JP2007166995A - 核酸増幅方法及び標的核酸の検出方法 - Google Patents

核酸増幅方法及び標的核酸の検出方法 Download PDF

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Abstract

【課題】鋳型核酸に対してほぼ全長伸長した検体を調整することが可能となり、検出用プローブの選択位置に影響されず、その3’末端側の近い部位に検出用プローブに対しても高い検出感度を達成する
【解決手段】プローブ・ハイブリダイゼーション法を利用する核酸検出に供する検体を調製するための核酸増幅方法において、鎖置換型DNAポリメラーゼを使用して鋳型核酸に対してPCRを行う工程を有する。
【選択図】なし

Description

本発明は、核酸増幅方法に関し、特に検出対象となる核酸をより高い選択性で検出するための核酸増幅方法及び標的核酸の検出方法に関する。
ヒトゲノム計画に代表されるように、種々の生物について、そのゲノム遺伝子、ミトコンドリア遺伝子などの塩基配列に関して、全般的な解析がなされてきている。更には、解明された遺伝子と、生命活動のメカニズム、各種疾病、疾患、遺伝的な体質等との関連性に関する研究も進み、次々と研究成果が報告されている。これらの研究結果から、特定の遺伝子の有無あるいはその発現産物の存在量(発現量)を知ることで、例えば、各種疾病、疾患などの要因に関してより詳細な特徴付けやタイピングを行う上で有用な情報が得られることが判明してきている。また、各種疾病、疾患などの要因に関してより詳細な特徴付けやタイピングがなされると、効果的な治療方法の選択がより容易となり、疾患の診断のみでなく、その治療にも効果的に利用可能であることも検証されてきている。
検体中における、特定の遺伝子の有無、ならびに、その発現量を検出する方法として、従来から多数の方法が提案され、また実際に利用もされている。検出対象とする遺伝子あるいは核酸分子について、その塩基配列が判明している際、最も広範に利用されている手法は次のとおりである。該遺伝子あるいは核酸分子の塩基配列中から特徴的な部分塩基配列を選択し、その相補的な塩基配列を有する核酸プローブを利用して、かかる特徴的な部分塩基配列を含む核酸鎖の有無、あるいは、含有量を検出する方法である。具体的には、まず、相補的な塩基配列を有するプローブ用DNA鎖を予め調製し、検体中に含まれる遺伝子あるいは核酸分子を一本鎖核酸とした上で、前記DNAプローブとハイブリダイゼーション反応を行わせる。続いて、ハイブリッド体形成の有無、その形成量を何らかの方法を利用して検出する、プローブ・ハイブリダイゼーション法である。
このプローブ・ハイブリダイゼーション法による、特定の核酸分子の検出方法は、形成されるハイブリッド体を分離可能であれば、ハイブリダイゼーション反応自体は、液相中、あるいは、固相表面のいずれで行ってもよい。例えば、固相表面上でハイブリダイゼーション反応を行う場合には、予め、DNAプローブを固相表面上に結合または吸着によって固定化しておき、形成されるハイブリッド体を固相上に固定、分離する。その際、検体中に含まれる核酸試料に対して、何らかの検出可能な標識物質によって標識化を施しておき、DNAプローブとハイブリッド体を形成して、固相上に固定、分離された標識化核酸鎖の有無、その量を、該標識物質に起因する信号を利用して、測定する。また、DNAプローブの固定用固相(基材)としては、ガラスや金属などの平面基板表面を用いるチップ、あるいは、微小粒子表面を用いるビーズ等が代表的な形態である。
プローブ・ハイブリダイゼーション法において、固相上に固定化されたDNAプローブを利用するハイブリダイゼーション反応が好まれる理由の第一は、B/F分離が容易なことである。加えて、固相上の所定位置に固定化されているDNAプローブを利用するため、検出領域を物理的に微小化でき、また、検出領域が特定されている結果、高感度の測定が可能となる。その際、複数種のDNAプローブの固定位置を物理的に隔離することにより、同時に、多項目の検出が可能である。さらには、予め、所定量のDNAプローブが固相上に固定化されているDNAチップまたはDNAマイクロアレイの形態を選択すると、その取扱いや応用が一層容易になる利点もある。
例えば、米国アフィメトリックス社では、平面基板上において合成されたオリゴDNAに対し、蛍光色素で標識された核酸を作用させる。そのハイブリダイゼーション反応で形成されるハイブリッド体を、蛍光標識に由来する蛍光により検出する手法を提案している(特許文献1を参照)。この基板上で合成されたオリゴDNAで構成されるDNAアレイと蛍光色素標識による蛍光検出法とを利用することで、検体中に含まれる特定の核酸の有無や量の検出を可能としている。
また、富士フィルム社は、基板表面に予め導入されたアミノ基を利用して、別途作製した複数種のDNAプローブを固定化する手法を応用して、DNAアレイを作製する。そして、このDNAアレイを用いて標識された22merの一本鎖DNAを検出している(特許文献2を参照)。
上記蛍光標識するDNAを調製する方法としては、例えば特許文献3に記載の通り、標識つきデオキシヌクレオチド(例えば、Cy3−dUTPなど)を付加する方法を挙げることができ、さらに、標識されたオリゴヌクレオチドの精製方法として、例えば特許文献4に記載の方法を用いることができる。
米国特許第6,410,229号明細書 特開2001−128683号公報 特許第3001919号 特許第2649793号
固相上に固定化されたDNAプローブを利用するハイブリダイゼーション反応を応用する核酸の検出方法は、他の核酸の検出方法と比較すると、高感度であるなどの利点を有している。一方、液相中でのハイブリダイゼーション反応を利用する検出方法と比較した際、固相上の反応に付随して、制御困難な問題点は残されている。
