JP2007166956A - ベビーリーフの噴霧水耕栽培法 - Google Patents

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Abstract

【課題】収穫作業の省力化が可能で、連作障害を起こさず、安定な品質と収量を確保でき、無農薬で栽培できる上に、輸送コストがかからないベビーリーフのミスト栽培法の提供。
【解決手段】防草シートを敷いたトンネルハウス内に栽培室を設け、ローラー付き栽培コンテナーの出し入れの時以外は栽培室を遮蔽し、搬入口側から作物収穫口側へ向って下り傾斜を付けたレール付き高設架台上に、植物の根が下方に向かって自由に伸張可能な底面を有する栽培コンテナーを載せ、底面に培地の流出防止処理を施した上で培養土を含有する無菌化処理した培地を敷き詰め、高設架台の下方空間の開放面を遮光可能な素材で覆ってミスト噴霧室とし、ミスト噴霧室の上方から下方に向って、液滴の大きさが50μm以下の水及び養液ミストを間歇的に噴霧し、生育ステージに合わせて有機養液の成分濃度を調整すると共に、植物にCOを施用するベビーリーフの噴霧水耕栽培法。
【選択図】図3

Description

本発明は、植物の根に直接ミスト状の養液を供給する噴霧水耕栽培法(ミスト栽培)を利用したベビーリーフの栽培方法に関する。
「ベビーリーフ」は、主にレタス類、葉物野菜、ハーブなどの幼葉を摘んだものを数種類ミックスしたもののことである。20年程前、アメリカのカリフォルニアで生まれ、瞬く間に爆発的にヒットし、スーパーマーケットの野菜売場の“目玉商品”になった。日本でも、最初は輸入していたが、10年ほど前から国産化が進み、各地に水耕、土耕の産地が広がっている。
「ベビーリーフ」に入れられている野菜類は、アメリカでは殆どがレタスの仲間であるが、日本では日本人の口に合うように様々な“日本的”な野菜も仲間に入っている。日本野菜だけでなく、中国野菜、イタリア野菜などを含めて実に多彩である。具体例としてはサニーレタス、グリーンカール、サラダナ、みず菜、グリーンマスタード、ルッコラ、ホウレン草、小松菜、赤高菜、ロメイン、レッドオーク、ターサイ、小紅菜、ロロロッサ、レッドアジアンマスタード、ピノグリーン、ホワイトケール、レッドケール、デトロイトなどが挙げられる。
様々な野菜類がミックスされているため、キャベツと比べてみると、同じ量に含まれる栄養素は、ビタミンCが2倍、カルシウムが3倍、βカロテンに至っては24倍にもなる。しかも、手間をかけずに様々な栄養素を効率よく摂取できる利点がある。
但し、そのまま生で食べるものであるため、美味しく安心して食べられるように、天然資材だけを使ったぼかし堆肥や土壌微生物も利用して農薬を使わないで栽培する無農薬・有機栽培法や、施設を利用し水耕栽培により病害虫に犯されないようにして栽培する方法を中心として栽培されている。
しかし、人気が出るに従い多くの農家が栽培に参入し、当初はkg当りの単価が2000円ほどであったのが、地域によっては1000円を切るような過当競争が起きており、高コストで生産性の低い無農薬・有機栽培は何時しか有名無実となりつつある。
一方、水耕栽培は養液栽培とも言い、土壌を使わずに作物を栽培するので無土壌栽培法とも呼ばれており、21世紀の植物栽培法の一つとして土耕栽培とは違った分野で脚光を浴びている(例えば特許文献1〜2参照)。しかし、水耕栽培には常に根の呼吸障害を伴うため様々な工夫がなされているが、根が溶液中に在る限り完全には解決できない。
