JP2006226412A - 等速自在継手並びに等速自在継手用ケージ及びその製造方法 - Google Patents

等速自在継手並びに等速自在継手用ケージ及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 内外輪の形状を変更することなく、ケージの高強度化、ポケット寸法の高精度化および製品の低コスト化を実現する。
【解決手段】 中炭素鋼からなる短円筒状素形材P1の外面および内面を旋削して球形外面42および球形内面43を形成する旋削工程(ア)と、素形材P2を打抜きプレスして複数のポケット41を素形材周方向に形成するプレス工程(イ)と、ポケット形成後の素形材P4の全体を焼入れ焼戻しする熱処理工程(ウ)と、熱処理後の素形材P5の球形外面42および球形内面43を研削する研削工程(エ)と、研削後の素形材P6についてポケット41の素形材軸方向で対向する一対の側面44を切削する仕上げ工程(オ)とでケージの製造工程を構成する。
【選択図】 図3

Description

本発明は、例えば、自動車や各種産業機械の動力伝達機構において使用され、外輪と内輪の相互間で回転トルクを伝達する等速自在継手、並びにその等速自在継手の構成部品の一つであるケージ及びその製造方法に関する。
等速自在継手は、自動車や各種産業機械の動力伝達系において、駆動側の回転軸と従動側の回転軸を連結して等角速度でトルクを伝達するもので、トルク伝達要素であるボールを用いたボールタイプの等速自在継手として、ボールフィックス型等速自在継手(BJ)、ダブルオフセット型等速自在継手(DOJ)やレブロ型等速自在継手(LJ)など種々のものがある。また、トルク伝達ボールの個数は6個または8個が代表的である。
これら等速自在継手は、外輪、内輪、トルク伝達ボールおよびケージを主要な構成要素として成り立っている。外輪の内周面には軸方向に延びるトラック溝が形成され、また、内輪の外周面にも軸方向に延びるトラック溝が形成されている。これら外輪と内輪に、駆動側の回転軸と従動側の回転軸が連結されている。外輪のトラック溝と内輪のトラック溝とが対をなしてボールトラックを形成し、各ボールトラックにトルク伝達ボールが組み込んである。トルク伝達ボールは、ケージの円周方向に形成されたポケット内に収容されて転動自在に保持されている。
従って、継手が作動角をとった状態でトルクを伝達するとき、トルク伝達ボールは、常に、外輪の回転軸と内輪の回転軸とがなす角を二等分する平面内に位置するようにケージによって規制され、これにより、継手の等速性が確保される。このように等速自在継手の一つの構成部品であるケージは、外輪と内輪の間に組み込まれ、大きな負荷に耐えてトルク伝達ボールを等速二等面上に保持する重要な部品の一つである。
このケージは、従来、以下の工程を経て製造されるのが一般的であった。つまり、ケージの製造工程は、低炭素の肌焼き鋼(SCr415)からなる短円筒状の素形材の外面および内面を旋削して球形外面および球形内面を形成する旋削工程と、素形材を打抜きプレスして複数のポケットを素形材周方向に形成するプレス工程と、ポケットの内周をシェービングしてポケットのケージ軸方向で対向する一対の側面を切削するシェービング工程と、ポケット形成後の素形材の表面硬さを浸炭焼入れにより高める熱処理工程と、熱処理後の素形材の球形外面および球形内面を研削する研削工程と、前記ポケットの素形材軸方向で対向する一対の側面を切削する仕上げ工程とからなる。
特開平11−101256号公報 特開2001−323945号公報 特開2001−349332号公報 特開2003−97590号公報 特開平7−269586号公報 特開平11−182570号公報 特開平9−177814号公報 特開平7−301246号公報 特開2001−153150号公報 特開2001−153148号公報 特開2003−49861号公報
