JP2007177557A - 地盤調査方法及び装置 - Google Patents

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典力 井原
Takeshi Ihara
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Abstract

【課題】 地盤の性質を簡便にかつ精度良く安定して調査することが可能な地盤調査方法及び装置を提供する。
【解決手段】 地盤を振動させることによって発生したS波を検出し、検出した結果に基づいて前記地盤の性質を調査する地盤調査方法及び装置において、前記検出した結果から前記地盤を構成するそれぞれの地層100と、前記それぞれの地層の土質200とをそれぞれ分類し、分類された前記地層と前記土質とに応じて地盤解析演算式300を選択し、選択された地盤解析演算式と前記地層と前記土質とに基づいて、前記地盤の性質を推定する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、地盤調査を行うための物理探査において、特に、S波による実体波探査の手法を用いて地盤の性質を調査する地盤調査方法及び装置に関する。
従来から、地盤が構造物や施設を安全に支持できるか否かを判定するために、地盤の性質の調査が行われている。この地盤調査では、例えば、振動の伝播速度を利用する物理探査が実施されることにより、地盤の沈下量や液状化の発生率等が調査される。この地盤調査により、地盤が構造物や施設を安全に支持できるか否かが好適に判定される。
地盤調査を行うための物理探査の手法としては、レイリー波を利用する表面波探査法がある。この表面波探査法は、レイリー波が距離の平方根に比例して減衰するという特性を有しているため、P波及びS波等の実体波を利用する物理探査法と比して、振源の位置とレイリー波を検出する位置とを遠く離すことができるという利点を備えている。又、この表面波探査法は、起振機により地盤に振動を与えることによって地盤調査を行う非破壊探査法であるため、例えば舗装道路を含む市街地及び砂利敷きの駐車場等においても、地盤調査を簡便に行うことができるという利点も備えている。更に、この表面波探査法で利用するレイリー波の伝播特性はS波の伝播特性と近似しているため、実体波を利用する物理探査法において用いる解析手法をそのまま利用することができるという利点をも備えている。そして、以上のような利点により地盤調査をより簡便に行うことが可能になるため、レイリー波を利用する表面波探査法は、近年における地盤調査において好適に利用されている。
レイリー波を利用する表面波探査法は、レイリー波が有する分散特性を利用する探査法である。ここで、分散特性とは、水平成層構造を有する地盤を伝播するレイリー波の伝播深度が、起振機の振動周波数に依存して変化する性質をいう。そして、表面波探査法による地盤調査は、通常、以下のようにして行われている。
先ず、レイリー波を発生させるための起振機と、その起振機によって発生したレイリー波を検出するための例えば2個の検出器とを、地盤調査を行う地表にそれぞれ所定の距離を隔てて設置する。次いで、起振機により所定の振動数の範囲内で地盤内にレイリー波を発生させ、前記2個の検出器がそのレイリー波をそれぞれ検出した時間を測定する。そして、その測定した時間の差と前記2個の検出器の間隔とに基づいて、前記所定の振動数の範囲内におけるレイリー波の伝播速度を算出する。つまり、レイリー波の分散特性を利用することによって、地盤を伝播するレイリー波の伝播速度と伝播深度との対応関係を求める。次に、この求められたレイリー波の伝播速度(Vr)と伝播深度(D)との対応関係を、所謂D−Vr曲線図として作図する。ここで、D−Vr曲線図について概説する。
図8は、表面波探査により作成されたD−Vr曲線図の一例を示す模式図である。
図8において、横軸はレイリー波の伝播速度スケールを示し、縦軸はレイリー波の伝播深度スケールを示している。そして、曲線Cは、分散特性を利用することによって求められたレイリー波の伝播速度(Vr)と伝播深度(D)との対応関係をプロットすることにより得られた曲線である。又、曲線Cにおける変曲点1〜6は、調査対象である地盤の鉛直方向における地層の層境界を表している。
次に、図8に示すD−Vr曲線図が作図された後、このD−Vr曲線図を用いて、調査対象である地盤の鉛直方向における層分類を行う。ここで、図8に示したD−Vr曲線図を用いて地盤を層分類する方法について概説する。
図9は、図8に示すD−Vr曲線図の一例に基づいて地盤を鉛直方向に層分類した模式図である。
図9に示すように、地盤は、それぞれの地層の層境界が図8に示すD−Vr曲線図における曲線Cの変曲点1〜6に対応するように、第1層〜第7層に層分類されている。尚、図9における符号Gは、地盤の表面(地表)を表している。
次に、図9に示すように地盤の層分類が行われた後、層分類された第1層〜第7層のそれぞれの地層におけるレイリー波の平均伝播速度を算出する。これは、層分類された各地層を規定する2つの変曲点(例えば、図9に示す第2層については、変曲点1及び変曲点2)のレイリー波の伝播速度及び伝播深度のそれぞれの値をマトリックス法と呼ばれる解析手法において用いる平均伝播速度算出式に代入することにより行われる。そして、最後に、マトリックス法により算出された第1層〜第7層のそれぞれの地層におけるレイリー波の平均伝播速度の値を地盤調査に係る所定の算出式に代入することによって、地盤の許容応力度、沈下量及び液状化等についての調査が行われる。レイリー波を利用した表面波探査法による地盤調査は、通常、このようにして実施される。
