JP2007176868A - β−グルクロニダーゼ阻害剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】継続的に摂取しても副作用の心配がなく、優れたβ−グルクロニダーゼ阻害効果を有することにより、生体にとっての有害あるいは不要物質を効率よく体外に排泄させることで、大腸癌、膀胱癌の予防する効果や、また、ヒトの不快な体臭の発生を抑制する効果のある新規の物質を天然物の中から見出し、当該物質を食品や化粧品、さらには医薬品あるいは医薬部外品等に添加するための素材として利用する。
【解決手段】下記一般式(1)で示されるリゾリン脂質を含むことを特徴とするβ−グルクロニダーゼ阻害剤。
【化1】
Figure 2007176868

(式中、Rは炭素数10〜30の飽和又は不飽和の脂肪族アシル基を表し、Xは水素原子又は極性基を表す。)
【選択図】 なし

Description

本発明は、β−グルクロニダーゼ阻害剤に関する。より詳しくは、リゾリン脂質を含むβ−グルクロニダーゼ阻害剤に関する。
生体にとって有害な物質または不要になった物質の多くは、肝臓でグルクロン酸抱合を受けて極性が高められた後、胆汁中に排泄され、腸管内を経て体外へ排泄されている。ところが腸内に棲息する腸内細菌の有するβ−グルクロニダーゼにより、グルクロン酸抱合体が加水分解され、脱抱合する。脱抱合された物質は、極性が低くなるため、下部消化管より再度吸収されて体内を循環し、再び肝臓で代謝/抱合を受けて腸管に排泄される(腸肝循環)。このような腸肝循環の結果、有害物質や不要物質が長期にわたり排泄されることなく生体内に留まることによって、遺伝子の変異、発癌など、生体にとって不利益な影響が生じることになる。
例えば、大腸癌患者の糞便中のβ−グルクロニダーゼ活性は健常者のそれに比べ約12倍高く、有害物質の体内貯留が大腸癌に大きく関与している可能性が考えられている(非特許文献1参照)。
腸内や皮膚などに常在する微生物に由来するβ−グルクロニダーゼは、生体に有害又は不要な物質の代謝排泄を抑制する酵素であることから、β−グルクロニダーゼを阻害することにより、これらの有害または不要な物質の生体外への代謝排泄を促進することができると考えられる。したがって、β−グルクロニダーゼを阻害することにより、発癌や抗癌剤による副作用を防止または軽減できると考えられ、これまでにいくつかのβ−グルクロニダーゼ阻害剤が考案されている。
β−グルクロニダーゼ阻害のメカニズムに基づく医薬品として、例えばアセトグラトン(登録商標:グルカロン)が挙げられ、この医薬品の適用は膀胱でβ−グルクロニダーゼを阻害することによる膀胱癌再発予防である。
また、D−glucarateの活性代謝産物であるD−glucaro−1,4−lactoneはβ−グルクロニダーゼを阻害することが報告されており、乳癌、大腸癌、肝臓癌、肺癌並びに皮膚癌に対して効果が認められている(非特許文献2参照)。
膀胱癌予防、大腸癌予防に効果のある天然物由来のβ−グルクロニダーゼ阻害剤として、木通、山梔子、大黄、連翹、竹茹、厚朴、ボクソク、牛蒡子、釣藤鉤、桂皮、荊芥、黄ゴン及び黄連といった各種生薬の抽出物を含有するものが知られている(特許文献1参照)。
天然物由来のβ−グルクロニダーゼ阻害剤としては、また、オウゴン及び/又はケイガイ抽出物や、この抽出物から得られるバイカリン、オロキシリンA−7−O−グルクロニド又はルテオリン−3’−グルクロニドを含有するものも報告されている(特許文献2参照)。
一方、ヒトの不快な体臭の防除技術には、制汗機能を有する素材による汗の制御技術、抗菌機能を有する素材による不快臭発生原因菌の増殖の制御技術、発生した不快な体臭を消臭する技術及び香りによるマスキング技術等がある。
