JP2007173759A - 高周波モジュール及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】誘導性を有する回路部の一例としてのインダクタ部の厚さを厚くすることなく、インダクタ部を流れる電流の影響によるインダクタの特性劣化を防止し、薄型化することが可能な高周波モジュールを提供する。
【解決手段】本発明の高周波モジュール10は、基板11上に形成された、絶縁緩衝層12と、第2回路部としてのベタ電極13と、絶縁層14と、第1回路部としてのインダクタ電極15とから構成されており、ベタ電極13の電気抵抗率が、インダクタ電極15の電気抵抗率より高く形成されている。
【選択図】図2
【解決手段】本発明の高周波モジュール10は、基板11上に形成された、絶縁緩衝層12と、第2回路部としてのベタ電極13と、絶縁層14と、第1回路部としてのインダクタ電極15とから構成されており、ベタ電極13の電気抵抗率が、インダクタ電極15の電気抵抗率より高く形成されている。
【選択図】図2
Description
本発明は、層状に形成されたインダクタなどの受動部品を備えた高周波モジュール及びその製造方法に関する。
近年の通信機器などの電子機器の信号処理の高速化に伴って、より高い周波数の高周波モジュールが用いられている。このような従来の高周波モジュールの構成について図面を用いて説明する。図9は、従来の高周波モジュールの概略の構造を示す正断面図である。
図9によれば、高周波モジュール100は、ベース基板101上に重ねて形成された、第2回路部としての第2配線層102、絶縁層103、高周波素子部106を有している。高周波素子部106には、第1回路部の一例としての、第1配線層105、及び第1配線層105の一部に形成された誘導性を有するインダクタ部108が形成されている。インダクタ部108は、第1配線層105の一部に設けられたインダクタ配線パターン(図示せず)を有している。このインダクタ配線パターンは、絶縁層103を介し第2配線層102と対向している。この絶縁層103の厚さが十分でないと、インダクタ配線パターンに電流が流れることによる影響が第2配線層102との間に生じ、この影響でインダクタの特性が劣化(例えば、Q値の低下など)することがあった。
前述のインダクタの特性の劣化について図10を用いてさらに詳しく説明する。図10は、インダクタ配線パターン(第1配線層)と第2配線層102との関係を示す模式図である。
先ず、絶縁層103上のインダクタ部108のインダクタ配線パターン(第1配線層)に電流が矢印Aの方向に流れる。インダクタ配線パターンは、渦巻き状を成しているため矢印C1の方向に電流1が流れることとなり、この電流1により磁束B1が発生する。この磁束B1が第2配線層102を貫くことにより、第2配線層102上に電場の変化が生じ、矢印C2の方向に渦電流2が発生し、この渦電流2により磁束B2が発生する。この磁束B2が、インダクタ部108のインダクタ配線パターンを貫くことにより、このインダクタ配線パターン上に矢印C3の方向に渦電流3が発生する。渦電流3は、インダクタを動作させるための矢印Aの方向に流れる電流により発生する電流1と逆方向であるため、インダクタ配線パターンを流れる電流が減少する。これは、渦電流3により、電流1の見かけ上の抵抗成分が増加し、電流が流れ難くなる事によって生じる。
先ず、絶縁層103上のインダクタ部108のインダクタ配線パターン(第1配線層)に電流が矢印Aの方向に流れる。インダクタ配線パターンは、渦巻き状を成しているため矢印C1の方向に電流1が流れることとなり、この電流1により磁束B1が発生する。この磁束B1が第2配線層102を貫くことにより、第2配線層102上に電場の変化が生じ、矢印C2の方向に渦電流2が発生し、この渦電流2により磁束B2が発生する。この磁束B2が、インダクタ部108のインダクタ配線パターンを貫くことにより、このインダクタ配線パターン上に矢印C3の方向に渦電流3が発生する。渦電流3は、インダクタを動作させるための矢印Aの方向に流れる電流により発生する電流1と逆方向であるため、インダクタ配線パターンを流れる電流が減少する。これは、渦電流3により、電流1の見かけ上の抵抗成分が増加し、電流が流れ難くなる事によって生じる。
