JP2007171290A - 位相差フィルムの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】熱可塑性樹脂からなる原反フィルム5を、離隔配置されかつ周速の異なる一対の1次側ニップロール1A,1Bと一対の2次側ニップロール2A,2Bとの間を一方向に走行させながら縦一軸延伸することにより、平滑性を可及的に高めて、色むらを抑制または防止できるようにした位相差フィルムの製造方法を提供する。
【解決手段】1次側ニップロール1A,1Bと2次側ニップロール2A,2Bとの間に、フィルム走行方向上流側から順に予熱域6、フィルムのガラス転移温度Tg〜Tg+10℃とされた延伸域7、フィルムのガラス転移温度Tg−10℃〜Tg−50℃とされた冷却域8が設けられ、前記冷却域内において、延伸されたフィルムを、そのガラス転移温度Tgより低い表面温度を有する2本以上のパスロールで順次支持しながら冷却する。
【選択図】なし

Description

本発明は、例えば液晶表示装置に用いられる位相差フィルムの製造方法に関する。より詳しくは、熱可塑性樹脂からなる原反フィルムをその長手方向に延伸する一軸延伸法(縦一軸延伸法)を採用した方法に関する。
近年、ワープロ、ノートパソコン、携帯電話、自動車や機械の計器類等に液晶表示装置が大量に使用されつつある。これら液晶表示装置には、液晶の複屈折に由来する光学歪みを補償する目的で位相差フィルムが用いられている。
この位相差フィルムの製造方法には、縦一軸延伸法、横一軸延伸法、縦横逐次二軸延伸法、縦横同時二軸延伸法等があり、目的とする性能に応じて使い分けられる。
このうち、縦一軸延伸法で位相差フィルムを製造する方法として、例えば、特許文献1が知られている。この方法では、延伸終了後の冷却工程でフィルムの面内平滑性が損なわれることを回避することを目的として、周速の異なる二対のロール間において延伸域より下流の熱緩和域(ガラス転移温度Tg〜Tg−10℃)にパスロールを配置し、このパスロールに接するフィルム面とパスロールの中心軸との角度を90度以上としている。
特開平3−235902号公報
上記従来例では、ガラス転移温度Tg〜Tg−10℃である熱緩和域にパスロールを配置しているが、その場合、パスロールの温度制御がなされず、フィルムが十分に冷却されずに冷却ゾーンに到達するとその時点でフィルムが幅方向に収縮することで、フィルムの走行方向に平行な波状のシワが発生する可能性が高い。
このように、製造した位相差フィルムに波状のシワが発生していると、外観を損ねるばかりか、位相差バラツキが大きくなり、色むらが発生する結果となる。
また、上記従来例のように、パスロールのフィルム抱き角度を大きくしていると、パスロールに対するフィルム圧が大きくなってしまうので、仮にパスロールの平滑性ならびに回転精度が比較的低く設定されていると、フィルムに傷が入りやすくなり、外観を損ねることになる。
本発明は、位相差フィルムの製造方法において、平滑性を可及的に高めて、色むらの発生を抑制または防止できるようにすることを目的としている。
本発明は、熱可塑性樹脂からなる原反フィルムを、離隔配置されかつ周速の異なる一対の1次側ニップロールと一対の2次側ニップロールとの間を一方向に走行させながら一軸延伸することにより位相差フィルムを製造する方法であって、前記1次側ニップロールと前記2次側ニップロールとの間に、フィルム走行方向上流側から順に予熱域、フィルムのガラス転移温度Tg〜Tg+10℃とされた延伸域、フィルムのガラス転移温度Tg−10℃〜Tg−50℃とされた冷却域を設けるとともに、前記冷却域内において、延伸されたフィルムを、そのガラス転移温度Tgより低い表面温度を有する2本以上のパスロールで順次支持しながら冷却することを特徴としている。
1次側ニップロールと一対の2次側ニップロールとの周速を異ならせるには、両ニップロールの外径や回転速度を調節することにより行える。
パスロールの本数は2本以上であれば何本でも構わないが、現実的には10本以下、好ましくは3〜5本程度とされる。また、その表面温度はフィルムのガラス転移温度Tgより低く設定されていればよいが、フィルムの走行方向に進むにつれて徐々に低く設定されているのが好ましい。