例えば、検出対象の核酸の塩基長と比較し、プローブDNAの塩基長が短い系では、検出対象となるDNA全長が固定化されているようなcDNAアレイなどとは異なる。よって検出対象の核酸上における、プローブDNAとの結合部位の存在位置により、蛍光強度が大きな影響を受ける。具体的には、PCR産物を検体とする場合、プローブDNAとの結合部位が検出対象の核酸の5’末端から遠ざかるに従って、測定される蛍光強度が低下する傾向がある。これは検体が一本鎖であるか、二本鎖であるかにかかわらず観察される。つまり、二本鎖の場合であっても、片方の鎖からみたときの5’から遠い位置に相補的な配列をもつプローブの輝度は低下するのである。この現象はPCR産物以外にも、RT−PCR等で調整されたcDNAを検体とした場合にも観察されている。この現象の詳細なメカニズムは、現段階では解明されていないが、次のように考えられる。非対称PCRを用いて片鎖伸長反応を行って作製される検体核酸においては、伸長される核酸鎖は、鋳型核酸の途中までは伸長されているが、その鋳型核酸の5’末端までは伸長されていない。よって伸長される核酸鎖の5’末端から遠い部位で結合する「プローブ」とのハイブリッド体の量が減少しており、見かけ上、蛍光標識から検出される「蛍光強度の低下」が生じていると考えられる。RT−PCRにおける輝度低下も、非対称PCRとほぼ同じ理由であると想定される。対称PCRを用いて伸長反応を行って作成される検体核酸においては、伸長される核酸鎖は、大多数は両方のプライマーの位置まで完全に伸長されたものである。しかし、初期鋳型量とPCRサイクル数との関係で、完全に伸長しきれていない核酸鎖もフォワード・プライマー側とリバース・プライマー側とも相当量存在する場合がある。二本鎖として存在する標識された核酸鎖よりも、一本鎖として存在する完全に伸長しきれていない核酸鎖の方が優位にハイブリダイゼーションに寄与する。ゆえに検出対象の核酸の5’末端から遠ざかるに従って、測定される蛍光強度が低下する現象として捉えられると考えられる。また、完全に伸長しきれていない核酸鎖はその相補鎖に対しては、プローブと同じ極性の塩基配列をもつこととなり、プローブと拮抗してハイブリダイゼーションすることとなる。検出に利用される一本鎖DNAの5’末端から遠く離れた位置となることもある。その際、5’末端に蛍光標識が付された一本鎖DNAを検出に利用する場合、固相上に固定化された検出用DNAプローブとハイブリッド体を形成した際、その蛍光標識に起因する蛍光強度は「弱く」測定される事態も起こりうる。すなわちハイブリッド体形成の有無およびその量の定量性に大きな制限を与える要因となることもある。
この現象は経験的には蛍光標識が付された核酸に対して固相上に固定化されたDNAプローブを利用する検出を行う際、DNAプローブとの結合部位をその5’末端の近傍に設定することで前記の現象による影響を回避することが可能であることは確認されている。しかしながら、検出対象の核酸をより高い選択性で検出する上では、DNAプローブの塩基配列は、検出対象の核酸に特異的な塩基配列部分に対して、相補的に選択することが必須である。検出対象の核酸に特異的な塩基配列部分は、かかる検出対象核酸の塩基配列の5’末端近傍には存在していないことも少なくない。その場合には、測定される蛍光強度は低下するが5’末端から遠い位置に存在する特異的な塩基配列部分を利用するか、又は、選択性は低下するが測定される蛍光強度は高くなる5’末端近傍の特異性に難を有する塩基配列部分を利用するか、の二律排斥の選択肢のいずれを選択するかで悩む事態となる。すなわちPCR反応を行い、核酸を標識する手法で作製される、蛍光標識が付された核酸を利用する場合、固相上に固定化されたDNAプローブの利用に依る高い検出感度と、プローブの塩基配列の特異性に因る高い選択性とが両立しない場合も少なくない。
例えば、感染症に罹患している特定の患者に関して感染症を引き起こす複数種の起炎菌のうち、何れの起炎菌に起因しているかを同定する場合を考慮する。複数種の起炎菌を遺伝子情報に基づき同定する場合、例えば、各菌が共通に保持しているrRNAのうち、16s rRNAの塩基配列中、個々の菌に特徴的な部分塩基配列が、その同定に利用可能である。具体的には、採取された各起炎菌のゲノム中に含まれる16s rRNA遺伝子を鋳型として、これら起炎菌に共通な塩基配列を有するPCRプライマーを利用し、PCR増幅を行うことにより、該16s rRNA遺伝子に相当する二本鎖DNA試料を調製する。他方、前記PCR増幅により調製される、各起炎菌の16s rRNA遺伝子由来二本鎖DNA断片の塩基配列を相互比較し、個々の菌株にユニークな塩基配列部分を選択し、個々の菌株特定用のDNAプローブ一種以上を作製する。共通のPCRプライマーを用いて調製される、16s rRNA遺伝子に相当する二本鎖DNA試料について、個々の菌株特定用のDNAプローブとのハイブリダイゼーション反応を行い、ハイブリッド体形成の有無、その量を検出する。ハイブリッド体形成がなされ、また、その量が所望の水準を超える場合、当該菌株特定用のDNAプローブが有する塩基配列に対して、相補的な部分塩基配列が、16s rRNA遺伝子に相当する二本鎖DNAのいずれかの鎖上に存在していることが確認される。
