JP2007170771A - ターボファン及びこれを用いた空気調和機の室内ユニット - Google Patents
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Abstract
【課題】吹き出し部における空気流の風速分布の偏りを抑えることのできるターボファン及びこのターボファンを用いた空気調和機の室内ユニットを提供する。
【解決手段】ハブ板21とシュラウド22との間に配置される羽根23は、ハブ板21側の後縁がシュラウド22側の後縁よりも回転方向側に配置され、後縁スキュー角が所定角度の範囲となるように形成される。そして、ターボファンの回転によって吸い込まれた空気が前縁24から後縁25へと案内される間に、その空気をハブ板21側からシュラウド22側へと導く。これにより、ターボファンの吹き出し部における空気流の風速分布の偏りを抑制する。
【選択図】図11
【解決手段】ハブ板21とシュラウド22との間に配置される羽根23は、ハブ板21側の後縁がシュラウド22側の後縁よりも回転方向側に配置され、後縁スキュー角が所定角度の範囲となるように形成される。そして、ターボファンの回転によって吸い込まれた空気が前縁24から後縁25へと案内される間に、その空気をハブ板21側からシュラウド22側へと導く。これにより、ターボファンの吹き出し部における空気流の風速分布の偏りを抑制する。
【選択図】図11
Description
本発明は、回転によってシュラウド側から空気を吸い込み外周側へ吹き出すターボファン及びこれを用いた空気調和機の室内ユニットに関する。
従来、天井埋込型等の空気調和機に用いられる送風ファンとしては、効率面、騒音面を考慮して、ファンの羽根が3次元形状に形成された遠心ファンである、いわゆるターボファンが広く採用されている。このようなターボファンは、一般的に、電動機により回転されるハブ板と、このハブ板の対向位置に設けられる環状のシュラウドと、ハブ板とシュラウドとの間に配置されて内周側の端部である前縁が外周側の端部である後縁よりも回転方向側に設けられる複数枚の羽根とを備えている。そして、電動機によるターボファンの回転によって、シュラウド側から空気を吸い込み、その空気を羽根の前縁から後縁へと案内してターボファンの外周側へ吹き出すように構成されている。また、こうしたターボファンを用いた空気調和機としては、特許文献1に示されるように、ターボファンの吹出側に熱交換器を配置して薄型化を図ったものが提案されている。
特開平5−39930号公報
ところで、このようなターボファンは、ハブ板と対向するシュラウド側から吸い込まれた空気が、略垂直方向に方向転換されて外周側から吹き出すように構成されるため、ターボファン内を通過する空気流がハブ板側に偏ってしまう。このため、ターボファンの吹き出し部における空気流の風速分布がハブ板側に偏った状態になり、ターボファンの吹き出し側に配置された熱交換器に送られる空気量が不均一となるので、熱交換器の熱交換効率の低下及び熱交換器の通風抵抗の増加、ひいてはターボファンの回転動力の増加及びエネルギー効率の低下を招く原因となっていた。特に近年、空気調和機の小型化に対する要求から、ターボファンの吹き出し部と熱交換器との距離が短くなるように配置される傾向にあるため、ターボファンの吹き出し部における空気流の風速分布が、熱交換器の熱交換効率及び熱交換器の通風抵抗に与える影響がより一層大きくなっている。
この発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、吹き出し部における空気流の風速分布の偏りを抑えることのできるターボファン及びこのターボファンを用いた空気調和機の室内ユニットを提供することにある。
本発明に係るターボファンは、電動機により回転されるハブ板と、このハブ板の対向位置に設けられる環状のシュラウドと、前記ハブ板と前記シュラウドとの間に配置されて内周側の端部である前縁が外周側の端部である後縁よりも回転方向側に設けられる複数枚の羽根とを備え、回転によって前記シュラウド側から空気を吸い込み外周側へ吹き出すターボファンであって、前記羽根は、前記ハブ板側の後縁が前記シュラウド側の後縁よりも回転方向側に配置され、前記ハブ板側端部の後縁と前記シュラウド側端部の後縁との円周方向角度が14°〜22°の範囲となるように形成されることを特徴とする。