本発明によれば、冷却域において、Tgより低い表面温度に設定されたパスロールを配置しているので、延伸されたフィルムがパスロールの外周面に接触して効果的に冷却されるとともに収縮し始めることになり、このパスロール上で支えられた状態で冷却されて収縮することになる。これにより、パスロールで冷却されたフィルムがパスロールの外周面に倣って平滑な面状態にされるので、従来例のような波状のシワが発生しにくくなる。
これに伴い、従来例のようにパスロールに対するフィルムの抱き角度を必ずしも大きくする必要がなくなるので、仮にパスロールの平滑性ならびに回転精度が比較的低く設定されていても、フィルムに傷がつきにくくなる。
なお、上記熱可塑性樹脂としては特に限定されず、環状オレフィン系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリサルホン樹脂等が挙げられるが、光弾性率が低く外部応力に対して位相差が変化しにくいことから環状オレフィン系樹脂が好ましい。
環状オレフィン系樹脂としては、ノルボルネン系樹脂が好ましく、例えば、ノルボルネン系モノマーの開環(共)重合体の水素添加物、ノルボルネン系モノマーとオレフィン系モノマーとの付加共重合体、ノルボルネン系モノマーどうしの付加共重合体又はこれらの誘導体等が挙げられる。これらは単独で用いられても併用されてもよい。
上記ノルボルネン系モノマーとしては、ノルボルネン環を有するものであれば、特に限定されず、例えば、ノルボルネン、ノルボルナジエン等の二環体;ジシクロペンタジエン等の三環体;テトラシクロドデセン等の四環体;シクロペンタジエン三量体等の五環体;シクロペンタジエン四量体等の七環体が挙げられる。
このノルボルネン系モノマーは置換基を有していても良い。置換基の例としてはメチル、エチル、プロピル、ブチル等のアルキル、ビニル等のアルケニル、エチリデン等のアルキリデン、フェニル、トリル、ナフチル等のアリール等の炭化水素基;エステル基、エーテル基、シアノ基、ハロゲン原子、アルコキシカルボニル基、ピリジル基、水酸基、カルボン酸基、アミノ基、無水酸基、シリル基、エポキシ基、アクリル基、メタクリル基等の極性基が挙げられる。
また、入手が容易であり、反応性に優れ、得られる位相差フィルムの耐熱性が優れていることから、三環体以上の多環ノルボルネン系モノマーが好ましく、三環体、四環体及び五環体のノルボルネン系モノマーがより好ましい。
ノルボルネン系モノマーは、一種が単独で使用されても二種類以上が併用されてもよい。
上記ノルボルネン系モノマーの開環(共)重合体の水素添加物としては、上記ノルボルネン系モノマーを公知の方法で開環重合させた後、残存する二重結合を水素添加したものが広く用いられる。これは、ノルボルネン系モノマーの単独重合体の水素添加物であってもよいし、異種のノルボルネン系モノマーの共重合体の水素添加物であってもよい。
上記ノルボルネン系モノマーとオレフィン系モノマーとの付加共重合体としては、例えばノルボルネン系モノマーとα−オレフィンとの共重合体、ノルボルネン系モノマーと環状オレフィン系モノマーとの共重合体等が挙げられる。
上記α−オレフィンとしては、炭素数2〜20のα−オレフィンが好ましく、炭素数2〜10のα−オレフィンがより好ましく、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン等が挙げられ、共重合性が高いことから、エチレンが好ましく、他のα−オレフィンをノルボルネン系モノマーと共重合させる場合にも、エチレンを共存させる方が共重合性が高められる。
上記環状オレフィン系モノマーとしては、例えば、シクロオクタジエン、シクロオクテン、シクロヘキセン、シクロドデセン、シクロドデカトリエン等が挙げられる。
上記ノルボルネン系モノマーの開環(共)重合体を得るには、例えば、ノルボルネン系モノマーを、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金等の金属のハロゲン化物、硝酸塩又はアセチルアセトネートと還元剤とからなる触媒系、又は、チタン、タングステン、モリブデン等の金属のハロゲン化物若しくはアセチルアセトネートと有機アルミニウム化合物とからなる触媒系等の存在下で、溶媒中又は無溶媒で、通常、−50〜100℃の重合温度、0〜5MPaの重合圧力で開環(共)重合させる。
