JP2015030950A - ステッチ基材およびそれを用いた繊維強化プラスチック - Google Patents

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芳信 土屋
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Abstract

【課題】 形態安定性と賦形性に優れ、樹脂含浸させて硬化させても反りがなく寸法安定性に優れたFRP製品を効率よく生産することができるステッチ基材、およびそれを用いた繊維強化プラスチックを提供すること。【解決手段】 複数本の強化繊維糸条を互いに並行に配列してなる強化繊維シート2が、少なくとも3枚以上積層され、これらのシートを貫通するステッチ糸3により縫合一体化されたステッチ基材1であって、前記強化繊維シート2のうち、外側層をなす第一外側シート2Aおよび第二外側シート2Cにおける強化繊維の配向角を同一方向にする一方、これら両外側シートの間に配置される中間層において、前記第一外側シート2Aおよび第二外側シート2Cと異なる繊維配向角で中間シート2Bを積層して、第一外側シート2Aおよび第二外側シート2Cをステッチ基材1の厚み方向の中心面に対して鏡面対称にする。【選択図】 図1

Description

本発明は、FRP成形基材の改良、更に詳しくは、形態安定性および賦形性の両者を備え、FRP成形加工後においても反りのない寸法精度の高い成形品を効率良く作製することができるステッチ基材およびそれを用いた繊維強化プラスチックに関するものである。
ガラス繊維や炭素繊維などの高強度・高弾性繊維を強化繊維とした繊維強化プラスチック(FRP:Fiber-Reinforced-Plastics)は、軽量で高強度・高弾性率であることから、スポーツ・レジャー用品をはじめ、宇宙・航空機や一般産業などの広い分野で使われるようになってきており、特に、炭素繊維を強化繊維としたCFRP(Carbon-Fiber-Reinforced-Plastics)は軽量化が要求される航空機の一次構造材料に採用されるようになっている。
従来、航空機用CFRPの成形方法としては、炭素繊維糸を引き揃えるなどして一方向に配列したシート材、あるいは炭素繊維糸が二方向に配列した織物材に、予めマトリックス樹脂を含浸させたプリプレグ基材に加工し、得られたプリプレグ基材を成形型上に積層して、オートクレーブで加熱硬化させる方法が採用されている。
このような一方向プリプレグ基材や二方向織物プリプレグ基材は、炭素繊維糸が真っ直ぐに配列し、樹脂も確実に含浸させることができるので、炭素繊維の持つ高強度・高弾性率を十分に発揮させることができる。
しかしながら、このような一方向プリプレグ基材や二方向織物プリプレグ基材の場合、疑似等方性を得る目的で、適当なサイズに切り出し、その切り出し片の向きを変えながら積層する作業が必要になるため、この作業が非常に面倒で高コストになるという問題があった。
そのようなことから、最近では多軸ステッチ基材が注目されており、積層作業の省力化に期待され、CFRPへの適用が盛んに検討されている。
例えば、<特許文献1>には、一方向に延びる炭素繊維糸条が並列された複数の繊維シートが、炭素繊維糸の方向を0°、±45°、90°、として積層され、ステッチ糸によって縫い合わせられた補強用多軸ステッチ基材が記載されている。
この補強用多軸ステッチ基材は、予め1枚ものの基材として製造されるので、成形型上でFRPを成形する際には、その一体化された基材を成形型上にセットするだけで積層工程が終了することから、織物を1枚1枚、繊維の配向角度を変えながら積層する手間が省け、また、配向角度にずれが生じることがないので、信頼性の高い成形品を低コストで得ることができる。
また、この多軸ステッチ技術を用いて、強化繊維を並行に+45°方向に配列したシートと−45°方向に配向したシートを重ねて、ステッチ糸で一体化することによって、強化繊維が±45°に配向した長尺のバイアスステッチ基材を得ることができ、賦形性が必要とされる比較的大型の成形品の基材として多用されている。