ところで、環境問題の対応から自動車の軽量化が必須となり、等速自在継手の軽量化が強く要求されている。等速自在継手の軽量化を実現するためには、ケージの薄肉化が重要な課題となっているが、そのケージの薄肉化を達成するためには、ケージの強度向上が必要となってくる。しかしながら、薄く、大きな応力集中部となる鋭角部分を多く持つケージの強度向上を図ることは特に困難な課題であった。
従来、前述したケージの強度向上を図るため、ケージの形状による対策として、ボールの組み込み角を小さくしてポケット間の柱部の断面積を増加することにより強度を確保する提案(例えば、特許文献1,2参照)がなされている。また、等速自在継手の内部の主要寸法を最適化することにより、ケージの高強度化を図るようにした提案(例えば、特許文献3〜6参照)もある。しかしながら、ケージの外周側に位置する外輪や内周側に位置する内輪の形状を変更することによりケージを強度化することから、内外輪の形状変更を伴うために効率的な対策であるとは言いがたい。
ケージの形状による他の対策として、長さの異なる二種類のポケットを形成することによりケージの強度を確保する提案(例えば、特許文献7参照)があるが、素形材を打抜きプレスしてポケットを形成するプレス加工を二回に亘って実施しなければならず、製品コストの増加を招くという問題がある。
また、ケージの断面積を増加させて強度を確保する提案(例えば、特許文献8参照)があるが、素材投入重量と製品重量の増加によりコストの増加を招き、ケージの軽量化にも逆行することになる。
さらに、ボールの組込み角を減少させるためにポケットに盗みを設けることによりポケット間の柱部の断面積を増加させてケージの強度を確保する提案(例えば、特許文献9参照)もあるが、盗みが形成されたケージ外径側の側縁が鋭角になっており、浸炭後非常に脆い網目状セメンタイトが析出しやすくなるために接触応力が集中し早期に欠けが発生する問題がある。
また、ケージのポケット間の柱部の側面を焼入れ後に切削して硬化部分を除去し軟化させることにより靭性を向上させる提案(例えば、特許文献10参照)がある。この場合、柱部の側面は剪断面となっており面性状が粗いために厚い取り代が必要で、しかも、その側面が円弧形状となっているため、加工時間が長くなり製品コストの大幅な増加を伴う。また、ボールの挿入される軸方向の転走面間の幅は、熱処理した状態のままであることから、寸法精度も低下し、ボールのマッチングが必要で高コストになる問題がある。
ケージはボールから高荷重を受けるため、十分な機械的強度と転動寿命(摩耗・剥離寿命)を必要とする。このため、ケージの製造においては、高硬度を得るために炭素を拡散させる浸炭焼入れによる熱処理を行っているが、浸炭焼入れは、浸炭異常層が生成して強度のばらつきが増加する問題がある。
また、ケージは薄肉の球形状でその円周方向に複数のポケットを有する複雑な形状をなしているため、加工工程が多くなる。その結果、浸炭後の変形が大きく、仕上げ加工の取り代が増加することから、多くの加工時間を要し加工コストが高くなる。そこで、ポケットの外輪開口側の側面を熱処理前にシェービングすると共に、ポケットのボール転走面の負荷がより小さい外輪奥側のみを焼入れ後に仕上げ切削し、寸法精度を高める提案(例えば、特許文献11参照)がある。しかしながら、ポケットの外輪開口側も仕上げ切削すると、表面硬化部が軟化し、浸炭深さも減少する問題がある。
そこで、本発明は前述した様々な問題点に鑑みて提案されたもので、その目的とするところは、内外輪の形状を変更することなく、ケージの高強度化、ポケット寸法の高精度化および製品の低コスト化を実現し得る等速自在継手並びに等速自在継手用ケージ及びその製造方法を提供することにある。
前述の目的を達成するため、本発明は以下の構成要件を具備する。
本発明に係る等速自在継手用ケージは、中炭素鋼からなる短円筒状素形材の円周方向に、トルク伝達ボールを転動自在に収容する複数のポケットを打抜きプレスにより形成し、前記素形材全体を焼入れによる熱処理で硬化させることにより、前記ポケットの素形材軸方向で対向する一対のボール転走面に、プレス加工による剪断面と熱処理後の仕上げ面からなる二段の加工面を形成したことを特徴とする。