上記ノルボルネン系モノマーとオレフィン系モノマーとの付加共重合体を得るには、例えば、これらのモノマー成分を、溶媒中又は無溶媒で、バナジウム化合物と有機アルミニウム化合物(好ましくはハロゲン含有有機アルミニウム化合物)とからなる触媒系の存在下で、通常、−50〜100℃の重合温度、0〜5MPaの重合圧力で共重合させる。
なお、商業的に入手できるノルボルネン系樹脂の具体例としては、例えば、JSR社製の商品名「アートン」シリーズ、日本ゼオン社製の商品名「ゼオノア」シリーズ、三井化学社製の商品名「アペル」シリーズ等が挙げられる。
なお、環状オレフィン系樹脂の数平均分子量は、小さすぎると、得られる位相差フィルムの機械的強度が低下することがあり、大きすぎると、製膜時の作業性が低下することがあるので、5000〜50000が好ましく、8000〜30000がより好ましい。なお、環状オレフィン系樹脂の数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ法によって測定されたものをいう。
上記環状オレフィン系樹脂には、位相差フィルムの機能を阻害しない範囲内において、成形中の環状オレフィン系樹脂の劣化を防止するため、及び位相差フィルムの耐熱性、耐紫外線性、平滑性等を向上するために、フェノール系、リン系等の酸化防止剤;ラクトン系等の熱劣化防止剤;ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、アクリロニトリル系等の紫外線吸収剤;脂肪族アルコールのエステル系、多価アルコールの部分エステル系、部分エーテル系等の滑剤;アミン系等の帯電防止剤等の各種添加剤が添加されていてもよい。添加剤は単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
環状オレフィン系樹脂(添加剤を含んでもよい)からフィルムを成膜するには、従来から汎用されている方法が用いられる。具体的には、環状オレフィン系樹脂を押出機に供給して溶融、混練し、押出機の先端に取り付けたTダイから溶融樹脂をフィルム状に押し出して樹脂フィルムを得る方法(所謂、溶融押出法)の他に、環状オレフィン系樹脂を有機溶媒中に溶解してなる溶液をドラム又はバンド上に流延し、その後に有機溶媒を蒸発させて樹脂フィルムを得る方法(所謂、溶液流延法)等が挙げられる。
上記環状オレフィン系樹脂フィルムの厚みは、薄すぎると、所望のリタデーションRe(以下、Reと略記する)を得ることが困難となり、厚すぎると、液晶表示装置に組み込んだ場合に液晶表示装置の薄型化に不利となるので、50〜200μmの範囲で設定することが好ましい。
なお、上記環状オレフィン系樹脂フィルムの厚みが80μm以上となる場合には、溶液流延法では、有機溶媒を充分に蒸発、除去させることが困難となることがあるので、溶融押出法を用いて環状オレフィン系樹脂フィルムを製造するのが好ましい。
本発明によれば、平滑性を可及的に高めて、色むらの発生を抑制または防止できるようにした位相差フィルムを製造することが可能になる。
本発明の一実施形態を図1に示して説明する。
図1は、位相差フィルムの製造装置の側面図である。この図において、1A,1Bは一対の1次側(上流側)ニップロール(直径150mm)、2A,2Bは一対の2次側(下流側)ニップロール(直径150mm)、3A,3B,3C,3Dはパスロール(直径200mm)である。
各パスロールの軸芯は、走行するフィルム面と平行な面上にあって、冷却域入り口隔壁から600mmの等間隔とされている。
この製造装置は、例えばダイから溶融した熱可塑性樹脂をフィルム状に押出し、一対の冷却ロールの間へ走行させることで冷却して原反フィルム5を得た後、この原反フィルム5を、図1に示すように、周速の異なる1次側ニップロール1A,1Bと2次側ニップロール2A,2Bとの間で縦一軸に延伸するものである。
