以下本発明を実施形態により説明する。
(実施形態1)
図1に本発明に係る配線システム全体のシステム構成を示す。この配線システムでは、建物内の適所において複数のスイッチボックスBを埋込配設してあり、始端のスイッチボックスBに対しては、屋外より配線盤8内に引き込まれ主幹ブレーカMB及び分岐ブレーカBBを介して屋内に引き込まれた電力線L1と、外部のインターネット網NTにゲートウェイGW(ルータ、ハブ内蔵)を介して接続される情報線L2とを導入する。また各スイッチボックスBの間は壁面内に先行配線された電力線L1と情報線L2とを送り配線してある。
ここで、スイッチボックスBは、例えばJISで規格化された大角形の1個モジュール寸法の埋込型配線器具を3個取り付けることができる1連の取付枠70(図2参照)に対応して規格化されたもので、配線盤8又は他のスイッチボックスBから送り配線されてくる電力線L1及び情報線L2を上部から導入するとともに、他のスイッチボックスBへ送り配線するための電力線L1及び情報線L2を下部から導出している。尚、スイッチボックスBには、図1及び図3に示すように室内の天井CLに設けられるものと、壁Wに設けられるものと、床FLに設けられるものとがある。
そして、各スイッチボックスBの内部には、図1、図2に示すコネクタ装置1が取付枠70を用いて埋込配設されている。取付枠70は矩形枠状であって、器具取付用の細長の取付窓71を有しており、左右の枠片72には取付窓71の長手方向において器具取付孔73を3組ずつ備えている。
また取付枠70の上下の横枠片74には、スイッチボックスBに取り付けるための取付ねじ用の長孔75や、壁を構成する石膏ボードなどに取り付けるための従来周知のはさみ金具(図示せず)が取着される取着孔76や、前面側に後述のプレート枠80を取り付けるためのプレートねじ用のねじ孔77や、石膏ボードなどにタッピングねじにより直接ねじ固定するためのねじ挿通孔78が少なくとも設けてある。
更に上下の横枠片74の左右両側部からはL字形の引掛片79、79が一体に突出しており、左右方向の片側から突出する引掛片79は横枠片74の上部から延出して先端が下向きに突出し、反対側から突出する引掛片79は横枠片74の下部から延出して先端が上向きに突出している。この取付枠70をスイッチボックスBに取り付ける際には、取付枠70の上下の横枠片74に設けた長孔75に挿通する取付ねじ(図示せず)をスイッチボックスBのねじ孔(図示せず)に締結することで、コネクタ装置1ごとスイッチボックスBに取り付けられる。
コネクタ装置1の器体10は、規格化された単位寸法の埋込型配線器具を短幅方向に3個並べた大きさに相当する寸法(3個モジュール寸法)に形成されており、器体10の左右両側面には取付枠70の枠片72に設けた器具取付孔73に係止離脱自在に係止する係止爪10aが2組ずつ形成されている。そして、コネクタ装置1の器体10は、取付枠70の取付窓71から器体10の前面を露出させた状態で取付枠70に取り付けられている。
コネクタ装置1では、図4に示すように器体10の背面に設けた速結端子構造の端子部11a、11b、12a、12bに電力線L1、情報線L2を接続するようになっている。ここで、電力線L1が接続される端子部11a、11bの内、下側の端子部11bに接続される電力線L1は他のスイッチボックスBへの送り配線となる(図1参照)。また、情報線L2が接続される端子部12a、12bの内、下側の端子部12bに接続される情報線L2も他のスイッチボックスBへの送り配線となっている。
一方、器体10の前面には、端子部11a、11bに電気的に接続された導電部を備えて、端子部11a、11bに接続される電力線L1を外部の電力路に接続するための電力路接続口13aと、端子部12a、12bに接続される情報線L2と電気的に接続されている導電部を備えて情報線L2を外部の情報路に接続するための情報路接続口13bとが設けられている。ここに、電力路接続口13a及び情報路接続口13bは、それぞれ、導電部の配列や開口部の形状をシステムとして定形化(規格化)してある。