そこで、近年、噴霧水耕栽培法(ミスト栽培)という方式が注目され研究が進められている(例えば特許文献3参照)。ミスト栽培は養液(液肥)を噴霧ポンプでミスト状にして根に吹き付ける方式であり、根が溶液中に浸らず空中に支えられているので呼吸障害を回避することができる。しかし、従来のミスト栽培は培地に土壌を用いていなかった。植物は土に根を張り貴重なミネラルを土から取り込むことが基本であるから、土壌を用いた方が好ましい。そこで本出願人は、この考え方に基づく発明を出願している(特許文献4参照)。更にその後の検討により、先願発明には幾つかの改善すべき点があることが分ったので、その改良発明についても特願2005−215808として出願している。
特開平11−46577号公報 特開平9−275831号公報 特開平7−213180号公報 特開2003−274774号公報
現在のベビーリーフの生産には、次の(イ)〜(ニ)のような問題点がある。
(イ)収穫作業は茶葉収穫機(バリカン)を改造したもので刈り取るか、手で引き抜いてハサミで根をカットする。刈り取り方式は高能率だが、刈り取った物を篩にかけ手で2回選別しないと商品にならないので手間がかかる。しかも、根が土中に残るので、連作障害を起こし易い。
(ロ)ハウス栽培であっても日照や気温の影響を大きく受けるため、高温期や厳冬期などは品質や収量が不安定になる。従って、冬は九州、四国、東海、南関東などの温暖地、夏は高冷地、東北、北海道などでリレー栽培されている。
現状は家族労働中心の生産者が多いが、大規模栽培にしてパートを雇用すると生育速度の不安定さが労力ロスを生じコストアップ要因になるし、販売面での組み立ても難しい。
(ハ)鮮度が落ち易いので、遠隔地輸送では予冷施設、保冷容器、航空運賃などコストアップ要因が多い。また、小規模栽培農家では集荷コストが嵩む。
(ニ)生食用の食材なので無農薬栽培が望ましい。しかし現実には時期によって農薬散布が必要な場合がある。
そこで、本発明は、上記問題点を解決し、収穫作業の省力化が可能で、連作障害を起こさず、安定な品質と収量を確保でき、無農薬で栽培できる上に、輸送コストがかからない、ベビーリーフのミスト栽培法の提供を目的とする。
上記課題は、次の1)〜6)の発明によって解決される。
1) トンネルハウスの地面に防草シートを敷き、端部の一方を搬入口、他方を作物収穫口とし、トンネルハウス内の一部を仕切って栽培室とし、ローラー付き栽培コンテナー(以下、栽培コンテナーという)の出し入れの時以外は栽培室を遮蔽し、レール付き高設架台上に播種済み栽培コンテナーを載せ、レールには、栽培コンテナーが搬入口側から作物収穫口側へ重力で自動的に移動できるように下り傾斜を付け、栽培コンテナーには、植物の根が下方に向かって自由に伸張可能な底面を有するものを用い、底面に培地の流出防止処理を施した上で培養土を含有する無菌化処理した培地を敷き詰め、レール付き高設架台の下方空間の開放面を遮光可能な素材で覆ってミスト噴霧室とし、ミスト噴霧室の上方から下方に向って、液滴の大きさが50μm以下の水及び養液ミストを間歇的に(連続的でなく休止時間を設けて)噴霧し、生育ステージに合わせて有機養液の成分濃度を調整すると共に、植物にCOを施用することを特徴とするベビーリーフの噴霧水耕栽培法。
2) 栽培室と隣接する部屋との境目を、栽培室への栽培コンテナーの出し入れに必要な大きさの出入口(作業用の穴)を開けた防虫ネットで遮断し、該出し入れの時以外は、出入口を遮蔽膜で塞いでおくことを特徴とする1)記載のベビーリーフの噴霧水耕栽培法。
3) トンネルハウスの出入口、及びトンネルハウス内の各部屋の出入口を連係させ、一つの出入口を閉じないと他の出入口が開かないインターロック方式で各出入口の開閉を制御することを特徴とする1)又は2)記載のベビーリーフの噴霧水耕栽培法。
4) トンネルハウスの妻に換気扇を内向けに取り付け、空気を取り込んでトンネルハウス内の気圧を外部よりも高くすることを特徴とする1)〜3)の何れかに記載のベビーリーフの噴霧水耕栽培法。