同構成によれば、ハブ板とシュラウドとの間に配置されるターボファンの羽根は、ハブ板側の後縁がシュラウド側の後縁よりも回転方向側に配置され、ハブ板側端部の後縁とシュラウド側端部の後縁との円周方向角度が14°〜22°の範囲となるように形成される。ハブ板側の後縁がシュラウド側の後縁よりも回転方向側に配置されると、ターボファンの回転によって吸い込まれた空気がハブ板側からシュラウド側に導かれるため、ハブ板側に偏った空気流の風速分布を均すことができる。しかし、ハブ板側の後縁をシュラウド側の後縁に対して回転方向側に大きくずらし過ぎると、羽根の後縁の回転軸方向に対する傾斜角度が大きくなるため、ハブ板側に加わるスラスト力が大きくなり、ターボファンの回転動力が増加してエネルギー効率の低下を招く。ターボファンの羽根を、ハブ板側端部の後縁とシュラウド側端部の後縁との円周方向角度が14°〜22°の範囲となるように形成すると、ハブ板側に偏った空気流の風速分布を均す効果が発揮されるとともに、スラスト力の増加に伴うターボファンの回転動力の増加を抑えることができる。このため、ターボファンの吹き出し部における空気流の風速分布の偏りを効率よく抑えるように構成することができる。
また、前記羽根は、前記ハブ板側の後縁における回転軸方向に対する傾斜角度が、前記シュラウド側の後縁における回転軸方向に対する傾斜角度よりも大きくなるように形成されていてもよい。
同構成によれば、ターボファンの羽根は、ハブ板側の後縁における回転軸方向に対する傾斜角度が、シュラウド側の後縁における回転軸方向に対する傾斜角度よりも大きくなるように形成される。このため、ハブ板側の羽根の後縁における傾斜角度を相対的に大きくすることで、ハブ板側に偏って流れる空気流をハブ板側からシュラウド側に導く効果をより大きくすることができ、ターボファンの吹き出し部における空気流の風速分布の偏りをより好適に抑えることができる。
また、前記羽根は、前縁における入口角が前記ハブ板側から前記シュラウド側に向かって漸減するように形成されていてもよい。ここで、入口角とは、羽根の前縁において羽根の翼素のキャンバー線と羽根の回転する周方向接線とが成す角度である。
ターボファン内を通過する空気流はハブ板側に偏ることから、外周側へ吹き出される空気流の速度はシュラウド側よりもハブ板側の方が高くなり、羽根の前縁における空気流の径方向速度についてもシュラウド側よりもハブ板側の方が高くなる。このため、羽根の前縁における空気流の周方向接線に対する流入角が、ハブ板側では相対的に大きくシュラウド側では相対的に小さくなる。
同構成によれば、ターボファンの羽根は、前縁における入口角がハブ板側からシュラウド側に向かって漸減するように形成されるため、羽根の前縁において空気流の流入角と入口角とを近づけるようにすることができる。このため、空気流が羽根とほぼ無衝突で羽根間の流路に入っていくため、羽根の前縁近傍において剥離流が生じることを抑えることができ、空気流の圧力損失及び騒音の発生を抑制することができる。
また、本発明に係る空気調和機の室内ユニットは、上記のターボファンを搭載したことを特徴とする。同構成によれば、上記のようにターボファンの吹き出し部における空気流の風速分布の偏りを抑えることができるため、空気調和機の室内ユニット内を流通する空気の流れを円滑にすることができ、機内抵抗を低減して空気調和機のエネルギー効率を向上させることができる。
また、上記のターボファンを搭載した空気調和機の室内ユニットにおいて、前記ターボファンの空気の吸い込み側に空気吸込口が設けられるとともに、前記ターボファンの空気の吹き出し側に熱交換器が配置され、この熱交換器の下流側に空気吹出口が設けられるようにしてもよい。
同構成によれば、ターボファンの空気の吹き出し側に熱交換器を配置するため、空気調和機の室内ユニットを薄型化することができる。また、風速分布の偏りが抑えられて均一化された空気流がターボファンの吹き出し部から熱交換器へと導かれるため、熱交換器の熱交換効率の向上及び熱交換器の通風抵抗の低下を図ることができる。また、熱交換器の通風抵抗の低下によって、空気調和機の室内ユニットにおける騒音の発生を抑えることができる。
本発明に係るターボファンによれば、ハブ板とシュラウドとの間に配置される羽根は、ターボファンの回転動力を過度に増加させることなく、ハブ板側に偏った空気流をハブ板側からシュラウド側へと導くような羽根形状を有しているため、吹き出し部における空気流の風速分布の偏りを好適に抑えることができる。また、本発明に係る空気調和機の室内ユニットによれば、上記のようなターボファンを用いるため、室内ユニット内を流通する空気の流れを円滑にすることができ、機内抵抗を低減して空気調和機のエネルギー効率を向上させることができる。
