe系の性能指数が適していると考えられるが、公知文献に記載があるような高温での性能指数が高い他のペルチエ電極材料を選択することも可能である。
次に、第1および第2ペルチエ電極10、12上に、マスクパターン14を形成し、このマスクパターン14を用いて、第1および第2ペルチエ電極10、12をパターニングする(図7(a)、7(b)、7(c)参照)。なお、図7(a)は平面図であり、図7(b)は図7(a)に示す切断線A−Aで切断したときの断面図であり、図7(c)は図7(a)に示す切断線B−Bで切断したときの断面図である。
次に、上記マスクパターンを用いてチタンイオンをイオン注入することにより、マスクパターン14によって覆われていない領域の(V0.9885Cr0.0115膜6中にチタンイオンが注入され、例えば、(V0.9385Cr0.0115Ti0.05からなる電極6a、6bが形成される(図8(a)、8(b)、8(c)参照)。上記(V0.9885Cr0.0115膜の上には薄い熱伝導/電気絶縁膜8があるが、通常のkeV程度のイオンインプラエネルギーであれば、薄い熱伝導/電気絶縁膜8の下の(V0.9885Cr0.0115膜中においてチタン濃度のピークがあるようなイオン注入がなされる。イオン注入後、マスクパターン14を除去する。なお、図8(a)は平面図であり、図8(b)は図8(a)に示す切断線A−Aで切断したときの断面図であり、図8(c)は図8(a)に示す切断線B−Bで切断したときの断面図である。
続いて、チタンが注入された(V0.9385Cr0.0115Ti0.05膜6a、6bの合金化を促すために1000℃で30秒間のアニールを行う。その後、図1(a)、1(b)、1(c)に示すように層間絶縁膜16を形成し、この層間絶縁膜16に開口を形成し、これらの開口を例えば金属で埋め込むことにより、コンタクト17a、17b、19a、19bを形成し、スイッチング素子1を完成する。
次に、本実施形態に係るスイッチング素子1のスイッチング部6に用いられるV系物質((V1−xCr)の電気抵抗率の温度変化を、Crの組成xをパラメータとして表したグラフを図9に示す(H. Kuwamoto, J. M. Honig, J. Appel, Phys. Rev. B22, 2626, (1980). )。図9の縦軸に示す電気抵抗率は、(V1−xCrのc軸方向の測定値であり、測定は温度を下げながら行われた。図9からわかるように、Crが約1mol%含まれる材料である(V0.99Cr0.01は、室温すなわち約25℃付近において数百倍の電気抵抗変化を示す。したがって約25℃付近にて例えば80℃の温度変化が生じれば、電気抵抗が数百倍変化することがわかる。
次に、材料(V0.99Cr0.01の電気抵抗率のヒステリシス曲線を図10(H. Kuwamoto, J. M. Honig, J. Appel, Phys. Rev. B22, 2626, (1980). )に示す。材料(V0.99Cr0.01は、室温すなわち約298Kより約40K高い温度で高抵抗状態、約30K低い温度で低抵抗状態になっており、その間でヒステリシスがあることがわかる。以下では、マージンを含めて抵抗率が1Ωcmから10−2Ωcmの変化とみなして計算する。
スイッチング部6の大きさとして、マージンを含めて膜厚10nm、長さ100nm、幅10nmとした場合、長さ方向の抵抗は10Ωから1kΩの範囲で変化する。上記10倍オーダーの抵抗変化率は、例えばシリコントランジスタでの10倍よりはかなり小さいが、例えばOUMメモリでは同程度の抵抗率変化で動作が確認されており、十分利用可能であると考えられる。
スイッチング部6の体積は10nmであって、密度が約10g/cmであることから質量は10−16gと見積もられる。比熱は約1.5J/gKであるから80℃の温度変化を生じさせるための熱量は2×10−13J程度である。
ペルチエ素子13を構成するペルチエ電極10、12の材料であるBiTeは、ゼーベック係数が約2×10−4V/K、電気伝導率(抵抗率の逆数)が10Ω−1cm−1程度、熱伝導率が0.02W/cmK程度が得られ、無次元性能指数が約0.6と控えめの見積もりを用いる。このとき、p型BiTeにおいて、230μV/K程度の熱起電力、n型BiTeにおいて−170μV/K程度の熱起電力が得られる。ペルチエ素子13のコールドサイドで吸収する熱量を見積もると、上記程度の大きさで電極抵抗が600Ωとして、最大吸熱電流が10−4アンペア程度と計算される。このときの最大温度差は90Kであるから、前述のヒステリシス範囲より大きい温度変化を求めるのであれば50Kも変化すれば十分であり、十分に動作に余裕があると考えられる。本実施形態では、スイッチング素子1は余裕をみて室温すなわち約25℃から±80℃の温度変化に必要な消費電力や動作速度を考えている。本実施形態に係るスイッチング素子1は後述するように、ノーマリオン素子またはノーマリオフ素子としても用いることができる。このため、スイッチング素子1がノーマリオン素子およびノーマリオフ素子として混載される場合は余裕を見て80℃の温度変化に必要な消費電力や動作速度を考えているが、ノーマリオン素子あるいはノーマリオフ素子として混載しない場合は、高々50K程度の温度変化で十分な可能性が高い。したがって、本実施形態で見積もられる動作仕様は余裕のあるものである。
上記の説明は、ペルチエ素子13のコールドサイドでの見積もりであった。ペルチエ素子13のホットサイドでは、ペルチエ電極10、12内のジュール熱が加算されるためコールドサイドより低い電力で上記性能が得られることが明らかである。実際の素子設計において、動作環境温度が上記ヒステリシス範囲の中央の温度よりとなるようにスイッチング素子の組成を設計するよりも、むしろ動作環境温度が上記ヒステリシス範囲の中央よりもむしろ低い状態となるようにスイッチング素子の組成を設計すれば、ペルチエ素子13の特性をよりいっそう有効に利用できると考えられる。
また、スイッチング部6とペルチエ素子13を隔てる熱伝導/電気絶縁膜8の材料であるAlNの熱伝導度はマージンを見込んでも250W/mKであるから、マージンを見て10nmの膜厚としても上記2×10−13Jの熱量が移動する速度は7nsecと計算され、スイッチング速度へ与える影響は無いことが確認される。
本実施形態による集積回路においては、図11に示すように、情報を書き込むセル1aに単体では80℃昇温するような熱量を発生させる電流(書き込み信号)を与える場合、縦横方向に隣接するセル1bには単体では例えば40K降温させうるような熱量を発生させる逆符号の電流(干渉抑制信号)を与え、斜め方向に隣接するセル1cには単体では例えば20K降温させうるような熱量を発生させる逆符号の電流(干渉抑制信号)を与えてもよい。なお、図11は、本実施形態による集積回路の平面図を示し、セルがアレイ状に配置されている。なお、上述の説明においては、書き込みはセルを昇温させる場合を例にとって説明したが、降温させる場合もある。この場合は、隣接するセルには単体として昇温させる電流を与える必要がある。
このような干渉抑制信号を書き込み時に隣接するセルに与えることによって、隣接するセルでは20K以下の温度変化に留めることが可能で、既に書き込まれている情報が保持され、セル間の干渉を抑制することができる。さらに近隣のセルにもこれより低い適切な電流(干渉抑制信号)を与えることで、セル間の干渉をさらに抑制することも可能である。
上記説明では、書き込み電流は0.1mAと見積もられたが、例えばMRAMでは10mA、OUMでは1mA必要であり、これらと比べて十分に低い利点がある。また温度による抵抗変化といった機構はOUMも同様である。ただしOUMはスイッチング材料を溶融させることで相転移を引き起こし、抵抗変化させるため、スイッチング材料へ与える温度変化は約270Kにもなる。
これに対して、本実施形態ではスイッチング部6へ与える温度変化は高々80Kで十分であって、上記書き込み電流の違いによる利点は主にこれによるものである。 このようなスイッチング部の微細加工については例えば赤外線画像素子が既に知られており、ある程度の実績がある。したがって、本実施形態による集積回路においても微細加工における本質的な困難は何ら存在せず、実現可能となる。
上述したことからわかるように、本実施形態の集積回路は、不揮発性メモリとして用いることができる。この場合、各部分の大きさが上記の値より小さくなれば、熱容量が更に小さくなるため、より低い電力で、より高速なスイッチング時間が得られる。また、書き込み時のセル間の干渉は上記のような隣接セルの温度変化をキャンセルするような干渉抑制信号を与えることで抑制可能である。したがって、本実施形態を不揮発性メモリとして用いた場合は、従来の動作原理による不揮発性メモリよりスケーリング上有利であり、更に集積化が可能となる。
以上説明したように、本実施形態によれば、動作速度が速くかつ集積化が可能な新しい構造の不揮発性スイッチング素子およびこの不揮発性スイッチング素子を有する集積回路を提供することができる。
なお、本実施形態および後述する変形例並びに他の実施形態において、スイッチング部6は、所定温度(本実施形態では第1温度環境、第2温度環境、第3温度環境、第4温度環境、第5温度環境)から±80Kの範囲の温度変化によって電気抵抗率が10倍以上の変化を生じる材料から構成されることが好ましい。
(V0.9885Cr0.0115などのV系材料は、図9または図10に示したとおり、第1温度環境または第2温度環境または第5温度環境にて、±80Kの温度変化を与えることにより、電気抵抗の変化として100倍から1000倍程度の値を得ることが可能である。また図9より、第3温度環境または第4温度環境では、±80Kの温度変化を与えることにより、電気抵抗の変化として10倍から10倍程度の値を得ることが可能である。
(変形例1)
本実施形態の集積回路において、書き込む情報の性質によっては昇温または降温のどちらか一方の動作をさせるセルが多い状態が続くこともありうる。かかる場合に対応するために、本実施形態の集積回路全体を設計された動作環境温度へ戻すために、各セル内のペルチエ素子にバイアス電力を供給してもよい。この場合、書き込み信号は上記バイアス電力に重畳させることになる。
また、本実施形態の集積回路が、実際に設置された環境が、設計された動作環境温度より高かったり低かったりすることもありうる。そのような場合に、本実施形態の集積回路全体を設計された動作環境温度に戻すために各セル内のペルチエ素子にバイアス電力を供給してもよい。書き込み信号は上記バイアス電力に重畳させることは上述した場合と同様である。
(変形例2)
本実施形態の集積回路において、集積回路全体を冷却または過熱するような温度調節装置(サーマルヘッドなど)を設けることも有用である。このような温度調節装置と、変形例1に示したような各セルへのバイアス電力を組み合わせれば、より精密な温度調整が可能となる。第1温度環境、第3温度環境、第4温度環境ではサーマルヘッドなどの全素子に対する温度調節装置を備えることが望ましい。第2温度環境、第5温度環境でも全素子に対する簡便な温度調節装置を設けることが望ましい。
