JP2007173112A - 二次電池用負極活物質、二次電池およびそれらの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】安価な原材料を用いて、非常に利用率の大きい蓄電池を提供する。
【解決手段】嵩密度の指標として吸油量が少なくとも50mL/100g以上である導電性粒子連鎖構造物質を水と混合して予め前記導電性粒子連鎖構造物質を分散させる第1の分散工程と、前記第1の分散によって得られた水分散ペーストに金属酸化物を添加、混合して負極活物質形成用ペーストを得る第2の分散工程とを経て得たペーストを用いて二次電池の負極を形成する。
【選択図】 図6

Description

本発明は、高エネルギー密度で、かつ安価なコストで製造できる二次電池用負極活物質、該負極活物質を用いた二次電池、およびそれらの製造方法に関する。
周知のように、鉛蓄電池は安価な電池として、リチウムイオン電池は、安価ではないが、高いエネルギー密度を有する蓄電池として、それぞれ市場での位置を占めている。特に、その発進を電気エネルギーで行うハイブリッド自動車のような用途では、特に安価で高いエネルギー密度を有する電池が求められているが、現在は比較的高価なニッケル水素蓄電池が使用されている。電池の価格を決める最大の要因は材料費である。ニッケル水素電池の正極に使われるニッケルや負極に使用される貴金属は非常に高価な材料である。また、リチウムイオン電池においてはさらに高価な材料を用いることを余儀なくされている(例えば、非特許文献1参照)。
「最新実用二次電池」159頁、日刊工業新聞社刊、1995年11月10日発行
消費者側のニーズからすると、高いエネルギー密度と長寿命は背反事項として片付けられる問題ではなく、同時に解決されるべき課題である。鉛蓄電池並みの安価な材料を使用し、高いエネルギー密度が得られれば、使用者側のニーズを満足できることとなる。
鉛蓄電池の性能を判断するには、負極活物質の利用率という技術的概念が大切である。この利用率とは、(負極活物質を全て放電し切ったと仮定した容量)に対する(電極の放電容量(Ah))の割合を100分率で示した値である。負極活物質である鉛は理論的には3.866グラムで1Ahの容量を取り出すことができるので、これを理論容量とする。負極と正極とで電池を構成し、正極が明らかに過剰であるような構成とする。つまり、電池の容量は必ず負極で制限されるような構成として、25℃で放電して、容量を求める。実際に放電して得られた容量を前述の理論容量で除して得られた数字を100倍して、百分率で表示したものを、本明細書では、利用率とした。
従来の鉛蓄電池のエネルギー密度が低い大きな原因は、可及的に小さい電流で放電しても前述の負極活物質の利用率が70パーセントを超えることができないことにある。さらには、大電流で放電をすると、負極活物質の利用率がさらに低下することも、大きな原因である。また、他の重大な問題としては、負極活物質の利用率と寿命が背反関係にあることが挙げられる。この背反関係とは、利用率を上げると、充放電サイクル寿命が低下するという関係である。一方、リチウムイオン電池のコストが高い原因は、材料費が高いことにあるので、材料の変更なしにコストを下げることは困難である。
したがって、鉛蓄電池並みの安価な原材料を用いて、非常に利用率の大きい蓄電池を開発できれば、産業上、多大な貢献がなされることになる。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意実験および検討を重ねたところ、嵩密度の指標として吸油量が少なくとも5×101mL/100g以上である気孔率の高い導電性粒子連鎖構造物質と金属酸化物とを水とバインダーと分散剤とにより均一混練して得られた混練物が良好な利用率を発揮すること、そして、この混練物としては、前記導電性粒子連鎖構造物質を水と混合して予め前記導電性粒子連鎖構造物質を分散させる第1の分散工程と、前記第1の分散によって得られた水分散ペーストに金属酸化物を添加、混合して負極活物質形成用ペーストを得る第2の分散工程とを経て得られたものが、より高い性能を発揮することを知見するに至った。これは、次のような現象が原因していると推定される。すなわち、導電性粒子が連鎖をなし、且つ分岐して複雑な3次元構造を実現している「導電性粒子連鎖構造物質」と分散剤を混合する第1の分散工程で、「導電性粒子連鎖構造物質」は分散し、該物質が保有する連鎖のゆえに、該物質による大きな導電性網が形成される。その後、金属酸化物粒子を添加して、必要に応じて他の物質も添加して、その混合物を混練すると、金属酸化物が「導電性粒子連鎖構造の3次元構造」内に均一に分散することができる。これに対して、従来の一度に混練する方法では、金属酸化物が同時に存在するので、混練物中で「導電性粒子連鎖構造物質」が三次元連鎖網構造を形成する機会を金属酸化物が阻害してしまう。