制汗技術としては比較的強い収斂作用を有するパラフェノールスルホン酸亜鉛やクエン酸、各種のアルミニウムやジルコニウム塩を用いて発汗を抑制する方法が考案され、抗菌技術としては体臭の原因物質を作り出す原因菌(皮膚常在菌を含む)の増殖を抑制する機能を有するトリクロ酸、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩酸クロルヘキシジン、ハロカルバン等の抗菌剤を用いて臭気の発生を抑制する方法が考案されている。
また、消臭技術としては不快な体臭の原因物質の一つである低級脂肪酸を亜鉛華(酸化亜鉛)などにより金属塩に変えることでその特異的な臭気の発生を抑制する方法やフラボノイドやクロロフィルなど消臭効果を有する素材の配合が考案され、マスキング技術としては、香水やオーデコロンにより程度の弱い体臭をマスキングする方法等が考案されている。
しかしながら、従来の制汗技術、消臭技術及びマスキング技術は、効果の持続性という点で充分でなく、また抗菌技術は不快臭の発生原因菌以外に皮膚常在菌をも殺菌することで皮膚の一次バリアー機能を低下させるおそれが示唆されている。
近年、ヒトの不快な体臭の原因の一つとされる揮発性ステロイド臭の原因物質であるアンドロステ16−エン類が着目され、その生成抑制について検討されたが、特定の植物及び菌類抽出物に優れたβ−グルクロニダーゼ阻害活性があり、皮膚常在菌を殺すことなくアンドロステ16−エン類に由来する不快な体臭の発生を抑制できることが見出だされた。
このデオドラント剤として、オウゴン、ゴバイシ、クチナシ等の植物及び菌類の抽出物からなるものが知られている(特許文献3参照)。
このように、β−グルクロニダーゼ阻害活性を有し、膀胱癌予防、大腸癌予防やデオドラントに効果がある各種化合物が知られているが、リン脂質にβ−グルクロニダーゼ阻害活性があることはまだ報告されていない。
特開2005−162756号公報 特公平7−98752号公報 特開2002−255776号公報 Dong−Hyun Kim et al.(2001)Arch Pharm Res 24:564−567 Z.Walaszek(1990)Cancer Letters 54;1−8
本発明は、継続的に摂取しても副作用の心配がなく、優れたβ−グルクロニダーゼ阻害効果によって、生体にとっての有害あるいは不要物質を効率よく体外に排泄させることで、大腸癌、膀胱癌の予防効果や、また、ヒトの不快な体臭の発生を抑制する効果のある新規の物質を天然物の中から見出し、当該物質を食品や化粧品、さらには医薬品あるいは医薬部外品等に添加するための素材として利用することを目的とする。
本発明者は、鋭意研究を行った結果、リン脂質の一種である天然物由来の酵素処理リゾリン脂質に優れたβ−グルクロニダーゼ阻害効果があることを見出し、本発明に至った。
すなわち本発明は、下記一般式(1)で示されるリゾリン脂質を含むことを特徴とするβ−グルクロニダーゼ阻害剤である。
Figure 2007176868
(式中、Rは炭素数10〜30の飽和又は不飽和の脂肪族アシル基を表し、Xは水素原子又は極性基を表す。)
本発明は、また、β−グルクロニダーゼ阻害剤を含む食品、化粧品、医薬品及び医薬部外品である。
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明のβ−グルクロニダーゼ阻害剤は、上記一般式(1)で示されるリゾリン脂質を含むものである。