一般に、分類学上近縁関係にある細菌を対比すると、16s rRNA遺伝子の塩基配列における相同性が高くなり、個々の菌株にユニークな塩基配列部分はごく限られた位置にしか存在しない場合も少なくない。その結果、ある起炎菌の菌株同定に利用されるユニークな塩基配列部分は、共通のPCRプライマーを用いて調製される16s rRNA遺伝子に相当する二本鎖DNA中、検出に利用される一本鎖DNAの5’末端から遠く離れた位置となることもある。その際、蛍光標識が付された一本鎖DNAを検出に利用する場合、固相上に固定化された検出用DNAプローブとハイブリッド体形成した際、その蛍光標識に起因する蛍光強度は「弱く」しか測定できない事態も起こる。すなわち、ハイブリッド体形成の有無およびその量の定量性に大きな制限を与える要因となることもある。
通常、検体中に含まれる核酸を鋳型として検出対象の遺伝子に相当するDNA断片をPCR増幅産物として調製して、実際のプローブ・ハイブリダイゼーション用の一次試料として利用されている。この一次試料は、実質的に、PCR増幅により調製された、検出対象の遺伝子に相当する二本鎖DNA断片のみを含むものとなる。次いで、かかる二本鎖DNA断片を解離させて、互いに相補的な二つの一本鎖DNA断片とした上で、予め標識されたプライマーを用いてDNA鎖の伸長反応を行い、核酸を標識する手法を適用する。このようにして検出用DNAプローブとハイブリッド体形成が可能な蛍光標識が付された核酸(とりわけ、一本鎖DNA断片)の調製がなされる。
一方、一次試料中に含有されている、検出対象の遺伝子に相当する二本鎖DNA断片の塩基配列に基づき、検出用DNAプローブの結合部位(位置)を選択する。その検出用DNAプローブの結合部位(位置)として、上記DNA断片の5’末端から遠く離れた位置を選択した場合であっても、前記の手法を応用して作製される5’末端に蛍光標識が付された核酸(特に、一本鎖DNA断片)と、固相上に固定化された検出用DNAプローブとのハイブリダイゼーション反応により形成されるハイブリッド体において検出される前記蛍光標識に起因する蛍光が、十分な蛍光強度を示すことが可能な、5’末端に蛍光標識が付された核酸(特に、一本鎖DNA断片)の調製手段の開発が望まれている。
本発明は前記課題を解決するものである。本発明の目的は、検出用DNAプローブの結合部位(位置)として、予めPCR増幅により調製される一次試料中に存在する、該検出対象の遺伝子に相当するDNA断片の5’末端から遠く離れた位置を選択した場合に、核酸鎖の伸長反応を応用して作製される蛍光標識が付された核酸(特に、一本鎖DNA断片)と、固相上に固定化された検出用DNAプローブとのハイブリダイゼーション反応により形成されるハイブリッド体において、十分な蛍光強度を示すことが可能な核酸を調製するための核酸増幅方法を提供する。
また本発明の他の目的は、標的核酸の検出をより正確に行うことができる標的核酸の検出方法を提供する点にある。
本発明の一態様によれば、プローブ・ハイブリダイゼーション法を利用する核酸検出に供する検体を調製するための核酸増幅方法であって、鎖置換型DNAポリメラーゼを使用して鋳型核酸に対してPCRを行う工程を有することを特徴とする。
また本発明の他の態様によれば、標的核酸に対して特異的に結合するプローブが固相上に固定されているプローブ担体を用いた標的核酸の検出方法であって、(i)標的核酸を鋳型核酸としてPCRを行って標的核酸を増幅する工程、及び(ii)工程(i)で得られた標的核酸の増幅産物をプローブ担体と反応させる工程、を有し、前記工程(i)が、鎖置換型DNAポリメラーゼを用いることを特徴とする標的核酸の検出方法が提供される。
本発明者らは、前記の課題を解決するために、鋭意、研究、検討を進めた。以下により具体的な構成例について記載するが、本発明は下記方法に限定されるものではない。
本発明におけるプローブとしては、プローブ・ハイブリダイゼーション法で通常用いられる核酸をいずれも好ましく用いることができる。具体的にはデオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチドおよびその誘導体を少なくとも一つ以上含んで構成されるポリヌクレオチドを挙げることができる。PCRなどで調製されたもの、化学的に合成されたもの、天然に由来する核酸を、そのまま、または加工して使用したものなどいずれも使用することができるが、調製の容易さから化学的に合成されたものを使用するのが好ましい。さらに合成の容易さから、オリゴデオキシリボヌクレオチド、オリゴリボヌクレオチド、PNA(ペプチド核酸)等を使用するのが好ましい。プローブは固相表面上でハイブリダイゼーションに使用されるのが好ましく、ハイブリダイゼーションの前後において固相表面に結合および吸着し続けるために、ハイブリダイゼーションを阻害しない程度において官能基等で修飾されていてもよい。本発明における固相表面とは、ハイブリダイゼーションの前後においてプローブを担持し続けることのできる固体を意味する。固相表面はハイブリダイゼーション後の洗浄(B/F分離)の後の検出においてプローブの位置が特定できるものであればいずれも使用することができる。具体的には、シリコンウェハー、石英、ガラスなどの無機類、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、カーボンプレートなどの有機類、またはこれらの組合せからなる平板の固体状またはゲル状の担体を挙げることができる。検出および作製の容易性から、石英、ガラスまたは樹脂類を固相表面とし、プローブが共有的に結合しているDNAマイクロアレイが好ましく用いられる。