前述の課題を解決するため、図9に示す高周波モジュール100では、インダクタ部108の絶縁層103の厚さを厚くすることが提示されている。インダクタ部108は、第2配線層102上に設けられた流動抑制部104によって形成された絶縁層103の肉厚部107と、その肉厚部107上に設けられた、第1配線層105の一部のインダクタ配線パターン(図示せず)とによって形成されている(例えば、特許文献1参照)。
近年、携帯機器の普及とも相まって電子機器の薄型化が進み、用いられる高周波モジュールも薄型化が要求されるようになってきている。しかしながら、前述した従来の高周波モジュール100では、インダクタ部108の肉厚部107を有していることにより、高周波モジュール100の厚さが厚くなってしまい、薄型化に適さないという課題を有していた。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、誘導性を有する回路部の一例としてのインダクタ部の厚さを厚くすることなく、インダクタ部を流れる電流の影響によるインダクタの特性劣化を防止し、薄型化することが可能な高周波モジュールを提供することにある。
かかる問題を解決するために、本発明の高周波モジュールは、絶縁層上に形成された誘導性を有する第1回路部と、前記第1回路部と前記絶縁層を介し形成された導電性を有する第2回路部とを基板上に有する高周波モジュールであって、前記第2回路部における導電パターンの電気抵抗率が、前記第1回路部における導電パターンの電気抵抗率より高く形成されていることを特徴とする。
本発明の高周波モジュールによれば、第2回路部における導電パターンの電気抵抗率が、誘導性を有する第1回路部における導電パターンの電気抵抗率より高く形成されている。これにより第2回路部において電流が流れ難くなり、第1回路部に電流が流されることによって発生する第2回路部の渦電流(誘導電流)を小さくすることが可能となる。この第2回路部の渦電流が小さくなることにより、この渦電流の影響による第1回路部の特性に対する影響が小さくなる。即ち、第1回路部の特性の劣化を防止することが可能となる。
このように、第2回路部における導電パターンの電気抵抗率を、誘導性を有する第1回路部における導電パターンの電気抵抗率より高く形成することによって、誘導性を有する第1回路部と第2回路部との間の絶縁層の厚さを増やすことなく、その特性劣化を減少させる事ができる。これにより、薄型化することが可能な高周波モジュールを提供することが可能となる。
このように、第2回路部における導電パターンの電気抵抗率を、誘導性を有する第1回路部における導電パターンの電気抵抗率より高く形成することによって、誘導性を有する第1回路部と第2回路部との間の絶縁層の厚さを増やすことなく、その特性劣化を減少させる事ができる。これにより、薄型化することが可能な高周波モジュールを提供することが可能となる。
また、前記第2回路部における導電パターンは、少なくとも前記第1回路部における導電パターンの平面領域に対向する領域に形成されていることが望ましい。
このようにすれば、第1回路部における導電パターンの平面領域に対向して第2回路部における導電パターンが形成されているため、第1回路部における導電パターンのすべての領域において、第2回路部からの影響を少なくすることが可能となる。
また、前記第1回路部における導電パターンおよび前記第2回路部における導電パターンのうちの少なくとも一方は、2つ以上の導電性を有する導通層を重ねて形成されていることが望ましい。
このようにすれば、それぞれの層の電気抵抗率を変えることが可能となり、第2回路部における導電パターンの電気抵抗率の設定を容易に行うことが可能となる。
また、前記第2回路部における導電パターンは、コンデンサの電極によって形成されていることが望ましい。
このようにすれば、電気抵抗率を高くしても特性に対する影響が殆んど無いコンデンサの電極を第2回路部における導電パターンとすることで、第2回路部における導電パターンを新たに形成することが不要となり、スペース効率を高くすることが可能となる。
また、前記基板には、少なくとも前記第1回路部と接続された機能回路部が形成されていることが望ましい。
このようにすれば、少なくとも第1回路部と機能回路部とが、一つのモジュール内に形成されることから、接続配線を短縮するなどスペース効率が高まり、より小型の高周波モジュールを提供することが可能となる。