一般式(1)におけるRは、炭素数10〜30の飽和又は不飽和の脂肪族アシル基を表す。炭素数10〜30の飽和の脂肪族アシル基としては特に限定されず、例えば、ラウロイル基、ミリストイル基、パルミトイル基、ステアロイル基、エイコサノイル基、ヘンエイコサノイル基、ドコサノイル基、トリコサノイル基、テトラコサノイル基、ペンタコサノイル基、ヘキサコサノイル基、ヘプタコサノイル基、オクタコサノイル基、ノナコサノイル基、トリアコンタノイル基等が挙げられる。炭素数10〜30の不飽和の脂肪族アシル基としては、モノ不飽和又はポリ不飽和のものが挙げられ、例えばドコサモノエノイル基、ドコサジエノイル、ドコサトリエノイル基、ドコサテトラエノイル基、ドコサペンタエノイル基、ドコサヘキサエノイル基、トリコサモノエノイル基、トリコサジエノイル基、オレオイル基、リノレオイル基、リノレノイル基、アラキドノイル基等が挙げられる。上記アシル基としては、パルミトイル基、ステアロイル基、リノレオイル基、オレオイル基、リノレノイル基等が好ましい。
一般式(1)におけるXは、水素原子又は極性基を表す。上記極性基としては、例えば、コリン、エタノールアミン、イノシトール、セリン、グリセロール、エタノール等のヒドロキシル基含有化合物の炭素骨格に結合しているOH基を除いた残基が挙げられる。上記Xとしては、水素原子や、エタノールアミン、コリン、グリセロールの残基が好ましく、グリセロールがより好ましい。
本発明で用いるリゾリン脂質としては、上記一般式(1)で表されるもののなかでもリゾホスファチジン酸、リゾホスファチジルエタノールアミン、リゾホスファチジルコリン又はリゾホスファチジルグリセロールが好ましく、リゾホスファチジルグリセロールがより好ましい。なお、上記リン脂質は、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明で用いるリゾリン脂質は、大豆等の植物や動物由来のリン脂質にホスホリパーゼDを作用させて、塩基交換反応あるいは加水分解反応を行った後、ホスホリパーゼAを作用させて、グリセロールの2位に結合した脂肪酸等を加水分解することにより得ることができる。なお、生成したリゾリン脂質の組成は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により分析することができる。
本発明の阻害剤はβ−グルクロニダーゼに対して優れた阻害活性を有するので、生体にとって有害あるいは不要物質の排泄促進剤、大腸癌、膀胱癌の予防剤や再発抑制剤、皮膚常在菌による不快臭を防除するデオドラント剤としての効果が期待できる。
本発明のβ−グルクロニダーゼ阻害剤は、食品、化粧品、医薬品、医薬部外品に使用することができる。上記食品としては例えば機能性食品等が挙げられ、ここでいう機能性食品とは、サプリメント、特定保健用食品、健康食品、栄養補助食品、栄養機能食品など医薬品以外で経口的に摂取することにより、健康の維持あるいは改善を目的とする製品を意味している。本発明のβ−グルクロニダーゼ阻害剤を含む機能性食品を日常的に飲食することにより、生体にとっての有害あるいは不要物質を効率よく体外に排泄させることで、大腸癌、膀胱癌を予防、改善する効果が期待できる。
本発明の阻害剤は、経口的あるいは非経口的に投与することができる。経口投与剤としては散剤、顆粒剤、カプセル剤、錠剤などの固形製剤あるいはシロップ剤、エリキシル剤などの液状製剤が挙げられる。また、非経口投与剤としては、貼付剤、パップ剤、軟膏剤、クリーム剤、ローション剤、点眼剤、坐剤、注射剤などが挙げられる。本発明のβ−グルクロニダーゼ阻害剤をデオドラント剤として用いる場合は、更に乳液、パウダー、スプレー、スティック等に調製して用いることもできる。
