JP5330662B2 - 地質構造調査システム及びその方法 - Google Patents

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Description

本発明は、地質構造の調査システム及びその方法に関し、より詳細には、主要構築物の重要施設を設置する支持基盤上下の地盤地質構造について、探査・確認を行うシステム及び方法に関する。
従来技術、それらの問題点を以下説明する。主要構築物等について既存の安全審査指針を適用あるいは準用する場合には、各種探査、多数のボーリング(例えば緻密に鉛直ボーリングを実施することを特徴とする群列ボーリング)や、室内分析試験、それらの調査結果を原位置において確認するための高価な横坑内調査(不整合面・亀裂を検出した場合には通常水平方向に延長を余儀なくされ、さらにスケッチ壁面の研ぎ出しを特徴とする)と横坑内原位置試験等の実施が求められる(以下横坑調査という)。
前記の安全審査指針における横坑等による調査は、施設に由来することが想定される環境影響負荷の程度によらず、種々の重要施設に対して準用される傾向がある。
このような過大な探査とボーリング調査、横坑原位置試験に対する要請の原因は、表層から深度100m程度であっても、既存探査の精度不足と機動性・経済性に乏しいという問題と、従来型ボーリング調査が平面的には点状分布(例えば群列ボーリングや例え斜掘ボーリングを実施するような場合でもシステムとしてではなく、立体視すると単一斜線程度)の調査情報に留まっていた。このため従来調査法では、地表から推定しがたい直立に近い鋭角の伏在すべり面・破砕帯・不整合面を検出しがたかったし、従来のリニアメント調査におけるC〜Eクラスリニアメントについては定性的記述に留まり、地下数十メートル以深に関しては確認調査法としては、手のほどこしようがなかった。
特に従来型ボーリングではオールコア採取とはいいながら、掘削水の送水圧に基づくコア中微粒分の流失・コアの緩み等を生じやすく、コアの品質が礫・破砕部・砂質部・粘土質・泥岩等のいずれかを複数含有する複雑地層に対して、地質構造判定やすべり面等の判定に耐えるものではなかった(従来技術ではコア採取率100%とは、微粒物質、即ちマトリックスが流失していても許されていた)。特に、地下数十メートル以深であって固結度の低いガウジ(破砕屑岩片を含む固結程度の低い粘土層)については、高品質コアの採取に関する調査技術は、全く無力であった。
また、それらの地質構造情報(データの品質、データベース化、「ゆらぎ」に関する誤差論、総合的解析がされなかったので、種々の不確実要素を含んでいた)に基づき対象建設予定地を選定して、原位置確認のために横坑調査による岩相スケッチと横坑内原位置剪断試験等を実施してきたので、経費的、時間的に大きな負担となり、時には、数キロメートルにわたる横坑による不整合面の追跡、坑壁の磨きだしによるスケッチを必要とすることがあった。
さらに、従来、伏在断層・すべり面の地表からの推定には、踏査による地形・露頭調査(地表に露出しているものからの推定に限られる)、空中写真判読によるリニアメント調査等があった(定性的に近いA、B、…、Eの記述に留まっていた)が、伏在断層・すべり面層・不整合面の確認には、群列ボーリングあるいは横坑内スケッチに頼らざるを得ず、また、既存重要施設に関する支持基盤面直下の地層については(横坑調査レベル以下における調査ができないことから)、支持基盤面の損傷なくして把握することが困難であった。重要施設の建設予定地点に関しても、支持盤面の深度をやや深く機動的に変更することは至難のことであった(従来の発想では、横坑を水平方向に延長するとともに坑壁研だし・スケッチを繰り返すというに留まっていた)。
以下従来におけるそれぞれの探査・コア採取工法について、例示し説明する。従来の探査技術の一つであるPS検層は、その到達深度と距離が大きいという利点があるが屈折波を利用するということから、直接S波構造を把握するものではなく、また、地下水位をはじめとする種々の干渉要素のために解像度に問題があり、また発信源に火薬を使用する等の問題がある。