従来の積層方法による問題点を説明するための基材積層概略図を図5に示す。この従来基材は、符号5で指示する強化繊維が基準軸方向(ステッチ糸の延長方向)から−45°方向に配向したシートの上に、符号4で指示する強化繊維が同基準軸方向から+45°方向配向したシートが積層された構成であって、いわゆる「±45°積層基材」である。なお、符号6で指示するものは、基材厚み方向の仮想の中心面(対称軸となる面)である。
このような「±45°積層基材」に樹脂を含浸させて硬化した場合、樹脂は硬化による収縮が生じ、強化繊維の配向方向に対しては強化繊維の突っ張りによって収縮作用が抑えられるが、強化繊維の配向方向の直角方向においては、硬化による収縮に対する抵抗となるものがないために、図中の矢印S1およびS2の方向に収縮してしまう。
また、「±45°積層基材」は、基材厚み方向の中心面に対して下側の−45°配向シート5と上側の+45°配向シート4とでは、収縮の方向が90°異なるために、丁度バイメタルの湾曲のように、+45°配向シート4のコーナーP1は上方に湾曲するし、−45°配向シート5のコーナーP2は下方に湾曲する現象が起こり、複雑な反りが生じた成形品になってしまう。
このように、「±45°積層基材」は、二つのシートが重なり合い、基材厚み方向の中心面(対称軸となる面)に対して非鏡面対称であるから、樹脂を含浸させて硬化させた場合、樹脂の硬化収縮により強化繊維の配向方向に対して直角方向に収縮応力が作用し、その収縮応力は表裏で90°の角度で異なる方向であるから、樹脂の硬化後に成形品は複雑な反りが発生し、予定していた寸法精度のFRPとならないという問題がある。
そこで、そのような反りを防止する手段として、例えばバイアスステッチ基材の積層順位が+45°/−45°の基材と、その逆の積層順位である−45°/+45°の2種類の基材を準備し、成形時に2種類のステッチ基材を積層する方法が知られている。
しかしながら、上記方法は積層構成を違えた2種類のステッチ基材を準備せねばならず、それぞれステッチM/C(マシニングセンター)の積層順位の条件を変えねばならないので非常に面倒であり、また、成形工程においても良く似た基材であるから積層順位の間違いを起こし易いという問題がある。
国際公開第01/63033号
本発明は、従来のステッチ基材に上記のような問題があったことに鑑みて為されたものであり、その目的とするところは、形態安定性と賦形性に優れ、樹脂含浸させて硬化させても反りがなく寸法安定性に優れたFRP製品を効率よく生産することができるステッチ基材、およびそれを用いた繊維強化プラスチックを提供することにある。
本発明者が上記技術的課題を解決するために採用した手段を、添付図面を参照して説明すれば、次のとおりである。
即ち、本発明は、複数本の強化繊維糸条を互いに並行に配列してなる強化繊維シート2が、少なくとも3枚以上積層され、これらのシートを貫通するステッチ糸3により縫合一体化されたステッチ基材1であって、
前記強化繊維シート2のうち、外側層をなす第一外側シート2Aおよび第二外側シート2Cにおける強化繊維の配向角を同一方向にする一方、
これら両外側シートの間に配置される中間層において、前記第一外側シート2Aおよび第二外側シート2Cと異なる繊維配向角で中間シート2Bを積層して、
第一外側シート2Aおよび第二外側シート2Cをステッチ基材1の厚み方向の中心面に対して鏡面対称にするという技術的手段を採用したことによって、ステッチ基材を完成させた。
また、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、第一外側シート2Aおよび第二外側シート2Cの配向角と、中間シート2Bの強化繊維の配向角とを、ステッチ糸3の延長方向に対して±30〜±60°の範囲にするという技術的手段を採用することもできる。
