JP2007168231A - Frp製の長尺薄物の多段成形方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】FRP製の長尺薄物を上型と下型とからなる金型を用いて成形するに際し、金型のたわみを防止する方法を提供すること。
【解決手段】FRP製の長尺薄物を上型と下型とからなる金型を用いて成形するに際し、プリプレグを敷設し型締めした金型を複数段に配設し、これら複数段に配設された金型を、例えば、ボルトとナットからなる固定具で固定し、次いで、固定された複数の金型を加熱・硬化炉で加熱及び/又は加圧することからなるFRP製の長尺薄物の多段成形方法。
【選択図】図1
【解決手段】FRP製の長尺薄物を上型と下型とからなる金型を用いて成形するに際し、プリプレグを敷設し型締めした金型を複数段に配設し、これら複数段に配設された金型を、例えば、ボルトとナットからなる固定具で固定し、次いで、固定された複数の金型を加熱・硬化炉で加熱及び/又は加圧することからなるFRP製の長尺薄物の多段成形方法。
【選択図】図1
Description
本発明は、繊維強化樹脂(FRP)製の長尺薄物を、金型を複数段に配設した多段成形方法により、一度にまとめて成形する方法に関する。
繊維強化プラスチック(FRP)は、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂等の熱硬化性樹脂や、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、PPS、PEEK等の熱可塑性樹脂のマトリックス樹脂と、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維等の強化繊維からなるものであり、軽量で且つ強度特性に優れるため、近年、航空宇宙産業から一般産業分野に至るまで、幅広い分野において利用されている。具体的には、例えば、産業機械分野で、ロボットアーム等の長尺薄物の成形品にも広く用いられるようになってきた。
FRP製の長尺薄物は、上型と下型とからなる金型を用いて成形される場合が多いが、かかる場合、長い金型が必要となる。そして、長い金型を用いる成形の場合、加熱硬化時に金型のキヤビティ内圧によって金型にたわみが発生し、その結果、成形品が不良なものになるという問題があった。金型を肉厚なものにすれば問題は解決するものの、それでは、金型が高価格となり、また重くなって取り扱いに支障が生じるという問題がある。
金型のたわみの発生を防止する方法がいくつか提案されている。例えば、金型のキャビティの特定空間に作動油を入れる方法(特許文献1)、金型の型締機構等を工夫したもの(特許文献2〜4)が提案されている。しかし、本発明のような長尺薄物の成形に関しては、必ずしも適切に応用することはできなかった。
特開昭63−53007号公報
特開平5−345624号公報
特開平8−323765号公報
特開2003−291181号公報
本発明の課題は、FRP製の長尺薄物を上型と下型とからなる金型を用いて成形するに際し、金型のたわみを防止する方法を提供することにある。
本発明のうち請求項1記載の発明は、FRP製の長尺薄物を上型と下型とからなる金型を用いて成形するに際し、プリプレグを敷設し型締めした金型を複数段に配設し、該複数段に配設された金型を固定具で固定し、次いで、該固定された複数の金型を加熱・硬化炉で加熱及び/又は加圧することを特徴とするFRP製の長尺薄物の多段成形方法である。
請求項2記載の発明は、金型が、複数取りの金型である請求項1記載のFRP製の長尺薄物の多段成形方法である。
請求項3記載の発明は、金型が、スペーサーを介して相互に分離して配設されている請求項1又は2記載のFRP製の長尺薄物の多段成形方法である。
請求項4記載の発明は、スペーサーが、金型の下型の下面に設けられた凸状部からなるものである請求項3記載のFRP製の長尺薄物の多段成形方法である。
そして、請求項5記載の発明は、固定具が、長尺のボルトとナットである請求項1〜4のいずれか1項記載のFRP製の長尺薄物の多段成形方法である。
本発明によれば、例えば、複数の型を長尺ボルトとナットにて固定(拘束)して一体化することにより金型の剛性を上げ、加熱硬化時のたわみを防止することができる。そして、一度に複数個の長尺薄物の成形品を製造することができる。
本発明を図面を用いて説明する。図1は、本発明の一実施の態様を説明するための図(正面の断面図)であり、1は金型、2は長尺ボルト、3はスペーサー、4はナット、5は金型を置く台座である。図2は、同じものの平面図である。金型1は、FRP製の長尺薄物を成形することのできる上型と下型からなるものであるが、その型形状等に特に制限は無い。金型が、成形品の複数取りの金型であっても良い。図1では、プリプレグを敷設され型締めされた金型が複数段(4段)に配設され、台座5の上に積載されている。
金型は複数段に直接積層して配置されていても良いが、図1に示したようにスペーサー3を介して相互に分離して配設されている方が、加熱硬化時のたわみを防止するのにより効果的である。また、スペーサーによって金型が分離されていると熱効率も良くなる。スペーサーの種類や形状には特に制限はないが、スペーサーが、金型の下型の下面に設けられた凸状部(下駄の歯の形状)からなるもの、即ち、金型の下型がスペーサーの役割も果たすような形状のものが好ましい。
複数段に配設された金型は固定具で固定される。金型の固定の仕方は、特に制限されるものではなく、全部の金型がお互いに固定されるのであればどのような手段・方法であっても良い。図1と図2には、固定具として長尺のボルト2とナット4を用いる方法を示した。図1に示したように、複数段に配設された金型にボルトを貫通させ、ナット4で全部の金型をお互いに固定する方法が便利である。