1次側ニップロール1A,1Bと2次側ニップロール2A,2Bとの間には、1次側ニップロール1A,1B側から2次側ニップロール2A,2B側へ向けて、予熱域6、延伸域7、冷却域8が確保されている。
これら予熱域6、延伸域7、冷却域8は、図1に示すように、隔壁(符号省略)によって互いに仕切られており、それぞれ独立した温度制御が可能となっている。但し、各域6〜8を仕切るための隔壁には、フィルム通過用の僅かな隙間が設けられている。
延伸域7は、フィルムのガラス転移温度Tg以上の温度に設定される。一般に、縦一軸延伸におけるネックインは、延伸域7においてフィルム温度がガラス転移温度Tg付近の温度、特にガラス転移温度Tg以上の温度に到達した時点から一斉に開始する。そこで、予熱域6は、フィルム温度を延伸域7でガラス転移温度Tgに速やかに到達させるために設けられている。また、冷却域8は、フィルム温度を更に速やかに冷却するために設けられている。
そして、1次側ニップロール1A,1Bと2次側ニップロール2A,2Bとの間において、冷却域8には、フィルムを支持するための4本のパスロール3A,3B,3C,3Dが配置されている。
この実施形態では、4本のパスロール3A,3B,3C,3Dを同一平面に配置し、走行するフィルムの上下を交互に支持しているが、ロールの配置方法やフィルムの支持方法は必ずしもこの形態に限られるものではない。
ところで、パスロール3A,3B,3C,3Dは、適宜の金属材料を母材とし、その表面にハードクロムメッキまたはタングステンカーバイトのコーティングを施したものが好適とされる。
このパスロール3A,3B,3C,3Dの表面温度は、延伸後のフィルムを冷却させるために、表面温度がフィルムのガラス転移温度Tgより低く、しかもフィルム走行方向に進むにつれてより低くなるように設定されている。但し、比較例においては表面温度の調節はしなかった。
次に、上述した製造装置を用いて、位相差フィルムを製造するのであるが、本発明の特定事項を適用した実施例1,2と、本発明の特定事項から外した比較例1,2とを製造して評価しているので、表1に示して説明する。なお、比較例1,2では冷却域の温度をフィルムのガラス転移温度Tgよりやや低く設定することで、実質的には熱緩和域として機能させた。
Figure 2007171290
まず、実施例1,2および比較例1,2の位相差フィルムの原材料とする熱可塑性樹脂には、環状オレフィン系樹脂として熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂(日本ゼオン社製、商品名「ゼオノア#1600」)を用いる。
この樹脂を公知の一軸押出機(図示省略)に供給して溶融、混練し、一軸押出機の先端に取り付けてあるTダイから樹脂温度230℃にて溶融樹脂を押出して、幅1000mmで且つ平均厚み100μmの原反フィルム5を作製し、ロール状に連続的に巻き取る。
この熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂のガラス転移温度Tgは、示差走査熱量計(セイコー電子工業社製、商品名「DSC220C」)によって測定したところ、161.0℃であった。
(実施例1)
実施例1の製造条件について説明する。
予熱域6を140℃、延伸域7を165℃、冷却域8を120℃に設定する。
また、予熱域6の長さを3m、延伸域7の長さを5m、冷却域8の長さを3mとする。
パスロール3A,3B,3C,3Dの表面温度は、順に160℃,150℃,140℃,130℃とする。この表面温度は、フィルムのガラス転移温度Tgより低く設定されるが、例えばTg−5℃〜Tg−40℃、好ましくは、Tg−10℃〜Tg−30℃の範囲に設定される。このパスロール3A,3B,3C,3Dの表面温度は、パスロール3A,3B,3C,3Dの幅方向、周方向でそれぞれ0.2℃くらいのバラツキに制御するのが好ましい。
延伸倍率を1.5倍とする。なお、例えば上述したフィルム幅1000mmの場合、1.5倍の縦一軸延伸を行うことにより、フィルム最終幅を815mmとなる。
(実施例2)
実施例2の製造条件は、上記実施例1の延伸倍率を1.8倍としたこと以外は実施例1と同じとする。
(比較例1)