(変形例3)
本実施形態の集積回路を第5温度環境の一例として−10℃(T=263.15K)を中心に±30℃の温度変化があるような寒冷環境で用いるような場合、スイッチング部6の材料(V0.9885Cr0.0115の組成を変えて、x=−0.00007222×T+0.03344、すなわちx=0.01444なる値の(V1−xCrであるところの(V0.98556Cr0.01444とすることも有用である。図71を参照されたい。クロム量xが約0.3%増えると、図71に示すグラフから導出、あるいは方程式x=0.003=−0.00007222×T+0.03344より計算されるように低抵抗状態と高抵抗状態の境界温度が約35℃低下する。したがって、本変形例のような温度環境で用いる場合にはかかる組成の方が有用である。
逆に、本実施形態の集積回路を第5温度環境の別の一例として50℃(T=323.15K)を中心に±30℃の温度変化があるような暑熱環境で用いる場合、スイッチング部6の材料を同様のグラフあるいは同様の式から導出して、例えば(V0.9899Cr0.0101とすると低抵抗状態と高抵抗状態の境界温度が約25℃上昇して約323Kすなわち約50℃であるような環境で用いる場合に有用である。
このようにスイッチング部6の組成の調整を行った場合、電気抵抗の変化が生じる温度が低下するため、変形例1や変形例2で示したような温度調整の負担が小さくなる利点がある。
(変形例4)
本実施形態の集積回路において、ペルチエ素子をヒータで代用し、冷却は集積回路外の温度調整装置が行うことも可能である。素子構造が簡便になる利点がある。
(変形例5)
本実施形態の集積回路において、スイッチング部6として例えば(V0.9906Cr0.0094なる組成の材料を第1温度環境で使用した場合、第1温度環境では低抵抗状態であるが、第1温度環境から80℃昇温させた状態では高抵抗状態に変化する(図72参照)。再度第1温度環境へ戻せば低抵抗状態に戻り、スイッチオン状態となる。このような素子では、ペルチエ素子13などで加熱した場合はスイッチオフ状態になるが、ペルチエ素子13に与える電力を止めるとスイッチオン状態に戻る。したがってノーマリオン素子が実現される。このようなスイッチング材料の組成として、例えば(V1−xCr(0.0093≦x<0.0097)なるものを用いることが可能である。
この変形例の場合、変形例4で示したようなペルチエ素子をヒータで代用する利点は大きくなる。
またこの変形例の場合、スイッチング部6の材料として、温度ヒステリシスが大きいV系材料ではなく、温度ヒステリシスが小さい例えばBaTiO系材料を用いると、抵抗状態の反転に要する温度変化が80℃より小さくて済むような利点がある。このときの組成は、例えばBa0.969Sr0.030Ce0.001TiOなどが挙げられる。BaTiO系材料の場合、Ba0.999−xSrCe0.001TiO(0≦x≦0.4)において図27からわかるように第1温度環境または第2温度環境または第4温度環境にて、±80Kの温度変化を与えることにより、100倍から3000倍程度の抵抗変化を得ることが可能である。
(変形例6)
本実施形態において、スイッチング部6として、例えば(V0.9854Cr0.0146なる組成のスイッチング材料を第1温度環境で使用した場合、第1温度環境では高抵抗状態であるが、第1温度環境より80℃降温させた状態では低抵抗状態に変化する(図68参照)再度第1温度環境へ戻せば高抵抗状態に戻り、スイッチオフ状態になる。このような素子ではペルチエ素子13などで冷却した場合はスイッチオン状態になるが、ペルチエ素子13に与える電力を止めるとスイッチオフ状態に戻る。したがってノーマリオフ素子が実現される。このようなスイッチング材料の組成として、例えば(V1−xCr(0.0140<x≦0.0150)、BaCo0.9Ni0.12−x(x=0.15)などを用いることが可能である。BaCo0.9Ni0.12−x(x=0.15)の場合、図24より分かるように、80Kの温度変化により200倍程度の抵抗変化を得ることが可能である。
(変形例6−1)
本実施形態において、スイッチング部6として、例えばCuIrなる組成のスイッチング材料を第1温度環境で使用した場合、第1温度環境では低抵抗状態であるが、第1温度環境より80℃降温させた状態では高抵抗状態に変化する(図23参照)。再度第1温度環境へ戻せば、低抵抗状態に戻り、スイッチオン状態となる。このような素子ではペルチエ素子13などで冷却した場合はスイッチオフ状態となるが、ペルチエ素子13に与える電極を止めるとスイッチオン状態に戻る。したがってノーマリオン素子が実現される。このようなスイッチング材料の組成として、例えばWO3.0などを用いることが可能である。CuIr(S1−xSe(0.00≦x≦0.05)場合、図23から分かるように、80Kの温度変化により100倍程度の抵抗変化を得ることが可能である。WO3.0の場合、図22から分かるように、80Kの温度変化により100倍程度の抵抗変化を得ることが可能である。
(変形例7)
本実施形態、変形例1乃至変形例6−1のいずれかの集積回路において、基板としてSiでなくて熱伝導率が低いアモルファスSiO基板などを用いることも可能である。その場合、ペルチエ素子13で生成される熱量が効率的に利用される利点がある。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態による集積回路を、図13(a)、13(b)、13(c)を参照して説明する。図13(a)は本実施形態による集積回路のセルを構成するスイッチング素子1Aの平面図、図13(b)は図13(a)に示す切断線A−Aで切断したときの断面図、図13(c)は図13(a)に示す切断線B−Bで切断したときの断面図である。本実施形態による集積回路は、第1実施形態の集積回路において、セルを構成するスイッチング素子1をスイッチング素子1Aに置き換えた構成となっている。
本実施形態に係るスイッチング素子1Aは、図1(a)、1(b)、1(c)に示す第1実施形態に係るスイッチング素子1において、基板2とスイッチング部6との間に熱伝導率が2.0(W/mK)より低い材料、例えばSiOからなる膜3を設けるとともに、ペルチエ素子13の第1および第2ペルチエ電極10、12を、熱伝導率が2.0(W/mK)より低い材料、例えばアモルファスSiOからなる膜15で包み込む構成としたものである。このような構成としたことにより、ペルチエ素子13で生成される熱量が効率的に利用される利点がある。なお、本実施形態においては、膜3と膜15を両方設けたが、一方だけを設けてもペルチエ素子13で生成される熱量を効率的に利用することができる。
本実施形態も第1実施形態と同様の効果を得ることができることは言うまでもない。また、本実施形態に第1実施形態の変形例1乃至変形例8の構成を適用できることは言うまでもない。
(変形例8)
第1実施形態及びその変形例並びに第2実施形態のいずれかの集積回路において、スイッチング部6の材料として例えばVを用い、集積回路中のスイッチング部6が160Kとなるように冷却して用いることが可能である。冷却においては冷凍機およびコールドヘッドを用いる方法などが可能である。かかる組成および動作温度では図9に示す反強磁性絶縁体(Anti-Ferromagnetic Insulator)相(高抵抗状態)と金属(Metal)相(低抵抗状態)との境界における電気伝導度変化を利用することになる。図9に示すようにこの領域での電気伝導度変化は10倍にも及ぶものもある。このため、本変形例の集積回路は、ロジック回路に適用することも考えられる。また、図14に(V1−xCrの組成xに対する相図を示す(H. Kuwamoto, J. M. Honig, J. Appel, Phys. Rev. B22, 2626, (1980).)。図14からわかるように、このAFI相(高抵抗状態)とM相(低抵抗状態)との境界においても±5K程度の温度ヒステリシスが存在するため、本変形例の集積回路は、不揮発性回路として用いることも可能である。
同様に図68より(V1−xCr(ただし0≦x≦1.8)、または図12より(V1−xTi(ただし0≦x≦0.05)の組成範囲で、200K未満の適切な温度になるようにコールドヘッドで冷却することで不揮発性素子として用いることが可能である。当業者であれば図68あるいは図12より、本発明の原理に基づく適切な組成と適切な温度範囲を導出するのは容易であろう。(V1−xCr(ただし0≦x≦1.8)を用いる場合、Tiのイオンインプラントなどによるドープ量は適切に調整されねばならないが、当業者であれば図12より適切なドープ量を計算することは容易であろう。
本変形例による集積回路のスイッチング素子は、第3温度環境にて用いることを想定した場合、想定された温度環境にて低抵抗状態あるいは高抵抗状態となり、80℃の温度範囲で抵抗状態が反転するような組成を選ぶことが可能である。この場合、スイッチング素子は第3温度環境動作するノーマリオン素子あるいはノーマリオフ素子となる。
(変形例9)
第1及び第2実施形態並びにそれらの変形例のいずれかの集積回路において、スイッチング部6の材料としてV系の物質を用いたが、Ni(S1−xSe)(ただし0.26≦x≦0.275)を用いてもよい。Ni(S1−xSeの相図を図15に示す(P. Kwizera, M. S. Dresselhaus, and D. Alder, Phys. Rev. B21, 2328, (1980). )。この物質系はCDW(Charge Density Wave)相転移が抵抗変化の原因であり、電気抵抗の異方性が高いため、エピタキシャル膜などを用い、異方性に注意して用いる必要がある。抵抗変化として10倍程度しか得られないが、増幅トランジスタなどを各素子に用意し、メモリに用いる場合には利用可能である。
(変形例9−1)
第1及び第2実施形態並びにそれらの変形例のいずれかの集積回路において、スイッチング部6の材料としてV系の物質を用いたが、NiSを用いてもよい。NiSの相図を図16に示す(D. B. McWhan, M. Marezio, J. P. Remeika, and P. D. Dernier, Phys. Rev. B5, 2552 (1972))。この物質系もCDW相転移物質であり、エピタキシャル膜などを用い、異方性に注意して用いる必要がある。抵抗変化として10倍程度しか得られないが、増幅トランジスタなどを各素子に用意し、メモリに用いる場合には利用可能である。
(変形例10)
第1及び第2実施形態並びにそれらの変形例のいずれかの集積回路において、スイッチング部6の材料としてV系の物質を用いたが、Tiを用い、スイッチング部への電極6a、6bとしてTi0.95Re0.05などを用い(イオンインプランテーションによってReを添加する)、集積回路全体をヒータなどで171℃に加熱し、ペルチエ素子による温度変化を±70℃とすることも可能である。Tiの相図を図17(J. M. Honig and T. B. Reed, Phys. Rev. 174, 1020, (1968). )に示す。