また、本発明の高周波モジュールの製造方法は、絶縁層と、前記絶縁層の表面に形成された誘導性を有する第1回路部と、前記第1回路部と前記絶縁層を介し前記絶縁層の裏面側に、導電性を有する第1導通層と、該第1導通層に重ねられた第2導通層とによって形成された第2回路部とを基板上に有する高周波モジュールの製造方法であって、前記第1導通層、及び前記第2導通層の少なくとも一方の導体材料を変えることによって前記第2回路部における導電パターンの電気抵抗率を決定することを特徴とする。
本発明の高周波モジュールの製造方法によれば、第2回路部の電気抵抗率を、第1導通層、及び第2導通層の少なくとも一方の導体材料を変えることによって決定することが可能となる。これにより、新たな工程を用いることなく第2回路部を形成することが可能となる。
本発明に係る高周波モジュールの最良の形態について、以下に図面を用いて説明する。
(第一実施形態)
(第一実施形態)
本発明の高周波モジュールの第一実施形態を、図1及び図2を用いて説明する。図1は、本発明に係る第一実施形態の高周波モジュールの概略構造を示す正断面図である。図2は、第一実施形態の高周波モジュールを層毎に分解した概略の斜視図である。
高周波モジュール10は、基板11上に形成された、絶縁緩衝層12と、第2回路部における導電パターンとしてのベタ電極13と、絶縁層14と、第1回路部における導電パターンとしてのインダクタ電極15とから構成されている。
基板11は、シリコン(Si)や化合物半導体(GaAs,GaP,InP,SiGe,ZnSなど)などで構成される半導体基板、ガラス基板、石英基板、セラミック基板などを用いることができる。本第一実施形態では、基板11として、シリコン(Si)を用いており、その表層部には、モノリシック集積回路や表面上に構成されたハイブリッド集積回路などで構成される機能回路部16が形成されている。この、機能回路部16は、半導体製造プロセスを用いることにより簡便に形成することができる。さらに、機能回路部16は、例えば、ベタ電極13、インダクタ電極15などと、図示しない接続配線で接続されている。なお、本明細書では、基板11の表面に近い内部と表面上を含む概念として表層部という言葉を用いている。
基板11は、シリコン(Si)や化合物半導体(GaAs,GaP,InP,SiGe,ZnSなど)などで構成される半導体基板、ガラス基板、石英基板、セラミック基板などを用いることができる。本第一実施形態では、基板11として、シリコン(Si)を用いており、その表層部には、モノリシック集積回路や表面上に構成されたハイブリッド集積回路などで構成される機能回路部16が形成されている。この、機能回路部16は、半導体製造プロセスを用いることにより簡便に形成することができる。さらに、機能回路部16は、例えば、ベタ電極13、インダクタ電極15などと、図示しない接続配線で接続されている。なお、本明細書では、基板11の表面に近い内部と表面上を含む概念として表層部という言葉を用いている。
基板11上には、絶縁緩衝層12が形成されている。絶縁緩衝層12は、例えば、ポリイミド樹脂、酸化ケイ素(SiO2)などの絶縁性を有する材料を用いて形成されている。本第一実施形態では、絶縁緩衝層12としてポリイミド樹脂を用いており、基板11表面に形成された回路とベタ電極13との絶縁及びそれぞれに生じる応力緩和の機能を有している。
絶縁緩衝層12上には、絶縁緩衝層12の表面に形成された第1導通層13aと、第1導通層13aに重ねて形成された第2導通層13bとから構成されたベタ電極13が形成されている。第1導通層13aは、例えば、スパッタリング法等を用いて形成された厚さ0.1マイクロメートル(以下「μm」と記載する。)程度の薄膜層であり、第2導通層13bは、例えば、メッキ法を用いて形成された、厚さ5〜10μm程度のニッケル(Ni)層である。このニッケル(Ni)層の電気抵抗率は、例えば、0.67×10-7Ωm程度となる。この場合、第1導通層13aに比べ第2導通層13bは、十分に厚いため、ベタ電極13の電気抵抗率は第2導通層13bの値とほぼ同等と考えられる。
なお、ベタ電極13は、後述するインダクタ電極15の平面領域に対向する領域に設けられている事が好適である。このようにすることにより、インダクタ電極15のすべての領域においてベタ電極13からの影響を少なくすることが可能となる。