比較例1の製造条件は、冷却域8の温度を155℃として、実質的に熱緩和域として機能させたこと、および上記実施例1のパスロール3A,3B,3C,3Dの軸芯間距離を250mmとし、表面温度を調節しなかったこと以外は上記実施例1と同じとする。
(比較例2)
比較例2の製造条件は、延伸倍率を1.8倍としたこと以外は上記比較例1と同じである。
ここで、上述した実施例1,2および比較例1,2の製造条件で製造した各位相差フィルムについて、色むらと面状態とを調べて評価する。
まず、色むらの測定方法については、吸収軸を互いに直交させた二枚の偏光板の間に、製造した位相差フィルムの遅相軸が偏光板の吸収軸と45度に交差するように挟みこみ、色の濃淡を目視にて識別して3段階で評価する形態とした。濃淡がないものを「3点」、明らかに濃淡があるものを「1点」、その中間のものを「2点」とする。
また、製造した位相差フィルムの面状態については、製造した位相差フィルムを製造時のフィルム走行方向で長さ50cmに切り出し、平滑なステンレス板の上にのせて、表面の波形状を目視にて観察する形態とした。
ここで、結果について、表1を参照して説明する。まず、色むらは、実施例1,2が「3点」であり、比較例1が「2点」であり、比較例2が「1点」であった。また、面状態は、実施例1,2が「平滑」であり、比較例1が「僅かに波形」であり、比較例2が「波形目立つ」であった。
このような評価に基づき、実施例1,2は製品基準を満たしているが、比較例1,2は製品基準を満たしていないと考える。
即ち、延伸されたフィルムがパスロール3A,3B,3C,3Dの外周面に接触しながら冷却されるとともに収縮し始めることになり、しかも、複数のパスロール3A,3B,3C,3Dの外周面上で支えられた状態で徐々に冷却され、徐々に収縮することになる。
そのため、パスロール3A,3B,3C,3Dで冷却されたフィルムがパスロール3A,3B,3C,3Dの外周面に倣って平滑な面状態にされるので、従来例のような波状のシワが発生しにくくなる。
したがって、延伸されたフィルムのシワ等の発生を略防止して平滑面とすることができるので、色むらの発生を抑制または防止できるようになり、信頼性および品質の高い位相差フィルムを安定的に提供できるようになる。
これに伴い、従来例のようにパスロール3A,3B,・・・に対するフィルム抱き角度を必ずしも大きくする必要がなくなるので、仮にパスロール3A,3B,・・・の平滑性ならびに回転精度が比較的低く設定されていても、フィルムへの損傷を抑制または防止することができて、外観向上に貢献できる。
なお、上記実施形態において、パスロール3A,3B,・・・の設置形態、本数に対して特に拘束されない。
但し、パスロールは、最低2本以上で、抱き角度も小さいよりは大きいほうが冷却効果を高めるうえで好ましい。この抱き角度は、対のパスロールで挟圧する場合を除いて、30〜90度の範囲とするのが好ましい。
本発明に係る位相差フィルムの製造装置の一実施形態を模式的に示す側面図である。
符号の説明
1A,1B 1次側ニップロール
2A,2B 2次側ニップロール
3A,3B,3C,3D パスロール
5 原反フィルム
6 予熱域
7 延伸域
8 冷却域

Claims (1)

  1. 熱可塑性樹脂からなる原反フィルムを、離隔配置されかつ周速の異なる一対の1次側ニップロールと一対の2次側ニップロールとの間を一方向に走行させながら一軸延伸することにより位相差フィルムを製造する方法であって、
    前記1次側ニップロールと前記2次側ニップロールとの間に、フィルム走行方向上流側から順に予熱域、フィルムのガラス転移温度Tg〜Tg+10℃とされた延伸域、フィルムのガラス転移温度Tg−10℃〜Tg−50℃とされた冷却域を設けるとともに、
    前記冷却域内において、延伸されたフィルムを、そのガラス転移温度Tgより低い表面温度を有する2本以上のパスロールで順次支持しながら冷却することを特徴とする位相差フィルムの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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