JP2007177941A - ラックアンドピニオン式ステアリング装置 - Google Patents
ラックアンドピニオン式ステアリング装置 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2007177941A JP2007177941A JP2005378721A JP2005378721A JP2007177941A JP 2007177941 A JP2007177941 A JP 2007177941A JP 2005378721 A JP2005378721 A JP 2005378721A JP 2005378721 A JP2005378721 A JP 2005378721A JP 2007177941 A JP2007177941 A JP 2007177941A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- pinion
- bearing
- rack
- hardened layer
- connection
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Landscapes
- Transmission Devices (AREA)
Abstract
【解決手段】ピニオン軸2を、C含有率が0.40〜1.2質量%の鋼からなる素材を所定形状に加工した後、軸受部22,23、ピニオン部21、接続段差部25,26、ユニバーサルジョイントとの連結部24に高周波焼入れ及び焼戻しを施して作製する。そして、軌道面22aとなる軸受部22の表層部の硬さをHv700以上、ピニオン部21、嵌合面23aとなる軸受部23、接続段差部25,26、連結部24の表層部の硬さをHv650以上とし、軌道面22aとなる軸受部22のt1/r1を0.30〜1.00、嵌合面23aとなる軸受部23のt2/r2を0.10〜0.7、ピニオン部21のt3/r3を0.10〜0.70、接続段差部25,26のt4・Rを0.1〜6、連結部24のt5を0.5〜3.0mmとする。
【選択図】図1
Description
このラックアンドピニオン式ステアリング装置では、比較的重量が重い車両で用いられると、ピニオンとラックの歯部との間で大きな力が伝達されるため、ピニオン及びラックの歯部に作用する曲げ応力や面圧が大きくなるという問題がある。
そこで、本発明は、優れた耐久寿命を有するラックアンドピニオン式ステアリング装置を低コストで提供することを課題としている。
本発明によれば、ピニオン軸の耐久特性が要求される部位(転がり面又は嵌合面となる軸受部、ピニオン部、軸受部とピニオン部との接続段差部、ユニバーサルジョイントとの連結部)に高周波焼入れ及び焼戻しを施して、その表層部の硬さや有効硬化層深さを特定したことにより、特許文献1に記載のように、全体に焼入れ処理を施してピニオン軸を作製する場合と比べて、熱処理に供する部分が少なくなるため、熱処理変形が生じ難くなる。よって、熱処理後に変形の矯正を行う必要がなくなり、且つ、熱処理に要する時間を短縮できるため、優れた耐久特性を有するピニオン軸を低コストで得ることができる。
<素材をなす鋼中のC含有率:0.40〜1.2質量%>
鋼中のCは、高周波焼入れにより表層部の硬さを増加させたり、ピニオン軸に必要な耐久特性(耐曲げ応力性や耐面圧性)を付与する作用を有する。この作用を得るために、鋼中のC含有率は0.40質量%以上とする。一方、ピニオン軸において、良好な切削加工性を付与するとともに、高周波焼入れ時に焼割れを生じ難くするために、鋼中のC含有率は1.2質量%以下とする。
ピニオン軸において転がり面となる軸受部には、優れた面疲労強度が要求されるため、表層部の硬さを高くし、有効硬化層深さを深くする必要がある。よって、転がり面となる軸受部では、表層部の硬さをHv700以上とするとともに、有効硬化層深さt1と当該軸受部の半径r1との比(t1/r1)を0.30以上とする。一方、t1/r1が大きくなり過ぎると、得られる面疲労強度が飽和するとともに、熱変形量が大きくなるため、t1/r1は1.00以下とする。
ピニオン軸において嵌合面となる軸受部には、優れた耐摩耗性が要求される。よって、嵌合面となる軸受部では、表層部の硬さをHv650以上とするとともに、有効硬化層深さt2と当該軸受部の半径r2との比(t2/r2)を0.10以上とする。一方、t2/r2が大きくなり過ぎると、得られる耐摩耗性が飽和するとともに、熱変形量が大きくなるため、t2/r2は0.7以下とする。
ピニオン軸においてピニオン部には、その歯面に摩耗が発生したり、疲れ破損が生じてピッチングやスポーリングが発生する場合や、ピニオン部の歯底に生じる曲げ応力によって、破損が発生する場合がある。よって、ピニオン部では、表層部の硬さをHv650以上とするとともに、有効硬化層深さt3とピニオン部の半径r3との比(t3/r3)を0.10以上とする。一方、t3/r3が大きくなり過ぎると、得られる耐摩耗性や耐曲げ応力が飽和するとともに、熱変形量が大きくなるため、t3/r3は0.70以下とする。