尚、レイリー波を用いて調査対象である地盤の地層構造及び土質性状を特定し、その特定された地層構造及び土質性状に関する情報を利用して地盤の性質を調査する方法としては、ボーリングを行わずに土質性状に応じた適切な液状化予測を行う測定方法がある(例えば、特許文献1参照)。
又、地盤が複数の層からなる場合でも、各層の境目を判別し易くして層別に地盤沈下量を測定できるようにした地盤沈下量の測定方法がある(例えば、特許文献2参照)。
特開2002−055090号公報 特開2002−006056号公報
ところで、上述の如くD−Vr曲線図により層分類されたそれぞれの地層についてのレイリー波の平均伝播速度をマトリックス法により算出する方法では、その算出されたレイリー波の平均伝播速度が真の平均伝播速度と比して著しく異なるという不具合が発生する場合がある。このような不具合が発生する理由は、層分類されたそれぞれの地層毎に地層の種類(例えば、洪積層、沖積層、堆積土又は造成土等)及び土質(例えば、粘性土、砂質土、堆積土等)が異なるにも関わらず、その地層の種類及び土質等の差異を考慮することなく、レイリー波の平均伝播速度をマトリックス法によって画一的に算出するためである。従って、層分類されたそれぞれの地層におけるレイリー波の平均伝播速度をマトリックス法により画一的に算出し、その算出されたレイリー波の平均伝播速度の値を用いて地盤の性質を調査することによっては、地盤の許容応力度、沈下量及び液状化等を正確に調査することは困難であるという問題があった。
又、従来では、上述したように、各地層におけるレイリー波の平均伝播速度の算出精度が低下する場合があることを予め考慮して、マトリックス法によって得られたレイリー波の平均伝播速度の値に所定の補正値を乗ずることによって平均伝播速度の補正を行い、その補正された平均伝播速度の値を地盤調査に係る所定の算出式に代入することによって、地盤の許容応力度、沈下量及び液状化等の性質を調査している。しかしながら、前記補正値は必ずしも適切な値ではないことが多いため、このような方法によっても、調査対象である地盤の性質を正確に調査することは困難であるという問題があった。
更に、最近では、レイリー波を利用する表面波探査法では、地表面においてレイリー波の伝播を確認するためには、振源の位置とレイリー波を検出する位置とを一定の距離以上離隔する(例えば、10m以上)必要があることが判明している。換言すれば、調査対象となる土地が比較的狭い、特に都市部における狭小宅地等においては、地表面においてレイリー波の伝播を確認することは乏しい。そのため、レイリー波を利用する表面波探査法は、大規模な構造物や設備を建設する際の地盤調査に対しては有効となるが、一般的な住宅等の小規模な構造物等を建設する際の、比較的狭い土地を調査対象とする地盤調査に対しては、有効とはならない場合が多い。
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、地盤を構成する地層の種類、及びそれぞれの地層の土質に基づいて地盤調査を行い、地盤の性質を簡便にかつ精度良く安定して調査することが可能な、狭小宅地においても実施可能な地盤調査方法及び装置を提供することを目的としている。
本発明は上記のような事情に鑑みてなされたものであり、本発明に係る地盤調査方法及び装置は、地盤を振動させることによって発生したS波を検出し、検出した結果に基づいて前記地盤の性質を調査する地盤調査方法及び装置において、前記検出した結果から前記地盤を構成するそれぞれの地層と、前記それぞれの地層の土質とをそれぞれ分類し、分類された前記地層と前記土質とに応じて地盤解析演算式を選択し、選択された地盤解析演算式と前記地層と前記土質とに基づいて前記地盤の性質を推定する。
このような構成とすることにより、調査対象である地盤を構成する地層の種類、及びそれぞれの地層の土質に応じて地盤解析演算式を選択し、前記地層のそれぞれについて適切な地盤解析演算式により地層の性質を調査することができる。その結果、地盤の許容応力度、沈下量及び液状化等の調査を正確に行うことが可能になる。
この場合、前記地盤を構成するそれぞれの地層を、表層、沖積層、洪積層、岩盤層の何れかに分類する。
このような構成とすることにより、地盤を構成する地層の種類に応じた地盤解析演算式を選択する際に、最適な地盤解析演算式を選択することができる。その結果、地盤の許容応力度、沈下量及び液状化等の調査をより正確に行うことが可能になる。
この場合、前記地盤を構成するそれぞれの地層の土質を、堆積土、粘性土、砂質土、固結した砂、土丹盤、岩盤の何れかに分類する。
このような構成とすることにより、地盤を構成する地層の土質に応じた地盤解析演算式を選択する際に、最適な地盤解析演算式を選択することができる。その結果、地盤の許容応力度、沈下量及び液状化等の調査をより正確に行うことが可能になる。