更にまた、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、第一外側シート2Aおよび第二外側シート2Cの配向角と、中間シート2Bの強化繊維の配向角とを、ステッチ糸3の延長方向に対してほぼ±45°にするという技術的手段を採用することもできる。
更にまた、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、第一外側シート2Aおよび第二外側シート2Cの配向角と、中間シート2Bの強化繊維の配向角を、ステッチ糸3の延長方向に対して0°/90°の組み合わせにするという技術的手段を採用することもできる。
更にまた、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、第一外側シート2Aおよび第二外側シート2Cの強化繊維目付を同一にして、かつ、中間シート2Bの強化繊維目付の1/2にするという技術的手段を採用することもできる。
更にまた、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、第一外側シート2Aおよび第二外側シート2Cの目付を50〜250g/mの範囲にして、かつ、中間シート2Bの目付を100〜500g/mの範囲にするという技術的手段を採用することもできる。
更にまた、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、強化繊維シート2の強化繊維糸条を400〜2000tex繊度の炭素繊維糸にするという技術的手段を採用することもできる。
また、本発明は、上記の何れか一つのステッチ基材に樹脂を含浸して、硬化して成形するという技術的手段を採用することによって、繊維強化プラスチックを完成させた。
本発明にあっては、複数本の強化繊維糸条を互いに並行に配列してなる強化繊維シートが、少なくとも3枚以上積層され、これらのシートを貫通するステッチ糸により縫合一体化されたステッチ基材において、前記強化繊維シートのうち、外側層をなす第一外側シートおよび第二外側シートにおける強化繊維の配向角を同一方向にする一方、これら両外側シートの間に配置される中間層において、前記第一外側シートおよび第二外側シートと異なる繊維配向角で中間シートを積層して、第一外側シートおよび第二外側シートをステッチ基材の厚み方向の中心面に対して鏡面対称にすることによって、形態安定性と賦形性に優れ、樹脂を含浸して硬化させても反りが発生することなく寸法精度の高いFRP成形品を得ることができる。
また、鏡面対称の基材を3枚のシートの積層により構成する場合には、従来のステッチM/Cのシート供給設備を増設することなく製造することができる。
更にまた、1枚ものの基材で鏡面対称構造をなしていることから、従来のように積層順位の異なった2種類の基材を準備する必要がないので、基材の生産性が高まると同時に、成形時の積層工程が減り、低コストの成形品を得ることができ、さらには成形工程における作業者の積層間違いを皆無にすることができる。
更にまた、従来2枚のステッチ基材を縫合して用いていた構成が1枚ものとなるので、成形品の物性に寄与しないステッチ糸の混率を下げることができ、より高性能な成形品を得ることが可能となる。
以上の様に、本発明のステッチ基材はFRP製品の低コスト化・高性能化に繋がることから、産業上の利用価値は頗る大きい。
本発明の実施形態のステッチ基材の構造を表わす説明正面図である。 本発明の実施形態のステッチ基材の構造を表わす説明断面図である。 本発明の実施形態のステッチ基材の変形例の構造を表わす説明正面図である。 本発明の実施形態のステッチ基材の変形例の構造を表わす説明正面図である。 従来の積層方法による問題点を説明するための基材積層概略図である。
本発明を実施するための形態を、具体的に図示した図面に基づいて、更に詳細に説明すると、次のとおりである。
本発明の実施形態を図1から図4に基づいて説明する。図1中、符号1で指示するものは、ステッチ基材の本体である。