図17からわかるように、Tiは、171℃において±70℃の変化で抵抗が1000倍ほど変化する。温度ヒステリシスについては記述が無いが、抵抗変化機構を考えれば温度ヒステリシスが存在していると考えられ、したがって不揮発性素子として用いることが可能であると考えられる。低抵抗状態と高抵抗状態の電気抵抗率は100倍程度しか違わないため、本変形例の集積回路は、メモリなどへの適用が有効である。
(変形例11)
第1及び第2実施形態並びにそれらの変形例のいずれかの集積回路において、スイッチング部6の材料としてV系の物質を用いたが、Feを用い、スイッチング部への電極6a、6bとして(Fe0.95Re0.05などを用い(イオンインプランテーションによってReを添加する)、集積回路全体をコールドヘッドなどで120Kに冷却し、ペルチエ素子による温度変化を±10℃とすることも可能である。Feの相図を図18(P. A. Miles, W. B. Westphai, and A. von Hippel, Reviews of Modern Physics, 29, 279, (1957). )に示す。
図18からわかるように、Feは、120Kにおいて±10℃の変化で抵抗が100倍ほど変化する。温度ヒステリシスについては記述が無いが、抵抗変化機構を考えれば温度ヒステリシスが存在していると考えられ、したがって不揮発性素子として用いることが可能であると考えられる。FeにVやCrやNiなどを添加することで上記低抵抗状態と高抵抗状態の境界温度を変化させることが可能となる。また、低抵抗状態と高抵抗状態の電気抵抗率は100倍程度しか違わないため、本変形例の集積回路は、メモリなどへの適用が有効である。
(変形例12)
第1及び第2実施形態並びにそれらの変形例のいずれかの集積回路において、スイッチング部6の材料としてV系の物質を用いたが、EuO1−x(ただしxは0.0005≦x≦0.004の範囲)を用い、スイッチング部への電極6a、6bとして(Eu0.95Re0.05)O1−x(ただしxは0.0005≦x≦0.004の範囲)などを用い(イオンインプランテーションによってReを添加する)、集積回路全体をコールドヘッドなどで60Kに冷却し、ペルチエ素子による温度変化を±20℃とすることも可能である。EuOの相図を図19(M. W. Shafer, J. B. Torrance, T. Penny, J. Phys. Chem. Solid 33, 2251, (1972). )に示す。組成はIR(Infra Red)測定で求めた値であり、IR実験誤差を含む値である。II−1:Euが1.5%欠損したEuOで絶縁体、I−8:Euが1%混入したEuOで絶縁体、III−1:Euが0.2%以下のIR測定限界の範囲で欠損したEuO、IV−1:Oが0.05%以下のIR測定限界の範囲で欠損したEuOであり本変形例に適用可能、IV−5およびIV−7:Oが0.35%程度欠損したEuOであり本変形例に適用可能、IV−7がより好ましい、V−2:Oが0.5%欠損したEuOで金属である。
図19からわかるように、EuO1−xは、70Kにおいて±10Kの変化で抵抗が1012倍ほど変化する。温度ヒステリシスについては記述が無いが、抵抗変化機構を考えれば温度ヒステリシスが存在していると考えられ、したがって不揮発性素子として用いることが可能であると考えられる。EuO1−xに各種希土類金属などを添加することで上記低抵抗状態と高抵抗状態の境界温度を変化させることが可能となると考えられる。また、低抵抗状態と高抵抗状態の電気抵抗率は1012倍程も異なるため、メモリのみならず、ロジック回路としての適用も可能である。一般的に物質は低温ほど熱容量が小さいため、冷却して低い動作温度で用いることは、素子の高速化に有利である。
(変形例13)
第1及び第2実施形態並びにそれらの変形例のいずれかの集積回路において、スイッチング部6の材料としてV系の物質を用いたが、1T−Ta(S1−xSe(0≦x≦0.6)を用いることも可能である。この物質は異方性が大きいので、エピタキシャル膜あるいは高配向膜を用いる必要性がある。1T−Ta(S1−xSe(0≦x≦0.6)の相図を図20(F. J. Di Salvo, J. A. Wilson, B. G. Bagley, and J. V. Waszczak, Phys. Rev. B12, 2220, (1975). )に示す。図20からわかるように、1T−Ta(S1−xSeにおける低抵抗状態と高抵抗状態の境界温度は200K付近の低温であるため、本変形例による集積回路は、200K付近で動作するスイッチング素子を有する集積回路となる。硫黄とセレンの組成比を変えることでヒステリシス温度幅を設計できることが注目される。また、1T−TaSSeにTiを添加した場合の温度に対する抵抗率を図21(F. J. Di Salvo, J. A. Wilson, B. G. Bagley, and J. V. Waszczak, Phys. Rev. B12, 2220, (1975).)に示す。図21からわかるように、1T−Ta(S1−xSeにTiを4%程度添加することで、低抵抗状態と高抵抗状態の境界温度を293K付近に設定できるので、本変形例において、Tiを添加した状態で用いることも考えられる。Ti以外にも各種元素を添加することで上記低抵抗状態と高抵抗状態の境界温度を変化させることが可能となる。また、低抵抗状態と高抵抗状態の電気抵抗率はTi添加が無い場合で30倍程度、Tiを添加した場合は10倍程度しか違わないため、本変形例の集積回路はメモリなどへの適用が有効である。
(変形例14)
第1及び第2実施形態並びにそれらの変形例のいずれかの集積回路において、スイッチング部6の材料としてV系の物質を用いたが、WO3.0を用い、スイッチング部への電極6a、6bとして(W0.95Re0.05)O3.0などを用い(イオンインプランテーションによってReを添加する)、集積回路全体をコールドヘッドなどで240Kに冷却し、ペルチエ素子による温度変化を±20Kとすることも可能である。WO3.0の抵抗率の温度変化を図22(L. D. Muhlestein and G. C. Danielson, Phys. Rev. 158, 825, (1967). )に示す。
図22からわかるように、WO3.0は、240Kにおいて±10℃の変化で抵抗が10倍ほど変化する。温度ヒステリシスについては記述が無いが、抵抗変化機構を考えれば温度ヒステリシスが存在していると考えられ、したがって不揮発性素子として用いることが可能であると考えられる。なおWO3.0にCrやMoやNaやKなどの各種元素を添加することで低抵抗状態と高抵抗状態の境界温度を変更できる可能性もある。また、低抵抗状態と高抵抗状態の電気抵抗率は10倍程度しか違わないため、本変形例の集積回路をメモリなどへの適用が有効である。
(変形例15)
第1及び第2実施形態並びにそれらの変形例のいずれかの集積回路において、スイッチング部6の材料としてV系の物質を用いたが、CuIr(S1−xSe(ただし0≦x≦0.1)を用い、スイッチング部への電極6a、6bとしてCuIr(S0.95−xSeTe0.05(ただし0≦x≦0.1)などを用い(イオンインプランテーションによってTeを添加する)、集積回路全体をコールドヘッドなどで(225−200×x)K(ただしxは上記組成の値)に冷却し、ペルチエ素子による温度変化を±20Kとすることも可能である。CuIr(S1−xSe系の温度に対する抵抗率を図23(S. Nagata, N. Matsumoto, Y. Kato, T. Furubayashi, T. Matsumoto, J. P. Sanchez, and P. Vulliet, Phys. Rev. B58, 6844, (1998). )に示す。
図23からわかるように、CuIr(S0.95−xSeTe0.05(ただし0≦x≦0.1)なる組成の材料は、(225−200×x)K(ただしxは上記組成の値)において±20Kの変化で抵抗が100倍ほど変化し、さらに10K程度の温度ヒステリシスが存在するため、不揮発性素子として用いることが可能である。CuIr(S0.95−xSeTe0.05(ただし0≦x≦0.1)に各種元素を添加することで上記低抵抗状態と高抵抗状態の境界温度を変化させることが可能となる。また、低抵抗状態と高抵抗状態の電気抵抗率は1000倍程度しか違わないため、本変形例の集積回路はメモリなどへの適用が有効である。
(変形例16)
第1及び第2実施形態並びにそれらの変形例のいずれかの集積回路において、スイッチング部6の材料としてV系の物質を用いたが、BaCo0.8Ni0.22−x(x=0.15)を用い、スイッチング部への電極6a、6bとしてBaCo0.8Ni0.22−x(x=0.15)などを用い(イオンインプランテーションによってNiの添加量を増やす)、集積回路全体をコールドヘッドなどで集積回路全体を200Kに冷却し、ペルチエ素子による温度変化を±20℃とすることも可能である。BaCo0.9Ni0.12−x(0.05≦x≦0.20)の温度に対する抵抗率を図24に示す(L. S. Martinson, J. W. Schweitzer, and N. C. Baenziger, Phys. Rev. Lett. 71, 125, (1993). )。
図24からわかるように、BaCo0.9Ni0.12−x(y=0.15)は、200Kにおいて±10Kの変化で抵抗が1000倍ほど変化する。温度ヒステリシスが±10Kほど存在するため、不揮発性素子として用いることが可能である。
上記以外にも、BaCo0.9Ni0.12−x(0.05≦x≦0.20)の組成範囲において抵抗状態の反転があるため、Sの添加量xを適切に調節することで、動作温度を変調することが可能である。BaCo0.9Ni0.12−x(0.05≦y≦0.20)に他の元素を添加することによっても上記低抵抗状態と高抵抗状態の境界温度を変化させることが可能であろう。BaCo0.9Ni0.12−x(0.05≦x≦0.20)の低抵抗状態と高抵抗状態の電気抵抗率は1000倍程度しか違わないため、本変形例の集積回路はメモリなどへの適用が有効である。
(変形例17)