従来の探査技術の他の一つである反射法探査は、表層から数百メートルまで効率良くS波構造を探査することが可能であるが、表層近くでは弾性波の波長によっては地盤に対する透過性が急激に低下したり、分解能に限度がある等の困難や、実施費用が高価なために緻密な測線により、地質構造を高精度かつ立体的に表示することが困難であったり、また、機動性(状況に応じて測線変更等)を求めることも事実上できなかった。
従来の探査技術のさらに他の一つである微動アレイ探査法は、海岸波浪等が起す振動のうち地盤内を伝播する表面波を複数同心円上に配置された(アレイという通常数十〜数百mの同心円上に配置)検出器により測定し、地盤特性を反映した位相速度を解析することにより、着目地層のS波構造を推定する方法であり、機動性に富むという利点がある。しかし、表面波の特性上地表からの深度−50m〜−1000mの間の測定解析には適しているが、多地点・複雑地層では多量のデーター解析処理に時間が掛かり、また、波長の関係から地表近くの信号は極端に弱くて分解能が低く、このため、浅い地層では測定・解析が困難であるという問題があった。
従来の探査技術のさらに他の一つである人工的な発信源を使用した表面波探査法は、発信源のエネルギーの限度(かけやを使用)とこれに伴う受信器の能力(一般に4.5Hz使用)から、測定可能な深度は地表から20m以浅とされてきた。エネルギー不足を補う方法として起震車を使用する方法があるが、起伏・沼沢等の複雑な地形では使用できないという欠点がある。
従来の地質調査技術の一つである普通工法ボーリングで、清水を使用したオールコアサンプリングは、深度方向の地質情報をもたらし、目詰まりの無いコアとともにボーリング孔を得ることが期待される工法であるが、平面的に見れば点としての情報をもたらすにとどまっていた。さらに、固結度の低いシルト層・泥岩や破砕帯であるとか、角礫・砂を挟む固結度の低い泥炭層・砂質泥岩層では、スライム排除のための送水圧・量に基く孔内の乱れをもたらし、その結果、微粒分流失して乱れが生じ、地質構造推定や地化学・水理学等の各種試験において解釈の余地がない的確な判断を下すに足るコアやボーリング孔を得る事ができなかった。
従来の地質調査技術の他の一つとして、掘削水の比重調整と孔壁保護のために、普通工法ボーリングに泥水を使用するオールコアサンプリング工法があるが、固結度の低いシルト層・泥岩や破砕帯であるとか、角礫・砂を挟む固結度の低い泥炭層・砂質泥岩層では、清水掘りよりもやや改善されるとしても、スライム排除のための送水圧・量に基づく孔内の乱れをもたらし、その結果、微粒分流失して乱れが生じ、地質構造推定において解釈の余地のない的確な判断を下すに足る高品質コアや高品質のボーリング孔を得る事ができなかった。泥水の使用は、特に、地化学・水理学等の各種試験において、目詰まり・収着等の致命的な撹乱を起こす工法として、忌み嫌われている。さらにこの調査法で得られる情報は、前記の清水掘りボーリング工法同様に、平面的に見れば、点としての情報に留まる。
従来技術の一つとして、主要建築物の支持基盤直上の地質構造を確認するために通称横坑調査法がある。この調査法では、対象地点確認のため、従来型探査法と従来型ボーリングを組合せた事前調査を行い、次いでアクセスのための縦坑を設け、支持基盤面直上において、対象を中心として交叉して設けた2本の横坑中で、地盤不安定要素の有無の確認を横坑内スケッチ等により、地質構造、特に表層から検出しがたい断層・すべり面・不整合面のような調査を実施する。次いで、従来型ボーリングで採取した岩石の室内試験結果を現位置において確認するために、横坑内において岩盤剪断試験等を実施する。
この調査法の欠点は、表層からGL−100m間の重要な地質構造については、従来型の探査法では不確実性を有し(例えば比較的精度が良いとされる反射法であっても、分解能に限界があり、高価でそのため機動性を欠き)、併用する通常型ボーリング法は一般に高品質コア採取が困難なために、膨大な経費を必要とする横坑調査の中心部の選定において、不確実性(偶然性)を伴わざるを得なく、また、精密な坑壁スケッチのためには、孔壁の清浄化ばかりでなく研ぎだす必要があり、往々にして、直交または斜交すべり面・伏在断層・不整合面等を見いだした場合には、横坑を延長し、調査を続行する必要があった。