次いで、本発明においては、上記のごとく固定された複数の金型は、加熱・硬化炉で加熱及び/又は加圧することによってFRP製の長尺薄物が成形される。加熱・硬化炉で加熱及び/又は加圧する方法としては、特に制限されないが、例えば、通常のオートクレーブによる成形、ホットプレス成形、熱硬化炉による成形等の方法がある。成形条件は、圧力は0.05〜4MPa、温度は80〜200℃、時間は1〜3時間が適当である。プリプレグを加熱硬化させた後、金型を冷却し、成形品を脱型して取り出す。
本発明において用いられるプリプレグは、どんなものでも良く特に制限されるものではない。プリプレグとは、繊維強化材に、熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂などのマトリックス樹脂を含浸させ、流動性や粘着性を除いて取り扱い性を良くした成形中間材である。本発明においては、プリプレグを形成する繊維強化材の形態については特に制限はない。繊維強化材は、通常、例えば、平織、綾織、朱子織等の経糸と緯糸から構成されるものの他、繊維束を一方向に引き揃えシート状とし、これを直角方向にステッチ糸で縫合した一軸織物、一方向に引き揃えたシート状物を角度を変えて複数積層し、これを直角方向にステッチ糸で縫合した多軸織物等の形で用いられる。あるいは、繊維束(ストランド)を平行に一方向に引き揃えシート状とし、これに樹脂を含浸させたもの、あるいは、繊維束を±45度に配列し、これに樹脂を含浸させたテープ状のプリプレグ(バイアステーププリプレグ)等からなるものでも良い。繊維強化材としては、特に制限はなく、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、ボロン繊維、金属繊維等が挙げられる。好ましいのは炭素繊維である。
マトリックス樹脂に関しても特に制限はい。熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ビニルエステル樹脂、シアン酸エステル樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、フェノキシ樹脂、アルキド樹脂、ウレタン樹脂、マレイミド樹脂とシアン酸エステル樹脂の予備重合樹脂から選ばれる樹脂がある。これらは1種又は2種以上の混合物として用いることもできる。熱可塑性樹脂としては、ポリプロピレン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、芳香族ポリアミド、芳香族ポリエステル、芳香族ポリカーボネート、ポリエーテルイミド、ポリアリーレンオキシド、熱可塑性ポリイミド、ポリアミドイミドがある。これらの樹脂は、2種以上併用しても良い。以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
長尺薄物のFRP成形品であるロボットアームを成形する例を示す。金型の上下型に、炭素繊維のプリプレグを敷設し、金型を型締めした。金型の下型は図1に示したように、下面に凸状部を有するものを用いた。炭素繊維のプリプレグとしては、炭素繊維HTA3K(東邦テナックス社製、汎用グレードの炭素繊維、3000フィラメント)を経糸緯糸とした平織物(東邦テナックス社製、W−3101)に、汎用エポキシ樹脂を含浸させたものを用いた(樹脂含有率:40%)。このプリプレグを5枚、積層パターンが(0/90)、(±45)、(30/120)、(±45)、(0/90)となる様に重ねて敷設した。
上記の金型を4つ準備し、4つの金型を図1に示したように積み重ね、台座に積載した。次いで、4つの金型を、図1に示したように長尺ボルトとナットでお互いに固定した。その後、金型をオートクレーブに入れて、圧力4kgf/cm2、温度130℃で2時間加熱硬化せしめ、その後冷却、脱形して成形品のロボットアームを得た。成形時に、金型のたわみは防止され、全て均一でたわみのないロボットアームが得られた。
1 金型
2 長尺ボルト
3 スペーサー
4 ナット
5 台座
2 長尺ボルト
3 スペーサー
4 ナット
5 台座
Claims (5)
- FRP製の長尺薄物を上型と下型とからなる金型を用いて成形するに際し、プリプレグを敷設し型締めした金型を複数段に配設し、該複数段に配設された金型を固定具で固定し、次いで、該固定された複数の金型を加熱・硬化炉で加熱及び/又は加圧することを特徴とするFRP製の長尺薄物の多段成形方法。
- 金型が、複数取りの金型である請求項1記載のFRP製の長尺薄物の多段成形方法。
- 金型が、スペーサーを介して相互に分離して配設されている請求項1又は2記載のFRP製の長尺薄物の多段成形方法。
- スペーサーが、金型の下型の下面に設けられた凸状部からなるものである請求項3記載のFRP製の長尺薄物の多段成形方法。
- 固定具が、長尺のボルトとナットである請求項1〜3のいずれか1項記載のFRP製の長尺薄物の多段成形方法。
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JP2005368015A JP2007168231A (ja) | 2005-12-21 | 2005-12-21 | Frp製の長尺薄物の多段成形方法 |
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JP2005368015A Withdrawn JP2007168231A (ja) | 2005-12-21 | 2005-12-21 | Frp製の長尺薄物の多段成形方法 |
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Cited By (2)
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JP2018134807A (ja) * | 2017-02-22 | 2018-08-30 | 三菱ケミカル株式会社 | 樹脂流動性のシミュレーション方法 |
WO2023182158A1 (ja) * | 2022-03-22 | 2023-09-28 | 東レ株式会社 | 一体化成形品および一体化成形品の製造方法 |
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