このケージは、内周面に軸方向に延びる複数のトラック溝を形成した外輪と、外周面に軸方向に延びる複数のトラック溝を形成した内輪と、前記外輪のトラック溝と前記内輪のトラック溝との対で形成されるボールトラックに一個ずつ組み込んだ複数のトルク伝達ボールと、前記トルク伝達ボールが収容されたポケットを有するケージとを備えた等速自在継手に適用可能である。
本発明に係る等速自在継手用ケージの製造方法は、中炭素鋼からなる短円筒状素形材の外面および内面を旋削して球形外面および球形内面を形成する旋削工程と、前記素形材を打抜きプレスして複数のポケットを素形材周方向に形成するプレス工程と、ポケット形成後の素形材の全体を焼入れする熱処理工程と、熱処理後の素形材の球形外面および球形内面を研削する研削工程と、前記ポケットの素形材軸方向で対向する一対のボール転走面となる側面を切削する仕上げ工程とを含むことを特徴とする。
前述の製造方法において、前記旋削工程とプレス工程との間に、素形材を軟化熱処理する工程を挿入することが望ましい。旋削後の素形材に軟化熱処理を加えることにより、プレス加工性が改善され、その素形材を打抜きプレスしてポケットを容易に形成することができる。
また、前述の構成からなる製造方法において、中炭素鋼からなる素形材に、焼入れ性を改善する元素として、C、Si、Mn、Cr、Mo、Bのうちから選択されたいずれかを添加することが望ましい。これらの元素を添加すれば、熱処理工程において素形材の焼入れ時の質量効果により素形材の全体を容易に焼入れすることができ、良好な焼入れ性を確保することができる。
また、これら焼入れ性を改善する元素は固溶強化することから、加工性を改善する観点から、その添加量を規格鋼成分以下にすることが好ましい。これらの元素の添加量を規格鋼成分以下にすれば、素形材が硬化することを抑制することができるので、旋削工程やプレス工程における加工を容易に行うことができる。なお、前述の「規格鋼成分」とは、日本工業規格(JIS)、アメリカ鉄鋼協会(AISI)、欧州標準化委員会(EN)等が規定している鋼の成分を意味する。
従来、浸炭焼入れにより熱処理されていたケージでは、静捩り試験に供して破断させた場合、その破断部は粒界破壊を伴った脆性破壊を呈する。このことから、脆性破壊を防止することがケージの高強度化に必要である。この脆性破壊を生じる原因を破面解析により調査した結果、浸炭焼入れによりケージの表層に0.7〜0.9wt%程度の炭素が拡散し、粒界に微細な炭化物が析出して粒界強度を低下させたり、表面異常層が生成し表層部での亀裂発生を助長して強度の低下を招くことが判明した。
このことから、ケージの強度を向上させるためには、高濃度の浸炭を拡散させないことと、表面異常層の生成を抑制することが有効な対策である。その結果、ケージの素形材として炭素量を所定量含有した中炭素鋼を使用した素形材を焼入れすることにより、強度が著しく増加することが判明した。
従来のケージでは、打抜きプレスによる剪断加工の後、形状の崩れや面性状を修正するためシェービング加工を実施し、浸炭焼入れ後に仕上げ加工を行っていた。このシェービング加工を省略できれば、機械装置が不要となり、サイクルタイムが大幅に向上することにより加工コストの大幅削減が可能となる。
しかしながら、シェービング加工を省略した場合、ポケットのボール転走面の仕上げは、熱処理後の仕上げ加工のみとなるため、仕上げの取り代が増加し浸炭熱処理で形成した硬化部の表層を除去してしまうことになるため、仕上げ面の硬化が低下して摩耗が著しく増加することになる。
浸炭焼入れ後の硬化深さを増加させておき、取り代の多い仕上げ加工をしても硬化深さと表面硬さを必要な値にすることは可能である。但し、浸炭時間の大幅増加(コストアップ)と浸炭異常層(強度低下)の増加を招く。さらに、ケージは、加工上、鋭角部分が多く存在するため、鋭角部分は過剰浸炭されやすく、浸炭後、鋭角部分に非常に脆い網目状セメンタイトが析出し、角部の欠けや強度の低下を起こす場合がある。以上の理由から、シェービング加工を省略することが困難であった。