これは要するに、従来型探査法とボーリングによるコア採取、室内分析試験、横坑調査の組合せによる調査法では、一般的従来型探査法ではその精度から不確実性があり、従来型ボーリングはその品質から砂・礫・破砕岩等を含む固結度の低い泥岩・シルト岩・破砕帯では岩相に関する信頼性が低く平面的に見ると鉛直掘は点としての情報で斜掘は点線としての情報を与えるのみであり、原位置において地質・岩相に関する情報を確認するための横坑調査では、対象基盤の損傷を避けるために基盤直上におけるスケッチによる確認に止まり、それ以下の深度における不整合面やすべり面の検出とそれらの立体的表示については無力であるばかりか、特定注目地層に関する流向・流速についての解析手段に寄与するところは無かった。
従って、室内試験結果、ボーリングデータ、地質構造情報、地盤強度情報、風化帯情報、すべり面・不整合面・破砕帯に関する情報、水理・水文学的データ等を地図上で随時取出可能なデータとしてデータベース化し、それらを総合して逆解析法により、総合して三次元的表示・断面表示することができなかった。
本発明の地質構造調査システム及びその方法は、各サブシステムにより、前記従来の各方法の問題点を解決することを目的とする。さらに、本発明の地質構造調査システム及びその方法は、各サブシステムから得られた測定データを統合して、解析することを目的とする。
本発明の地質構造調査システムは、上記課題を解決するものであって、本発明は、地質構造調査システムであって、レイリー波及び反射波を測定して、地質構造を探査するS波構造探査サブシステムを含む、地質構造調査システムである。前記地質構造調査システムにおいて、前記S波構造探査サブシステムは、測定された前記レイリー波及び前記反射波からS波構造を探査する、地質構造調査システムである。前記地質構造調査システムにおいて、前記S波構造探査サブシステムは、前記レイリー波及び前記反射波を測定するために、地表に設定されたグリッドの各頂点に配置される複数のアレイを備える、地質構造調査システムである。前記地質構造調査システムにおいて、前記アレイは、所定の間隔で配置される複数の受信機から構成される、地質構造調査システムである。前記地質構造調査システムにおいて、前記コア採取サブシステムは、鉛直掘又は斜掘のコア採取装置を備える、地質構造調査システムである。前記地質構造調査システムにおいて、懸濁気泡水を用いてボーリング孔を掘進して、コアを採取するコア採取サブシステムをさらに含む、地質構造調査システムである。
さらに本発明は、地質構造調査方法であって、レイリー波及び反射波を測定して、地質構造を探査するS波構造探査工程を含む、地質構造調査方法である。前記地質構造調査方法において、前記S波構造探査工程は、測定された前記レイリー波及び前記反射波からS波構造を探査する、地質構造調査方法である。前記地質構造調査方法において、前記S波構造探査工程は、前記レイリー波及び前記反射波を測定するために、地表に設定されたグリッドの各頂点に配置される複数のアレイを備える、地質構造調査方法である。前記地質構造調査方法において、前記アレイは、所定の間隔で配置される複数の受信機から構成される、地質構造調査方法である。前記地質構造調査方法において、前記コア採取工程は、鉛直掘又は斜掘のコア採取装置を備える、地質構造調査方法である。前記地質構造調査方法であって、懸濁気泡水を用いてボーリング孔を掘進して、ボーリング孔の形成とコアを採取するコア採取工程をさらに含む、地質構造調査方法である。
本発明の地質構造調査システムは、S波構造探査サブシステムによるS波構造から推定される伏在断層・すべり面の三次元的推定値と、コア採取サブシステムを用いて採取されたコアデータから得られる地質・構造データとから、従来地表から検出し難かったような伏在断層・高角度の地質不整合面やすべり面について検出漏れを防止し可能とするとともに、懸濁気泡水ボーリングによって得られたコアの解析により、伏在断層、すべり面、不整合面を確認することができる。