本発明における検体とは、プローブ・ハイブリダイゼーション法によりプローブに由来する核酸の塩基配列に対する相同性を解析しようとする核酸を含んでいることが想定される検体を指す。プローブに対する相同性を解析するということには、プローブと相同性をもつ核酸の有無を解析することも含まれるため、本発明における検体は上記解析しようとする核酸が含まれていない場合も想定しうる。検体として用いる核酸には、PCR等を行って鋳型核酸を増幅したものを好ましく使用することができる。鋳型核酸の由来するところは、例えばヒトやマウスなどの動物、イネやトウモロコシなどの植物、細菌、真菌、古細菌、ウイルスなどの微生物等の核酸が含有すると考えられるサンプルの全部および一部、またはこれらの組合せからなるものが該当する。例えば感染症の起炎菌を同定する場合、血液中に存在する細菌の核酸を鋳型とする用途においては、極めて少量の核酸が鋳型となる。このような場合は、一度鋳型中の対象領域に対してPCR等の増幅を行ったものを再度鋳型核酸として用いることで、良好な結果を得ることができる。
本発明において、検体を調製する際のPCRにおいては鎖置換型のDNAポリメラーゼを好ましく使用することができる。鎖置換型のDNAポリメラーゼとしては、一般には大腸菌に由来するKlenow Fragmentが広く知られている。これは、DNA伸長の際に、鋳型鎖の相補鎖を引き剥がしながら合成する酵素である。Klenow Fragment等の鎖置換型の酵素は通常反応を37℃で行うため、50℃を超えるサーマルサイクルが与えられるPCRには使用できなかった。しかし、近年Bacillus stearothermophilus由来のDNAポリメラーゼなどの耐熱性に優れた鎖置換型のDNAポリメラーゼが見出されてきている。これらの耐熱性鎖置換型のDNAポリメラーゼは一般に、LAMP法(栄研化学)やICAN法(TaKaRa)などの等温での増幅に使用されている。これらの酵素は比較的耐熱性ではあるが従来のPCRのサーマルサイクルにかけた場合は、その温度において活性を保持することは出来ず、増幅を繰り返す一般のPCRに用いられることはなかった。本発明では、PCR増幅を行ったものを鋳型核酸として、鋳型核酸の両末端付近にプライマーを設定することで、失活が急激にすすまない温度においてPCRが達成されることを見出した。例えば、PCR産物である鋳型核酸を調整したプライマーのTmが50℃であった場合、65℃の状態においてはPCR産物の両末端は比較的ゆるくアニールしており、その場所に対しては別のプライマーがアニールする余地を有している。この状態で、鎖置換型のDNAポリメラーゼが機能すると、鋳型鎖の相補鎖を引き剥がしながら全長の増幅産物が生成することになる。通常のDNAポリメラーゼを用いてPCRを行った場合、サイクルの後半において鋳型核酸の5’末端までは伸長されていない増幅産物の生成を避けることはできない。この際、例えば65℃の等温に保持し続けてもよいが、短時間であれば65〜95℃に昇温させてもよい。昇温させたことにより失活は進行するが、プライマーのアニール効率と拮抗する場合もある。この鎖置換型のDNAポリメラーゼを使用したPCRは、鋳型核酸から検体を調製するためだけでなく、鋳型核酸を調製するために使用することもできる。また、このPCRは片方のプライマーのみを用いる非対称PCR(一本鎖調製)と通常の対称PCR(二本鎖調製)のいずれにも使用することができる。
上記のような固相上に固定化されたDNAプローブを利用し、ハイブリダイゼーション反応を応用してハイブリッド体形成させて特定の核酸を検出する検出方法では、検体となる核酸に予め標識を付しておくことが必要となる。検体の核酸に標識物質を取り込ませる方法としては、例えば、PCR増幅産物を作製する際に、標識付きデオキシヌクレオチド(例えば、Cy3−dUTPなど)を付加することが挙げられる。
また、PCR増幅産物を作製する際、DNAポリメラーゼ酵素の基質となるATCG4種のデオキシヌクレオチド(dATP、dCTP、dGTP、dTTP:総称してdNTP)と標識付きデオキシヌクレオチド(例えば、Cy3−dUTP)をそれぞれ調製して、各dNTPの終濃度を揃えることで、作製される増幅産物中に標識付きデオキシヌクレオチドを取り込ませる方法もある。
また、予め標識されたプライマーを用いて、PCR反応を行い、核酸を標識する方法を用いることもできる。この予め標識されたプライマーを利用する場合、作製される標識核酸一分子当り付与される標識物質の量比が制御できるという利点があり、高い定量性が要求される際にはこの手法が好適である。標識物質としては蛍光物質またはビオチンのいずれか一つ以上を含んでいることが、検出感度および標識の簡便さの点から好ましい。蛍光物質としては、従来公知の蛍光色素等をいずれも使用することが出来る。量子収率、耐光性、耐ガス性、化学的安定性、DNAポリメラーゼの基質としての特性の点においてFITC、FAM、Cy3、Cy5、Cy5.5、Cy7、TAMRA、Dabcyl、ROX、TET、Rhodamine、Texas Red、HEX、Cyber Green等を好ましく用いることが出来る。ビオチンおよびジゴキシゲニンの場合は、各種ビオチン結合型の標識酵素タンパク質を反応させ、かかる標識酵素タンパク質の酵素活性を指標として、検出を可能とする。蛍光標識として利用される各種蛍光物質は、かかる蛍光物質に由来する蛍光強度を観測する光学的検出手段を利用することで、高感度の検出を可能とする。また、前記標識酵素タンパク質の酵素活性を指標とする検出法も、酵素活性は、各種発色反応を利用するものとすることで、光学的検出手段の利用が可能であり、高感度の検出を可能とする。検体は検体核酸のハイブリダイゼーションを阻害する物質を含まないようにするために、通常用いられる精製法によって精製しておくことが好ましい。
上記方法を用いることで、鋳型核酸に対してほぼ全長伸長した検体を調製することが可能となり、検出用プローブの選択位置に影響されず、その3’末端側の近い部位に検出用プローブに対しても高い検出感度を達成することが可能となる。