第1及び第2実施形態並びにそれらの変形例の集積回路において、スイッチング部6材料としてV系の物質を用いたが、V2n−1(ただしn=3、4、5、6、8)またはVOまたはV2n+1(ただしn=2、6)を用い、スイッチング部への電極6a、6bとしてVn−0.1Ti0.12n−1(ただしn=3、4、5、6、8)などを用いることも可能である。V2n−1およびVOの温度変化に対する電気伝導率の変化を図25(S. Kachi, K. Kosuge, and H. Okinaka, Journal of Solid State Chemistry, 6, 258, (1973). )に示す。図25からわかるように、V2n−1のn=4における低抵抗状態と高抵抗状態の境界温度は244Kから250Kの範囲で抵抗変化量は100倍程度、n=5においては低抵抗状態と高抵抗状態の境界温度は128Kから135Kの範囲で抵抗変化量は10倍程度、n=6においては低抵抗状態と高抵抗状態の境界温度は175Kから179Kの範囲で抵抗変化量は200倍程度、n=8においては低抵抗状態と高抵抗状態の境界温度は69K付近で抵抗変化量は10倍程度、VOにおいては低抵抗状態と高抵抗状態の境界温度は333K付近で抵抗変化量は10倍程度といった値が知られている。本変形例はそれら温度付近で動作するスイッチング素子を有する集積回路となる。図中には示されていないが、n=3における低抵抗状態と高抵抗状態の境界温度は430Kであることが知られている。同様に図中には示されていないが、V2n+1のn=6においては約190Kであることが知られている。素子全体をコールドヘッドに載せたり、適切な温度調節機構が備えられた環境で用いることが好ましいだろう。
温度ヒステリシスについては詳細な記述が無いが、Vについては図25中に温度ヒステリシスが見られ、その他のV2n−1(ただしn=3、5、6、8)またはVOまたはV2n+1(ただしn=2、6)においてもV系その他の場合同様に温度ヒステリシスが存在すると考えられるので、不揮発性メモリなどへの適用が考えられる。
2n−1またはVOまたはV2n+1にCrやTiなどの各種元素を添加することで上記低抵抗状態と高抵抗状態の境界温度を変化させることが可能となると考えられる。
(変形例18)
第1及び第2実施形態並びにそれらの変形例のいずれかの集積回路において、スイッチング部6の材料としてV系の物質を用いたが、温度によって電気伝導度が急激に変化するような粒界伝導体を用いることも可能である。この粒界伝導体として例えばBa0.999−xSrCe0.001TiO(0.3≦x≦0.4)を挙げることができる。このBa0.999−xSrCe0.001TiO(0.3≦x≦0.4)の温度変化に対する抵抗率の変化を図27(Osamu Saburi, Journal of The American Ceramic Society, 44, 54, (1961). )に示す。図27からわかるように、このBa0.999−xSrCe0.001TiO(0.3≦x≦0.4)は、室温動作にて使うことが可能である。上記Ba0.999−xSrCe0.001TiO(0.3≦x≦0.4)以外にも、Ba1―y−xSrMeTiO(MeはCe以外の元素、0≦y≦0.01)ようにBa1−xSrTiO系の材料にCe以外の元素を添加した材料などが知られている(図26(Osamu Saburi, Journal of the Physical Society of Japan, 14, 1159, (1959). )参照)が、温度変化による10倍以上の温度変化があるといった本質には違いが無い。MeとしてCeを用い、yとして0.001を用いると、抵抗変化が大きいといった利点と、低抵抗状態における抵抗の絶対値が小さいといった、2つの利点を兼ね備えるので、最適な代表例として本変形例ではCeを添加した例を示してある。このa1―y−xSrMeTiO(MeはCe以外の元素、0≦y≦0.01)においても基本的な動作原理はCeを添加した例と同等であり、第1及び第2実施形態並びにそれらの変形例のいずれかの集積回路のスイッチング部6の材料として用いることができる。
また、YCrO、YTiO、YMnOなど各種ペロブスカイト系材料も同様に温度によって抵抗率が急激に変化するような粒界伝導体として知られ、ペロブスカイト構造ではないが、温度によって電気伝導率(抵抗率の逆数)が急激に変化するような粒界伝導体も存在する。上記物質に各種材料を添加することで特性を調整することも可能である。これら物質も本発明の各実施形態ならびにそれらの変形例に適用可能である。図27には記述が無いが、抵抗変化機構を考えれば温度ヒステリシスが存在していると考えられ、したがって不揮発性メモリなどへの適用が考えられる。
(変形例19)
第1及び第2実施形態並びにそれらの変形例のいずれかの集積回路において、スイッチング部6の材料としてV系の物質を用いたが、超伝導体を用いることも可能である。現在までに知られている超伝導体として最も転移温度の高い銅酸化物水銀系のHgBaCan−1Cu2n+2+y(n=2)においてさえ、転移温度は133Kであるから、現在まで知られている超伝導体物質を、スイッチング部6の材料として使う限り、低温で動作するスイッチング素子を有する集積回路となる。しかし、将来より高い温度で超伝導転移する物質が発見されれば、その物質もスイッチング部6の材料として用いることができる。
超伝導体はフェルミ面近傍に超伝導ギャップが開くため、スイッチング素子部分に超伝導ギャップエネルギー程度の電圧(普通は0.1ボルト以下)を加える必要がある。超伝導体としてはYBCO、Bi系、Tl系、LSCO系、Nd系などの銅酸化物高温超電導体、ホウ化物超伝導体、MgB、NbSn、NbAlなどの合金系超伝導体、有機物超伝導体のA60(AはLi,Na,K,Rb,Csから1種類以上)、および単体超伝導体のPb、Nbなどを用いることができる。低抵抗状態と高抵抗状態の電気抵抗率が大きく異なるので、本変形例に係るスイッチング素子は、ロジック回路への適用も可能である。
(変形例20)
第1及び第2実施形態並びにそれらの変形例において、スイッチング部6の材料としてV系の物質を用いたが、温度によって電気伝導度が急激に変化するような有機物伝導体を用いることも可能である。例えばBEDT−TTF系.(TMTSF)X系(XはPF 、ClO などの一価アニオン)、TTF−TCNQ系、(DMe−DCNQI)Cu系などはCDW(Charging density Wave)あるいは超伝導といった機構によって低抵抗状態と高抵抗状態の両方を持ち、温度によって両者の間を変化する。現在までのところ低抵抗状態と高抵抗状態の境界の温度は第2温度環境より低いものが主であるが、原理的な制限ではない。将来、低抵抗状態と高抵抗状態の境界温度がより高い物質が発見されれば、その物質をスイッチング部6の材料として用いることができる。温度変化によって低抵抗状態と高抵抗状態を移り変わる原理として、有機伝導体ではCDW転移や超伝導転移などが原因となっている例が多い。低抵抗状態と高抵抗状態の電気抵抗率が大きく異なるものもあるので、メモリ回路のみならずロジック回路への適用も可能である。なお、CDW転移によって電気伝導度が変化している場合には、結晶の方位によって電気伝導度が大きく異なるので、スイッチング部に単結晶を使い、単結晶の向きに注意を払うことが重要である。
(変形例21)
第1及び第2実施形態並びにそれらの変形例のいずれかの集積回路において、スイッチング部6の材料としてV系の物質を用いたが、温度によって電気伝導度が急激に変化するようなCDW転移があるような物質を用いることも可能である。実用性がありそうなCDW転移物質は先に例示した有機伝導体や1T−TaTiSSe系などであるが、未発見の物質も多いと推測される。将来発見されるCDW転移物質においても、低抵抗状態と高抵抗状態の抵抗差が10倍以上あるものであれば、その物質もスイッチング部6の材料として用いることができる。ただし、CDW転移物質はフェルミ面のネスティングが起こりやすい低次元物質である場合が多いので、その場合はエピタキシャル膜または高配向膜を使う必要があることは変形例20の場合と同様である。
低抵抗状態と高抵抗状態の電気抵抗率が大きく異なるものもありうるので、メモリ回路のみならずロジック回路への適用も可能である。
(変形例22)
第1及び第2実施形態並びにそれらの変形例のいずれかの集積回路において、スイッチング部6の材料としてV系の物質を用いたが、温度によって電気伝導度が急激に変化するようなモット転移を有するモット転移物質を用いることも可能である。実用性がありそうなモット転移物質は先に例示したV系などであるが、未発見の物質も多いと推測される。将来発見されるモット転移物質においても、低抵抗状態と高抵抗状態の抵抗差が10倍以上あるものであれば、その物質もスイッチング部6の材料として用いることができる。低抵抗状態と高抵抗状態の電気抵抗率が大きく異なるものもありうるので、メモリ回路のみならずロジック回路への適用も可能である。
(変形例23)
第1実施形態においては、スイッチング部6の材料として低抵抗状態と高抵抗状態の境界温度が室温付近にある(V0.9885Cr0.0115なる組成を用い、上記電気的スイッチ材料と同じ物質系と考えられるが室温付近の十分に広い温度範囲で金属的であるような(V0.9385Cr0.0115Ti0.05なる組成の材料をスイッチング部6の電極6a、6bとして用いた。スイッチング部6と電極6a、6bを同じ物質系にするといったアイデアは、変形例9ないし変形例18において示した各種物質に対しても適用可能である。例えば変形例12に示したBa0.999−xSrCe0.001TiO(0.3≦x≦0.4)において、NbやLaやSnやCe等をイオンインプランテーションなどの方法で5原子%以下の範囲で添加することで電気抵抗が下がり、電極として使用可能になる。
変形例3、変形例5、変形例6、変形例8などで示したような動作をさせる場合は、集積回路の動作温度を変調させるためにスイッチング部6の組成を変動させたが、電極6a、6bに対しても同様の組成変動にて集積回路の動作温度で金属的であるようにすることが可能である。
上記スイッチング部6の電極6a、6bの材料はかならずしもスイッチング部6と同系の材料である必要は無く、酸化物金属のBaTiNbO、RuO,SrRuO、ReOなどや、合金系のTiN、ZrN、HfN、FeS、CuSなど、単体金属のAl、Cu、Ru、Ir、Ptなどを用いることも可能である。
本発明の各実施形態およびその変形例において、上記スイッチング部6の電極6a、6bに必要とされる要件は、電気的伝導性が高いことであって、上記実施形態およびその変形例に記載されている以外の金属材料を用いることも可能である。
(変形例24)
第1及び第2実施形態並びにそれらの変形例のいずれかの集積回路において用いるペルチエ素子13の電極10、12の材料として、変形例23に示したスイッチング部6の電極6a、6bの材料と同一または類似の材料を用いても良いし、変形例23に示してはいるがスイッチング部6の電極6a、6bの材料とは異なる電極材料を用いても良いし、変形例23に記載されていない金属を用いても構わない。
スイッチング部6の電極6a、6bの材料と、ペルチエ素子13の電極10、12の材料を同一あるいは類似にすれば、電極を形成するプロセスが単純化される利点があり、両者を異なる材料にすれば各々の接続相手の物性を考慮した適切な材料を選択できる利点がある。
(変形例25)