ピニオン部の軸方向端面と接続するピニオン軸の外径寸法は、ピニオン部の歯形加工時にホブカッターと干渉しないようにするために、ピニオン部の外径寸法よりも小さくするか、或いは、ピニオン部の外径寸法と同一にする。ここで、ピニオン部の軸方向端面と接続するピニオン軸の外径寸法を、ピニオン部の外径寸法よりも小さくした場合には、ピニオン部の軸方向端面とピニオン軸との間に接続段差部が形成される。ピニオン軸において接続段差部には、その曲率半径Rが小さくなる程、大きな曲げ応力が発生するため、優れたねじり強度が要求される。よって、ピニオン部の軸方向端面とピニオン軸との間に形成される接続段差部では、表層部の硬さをHv650以上とし、有効硬化層深さt4と当該接続段差部の曲率半径Rとの積(t4・R)を0.1以上とする。一方、t4・Rが大きくなり過ぎると、得られるねじり強度が飽和するとともに、熱変形量が大きくなるため、t4・Rは6以下とする。
ピニオン軸においてユニバーサルジョイントとの連結部は、摩耗が生じ易いため、有効硬化層深さt5を0.5mm以上とする。一方、t5が大きくなりすぎると、得られる耐摩耗性が飽和するとともに、熱変形量が大きくなるため、t5は3mm以下とする。
なお、本発明において有効硬化層深さとは、表面から、所定の硬さ(例えば、Hv450)を有する部分までの深さを指す。
図1は、本発明に係るラックアンドピニオン式ステアリング装置の一例として、ラックアンドピニオン式電動パワーステアリング装置を示す縦断面図である。図2は、図1のピニオン軸において、ピニオン部の軸方向端面と軸受部との間に形成される接続段差部を示す一部拡大断面図である。図3は、図1のA矢視図である。
ピニオン軸2の軸方向一端側 (図1における左側)には、ピニオン2aを有するピニオン部21が備えられ、このピニオン部21の軸方向両端部には、ニードル軸受及び玉軸受6が配置される軸受部22,23が備えられている。
軸受部23に配置された玉軸受6は、内輪61と、外輪62と、玉63と、からなる。玉軸受6の内輪61は、軸受部23の外周面(嵌合面)23aに嵌合され、軸受部23の外周面23aに装着してかしめられたリング7とピニオン部21の軸方向端面との間で固定されている。玉軸受6の外輪62は、ハウジング3に形成された軸受孔32の内周面に嵌合され、軸受孔32の開口側の雄ねじに螺合されたリングナット33で押圧された状態で固定されている。
ラック1は、その歯部11がラックガイド4によってピニオン部21に押し付けられている。ラックガイド4は、ニードル軸受41によってピン42に回転可能に支持されたローラ43と、ピン42をラックガイド4内に保持する円筒状のホルダ44と、皿バネ45を介してローラ43をラック1の背面に押し付けるアジャストカバー46と、を備えている。このラックガイドにより、ピニオン部21とラック1の歯部11との噛み合い部でのバックラッシュを無くし、ラック1を円滑に移動可能としている。
まず、表1に示す各C含有率の鋼からなる素材を用いて、ピニオン部21と、軸受部22,23と、ピニオン部21と軸受部22,23との間に形成される接続段差部25,26と、ユニバーサルジョイントとの連結部24と、を備えたピニオン軸2の形状に切削加工した。
このようにして得られたピニオン軸2の破壊検査用サンプルを用いて、高周波焼入れを施した特定部位21〜26の各表層部(表面から深さ50μmまでの部分)の硬さと、有効硬化層深さ(表面から硬さHv450までの深さ)とを測定した。
なお、表層部の硬さは、JIS Z 2241に規定されたビッカース硬さ試験法を用いて測定した。この結果を、表1に併せて示した。
なお、得られたラック1は、いずれも表層部の硬さがHv700で、有効硬化層深さが約0.7mmであった。
この耐久試験は、車輪側からの入力負荷が50N・mで、周波数が0.1〜0.2Hzの条件下において、ステアリングホイールを一定回転角度で往復回転させることで行った。そして、ラック1又はピニオン軸2に破壊が生じるまでの回転数を測定し、従来品であるSCr420からなる素材を用いて、全体に浸炭処理を施して作製したピニオン軸2のピニオン部21での歯先が、ピッチングによって破壊するまでの回転数を1とした時の比を算出して、表1に併せて示した。
「A」:ピニオン部21の歯面にピッチングが生じていたもの
「B」:軌道面22aとなる軸受部22にフレーキングが生じていたもの
「C」:嵌合面23aとなる軸受部23に変形が生じていたもの
「D」:嵌合面23aとなる軸受部23に摩耗が生じていたもの
「E」:ピニオン部21の歯面にスポーリングが生じていたもの
「F」:接続段差部25に焼割れが生じていたもの
「G」:接続段差部25に疲労割れが生じていたもの