また、前記吸油量は、本発明では、ジブチルフタレート使用して、JISK6217:2001に準拠して測定した。
本発明はかかる知見に基づいてなされたものである。すなわち、本発明に係る二次電池用負極活物質は、嵩密度の指標として吸油量が少なくとも5×101mL/100g以上である導電性粒子連鎖構造物質と金属酸化物とが水とバインダーと分散剤とにより混練された混練物からなる二次電池用負極活物質であって、前記混練物が、前記導電性粒子連鎖構造物質を水と混合して予め前記導電性粒子連鎖構造物質を分散させる第1の分散工程と、前記第1の分散によって得られた水分散ペーストに金属酸化物を添加、混合して負極活物質形成用ペーストを得る第2の分散工程とを経て得られたものであることを特徴とする。
また、本発明に係る二次電池用負極活物質の製造方法は、嵩密度の指標として吸油量が少なくとも5×101mL/100g以上である導電性粒子連鎖構造物質を水と混合して予め前記導電性粒子連鎖構造物質を分散させる第1の分散工程と、前記第1の分散によって得られた水分散ペーストに金属酸化物を添加、混合して負極活物質形成用ペーストを得る第2の分散工程とを有することを特徴とする。
また、本発明に係る二次電池は、前記負極活物質を有することを特徴とする。
また、本発明に係る二次電池の製造方法は、前記負極活物質の製造方法によってその負極活物質を製造することを特徴とする。
前記導電性粒子連鎖構造物質としては、炭素系導電性粒子連鎖構造物質が好ましく、この炭素系導電性粒子連鎖構造物質としては、例えば、黒鉛化カーボンやアセチレンブラックを用いることができる。黒鉛化カーボンを用いる場合は、その吸油量が5×101mL/100g以上のものが好適である。また、アセチレンブラックを用いる場合は、その吸油量が1.6×102mL/100g以上のものが好適である。
前記バインダーとしてはゴム系物質を用い、前記分散剤としてはポリビニルアルコール、リグニン、イソプロピルアルコールから選ばれる少なくとも一種を用いることが好ましい。特に、前記第1の分散時の分散剤として、重合度1000以上のポリビニルアルコールを用いることによって、得られる負極活物質の利用率をさらに高めることができる。
本発明では、負極活物質を得るに当たって、嵩密度の指標として吸油量が少なくとも5×101mL/100g以上の導電性粒子連鎖構造物質を用いることと、この導電性粒子連鎖構造物質と主たる活物質材料である金属酸化物とを混練する前に、前記導電性粒子連鎖構造物質を分散剤と水とを用いて予め分散状態にしておくこととによって、負極活物質の利用率を大幅に増加させている。これにより、必要な蓄電容量を発揮するために必要な酸化鉛原料量をほぼ半減できる。この効果は、格子状集電体及びシート状集電体のいずれにおいても有効である。
酸化鉛原料量を減らせるということは、蓄電池のコストを低減できると言うことであり、しかも、本発明では、酸化鉛の使用量を低減しても、エネルギー密度を大幅に向上することができる。したがって、本発明にかかる二次電池(蓄電池)は、大幅な軽量化が可能であり、同時に、ハイブリッド自動車用蓄電池としてエネルギー供給量も実用の範囲にある。利用率の大幅な向上という根本的な改良が長きに亘って実現されずにきたが、本発明によりそれが始めて可能となった。その工業的価値は極めて高いものと言える。
以下に、本発明の実施例および比較例を説明する。なお、本発明は以下に記載の実施例によりなんら限定されるものではない。
(実施例1)
格子状集電体を用いた負極に関する実施例について説明をする。
カーボンを3000℃で黒鉛化し、平均粒子径25ナノメータとした。この黒鉛化カーボンは図1に示すような「導電性粒子連鎖構造」を形成している。この黒鉛化カーボンの3次元構造による嵩密度は、吸油量で表すと、120mL/100gであった。
前記黒鉛化カーボン8.6グラムとイオン交換水66グラムを添加して、さらに、黒鉛化カーボンの分散性を向上するために、重合度1700のポリビニルアルコールを添加した。そして、黒鉛化カーボン連鎖構造物質のネットワークの構造を維持するためにスチレンブタジエンゴムを少量添加した。この状態で、1時間混合した。これを第1段階の分散とする。