次にコネクタ装置1に接続される基本機能モジュール2について図1及び図6を参照して説明する。基本機能モジュール2は扁平な直方体状のモジュール本体20を備えており、モジュール本体20の背面側には、電力路接続口13a及び情報路接続口13bにそれぞれ対応した形態に規格化されたコネクタ21a、21bが形成されており、これらのコネクタ21a、21bをコネクタ装置1の各接続口13a、13bに接続することにより、コネクタ装置1の器体10前面側にモジュール本体20を重ねた状態で取着される。
モジュール本体20の内部には図5に示すような構成の回路が内蔵されている。この基本機能モジュール2は、後述する機能モジュール3及びコントロール端末4を連設して使用するために以下の構成を備えている。
すなわち基本機能モジュール2は、コネクタ21aを介して接続される商用電源ACを所定電圧に降圧するとともに、周波数を高周波に変換し、この高周波に変換した低圧交流電源をコア23aに巻装したコイル23bに印加するAC/ACコンバータ22aと、低圧交流電源を整流平滑後、安定した直流電圧からなる内部回路の動作電源(+V)を得る直流電源部22bと、コネクタ21bを介して接続される情報線L2を通じて情報信号の送受信を行う送受信部24と、情報線L2を介して受信される情報信号をE/O変換し、発光素子LEDを通じて光信号で送出するE/O変換部25aと、機能モジュール3(或いは後述するコントロール端末4)から送られてくる光信号からなる情報信号を受光素子PDで受光し、O/E変換して送受信部24に出力するO/E変換部25bと、予め所定の被制御機器を制御するための制御情報を格納している記憶部400と、接続されるコントロール端末4との間で通信を行って情報信号により上述の制御情報をコントロール端末4へ転送(アップロード)する処理や、制御情報を設定器100等からダウンロードして記憶部400に格納する処理を行うマイクロコンピュータ等からなる情報管理部401とを備えている。
ここで、上述したコイル23bとコア23aとは、基本機能モジュール2から機能モジュール3やコントロール端末4へ電力を非接触で供給するためのトランスの一次側となる電磁結合部を構成するもので、機能モジュール3、コントロール端末4に同様に設けた電磁結合部のコアにコア23aが磁気結合し、トランス作用によってコントロール端末4に設けた電磁結合部のコイルに低圧交流電源を誘起させて電源供給を行うようになっている。
尚AC/ACコンバータ22aでは、電力線L1を通じて供給される商用電源を、商用電源周波数に比べて高周波の低圧交流電源に変換することで、電磁結合部によるトランス構成の小型化を図っている。
また図5ではコア23aとコイル23bとからなる電磁結合部が1組しか示されていないが、機能モジュール3やコントロール端末4は基本機能モジュール2の左右何れかの側、或いは、基本機能モジュール2の左右両側に並べて配置されるので、実際には電気的に並列な2組の電磁結合部が設けられ、モジュール本体20の左右両側において側壁に近接する内部位置に電磁結合部が1組ずつ配置してある。ここに、各電磁結合部のコア23aの先端が近接配置されるモジュール本体20の側面位置が、機能モジュール3やコントロール端末4に対する磁気結合部Xとなっている。
一方、E/O変換部25aの発光素子LEDは、機能モジュール3やコントロール端末4に対して情報信号を光信号により非接触で伝送するためのもので、連設する機能モジュール3側のO/E変換部(図示せず)に設けた受光素子に対置される。また、O/E変換部25bの受光素子PDは連設する機能モジュール3やコントロール端末4から光信号により伝達されてくる情報信号を受光するためのもので、連設する機能モジュール3やコントロール端末4側のE/O変換部(図示せず)に設けた発光素子に対置される。