また、第1導通層13aには、チタン(Ti)、タングステン(W)、クロム(Cr)、ニッケル(Ni)、バナジウム(V)、パラジウム(Pd)などの導電材料、あるいは、これらの導電材料を2種類以上用いた合金、などを用いることができる。
また、第2導通層13bには、ニッケル(Ni)に限らず、アルミニウム(Al)、銅(Cu)などの導電材料を用いることができる。
また、第2導通層13bには、ニッケル(Ni)に限らず、アルミニウム(Al)、銅(Cu)などの導電材料を用いることができる。
ベタ電極13上には、絶縁層14が形成されている。絶縁層14は、例えば、ポリイミド樹脂、酸化ケイ素(SiO2)などの絶縁性を有する材料を用いて形成されている。なお、本第一実施形態では、絶縁層14としてポリイミド樹脂を用いている。
絶縁層14上には、第3導通層15aと第4導通層15bとから構成されたインダクタ電極15が形成されている。第3導通層15aは、例えば、スパッタリング法を用いて形成された厚さ0.1μm程度の薄膜層である。第4導通層15bは、例えば、メッキ法によって形成された厚さ5〜10μm程度の銅(Cu)層であり、1.72×10-7Ωm程度の電気抵抗率を有している。この場合、第3導通層15aに比べ第4導通層15bは十分に厚いため、インダクタ電極15の電気抵抗率は第4導通層15bの値とほぼ同等と考えられる。このインダクタ電極15に所定の電流を流すことによりインダクタとしての機能を得る事ができる。
なお、第3導通層15aには、チタン(Ti)、タングステン(W)、クロム(Cr)、ニッケル(Ni)、バナジウム(V)、パラジウム(Pd)などの導電材料、あるいは、これらの導電材料を2種類以上用いた合金、を用いることが可能である。
また、第4導通層15bには、銅(Cu)に限らず、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)などを用いることができる。
また、第4導通層15bには、銅(Cu)に限らず、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)などを用いることができる。
上述の第一実施形態の高周波モジュール10によれば、第2回路部における導電パターンとしてのベタ電極13の電気抵抗率は、第1回路部における導電パターンとしてのインダクタ電極15の電気抵抗率より高く形成されている。このベタ電極13の電気抵抗率が高いことにより、インダクタ電極15に電流が流されることによって発生する磁束によってベタ電極13に発生する渦電流(誘導電流)を小さくすることが可能となる。このベタ電極13に発生する渦電流が小さくなることにより、この渦電流によって発生する磁束が弱くなる。その結果、この磁束によってインダクタ電極15に発生するインダクタ電極15と逆方向の渦電流が小さくなる。従って、この逆方向の渦電流によって生じるインダクタの特性の劣化(例えば、Q値の低下等)を減少させることが可能となる。
このように、ベタ電極13の電気抵抗率を、インダクタ電極15の電気抵抗率より高く形成することによって、インダクタ電極15とベタ電極13との間の絶縁層14の厚さを増やすことなく、インダクタの特性劣化を減少させる事が可能となる。これにより、薄型の高周波モジュール10を提供することが可能となる。
このように、ベタ電極13の電気抵抗率を、インダクタ電極15の電気抵抗率より高く形成することによって、インダクタ電極15とベタ電極13との間の絶縁層14の厚さを増やすことなく、インダクタの特性劣化を減少させる事が可能となる。これにより、薄型の高周波モジュール10を提供することが可能となる。
なお、前述の第一実施形態では、ベタ電極13およびインダクタ電極15を、それぞれ2つの導通層(第1導通層13a、第2導通層13bおよび第3導通層15a、第4導通層15b)で形成された2層構成で説明したがこれに限らない。ベタ電極13の電気抵抗率がインダクタ電極15の電気抵抗率より高い相関関係を有していれば、ベタ電極13およびインダクタ電極15のそれぞれは、例えば、1層構成或いは3層以上の構成であってもよい。
また、前述の第一実施形態では、第2回路部は、ベタ電極13を一例として説明したが、これに限らず、他の回路素子を構成する電極であってもよい。さらに、第2回路部が形成されている層と同一層に第2回路部と異なる回路素子が含まれていてもよい。
また、第1回路部は、インダクタを一例として説明したが、これに限らず、誘導性を有する回路素子、例えば、フィルタ、トランス、バランなどであってもよい。さらに、第1回路部が形成されている層と同一層に他の回路素子が含まれていてもよい。