「H」:接続段差部26に焼割れが生じていたもの
「I」:接続段差部26に疲労割れが生じていたもの
「J」:連結部24に摩耗が生じていたもの
また、No.1〜No.12のラックアンドピニオン式電動パワーステアリング装置では、ピニオン軸2の熱処理時に変形や焼割れが生じていなかった。
例えば、図4に示すように、ピニオン部21の軸方向端部と接続するピニオン軸2の軸受部27,28のうち、一方の軸受部27の外径寸法D5をピニオン部21の外径寸法D3よりも小径とし、他方の軸受部28の外径寸法D6をピニオン部21の外径寸法D3と同一寸法としてもよい。
11 歯部
2 ピニオン軸
21 ピニオン部
22 軌道面(転がり面)となる軸受部
23,27,28 嵌合面となる軸受部
25,26,29 接続段差部
24 ユニバーサルジョイントとの連結部
3 ハウジング
4 ラックガイド
6,8 玉軸受
Claims (1)
- ステアリング軸と、このステアリング軸にユニバーサルジョイントを介して連結されるピニオン軸と、このピニオン軸に設けられたピニオンと噛み合う歯部を有し、車輪に連結されるラックと、前記ピニオン軸を回転自在に支持する軸受と、を備え、前記ステアリング軸の操舵力を、前記ピニオン及び前記ラックを介して、前記車輪に伝達するようになっているラックアンドピニオン式ステアリング装置において、
前記ピニオン軸は、C含有率が0.40質量%以上1.2質量%以下の鋼からなる素材を、前記軸受で支持される軸受部と、前記ピニオンが形成されるピニオン部と、前記軸受部と前記ピニオン部との間に形成される接続段差部と、前記ユニバーサルジョイントと連結される連結部と、を備えた所定形状に加工した後、転がり面又は嵌合面となる前記軸受部と、前記ピニオン部と、前記接続段差部と、前記連結部とに高周波焼入れ及び焼戻しが施されて得られ、
前記転がり面となる軸受部の表層部の硬さはHv700以上で、前記嵌合面となる軸受部、前記ピニオン部、前記接続段差部、及び前記連結部の表層部の硬さはHv650以上であるとともに、
前記転がり面となる軸受部の有効硬化層深さt1と当該軸受部の半径r1との比(t1/r1)は0.30以上1.00以下で、前記嵌合面となる軸受部の有効硬化層深さt2と当該軸受部の半径r2との比(t2/r2)は0.10以上0.7以下で、前記ピニオン部の有効硬化層深さt3と当該ピニオン部の半径r3との比(t3/r3)は0.10以上0.70以下で、前記接続段差部の有効硬化層深さt4と当該接続段差部の曲率半径Rとの積(t4・R)は0.1以上6以下で、前記連結部の有効硬化層深さt5は0.5mm以上3.0mm以下であることを特徴とするラックアンドピニオン式ステアリング装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005378721A JP2007177941A (ja) | 2005-12-28 | 2005-12-28 | ラックアンドピニオン式ステアリング装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005378721A JP2007177941A (ja) | 2005-12-28 | 2005-12-28 | ラックアンドピニオン式ステアリング装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2007177941A true JP2007177941A (ja) | 2007-07-12 |
Family
ID=38303327
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2005378721A Pending JP2007177941A (ja) | 2005-12-28 | 2005-12-28 | ラックアンドピニオン式ステアリング装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2007177941A (ja) |
Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2005299854A (ja) * | 2004-04-14 | 2005-10-27 | Koyo Seiko Co Ltd | ピニオンシャフト |
-
2005
- 2005-12-28 JP JP2005378721A patent/JP2007177941A/ja active Pending
Patent Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2005299854A (ja) * | 2004-04-14 | 2005-10-27 | Koyo Seiko Co Ltd | ピニオンシャフト |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