本発明は、所定量の炭素を含有する素形材として中炭素鋼を使用し、その素形材の全体を焼入れによる熱処理で硬化させるため、炭素勾配がなく十分な硬化深さが得られる。その結果、シェービング加工を省略して熱処理後の仕上げ加工で取り代が増加しても、表層の硬さと硬化深さを十分に確保でき、耐摩耗性の低下を招くことはない。
また、熱処理後にポケットのボール転走面を仕上げ加工するため大幅に寸法精度が向上する。そのため、ボールのマッチングも不要となり大幅に低コスト化を実現できる。さらに、通常の焼入れのため処理温度も低く処理時間が大幅に短いため、熱処理変形も小さく熱処理コストも大幅に削減できる。
本発明によれば、所定量の炭素を含有する素形材として中炭素鋼を使用し、その素形材の全体を焼入れによる熱処理で硬化させるため、炭素勾配がなく十分な硬化深さが得られる。その結果、シェービング加工を省略して熱処理後の仕上げ加工で取り代が増加しても、表層の硬さと硬化深さを十分に確保でき、耐摩耗性の低下を招くことはない。また、熱処理後にポケットのボール転走面を仕上げ加工するため大幅に寸法精度が向上する。そのため、ボールのマッチングも不要となり大幅に低コスト化を実現できる。さらに、通常の焼入れのため処理温度も低く処理時間が大幅に短いため、熱処理変形も小さく熱処理コストも大幅に削減できる。このように、内外輪の形状を変更することなく、ケージの高強度化、ポケット寸法の高精度化および製品の低コスト化を実現することができる。
図1は、本発明に係る等速自在継手の実施形態で、ボールフィックス型等速自在継手(BJ)を例示する。なお、本発明は、ダブルオフセット型等速自在継手(DOJ)やレブロ型等速自在継手(LJ)など、他のタイプの等速自在継手にも適用可能である。
この等速自在継手は、外輪10と内輪20とトルク伝達ボール30とケージ40とを主要な構成要素として成り立っている。外輪10は球形の内周面11を有し、その内周面11に、軸方向に沿って曲線状に延びる複数のトラック溝12が周方向に等間隔で形成されている。内輪20は球形の外周面21を有し、その外周面21に、軸方向に沿って曲線状に延びる複数(外輪10のトラック溝12と同数)のトラック溝22が形成されている。
外輪10のトラック溝12と内輪20のトラック溝22とが対をなしてボールトラックを形成し、各ボールトラックに1個ずつトルク伝達ボール30が組み込んである。トルク伝達ボール30は外輪10と内輪20との間に介在してトルクを伝達する役割を果たす。各トルク伝達ボール30は、ケージ40の円周方向に形成されたポケット41内に保持されている。なお、ボール個数が増加するとケージ40の強度が低下することから、ボール個数が多い方がこの実施形態はより一層効果を発揮する。
ケージ40は、軸方向に短い略円筒形状を有し、球形外面42が外輪10の内周面11に接触案内され、球形内面43が内輪20の外周面21に接触案内される。このケージ40には、図2(a)(b)に示すようにトルク伝達ボール30を収容するポケット41が形成されている。ポケット41のケージ軸方向で対向する一対の側面44は平行面とされ、その一対の側面44の間隔(ポケット幅)はトルク伝達ボール30の球形と略等しく、各側面44はトルク伝達ボール30の転走面となっている。
継手が作動角をとった状態でトルクを伝達するとき、トルク伝達ボール30は、常に、外輪10の回転軸と内輪20の回転軸とがなす角を二等分する平面内に位置し、これにより、継手の等速性が確保される。
以下、前述した等速自在継手の構成部品の一つであるケージ40とその製造方法について、本発明の実施形態を背景技術と比較しながら詳述する。図3は背景技術におけるケージ50の製造工程、図4は本発明の実施形態におけるケージ40の製造工程を示す。また、図5および図6は背景技術におけるケージ50のポケット51を示す要部拡大図、図7は本発明の実施形態におけるケージ40のポケット41を示す要部拡大図である。