本発明に係る地質構造原位置調査システム(地質構造調査システム)及びその方法は、重要構築物施設を設置する支持基盤の地層・原位置特性に関するボーリング孔内(または孔底、コア等)で簡易に実施するものである。以下、本発明の地質構造原位置調査システム及びその方法に係る実施形態を、図1〜図5を参照して説明する。
[システムの全体構成]
本発明の地質構造原位置調査システム1の全体構成を、図1のブロック図を用いて説明する。図1において、地質構造原位置調査システム1は、S波構造探査サブシステム(波構造探査サブシステム)100と、コア採取サブシステム200と、前記各サブシステムから得られたデータを記録解析する記録解析サブシステム300と、から構成される。
S波構造探査サブシステム100は、後述のアレイをグリッドの頂点に配置してレイリー波及び反射波を測定する。コア採取サブシステム200は、懸濁気泡水を使用して、前記グリッドの頂点で鉛直及び斜ボーリングを併用して、孔壁を形成してコアを採取する。
地質構造原位置調査システム1では、地表からは検出確認し難かった重要構造物の支持基盤上下における鋭角または直立した伏在断層・すべり面・不整合について検出・確認することができ、従来型の横坑内調査(あるいは活断層発掘調査)を不要ならしめる。
さらに、後述の図4に示すように、コントロールボーリング・定方位ボーリングを、本発明の地質構造原位置調査システム1と組み合わせることにより、既存の重要構築物についても、断層破砕帯・すべり面等の有無確認ならびに岩石強度の原位置試験を精度良く実施することが出来るとともに、多くの開口部を残すことなく精度の高い地質・構造調査や岩盤強度原位置試験を機動的・経済的に実施することが出来る。
[S波構造探査サブシステム]
S波構造探査サブシステム100は、レイリー波(Rayleigh Wave)と反射波とを複合したS波構造の測定により地質構造を検出する。具体的には、S波構造探査サブシステム100は、地表に設定されたグリッド(測定点)の中心点に系統的に微振動アレイを配置するものである。なお、グリッドの中心点には、後述するようにボーリング孔が形成され、ボーリング孔に重錘を落下させて観測用波を発生させる重錘落下式発振源を用いる。
S波構造探査サブシステム100は、図2に示すように、グリッド交点にシステマティックに配列された発振源を備え、受信周波数に工夫を加えた表面探査と、天然のレイリー波発振源を用いて独特の配列を形成する複数微動小アレイ(図2(a)に示す同心円上複数受信装置群を受信単位とする)とを複合する。
図2(a)は、レイリー波伝播における位相波速度に着目したS波構造探査サブシステムの配列例(但し、1測線のみ)の重ね合わせの状態を示し、図2(b)は、S波構造探査サブシステム100のアレイの配列例を示す。S波構造探査サブシステム100は、図2に示すように所定間隔(約25m間隔)で地表に想定したグリッド上に、図4の表面波探査測線を設定する。
S波構造探査サブシステム100は、約25m間隔の表面波探査と、微動アレイ探査(受信機配置は図2(b)の参照)とを同一測線上で実施することにより、これらを同調せしめて、それぞれ異なる深度の地層によって変調を受けたS波位相波速度として測定する。
なお、本州沿岸で発生するレイリー波に随伴する位相の伝播速度に着目して得られるS波伝播速度では、従来は独立解析していたために生じたGL−20m〜−50mにおける不確実性(一方は信号が微弱となり、他方はぼやける)があった。しかし、S波構造探査サブシステム100では、それらのデータを互いに補わせそれらの弱点を計画的に克服するために、レイリー波及び反射波の両測定における測定点を、互に相重なるように計画的に配置する。これによって、両探査測定法により得られたデータを(共通のS波伝播速度として)、以下に示す複合シミュレーション解析法により解析する。
波速度の伝播が地下の地質構造の影響を受けるところから、測定法で得られる同一地層の影響を反映するS波信号を(重ね合わせて)統合して解析することにより、従来の弱点であった表層〜GL−100mの地質構造の三次元的解析が可能になる。S波構造解析では、レイリー波及びS波の両探査法で得られたデータについて、公知の逆解析法と、公知の順解析法の2つを複合した「複合シミュレーション解析法」によって、従来実施困難であった表層からGL−約100mに至るS波構造が得られる。これによって、改良型重錘落下式発振源について、従来からの弱点であったGL−20m〜−50m間におけるS波探査の弱点を機動的・経済的に補うことができる。