本発明のβ−グルクロニダーゼ阻害剤には、更に、上記リゾリン脂質の他に薬剤学的および食品衛生学的に許容される他の素材を常法により適宜添加混合してもよい。このようなものとしては特に限定されず、例えば、賦形剤、崩壊剤、滑沢剤、結合剤、コーティング剤、着色剤、凝集防止剤、吸収促進剤、溶解補助剤、安定化剤、健康食品素材、栄養補助食品素材、ビタミン、漢方薬(生薬エキス)を含む薬剤ならびにこれらの組み合わせなどが挙げられる。
本発明のβ−グルクロニダーゼ阻害剤をデオドラント剤として皮膚に塗布して用いる場合は、更に、化粧料成分として一般的に使用される油分、界面活性剤、アルコール類、キレート剤、pH調整剤、防腐剤、増粘剤、色素類、香料等の他、紫外線吸収剤、美白剤、しわ改善剤、保湿剤、皮脂分泌抑制剤、柔軟剤、角質保護剤、薬効剤、酸化防止剤、溶剤等の成分を任意に組み合わせ配合することもできる。
本発明のβ−グルクロニダーゼ阻害剤におけるリゾリン脂質の含有量は特に限定されず、好ましくは1重量%以上、より好ましくは10重量%以上である。
本発明のリゾリン脂質を含有するβ−グルクロニダーゼ阻害剤を作製する際のリゾリン脂質の含有量、剤型、保存方法および保存形態は、医薬品、医薬部外品、食品、化粧品などの用途に応じて適宜決定できる。例えば、本発明のβ−グルクロニダーゼ阻害剤をデオドラント剤として皮膚に塗布して用いる場合、当該阻害剤中のリゾリン脂質の含有量は、好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは1重量%以上である。
本発明の阻害剤の投与量としては特に制限されず、疾患の種類や程度によって適宜調整すればよく、例えばリゾリン脂質の量に換算して成人一人当たり1日に90(卵1/2個分)〜1800(卵10個分)mg程度を投与すればよい。
また、本発明の阻害剤をデオドラント剤として皮膚に塗布する場合の使用量は、例えばリゾリン脂質の量に換算して成人一人当たり皮膚局所に1日に18(卵1/10個分)〜360(卵2個分)mg程度を塗布すればよい。
本発明のβ−グルクロニダーゼ阻害剤は、優れたβ−グルクロニダーゼ阻害効果を有するので、生体にとっての有害あるいは不要物質を効率よく体外に排泄させることで、大腸癌、膀胱癌の予防効果が期待され、また、ヒトの皮膚常在菌に由来する不快な体臭の発生を抑制する効果が期待される。また、当該阻害剤は、継続的に摂取しても副作用の心配がないリゾリン脂質からなるので、食品、化粧品、さらには医薬品あるいは医薬部外品等に添加するための素材として利用することができる。
以下に実施例を示して本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
製造例1 リゾホスファチジン酸(LPA)の製造方法
500mLの緩衝液(蒸留水:490g、酢酸:0.9g、酢酸ナトリウム8.7g、pH=5.5)に、120gの大豆レシチン(商品名:UltralecP、エー・ディー・エム・ファーイースト社製)とホスホリパーゼD溶液240g(10,000U/mL、 ナガセケムテックス社製)を添加し、50℃で8時間、撹拌しながら酵素反応を行い、ホスファチジン酸(略語:PA)を生成させた。酵素反応後、ヘプタン410g、アセトン950gで抽出を行い、PAを含む溶媒層を得た。
得られた溶媒層に280gの15%塩化ナトリウム水溶液、210gのアセトンを添加し、1時間撹拌後、静置し、分液後、溶媒層を得た。さらに280gの蒸留水、210gのアセトンを添加し、1時間撹拌後、静置し、分液後溶媒層を得た。エバポレーターで減圧濃縮(約2倍濃縮)し、PAを含むレシチン溶液を380mL得た。