まず、背景技術におけるケージ50は、以下の工程を経て製造されるのが一般的である。図3に示すように短円筒状の素形材Q1の外面および内面を旋削して球形外面52および球形内面53を形成する旋削工程(ア)と、素形材Q2を打抜きプレスして複数のポケット51を素形材周方向に形成するプレス工程(イ)と、素形材Q3のポケット51の内周をシェービングしてその素形材軸方向で対向する一対の側面54を切削するシェービング工程(ウ)と、シェービング加工後の素形材Q4の表面硬さを浸炭焼入れにより高める熱処理工程(エ)と、熱処理後の素形材Q5の球形外面52および球形内面53を研削する研削工程(オ)と、研削後の素形材Q6についてポケット51の素形材軸方向で対向する一対の側面54を切削する仕上げ工程(カ)とからなる。
なお、素形材Q1としては、例えばSCr415等の低炭素の肌焼き鋼が使用されていた。また、熱処理条件としては、930℃で浸炭拡散処理を5時間行い、その後、850℃で油焼入れ焼戻しを行っていた。
この製造方法で製作されたケージ50では、そのポケット51のケージ軸方向で対向する一対の側面54が図5に示す形状となる。すなわち、プレス加工による剪断面Y1とシェービング加工による切削面Y2と熱処理後の仕上げ面Y3とからなる三段の加工面が形成されている。このケージ50におけるポケット51の側面54では、シェービング加工取り代が0.3mm、仕上げ加工取り代が0.1mm、有効硬化深さが仕上げ面から1.0mm、表層硬さがHv715となっている。
従来のケージ50の製造において、シェービング加工を省略して打抜きプレス後に熱処理すると、ポケット51のケージ軸方向で対向する一対の側面54は図6に示す形状となる。すなわち、プレス加工による剪断面Y1と熱処理後の仕上げ面Y3とからなる二段の加工面が形成されている。このケージ50におけるポケット51の側面54では、仕上げ加工取り代が0.3mm、有効硬化深さが仕上げ面から0.7mm、表層硬さがHv630となっている。この場合、前述したシェービング工程を有する場合を基準とすると、30%の摩耗増加が生じた。このようにシェービング加工を省略した場合、浸炭の硬化深さが減少し、硬度も低下することから、耐摩耗性が著しく低下する。
そこで、本発明の実施形態におけるケージ40を、以下の工程を経て製造することとした。図4に示すように短円筒状素形材P1の外面および内面を旋削して球形外面42および球形内面43を形成する旋削工程(ア)と、素形材P2を打抜きプレスして複数のポケット41を素形材周方向に形成するプレス工程(イ)と、ポケット形成後の素形材P4の全体を焼入れ焼戻しする熱処理工程(ウ)と、熱処理後の素形材P5の球形外面42および球形内面43を研削する研削工程(エ)と、研削後の素形材P6についてポケット41の素形材軸方向で対向する一対の側面44を切削する仕上げ工程(オ)とからなる。
なお、素形材P1としては、AISI1060の中炭素鋼を使用した。また、熱処理条件としては、850℃で加熱油焼入れ焼戻しを1.5時間行った。この方法では、プレス加工後、シェービング加工を省略し、素形材P2の全体を通常の焼入れ焼戻しして硬化させた。
この製造方法で製作されたケージ40では、シェービング加工を省略して打抜きプレス後に熱処理することにより、ポケット41のケージ軸方向で対向する一対の側面44は図7に示す形状となった。すなわち、プレス加工による剪断面X1と熱処理後の仕上げ面X3とからなる二段の加工面が形成されている。
従来品のケージ50と本実施品のケージ40とを比較すると下表のようになる。
Figure 2006226412