第1及び第2実施形態並びにそれらの変形例のいずれかの集積回路において用いられ、スイッチング部6、ペルチエ素子13との間に設けられた高熱伝導低電気伝導材料からなる熱伝導/電気絶縁膜8として、AlNを示した。このような高熱伝導低電気伝導物質としては、AlNの他にBN、ダイヤモンド、Si、Alなどが挙げられる。本発明の各実施形態およびその変形例において、熱伝導/電気絶縁膜8として用いられる高熱伝導低電気伝導度材料は、FETにおけるゲート絶縁膜に機能が類似し、熱効率を上げるためには薄いことが望ましいが、リーク電流が増えることは好ましくない。熱伝導度がより高く、しかもリーク電流がより少ない物質が望まれる点もFETにおけるゲート絶縁膜と類似しているが、FETにおけるゲート絶縁膜と異なり、スイッチング材料の界面付近のみが重要ではないため、スケーリングの制限が緩和されている利点がある。
(変形例26)
第1及び第2実施形態並びにそれらの変形例のいずれかの集積回路において用いる層間絶縁膜16として例えばSiOを示したが、不純物の拡散係数が低いような物質が望まれる。すなわち、例えば第1実施形態に示したV系材料は、様々な酸素との比率の組成を取り得るため、長期間の使用において組成が変動しないことが望まれる。この点に関しては、物質を溶融させることで結晶状態とアモルファス状態の二つの状態を作り、両者の電気抵抗の違いを利用するOUMメモリに比べて、本発明の各実施形態およびその変形例は、電子系の相転移に過ぎないモット転移やCDW転移や超伝導転移を利用するような格段に穏やかな動作原理を採用しているため、問題点は少ないと考えられる。
一方で層間絶縁膜として、FET同様にスケーリングが進むと配線間の誘導電流が問題になる。しかしながら上記理由から、本発明の各実施形態およびその変形例による集積回路ではポーラスな層間絶縁膜を用いることで比誘電率を下げ、誘導電流を低下させるといった手法は困難である。代わりに本発明の各実施形態およびその変形例では必ずしも高温の熱処理が必要ないため、一般的に比誘電率が低い有機物を用いるといった対処法が可能であると考えられる。
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態による集積回路の製造方法を説明する。本実施形態の製造方法によって製造される集積回路は、第1実施形態と同様に、マトリクス上に配列された複数のセルを有し、各セルは、スイッチング素子を有している。本実施形態の製造方法は、第1実施形態で説明した製造方法と異なり、スイッチング素子を、高温プロセスを経ないで製造するものである。
まず、図2(a)、2(b)に示すように、素子分離領域4が形成された単結晶Si基板2上にスイッチング部6の材料として例えば(V0.9895Cr0.0105膜を10nm成膜し、その後CMPによって平坦化する(図3(a)、3(b)参照)。上記(V0.9885Cr0.0115膜6上に熱伝導/電気絶縁膜8として例えばAlN膜を3nm成膜する(図4(a)、4(b)参照)。このAlN膜8上に例えば、n型のペルチエ電極10となる電極膜を10nm形成する。この電極膜をパターニングし、ペルチエ電極10を形成する(図5(a)、5(b)、5(c)参照)。続いて、ペルチエ電極10を覆うように、例えばp型のペルチエ電極12となる電極膜を5nm形成し、この電極膜をパターニングすることにより、ペルチエ電極12を形成する(図6(a)、6(b)、6(c)参照)。次に、ペルチエ電極10、12上にマスクパターンを形成する。続いて、このマスクパターン14を用いてペルチエ電極10、12、熱伝導/電気絶縁膜8、スイッチング部6、および素子分離領域4をパターニングし、マスクパターン14で覆われていない領域の基板2の表面を露出させることによりスイッチング部6の側面を露出させる(図28(a)、28(b)、28(c)参照)。図28(a)は平面図、図28(b)は図28(a)に示す切断線A−Aで切断した場合の断面図、図28(c)は図28(a)に示す切断線B−Bで切断した場合の断面図である。
続いて、露出したスイッチング部6の側面に接続するように例えばRuOからなる電極30を成膜する(図29(a)、29(b)、29(c)参照)。図29(a)は平面図、図29(b)は図29(a)に示す切断線A−Aで切断した場合の断面図、図29(c)は図29(a)に示す切断線B−Bで切断した場合の断面図である。
次に、基板の全面に平坦化膜161を形成し(図30(a)、30(b)、30(c)参照)、ペルチエ電極12の表面が露出するまで平坦化膜161をCMPによって平坦化する(図31(a)、31(b)、31(c)参照)。図30(a)は平面図、図30(b)は図30(a)に示す切断線A−Aで切断した場合の断面図、図30(c)は図30(a)に示す切断線B−Bで切断した場合の断面図である。図31(a)は平面図、図31(b)は図31(a)に示す切断線A−Aで切断した場合の断面図、図31(c)は図31(a)に示す切断線B−Bで切断した場合の断面図である。平坦化は必ずしも必要ではないが、素子構造が簡略になるのであることが好ましい。
次に、マスクパターン301を形成後、このマスクパターン301を用いて電極30および平坦膜161をエッチングすることにより、上記ペルチエ素子部分と上記例えばRuOからなる電極30とが電気的に接触しないように、ペルチエ素子部分の周囲に付着した上記RuOからなる電極30を除去する(図32(a)、32(b)、32(c)参照)。マスクパターン301は、先のマスクパターン14よりペルチエ素子部分が小さくなるようにしておけば、多少のマスク合わせずれの吸収も可能である。図32(a)は平面図、図32(b)は図32(a)に示す切断線A−Aで切断した場合の断面図、図32(c)は図32(a)に示す切断線B−Bで切断した場合の断面図である。
次に、マスクパターン303を形成後、このマスクパターン303を用いて電極30をエッチングすることにより、個別のスイッチング素子を電気的に分離する(図33(a)、33(b)、33(c)参照)。なお、マスクパターン303を形成する前に、マスクパターン301を除去しても良い。図33(a)、(b)、(c)では除去していない例を示した。図33(a)は平面図、図33(b)は図33(a)に示す切断線A−Aで切断した場合の断面図、図33(c)は図33(a)に示す切断線B−Bで切断した場合の断面図である。
次に、マスクパターン14、マスクパターン301、およびマスクパターン303を剥離する。これらのマスクパターンの剥離は必ずしも必要ないが、エッチングダメージが素子の性能に問題となるような悪影響を与える場合には剥離が必要である。マスクパターンを剥離した後、素子全面に層間絶縁膜(保護膜)32を形成する。(図34(a)、34(b)、34(c)参照)。図34(a)は平面図、図34(b)は図34(a)に示す切断線A−Aで切断した場合の断面図、図34(c)は図34(a)に示す切断線B−Bで切断した場合の断面図である。
次に、基板の全面に層間絶縁膜(保護膜)32をCMPによって平坦化する。平坦化は必ずしも必要ないが、素子の凹凸が激しすぎるために以降の配線工程に困難が生じる場合にはCMPすることが望ましい。続いて、ペルチエ電極10、12に接続するコンタクト17a、17bを形成するとともに、電極30に通じるコンタクト電極19a、19bを形成し、スイッチング素子を完成する(図35(a)、35(b)、35(c)参照)。図35(a)は平面図、図35(b)は図35(a)に示す切断線A−Aで切断した場合の断面図、図35(c)は図35(a)に示す切断線B−Bで切断した場合の断面図である。
本実施形態の製造方法によれば、本質的に高温が必要なプロセスが無いため、高温熱処理した場合に不安定となる材料を用いることも可能となる。また、スイッチング素子6と、このスイッチング素子6に接する電極30と異なる材料で形成することができる。なお、上記に示した材料以外にも変形例9ないし変形例26に示した材料を用いることも可能である。
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態による集積回路の製造方法を説明する。本実施形態の製造方法によって製造される集積回路は、第1実施形態と同様に、マトリクス上に配列された複数のセルを有し、各セルは、スイッチング素子を有している。本実施形態の製造方法によって製造されるスイッチング素子は、ペルチエ素子が包み込まれる構成となっている。また本実施形態では、各スイッチング素子への電極の一方が全て同一の電位になるような構造を簡単に作製可能であるため、そのような実施例について示した。しかし、各スイッチング素子への電極の一方が全て同一の電位になるようにはなっていない構造とその製造過程を類推することは、当業者であれば容易であろう。
まず、基板2に例えばSTI(Shallow Trench Insulation)によって素子分離領域4を形成後、スイッチング素子の下部電極となる膜として例えば(V0.9Ti0.1膜34を5nm成膜する(図36(a)、36(b)参照)。図36(a)は平面図、図36(b)は図36(a)に示す切断線A−Aで切断した場合の断面図である。本実施例における素子分離領域4の主たる意義は隣接素子間の熱干渉の低減である。基板中におけるこのような素子分離領域の形成は他の実施例にも有効であるが、作製コストが高くなる問題があるので必ずしも採用する必要は無い。
続いて、基板全面にスイッチング部となる膜として例えば(V0.9915Cr0.0085膜36を50nm成膜する(図37(a)、37(b)参照)。図37(a)は平面図、図37(b)は図37(a)に示す切断線A−Aで切断した場合の断面図である。
次に、図38(a)、38(b)、38(c)に示すように、スイッチング部となる膜36をエッチングして例えば40nmの深さの窪み37を形成する。図38(a)は平面図、図38(b)は図38(a)に示す切断線A−Aで切断した場合の断面図、図38(c)は図38(a)に示す切断線B−Bで切断した場合の断面図である。
次に、熱伝導/電気絶縁膜として例えばAlN膜38を5nm成膜し(図39(a)、39(b)、39(c)参照)、第一極性のペルチエ電極となる電極膜40を10nm成膜した後、パターニングし、ペルチエ電極40を形成する(図40(a)、40(b)、40(c)参照)。ペルチエ電極40の成膜には、コリメートスパッタ、低ガス圧スパッタ、ロングスロウスパッタ、セルフスパッタ、超強磁場マグネトロンスパッタ、ソースと基板の距離が長いMBEなどの成膜手法を使うと、図40(a)、40(b)、40(c)の段差側面にはペルチエ電極40がほとんど付着しないような成膜が可能となり、しかもペルチエ電極40が段差部分に微量に付着していても素子の機能への影響は軽微であるため、プロセスの簡略化に有用である。しかし上記以外の成膜手法などにより、段差側面に厚くペルチエ電極40が付着されてしまう場合でも、段差側面のペルチエ電極40を除去するようなプロセスを追加することは可能であり、同業者であれば容易に類推可能であろう。例えば、第3実施形態において、スイッチング部分6に接する電極30を成膜時にペルチエ電極10、12の側面にも電極30の膜が接触してしまう場合において、ペルチエ電極10、12の側面に付着した電極30を除去する手法を示してある。