この場合、前記地盤解析演算式が、前記検出した結果を用いて前記地盤を構成するそれぞれの地層におけるS波の平均伝播速度を算出する演算式である。
このような構成とすることにより、S波の平均伝播速度は地盤調査の調査精度を左右する重要なデータの1つであることから、このS波の平均伝播速度の精度が高まることによって地盤の性質を正確に調査することができる。
この場合、前記地盤の性質が、地盤の許容応力度、地盤の即時沈下量及び圧密沈下量、地盤の液状化の発生率を含んでいる。
このような構成とすることにより、地盤上に家屋等を建設するにあたって、その家屋等が長期間に渡って倒壊、沈下及び傾斜等することが無いような必要十分な調査を行うことができる。その結果、家屋等が倒壊、沈下及び傾斜等することを長期に渡って防止することが可能になる。
本発明は以上に述べたような形態で実施され、地盤を構成する地層の種類、及び各々の地層の土質に基づいて地盤調査を行い、地盤の性質を簡便にかつ精度良く安定して調査することが可能な、狭小宅地においても実施可能な地盤調査方法及び装置を提供することができるという効果を奏する。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
(実施の形態1)
先ず、狭小宅地等で地盤調査を実施する際におけるP波及びS波等の実体波の伝播メカニズム、及び、レイリー波等の表面波の発生メカニズムについて説明する。
図2は、狭小宅地等の狭い土地の地盤における実体波の伝播メカニズム及び表面波の発生メカニズムを模式的に示す推定図である。尚、図2において、符号Aは起振機を、符号a〜cは検出器を、符号Gは地盤を示している。
図2に示すように、地盤調査を実施する際には、起振機Aの錘(おもり)を所定の振動条件(振幅及び振動数範囲等)において上下に振動させる。すると、その起振機Aの錘の上下振動により、地盤の深さ方向(垂直方向)においてP波が伝播する。ここで、この伝播するP波は、地盤の深さ方向におけるλ/2の深さにまで到達する。尚、「λ/2」における記号「λ」は、P波の波長を示している。
さて、P波が地盤におけるλ/2の深さにまで到達すると、その到達箇所からは、水平方向に同心円を描くようにしてS波が分散する。又、図2に示すように、この分散するS波は、その分散過程において地盤Gの表面に向けてP波を逐次発する。本発明の実施の形態では、図2に示すように、水平方向に分散するS波が地盤Gの表面に向けて発するP波を検出器a〜cにより検出することによって、地盤におけるS波の伝播速度を計測する。そして、図2に示すように、地盤Gにおける所定の隔離距離Lsを超える領域では、水平方向に伝播するS波及び垂直方向に伝播するP波の繰り返しによるエネルギーの共振によって、S波及びP波よりも減衰量が少ないレイリー波が発生する。ここで、レイリー波が発生する領域は、S波及びP波の繰り返しによりエネルギーが共振する必要があるため、通常、起振機Aから6〜12m程度以上離れた領域である。従って、狭小宅地等で地盤調査を実施する場合には、レイリー波を用いる地盤調査は困難であり、実体波であるS波を用いる地盤調査が有効となる。
次に、本発明の実施の形態1に係る地盤調査を実施するための構成について説明する。
図3は、本発明の実施の形態1に係る地盤調査を実施するための構成を模式的に示す概念図である。
図3において、符号Aは、地盤調査の各調査現場に持ち込まれ、地盤G上に設置してS波を発生させるために用いられる起振機を示している。又、符号a及びbは、起振機Aの上下振動によって地盤Gの内部に発生したS波を間接的に検出するための検出器である。
図3に示すように、上述の検出器a及びbは、起振機Aによる加振によって地盤Gの内部に発生するS波の伝播速度を計測するために、所定の距離Lを隔てて、地盤G上に設置されている。そして、これらの起振機Aと検出器a及びbとは、起振機Aが振動する振幅及び周波数を制御すると共に、検出器a及びbによって検出された信号を演算等するための制御演算装置Bに電気的に接続されている。この制御演算装置Bの記憶部には、後述する所定の演算式が記憶されている。
次に、本実施の形態に係る地盤調査方法について説明する。尚、本実施の形態に係る地盤調査において使用する全ての演算式は、地盤中におけるS波速度と各種土質定数との対応関係を示す既知の関係式、及びそれらの既知の関係式から導出される関係式である。
図5は、本実施の形態に係る制御演算装置の動作を示すフローチャートである。以下、制御演算装置の動作について、図5を参照しながら説明する。
地盤調査に先立って、現場作業者は、図3に示すように調査対象である地盤G上の適宜の位置に、起振機Aと2個の検出器a及びbとをそれぞれ直線状に設置する。
起振機Aと検出器a及びbとが所定の位置に設置された後、現場作業者は、制御演算装置Bを操作することによって、起振機Aの振動条件(例えば、振幅及び振動数範囲等)を設定する(ステップS1)。次いで、起振機Aの錘を前記設定した振動条件によって上下振動させることにより、地盤Gの内部にS波を発生させる(ステップS2)。この操作によって、起振機Aの振動によって発生したS波は、地盤Gの内部において、起振機Aの振動数に応じた深度で水平方向に伝播する。この時、検出器a及びbは地盤G内を伝播するS波をそれぞれP波を介して間接的に検出し、その検出信号は制御演算装置Bに伝送される。そして、制御演算装置Bにおいては、検出器a及びbがS波を検出した時間が求められ、それらの時間の時間差が算出される。そして、以下に示す式(1)により、起振機Aの振動によって発生したS波の伝播速度が、振動数毎に算出される(ステップS3)。