PAを含むレシチン溶液380mlに酢酸エチル190mlを添加、さらにホスホリパーゼA酵素(90,000U、商品名:PLAナガセ、ナガセケムテックス社製)を含む60mLの緩衝液(0.1Mトリス緩衝液、pH8.5)を添加し、30℃で20時間、撹拌しながら酵素反応を行い、リゾホスファチジン酸(略語:LPA)を生成させた。
酵素反応後、380mLのエタノールを添加し、不溶物をろ過で除去した後、溶媒を減圧下で留去し、LPA含有レシチンの試料を作成した。試料の組成は、LPA 40.0%、リゾホスファチジルエタノールアミン 4.0%、リゾホスファチジルイノシトール 8.7%、ホスファチジン酸 19%、ホスファチジルエタノールアミン 0.6%、ホスファチジルイノシトール 0.9%、その他 26.8%であった。
製造例2 リゾホスファチジルコリン(LPC)の製造方法
180mLの緩衝液(0.1M Tris−HCl、pH8.0)に、90gの精製大豆レシチンSLPC70(ツル食品社製)と30mM CaClを添加して、Votexにて良く混合した後、PLAナガセ(ナガセケムテックス社製ホスホリパーゼA)を1500NCXU/gレシチンになるように加え、50℃で保温攪拌しながら16時間反応した。反応後、反応液の5倍容量のエタノールを加え、室温で30分かけて抽出した。抽出液の沈殿をろ過し、上清をエバポレーターで減圧濃縮(約3倍)した。さらに、濃縮液に3倍容量のアセトンを加え、良く混ぜた後、一晩冷蔵保存した。上清をデカンテーションして、沈殿を真空乾燥し、57gのペーストが得られた。ペースト試料の組成は、LPC 82.5%、ホスファチジルコリン 1.4%、ホスファチジルエタノールアミン 0.6%、リゾホスファチジルエタノールアミン 15.4%であった。
製造例3 リゾホスファチジルエタノールアミン(LPE)の製造方法
大豆レシチンSLP−PC70(商品名、辻製油社製)200gをヘプタンとアセトンの混液(3:1)に溶解し、2Lになるように調製した。20,000UのホスホリパーゼD(ナガセケムテックス社製)、2.7モルのエタノールアミンを含む酵素溶液(pH=8.0)を740mL調製し、大豆レシチン溶液に添加し、30℃で20時間、撹拌しながら酵素反応を行い、ホスファチジルエタノールアミン(略語:PE)を生成させた。分液後、PEを含む溶液を得た。エバポレーターで減圧濃縮(約3倍濃縮)し、5倍量のアセトンを添加し、不溶物として得られるPEをろ過により回収、減圧乾燥して、PE晶析物180gを得た。
PE180gを270,000UのホスホリパーゼA(商品名:PLAナガセ、ナガセケムテックス社製)を含む緩衝液(0.1Mトリス緩衝液、50mM塩化カルシウム)に分散し、1.8Lになるように調製した。30℃で20時間、撹拌しながら酵素反応を行い、リゾホスファチジルエタノールアミン(略語:LPE)を生成させた。16Lのエタノールを添加し、LPEを抽出後、減圧濾過でLPE抽出液を得た。エバポレーターにより3倍濃縮後、5倍量のアセトンを添加し、不溶物として得られるLPEをろ過により回収、減圧乾燥して、LPE晶析物120gを得た。LPE晶析物の組成は、LPE 69.4%、リゾホスファチジルコリン 3.8%、ホスファチジルエタノールアミン 4.5%、ホスファチジルコリン 0.1%、リゾホスファチジン酸 3.8%、その他 18.4%であった。
製造例4 リゾホスファチジルグリセロール(LPG)の製造方法
ホスファチジルコリンを70質量%以上含有するレシチン(商品名:SLP−PC70、ツルーレシチン工業社製)27gを、最終濃度が0.2M酢酸緩衝液(pH5)および3.5Mグリセロールとなるように混合したグリセロール溶液50mLに分散させた後、ホスホリパーゼD(ナガセケムテックス社製)2,700Uを加え、50℃で5時間反応させた。