以下、図1〜13を参照して、本発明に係るターボファン及びこのターボファンを用いた空気調和機の室内ユニットを具体化した一実施形態について説明する。
図1は空気調和機の壁掛型室内ユニットの外観斜視図である。室内ユニット1は横長箱型形状に形成されるとともに、そのケーシングが、フレーム11と、フレーム11の前面側に取り付けられる前面グリル12とによって構成される。前面グリル12には、中央部に室内空気を吸い込む空気吸込口13と、左右側方部分に室内ユニット1内で熱交換された空気を吹き出すための空気吹出口14とが形成されている。
図1は空気調和機の壁掛型室内ユニットの外観斜視図である。室内ユニット1は横長箱型形状に形成されるとともに、そのケーシングが、フレーム11と、フレーム11の前面側に取り付けられる前面グリル12とによって構成される。前面グリル12には、中央部に室内空気を吸い込む空気吸込口13と、左右側方部分に室内ユニット1内で熱交換された空気を吹き出すための空気吹出口14とが形成されている。
図2は図1のA−A線に沿う空気調和機の室内ユニット1の断面図であり、図3は室内ユニット1の前面グリル12を開放した状態を示す斜視図である。室内ユニット1のケーシング内には、空気を循環させるターボファン2と、通過する空気と熱交換を行う熱交換器3とが収納されている。ターボファン2は、室内ユニット1の中央部に配置されるとともに、その回転により前面グリル12の空気吸込口13から吸い込んだ空気を左右側方に吹き出すように構成されている。熱交換器3は、ターボファン2の左右両側に配置されるとともに、冷媒回路における凝縮器(暖房運転時)や蒸発器(冷房運転時)として機能して、ターボファン2から吹出された空気と熱交換を行う。また、室内ユニット1のケーシング内には、空気吸込口13から吸い込んだ空気をターボファン2に案内するベルマウス15が設けられるとともに、熱交換器3で熱交換された空気を空気吹出口14に案内する空気通路16が形成されている。
ターボファン2は、電動機としてのモータ17により回転され、ターボファン2の回転軸、すなわちモータ17の回転軸17aが室内ユニット1の前後方向となるように配置されている。モータ17は、薄型仕様のモータ、例えばプリントモータが使用されており、ターボファン2の背面側において、フレーム11の背壁に固定されている。
ターボファン2は、図4に示されるように、モータ17により回転されるハブ板21と、ハブ板21の対向位置に設けられる環状のシュラウド22と、ハブ板21とシュラウド22との間に配置される複数枚の羽根23とを備えている。ここで、各図における矢印Rはターボファン2の回転方向を示している。
ハブ板21は、外形21aが円形に形成されるとともに、その中心部にモータ17の回転軸17aが固定される孔部21bが設けられている。シュラウド22は、外形22aが円形に形成されるとともに、その中央部に空気を吸い込む開口22bが形成されている。羽根23は、翼形状を成すとともにその表面が3次元形状に形成されており、内周側の端部である前縁24が外周側の端部である後縁25よりも回転方向側に設けられている。ターボファン2は、その回転によってシュラウド22の開口22bから空気を吸い込み、羽根23の前縁24から後縁25へと空気を案内してターボファン2の外周側へその空気を吹き出す。
次に、羽根23の形状についてさらに詳しく説明する。図5は羽根23を後縁25側から見たときの部分側面図であり、図6は羽根23をシュラウド22側から見たときの部分平面図である。羽根23は、図5に示すように、ハブ板21側の後縁25aがシュラウド22側の後縁25bよりも回転方向側に配置されて、後縁25が回転軸方向に対して傾斜するように形成されている。ターボファン2は、シュラウド22の開口22bから吸い込まれた空気が、略垂直方向に方向転換されて外周側から吹き出すように構成されるため、ターボファン2内を通過する空気流がハブ板21側に偏ってしまう。このため、ハブ板21側の後縁25aをシュラウド22側の後縁25bよりも回転方向側に配置することによって、吸い込まれた空気が前縁24から後縁25へと案内される間に、その空気をハブ板21側からシュラウド22側へと導くことができる。これにより、ターボファン2の吹き出し部である羽根23の後縁25において、ハブ板21側に偏った空気流の風速分布を均すようにしている。