また、符号2で指示するものは強化繊維シートであり、この強化繊維シート2は、強化繊維を一方向に並行(引き揃え等)して形成されており、複数枚を積層するにあたり、最も外側に位置するものを、それぞれ第一外側シート2Aおよび第二外側シート2Cとし、これらに挟持される中間層に位置するものを中間シート2Bとする(図2参照)。
本実施形態の強化繊維としては、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、ポリオレフィン繊維、ビニロン繊維、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、ボロン繊維、セラミック繊維などの中から選ばれた一種または複数種で作製することができ、なかでも、炭素繊維は高強度・高弾性率を有し、複合材料として軽量化効果が発揮され易いので好ましい。
また、炭素繊維のなかでも繊度400〜2000texの太い糸が好ましい。400tex以下の細繊度糸であると低目付基材では均一に炭素繊維を分散させたシートを可能にするが炭素繊維の製造コストが非常に高価であるから成形品自体が高価になる問題点がある一方、2000tex以上の太繊度となると炭素繊維の製造コストは低いが、太繊度であるために、糸幅を大きく拡げてシート状にせねばならず、炭素繊維の撚りなどで開繊不良な個所が存在すると繊維束間に隙間が生じたり、繊維密度が不均一となる欠点が生じるおそれがあるからである。
更にまた、符号3で指示するものはステッチ糸であり、このステッチ糸3は、前記強化繊維シート2同士を縫合する部材である。本発明のステッチ糸3としては、通常一般に用いられている糸種を使うことができ、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維、ポリアラミド繊維等のフィラメント糸、あるいは伸縮性を有したそれらの捲縮加工糸を用いることができる。また、ステッチ糸3の繊度として、ステッチ基材1の表面凹凸減少や、ステッチ糸混率減少による機械的特性向上のためには、できるだけ細繊度である1〜12tex(10〜120dtex)が好ましい。繊度が1tex以下となると強力が弱くなるためにステッチ加工性が低下する問題がある一方、繊度12tex以上となると加工性や基材の形態安定性が向上するが、前述のように表面の凹凸が大きくなり、また、ステッチ糸の混率が高くなって成形品の機械的特性を低下させる問題があるからである。
しかして、本発明のステッチ基材を構成するにあっては、まず、両外層をなす第一外側シート2Aおよび第二外側シート2Cは強化繊維の配向がステッチ糸3の延長方向(図中の上下方向)に対して+45°の角度をなすように配置する。
次いで、第一外側シート2Aおよび第二外側シート2Cに挟まれた中間層をなす中間シート2Bを−45°の配向角度になるように配置して、これらのシートを積層し、ステッチ糸3により一体化する(図1および図2参照)。
シート同士を縫合するステッチの組織としては、鎖編、1/1トリコット編、あるいは鎖編とトリコット編がミックスされた変化組織であってもよく、賦形性と基材の安定性を考慮して適宜選択することができる。
そして、本実施形態では、ステッチ基材1の繊維配向を、ステッチ基材1の厚み方向の中心を対称面として鏡面対称にする。この際、中間シート2Bの枚数は任意であるが、積層工程が容易であり、鏡面対称構造となる最低単位であることから、中間シート2Bを1枚として、合計3枚の強化繊維シート2を積層する。
このように、本実施形態では、±45°配向のバイアスステッチ基材において反りを防ぐために、積層順位が+45°/−45°配向の基材、または、その逆の積層順位である−45°/+45°配向の2種類の基材を積層して鏡面対称構造とすることにより、強化繊維の配向方向と直角方向の硬化収縮応力が作用する個所が2種類の積層基材の中心面に対して対称位置に存在するので、互いに打ち消し合って反りが発生しないと考えられる。したがって、FRPの成形加工において、成形品の寸法精度を確保することができる。
また、本実施形態では、以上の積層構成において、必要に応じて、均一を図るために第一外側シート2Aと第二外側シート2Cを同一目付(密度)とすることができる。