Vs=L/ΔT ・・・(1)
ここで、Vsは、S波の伝播速度(m/s)を示している。又、Lは、検出器a及びbの間の隔離距離(m)を示している。又、ΔTは、検出器a及びbがS波を検出した時間の時間差(s)を示している。
次に、算出されたS波の伝播速度の値と、起振機Aの振動数の値とを用いて、以下に示す式(2)及び(3)により、S波が伝播する深度を算出する(ステップS4)。
D=λ/2 ・・・(2)
λ=Vs/F ・・・(3)
ここで、DはS波の伝播深度(m)を、λはS波の波長(m)を、Fは起振機Aの振動数即ちS波の周波数(Hz)を、それぞれ示している。
ステップS4によってS波の伝播深度が算出された後、地盤調査に係る測定が所定の深度まで行われたか否かが判定される(ステップS5)。このステップS5によって前記測定が所定の深度まで行われていないことが判明した場合(ステップS5でNO)、ステップS1に戻って振動条件を再び設定し、前記測定が所定の深度に達したことが確認されるまで(ステップS5でYES)、ステップS1〜ステップS4を繰り返し実施する。
ステップS5によって地盤調査に係る測定が所定の深度まで行われたことが確認された後、算出されたS波の伝播速度Vsと伝播深度Dとを用いて、レイリー波を用いる場合のD−Vr曲線図に相当する「D−Vs曲線図」が作図される(ステップS6)。ここで、図6を用いて、本実施の形態におけるD−Vs曲線図について説明する。
図6は、本実施の形態における実体波探査により作図されたD−Vs曲線図の一例を示す模式図である。
図6において、横軸はS波の伝播速度スケールを示し、縦軸はS波の伝播深度スケールを示している。そして、曲線Cは、分散特性を利用することによって求められたS波の伝播速度と伝播深度との対応関係をプロットすることにより得られた曲線である。又、曲線Cにおける変曲点1〜6は、調査対象である地盤の鉛直方向における地層の層境界をそれぞれ表している。
ステップS6によってD−Vs曲線図が作図された後、その作図されたD−Vs曲線図を基にして、図6に示す変曲点1〜6におけるS波の伝播速度及び伝播深度がそれぞれ解析される。ここでは、変曲点1〜6におけるS波の伝播速度Vs及び伝播深度Dは、変曲点1においてはD1,V1であり、変曲点2においてはD2,V2であり、変曲点3においてはD3,V3であり、変曲点4においてはD4,V4であり、変曲点5においてはD5,V5であり、変曲点6においてはD6,V6である。又、伝播深度が0mにおける伝播速度Vs及び伝播深度DはD0,V0であり、伝播深度が10mにおいてはD7,V7である。
次に、ステップS6によって図6に例示したD−Vs曲線図が作図された後、再びこのD−Vs曲線図に基づいて、調査対象である地盤の鉛直方向における地層の分類が行われる(ステップS7)。ここで、図6に例示したD−Vs曲線図を用いて地盤を地層分類する方法について説明する。
図7は、図6に示すD−Vs曲線図の一例に基づいて地盤を鉛直方向に地層分類した模式図である。
図7に示すように、地盤はそれぞれの地層の層境界が図6に示すD−Vs曲線図における曲線Cの変曲点1〜6に対応するようにして、地層10〜70に分類されている。そして、地層10〜70のそれぞれの種類(表層、沖積層、洪積層及び岩盤層等)と土質(粘性土、砂質土及び堆積土等)とを、図6に示したD−Vs曲線図における曲線Cから得られる情報と、各地層におけるS波の減衰率とに基づいて、それぞれ図7に例示すように分類する。即ち、図7において、地層10は表層(堆積土)、地層20〜40は沖積層(地表側より、粘性土、砂質土、堆積土)、地層50〜60は洪積層(地表側より、固結した砂、土丹盤)、地層70は岩盤層(岩盤)である。尚、符号Gは、地盤の表面(地表)を表している。
尚、S波の減衰率に基づいて行われる各地層の土質の分類は、次のようにして実施される。即ち、起振機Aの加振により地盤の内部に発生したS波は、周囲に拡散するに従って徐々に減衰していくので、そのS波の振幅は起振機Aから離れるに従って小さくなる。例えば、図3に示す構成においては、地盤G上に設置した各検出器a及びbによって検出されるそれぞれのS波の振幅(実際には、P波の振幅)を比較した場合、起振機Aに近い位置に配設されている検出器aによって検出されるS波の振幅は、起振機Aから遠い位置に配設されている検出器bによって検出されるS波の振幅よりも大きい。そして、そのようなS波の振幅の差違に基づいて、所定の算出手段を用いることによって、各地層におけるS波の減衰率を正確に算出する。S波の減衰率が各地層毎に算出された後、その算出されたS波の減衰率と前記の如く算出されたS波の伝播速度とに基づき、地層の土質を判定するための予め試験して得た土質分類情報を参照することにより、各地層の土質の分類が実施される。