また、羽根23は、図5に示すように、ハブ板21側の後縁25aにおける回転軸方向に対する傾斜角度θhが、シュラウド22側の後縁25bにおける回転軸方向に対する傾斜角度θsよりも大きくなるように形成されている。このようにハブ板21側の後縁25aの傾斜角度θhをシュラウド22側の後縁25bの傾斜角度θsより大きくすることで、ハブ板21側に偏って流れる空気流をハブ板21側からシュラウド22側へと導く効果をより大きくしている。
また、羽根23は、図6に示すように、ハブ板21側端部の後縁25cとシュラウド22側端部の後縁25dとの円周方向角度(以下、この角度を後縁スキュー角αと呼ぶ)が14°〜22°の範囲となるように形成されている。ここで、Oは回転軸中心である。後縁スキュー角αが14°〜22°に設定されていることについての効果は後述する。
また、羽根23は、図6に示すように、ハブ板21側の前縁24aにおける入口角βhが、シュラウド22側の前縁24bにおける入口角βsよりも大きくなるように形成されている。すなわち、前縁24における入口角βがハブ板21側からシュラウド22側に向かって漸減するように形成されている。ここで、羽根23の入口角βとターボファン2内を通過する空気流との関係について説明する。図7はターボファン2内の空気流を示す部分断面図であり、図8は羽根23の前縁24に空気流が流入する状態を示す部分平面図である。
図7に示すように、ターボファン2内を通過する空気流Bはハブ板側に偏ることから、外周側へ吹き出される空気流の速度はシュラウド22側よりもハブ板21側の方が高くなる。このため、羽根23の前縁24における空気流の径方向速度Cについてもシュラウド22側よりもハブ板21側の方が高くなる。ここで、図8に示すように、空気流の径方向速度Cと羽根23の前縁24の周方向速度Dとから、羽根23の前縁24に対する空気流の相対速度Eと前縁24の周方向接線に対する流入角γとを求めることができる。上述のように、ハブ板21側の前縁24aにおける空気流の径方向速度Chは、シュラウド22側の前縁24bにおける空気流の径方向速度Csよりも高くなるため、ハブ板21側の前縁24aの相対速度Ehは、シュラウド22側の前縁24bの相対速度Esより高くなる。そして、ハブ板21側の前縁24aにおける流入角γhは、シュラウド22側の前縁24bにおける流入角γsよりも大きくなる。このため、前縁24における入口角βがハブ板21側からシュラウド22側に向かって漸減するように羽根を形成すると、羽根23の前縁24の各位置において空気流の流入角γと入口角βとを近づけるようにすることができる。これにより、空気流が羽根23とほぼ無衝突で羽根間の流路に入っていくため、羽根23の前縁24近傍において剥離流が生じることを抑えることができる。
また、羽根23は、図6に示すように、シュラウド22側の前縁24bがシュラウド22の開口22bの外周を回転軸に垂直な面に投影した円形状とほぼ同一位置上に配置されている。これにより、シュラウド22の開口22bから吸い込んだ空気流がシュラウド22側の羽根23と衝突しないようにして空気流の圧力損失を軽減するとともに、シュラウド22側の羽根23の長さを極力長くして吸い込んだ空気を効率よく後縁25に案内するようにしている。また、羽根23は、ハブ板21側の前縁24aがシュラウド22の開口22bの外周を回転軸に垂直な面に投影した円形状よりも内側に配置される。これにより、シュラウド22の開口22bから吸い込まれてハブ板21側に偏った空気流を、ハブ板21側の前縁24a近傍で速やかに捉えるようにしている。
熱交換器3は、ターボファン2の左右両側に略対称的に分散配置されている。分散配置された両熱交換器3は、図9に示すように、底部スペースを利用して配置される冷媒配管31により連結され、一体となって作用するように構成されている。熱交換器3には、前板32と後板33との間に扁平チューブ34が前後方向に平行に6列配置されている。扁平チューブ34間及び扁平チューブ34と前板32又は後板33との間には、コルゲートフィン35が設けられる。そして、熱交換器3は、コルゲートフィン35を通過する空気と熱交換を行う。