また、第1回路部は、インダクタを一例として説明したが、これに限らず、誘導性を有する回路素子、例えば、フィルタ、トランス、バランなどであってもよい。さらに、第1回路部が形成されている層と同一層に他の回路素子が含まれていてもよい。
また、前述の第一実施形態では、絶縁緩衝層12の表面にベタ電極13が形成され、ベタ電極13上に形成された絶縁層14上にインダクタ電極15が形成されている構成で説明したが、これに限らない。例えば、絶縁緩衝層12の表面にインダクタ電極が形成され、このインダクタ電極上に形成された絶縁層上にベタ電極が形成される構成であってもよい。
(第二実施形態)
(第二実施形態)
本発明の高周波モジュールの第二実施形態を、図3及び図4を用いて説明する。図3は、本発明に係る第二実施形態の高周波モジュールの概略構造を示す正断面図である。図4は、第二実施形態の高周波モジュールを層毎に分解した概略の斜視図である。
高周波モジュール30は、基板31上に形成された絶縁緩衝層32、コンデンサ下電極33、誘電体層34、第2回路部における導電パターンとしてのコンデンサ上電極35、絶縁層36、第1回路部における導電パターンとしてのインダクタ電極37から構成されている。以下、高周波モジュール30の詳細について説明するが、第一実施形態と同様な基板31、及び絶縁緩衝層32については説明を省略する。
絶縁緩衝層32の上面には、コンデンサ下電極(一方の電極)33が形成されている。コンデンサ下電極33は、メッキ法などを用い、厚さ5〜10μm程度の銅(Cu)層として形成されている。コンデンサ下電極33には、銅(Cu)に限らず、例えば、アルミニウム(Al)などの導通材料を用いることができる。また、コンデンサ下電極33は、複数の層が重ねられて形成されていてもよい。
コンデンサ下電極33上には、誘電体層34が形成されている。本第二実施形態では、誘電体層34としてポリイミド樹脂を用いているが、例えば、エポキシ樹脂、酸化ケイ素(SiO2)等、他の誘電体を用いることも可能である。
誘電体層34上には、誘電体層34上の表面に形成された第1導通層35aと、第1導通層35aに重ねて形成された第2導通層35bとから構成されたコンデンサ上電極35が形成されている。第1導通層35aは、例えば、スパッタリング法等を用いて形成された厚さ0.1μm程度の薄膜層である。第2導通層35bは、例えば、メッキ法を用いて形成された厚さ5〜10μm程度のニッケル(Ni)層である。このニッケル(Ni)層の電気抵抗率は、例えば、1.72×10-7Ωm程度となる。この場合、第1導通層35aに比べ第2導通層35bは十分に厚いため、コンデンサ上電極35の電気抵抗率は第2導通層35bの値とほぼ同等と考えられる。前述した、コンデンサ下電極33、誘電体層34、コンデンサ上電極35により、所謂、平行平板コンデンサが構成される。
なお、第1導通層35aには、チタン(Ti)、タングステン(W)、クロム(Cr)、ニッケル(Ni)、バナジウム(V)、パラジウム(Pd)などの導電材料を用いることができる。また、これらの導電材料を2種類以上用いた合金で構成することもできる。
また、第2導通層35bには、ニッケル(Ni)に限らず、アルミニウム(Al)、銅(Cu)などの導電材料を用いることができる。
また、誘電体層34上には、コンデンサ上電極35に限らず、導通配線パターン等を含む他の回路素子が形成されていてもよいが、本第二実施形態の説明では省略している。
コンデンサ上電極35上には、絶縁層36が形成されている。絶縁層36は、例えば、ポリイミド樹脂、酸化ケイ素(SiO2)などの絶縁性を有する材料を用いて形成されている。本第二実施形態では、絶縁層36としてポリイミド樹脂を用いている。
絶縁層36上には、第3導通層37aと第4導通層37bとから構成されたインダクタ電極37が形成されている。第3導通層37aは、例えば、スパッタリング法を用いて形成された厚さ0.1μm程度の薄膜層である。第4導通層37bは、例えば、メッキ法によって形成された厚さ5〜10μm程度の銅(Cu)層であり、1.72×10-7Ωm程度の電気抵抗率を有している。この場合、第3導通層37aに比べ第4導通層37bは十分に厚いため、インダクタ電極37の電気抵抗率は第4導通層37bの値とほぼ同等と考えられる。このインダクタ電極37に所定の電流を流すことによりインダクタとしての機能を得る事ができる。