尚、E/O変換部25aの発光素子LED及び、O/E変換部25bの受光素子PDも図5では1個ずつしか示されていないが、各変換部25a、25bには発光素子LED及び受光素子PDを2組ずつ接続してあり、モジュール本体20の左右両側において側壁に近接する内部位置に発光素子LED及び受光素子PDの組を1組ずつ配置している。ここで、発光素子LEDの発光部及び受光素子PDの受光部が対向するモジュール本体20の側壁部位は光信号が透過可能なように透明部Yとしてある。また、モジュール本体20の両側では、受光素子PDと発光素子LEDの位置が上、下で逆になるように配置され、例えば右側では受光素子PDを上、発光素子LEDを下とし、左側では受光素子PDを下、発光素子LEDを上としてある。そして、電磁結合部のコア23aの先端部の配置位置と、受光素子PD及び発光素子LEDの配置位置の上下間隔は定形としている。
基本機能モジュール2は以上のような構成を有しており、スイッチボックスBに取付枠70を用いて埋込配設されたコネクタ装置1の各接続口13a、13bに適応するコネクタ21a、21bを結合することで、基本機能モジュール2の電力確保と情報路の確保が同時に行え、且つ、スイッチボックスB内への配設が行える。
ここに、コネクタ装置1と基本機能モジュール2とでゲート装置が構成され、基本機能モジュール2の磁気結合部X及び透明部Yから電力路接続口及び情報路接続口がそれぞれ構成される。尚コネクタ装置1の各接続口13a、13bとコネクタ21a、21bの形態を定形化(規格化)しているので、基本機能モジュール2を何れのコネクタ装置1にも接続することができ、そのためレイアウトフリーに基本機能モジュール2を施工でき、また基本機能モジュール2に機能モジュール3やコントロール端末4を連設することによって多様な配線システムを展開することができる。
従って、ユーザーは、好みの利用形態に応じて基本機能モジュール2を自由に施工することができ、将来的に建物内部のレイアウトを変更したり、新しい基本機能モジュール2を追加したい場合にも、基本機能モジュール2のコネクタ装置1へ着脱のみで簡単に対応できるから、基本機能モジュール2の取替性が向上する。
次に、基本機能モジュール2に連設され、基本機能モジュール2から電力供給を受けて動作する機能モジュール3及びコントロール端末4について説明する。
まず機能モジュール3は、夫々独自の機能部28を備え、例えばディスプレイ装置Mを機能部28に備えた機能モジュール3aの場合には図7(a)、(b)に示すように、モジュール本体30の高さ寸法を埋込型配線器具の3倍のモジュール寸法に形成するとともに、横幅寸法を1個モジュール寸法の整数倍(2倍)の寸法に形成し、またモジュール本体30の両側面の形状を基本機能モジュール2の側面と同一形状とし、更に背面を平坦な面に形成して、造営面に沿って配設できるようにしたものである。
また例えばスピーカSP等を含む音源装置を機能部28として備えた機能モジュール3bの場合には図8(a)、(b)に示すように、操作スイッチSW1…からなる操作スイッチ部28dを機能部28に備えた機能モジュール3cの場合には図9(a)、(b)に示すように、モジュール本体30の高さ寸法を埋込型配線器具の3倍のモジュール寸法に形成するとともに、横幅寸法を1個モジュール寸法の整数倍(1倍)の寸法に形成し、またモジュール本体30の両側面の形状は基本機能モジュール2の側面と同一形状とし、更に背面を平坦な面に形成して、造営面に沿って配設できるようにしてある。
同様にその他の機能モジュール3にあってもモジュール本体30の高さ寸法を埋込型配線器具の3倍のモジュール寸法に形成するとともに、備える機能部に応じて横幅寸法を1個モジュール寸法の整数倍の寸法に形成し、またモジュール本体30の両側面の形状を基本機能モジュール2の側面と同一形状とし、更に背面を平坦な面に形成して、造営面に沿って配設できるようにしてある。
コントロール端末4の場合にも図10(a)、(b)に示すようにモジュール本体40の高さ寸法を埋込型配線器具の例えば3倍のモジュール寸法に形成するとともに、横幅寸法を1個モジュール寸法の整数倍(例えば1倍)の寸法に形成し、またモジュール本体40の両側面の形状は基本機能モジュール2の側面と同一形状とし、更に背面を平坦な面に形成して、造営面に沿って配設できるようにしてある。また設置場所を移動するために持ち運べる可搬型としてある。