逆に、第3実施形態において、上記の段差側面にほとんど付着しないような成膜手法を用いた場合、第3実施形態のプロセスを簡略化することも可能であり、同業者であれば容易に類推できるであろう。ただし第3実施形態の場合、本実施形態とは異なり側面への微量の付着でもリーク電流増大の影響が大きい。このため、より好ましいのは第3実施形態のプロセスである。
続いて、第二極性のペルチエ電極となる膜42を同様段差側面への付着が少ない成膜手法にて10nm成膜した後、パターニングしペルチエ電極42を形成する(図41(a)、41(b)、41(c)参照)。
次に、熱伝導/電気絶縁膜として例えばAlN膜44を凹部に埋め込むように成膜した後、CMPなどによって平坦化することで(V0.9865Cr0.0135膜36を露出させる(図42(a)、42(b)、42(c)参照)。続いて、基板全面に熱伝導/電気絶縁膜として例えばAlN膜46を5nm成膜し(図43(a)、43(b)、43(c)参照)、(V0.9865Cr0.0135膜36が露出するようにAlN膜46をパターニングする(図44(a)、44(b)、44(c)参照)。
次に、基板全面に(V0.9865Cr0.0135膜48を成膜し(図45(a)、45(b)、45(c)参照)、続いて(V0.9865Cr0.0135膜48および(V0.9865Cr0.0135膜36をパターニングし、(V0.9Ti0.1膜34を露出させる(図46(a)、46(b)、46(c)参照)。その後、再度(V0.9865Cr0.0135膜48をパターニングする(図47(a)、47(b)、47(c)参照)。
次に、基板全面に層間絶縁膜50を形成後、(V0.9Ti0.1膜34、(V0.9865Cr0.0135膜48、ペルチエ電極40、42に通じる開口を層間絶縁膜50に形成し、これらの開口をメタルで埋め込むことによりコンタクト52a、52b、54a、54bを形成し、スイッチング素子を完成する(図48)。
本実施形態の製造方法によれば、スイッチング素子をエピタキシャルに作製することも可能である。各構成要素の材料として、本実施形態で述べた以外にも変形例9ないし変形例26で述べた材料を用いることも可能である。
(第5実施形態)
次に、本発明の第5実施形態による集積回路の製造方法を説明する。本実施形態の製造方法によって製造される集積回路は、第1実施形態と同様に、マトリクス上に配列された複数のセルを有し、各セルは、スイッチング素子を有している。以下の工程はスイッチング素子の製造工程を示す。
まず、第4実施形態の図45に示す工程までは第4実施形態と同様に行う。その後、(V0.9865Cr0.0135膜48をCMPなどによって平坦化する(図49(a)、49(b)、49(c)参照)。
次に、平坦化された(V0.9865Cr0.0135膜48上に上部電極となる電極膜56を成膜する(図50(a)、50(b)、50(c)参照)。続いて、電極膜56、(V0.9865Cr0.0135膜48、および(V0.9865Cr0.0135膜36をパターニングして下部電極34を露出させる(図51(a)、51(b)、51(c)参照)。
その後、電極膜56および(V0.9865Cr0.0135膜48を再度パターニングすることにより熱伝導/電気絶縁膜46のペルチエ電極へのコンタクト形成部分を露出させる(図52(a)、52(b)、52(c)参照)。
次に、基板全面に層間絶縁膜50を形成後、(V0.9Ti0.1膜34、上部電極48、ペルチエ電極40、42に通じる開口を層間絶縁膜50に形成し、これらの開口をメタルで埋め込むことによりコンタクト52a、52b、54a、54bを形成し、スイッチング素子を完成する(図53(a)、53(b)、53(c)参照)。
本実施形態の製造方法によって製造されたスイッチング素子は、第4実施形態の製造方法によって製造されるスイッチング素子のスイッチング部となる膜48とコンタクト52bとの間に電極56を設けた構成となっている。
なお、本実施形態においては、素子分離領域4は第3実施形態と同様にSTI(Shallow Trench Insulation)によって形成したが、LOCOS(Local Oxidation of Silicon)法によって形成してもよい。
また、各構成要素の材料として、本実施形態で述べた以外にも変形例9ないし変形例26で述べた材料を用いることも可能である。
(第6実施形態)
次に、本発明の第6実施形態による集積回路の製造方法を説明する。本実施形態の製造方法によって製造される集積回路は、第1実施形態と同様に、マトリクス上に配列された複数のセルを有し、各セルは、スイッチング素子を有している。以下の工程はスイッチング素子の製造工程を示す。
まず、図54(a)、54(b)に示すように、基板60上に絶縁体からなる素子分離601を形成する。
次に、図55(a)、55(b)に示すように、基板60上に絶縁膜62を形成する。なお、絶縁膜62を形成しない代わりに絶縁基板を用いることも可能である。絶縁膜の形成手法として、上記指向性の高い成膜手法を用いるとプロセスが単純化されるので、本実施形態では最も単純化された手法を例として示す。指向性が高くない成膜手法を用いても、追加のプロセスを用いることで本実施形態と同様の機能を持つような素子に帰着させる製造手法が可能であることは、当業者であれば容易に類推可能であろう。続いて第一極性(例えばn型)のペルチエ電極64を指向性の高い成膜手法を用い膜厚30nm形成する。その後、第二極性(例えばp型)のペルチエ電極66を指向性の高い成膜手法を用い厚20nm形成する。
次に、図56(a)、56(b)に示すように、ペルチエ電極66およびペルチエ電極64をエッチングして底面が絶縁膜62に達する開口67を形成する。続いて、開口67の底面および側面を覆うように熱伝導/電気絶縁膜68を形成する(図57(a)、57(b)参照)。このとき、開口67の外のペルチエ電極66の表面にも熱伝導/電気絶縁膜68が形成される。
次に、指向性の高い成膜手法を用い開口67の底面の熱伝導/電気絶縁膜68を覆うように、スイッチング部の第1電極膜70を形成する(図58(a)、58(b)参照)。このとき、開口67の外のペルチエ電極66の表面に形成されている熱伝導/電気絶縁膜68上にも第1電極膜70が形成される。続いて、指向性の高い成膜手法を用い開口67の底面の第1電極膜70を覆うように、スイッチング部となる膜72を形成する(図59(a)、59(b)参照)。このとき、開口67の外の第1電極膜70上にも膜72が形成される。
次に、開口67の底面の膜72上に、指向性の高い成膜手法を用いスイッチング部の第2電極膜74を形成する(図60(a)、60(b)参照)。このとき、開口67の外の膜72上にも第2電極膜74が形成される。図60(a)、60(b)においては第2電極膜74の成膜において指向性の高い成膜手法を用いた例を示したが、指向性の高い成膜手法以外を用いても追加のプロセスは必要ない。続いて、CMPなどによって平坦化し、ペルチエ電極66の表面を露出させる(図61(a)、61(b)、61(c)参照)。
次に、基板全面に層間絶縁膜(保護膜)78を成膜後、ペルチエ電極64、ペルチエ電極66、スイッチング部72への第1電極膜70、スイッチング部72への第2電極膜74への開口を形成後、層間絶縁膜781を成膜し、上記開口を埋め戻す(図62(a)、62(b)、62(c)参照)。続いて、
次に、第1電極膜70、第2電極膜74、ペルチエ電極66、およびペルチエ電極64に通じる開口を層間絶縁膜781内に形成し、これらの開口をメタルで埋め込むことによりコンタクト80a、80b、82a、82bを形成し、スイッチング素子を完成する(図63(a)、63(b)、63(c)参照)。
なお、各構成要素の材料として、本実施形態で述べた以外にも変形例9ないし変形例26で述べた材料を用いることも可能である。
(第7実施形態)
次に、本発明の第6実施形態による集積回路の製造方法を説明する。本実施形態の製造方法によって製造される集積回路は、発振回路を備えている。以下の工程は発振回路の製造工程を示す。
まず、図64(a)、64(b)に示すように、基板86上に素子分離領域88を形成後、例えば、(V0.9905Cr0.0095からなる電気的スイッチング材料膜90を形成する。その後、基板全面に層間絶縁膜92を形成し、電気的スイッチング材料膜90に通じる開口を層間絶縁膜92に形成し、これらの開口をメタルで埋め込むことにより、コンタクト94a、94bを形成し、発振回路を完成する(図65(a)、65(b)参照)。電気的スイッチ材料としては、本実施形態で述べた以外にも変形例9ないし変形例26で述べた材料を用いることも可能である。
(第8実施形態)
次に、本発明の第8実施形態による集積回路を説明する。本実施形態の集積回路は、スイッチング部を有し、このスイッチング部に圧力を印加することにより、スイッチングさせる構成となっている。本実施形態の集積回路を図66に示す。
図9からわかるように、例えば(V0.991Cr0.009なる組成のスイッチング部に圧力を加えることでスイッチングすることが分かる。本実施形態の集積回路は、この特性を利用したものである。
本実施形態の集積回路は、例えば(V0.991Cr0.009なる組成のスイッチング部101を有している。スイッチング部101の下方に圧電素子110が設けられている。この圧電素子110は、例えばAlNまたはPZTからなる圧電体112と、この圧電体112を挟むように設けられた下部電極111および上部電極113とを備えている。下部電極111、上部電極113は例えばRuOからなるコンタクト115a、115bを介して外部と電気的に接続される。コンタクト115a、115bを介して下部電極111、上部電極113に電圧を印加すると、圧電素子110は変形し、圧力を発生する。
圧電素子110とスイッチング部110との間には、例えばc−BNまたはAlNからなる固い絶縁膜120が設けられている。この絶縁膜120は圧電素子110からスイッチング部110に向かうにつれて断面積が縮小するコーン形状となっており、絶縁膜120の上面はスイッチング部110の下面と接触し実質的に同じ面積を有している。
スイッチング部101の側面に接するように電極103a、103bが設けられている。電極103a、103bはコンタクト105a、105bを介して外部と電気的に接続される。電極103aおよび103bと絶縁膜120との間には、柔らかい材料、例えば素子を動作させる温度付近に構造相転移温度があるような組成のBSTOなどからなる絶縁膜122が形成されている。上記全ての構成要素は絶縁膜120と同様に、例えばc−BNまたはAlNからなる固い絶縁膜130によって覆われている。
このように、本実施形態の集積回路においては、スイッチング部101に対して圧電素子110で圧力を加えることができる。