波構造探査サブシステム100は、「従来方法である人工震源を使用したレーリー波探査法の到達深度限界(GL−20m以浅で有効)」に対して、人工発信源エネルギー不足の改善を機動的落下錘の重量増加により行い、GL−100mに至る計測と解析を可能とする。また、S波構造探査サブシステム100は、グリッド交点上に発信源と受信器をシスティマティックに配置し地中地質構造の不整合を解釈する。
の人工発振源を使用したレイリー波探査法において、落錐式発振源に代えて、よりエネルギーの高い起振装置や起振車を使用しても、レイリー波の複合解析のためには何ら差し支えないばかりか、データーの確実性を上昇させることができる。本発明における同心配置レイリー波検出装置(S波構造探査サブシステム100)において、受信機を10機を超えて拡大多重化することや、単数の同心配置レイリー波検出装置に適用することは、地層性状把握における到達深度を増大させる
[コア採取サブシステム]
コア採取サブシステム200は、上述のグリッド頂点上位置に鉛直・斜掘のボーリング孔を形成し、掘進用懸濁気泡水の自動スライム機能を利用し掘進する。これによって、平滑なボーリング孔壁を有するボーリング孔の形成と、実質上清水でコアの採取とを可能とする。なお、懸濁気泡水の自動スライム排除機能によるボーリングを行うものであり、清水掘と気泡ボーリングの長所を生かし、これらの欠点を克服した工法である。
コア採取サブシステム200は図3に示すように構成されており、懸濁気泡水による孔底での自動スライム排除機能を備えている。図3の原水タンク202中には原水として地下水又は表層水、やむを得ない場合には水道水が貯留されており、原水タンク202は地下水の沈砂池としても使用している。原水タンク202に貯留された原水は、送水ポンプ204により給水管を介して、不活性ガスで懸濁した気泡水を生成する液混合器208に連続的に圧送される。不活性ガスボンベ210が気液混合器208の外部に配置されており、不活性ガスボンベ210と気液混合器208とはガス供給管で接続されている。気液混合器208には、原水の供給と同時に不活性ガスボンベ210からガス供給管を介して、不活性ガスが連続的に一定混合比率で供給される。従って、気液混合器208中では、原水と不活性ガスとが高速混合・分散することにより、不活性ガスで懸濁した気泡水が生成する。なお、液混合器208の前後の配管には、弁206、212が配置されている。液混合器208で生成された懸濁気泡水(清水)は、配管を介して、鉛直掘削コア採取装置220や傾斜掘削コア採取装置230に導かれる。これらのコア採取装置の孔底において、コア250が懸濁気泡水を用いて掘削される。
また、コア採取サブシステム200は、後述の図4に示すように、注目調査位置の支持基盤面及びこれを挟む上下の地質・構造の確認を目的とし、支持基盤面の損傷を最小限に抑えるために、着目支持基盤領域の四周で、組織的に(体系的に、所定間隔で)実施する斜掘を特徴とするボーリングとオールコア採取を実施する。
なお、S波構造探査サブシステム100のように反射法とレイリー波測定点をグリッド頂点に配置して測定する際に、嵩密度が似通う地盤岩盤あるいは層厚が薄い場合にはその解像度の制約から異なる地盤岩相でも、自動解析あるいは画像表現を明確にし難いという限界があった。先に従来技術のところで述べたように、群列を形成するような多数の鉛直ボーリングの実施は、鉛直に近い伏在断層・すべり面・不整合の検出には適せず、地盤岩盤の損傷を増加せしめるだけであって、徒労に近いことに着目して、これを克服するためにコア採取サブシステム200を工夫したものである。このコア採取サブシステム200は、従来型の普通工法(清水掘)ボーリングに替えて、「懸濁気泡水を使用した自動スライム排除機能」を付与した「清水掘コア採取工法」を使用し、計画的に配置された複数の傾斜ボーリングと鉛直ボーリングと併用して実施する。