更に、ステッチ基材1において、第一外側シート2Aと第二外側シート2Cの強化線繊維目付が同一で、その強化繊維目付は中間層をなす中間シート2Bの強化繊維目付の1/2にすることができる。こうすることにより、例えば±45°の両方向に配向する総繊維量が同じとなり、両方向の機械的特性を等しくすることができるので好ましい。
なお、各強化繊維シート2(2A・2B・2C)の強化繊維目付は成形品の機械的要求特性に応じて適宜選択できる。
また、本実施形態のステッチ基材1の第一外側シート2Aおよび第二外側シート2Cと中間シート2Bの強化繊維の配向角が、ステッチ糸3の延長方向に対して±30〜±60°の範囲であることが好ましく、特に、±45°であることが好ましい。
一般的な多軸ステッチ基材は、0°/±45°/90°と4方向に強化繊維が配向した、いわゆる「擬似等方性」を有していることが特徴であるが、擬似等方性であるが故に賦形性がなくて曲面を有した成形品には適さないという問題点がある。
そこで、強化繊維の配向角が、ステッチ糸3の延長方向に対して、±30〜±60°の範囲の2方向に配向したステッチ基材であると、強化繊維がステッチ糸3の延長方向および基材の幅方向に配向していないので、賦形性に優れ、曲面を有した成形金型の容易に沿わせることができ、しかも、ステッチ基材1は広幅で長尺に形成することが可能であるから、大型で曲面を有した成形品に適用することができる。
特に、0°/90°配向基材と併用して等方性を得る目的では、強化繊維の配向角が0°/90°基材の中間の角度となる±45°が最も好ましい角度である。
ただし、本発明でいう強化繊維の配向角は公称値であって、賦形性があるために実際にはある程度の範囲が含まれる。また、図3に示すように、第一外側シート2Aおよび第二外側シート2Cが+45°(または−45°配向)で、中間シート2Bが0°配向し、ステッチ糸3で一体化したステッチ基材でも良いし、さらには、第一外側シート2Aおよび第二外側シート2Cが0°または90°配向で、中間層2Bが+45°または−45°配向して構成したものであっても良い。
また、本実施形態の第一外側シート2Aおよび第二外側シート2Cの繊維目付は50〜250g/mの範囲が好ましい。繊維目付が50g/m以下となると強化繊維の糸幅を大きく拡げる必要があり、拡がり斑が生じる問題があって均一に分散したシートが得られなくなる一方、シートの繊維目付が250g/m以上となるとステッチ基材自体の重量が大きくなり取り扱いが難しくなる問題があるからである。
また、中間層をなす中間シート2Bの目付は100〜500g/mが好ましい。更に、第一外側シート2Aおよび第二外側シート2Cの繊維目付の2倍とすることにより、両外側シートの繊維配向方向と中間シート2Bの繊維配向方向の繊維量が同一となり、機械的特性が同じとなるので好ましい。
従来は、2種のステッチ基材を合わせて使用していたのに対して、本発明のステッチ基材は、1枚ものの一体化したステッチ基材であることから、同じ繊度のステッチ糸を用いてもステッチ糸の混率は半分近くに減少させることができる。
なお、本実施形態は、図4に示すような構成にすることもできる。本変形例では、強化繊維の配向角がステッチ糸の延長方向に対して0°/90°の組み合わせのステッチ基材、すなわち、両外側シート2A・2Cが90°配向で、中間シートが0°配向となるものである。そして、両外側シート2A・2Cの総繊維目付と中間シートの繊維目付とを合わせることにより、2方向の機械的特性を同じにすることができる。
<FRP成形品について>
次に、本発明のステッチ基材1に樹脂を含浸させ硬化させたFRP成形品について説明する。樹脂としては、例えばエポキシ、フェノール、ポリベンゾイミダゾール、シアネートエステル、不飽和ポリエステル、ビニルエステル、エラストマーなどの熱硬化樹脂等を使用することができる。
また、成形方法としては、予め樹脂を含浸させてプリプレグにして金型上に積層して真空パックして、オートクレーブまたは硬化炉で加熱硬化させるプリプレグ成形法、或いは、金型に積層して樹脂注入した後加熱硬化させる、RTM成形法やVaRTM成形法を採用することができる。