上表から明らかなように従来品では表面異常層が4μmであるのに対して、本実施品では表面異常層が1μmとなった。また、捩り強度に関しては、従来品を基準した場合、本実施品では、25.5%強度が上昇した。さらに、従来品で表面硬化(1.2mm)がHRC60、芯部がHRC35であるのに対して、本実施品で全硬化がHRC60.5、芯部がHRC58となったことから、耐摩耗性の観点では、HRC58以上が好ましい。
なお、前述した素形材は、(1)鋼管→切断→据込みプレス、(2)鋼管→切断→旋削→冷間ローリング、(3)鋼管→切断→冷間ローリング→旋削、(4)中実材→熱鍛→焼準→冷間ローリング→旋削などの工法により製作することが可能である。
本発明の実施形態で、ボールフィックス型等速自在継手(BJ)を示す断面図である。 本発明の実施形態で、(a)はケージおよびそのポケットに収容されたボールを示す平面図、(b)は(a)の断面図である。 背景技術におけるケージの製造工程を説明するためのフロー図である。 本発明の実施形態におけるケージの製造工程を説明するためのフロー図である。 背景技術における製造方法で製作されたケージのポケットの側面形状を示す要部拡大図である。 背景技術における製造方法でシェービング加工を省略して製作されたケージのポケットの側面形状を示す要部拡大図である。 本発明の実施形態における製造方法で製作されたケージのポケットの側面形状を示す要部拡大図である。
符号の説明
10 外輪
12 トラック溝
20 内輪
22 トラック溝
30 トルク伝達ボール
40 ケージ
41 ポケット
44 ボール転走面(側面)
1 素形材
1 剪断面
3 仕上げ面

Claims (7)

  1. 中炭素鋼からなる短円筒状素形材の円周方向に、トルク伝達ボールを転動自在に収容する複数のポケットを打抜きプレスにより形成し、前記素形材全体を焼入れによる熱処理で硬化させることにより、前記ポケットの素形材軸方向で対向する一対のボール転走面に、プレス加工による剪断面と熱処理後の仕上げ面からなる二段の加工面を形成したことを特徴とする等速自在継手用ケージ。
  2. 中炭素鋼からなる短円筒状素形材の外面および内面を旋削して球形外面および球形内面を形成する旋削工程と、前記素形材を打抜きプレスして複数のポケットを素形材周方向に形成するプレス工程と、ポケット形成後の素形材の全体を焼入れする熱処理工程と、熱処理後の素形材の球形外面および球形内面を研削する研削工程と、前記ポケットの素形材軸方向で対向する一対のボール転走面となる側面を切削する仕上げ工程とを含むことを特徴とする等速自在継手用ケージの製造方法。
  3. 前記旋削工程とプレス工程との間に、素形材を軟化熱処理する工程を挿入する請求項2に記載の等速自在継手用ケージの製造方法。
  4. 前記中炭素鋼からなる素形材に、焼入れ性を改善する元素を添加する請求項2又は3に記載の等速自在継手用ケージの製造方法。
  5. 前記焼入れ性を改善する元素は、C、Si、Mn、Cr、Mo、Bのうちから選択されたいずれかである請求項4に記載の等速自在継手用ケージの製造方法。
  6. 前記焼入れ性を改善する元素の添加量を規格鋼成分以下にする請求項4又は5に記載の等速自在継手用ケージの製造方法。
  7. 内周面に軸方向に延びる複数のトラック溝を形成した外輪と、外周面に軸方向に延びる複数のトラック溝を形成した内輪と、前記外輪のトラック溝と前記内輪のトラック溝との対で形成されるボールトラックに一個ずつ組み込んだ複数のトルク伝達ボールと、前記トルク伝達ボールが収容されたポケットを有するケージとを備え、前記ケージは、中炭素鋼からなる短円筒状素形材の円周方向に、トルク伝達ボールを転動自在に収容する複数のポケットを打抜きプレスにより形成し、前記素形材全体を焼入れによる熱処理で硬化させることにより、前記ポケットの素形材軸方向で対向する一対のボール転走面に、プレス加工による剪断面と熱処理後の仕上げ面からなる二段の加工面を有することを特徴とする等速自在継手。
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