本発明にかかる核酸の塩基配列解析方法を用いることにより、鋳型核酸に対してほぼ全長伸長した検体を調整することが可能となり、検出用プローブの選択位置に影響されず、その3’末端側の近い部位に検出用プローブに対しても高い検出感度を達成することが可能となる。
以下、実施例により、本発明をさらに具体的に説明する。ただし、以下に述べる実施例は、本発明にかかる最良の実施形態の一例ではあるが、本発明の技術的範囲はこれら実施例に示す態様に限定されるものではない。
(実施例1)
<プローブDNAの作製>
Pseudomonas aeruginosa菌由来の核酸分子の選択的検出用プローブとして、表1に示す塩基配列を有するプローブDNAを設計した。
具体的には、Pseudomonas aeruginosa菌の16s rRNAをコーディングしているゲノム領域の塩基配列に基づき、表1に示す8種のプローブの塩基配列を選択した。これらのプローブの塩基配列は、当該菌に対して非常に特異性が高く、十分なハイブリダイゼーション感度が期待できるように選択されている。同時に、それぞれのプローブの塩基配列相互において、ハイブリダイゼーション感度を比較した際、感度のバラツキのないことが期待できるように設計されている。
Figure 2007166995
表1中に示す各プローブに対して、DNA鎖の合成後、DNAマイクロアレイに固定するための官能基として、核酸の5’末端にチオール基を定法に従って導入した。官能基の導入後、精製し、凍結乾燥した。凍結乾燥した内部標準用プローブは、−30℃の冷凍庫内に保存した。
同様な設計手法により、Haemophilus influenzae菌由来の核酸分子の選択的検出用プローブとして、表2に示す塩基配列を有するプローブDNAを設計した。
Figure 2007166995
<検体中の核酸鎖増幅用PCR Primerの調製>
起炎菌の検出に利用される、該起炎菌由来の16s rRNA遺伝子(標的遺伝子)増幅用PCR Primerとして、表3に示す核酸配列を有するDNAプライマーを設計した。
具体的には、Pseudomonas aeruginosa標準株(ATCC 10145)由来の16s rRNAをコーディングしているゲノム部分を特異的に増幅するプローブ・セット、つまり、約1500塩基長の16s rRNAコーディング領域の両端部分の塩基配列に基づき、それに相補的な塩基配列を有し、また、当該部分とハイブリダイズさせた際、その融解温度がほぼ揃った複数種のプライマーを設計した。設計された複数種類のプライマーは、互いに、部分的な塩基配列の相違を有するが、この混合プライマーを利用することで、変異株や、ゲノム上に複数存在する16s rRNAコーディング領域も同時に増幅できるように設計されている。
Figure 2007166995
各Primerは、DNA鎖の合成後、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により精製する。このForward Primer 3種、Reverse Primer 2種をそれぞれ混合し、各Primer濃度が最終濃度10pmol/μlとなるようにTE緩衝液に溶解した。
<Pseudomonas aeruginosa DNA(モデル検体)の抽出>
[微生物の培養とゲノムDNA抽出の前処理]
始めにPseudomonas aeruginosa標準株(ATCC 10145)を定法に従って培養した。
この微生物培養液1.0 ml(OD600=0.7)を1.5 ml容量のマイクロチューブに採取し、遠心分離(8500rpm、5min、4℃)により菌体を分離した。上清を捨てた後、Enzyme Buffer(50mM Tris−HCl:pH 8.0、25mM EDTA) 300μlを加え、ミキサーを用いて菌体を再縣濁した。再度遠心分離(8500rpm、5min、4℃)を行い、再縣濁した菌体液から菌体を分離した。上清を捨てた後、回収された菌体に下記2種の酵素溶液各50μlを加え、ミキサーを用いて再縣濁した。
溶菌処理用酵素溶液
Lysozyme 50μl(酵素濃度:20mg/ml in Enzyme Buffer)
N-Acetylmuramidase SG 50μl(酵素濃度:0.2mg/ml in Enzyme Buffer)。
次に、酵素を含む緩衝液中に再縣濁した菌体液を、37℃のインキュベーター内で30分間静置し、該微生物の細胞膜の溶解処理を行った。
(Genome抽出・精製)
細胞膜の溶解処理後、該微生物由来のGenome DNA抽出・精製は、核酸精製キット(MagExtractor−Genome−:TOYOBO社製)を用い、下記の手順に従って行った。
(ステップ1)
先ず、細胞膜の溶解処理を施した微生物縣濁液に、前記キットの溶解・吸着液750μlと磁性ビーズ液40μlとを加え、チューブミキサーを用いて10分間激しく攪拌する。この操作により、含有される二本鎖DNA分子は磁性粒子(ビーズ)表面に吸着される。
(ステップ2)
次に、分離用スタンド(Magical Trapper)にマイクロチューブをセットし、30秒間静置して磁性粒子をチューブの壁面に集める。その後、スタンドにセットした状態のまま上清を捨てる。
(ステップ3)
マイクロチューブ内に洗浄液900μlを加え、ミキサーで5秒間程度攪拌して再縣濁を行う。
(ステップ4)
再び、分離用スタンドにマイクロチューブをセットし、30秒間静置して磁性粒子をチューブの壁面に集める。その後、スタンドにセットした状態のまま上清を捨てる。
(ステップ5)
前記ステップ3、4の洗浄操作を繰り返して、2度の洗浄を行う。
(ステップ6)