次に、空気調和機の室内ユニット1の作用について説明する。空気調和機の運転が開始されてターボファン2が回転されると、前面グリル12の空気吸込口13から室内空気が吸い込まれる。この室内空気は、ベルマウス15により案内されて、シュラウド22の開口22bからターボファン2の内部に取り込まれる。そして、ターボファン2に取り込まれた空気は、羽根23の前縁24から後縁25へと案内されることにより昇圧されて羽根23の後縁25から外周側へ吐き出される。ターボファン2から吹き出された空気は、左右両側の熱交換器3で熱交換された後に、空気通路16に案内されて、前面グリル12の空気吹出口14から室内に吹き出される。
次に、羽根23の後縁スキュー角αについて説明する。図10〜12は、後縁スキュー角αを順次大きくしていったときの、ターボファン2内の空気流の流れ及び羽根23の後縁25における風速分布を示したものである。図10は図10(a)の部分平面図に示すように後縁スキュー角α1が小さい場合(例えばα1=10°)の空気流の状態を示したものである。後縁スキュー角α1が小さい場合は、図10(b)の側面図に示すように、吸い込まれた空気が羽根23の前縁24から後縁25へと案内されるときに、その空気流Fをハブ板21側からシュラウド22側へと押し上げる力が弱くなる。このため、図10(c)の部分断面図に示すように、ハブ板21側に偏って流れる空気流Fが、そのまま羽根23の後縁25から吹き出されるため、後縁25における空気流Fの風速分布Gがハブ板21側に偏ってしまう。その結果、ハブ板21側に偏った空気流Fがそのまま熱交換器3に導かれることとなり、熱交換器3の熱交換効率が低下するとともに、熱交換器3の通風抵抗が増加してしまう。また、熱交換器3の通風抵抗の増加によって、室内ユニット1の騒音も増加する。
図11は図11(a)の部分平面図に示すように後縁スキュー角α2をα1よりも大きくした場合(例えばα2=18°)の空気流の状態を示したものである。この場合は、図11(b)の側面図に示すように、吸い込まれた空気が羽根23の前縁24から後縁25へと案内されるときに、その空気流Hをハブ板21側からシュラウド22側へと押し上げる力が図10(b)の場合よりも強くなる。このため、図11(c)の部分断面図に示すように、ハブ板21側に偏って流れる空気流Hが、ハブ板21側からシュラウド22側へと導かれるため、後縁25における空気流Hの風速分布Iが均一化される。その結果、熱交換器3に導かれる空気流Hが均一化されることとなり、熱交換器3の熱交換効率の向上、熱交換器3の通風抵抗の低下及び室内ユニット1の騒音の低下を図ることができる。
図12は図12(a)の部分平面図に示すように後縁スキュー角α3をα2よりもさらに大きくした場合(例えばα2=25°)の空気流の状態を示したものである。この場合は、図12(b)の側面図に示すように、吸い込まれた空気が羽根23の前縁24から後縁25へと案内されるときに、その空気流Jをハブ板21側からシュラウド22側へと押し上げる力が図11(b)の場合よりもさらに強くなる。このため、図12(c)の部分断面図に示すように、ハブ板21側に偏って流れる空気流Jが、ハブ板21側からシュラウド22側へと強く導かれるようになる。ところが、空気流Jがハブ板21を押し下げる力が強くなり、ターボファン2からモータ17に対して大きなスラスト力を与えてしまうこととなるため、モータ17の出力効率が低下してしまう。その結果、羽根23の後縁25から吹き出される空気量が減少し、空気流Jの風速分布Kの速度値が低下するため、室内ユニット1のエネルギー効率が低下する。
以上のように、ターボファン2の羽根23を、図11に示すような所定の後縁スキュー角α(例えば14°〜22°の範囲)となるように形成すると、ハブ板21側に偏った空気流の風速分布を均す効果が発揮されるとともに、モータ17に加わるスラスト力の増加に伴ってターボファン2の回転動力が増加することを抑えることができる。このため、羽根23の後縁25における空気流の風速分布の偏りを効率よく抑えるように構成することができる。
ここで、羽根23の後縁スキュー角αに対する室内ユニット1の騒音の変化量を測定したところ図13に示す結果が得られた。この測定は、ターボファン2の羽根23の後縁25から吹き出される時間あたりの総空気量が一定になる条件で行った。また、図13は後縁スキュー角αが10°のときの騒音を基準として騒音の変化量を縦軸にとったものである。図13に示されるように、後縁スキュー角αが18°となるときに最も室内ユニット1の騒音が低減され、後縁スキュー角αが14°〜22°の範囲Xにおいて騒音低減効果が見られた。室内ユニット1の騒音は、熱交換器3の熱交換効率や通風抵抗とも相関を有するため、後縁スキュー角αを14°〜22°の範囲Xに設定することにより、熱交換器3の熱交換効率を向上させるとともに、熱交換器3の通風抵抗を低下させることができると推測される。