それらの鉛直ボーリングの配置(図4参照)は、建造物予定地を取囲むように、所定間隔でグリッドを形成せしめ、その頂点に配置された鉛直ボーリング群を形成し、鉛直ボーリングの配置付近を挟むよう傾斜型ボーリング群を形成する。このように配置された斜掘型ボーリング群を有する地質構造調査ボーリングシステムにより、地表からの露頭調査・リニアメント調査では、存在・不存在が確認しづらかった伏在断層・すべり面・不整合のような構造的広がりを持つ地質・構造すなわち深度・走向傾斜の確認を可能とするばかりか、複合表面波探査システムに残された地質構造確認評価に関する不確実性を低減する。
コア採取サブシステム200において、掘進方法として「懸濁気泡水を使用するコントロールボーリング」の適用や、「懸濁気泡水を使用する定方位コア採取」の適用、さらに「深度・岩種に応じた錘冠の取替え、泥水使用あるいは界面活性剤使用から懸濁気泡水への変更」、「懸濁気泡生成のための送気用ポンプや圧縮空気ボンベの使用の使用、窒素・アルゴンボンベとそれら等のグレード変更、水素混合不活性ガスボンベの使用」等はなんら差し支えなく、しかも同一掘進システムの適用(懸濁気泡水生成システムと掘進装置の使用)が可能であり、工程上差し支えなく効果を損なうものではないばかりか、それらの要素技術を地盤岩盤の硬軟・深度に応じて随時組合せることは、本発明の効果を増大せしめものである。また、コア採取サブシステム200のように、「清水掘コア採取工法」に対し、空気に替えて、窒素、高純度チッソ、アルゴン、水素入りアルゴン、ヘリウム等を使用する工法を用いても良く、この場合には、結晶質岩は勿論のこと固結度の低い泥岩、破砕帯のような岩屑の半固結混合層、礫と粘土からなる固結度の低い混合層等も円滑に、しかも微粒分を流失やコア構造の乱れのないコアを採取することが出来るばかりか、採取したコア・地下水に関する調査目的に応じて変更することにより、微生物学的試験、地化学的試験、環境化学的試験に対応することが可能になる。
なお、コア採取サブシステム200において、懸濁気泡水中の気泡安定化のために界面活性剤を使用しても良いが、界面活性剤を使用しないでも結晶質岩は勿論のこと固結度の低い泥岩、破砕帯のような岩屑を含む半固結混合層、礫と粘土からなる固結度の低い混合層等についても円滑に、しかも微粒分を流失させることなく、コア構造の乱れのない高品質のコアを採取することを可能ならしめるので、地化学的制約がなければ、工程の促進上有利である。
コア採取サブシステム200では、原則的には同一の孔底剪断試験用錘冠と掘進装置を使用する。錘冠はオールコア採取(ダブルコアチューブ方式)可能とする。コア採取サブシステム200は、鉛直掘進部と孔底剪断試験当たり面を構成するためのらせん状に配置されたダイアモンドビット丘群からなる孔底剪断試験錘冠と、掘進ロッドの地上部には回転角と回転応力を測定するための装置を有する。
また、コア採取サブシステム200の掘削コア採取装置をそれぞれグリッド交点に配置して(図4)、鉛直や傾斜掘でボーリングを行う。コア採取サブシステム200は、懸濁気泡水によってボーリング孔内の洗浄を実施しながら、ボーリングを行なうため、孔底・孔壁における付着・沈殿スライムによる滑りが無くなり、ダイヤモンドビットを使用する場合には、ダイヤモンド・ダストで研磨しているような滑らかな孔壁が得られる。このように、コア採取サブシステム200を用いることにより、S波構造探査サブシステム100で得られた、地質構造について、コア試料の地層構成鉱物・土質について分析可能となり、構造的すべり面の把握が可能となる。
[S波構造探査サブシステムとコア採取サブシステムとの配置]
図4はS波構造探査サブシステム100とコア採取サブシステム200との配置の相互関係を図示したものである。図4において、地表面1000にはS波構造探査サブシステム100が図2に示したような所定間隔で複数配置され、地表面1000の下方の地中に対象構築面1100が位置し、対象構築面1100よりさらに下方の地下の調査必要深度に調査必要深度面1200が位置する。図5中、敷地内調査として従来工法ボーリング260が、対象位置に対して最外周で、調査必要深度面1200まで行われる。また、支持基盤調査としてコア採取サブシステム200の鉛直ボーリング270が、従来工法ボーリング260の位置よりも対象位置により近い外周位置の矩形状頂点及び対象位置で、調査必要深度面1200まで行われる。さらに、外周補完調査として前記矩形状の外周位置の各辺の中点で、コア採取サブシステム200の鉛直ボーリング280が行われる。また、傾斜不整合確認調査として、コア採取サブシステム200の傾斜ボーリング290が、外周位置内で、対象構築面1100まで行われる。