ついで、これに酸化鉛200グラムと適量のリグニンおよび硫酸バリウムを添加して、約30分間練合した。これを第2の分散処理とする。下記表1に前記混練に用いた各材料の構成添加量を示す。
Figure 2007173112
第1の分散工程では図2に示すような連鎖構造の黒鉛化カーボンによる導電性三次元連鎖構造ネットワークを構築することを目的としており、第2の分散工程では負極活物質材料である酸化鉛を黒鉛化カーボン三次元連鎖構造ネットワークに均等に分散させることを目的としている。
このようにして作製したペーストを厚さ2ミリメートルの格子状集電体に充填して、その後、60℃で24時間乾燥した。厚さ2.2ミリメートルの負極板を形成した。
(比較例1)
比較のために、同じ格子に、従来から用いられているペースト、つまり、酸化鉛(200グラム)と希硫酸(37グラム、比重1.15)およびリグニン(0.4グラム)と硫酸バリウム(0.7グラム)を練合したペーストを充填し、湿度98パーセントで24時間熟成後、60℃で乾燥をした。
次に、前記実施例1および比較例1のそれぞれの負極板1枚の両側に微細ガラス繊維から成るセパレータを当接し、さらにその外側に1枚づつ正極板を当接した。このような構成とすることで、負極活物質の理論容量は正極が大過剰となり、目的とする負極の利用率を評価できる。該極板群を電槽に挿入し、電槽と極板群の隙間はABS樹脂製スペーサで埋めた。電槽に比重1.223の希硫酸を注入して、正極理論容量の300パーセントの電気量を流して、化成をおこなった。化成後の電解液の比重は1.320とした。電池は開放形とした。
次に、容量試験をおこなった。容量試験は20時間率、1時間率、6分間率の3種類とし、それぞれの放電終止電圧はセル当たり、1.7ボルト、1.7ボルト、1.5ボルトとした。温度は25℃である。放電率と負極活物質利用率の結果を図3に示す。
実施例1の負極板活物質の利用率は、20時間率で75パーセント、1時間率で58パーセント、6分間率で45パーセントであった。一方、比較例1の従来ペーストを用いた極板の活物質利用率は、それぞれ50パーセント、33パーセント、20パーセントであった。実施例1の極板は比較例1の極板に比べて、20時間率で約50%増、6分間率で約125%増と高い値を示した。
(実施例2)
表1に示した組成の内、黒鉛化カーボンとして吸油量120mL/100gの黒鉛化カーボンを11.4グラムとした以外は実施例1と同様にして負極活物質ペーストを作製した。すなわち、第1の分散工程で黒鉛化カーボンを水とポリビニルアルコールおよびスチレンブタジェンゴム(バインダー)に分散し、第2の分散工程で酸化鉛およびリグニン、硫酸バリウムを添加して混練した。これを格子に充填して負極板を得た。
(比較例2)
前記実施例2に対応する比較例2として、前記比較例1と同様の従来の一般的なペーストを作製して、格子に充填して負極板を得た。
黒鉛化カーボンを含有した実施例2の負極板は鉛活物質を10.5グラム充填した。それに対して比較例2の鉛活物質は18.5グラムであった。これら実施例2と比較例2の各負極板を、前記実施例1および比較例1の場合と同様に、25℃で、種々の放電率で放電し、放電率と要領との関係を測定した。その結果を図4に示す。図4から明らかなように、実施例2の負極板は、比較例2の従来の一般的な負極板に対して、鉛活物質の含有量が57質量パーセントと非常に少ないにもかかわらず、ほぼ同じ容量(高率放電容量はやや上回っている)を発揮した。
(実施例3)
シート状集電体を用いた負極に関する実施例について説明をする。
カーボンを3000℃で黒鉛化し、平均粒子25ナノメータの黒鉛化カーボン粒子(粉末の吸油量120mL/100g)から平均二次粒子径240ナノメータの図1に示すような連鎖構造の黒鉛化カーボンを得た。この連鎖状の黒鉛化カーボン8.6グラムとイオン交換水330グラムを添加して、さらに、黒鉛化カーボンの分散性を向上するために、重合度1700のポリビニルアルコールを添加した。そして、黒鉛化カーボン連鎖構造物質のネットワークの三次元構造を維持するためにスチレンブタジエンゴムを少量添加した。この状態で、24時間ボールミルにより混合した。これを第1段階の分散工程とする。ついで、これに酸化鉛200グラムと適量のリグニンおよび硫酸バリウムを添加して、5時間ボールミルにより、さらに混練した。これを第2の分散工程とする。下記表2に前記分散工程に用いた各材料の構成および添加量を示す。