なお、第3導通層37aには、チタン(Ti)、タングステン(W)、クロム(Cr)、ニッケル(Ni)、バナジウム(V)、パラジウム(Pd)などの導電材料を用いることが可能である。また、これらの導電材料を2種類以上用いた合金で構成することもできる。
また、第4導通層37bには、銅(Cu)に限らず、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)などを用いることができる。
また、第4導通層37bには、銅(Cu)に限らず、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)などを用いることができる。
上述の第二実施形態の高周波モジュール30によれば、第2回路部における導電パターンとしてのコンデンサ上電極35を用い、その電気抵抗率が、第1回路部における導電パターンとしてのインダクタ電極37の電気抵抗率より高く形成されている。このことにより、第一実施形態と同様(ここでは説明を省略する)に、インダクタ電極37とコンデンサ上電極35との間の絶縁層36の厚さを増やすことなく、インダクタの特性劣化を減少させる事が可能となる。
なお、コンデンサは、コンデンサ上電極35或いはコンデンサ下電極33の電気抵抗率が大きくなっても、容量値の変化等のコンデンサ特性に対する影響が少なく、本実施形態の構成に用いることに好適である。
なお、コンデンサは、コンデンサ上電極35或いはコンデンサ下電極33の電気抵抗率が大きくなっても、容量値の変化等のコンデンサ特性に対する影響が少なく、本実施形態の構成に用いることに好適である。
また、第一実施形態の効果に加えて、第2回路部における導電パターンとしてコンデンサ上電極35を用いることにより、新たに第2回路部における導電パターンとしての電極を設けることが不要となり、電極のスペース効率を高めることが可能となる。
なお、前述の第二実施形態では、コンデンサ上電極35およびインダクタ電極37を、それぞれ2つの導通層(第1導通層35a、第2導通層35bおよび第3導通層37a、第4導通層37b)で形成された2層構成で説明したがこれに限らない。コンデンサ上電極35の電気抵抗率がインダクタ電極37の電気抵抗率より高い相関関係を有していれば、コンデンサ上電極35およびインダクタ電極37のそれぞれは、例えば、1層構成或いは3層以上の構成であってもよい。
なお、上述の第一実施形態、及び第二実施形態では、第2回路部としてのベタ電極13、及びコンデンサ上電極35は、図2、及び図4に示すような一面の略矩形形状(所謂、ベタ形状)で説明したが、これに限らない。第2回路部は、図5(a)〜(c)に示すように、個別な電極を並べてインダクタ電極15,37に対応させてもよい。図5は、第2回路部における導電パターンとしてのベタ電極13、及びコンデンサ上電極35を上方から見た平面図である。以下、図5に沿って説明するが、ここではベタ電極13、及びコンデンサ上電極35を第2回路部として説明する。
図5(a)では、図示上下方向の矩形電極43aが、左右方向に6本並べられて第2回路部における導電パターンとしての電極パターン43を構成している。図5(b)では、図示左右方向の矩形電極43bが、上下方向に4本並べられて第2回路部としての電極パターン43を構成している。図5(c)では、図示上下方向の矩形電極43cが、左右方向に6本並べて設けられ、この矩形電極43cが接続電極44により接続されて電極パターン43を構成している。さらに図示しないが、斜め方向、或いは枠状(口字形状)などであってもよい。又、それぞれが組み合わされた形状であってもよい。
図5に示すような構成の第2回路部における導電パターンとしての電極パターン43においては、上述した第一実施形態、及び第二実施形態の効果に加えて、さらに、インダクタ特性を劣化し難くする事が可能となる。これは、電極パターン43が、分割された矩形電極43a,43b,43cによって形成されているため、貫通した磁束によって生じる渦電流が分断されて小さくなるためである。
なお、上述の第一実施形態および第二実施形態では、高周波モジュールの製造方法として、第2導通層13b,35bを形成する導体材料を、第4導通層15b,37bを形成する導体材料としての銅(Cu)より電気抵抗率の高いニッケル(Ni)を用いる方法を用いた。