そしてモジュール本体30、40の上下位置には、取付枠70の横枠片74と同様の横枠片31を一体に形成してあり、上下の横枠片31の挿通孔32に通したタッピングねじにより壁を構成する石膏ボードなどにモジュール本体30、40を直接ねじ固定することができる。また各横枠片31には、前面側に横枠片被蔽用の化粧カバー80を取り付けるためのねじ孔33が設けてある。また各横枠片31の左右両側部からはL字形の引掛片34、34が一体に突出しており、左右方向の片側から突出する引掛片34は枠片31の上部から延出して先端が下向きに突出し、反対側から突出する引掛片34は枠片31の下部から延出して先端が上向きに突出している。
而して、機能モジュール3或いはコントロール端末4を基本機能モジュール2に連設する場合、基本機能モジュール2が取着された取付枠70の引掛片79に機能モジュール3或いはコントロール端末4の引掛片34と係合することによって、機能モジュール3或いはコントロール端末4のモジュール本体30、40が、がたつき無く基本機能モジュール2に連設されるようになっている。
また機能モジュール3に他の機能モジュール3やコントロール端末4を連設する場合や、コントロール端末4に機能モジュール3を連設する場合は一方の引掛片34を他方の引掛片34と係合させることで、がたつき無く連設することができるようになっている。 図4ではコネクタ装置1に接続した基本機能モジュール2に機能モジュール3aを連設した状態を示している。尚連設後、横方向に並ぶ横枠片74、31を被蔽するように化粧カバー80を被せ、また上下の化粧カバー80の両端端部に上下端を凹凸結合して取り付けるエンドカバー81で連設モジュール群のエンド部位を被蔽する。尚化粧カバー80の長さ寸法をモジュール2、3及びコントロール端末4の横幅寸法に対応した寸法に対応させたものを用いて横方向に連結する構造とすることで、連設するモジュール2、3及びコントロール端末4の個数に合わせることができる。
機能モジュール3のモジュール本体30(及びコントロール端末4のモジュール本体40)の内部には、図11に示すようにコア23a及びコイル23bからなる電磁結合部を2組備えて、モジュール本体30(或いはモジュール本体40)の左右両側部において側壁に近接する内部位置に配置するとともに、夫々のコイル23bを電気的に接続し、片側の電磁結合部が隣接する基本機能モジュール2又は他の機能モジュール3或いはコントロール端末4の電磁結合部と電磁結合して受電する側(二次側)となると、他方の電磁結合部が給電側(一次側)となるようになっている。これらの電磁結合部を構成するコア23aの先端が近接配置されるモジュール本体30(或いはモジュール本体40)の側面位置が磁気結合部Xとなる。また両電磁結合部のコイル23b、23b間を接続する線路には直流電源部23を接続し、内部回路の動作電源+Vを得るようになっている。
更に情報信号を授受するために、モジュール本体30(或いはモジュール本体40)内には連設する基本機能モジュール2又は他の機能モジュール3或いはコントロール端末4から送られてくる光信号からなる情報信号を受光素子PDにて受光し電気的な信号に変換するO/E変換部25bと、電気信号からなる情報信号を隣接する基本機能モジュール2又は他の機能モジュール3或いはコントロール端末4へ光信号からなる情報信号として発光素子LEDにより送り出すためのE/O変換部25aと、O/E変換部25bからの電気信号からなる情報信号を受け取るとともに、電気信号からなる情報信号をE/O変換部25aへ送り出す情報信号送受信部25とを二組設け、一方の発光素子LEDと受光素子PDをモジュール本体30(或いはモジュール本体40)の左側側壁近傍の内部に、また他方の発光素子LEDと受光素子PDをモジュール本体30の右側側壁近傍の内部に配置してある。ここで、左側に配置される発光素子LEDの位置は受光素子PDの下側に、また右側に配置される発光素子LEDの位置は受光素子PDの上側に夫々を配置してある。