次に2N NaOHでpHを7.6に調整した後、ホスホリパーゼA(ノボザイムズジャパン社製レシターゼ10L、10,000IU/g)24,000IUを加え、50℃で5時間の処理を行うことにより、90%以上のリゾホスファチジルグリセロールを含有する(すなわち、90%以上のホスファチジルグリセロールがリゾ化した)分散液を得た。分散液に対して3倍容量のエタノールを添加し、ホスホリパーゼAを沈殿させ、除去した。沈殿を除去した後のエタノール溶液を、容量が1/3となるまで濃縮し、得られた濃縮液の3倍容量のアセトンを添加して、リゾホスファチジルグリセロールを結晶化させ、回収した。本品の組成はLPG 78.0%、ホスファチジルグリセロール 5.8%、ホスファチジルエタノールアミン 1.5%、ホスファチジルコリン 0.1%、その他14.6%であった。
実施例1 β−グルクロニダーゼ阻害活性測定方法
p−ニトロフェニル−β−D−グルクロニド(PNG)(和光純薬工業社製)を、0.1Mリン酸緩衝液(pH7.0)に溶解して、10mMのPNG溶液を調製した。大腸菌由来のβ−グルクロニダーゼ(和光純薬工業社製)を、0.1Mリン酸緩衝液(pH7.0)に溶解し、0.1Uのβ−グルクロニダーゼ(βGL酵素)溶液を調製した。製造例1〜4で得られたリゾリン脂質20μLに10mM PNG溶液を10μL、βGL酵素溶液を30μL、0.1Mリン酸緩衝液(pH7.0)190μLを混合し、37℃で30分間反応した。反応後、405nmの波長で吸光度測定を行い、β−グルクロニダーゼ阻害活性を計算し、反応を50%阻害する濃度(IC50)を算出した。なお、β−グルクロニダーゼ阻害活性は以下の式から求めた。結果を表1に纏めた。
β−グルクロニダーゼ阻害活性(%)=1−〔(リゾリン脂質添加反応吸光度)−(リゾリン脂質ブランク吸光度)〕/〔(コントロール吸光度)−(ブランク吸光度)〕×100
Figure 2007176868
測定の結果、リゾホスファチジン酸、リゾホスファチジルエタノールアミン、リゾホスファチジルコリン及びリゾホスファチジルグリセロールによるβ−グルクロニダーゼの阻害効果が認められた。特にリゾホスファチジルグリセロールについては、少量の添加でも顕著なβ−グルクロニダーゼの阻害効果が認められた。
本発明のβ−グルクロニダーゼ阻害剤は、優れたβ−グルクロニダーゼ阻害効果を有するので、生体にとっての有害あるいは不要物質を効率よく体外に排泄させることで、大腸癌、膀胱癌の予防効果が期待され、また、ヒトの不快な体臭の発生を抑制する効果が期待される。また、当該阻害剤は、継続的に摂取しても副作用の心配がないリゾリン脂質からなるので、食品、化粧品、さらには医薬品あるいは医薬部外品等に添加するための素材として利用することができる。

Claims (5)

  1. 下記一般式(1)で示されるリゾリン脂質を含むことを特徴とするβ−グルクロニダーゼ阻害剤。
    Figure 2007176868
    (式中、Rは炭素数10〜30の飽和又は不飽和の脂肪族アシル基を表し、Xは水素原子又は極性基を表す。)
  2. 前記リゾリン脂質がリゾホスファチジン酸、リゾホスファチジルコリン、リゾホスファチジルエタノールアミン又はリゾホスファチジルグリセロールであることを特徴とする請求項1に記載のβ−グルクロニダーゼ阻害剤。
  3. 請求項1又は2に記載のβ−グルクロニダーゼ阻害剤を含む食品。
  4. 請求項1又は2に記載のβ−グルクロニダーゼ阻害剤を含む化粧品。
  5. 請求項1又は2に記載のβ−グルクロニダーゼ阻害剤を含む医薬品及び医薬部外品。
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