該洗浄液を用いた洗浄後、マイクロチューブ内に70%エタノール 900μlを加え、ミキサーで5秒間程度攪拌して再縣濁する。
(ステップ7)
次に、分離用スタンドにマイクロチューブをセットし、30秒間静置して磁性粒子をチューブの壁面に集める。その後、スタンドにセットした状態のまま上清を捨てる。
(ステップ8)
前記ステップ6、7の洗浄操作を繰り返して、70%エタノールによる合計2度目の洗浄を行う。
70%エタノールによる2度の洗浄を行った後、マイクロチューブ内に純水100μlを加え、回収された磁性粒子を含む液をチューブミキサーで10分間攪拌を行う。この操作により磁性粒子(ビーズ)表面に吸着されていた二本鎖DNA分子は純水中に再溶出される。
次に、分離用スタンドにマイクロチューブをセットし、30秒間静置して磁性粒子をチューブ壁面に集める。最終的に、スタンドにセットした状態のまま、二本鎖DNA分子を含む上清を新しいチューブに回収する。
(回収したGenome DNAの検査)
回収された微生物(Pseudomonas aeruginosa ATCC 10145株)由来の精製済核酸分子を含む液は、定法に従ってアガロース電気泳動と260/280nmの吸光度測定を行い、該液中に含まれるGenome DNAについてその品質(低分子核酸の混入量、分解の程度)と回収量を検定した。
本実施例では、約10μgのGenome DNAが回収され、Genome DNAのデグラデーションやrRNAの混入は認められなかった。
回収したGenome DNAは、最終濃度50ng/μlとなるようにTE緩衝液に溶解し、以下の実施例に使用した。
<DNAマイクロアレイの作製>
[1]ガラス基板の洗浄
合成石英製ガラス基板(サイズ:25mm(幅)×75mm(長さ)×1mm(厚さ)、飯山特殊ガラス社製)を耐熱、耐アルカリ性のラックに入れ、所定の濃度に調製した超音波洗浄用の洗浄液に浸した。一晩洗浄液中に浸した後、20分間超音波洗浄を行った。続いて、基板を取り出し、軽く純水で濯いだ(リンス洗浄)後、超純水中で20分超音波洗浄を行った。次に、80℃に加熱した1N水酸化ナトリウム水溶液中に10分間基板を浸した。その後、基板を取り出し、純水によるリンス洗浄と、超純水中で超音波洗浄を施した。以上の洗浄操作により、洗浄済みのDNAチップ用石英ガラス基板を用意した。
[2]表面処理
シランカップリング剤KBM−603(信越シリコーン社製)を、1%の濃度となるように純水中に加え、室温で2時間攪拌し、均一に溶解した。続いて、前記洗浄済み石英ガラス基板をシランカップリング剤水溶液中に浸し、室温で20分間放置した。石英ガラス基板を引き上げ、軽く純水で表面をリンス洗浄した後、窒素ガスを基板の両面に吹き付けて乾燥させた。次に、乾燥した基板を120℃に加熱したオーブン中で1時間ベークし、前記アミノシランカップリング剤の基板表面への結合処理を完結させた。基板表面には、該アミノシランカップリング剤由来のアミノ基が導入された。
同仁化学研究所社製のN−マレイミドカプロイロキシスクシイミド(N−(6-Maleimidocaproyloxy)succinimido;以下、EMCSと略す)を、ジメチルスルホキシドとエタノールの1:1混合溶媒中に最終濃度が0.3mg/mlとなるように溶解したEMCS溶液を調製した。前記ベーク処理の終了後、石英ガラス基板を室温まで放冷した。次いで、表面にアミノ基が導入された石英ガラス基板を、EMCS溶液中に室温で2時間浸した。この浸漬処理の間に、アミノシランカップリング剤処理によって基板表面に導入されたアミノ基と、EMCSのスクシイミド基とが反応し、石英ガラス基板表面にEMCS由来のマレイミド基が導入された。EMCS溶液から引き上げた石英ガラス基板を、ジメチルスルホキシドとエタノールの1:1混合溶媒を用いて洗浄し、未反応のEMCSを除去した。さらに、エタノールにより洗浄した後、窒素ガス雰囲気下で前記表面処理済み石英ガラス基板を乾燥した。
[3]プローブDNA
上記の方法で作製された検出用プローブDNAを純水に溶解し、それぞれ最終濃度(インク溶解時)が10μMとなるように、マイクロ・バイアルに分注した後、凍結乾燥を行った。水分を除いたプローブDNAをそれぞれ収納するマイクロ・バイアルは、下記の手順でバブルジェット方式によるスポッティング用のDNA溶液の調製に利用した。
[4]BJプリンターによるDNA溶液の吐出、および基板表面への固定化
グリセリン7.0wt%、エチレングリコール5.0wt%、ヘキサントリオール5.0wt%、アセチレノールEH(川研ファインケミカル社製)1.0wt%を含む水溶液を調製した。続いて、先に用意した8種類のプローブDNAをそれぞれ収納するマイクロ・バイアル中に、DNA濃度が、最終濃度(インク溶解時)10μMとなるように、前記混合溶媒を所定量加えて、DNA溶液(インク)を調製した。得られたDNA溶液をバブルジェットプリンター(商品名:BJF−850、キヤノン社製)用インクタンクに充填し、印字ヘッドに装着した。
なお、基板面上へのDNA溶液のスポッティングに使用するために、前記バブルジェットプリンターは平板への印字が可能なように改造が施されている。また、このバブルジェットプリンターの印字ヘッドは、所定のファイル作成方法に従って印字パターンを入力することにより、約5ピコリットルのDNA溶液液滴を約120マイクロメートルピッチでスポッティングすることが可能となっている。
続いて、上記バブルジェットプリンターを用いて、表面にマレイミド基が導入された石英ガラス基板に対して、所定の印字パターンに従って各DNA溶液のスポッティング操作を行い、アレイを作製した。アレイ状のスポッティング操作が確実に行われていることを確認した後、30分間加湿チャンバー内に静置し、石英ガラス基板表面のマレイミド基とプローブDNA5’末端のチオール基とを反応させ、プローブDNAの固定を行った。