CN105593539B (zh) | 空心驱动轴及用于制造空心驱动轴的方法 | |
JP2006226412A (ja) | 等速自在継手並びに等速自在継手用ケージ及びその製造方法 | |
JP5509869B2 (ja) | ラックアンドピニオン式ステアリング装置の製造方法 | |
JP3752577B2 (ja) | 機械部品の製造方法 | |
JP2007177941A (ja) | ラックアンドピニオン式ステアリング装置 | |
JPH08121492A (ja) | 等速ボールジョイントの外輪 | |
JPH10202435A (ja) | はすば歯車の製造方法 | |
JP5409409B2 (ja) | 中空ラックバー及び中空ラックバー製造方法 | |
JP2006002185A (ja) | 中空状動力伝達シャフトの熱処理方法 | |
JP2008285076A (ja) | ラックアンドピニオン式ステアリング装置 | |
JP2003329048A (ja) | 軸受軌道部材の製造方法 | |
JP2007090968A (ja) | ラックアンドピニオン式電動パワーステアリング装置 | |
JP2005098450A (ja) | 等速自在継手の外側継手部材およびその製造方法 | |
JP2007224353A (ja) | ラックアンドピニオン式電動パワーステアリング装置 | |
JP2007169684A (ja) | 軸肥大加工性向上のための前処理 | |
JP2006002809A (ja) | 中空状動力伝達シャフト | |
EP1666770A1 (en) | Speed reducer, method and appratus for manufacturing the speed reducer, and electric power steering device with the speed reducer | |
JP2004359009A (ja) | ラックバー並びにこれを用いるステアリング装置及び電動パワーステアリング装置 | |
JP2003254436A (ja) | シリンダ装置およびシリンダ装置に用いるロッドの製造方法 | |
WO2022065408A1 (ja) | 軌道輪及び転がり軸受 | |
JP2007232033A (ja) | 固定式等速自在継手及びその製造方法 | |
JP2007327112A (ja) | 機械部材および転がり軸受 | |
JP2008196592A (ja) | 動力伝達シャフト | |
JP2006144934A (ja) | 動力伝達シャフト | |
JP2007191091A (ja) | ラックアンドピニオン式ステアリング装置 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Effective date: 20080709 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 |
|
A521 | Written amendment |
Effective date: 20080723 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 |
|
RD01 | Notification of change of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7421 Effective date: 20090130 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20100909 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Effective date: 20100914 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 |
|
RD03 | Notification of appointment of power of attorney |
Effective date: 20101022 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423 |
|
RD04 | Notification of resignation of power of attorney |
Effective date: 20101022 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20101111 |
|
A02 | Decision of refusal |
Effective date: 20110222 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 |