而して、左側に連設される基本機能モジュール2又は他の機能モジュール3或いはコントロール端末4の右側側壁に近接配置された発光素子LED、受光素子PDに、当該機能モジュール3或いはコントロール端末4の左側に配置した受光素子PD、発光素子LEDが夫々対向し、また右側に連設される基本機能モジュール2又は機能モジュール3或いはコントロール端末4の左側側壁に近接配置された発光素子LED、受光素子PDに、当該モジュール2又は3或いはコントロール端末4の右側に配置した受光素子PD、発光素子LEDが夫々対向するようになっている。尚発光素子LED、受光素子PDが対向しているモジュール本体30の側壁は光信号が透過できるように基本機能モジュール2と同様に透明部Yとなっている。
そして、両側の情報信号送受信部25、25間をモジュール本体30(或いはモジュール本体40)内において、双方向の信号ライン29で接続して、両側に隣接する基本機能モジュール2又はコントロール端末4に対して情報信号を中継できるようになっている。
またモジュール本体30(或いはモジュール本体40)内には、信号ライン29上の情報信号を受信するとともに、信号ライン29上に情報信号を送出する送受信部24と、この送受信部24で受信される情報信号から情報を取り込んで処理を行うとともに、機能モジュール3からコントロール端末4宛(或いはコントロール端末4から機能モジュール3宛)に情報を送る場合の情報生成処理を行う演算処理部26と、I/Oインターフェース27を介して演算処理部26との間で情報の授受を行って動作する機能部28とを設けてある。
機能モジュール3の機能部28は特有のハードウェア(以下被制御機器という)と、その被制御機器を所定の機能として動作させるために後述するようにコントロール端末4との間で通信を行うことで情報信号により送られてくる情報に基づいて被制御機器を制御するマイクロコンピュータ部(以下CPU部と称する)28aとを後述するように備えている。
例えば図12に示すように被制御機器としてデジタル映像信号対応の液晶表示器からなるディスプレイ装置Mを機能部28に備えている機能モジュール3aの場合には、ディスプレイ装置(インターフェースを含む)M以外に、コントロール端末4との間での通信をI/Oインターフェース27、演算処理部26を介して行うための通信機能と、通信によりコントロール端末4から受け取った情報に基づいてディスプレイ装置Mを起動する制御機能と、コントロール端末4で仲介されて送られてくるドアホン子機5からの所定形式の撮像情報信号をI/Oインターフェース27を介して取り込んで復調した後ディスプレイ装置Mに適合したデジタル映像信号に変換生成する映像処理機能とを、CPU部28aの実行で実現する基本プログラムを記憶部28bに備えている。
同様に図13に示すように被制御機器としてマイク兼用のスピーカSPや、再生音声の増幅用アンプAP1や、入力音声の増幅用アンプAP2等の音響装置を機能部28に備えた機能モジュール3bの場合には、音響装置以外に、コントロール端末4との間の通信をI/Oインターフェース27、演算処理部26を介して行うための通信機能と、通信によりコントロール端末4から受け取った情報に基づいてスピーカSPをマイクとして使用する切り替えを切替回路28cで行ったり、コントロール端末4により仲介されて送られてくるドアホン子機5からの圧縮音声情報を復調してD/A変換を行う機能と、マイクとしてスピーカSPを使用したときの音声信号をA/D変換するとともに、所定の圧縮音声情報に変換して上述の通信機能を介して送信する機能とを、CPU部28aが実行することで実現する基本プログラムを記憶部28bに備えている。尚VRは再生音量調整用の可変抵抗器である。
また図14に示すように被制御機器として操作スイッチSW1…及びインターフェース(図示せず)からなる操作スイッチ部28dを機能部28に備えている機能モジュール3cの場合には、CPU部28aには、コントロール端末4との間の通信をI/Oインターフェース27、演算処理部26を介して行うための通信機能と、通信によりコントロール端末4から受け取った制御情報に基づいて操作スイッチ部28dの各押釦スイッチSW1…の役割設定を行う機能と、押釦スイッチSW1…の操作情報をコントロール端末4や他の機能モジュール3へ上述の通信機能を用いて送る処理機能とを、CPU部28aが実行することで実現する基本プログラムを記憶部28bに備えている。