第1の分散工程では図2に示すような黒鉛化カーボンによる導電性三次元構造ネットワークを構築することを目的とし、第2の分散工程では負極活物質である酸化鉛を黒鉛化カーボン三次元連鎖構造ネットワークに均等に分散させることを目的としている。
Figure 2007173112
このようにして作成した塗料を厚さ0.7ミリメートルのシート状鉛集電体にディッピングにより塗布して、その後、60℃で24時間乾燥した。厚さ1ミリメートルの負極板を形成した。
(比較例3)
前記実施例3で用いたシートと同じシートに、従来から用いられているペースト、つまり、酸化鉛と希硫酸および適量のリグニンと硫酸バリウムを練合したペーストをさらに水で希釈して塗布し、湿度98パーセントで24時間熟成後、60℃で乾燥をした。
前記実施例3および比較例3のそれぞれの負極板1枚の両側に微細ガラス繊維を当接し、さらにその外側に1枚づつ正極板を当接した。このような構成とすることで、電極活物質の理論容量は正極が大過剰となり、目的とする負極の利用率を評価できる。これら極板群を電槽に挿入し、電槽と極板群の隙間はABS樹脂製スペーサで埋めた。電槽に比重1.223の希硫酸を注入して、正極理論容量の300パーセントの電気量を流して、化成をおこなった。化成後の電解液の比重は1.320とした。電池は開放形とした。
次に、容量試験をおこなった。容量試験は20時間率、1時間率、6分間率の3種類とし、それぞれの放電終止電圧はセル当たり、1.7ボルト、1.7ボルト、1.5ボルトとした。温度は25℃である。放電率と負極活物質利用率の結果を図5に示す。
実施例3の負極板の活物質利用率は、20時間率で80パーセント、1時間率で62パーセント、6分間率で49パーセントとなった。一方、比較例3の従来ペーストを用いた従来極板の利用率は、それぞれ53パーセント、35パーセント、22パーセントであった。実施例3の極板は比較例3の極板に比べて、20時間率放電で約50%増、6分間率放電で約120%増と高い利用率となった。
(実施例4)
本実施例4では、導電性連鎖構造炭素材料として黒鉛化カーボンとアセチレンブラックとを用い、これらの吸油量を変化させて、得られたシート状負極の利用率を測定した。
下記表3に示す成分および配合量で、前記実施例3に記載の方法と同様にして負極を形成した。なお、表3の炭素は前記黒鉛化カーボンまたはアセチレンブラックであり、黒鉛化カーボンでは吸油量を60mL/100g〜200mL/100gまで変化させた。また、アセチレンブラックでは吸油量を140mL/100g〜220mL/100gまで変化させた。
Figure 2007173112
前述のようにして得られた各負極の20時間率放電の利用率と、6分間率放電の利用率とを測定した。20時間率放電の利用率の測定結果は図6に示し、6分間率放電の利用率の測定結果は図7に示した。
図6及び図7から明らかなように黒鉛化カーボンおよびアセチレンブラックとも吸油量が大きい(気孔率が高い、嵩密度が高い)ほど利用率も高い。同じ吸油量であれば、黒鉛化カーボンの方がアセチレンブラックよりも利用率が高い。これは黒鉛化カーボンがアセチレンブラックよりも電気抵抗が小さいためと思われる。嵩密度が高く、電気抵抗が小さいという二つの条件を同時に満たすことは、利用率を高める条件となる。市場的に有用な利用率を得るために必要な利用率は、黒鉛化カーボンであれば5×101mL/100g以上であり、アセチレンブラックであれば1.6×102mL/100g以上である。
(実施例5)
本実施例5では、分散剤として用いるポリビニルアルコールの重合度を変化させて、得られたシート状負極の利用率を測定した。前記表3の組成において、炭素として吸油量220mL/100gのアセチレンブラックを用いたことと、ポリビニルアルコールの重合度を500〜2500まで変化させたこと以外は、実施例3と同様の組成、同様の方法により負極を形成した。
得られた各負極の20時間率放電の利用率と、6分間率放電の利用率とを測定した。その測定結果を図8に示した。
図8から明らかなように、分散剤として用いるポリビニルアルコールの重合度が大きいほど利用率が高くなることが分かる。
(実施例6)
本実施例では、下記表4に示した5成分から負極活物質ペーストを形成し、それを実施例1で用いたシートと同じシートに充填して負極を形成するに当たって、2段階の分散工程を用いた場合と、1回の分散工程によって得た場合とで、得られた負極の利用率が大きく異なることを示す。