[5]洗浄
30分間の反応後、100mMのNaClを含む10mMのリン酸緩衝液(pH7.0)により、基板表面に残ったDNA溶液を洗い流した。石英ガラス基板表面に目的とする複数種の一本鎖DNAがアレイ状に固定されているDNAマイクロアレイが得られた。
<ゲノムDNA抽出物中の検体DNAのPCR増幅>
上記微生物由来のゲノムDNA抽出物中から、検体DNAとなる、16s rRNAの遺伝子のPCR増幅を、下記の手順・条件で行う。
先ず、上記Forward Primer 3種を含むForward Primer混合物および上記Reverse Primer 2種を含むReverse Primer混合物を用いて、ゲノムDNAを鋳型としてPCR増幅反応を行う。該PCR増幅反応は、市販のPCRキット(TAKARA ExTaq)を利用して行い、その反応溶液組成を表4に示す。
一方、PCR反応の温度条件は、下記表4に示すプロトコールに従って、市販のサーマルサイクラーを利用して増幅反応を行った。
Figure 2007166995
このPCR増幅反応の終了後、市販のPCR産物精製用カラム(QIAGEN QIAquick PCR Purification Kit)を用いてPrimerを除去し、PCR増幅産物を回収した。その際得られたPCR増幅産物の定量を行った。
<PCR増幅産物を鋳型とした標識化DNA鎖の調製>
蛍光標識としてReverse PrimerにCy3を5’末端に結合した標識付きオリゴヌクレオチドを利用して、標識化DNA鎖の調製を下記の手順・条件で行った。
ヌクレオチド鎖の合成後、常法に従って、蛍光標識化合物Cy3を該ヌクレオチド鎖の5’末端に共有的に結合させた。その後HPLCを用いて標識付きオリゴヌクレオチドの精製を行った。合成された標識付きオリゴヌクレオチドの塩基配列を以下に示す。
Figure 2007166995
上記PCR増幅反応で得られるPCR増幅産物を鋳型とし、Reverse Primerとして上記塩基配列を有する2種の標識付きオリゴヌクレオチドの混合物を利用して、相補的なDNA鎖の伸長反応を下記の手順・条件で行った。
該DNA鎖の伸長反応は、市販のPCRキット(TaKaRA BcaBESTTM Labeling Kit)を利用して片鎖PCR反応の形態で実施した。その反応溶液組成を以下に示す。
一方、この伸長反応の温度条件は、下記プロトコールに従って、市販のサーマルサイクラーを利用して、増幅反応を行った。なお、本工程において用いたポリメラーゼ(商品名:BcaBEST DNA Polymerase;タカラバイオ株式会社製)が、鎖置換型ポリメラーゼである。
Figure 2007166995
このDNA鎖伸長反応の終了後、市販のPCR産物精製用カラム(QIAGEN QIAquick PCR Purification Kit)を用いて、Primerを除去し、標識付きオリゴヌクレオチド由来の蛍光標識Cy3が5’末端に付加された増幅産物を回収した。その際得られた増幅産物の定量を行った。
<ハイブリダイゼーション法による検体DNAの検出>
<DNAマイクロアレイの作製>で作製したDNAマイクロアレイと、前記方法で作製した標識化検体DNAとを用いて、ハイブリダイゼーション反応を行い、蛍光標識を利用して、形成されるハイブリッド体の検出を行った。
(遺伝子チップのブロッキング)
100mM NaCl/ 10mM Phosphate Buffer中に、BSA(牛血清アルブミンFraction V:Sigma社製)を濃度1wt%となるように添加し、BSA溶液を調製する。このBSA溶液中に、<DNAマイクロアレイの作製>で作製したDNAマイクロアレイを室温で2時間浸し、DNAマイクロアレイの石英ガラス基板表面に対して、BSAによるブロッキング処理を施した。ブロッキング処理の終了後、0.1wt%SDS(ドデシル硫酸ナトリウム)を含む2×SSC溶液(NaCl 300mM、Sodium Citrate (trisodium citrate dihydrate, Na3C6H5O7・2H2O) 30mM、pH 7.0)で、DNAマイクロアレイの石英ガラス基板表面に残余するBSA溶液を洗浄した。次いで、純水でリンス洗浄した後、スピンドライ装置でDNAマイクロアレイ表面の水切りを行った。
(ハイブリダイゼーション反応)
前記ブロッキング処理を施したDNAマイクロアレイをハイブリダイゼーション装置(Genomic Solutions Inc. Hybridization Station)にセットし、標識化検体DNAとプローブDNAとのハイブリダイゼーション反応を下記の手順・条件で行った。
使用したハイブリダイゼーション溶液の組成、条件を以下に示す。
[ハイブリダイゼーション溶液]
前記方法で作製した、精製済み標識化検体DNAを、10%HCONH2を添加した6×SSPE緩衝液中に溶解した溶液を使用した。
6×SSPE/ 10% Form amide / Target (2nd PCR Products 全量)
(6×SSPE: NaCl 900mM、NaH2PO4・H2O 60mM、EDTA 6mM、pH 7.4)
[ハイブリダイゼーション条件]
ハイブリダイゼーション反応および反応後の洗浄・乾燥の操作の条件を以下に示す。
Figure 2007166995
<ハイブリット体の検出(蛍光測定)>
ハイブリダイゼーション反応終了後、DNAマイクロアレイ用蛍光検出装置(Axon社製、商品名:GenePix 4000B)を用いて、スピンドライ乾燥済み遺伝子チップ上の各プローブDNAのスポットについて、蛍光標識Cy3由来の蛍光強度の測定を行った(532 nm Laser Power: 100% PMT Gain:400)。