この方法を用いることにより、新たな工程を用いることなく所定の電気抵抗率を有した第2回路部における導電パターンとしての第2導通層13b,35bを形成することが可能となる。換言すれば、第2回路部を容易に形成することが可能となる。
また、前述の第二実施形態では、絶縁緩衝層32の上面に、コンデンサ下電極33、誘電体層34、コンデンサ上電極35による平行平板コンデンサが構成されている。さらにコンデンサ上電極35上に形成された絶縁層36上にインダクタ電極37が形成される構成で説明したがこれに限らない。例えば、絶縁緩衝層32の上面に、インダクタ電極が形成され、その上に設けられた絶縁層上にコンデンサ下電極、誘電体層、コンデンサ上電極による平行平板コンデンサが構成される構成であってもよい。
(実施例)
(実施例)
前述の実施形態に係る構造の高周波モジュール10,30の実施例としての電圧制御発振器について図6を用いて説明する。図6は、電圧制御発振器の基本回路構成を示す回路図である。
図6に示す電圧制御発振器190は、基板11(図1参照)に形成された集積回路(図示せず)内のモノシリック構成回路領域(能動素子領域)92、集積回路の上面に積層形成される第1回路部における導電パターンとしてのスパイラルインダクタ140,150及び第2回路部における導電パターンとしてのCu配線層領域(受動素子領域)91に一方の電極が形成されるキャパシタC1,C2とを含み構成されている。
この電圧制御発振器190は、電源電位端子Vdd(以降、Vdd端子と表す)、可変電位端子Vc(以降、Vc端子と表す)及び接地電位端子GND1(以降、単にGND1端子と表す)に接続されている。電圧制御発振器190には、Vdd端子からGND1端子に向かって、スパイラルインダクタ140,150と、キャパシタC1,C2と、2個の可変キャパシタ96と、負性抵抗部としてのNチャンネルトランジスタ93,94と、電流調整部95とが、この順で接続されている。
スパイラルインダクタ140,150の一端は、Vdd端子に接続し、他端は、それぞれキャパシタC1,C2の一方の端部に接続し、キャパシタC1,C2の一方の端部はGND2端子に接続され、他端は可変キャパシタ96の一端に接続されている。従って、キャパシタC1,C2と可変キャパシタ96とは、電気的に並列接続である。
負性抵抗部は、Nチャンネルトランジスタ93のドレインは出力端子OUT1に接続され、ゲートは出力端子OUT2に接続されている。また、Nチャンネルトランジスタ94のドレインは出力端子OUT2に接続され、ゲートは出力端子OUT1に接続されている。
上述したような回路構成の電圧制御発振器190は、Vdd端子及びGND端子に接続されることにより、スパイラルインダクタ140,150及び二つの可変キャパシタ96からなるLC共振回路に電圧が印加されると、LC共振回路が相補の共振信号を出力端子OUT1及び出力端子OUT2から発振する。しかし、この状態のままでは発振は減衰していく。
そのために、Vc端子に正の可変電位を印加し、GND端子に接地電位を印加して電流を供給すると共に、負性抵抗部を設けることにより、LC共振回路に恒久的に共振信号を発振させることができる。
さらに、キャパシタC1,C2が設けられているため、LC共振回路において付加容量が形成されたことになる。従って、集積回路の外部に可変キャパシタ96に並列にキャパシタC1,C2を設けることにより、静電容量を大きくすることが可能となる。静電容量を大きくすると、発振周波数が小さくなることは知られている。このことから低周波数領域の発振器を実現することができる。
また、可変キャパシタ96に加え、キャパシタC1,C2を加えることによって、キャパシタの静電容量の設定範囲を広げることができることから、電圧制御発振器190の周波数帯域を広げることができる。
(応用例)
(応用例)
上述の実施例では、前述の実施形態に係る構造の高周波モジュール10,30の実施例として、電圧制御発振器について詳細に説明したが、これに限らない。ここで、前述の実施形態に係る構造を用いた高周波モジュール10,30の応用例を図7および図8に沿って説明する。図7(a)〜(d)、および図8(e)〜(f)は、高周波モジュールの応用例を示すブロック図である。