成形加工における樹脂の付着量は、強化繊維の体積含有率(Vf)をできるだけ高くし、高い強度・弾性率を発揮させる目的で、30〜50重量%にすることが好ましい。樹脂付着量が50重量%以上となると、強化繊維の体積含有率が低くなりFRP材料としての強度、弾性率が低くなることから、FRPの軽量化効果が発揮できなくなるという問題があり、また、樹脂量が多くなりすぎて、成形品のどちらか片面に扁在し、基材自体が鏡面対称の構造であっても、樹脂が対称的に存在していないと成形品に反りが発生する問題がある。一方、30重量%以下となると、ステッチ基材内の空隙全体に充填するのに不足するため、FRP内に樹脂の欠損部が生じて破壊の原因となるおそれがある。
本発明のFRP成形品に用いるステッチ基材1としては、強化繊維が±45°に配向した鏡面対称のステッチ基材単独であっても良いが、等方性を得る目的で、本発明の±45°配向ステッチ基材と、本発明の0°/90°配向ステッチ基材、または0°/90°配向織物基材などを組合せて積層し、全体として鏡面対称となるような構造にすることができる。
なお、ステッチ基材の場合、ニットループが成形品の表面にも表れて、表面平滑性が損なわれるおそれがあるため、本発明の±45°配向のステッチ基材を中間層として、その両表面に織物材などを配置して積層することにより、表面平滑性と等方性を有し、および反りがない寸法精度の高いFRP成形品を得ることができる。
また、本発明のFRP成形品は、比較的緩やかな曲面を有した車両の外板などに用いることができ、特に、強化繊維を炭素繊維として自動車の外板に用いることで、車体の軽量化が可能となり、低燃費化に繋がる。
本発明は、概ね上記のように構成されるが、図示の実施形態に限定されるものでは決してなく、「特許請求の範囲」の記載内において種々の変更が可能であって、例えば、鏡面対称構造になるものであれば、中間シート2Bは1枚に限らず複数枚にすることができ、特に、奇数枚であれば、容易に鏡面対称構造にすることができ、本発明の技術的範囲に属する。
(実施例1)
強化繊維として、引張強度が4,900MPa、引張弾性率が230GPa、フィラメント数が12,000本のPAN(ポリアクリルニトリル)系炭素繊維糸条(総繊度:800tex)を用い、ステッチ糸には33dtexのポリエステル糸を用い、炭素繊維糸が基材の長手方向に対して、−45゜/+45゜/−45゜となるように配列し、それぞれの層の目付を100g/mとし、ステッチ糸で一体にした強化繊維基材<A>を作製した。
次に、得られた強化繊維基材<A>をVaRTM成形法により成形し成形板を得た。成形条件としては、基材を30cm角に切り出し、一層を離形処理された金型に置いて、その上よりピールプライ、メディアを置き、フィルムバッグし、エポキシ樹脂(ナガセケムテックス社製:XNR6809)を注入し、120℃×2時間をかけ硬化し、成形板を得た。その結果、得られた成形板に反りなどは見られなかった。
更に、成形板からそれぞれ−45°方向、+45°方向に試験片を切り出し、JIS K 7164に準拠し引張試験を行った。その結果、−45°方向の引張強度は1,620MPa、引張弾性率97GPaを得られ、+45°方向には820MPa、引張弾性率は49GPaとなった。また、強化繊維基材<A>の−45°方向は+45°方向に対して炭素繊維の目付量が2倍であるため、引張強度は凡そ2倍の値となった。
(実施例2)
強化繊維として、引張強度が4,900MPa、引張弾性率が230GPa、フィラメント数が12,000本のPAN系炭素繊維糸条(総繊度:800tex)を用い、ステッチ糸には33dtexのポリエステル糸を用い、炭素繊維が基材の長手方向に対して、90゜/0゜/90゜となるように配列し、それぞれの層の目付を各々150g/m、300g/m、150g/mとし、ステッチ糸で一体にした強化繊維基材<B>を作製した。