次に、図7に示すように、調査対象の地盤を構成する地層の種類と土質とがそれぞれ分類された後、地層10〜70におけるS波の平均伝播速度Vs1〜Vs7がそれぞれ算出される(ステップS8)。ここで、本発明の実施の形態1では、図7に示す各地層におけるS波の平均伝播速度Vs1〜Vs7は、図1に示すように地層100と土質200との組み合わせに基づいて地盤解析演算式300から所定の地盤解析演算式が選択され、その選択された地盤解析演算式が用いられることによって、それぞれ算出される。尚、図1において、VSはS波の平均伝播速度(m/s)を示している。又、VU及びVLは、図6に示すD−Vs曲線図における曲線Cの調査対象層に係る2つの変曲点の地表側及び地核側のS波の伝播速度(m/s)を示している。又、DU及びDLは、前記変曲点の地表側及び地核側のS波の伝播深度(m)を示している。
以下、本実施の形態におけるS波の平均伝播速度Vs1〜Vs7を算出するためのより具体的な方法について、図1及び図7を用いて詳細に説明する。
前述したように、図1は、地層の種類及び土質に応じてS波の平均伝播速度を算出するために用いる演算式を選択する規則について示している。そして、地層の種類を地層100の中から、又、それぞれの地層の土質を土質200の中からそれぞれ選択し、それらの選択の組み合わせに対応するS波の平均伝播速度を算出するための演算式を、地盤解析演算式300の中から選択する。即ち、本実施の形態においては、図7に示す地層10のS波の平均伝播速度Vs1を算出する場合には、その地層の種類が表層であり、又、土質が堆積土であることから、図1に示す対応する地盤解析演算式(4)により、S波の平均伝播速度Vs1を算出する。尚、地層10の土質が造成土の場合も式(4)を適用する。
S=VL ・・・(4)
ここで、VSはS波の平均伝播速度(m/s)を、VLは曲線Cの調査対象層に係る2つの変曲点の地核側のS波の伝播速度(m/s)を示している。従って、地層10のS波の平均伝播速度Vs1は、式(5)のように求められる。
Vs1=V1 ・・・(5)
又、図7に示す地層20のS波の平均伝播速度Vs2を算出する場合には、その地層の種類が沖積層であり、又、土質が粘性土(ここでは、内部摩擦角=0°とする)であることから、図1に示す対応する地盤解析演算式(6)により、S波の平均伝播速度Vs2を算出する。
S=(VU+VL)/2 ・・・(6)
ここで、VSはS波の平均伝播速度(m/s)を、VU及びVLは曲線Cの調査対象層に係る2つの変曲点の地表側及び地核側のS波の伝播速度(m/s)を各々示している。従って、地層20のS波の平均伝播速度Vs2は、式(7)のように求められる。
Vs2=(V1+V2)/2 ・・・(7)
又、図7に示す地層30及び40のS波の平均伝播速度Vs3及びVs4を算出する場合には、その地層の種類が沖積層であり、又、土質が砂質土及び堆積土であることから、図1よりS波の平均伝播速度Vs3及びVs4を前記の式(4)により算出する。従って、地層30及び40のS波の平均伝播速度Vs3及びVs4は、式(8)及び式(9)のように求められる。
Vs3=V3 ・・・(8)
Vs4=V4 ・・・(9)
又、図7に示す地層50及び60のS波の平均伝播速度Vs5及びVs6を算出する場合には、その地層の種類が洪積層であり、又、土質が固結した砂及び土丹盤であることから、図1に示す対応する地盤解析演算式(10)により、S波の平均伝播速度Vs5及びVs6を算出する。尚、この洪積層の土質としては、固結した砂及び土丹盤以外に、岩盤、密実な礫層等も含まれる。
S≒((VL 2L−VU 2U)/(DL−DU))(1/2) ・・・(10)
ここで、VSはS波の平均伝播速度(m/s)を示している。尚、VU及びVL、DU及びDLについては前述と同様である。従って、地層50及び60のS波の平均伝播速度Vs5及びVs6は、式(11)及び式(12)のように求められる。
Vs5≒((V5 25−V4 24)/(D5−D4))(1/2) ・・・(11)
Vs6≒((V6 26−V5 25)/(D6−D5))(1/2) ・・・(12)
尚、前記の式(10)は、従来の地盤調査において地盤を構成する各地層のS波の平均伝播速度をマトリックス法により求める際に用いられている演算式である。
又、図7に示す地層70のS波の平均伝播速度Vs7を算出する場合には、その地層の種類が岩盤層であり、又、土質が岩盤であることから、図1よりS波の平均伝播速度Vs7を式(10)により算出する。従って、地層70のS波の平均伝播速度Vs7は、式(13)のように求められる。
Vs7≒((V7 27−V6 26)/(D7−D6))(1/2) ・・・(13)
以上のようにして、各地層10〜70の地層の種類及び土質に基づいて、S波の平均伝播速度Vs1〜Vs7が算出される。
次に、上述のようにして地盤を構成する各地層のS波の平均伝播速度がそれぞれ求められた後に、それらの平均伝播速度の値を用いて、地盤を構成する地層10〜70のそれぞれの地層に係る地盤特性をそれぞれ推定する(ステップ9)。
先ず、許容応力度を算出する方法について詳細に説明する。尚、許容応力度は、慣用的に「地耐力」とも呼ばれている。
地盤を構成する各地層の許容応力度を算出する際には、先ず、各地層のS波の平均伝播速度の値を用いて、以下に示す式(14)及び式(15)により、地層毎に一軸圧縮強度及び圧密降伏応力を算出する。
qu=(VS/134)(1/0.443) ・・・(14)
Py=(VS/99.6)(1/0.510) ・・・(15)