図7(a)は、高周波モジュール10,30の応用例としてのフィルターモジュール60を示している。フィルターモジュール60は、上述した実施例に準じており、基板11(図1参照)に形成された集積回路、フィルター回路などを含み構成されており、入力端子61から入力された発振信号のフィルタリングを行い集積回路における処理に用いられる。
図7(b)は、高周波モジュール10,30の応用例としてのダイプレクサーモジュール65を示している。ダイプレクサーモジュール65は、基板11(図1参照)に形成された集積回路、合成回路、分波回路などを含み構成されており、入出力端子66,67から入力された波形信号が合成され、集積回路における処理に用いられる。或いは、集積回路から出力された波形信号は、分波回路で分波され入出力端子66,67から出力される。
図7(c)、(d)は、高周波モジュール10,30の応用例としてのバランモジュール70,75を示している。バランモジュール70,75は、基板11(図1参照)に形成された集積回路、平衡・不平衡変換回路、入出力端子71,76,77などを含み構成されている。
図8(e)は、高周波モジュール10,30の応用例としてのアンテナモジュール80を示している。アンテナモジュール80は、基板11(図1参照)に形成された集積回路、コイルアンテナ、キャパシタなどから構成されたアンテナ回路などを含み構成されている。
図8(f)は、高周波モジュール10,30の応用例としての、例えば増幅器などの整合回路モジュール85を示している。整合回路モジュール85は、基板11(図1参照)に形成された集積回路、入力整合回路、出力整合回路、入力端子86、出力端子87などを含み構成されている。
10,30…高周波モジュール、11,31…基板、12,32…絶縁緩衝層、13…第2回路部における導電パターンとしてのベタ電極、13a,35a…第1導通層、13b,35b…第2導通層、14,36…絶縁層、15,37…第1回路部における導電パターンとしてのインダクタ電極、15a,37a…第3導通層、15b,37b…第4導通層、16…機能回路部、33…コンデンサ下電極、34…誘電体層、35…コンデンサ上電極、43…電極パターン、43a,43b,43c…矩形電極、44…接続電極、60…フィルターモジュール、65…ダイプレクサーモジュール、70,75…バランモジュール、80…アンテナモジュール、85…整合回路モジュール。
Claims (6)
- 絶縁層上に形成された誘導性を有する第1回路部と、前記第1回路部と前記絶縁層を介し形成された導電性を有する第2回路部とを基板上に有する高周波モジュールであって、
前記第2回路部における導電パターンの電気抵抗率が、前記第1回路部における導電パターンの電気抵抗率より高く形成されていることを特徴とする高周波モジュール。 - 請求項1に記載の高周波モジュールにおいて、
前記第2回路部における導電パターンは、少なくとも前記第1回路部における導電パターンの平面領域に対向する領域に形成されていることを特徴とする高周波モジュール。 - 請求項1または請求項2に記載の高周波モジュールにおいて、
前記第1回路部における導電パターンおよび前記第2回路部における導電パターンのうちの少なくとも一方は、2つ以上の導電性を有する導通層を重ねて形成されていることを特徴とする高周波モジュール。 - 請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の高周波モジュールにおいて、
前記第2回路部における導電パターンは、コンデンサの電極によって形成されていることを特徴とする高周波モジュール。 - 請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の高周波モジュールにおいて、
前記基板には、少なくとも前記第1回路部と接続された機能回路部が形成されていることを特徴とする高周波モジュール。 - 絶縁層と、前記絶縁層の表面に形成された誘導性を有する第1回路部と、前記第1回路部と前記絶縁層を介し前記絶縁層の裏面側に、導電性を有する第1導通層と、該第1導通層に重ねられた第2導通層とによって形成された第2回路部とを基板上に有する高周波モジュールの製造方法であって、
前記第1導通層、及び前記第2導通層の少なくとも一方の導体材料を変えることによって前記第2回路部における導電パターンの電気抵抗率を決定する高周波モジュールの製造方法。
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