以下に各プローブDNAのスポット点で観測された蛍光強度、ならびに該プローブDNAの結合部位(16s rRNA遺伝子5’末端からの凡その塩基数)を示す。
Figure 2007166995
上記のハイブリダイゼーション反応において使用した標識化検体DNA試料は、鋳型核酸に対してほぼ全長伸長したものとなり、形成されたハイブリッド体に起因する蛍光標識Cy3由来の蛍光強度の均一化が達成されている。
加えて、Haemophilus influenzaの16s rRNA遺伝子に由来する、上記プローブDNA;Hi−1〜Hi−8を用いて、同様の手順でDNAマイクロアレイを作製した。このDNAマイクロアレイについても、ブロッキング処理を施した後、前記の標識化検体DNA試料を用いて、ハイブリダイゼーション反応を行った。その結果、上記プローブDNA;Hi−1〜Hi−8とのハイブリッド体形成に起因する蛍光は検出されなかった。
(実施例2)
Reverse Primerとして、前記表5に示す塩基配列を有する2種の標識付きオリゴヌクレオチドの混合物を加えた以外は、実施例1における<ゲノムDNA抽出物中の検体DNAのPCR増幅>と同様にして検体DNAのPCR増幅並びに標識化検体DNAの調製を行った。得られた標識化検体DNAを前記実施例1の<ハイブリダイゼーション法による検体DNAの検出>と同様にしてDNAプローブアレイとハイブリダイゼーション反応させ、反応済DNAプローブアレイ上に形成されたハイブリッド体を検出した。本実施例に係るハイブリット体の検出(蛍光測定)結果を表10に示す。
Figure 2007166995
Figure 2007166995
上記のハイブリダイゼーション反応において使用した標識化検体DNA試料は、鋳型核酸に対してほぼ全長伸長したものとなり、形成されたハイブリッド体に起因する蛍光標識Cy3由来の蛍光強度の均一化が達成されている。
加えて、Haemophilus influenzaの16s rRNA遺伝子に由来する、上記プローブDNA;Hi−1〜Hi−8を用いて、同様の手順でDNAマイクロアレイを作製した。このDNAマイクロアレイについても、ブロッキング処理を施した後、前記の標識化検体DNA試料を用いて、ハイブリダイゼーション反応を行った。その結果、上記プローブDNA;Hi−1〜Hi−8とのハイブリッド体形成に起因する蛍光は検出されなかった。
(比較例1)
<PCR増幅産物を鋳型とした標識化DNA鎖の調製>において、以下に示すように通常のDNAポリメラーゼを用いたこと以外は、実施例1と同様にして行ったハイブリット体の検出(蛍光測定)結果を表12に示す。
Figure 2007166995
Figure 2007166995
上記のハイブリダイゼーション反応において使用した標識化検体DNA試料は、鋳型核酸に対してほぼ全長伸長していないものが多数存在し、形成されたハイブリッド体に起因する蛍光標識Cy3由来の蛍光強度が不均一である。
加えて、Haemophilus influenzaの16s rRNA遺伝子に由来する、上記プローブDNA;Hi−1〜Hi−8を用いて、同様の手順でDNAマイクロアレイを作製した。このDNAマイクロアレイについても、ブロッキング処理を施した後、前記の標識化検体DNA試料を用いて、ハイブリダイゼーション反応を行った。その結果、上記プローブDNA;Hi−1〜Hi−8とのハイブリッド体形成に起因する蛍光は検出されなかった。

Claims (10)

  1. プローブ・ハイブリダイゼーション法を利用する核酸検出に供する検体を調製するための核酸増幅方法であって、
    鎖置換型DNAポリメラーゼを使用して鋳型核酸に対してPCRを行う工程を有することを特徴とする核酸増幅方法。
  2. 前記PCRが非対称PCRである請求項1記載の核酸増幅方法。
  3. 前記PCRが対称PCRである請求項1記載の核酸増幅方法。
  4. 前記プローブ・ハイブリダイゼーション法を利用する核酸検出は、固相表面に固定あるいは吸着されているDNAプローブに対するハイブリダイゼーション反応を利用していることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の核酸増幅方法。
  5. 前記DNAプローブは、DNAチップまたはDNAマイクロアレイの形態であることを特徴とする請求項4に記載の核酸増幅方法。
  6. 前記鋳型核酸がPCR増幅産物である請求項1から5のいずれかに記載の核酸増幅方法。
  7. 請求項1から5のいずれか記載のPCRを行う際にハイブリダイゼーションに供する標識を付与する核酸標識方法。
  8. 前記標識は、蛍光物質またはビオチンからなる群から選択される一つ以上の標識である請求項7に記載の核酸標識方法。
  9. 請求項1から8のいずれかに記載の方法を用いて調製した核酸増幅産物。
  10. 標的核酸に対して特異的に結合するプローブが固相上に固定されているプローブ担体を用いた標的核酸の検出方法であって、
    (i)標的核酸を鋳型核酸としてPCRを行って標的核酸を増幅する工程、及び
    (ii)工程(i)で得られた標的核酸の増幅産物をプローブ担体と反応させる工程、
    を有し、
    前記工程(i)が、鎖置換型DNAポリメラーゼを用いることを特徴とする標的核酸の検出方法。

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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