ここで、VSはS波の平均伝播速度(m/s)を、quは一軸圧縮強度(kgf/cm2)を、Pyは圧密降伏応力(kgf/cm2)を、それぞれ示している。
そして、各地層について算出された一軸圧縮強度及び圧密降伏応力の値を用いて、以下に示す式(16)及び式(17)により、それぞれの地層の粘着力及び平板載荷試験による降伏荷重度の二分の一の値を算出する。
C=qu/2 ・・・(16)
qt=Py/2 ・・・(17)
ここで、Cは地層の粘着力(kgf/cm2)を、qtは平板載荷試験による降伏荷重度の二分の一の値(kgf/cm2)を、quは一軸圧縮強度(kgf/cm2)を、Pyは圧密降伏応力(kgf/cm2)を、それぞれ示している。
更に、各地層の許容応力度を算出する際には、地盤を構成する各地層に関する粘着力Cの値と、平板載荷試験による降伏荷重度の二分の一の値qtとを比較して、より小さな値を示すパラメータ(C又はqt)を採用して算出する。但し、地層の土質が砂質土であることが確認できる場合には、その地層についてのみ平板載荷試験による降伏荷重度の二分の一の値qtを採用して許容応力度を算出する。又、地層の土質が粘性土で内部摩擦角=0°と確認できる場合には、その地層についてのみ地層の粘着力の値Cを採用して許容応力度を算出する。
地盤を構成する各地層の許容応力度の算出は、許容応力度の算出において従来から用いられている式(18)又は式(19)を、採用されたパラメータ(C又はqt)に応じて使い分けることにより行う。即ち、式(18)は粘着力Cの値を用いて許容応力度を算出する場合に用いる式であり、一方、式(19)は平板載荷試験による降伏荷重度の二分の一の値qtを用いて許容応力度を算出する場合に用いる式である。
qa=(icαCNc+iγβγ1BNγ+iqγ2fq)/3 ・・・(18)
qa=qt+(N’γ2f)/3 ・・・(19)
ここで、式(18)においては、qaは許容応力度(kN/m2)を、ic=iq=(1−θ/90)2、iγ=(1−θ/φ)2、θは鉛直方向に対する傾斜角(°)を、φは内部摩擦角(°)を、α及びβは基礎底面の形状に関する形状係数を、Cは基礎底面下にある地層の粘着力(kgf/cm2)を、Bは基礎底面の短辺の長さ(m)を、Nc、Nγ及びNqは支持力係数を、Dfは基礎底面までの深さ(m)を、γ1及びγ2は基礎荷重面下にある地盤の単位体積重量(kN/m3)を、それぞれ示している。又、式(19)においては、qtは平板載荷試験による降伏荷重度の二分の一の値(kgf/cm2)を、N’は基礎荷重面下の地盤の種類に応じた係数を、それぞれ示している。尚、式(19)においてγ2及びDfは、式(18)の場合と同等である。このようにして、地盤を構成する各地層の許容応力度qaは求められる。
次に、地盤を構成する各地層についての沈下量を算出する方法について説明する。
沈下量の算出は、各地層の種類及び土質に基づいて算出されたS波の平均伝播速度Vs1〜Vs7をそれぞれ沈下量の算出に係る所定の数式に代入することにより行われる。尚、地層の沈下量は、比較的短期における沈下について考慮する即時沈下量と、長期間(約10年)における沈下について考慮する圧密沈下量とに分けて解析を行う。尚、地層の土質が砂質土であることが確認された場合には、砂質土は透水性が大きく粘着力が無いことから、圧密沈下量の解析は省略することが示されている。又、地層の土質が粘性土の場合には、粘性土は透水性が無く長期間において圧密沈下が生じるので、沈下量の予測は即時沈下量と圧密沈下量の両方の検討が必要であることが示されている。
即時沈下量の算出は、各地層のS波の平均伝播速度を用いて、各地層毎に次のようにして行う。
先ず、S波の平均伝播速度を以下に示す式(20)に代入して、地盤の剛性率を算出する。
G=(1/g)ρVS 2 ・・・(20)
ここで、Gは地盤の剛性率(kN/m2)を、gは重力加速度(m/s2)を、ρは地盤の密度(kg/m2)を、VSはS波の平均伝播速度を、それぞれ示している。
式(20)によって地盤の剛性率Gが算出された後、その算出された剛性率Gの値を以下に示す式(21)に代入することによって、地盤のヤング係数を算出する。
E=2(1+ν)G ・・・(21)
ここで、Eは地盤のヤング係数を、νは地盤のポアソン比を、Gは地盤の剛性率(kN/m2)を、それぞれ示している。そして、式(21)によって地盤のヤング係数Eが算出された後、その算出された地盤のヤング係数の値を以下に示す式(22)に代入して、地盤の即時沈下量を算出する。
E=Is((1−ν2)/E)σB ・・・(22)
ここで、SEは地盤の即時沈下量(cm)を、Isは基礎底面の形状と剛性とによって決まる係数を、νは地盤のポアソン比を、Eは地盤のヤング係数を、σは基礎の圧縮荷重(kN/m2)を、Bは基礎の短辺の長さ(m)を、それぞれ示している。上述のようにして、地盤の即時沈下量SEは求められる。
一方、圧密沈下量の算出は、所定のパラメータを用いて、各地層毎に次のようにして行う。
先ず、地盤の体積圧縮係数の算出に係る所定の算出式を用いることによって、調査対象である地盤の体積圧縮係数(mv)を算出する。そして、地盤の体積圧縮係数が算出された後、その算出された地盤の体積圧縮係数の値を以下に示す式(23)に代入して、地盤の圧密沈下量を算出する。