なお、S波構造探査サブシステム100は地表からの探査により、S波伝播速度の異なる面に関するデータの把握を行って、精密調査の候補となる地点・支持基盤深度についての三次元情報を与える一方、コア採取サブシステム200はグリッド交点に配置され、これにより構造的な広がりを有する伏在断層・すべり面・不整合等の確認が可能となる。それらのデータは、ボーリング孔内におけるボアホールテレビサブシステム600の併用により、走向傾斜計測も可能となる。
図5は、システム化された配列による鉛直・斜掘を行うコア採取サブシステム200による地質構造確認の効果を示す原理図である。従来の(普通工法による鉛直掘)群列ボーリングや地表からの把握が(あるいはリニアメント調査では)困難であったが、コア採取サブシステム200では、鉛直に近い鋭角で直立した伏在断層・すべり面・不整合の検出・確認が可能となる。なお、S波構造探査サブシステム100とコア採取サブシステム200とは平行して実施可能であり、得られるデータ(情報)を記録解析サブシステム300を介して随時相互に交換するか、又はま記録解析サブシステム300に両者のデータ統合して解析することにより、それらの機動的な実施を促進するばかりか、それらのデータ精度を向上させることができる。
本発明の地質構造原位置調査システムを示すブロック図である。 図1のS波構造探査サブシステム100の原理を示す図である。 図1のコア採取サブシステムを示す構成図である。 図1のS波構造探査サブシステム及びコア採取サブシステムの配置を示す斜視図である。 図1のコア採取サブシステムによる地質構造確認の効果を示す原理図である。
1 地質構造原位置調査システム
100 S波構造探査サブシステム
200 コア採取サブシステム

Claims (8)

  1. 地質構造調査システムであって、
    レイリー波及び反射波の両測定における測定点を互いに相重なるように配置して、前記レイリー波及び前記反射波の両方を測定するS波構造探査サブシステムを含み、
    前記S波構造探査サブシステムは、前記レイリー波及び前記反射波を測定するために、地表に設定されたグリッドの各頂点に配置される複数のアレイを備える、地質構造調査システム。
  2. 請求項記載の地質構造調査システムにおいて、前記アレイは、所定の間隔で配置される複数の受信機から構成される、地質構造調査システム。
  3. 請求項1記載の地質構造調査システムであって、懸濁気泡水を用いてボーリング孔を掘進して、コアを採取するコア採取サブシステムをさらに含む、地質構造調査システム。
  4. 請求項記載の地質構造調査システムにおいて、前記コア採取サブシステムは、鉛直掘又は斜掘のコア採取装置を備える、地質構造調査システム。
  5. 地質構造調査方法であって、
    レイリー波及び反射波の両測定における測定点を互いに相重なるように配置して、前記レイリー波及び前記反射波の両方を測定するS波構造探査工程を含み、
    前記S波構造探査工程は、前記レイリー波及び前記反射波を測定するために、地表に設定されたグリッドの各頂点に配置される複数のアレイを備える、地質構造調査方法。
  6. 請求項記載の地質構造調査方法において、前記アレイは、所定の間隔で配置される複数の受信機から構成される、地質構造調査方法。
  7. 請求項記載の地質構造調査方法であって、懸濁気泡水を用いてボーリング孔を掘進して、ボーリング孔の形成とコアを採取するコア採取工程をさらに含む、地質構造調査方法。
  8. 請求項記載の地質構造調査方法において、前記コア採取工程は、鉛直掘又は斜掘のコア採取装置を用いてコアを採取する、地質構造調査方法。
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