Figure 2007173112
第1の分散としてはアセチレンブラックと水を混合し、ボールミルで0.05時間、24時間の2種類の時間で混合した。その後、各混合物に酸化鉛、リグニンおよび硫酸バリウムを所定量加えて、5時間ボールミルによる混練を継続した。得られた2種類のペーストを用いて、実施例3と同様に負極板を形成した。
(比較例4)
前記表4に示した5成分を同時に混合し、5時間ボールミルにより混練した。詳しくは、まず、酸化鉛、アセチレンブラック、リグニンおよび硫酸バリウムを同時に混合し、これに水を添加し、ボールミルを用いて5時間混練した。得られたペーストを用いて、実施例3と同様にして負極を形成した。
実施例6で得られた負極板と比較例4で得られた負極板を用いて、それらの20時間率放電の利用率と、6分間率放電の利用率を測定した。この測定は、実施例6および比較例4の各サンプル数を8にして行った。その結果を下記表5に示す。
Figure 2007173112
表5から明らかになる点は、以下の点である。すなわち、導電性粒子連鎖構造物質を用いて負極活物質ペーストを形成するに当たって、導電性粒子連鎖構造物質を予め水に分散させておくこと(第1工程)によって、得られた負極活物質の利用率が大幅に向上するという点である。この予め水に分散させる工程は、導電性粒子連鎖構造物質が水に分散するという目的を達すれば、充分である。それは、この第1の工程の混合時間が0.05時間でも24時間でも、効果に大きな差がないことから、明らかである。本発明者が大きな驚きとともに確認した点は、この部分にある。負極活物質ペーストを得るに当たって、予め導電性粒子連鎖構造物質を水に分散させておくという前工程を経るだけで、負極活物質の利用率が格段に高まるのである。しかも、その前工程では、導電性粒子連鎖構造物質が水に分散されれば、良いので、0.05時間程度の短時間でよい。その後、金属酸化物とバインダー、その他の分散剤を従来と同様に添加混合して従来と同じ程度の時間混練するだけで、負極活物質の利用率を大幅に向上できる。これは、予め導電性粒子連鎖構造物質を水に分散させておくことによって、金属酸化物を混合する前に、導電性粒子連鎖構造物質の導電性粒子連鎖3次元構造が形成されるためであると推測される。金属酸化物およびバインダーを導電性粒子連鎖構造物質に同時に添加して一度に混練する場合には、この導電性粒子連鎖構造物質の連鎖三次元構造が形成されにくくなるものと思われる。
本発明に係る負極活物質を用いて形成した負極の利用率は、格子状集電体を用いた場合、20時間率放電では約75パーセント、6分間率では約45パーセントであった。低率放電、高率放電のどの放電率においても、従来の鉛蓄電池に比べて、利用率を大きく向上できた。集電体を従来どおり、格子を用いることが可能であり、また、鉛シートのようなシートにスラリー化した活物質を塗布することも可能である。格子に充填する場合は、ある程度の硬さが必要なので、導電性粒子連鎖構造物質に対する水の量を少なく設定したペーストを充填し、シートに塗布する場合は導電性粒子連鎖構造物質に対する水の量を多く設定して、スラリー状とする。
格子にペーストを充填した極板は基本的には、これまでの鉛蓄電池の全用途に軽量電池として、適用が可能である。シート状にした極板を用いた電池は円筒状電池として、極板をスパイラルして用いれば、高率放電が優れ、耐振動性の強い電池となる。これは特に自動車ハイブリッド用として適している。特に、自動車ハイブリッド用途ではニッケル水素電池やリチウムイオン電池が使用ないしは検討されてきたが、いずれもコストが高いという問題があった。本発明による蓄電池はそれらより圧倒的に低いコストを生かして実用的に用いることが可能である。
上記した大電流による放電が可能なこと、活物質の利用率が高いこと、さらには低コストやリチウムイオン電池やニッケル・水素電池のように充放電の管理の点で簡易的であることを生かす最適な用途は、自動車用途におけるエンジンと蓄電池のハイブリッド的な使い方である。この用途は、自動車の停止時の回生電力を蓄電池へ充電し、発信時には蓄電池からパワーを取り出すことで、ガソリンの有効利用をするというもので、自動車会社はガソリンの有効利用から省エネルギーや排ガスを減少できることから環境的にも良いということで、今後注力しようとしている。