また上述の機能モジュール3以外において、同様なモジュール本体30にセンサ、撮像カメラ等被制御機器を組み込む機能モジュール3もその機能部28として必要な被制御機器やインターフェースを備えるとともに、CPU部28aが実行することで、コントロール端末4との間で通信を行うための通信機能と、コントロール端末4からの情報に基づいて被制御機器を動作させる制御機能とを実現する基本プログラムを記憶部28bに備えているものとする。
ここで、本実施形態の配線システムでは、上述のように基本機能モジュール2に連設する機能モジュール3以外に、情報線L2、電力線L1に直接接続し、電力線L1から電源を得るとともに、情報線L2を通じて情報をコントロール端末4から受け取り、対応する被制御機器を受け取った情報に基づいて動作させる機能モジュール3’が準備されており、例えばドアホン子機5や、生活シーンにあった環境や状況を作り出すために調光付き照明装置200に対応するもの、電気錠201に対応するもの等が設けられている。
これら機能モジュール3’は、図15(a)に示すように情報線L2を通じて情報信号の送受信を行う通信機能として情報信号送受信部300と、情報信号送受信部300から動作情報等を送信する情報生成、情報信号送受信部300で情報信号として受信した制御情報の取り込みとその内容の判断処理、制御情報の内容に基づいて機能部303を制御する制御信号を生成する処理を行う演算処理部301と、夫々の被制御機器に対応した機能部303と、演算処理部301と機能部303との間に介在するI/Oインターフェース302と、電力線L1から供給を受ける交流電源から動作用の直流電源+Vを得る直流電源部305とを備えている。
そして機能部303としては、被制御機器が例えば調光機能付き照明装置200の場合に対応する調光制御部を、また電気錠201の場合にはJEMA規格の信号発生部をそれぞれ備えている。またドアホン子機5に対応する機能モジュール3’の場合には通話手段や、来訪者を撮像するTVカメラの他に音声データの送受や映像データの送受のための信号処理手段などを備えている。
また各機能モジュール3及び機能モジュール3’には夫々を識別する識別情報(後述するIPアドレスやMACアドレス)や夫々が設定され、機能モジュール3、3’をコントロール端末4がアクセスする際に使用する。
コントロール端末4は信号伝送系、電源系の構成は基本的には図15(b)に示すように機能モジュール3と同じ構成を有するが、被制御機器を制御するのではなく、制御情報処理を主とする機能を備えている。つまりコントロール端末4は、ゲート装置を構成する基本機能モジュール2から後述するように転送されて取得した制御情報に基づいて制御対象となる被制御機器に対応する機能モジュール3、3’との間で確立した通信路を介して制御コマンドからなる情報を送ったり、被制御機器間の情報伝送の仲介処理を行うことで被制御機器を制御する処理を行うCPU部28aと、転送された制御情報を格納するとともに、CPU部28aの動作用プログラムを格納している記憶部28bと、制御情報が転送される度に更新された制御情報の内容をCPU部28aの制御の下で表示を行う表示部28eとを備え、CPU部28aはスイッチ部SW0の設定によって、記憶部28bに格納している制御情報に基づいて被制御機器を制御するための制御処理を行うモードと、基本機能モジュール2から転送される制御情報を記憶部28bに格納させる情報取得処理のモードとその処理動作を切り替えるようになっている。
次に本実施形態の配線システムにおけるコントロール端末4及びゲート装置を構成する基本機能モジュール2の運用について詳説する。
まず所定のスイッチボックスBに配設されたコネクタ装置1に接続することでコネクタ装置1とともにゲート装置を構成する基本機能モジュール2に対して、1乃至複数の機能モジュール3を連設して一つの役割(例えばインターホンの親機)を持つ機能ユニットを構成したり、所定の被制御機器とこれに対応する機能モジュール3’を所定の場所において電力線L1、情報線L2に接続することでユーザーが所望する配線システムが構築される。