圧電体に発生する最大圧力は0.035GPa程度しかないため、図66に示したように、絶縁膜120には硬い物質からなるコーン形状を用い、コーンの先端部分において0.3GPa程度の圧力を発生させる。コーン先端とコーン底面の面積比はマージンを見て20倍程度必要である。コーン以外の部分の絶縁膜122としては例えば20℃以上28℃以下の温度変動がある第1温度環境でソフト化された状態にあるような組成のBSTOなどを用いることで、これらによって散逸される応力を極力抑制するようにする。例えばPZTを圧電体112として用いた場合、圧電体のe33係数は10C/m程度であるから、PZTにおいて0.03GPaの圧力が発生させ、スイッチング部101すなわち(V0.991Cr0.009膜おいて0.3GPaの圧力を発生させるために必要な電圧は0.04Vと計算される。
このような素子を第1温度環境にて用いる場合、例えば(V1―xCr(ただし0.0072≦x≦0.0086)なる組成範囲であれば良い(図73)。1℃以上60℃以下の温度変動がある第2温度環境、20℃未満のある温度から±4℃の温度変動がある第3温度環境、28℃を超えるある温度から±4℃の温度変動がある第4温度環境、温度Tの時間平均値が173K≦T≦403Kの範囲の一定値でかつ温度T(K)の時間変動が±30Kである第5温度環境における組成範囲も同様に図73などを用いて必要な組成範囲を導出することが可能である。電気抵抗の温度変化が生じる物質は、例えばモット転移、CDW転移、超伝導転移など各種機構が考えられるが、いずれも圧力変化によっても電気抵抗の大幅な変化があるため、本実施形態にて用いることが可能である。
また本実施形態にて圧力変動値ΔPとして0.3GPaを例示したが、図73あるいは各種物質の圧力変動による電気抵抗変化値より、適切な値を用いることが可能である。下限は圧力変化によるヒステリシス幅であり、V系の物質の場合には0.3GPa程度である。上限は存在しないが、スイッチング部に高い圧力を加えるためには、コーンの大きさも大きくなる。したがって圧力変動の下限値の付近で用いることが好ましい。
なお、第1乃至第7実施形態及びそれらの変形例のいずれかの集積回路に対して、本実施形態のように圧電素子で応力を加えるような構造を採用した場合、温度変化によるスイッチング動作の設定温度を圧電体に加える電圧でシフトさせることが可能となる。この構造を採用すると、スイッチング部の組成を変化させないでも、小さい温度範囲であればスイッチング動作温度をシフトさせられる利点がある。例えば温度差の大きいような屋外で利用することができるような利点がある。第1乃至第7実施形態及びそれらの変形例のいずれかの集積回路に対して、圧電機構によって応力を加えるような構造は本実施形態以外にも各種考えられるが、それら構造に必須な構成要素として、圧電機構、圧電機構に接する面積よりスイッチング部に接する面積の方が小さいような応力増大機構、スイッチング部分に加わる応力を逃がさないような密閉構造(導線部は除く)、圧電機構およびスイッチング部分への導線、といった構成要素を全て持つことが共通項として挙げられる。
また、第1乃至第7実施形態及びそれらの変形例のいずれかの集積回路に対して、例えば図67に示すように、コーン形状の例えばc−BNまたはAlNからなる固い絶縁膜120a、120bによってスイッチング部101を挟み、絶縁膜120a、120bを例えばステンレスのような固い金属板140a、140bでクランプし、ネジ150a、150bによって応力を加えるような構造も可能である。ネジ150a、150bの回転は手動でも電動でもかまわない。このような構造を採用した場合、例えば温暖な土地向けに設定した集積回路を、寒冷な土地で利用する際に、ネジを回すことで応力変化させるだけで動作設定温度をシフトさせることが可能となる。
以上述べたように、本発明の各実施形態によれば、動作速度が速くかつ集積化が可能な新しい構造の不揮発性スイッチング素子およびこの不揮発性スイッチング素子を有する集積回路を提供することができる。
なお、上記各実施形態において、20℃以上28℃以下の温度変動がある第1温度環境から±80℃の温度変化によって10倍以上の電気伝導度変化が生じるスイッチング部6の材料として、例えば(V1−xCr(0.0093≦x≦0.0150)、Ba0.999−xSrCe0.001TiO(0.3≦x≦0.4)、CuIr、WO3.0、BaCo0.9Ni0.12−x(x=0.15)のいずれかを用いてもよい。
このとき、±80℃の温度変化の範囲で金属的な状態を有している、スイッチング部6の電極6a、6bの材料として、例えば上記モット絶縁体の上記温度において金属的状態となる組成の(V1−x―yCrTi(0.0097≦x≦0.0140、0.04≦y≦0.06)など、上記CDW絶縁体の上記温度において金属的状態となる組成のCuIr(S1−xSe(ただし0<x≦1)など、酸化物金属のBaTiNbO、RuO,SrRuO、ReOなど、合金系のTiN、ZrN、HfNなど、単体金属のAl、Cu、Ru、Ir、Ptなどのいずれかを用いてもよい。
また同様に、20℃以上28℃以下の温度変動がある第1温度環境より±80℃の温度変化があるような温度範囲で金属的な状態である、ペルチエ素子13のコンタクトの材料として、例えば上記モット絶縁体の上記温度において金属的状態となる組成の(V1−x―yCrTi(0.0097≦x≦0.0140、0.04≦y≦0.06)、CuIr(S1−xSe(ただし0<x≦1)など、上記CDW絶縁体の上記温度において金属的状態となる組成の1T−TaSなど、酸化物金属のBaTiNbO、RuO,SrRuO、ReOなど、合金系のTiN、ZrN、HfNなど、単体金属のAl、Cu、Ru、Ir、Ptなどのいずれかを用いてもよい。
また、上記各実施形態において、室温における温度変化によって10倍以上の電気伝導度変化が生じるスイッチング部6の材料として、温度的なヒステリシスを持つ材料、例えばモット絶縁体の(V1−xCr(0.0097≦x≦0.0140)等、粒界の表面バンドを変調させるBa0.999−xSrCe0.001TiO(0.3≦x≦0.4)などのいずれかを用いてもよい。
また、上記実施形態において、平均動作温度(セルのスイッチ状態の変化が無い時間帯のみの時間平均された温度)が20℃未満のある温度から±4℃の温度変動がある第3温度環境に設定され、上記平均動作温度に対応して適切に設定されたスイッチングのための温度変化幅によって10倍以上の電気伝導度変化が生じるスイッチング部6の材料として、例えば(V1−xCr(0≦x≦0.018)、(V1−xTi(0≦x≦0.052)、Ni(S1−xSe(0.26≦x≦0.275)、CuIr(S1−xSe(0≦x≦0.1)、Ti、Fe、EuO1−x(0.0005≦x≦0.004)、WO3.0、BaCo0.9Ni0.12−x(0.05≦x≦0.20)、Ba0.999−xSrCe0.001TiO(0.3≦x≦0.4)、BEDT−TTF系、(TMTSF)X系(XはPF 、ClO などの一価アニオン)、TTF−TCNQ系、(DMe−DCNQI)Cu系、銅酸化物超伝導体のBi系、Tl系、YBCO系、LSCO系、NdCe系など、合金系超伝導体のMgB、NbSn、NbAl、有機物超伝導体のA60(AはLi,Na,K,Rb,Csから1種類以上)、単体超伝導体のPb、Nbなどのいずれかを用いてもよい。
また、上記実施形態において、平均動作温度が28℃を超えるある温度から±4℃の温度変動がある第4温度環境に設定され、上記平均動作温度に対応して適切に設定されたスイッチングのための温度変化幅によって10倍以上の電気伝導度変化が生じるスイッチング部6の材料として、例えば(V1−xCr(0.0048≦x<0.097)、Ba0.999−xSrCe0.001TiO(x=0または0.3≦x≦0.4)のいずれかを用いても良い。
平均動作温度を20℃未満のある温度から±4℃の温度変動がある第3温度環境または第4温度環境に設定する場合、スイッチング部6の電極6a、6bは、(設定動作温度±(スイッチング温度幅÷2))の範囲で金属的な状態である材料が用いられる。この材料としては、例えば上記モット絶縁体の上記温度において金属的状態となる組成の(V1−x―yCrTi(0.0097≦x≦0.0140、0.04≦y≦0.06)、NiSeなど、上記CDW絶縁体の上記温度において金属的状態となる組成の1T−TaS、CuIrなど、酸化物金属のBaTiNbO、RuO、SrRuO、ReOなど、合金系のTiN、ZrN、HfNなど、単体金属のAl、Cu、Ru、Ir、Ptなど、有機物伝導体、超伝導体などのいずかが用いられる。
また、上記実施形態において、20℃以上28℃以下の温度変動がある第1温度環境では低抵抗状態であるが、+80℃の温度変化によって10倍以上の電気抵抗率変化が生じ高抵抗状態となるスイッチング部の材料として、例えば(V1−xCr(0.0093≦x<0.0097の範囲)、Ba1−x,SrTiO(x=0.3)などのいずれかを用いてもよい。
第1温度環境では低抵抗状態で−80℃の温度変化によって10倍以上の電気抵抗率変化が生じ高抵抗状態となるスイッチング部の材料として、例えばCuIrなどを用いてもよい。
また、第1温度環境で高抵抗状態であるが、−80℃の温度変化によって10倍以上の電気抵抗率変化が生じ低抵抗状態となるスイッチング部の材料として、例えば(V1−xCr(0.0140<x≦0.0150)、WO3.0、BaCo0.9Ni0.12−x(x=0.15)などのいずれかを用いてもよい。
上記全ての実施形態において、スイッチング部の材料として、現時点まで知られている物質の中では(V1−xCr(0.0110≦x≦0.0119)を用いることが最も望ましい。将来室温付近における温度変化によって電気抵抗の変化が生じ、しかも体積変化による素子内応力が小さい物質が発見された場合、それをスイッチング材料として用いることが最も望まれる。10℃程度の温度変化による電気抵抗変化が6桁以上あればロジック回路を直接構成することが可能であり、温度変化による電気抵抗変化が6桁に満たなくても温度ヒステリシスが20℃程度あれば不揮発メモリなどとして用いることが可能である。