従来の鉛蓄電池はフロート充電使用されることも多い。これは停電発生の非常時に蓄電池から負荷へ給電しようとするもので、一般的には10分間率程度で放電されるケースが多い。従来の鉛蓄電池はこのような短時間放電では大電流放電となるので、ただでさえ劣る活物質の利用率がさらに低下するので、蓄電池は大きな定格容量の蓄電池を用意せねばならず、大きくて重いものとなる。本発明による電池は活物質利用率が従来の鉛電池の約2倍と高く、かつ大電流による放電が可能で、軽量の蓄電池となることが可能である。
本発明で使用する導電性粒子連鎖構造物質の連鎖構造を示す模式図である。 本発明で使用する導電性粒子連鎖構造物質が絡み合って構成する三次元連鎖構造を示す模式図である。 実施例1と比較例1で得られた負極活物質の利用率と放電時間率との関係をグラフによって示した図である。 実施例2と比較例2で得られた負極活物質の容量と放電時間率との関係をグラフによって示した図である。 実施例3と比較例3で得られた負極活物質の利用率と放電時間率との関係をグラフによって示した図である。 実施例4で得られた負極活物質の20時間率放電の利用率と、該負極活物質に使用した炭素材料の吸油量との関係をグラフによって示した図である。 実施例4で得られた負極活物質の6分間率放電の利用率と、該負極活物質に使用した炭素材料の吸油量との関係をグラフによって示した図である。 実施例5で得られた負極活物質を用いて、分散剤として用いたポリビニルアルコールの重合度と、負極活物質の利用率との関係を求めた結果をグラフにより示した図である。

Claims (12)

  1. 嵩密度の指標として吸油量が少なくとも5×101mL/100g以上である導電性粒子連鎖構造物質と金属酸化物とが水と分散剤とにより混練された混練物からなる二次電池用負極活物質であって、
    前記混練物が、前記導電性粒子連鎖構造物質を水と混合して予め前記導電性粒子連鎖構造物質を分散させる第1の分散工程と、前記第1の分散工程によって得られた水分散ペーストに金属酸化物を添加、混合して負極活物質形成用ペーストを得る第2の分散工程とを経て得られたものであることを特徴とする二次電池用負極活物質。
  2. 前記導電性粒子連鎖構造物質が炭素系導電性粒子連鎖構造物質であることを特徴とする請求項1に記載の二次電池用負極活物質。
  3. 前記炭素系導電性粒子連鎖構造物質が黒鉛化カーボンであって、該黒鉛化カーボンの吸油量が5×101mL/100g以上であることを特徴とする請求項2に記載の二次電池用負極活物質。
  4. 前記炭素系導電性粒子連鎖構造物質がアセチレンブラックであって、該アセチレンブラックの吸油量が1.6×102mL/100g以上であることを特徴とする請求項2に記載の二次電池用負極活物質。
  5. 前記第1の分散時の分散剤として重合度1000以上のポリビニルアルコールが用いられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の二次電池用負極活物質。
  6. 嵩密度の指標として吸油量が少なくとも5×101mL/100g以上である導電性粒子連鎖構造物質を水と混合して予め前記導電性粒子連鎖構造物質を分散させる第1の分散工程と、前記第1の分散によって得られた水分散ペーストに金属酸化物を添加、混合して負極活物質形成用ペーストを得る第2の分散工程とを有することを特徴とする二次電池用負極活物質の製造方法。
  7. 前記導電性粒子連鎖構造物質として炭素系導電性粒子連鎖構造物質を用いることを特徴とする請求項6に記載の二次電池用負極活物質の製造方法。
  8. 前記炭素系導電性粒子連鎖構造物質として吸油量5×101mL/100g以上黒鉛化カーボンを用いることを特徴とする請求項7に記載の二次電池用負極活物質の製造方法。
  9. 前記炭素系導電性粒子連鎖構造物質として吸油量1.6×102mL/100g以上のアセチレンブラックを用いることを特徴とする請求項7に記載の二次電池用負極活物質の製造方法。
  10. 前記第1の分散工程において分散剤として重合度1000以上のポリビニルアルコールを用いることを特徴とする請求項6〜9のいずれか1項に記載の二次電池用負極活物質の製造方法。
  11. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の負極活物質を有することを特徴とする二次電池。
  12. 請求項6〜10のいずれか1項に記載の製造方法によってその負極活物質を製造することを特徴とする二次電池の製造方法。
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