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)上記実施形態では、ターボファン2の羽根23は、ハブ板21側の後縁25aがシュラウド22側の後縁25bよりも回転方向側に配置され、後縁スキュー角αが14°〜22°の範囲となるように形成される。ハブ板21側の後縁25aがシュラウド22側の後縁25bよりも回転方向側に配置されると、ターボファン2の回転によって吸い込まれた空気がハブ板21側からシュラウド22側に導かれるため、ハブ板21側に偏った空気流の風速分布を均すことができる。しかし、ハブ板21側の後縁25aをシュラウド22側の後縁25bに対して回転方向側に大きくずらし過ぎると、羽根23の後縁25の回転軸方向に対する傾斜角度が大きくなるため、空気流がハブ板21を押圧してモータ17に大きなスラスト力を与えてしまい、ターボファン2の回転動力が増加してエネルギー効率の低下を招く。上記実施形態のように、ターボファン2の羽根23を後縁スキュー角αが14°〜22°の範囲となるように形成すると、ハブ板21側に偏った空気流の風速分布を均す効果が発揮されるとともに、スラスト力の増加に伴うターボファン2の回転動力の増加を抑えることができる。このため、羽根23の後縁25から吹き出される空気流の風速分布の偏りを効率よく抑えることができる。
(1)上記実施形態では、ターボファン2の羽根23は、ハブ板21側の後縁25aがシュラウド22側の後縁25bよりも回転方向側に配置され、後縁スキュー角αが14°〜22°の範囲となるように形成される。ハブ板21側の後縁25aがシュラウド22側の後縁25bよりも回転方向側に配置されると、ターボファン2の回転によって吸い込まれた空気がハブ板21側からシュラウド22側に導かれるため、ハブ板21側に偏った空気流の風速分布を均すことができる。しかし、ハブ板21側の後縁25aをシュラウド22側の後縁25bに対して回転方向側に大きくずらし過ぎると、羽根23の後縁25の回転軸方向に対する傾斜角度が大きくなるため、空気流がハブ板21を押圧してモータ17に大きなスラスト力を与えてしまい、ターボファン2の回転動力が増加してエネルギー効率の低下を招く。上記実施形態のように、ターボファン2の羽根23を後縁スキュー角αが14°〜22°の範囲となるように形成すると、ハブ板21側に偏った空気流の風速分布を均す効果が発揮されるとともに、スラスト力の増加に伴うターボファン2の回転動力の増加を抑えることができる。このため、羽根23の後縁25から吹き出される空気流の風速分布の偏りを効率よく抑えることができる。
(2)上記実施形態では、ターボファン2の羽根23の後縁25から吹き出される空気流の風速分布の偏りを抑制するように構成されているため、空気調和機の室内ユニット1内を流通する空気の流れを円滑にすることができ、機内抵抗を低減して空気調和機のエネルギー効率を向上させることができる。
(3)上記実施形態では、ターボファン2の空気の吹き出し側に熱交換器3が配置されるため、風速分布の偏りが抑えられて均一化された空気流がターボファン2から熱交換器3へと導かれる。このため、熱交換器3の熱交換効率の向上及び熱交換器3の通風抵抗の低下を図ることができる。また、熱交換器3の通風抵抗の低下によって、空気調和機の室内ユニット1における騒音の発生を抑えることができる。また、ターボファン2の空気の吹き出し側に熱交換器3を配置するため、空気調和機の室内ユニット1を薄型化することができる。
(4)上記実施形態では、羽根23は、ハブ板21側の後縁25aにおける回転軸方向に対する傾斜角度θhが、シュラウド22側の後縁25bにおける回転軸方向に対する傾斜角度θsよりも大きくなるように形成される。このようにハブ板21側の後縁25aにおける傾斜角度θhを相対的に大きくすることで、ハブ板21側に偏って流れる空気流をハブ板21側からシュラウド22側に導く効果をより大きくすることができ、羽根23の後縁25における空気流の風速分布の偏りをより好適に抑えることができる。