このようにして構築された配線システムの被制御機器や各機能ユニットでの被制御機器の制御内容や各機能モジュール3、3’の識別情報等を含む制御情報を設定器100を用いてユーザー乃至施工業者が作成する。
設定器100としては、例えばパーソナルコンピュータ等を用い、その通信部にE/O変換、O/E変換のアダプタ101を接続し、このアダプタ101を基本機能モジュール2の側面の透明部Xに接合させることで、基本機能モジュール2内のE/O変換部25a、O/E変換部25bとの間で光信号の通信ができるようになっており、設定器100で作成した制御情報を基本機能モジュール2との間で通信を行いながら基本機能モジュール2側に転送する。基本機能モジュール2では情報管理部401の管理の下で記憶部400に格納する。
ここで、構築された配線システムにおける全ての被制御機器の制御に係る制御情報を1台の基本機能モジュール2に持たせても良いし、或いは例えば各部屋毎に配設される被制御機器や機能ユニット単位毎の制御情報を当該部屋に配設される基本機能モジュール2に持たせても良いし、更に個々の被制御機器や機能ユニット毎に対応させた制御情報のみを持つ基本機能モジュール2を夫々の被制御機器や機能ユニット毎に対応して設けても良い。また設定器100の代わりに制御情報を格納する基本機能モジュール2において、設定機能を持たせても良い。更に配線システムの全てのゲート装置における基本機能モジュール2に制御情報を格納する必要がないため、所定の基本機能モジュール2のみに情報管理部401及び記憶部400を設けても良い。勿論上述の設定機能も同様である。
而して制御情報を所定の基本機能モジュール2に格納することが終了すれば、次にコントロール端末4に格納された制御情報をユーザー若しくは施工業者は転送するための作業を行う。
この作業では、所定の基本機能モジュール2の磁気結合部Xと透明部Yにコントロール端末4の磁気結合部Xと透明部Yを接合させると、コントロール端末4が磁気結合部Xを通じて電力の供給を受けて動作を開始するとともに、光信号による通信路を両者の送受信部24、24間で確立する。そしてコントロール端末4のスイッチ部SW0が情報取得処理のモード側に設定されているとすると、コントロール端末4は機能部28のCPU部28aの働きにより、基本機能モジュール2側に制御情報の転送に対応する準備ができたことを通知する。この通知に対応して基本機能モジュール2では情報管理部401の働きの下で、記憶部400に格納している制御情報をコントロール端末4へ送って転送する。コントロール端末4では転送された制御情報を機能部28の記憶部28bにCPU部28aの制御の下で格納するとともに、今回格納された制御情報により、制御情報が更新されたことを表示部28eに表示させる。この表示により作業者は制御情報がコントロール端末4で取得されたことを確認することができる。そして記憶部28bをフラッシュメモリ等不揮発性メモリにより構成していることで、格納された制御情報はコントロール端末4が基本機能モジュール2から離しても保持されることになる。
次にスイッチ部SW0を制御処理のモード側に設定した上で、コントロール端末4を当該基本機能モジュール4に連設する形で壁などに固定するか、或いは別の基本機能モジュール4に連設するか、更には基本機能モジュール4に連設されている機能モジュール3に連設することで任意の場所に配設すると、コントロール端末4は基本機能モジュール4側から電力供給を受けながら制御処理動作を開始する。