次に、得られた強化繊維基材<B>を、前記(実施例1)と同じ条件で成形板を作成した。その結果、得られた成形板に反りなどは見られなかった。
更に、成形板からそれぞれ0°方向、90°方向に試験片を切り出し、JIS K 7164に準拠し引張試験を行った。結果、0°方向の引張強度は1,330MPa、引張弾性率75GPaを得られ、90°方向には1,250MPa、引張弾性率は73GPaとなった。また、強化繊維基材<B>の0°方向と90°方向は炭素繊維の目付量が同等であるため、引張強度は同等の値となった。
(比較例1)
強化繊維として、引張強度が4,900MPa、引張弾性率が230GPa、フィラメント数が12,000本のPAN系炭素繊維糸条(総繊度:800T)を用い、ステッチ糸には33dtexのポリエステル糸を用い、炭素繊維糸が基材の長手方向に対して、−45゜/+45゜/−45゜となるように配列し、それぞれの層の目付を各々100g/m、200g/m、300g/mとしステッチ糸で一体にした強化繊維基材<C>を作製した。
次に、得られた強化繊維基材<C>を、前記(実施例1)と同じ条件で成形板を作成した。その結果、得られた成形板に反りが発生し、物性試験を行うことはできなかった。
1 ステッチ基材
2 強化繊維シート
2A 第一外側シート
2B 中間シート
2C 第二外側シート
3 ステッチ糸
4 −45°配向シート
P1 −45°配向シートのコーナー
5 +45°配向シート
P2 +45°配向シートのコーナー
6 基材厚み方向の仮想中心面
S1・S2 収縮方向

Claims (8)

  1. 複数本の強化繊維糸条を互いに並行に配列してなる強化繊維シート(2)が、少なくとも3枚以上積層され、これらのシートを貫通するステッチ糸(3)により縫合一体化されたステッチ基材(1)であって、
    前記強化繊維シート(2)のうち、外側層をなす第一外側シート(2A)および第二外側シート(2C)における強化繊維の配向角が同一方向である一方、
    これら両外側シートの間に配置される中間層において、前記第一外側シート(2A)および第二外側シート(2C)と異なる繊維配向角で中間シート(2B)が積層されており、
    第一外側シート(2A)および第二外側シート(2C)がステッチ基材(1)の厚み方向の中心面に対して鏡面対称であることを特徴とするステッチ基材。
  2. 第一外側シート(2A)および第二外側シート(2C)の配向角と、中間シート(2B)の強化繊維の配向角とが、ステッチ糸(3)の延長方向に対して±30〜±60°の範囲であることを特徴とする請求項1記載のステッチ基材。
  3. 第一外側シート(2A)および第二外側シート(2C)の配向角と、中間シート(2B)の強化繊維の配向角とが、ステッチ糸(3)の延長方向に対してほぼ±45°であることを特徴とする請求項1または2記載のステッチ基材。
  4. 第一外側シート(2A)および第二外側シート(2C)の配向角と、中間シート(2B)の強化繊維の配向角が、ステッチ糸(3)の延長方向に対して0°/90°の組み合わせであることを特徴とする請求項1記載のステッチ基材。
  5. 第一外側シート(2A)および第二外側シート(2C)の強化繊維目付が同一であり、かつ、中間シート(2B)の強化繊維目付の1/2であることを特徴とする請求項1〜4の何れか一つに記載のステッチ基材。
  6. 第一外側シート(2A)および第二外側シート(2C)の目付が50〜250g/mの範囲であり、かつ、中間シート(2B)の目付が100〜500g/mの範囲であることを特徴とする請求項1〜5の何れか一つに記載のステッチ基材。
  7. 強化繊維シート(2)の強化繊維糸条が400〜2000tex繊度の炭素繊維糸であることを特徴とする請求項1〜6の何れか一つに記載のステッチ基材。
  8. 請求項1〜7の何れか一つに記載のステッチ基材に樹脂が含浸されて、硬化して成形されていることを特徴とする繊維強化プラスチック。
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