c=mvΔτh ・・・(23)
ここで、Scは地盤の圧密沈下量(cm)を、mvは地盤の体積圧縮係数を、Δτは増加有効地中応力(kN/m2)を、hは圧密層厚(m)を、それぞれ示している。尚、地盤の圧密沈下量の算出は、以下に示す式(24)によって算出しても良い。
c=h(Cc/1+e)log(1+(Δτ/σz)) ・・・(24)
式(24)において、Scは地盤の圧密沈下量(cm)を、hは圧密層厚(m)を、Ccは圧縮指数を、eは初期間隙比を、Δτは増加有効地中応力(kN/m2)を、σzは建設前の地中応力(kN/m2)を、それぞれ示している。上述のようにして、地盤の圧密沈下量Scは求められる。
次に、地盤を構成する各地層についての液状化の発生率の算出方法について説明する。
液状化の発生率の算出は、地盤を構成する各地層の種類及び土質に基づいて算出されたS波の平均伝播速度Vs1〜Vs7以外に、予想される地震の震度や規模の推定値を利用すると共に、調査対象の地盤における各種性質に係る特性値を利用することによって求められる。そして、準備されたそれぞれの値を液状化の発生率の算出に係る所定の数式に代入することによって、次のようにして行われる。
先ず、調査対象である地盤の繰り返しせん断応力比を、以下に示す式(25)を用いて算出する。
w=γn(αmax/g)(κz/κz’)γd ・・・(25)
ここで、Swは繰り返しせん断応力比を、γnは予想される地震のマグニチュードに基づく補正係数を、αmaxは予想される地震の規模(Gal)を、gは重力加速度(Gal)を、κz=ηH(η:砂質土比重、H:求める深度)、κz’=ηL+(η−9.8)(H−L)(η:砂質土比重、L:地下常水位、H:求める深度)、γdは求める深度Hに基づく低減係数を、それぞれ示している。
次に、調査対象である地盤の液状化抵抗比を、以下に示す式(26)を用いて算出する。
R=τ1/κz’ ・・・(26)
ここで、Rは液状化抵抗比を、τ1は水平面における液状化抵抗(kN/m2)を、それぞれ示している。尚、式(26)におけるκz’は、前記の式(25)におけるκz’と同様である。
最後に、式(25)によって算出された繰り返しせん断応力比Swの値と、式(26)によって算出された液状化抵抗比Rの値とを以下に示す式(27)に代入して、液状化の発生率を算出する。
F=R/Sw ・・・(27)
ここで、Fは液状化の発生率を、Rは液状化抵抗比を、Swは繰り返しせん断応力比を、それぞれ示している。尚、液状化の発生率を解釈する際には、F<1.0である場合には液状化は発生しないと解する。このようにして、地盤の液状化の発生率Fは求められる。
以上のようにして、地盤の性質を表す許容応力度、即時沈下量及び圧密沈下量、液状化の発生率がそれぞれ求められる。そして、本発明の実施の形態では、地盤の性質を求める際に用いるS波の平均伝播速度を、地盤を構成する各地層の種類及び土質を考慮して算出するので、各地層におけるS波の平均伝播速度を正確に算出することができる。そして、その結果、地盤の性質を表す許容応力度、即時沈下量及び圧密沈下量、液状化の発生率を簡便にかつ精度良く安定して求めることが可能になる。
(実施の形態2)
図4は、本発明の実施の形態2に係る地盤調査を実施するための構成を模式的に示す概念図である。
図4において、符号Aは、地盤調査の各調査現場に持ち込まれ、地盤G上に設置して実体波であるS波を発生させるために用いられる起振機を示している。又、符号a、b及びcは、起振機Aの上下振動によって地盤Gの内部に発生したS波を検出するための検出器である。
図4に示すように、これらの検出器a、b及びcは、起振機Aによる加振によって地盤Gの内部に発生したS波の伝播速度を計測するために、それぞれ所定の距離Lを隔てて、地盤G上に設置されている。そして、これらの起振機Aと検出器a、b及びcとは、起振機Aが振動する振幅及び周波数を制御すると共に、検出器a、b及びcによって検出された信号を演算等するための制御演算装置Bに電気的に接続されている。
次に、本実施の形態に係る地盤調査方法について説明する。尚、本実施の形態における制御演算装置Bの動作は、実施の形態1の場合と同様である。又、D−Vs曲線図の作図方法、調査対象である地盤の鉛直方法における層分類の方法、各地層の種類及び土質の判定方法及び地盤の性質の調査方法等も、実施の形態1の場合と同様である。従って、それぞれに関する説明は省略する。
図4に示すように、現場作業者は、調査対象である地盤G上の適宜の位置に起振機Aと3個の検出器a、b及びcとをそれぞれ直線状に設置し、制御演算装置Bを操作することによって、起振機Aの錘を所定の振幅及び振動数範囲で上下振動させる。この操作によって、起振機Aの錘の振動によって発生したS波は、地盤Gの内部において、起振機Aの振動数に応じた深度で伝播する。この時、検出器a、b及びcは、地盤G内を伝播するS波をそれぞれP波を介して間接的に検出し、その検出信号を制御演算装置Bに伝送する。ここで、本実施の形態においては、検出器a及びb、検出器b及びc、検出器a及びcのそれぞれについて、3種類のD−Vs曲線図を作図する。そして、得られた3種類のD−Vs曲線図をそれぞれ比較検討し、その中から、S波の進行波と反射波とが合成されることによって生じた定在波の干渉を受けていないD−Vs曲線図、又は定在波の干渉が比較的少ないD−Vs曲線図を選択する。そして、その選択されたD−Vs曲線図に基づいて各種の地盤調査を行う。