(5)上記実施形態では、羽根23は、前縁24における入口角βがハブ板21側からシュラウド22側に向かって漸減するように形成されるため、羽根23の前縁24において空気流の流入角γと入口角βとを近づけるように構成することができる。このため、空気流が羽根23とほぼ無衝突で羽根間の流路に入っていくため、羽根23の前縁24近傍において剥離流が生じることを抑えることができ、空気流の圧力損失及び騒音の発生を抑制することができる。
(6)上記実施形態では、羽根23は、ハブ板21側の前縁24aがシュラウド22側の前縁24bよりも径方向の内側に配置される。このため、ハブ板21側に偏った空気流をハブ板21側の前縁24a近傍で速やかに捉えて後縁25に案内するように構成することができる。
(7)上記実施形態では、羽根23は、シュラウド22側の前縁24bがシュラウド22の開口22bの外周を回転軸に垂直な面に投影した円形状とほぼ同一位置上に配置される。このため、シュラウド22の開口22bから吸い込んだ空気流がシュラウド22側の羽根23と衝突しないようにして空気流の圧力損失を軽減するとともに、シュラウド22側の羽根23の長さを極力長くして吸い込んだ空気を効率よく後縁25に案内することができる。
(8)上記実施形態では、羽根23は、ハブ板21側の前縁24aがシュラウド22の開口22bの外周を回転軸に垂直な面に投影した円形状よりも内側に配置される。このため、シュラウド22の開口22bから吸い込まれてハブ板21側に偏った空気流を、ハブ板21側の前縁24a近傍で速やかに捉えることができ、吸い込んだ空気を効率よく後縁25に案内することができる。
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記実施形態では、ターボファン2の羽根23が、翼形状に形成されているが、板形状に形成されていてもよい。
・上記実施形態では、ターボファン2の羽根23が、翼形状に形成されているが、板形状に形成されていてもよい。
・上記実施形態では、空気調和機の室内ユニット1を壁掛型としたが、天井埋込型等、他の形式の室内ユニットとしてもよい。
・また、熱交換器3は、クロスフィンコイル式熱交換器等、他の形式の熱交換器としてもよい。
・また、熱交換器3は、クロスフィンコイル式熱交換器等、他の形式の熱交換器としてもよい。
・上記実施形態では、室内ユニット1の構成を、ターボファン2の空気の吹き出し側に熱交換器3が配置されるようにしたが、ターボファン2の空気の吸い込み側に熱交換器3が配置されるようにしてもよい。
1…室内ユニット、2…ターボファン、3…熱交換器、11…フレーム、12…前面グリル、13…空気吸込口、14…空気吹出口、15…ベルマウス、16…通気通路、17…モータ、21…ハブ板、22…シュラウド、23…羽根、24…前縁、25…後縁、α…後縁スキュー角、β…入口角、γ…流入角。
Claims (5)
- 電動機により回転されるハブ板と、このハブ板の対向位置に設けられる環状のシュラウドと、前記ハブ板と前記シュラウドとの間に配置されて内周側の端部である前縁が外周側の端部である後縁よりも回転方向側に設けられる複数枚の羽根とを備え、回転によって前記シュラウド側から空気を吸い込み外周側へ吹き出すターボファンであって、
前記羽根は、前記ハブ板側の後縁が前記シュラウド側の後縁よりも回転方向側に配置され、前記ハブ板側端部の後縁と前記シュラウド側端部の後縁との円周方向角度が14°〜22°の範囲となるように形成される
ことを特徴とするターボファン。 - 請求項1に記載のターボファンにおいて、
前記羽根は、前記ハブ板側の後縁における回転軸方向に対する傾斜角度が、前記シュラウド側の後縁における回転軸方向に対する傾斜角度よりも大きくなるように形成される
ことを特徴とするターボファン。 - 請求項1又は2に記載のターボファンにおいて、
前記羽根は、前縁における入口角が前記ハブ板側から前記シュラウド側に向かって漸減するように形成される
ことを特徴とするターボファン。 - 請求項1〜3のいずれか一項に記載のターボファンを搭載したことを特徴とする空気調和機の室内ユニット。
- 請求項4に記載の空気調和機の室内ユニットにおいて、
前記ターボファンの空気の吸い込み側に空気吸込口が設けられるとともに、前記ターボファンの空気の吹き出し側に熱交換器が配置され、この熱交換器の下流側に空気吹出口が設けられる
ことを特徴とする空気調和機の室内ユニット。
Priority Applications (1)
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