この制御処理動作は機能部28の記憶部28bに格納されている制御情報に基づいて対応する被制御機器を接続した機能モジュール3’や被制御機器を備えた機能モジュール3とコントロール端末4との間で情報線L2及びモジュール4、3内の通信路からなる情報ネットワークを介して通信路を確立し、コントロール端末4と、機能モジュール3’や機能モジュール3との間で情報信号による情報授受を行い、例えば被制御機器の制御する制御コマンドを送信して機能モジュール3’に対応する被制御機器や機能モジュール3に備わった被制御機器を制御する処理と、制御情報で示される被制御機器同士、或いは被制御機器と機能ユニットとの間、又は機能ユニット同士の情報伝達の中継を行う処理を含む。。前者の場合には例えば取得した制御情報として内蔵タイマ(図示せず)により所定の時間帯で照明装置200を点灯させたり消灯させるスケジュール情報があれば、制御コマンドを生成して照明装置200に対応する機能モジュール3’へ送信する処理を行う。またドアホン子機5と、機能モジュール3a〜3cから親機としてユニット化された機能ユニットとの間の連携関係を示す情報が制御情報に含まれる場合には、これらドアホン子機5と親機としての機能ユニット間の情報(撮像信号、音声信号の圧縮データ等)の仲介処理やドアホン子機5からの呼び出し情報の受信があった場合に、これに呼応して親機たる機能ユニット側呼び出し制御の情報を送る処理等がある。
また電気錠201が被制御機器の場合には、制御情報において就寝時間帯で自動施錠を行うスケジュール情報が含まれている場合には電気錠201に対応する機能モジュール3’へ施錠のコマンド情報を送る処理等がある。
このようにしてコントロール端末4は格納する制御情報によって種々の制御能力を持つことができ、また格納する制御情報を変更するだけで、多種多様な被制御機器の制御に簡単に対応することができため、配線システムが複数箇所(部屋)に分割されている場合や、複数の場所に独立的に設けられた配線システムに対しても1台のコントロール端末4で対応させることも可能となる。つまりコントロール端末4を設置場所に持ち運び、その場所に配設してある基本機能モジュール2から当該場所の被制御機器に対応する制御情報を当該コントロール端末2へ転送させることで、当該コントロール端末2をその場所に設けられた被制御機器の制御を担うコントローラとして使用することができるのである。
尚上述のコントロール端末4と、基本機能モジュール4との側面同士を接合し、内蔵するE/O変換、O/E変換の機能を用いた光信号による通信路を確立することでコントロール端末4へ基本機能モジュール4から制御情報を転送するようになっているが、例えば基本機能モジュール2とコントロール端末4とに無線通信機能を持たせ、この無線通信機能を使用して制御情報をコントロール端末4側へ転送(アップロード)するようにしても良い。
ところで、図1中2aはスピーカSP等の音響装置のための機能部28を備え、機能モジュールと兼用する基本機能モジュールであり、2bは電力線L1に接続される引掛シーリングローゼット102を一体に備えた基本機能モジュールである。また2cは電力線L1に接続される電源コンセント103を一体に備えた基本機能モジュールである。2dは操作スイッチ部を前面に設け、内部に操作スイッチ部のための機能部28を備え、機能モジュールを兼用する基本機能モジュールである。
更にまた上述の機能モジュール3及びコントロール端末4は基本機能モジュール2の側部若しくは他の機能モジュール3の側部に連設した状態で壁面等にねじ固定するようになっているが、隣接するモジュール同士を機械的に連結する連結手段を用い、この連結されたモジュール群の荷重をゲート装置を構成する基本機能モジュール2で支える構造としても良い。
また、上述の実施形態では基本機能モジュール4にコントロール端末4へ制御情報を転送する機能を備えているが、コントロール端末4へ制御情報を転送する機能や直流電源部をコネクタ装置1に設けても良い。この場合コネクタ装置1単体でゲート装置を構成し、基本機能モジュール2は情報信号を光信号により連設する機能モジュール3やコントロール端末4と情報線L1との間で中継するとともに、電力線L1からの交流電源を低圧交流電源に変換して非接触で機能モジュール3やコントロール端末4へ給電するためのモジュールとなる。
またコントロール端末4は、配線盤8内に設けても良く、この場合基本機能モジュール2との間で上述の情報ネットワークを介して通信路を確立し、基本機能モジュール2から制御情報情報を転送して貰うことになる。