このように、3個の検出器a、b及びcを用いることによって、複数のD−Vs曲線図から良質なD−Vs曲線図を選択することができるため、より高精度な地盤調査を行うことが可能になる。その他については、実施の形態1の場合と同様である。
尚、本実施の形態では、検出器a、b及びcの3個の検出器を用いているが、検出器の個数は3個に限られるわけではなく、3個以上であっても良い。
以上の説明では、実体波としてS波を用いる実体波探査についての一例を挙げて説明したが、その他の実体波を用いる場合であっても応用が可能である。更に、地盤の性質を調査するための物理探査一般について、本発明を応用することが可能である。
本発明に係る地盤調査方法及び装置は、地盤を構成する地層の種類、及びそれぞれの地層の土質に基づいて地盤調査を行い、地盤の性質を簡便にかつ精度良く安定して調査することが可能な、狭小宅地においても実施可能な地盤調査方法及び装置として、産業上利用することが可能である。
本発明の実施の形態に係る地層及び土質の種類に応じて地盤解析演算式を選択する規則を示した模式図である。 狭小宅地等の狭い土地の地盤における実体波の伝播メカニズム及び表面波の発生メカニズムを模式的に示す推定図である。 本発明の実施の形態1に係る地盤調査方法を実施するための構成を模式的に示す概念図である。 本発明の実施の形態2に係る地盤調査方法を実施するための構成を模式的に示す概念図であるある。 本発明の実施の形態に係る制御演算装置の動作を示す流れ図である。 本実施の形態における実体波探査により作図されたD−Vs曲線図の一例を示す模式図である。 図6に示すD−Vs曲線図の一例に基づいて地盤を鉛直方向に層分類した模式図である。 従来の表面波探査により作成されたD−Vr曲線図の一例を示す模式図である。 図8に示すD−Vr曲線図の一例に基づいて地盤を鉛直方向に層分類した模式図である。
符号の説明
1〜6 変曲点
10〜70 地層
100 地層
200 土質
300 地盤解析演算式
A 起振機
B 制御演算装置
C 曲線
G 地盤の表面
a〜c 検出器

Claims (10)

  1. 地盤を振動させることによって発生したS波を検出し、検出した結果に基づいて前記地盤の性質を調査する地盤調査方法において、
    前記検出した結果から前記地盤を構成するそれぞれの地層と、前記それぞれの地層の土質とをそれぞれ分類し、分類された前記地層と前記土質とに応じて地盤解析演算式を選択し、選択された地盤解析演算式と前記地層と前記土質とに基づいて前記地盤の性質を推定することを特徴とする、地盤調査方法。
  2. 前記地盤を構成するそれぞれの地層を、表層、沖積層、洪積層、岩盤層の何れかに分類することを特徴とする、請求項1記載の地盤調査方法。
  3. 前記地盤を構成するそれぞれの地層の土質を、堆積土、粘性土、砂質土、固結した砂、土丹盤、岩盤の何れかに分類することを特徴とする、請求項1記載の地盤調査方法。
  4. 前記地盤解析演算式が、前記検出した結果を用いて前記地盤を構成するそれぞれの地層におけるS波の平均伝播速度を算出する演算式であることを特徴とする、請求項1記載の地盤調査方法。
  5. 前記地盤の性質が、地盤の許容応力度、地盤の即時沈下量及び圧密沈下量、地盤の液状化の発生率を含むことを特徴とする、請求項1記載の地盤調査方法。
  6. 地盤を振動させることによって発生したS波を検出し、検出した結果に基づいて前記地盤の性質の調査を行う地盤調査装置において、
    前記検出した結果から前記地盤を構成するそれぞれの地層を判定する地層判定手段と、
    前記それぞれの地層の土質を判定する土質判定手段と、
    判定された前記地層と前記土質とに応じて地盤解析演算式を選択する地盤解析演算式選択手段と、
    選択された前記地盤解析演算式と判定された前記地層及び前記土質とに基づいて前記地盤の性質を推定する推定手段と、を備えることを特徴とする、地盤調査装置。
  7. 前記地盤を構成するそれぞれの地層を判定する地層判定手段が、前記地盤を表層、沖積層、洪積層、岩盤層の何れかに分類する分類手段を備えることを特徴とする、請求項6記載の地盤調査装置。
  8. 前記地盤を構成するそれぞれの地層における土質を判定する土質判定手段が、前記地層のそれぞれの土質を堆積土、粘性土、砂質土、固結した砂、土丹盤、岩盤の何れかに分類する分類手段を備えることを特徴とする、請求項6記載の地盤調査装置。
  9. 前記地層と前記土質とに応じて地盤解析演算式を選択する地盤解析演算式選択手段が、前記検出した結果を用いて前記地盤を構成するそれぞれの地層におけるS波の平均伝播速度を算出する演算式を識別する識別手段を備えることを特徴とする、請求項6記載の地盤調査装置。
  10. 前記選択された地盤解析演算式と前記地層と前記土質とに基づいて前記地盤の性質を推定する推定手段が、地盤の許容応力度、地盤の即時沈下量及び圧密沈下量、地盤の液状化の発生率について演算する演算手段を備えることを特徴とする、請求項6記載の地盤調査装置。
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