本発明の第1実施形態に係るスイッチング素子を示す図。 第1実施形態に係るスイッチング素子の製造工程を示す図。 第1実施形態に係るスイッチング素子の製造工程を示す図。 第1実施形態に係るスイッチング素子の製造工程を示す図。 第1実施形態に係るスイッチング素子の製造工程を示す図。 第1実施形態に係るスイッチング素子の製造工程を示す図。 第1実施形態に係るスイッチング素子の製造工程を示す図。 第1実施形態に係るスイッチング素子の製造工程を示す図。 (V1−xCrの抵抗率の温度変化を示す図。 (V0.99Cr0.01の温度変化に対する抵抗率のヒステリシスを示す図。 第1実施形態の集積回路をメモリとして用いた場合の書き込み時のセル間の干渉を防止するための一例を示す図。 (V1−x−yCrTiの相図。 本発明の第2実施形態に係るスイッチング素子を示す図。 (V1−xCrの組成xに対応する相図。 Ni(S1−xSeの抵抗率の温度変化を示す図。 NiSの相図。 Tiの抵抗率の温度変化を示す図。 Feの抵抗率の温度変化を示す図。 EuO1−xの電気伝導率の温度変化を示す図。 1T−Ta(S1−xSeの抵抗率の温度変化を示す図。 1T−Ta1−xTiSeの抵抗率の温度変化を示す図。 WO3。0の抵抗率の温度変化を示す図。 CuIr(S1−xSeの抵抗率の温度変化を示す図。 BaCo0.9Ni0.12−xの抵抗率の温度変化を示す図。 2n−1およびVOおよびV2n+1の電気伝導率の温度変化を示す図。 Ba1−xMeTiOの抵抗率の温度変化を示す図。 Ba0.999−xSrCe0.001TiOの抵抗率の温度変化を示す図。 本発明の第3実施形態による集積回路の製造工程を示す図。 本発明の第3実施形態による集積回路の製造工程を示す図。 本発明の第3実施形態による集積回路の製造工程を示す図。 本発明の第3実施形態による集積回路の製造工程を示す図。 本発明の第3実施形態による集積回路の製造工程を示す図。 本発明の第3実施形態による集積回路の製造工程を示す図。 本発明の第3実施形態による集積回路の製造工程を示す図。 本発明の第3実施形態による集積回路の製造工程を示す図。 本発明の第4実施形態による集積回路の製造工程を示す図。 本発明の第4実施形態による集積回路の製造工程を示す図。 本発明の第4実施形態による集積回路の製造工程を示す図。 本発明の第4実施形態による集積回路の製造工程を示す図。 本発明の第4実施形態による集積回路の製造工程を示す図。 本発明の第4実施形態による集積回路の製造工程を示す図。 本発明の第4実施形態による集積回路の製造工程を示す図。 本発明の第4実施形態による集積回路の製造工程を示す図。 本発明の第4実施形態による集積回路の製造工程を示す図。 本発明の第4実施形態による集積回路の製造工程を示す図。 本発明の第4実施形態による集積回路の製造工程を示す図。 本発明の第4実施形態による集積回路の製造工程を示す図。 本発明の第4実施形態による集積回路の製造工程を示す図。 本発明の第5実施形態による集積回路の製造工程を示す図。 本発明の第5実施形態による集積回路の製造工程を示す図。 本発明の第5実施形態による集積回路の製造工程を示す図。 本発明の第5実施形態による集積回路の製造工程を示す図。 本発明の第5実施形態による集積回路の製造工程を示す図。 本発明の第6実施形態による集積回路の製造工程を示す図。 本発明の第6実施形態による集積回路の製造工程を示す図。 本発明の第6実施形態による集積回路の製造工程を示す図。 本発明の第6実施形態による集積回路の製造工程を示す図。 本発明の第6実施形態による集積回路の製造工程を示す図。 本発明の第6実施形態による集積回路の製造工程を示す図。 本発明の第6実施形態による集積回路の製造工程を示す図。 本発明の第6実施形態による集積回路の製造工程を示す図。 本発明の第6実施形態による集積回路の製造工程を示す図。 本発明の第6実施形態による集積回路の製造工程を示す図。 本発明の第7実施形態による集積回路の製造工程を示す図。 本発明の第7実施形態による集積回路の製造工程を示す図。 本発明の第8実施形態による集積回路を示す図。 スイッチング部に圧力を加える機構の一例を示す図。 (V1−xCrの組成xに対応する相図。 (V1−xCrの組成xに対応する相図。 (V1−xCrの組成xに対応する相図。 (V1−xCrの組成xに対応する相図。 (V1−xCrの組成xに対応する相図。 (V1−xCrの組成xに対応する相図。
符号の説明
1 スイッチング素子
2 基板
4 素子分離領域
5 素子領域
6 スイッチング部
6a 電極
8 熱伝達/電気絶縁膜
10 ペルチエ電極
12 ペルチエ電極
13 ペルチエ素子
16 層間絶縁膜
17a、17b コンタクト
19a、19b コンタクト

Claims (20)

  1. 基板上に設けられ、所定温度から±80Kの範囲内の温度変化によって電気抵抗率が10倍以上の変化を生じる材料のスイッチング膜を有するスイッチング部と、前記スイッチング部に前記温度変化を生じさせる機能を有するペルチエ素子と、前記スイッチング部と前記ペルチエ素子との間に設けられ前記ペルチエ素子からの熱を伝達する電気絶縁体の膜を有する熱伝達/電気絶縁膜と、前記スイッチング部に接続される1対の電極と、を備えていることを特徴とする不揮発性スイッチング素子。
  2. 前記スイッチング膜は、(V1−xCr(0.0097≦x≦0.0140)、(Ba0.999−xSr)Ce0.001TiO(0.3≦x≦0.4)の群から選択された1つの材料を含むことを特徴とする請求項1記載の不揮発性スイッチング素子。
  3. 前記スイッチング膜は、(V1−xCr(0.0110≦x≦0.0119)、(Ba0.999−xSr)Ce0.001TiO(0.3≦x≦0.4)の群から選択された1つの材料を含むことを特徴とする請求項1記載の不揮発性スイッチング素子。
  4. 前記スイッチング膜は、(V1−xCr(0≦x≦0.018)、(V1−xTi(0≦x≦0.052)、Ni(S1−xSe(0.26≦x≦0.275)、NiS、CuIr(S1−xSe(0≦x≦0.1)、Ti、Fe、EuO1−x(0.0005≦x≦0.004)、WO3.0、BaCo0.9Ni0.12−x(0.05≦x≦0.20)、Ba0.999−xSrCe0.001TiO(0.3≦x≦0.4)の群から選択された1つの材料を含むことを特徴とする請求項1記載の不揮発性スイッチング素子。
  5. 前記スイッチング膜は、(V1−xCr(0.0048≦x<0.0097)、Ba0.999−xSrCe0.001TiO(x=0または0.3≦x≦0.4)の群から選択された1つの材料を含むことを特徴とする請求項1記載の不揮発性スイッチング素子。
  6. 前記スイッチング膜は、(V1−xCr(ただし−0.00007222×T+0.03344−0.0004≦x≦−0.00007222×T+0.03344+0.0004)(ただしTは絶対温度)なる組成の材料を含むことを特徴とする請求項1記載の不揮発性スイッチング素子。
  7. 前記スイッチング素子はノーマリオン素子であり、前記スイッチング膜は(V1−xCr(0.0093≦x<0.0097)を含むことを特徴とする請求項1記載の不揮発性スイッチング素子。
  8. 前記スイッチング素子はノーマリオフ素子であり、前記スイッチング膜は(V1−xCr(0.0140≦x≦0.0150)、CuIr(S1−xSe(0.0≦x≦0.05)、WO3.0の群から選択された1つの材料を含むことを特徴とする請求項1記載の不揮発性スイッチング素子。
  9. 前記スイッチング膜の材料は温度的なヒステリシスを有することを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の不揮発性スイッチング素子。
  10. 前記スイッチング膜は前記所定温度における電気抵抗率が、前記所定温度から80K低い温度における電気抵抗率よりも10倍以上低いか、または前記所定温度から80K高い温度における電気抵抗率よりも10倍以上高いことを特徴する請求項1乃至9のいずれかに記載の不揮発性スイッチング素子。
  11. 前記スイッチング部上を覆うように前記熱伝導/電気絶縁膜が設けられ、前記スイッチング部の直上の、前記熱伝導/電気絶縁膜上の領域に前記ペルチエ素子が設けられ、前記スイッチング部の両側面に前記1対の電極が設けられていることを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の不揮発性スイッチング素子。
  12. 前記基板と前記スイッチング部との間に設けられた熱伝導率が2.0(W/mK)より低い材料を含む第1絶縁体と、前記ペルチエ素子の側面および上面を覆う熱伝導率が2.0(W/mK)より低い材料を含む第2絶縁体と、の少なくとも一方を備えていることを特徴とする請求項11記載の不揮発性スイッチング素子。
  13. 前記熱伝導/電気絶縁膜は、前記ペルチエ素子の下面、側面、および上面を覆うように設けられ、前記スイッチング部は前記熱伝導/電気絶縁膜を覆うように設けられていることを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の不揮発性スイッチング素子。
  14. 前記熱伝導/電気絶縁膜は前記スイッチング部の下面および側面を覆うように設けられ、前記ペルチエ素子は前記スイッチング部の側面に前記熱伝導/電気絶縁膜を挟むように設けられていることを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の不揮発性スイッチング素子。
  15. マトリクス状に配置された複数のセルを備え、各セルが請求項1乃至14のいずれかに記載の不揮発性スイッチング素子を有していることを特徴とする集積回路。
  16. 前記セルは、前記1対の電極にそれぞれ接続される1対の第1接続電極と、前記ペルチエ素子に電流を流すための1対の第2接続電極とを有し、前記スイッチング素子が記憶素子として動作するメモリセルであり、少なくとも1つのセルの記憶素子のペルチエ素子に前記第2接続電極を介して電力を与えてスイッチング部の電気抵抗率を変えることにより前記セルに書き込みを行い、前記スイッチング部に前記第1接続電極を介して電流を流すことにより前記セルから読み出しを行うことを特徴とする請求項15記載の集積回路。
  17. 少なくとも1つのセルに書き込みを行う場合に、前記書き込みを行うセルのペルチエ素子の温度変化と逆の温度変化を与える電力を、前記書き込みを行うセルに隣接するセルのペルチエ素子に与える機構を備えていることを特徴とする請求項16記載の集積回路。
  18. 各セルのスイッチング部を前記所定温度にするために各セルのペルチエ素子にバイアス電力を与えることを特徴とする請求項16または17記載の集積回路。
  19. 書き込みが行われるセルに対しては、前記所定温度に戻すためのバイアス電力は、前記書き込みが行われるセルの書き込みのための電力に重畳されることを特徴とする請求項18記載の集積回路。
  20. 基板上に所定温度から±80Kの範囲内の温度変化によって電気抵抗率が10倍以上の変化を生じる材料からなるスイッチング膜を形成する工程と、
    前記スイッチング膜上に熱を伝達し電気絶縁体からなる熱伝達/電気絶縁膜を形成する工程と、
    前記スイッチング膜とオーバラップするように前記熱伝達/電気絶縁膜上に第1導電型の第1ペルチエ電極膜を形成する工程と、
    前記スイッチング膜とオーバラップするように前記第1ペルチエ電極膜上に第2導電型の第2ペルチエ電極膜を形成する工程と、
    前記第2ペルチエ電極膜および前記第1ペルチエ電極膜をパターニングし、パターニングされた第1および第2ペルチエ電極膜を有するペルチエ素子を形成する工程と、
    前記ペルチエ素子の両側の前記スイッチング膜にイオン注入することにより、前記ペルチエ素子直下のイオン注入されない前記スイッチング膜の領域をスイッチング部とする工程と、
    熱処理することにより前記イオン注入された前記スイッチング膜の領域を合金化して前記スイッチング部の電極を形成する工程と、
    を備えていることを特徴とする不揮発性スイッチング素子の製造方法。
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