5) 培地への播種に際し、両端に余った種を回収するための種ポケットを設けた支持部材と種穴を多数設けた薄板からなり、種ポケットの内側裏面に、種受けシートホルダー及び栽培コンテナーの内側に入り込む位置決めリブを備えた専用播種パネルを用いることを特徴とする1)〜4)の何れかに記載のベビーリーフの噴霧水耕栽培法。
6) 栽培コンテナーの底を網目状として不織布を敷き、その上に培地を敷き詰めることを特徴とする1)〜5)の何れかに記載のベビーリーフの噴霧水耕栽培法。
以下、上記本発明について詳しく説明する。
本発明の栽培方法の特徴は、次の(1)〜(4)のとおりである。
(1)外部から隔離した栽培室で無農薬栽培を行なうので安心・安全である。
具体的には、例えば次の(a)〜(e)のような方法を適宜組み合わせて行う。但し、(a)(b)は必ず採用する必要がある。
(a)栽培室を作業室等から隔離して栽培室への病害虫の侵入を阻止するため、ローラー付き栽培コンテナー(以下、栽培コンテナーという)の出し入れの時以外は栽培室の出入口を遮蔽する。例えば、栽培室と隣接する部屋との境目を、栽培室への栽培コンテナーの出し入れに必要な大きさの出入口(作業用の穴)を開けた防虫ネットで遮断し、該出し入れの時以外は、出入口を遮蔽膜で塞いでおく。
(b)トンネルハウス内の地面に防草シートを敷く。
(c)トンネルハウスの出入口、及びトンネルハウス内の各部屋の出入口を連係させ、インターロック方式で各出入口の開閉を制御して、外部からの病虫害の侵入を阻止する。例えば、トンネルハウスの出入口から順に附室、(設備室)、作業室、栽培室を設け、トンネルハウスの出入口(=附室の出入口)、(設備室の出入口)、作業室の出入口、栽培室の出入口を連係させ、一つの出入口を閉じないと、他の出入口が開かないように制御する。
(d)トンネルハウス内の気圧を外部よりも高く保つ。
(e)栽培コンテナーを栽培室に送り込んだのち収穫時まで、作業者が栽培室に立ち入らないようにする。本発明では栽培コンテナーがレール付き高設架台上を重力で自動的に移動するので、通常の場合、作業のために栽培室に立ち入る必要はない。
(2)有機養液と有機土壌を用いて栽培するので、高栄養価で美味しいベビーリーフが得られる。また、品質と収量の安定した通年栽培が可能となる。
具体的には、培養土を含有する無菌化処理した培地(有機土壌)を栽培コンテナーに敷き詰め播種した後、レール付き高設架台に載せる。高設架台の下方空間に設けた噴霧ノズルから根に対して有機養液を微細なミスト状にして噴霧し培地に養液を吸収させると共に、噴霧間隔と養液濃度を適切に制御する。これにより、有機土壌中の豊富なミネラルと有機養液中の多彩なアミノ酸が、ベビーリーフに高い栄養価と美味しさをもたらすと共に、ベビーリーフは発芽・出根・成長の各ステージを良好に過ごし、短期間に製品サイズへと成長する。更に、各作物の生理と各生育ステージに適合した養液の成分濃度調整を、各作物毎にプログラムした自動養液管理システムにより行なえば、品質と収量の安定した通年栽培を実現できる。
(3)トンネルハウスを利用することにより省エネ・省設備費にできる。
通年栽培を行うには暖房設備が必要であり必然的に施設栽培となる。しかし、施設栽培の場合、ビニールハウスでもハウスの平面積に比例して軒高が高くなり、暖房対象空間の容量が非常に大きくなるため暖房費が嵩む。そこで、10〜20アール規模の大きなビニールハウスを建設せずに、作業効率のよい適切な大きさ(例えば、3.6m×52m、但し、栽培室は3.6m×40m)のトンネルハウス型とし、複数の棟を適当な間隔で設置する(20アールの敷地では6棟建設可能)。
本発明の栽培方法では、作業者が栽培室に入る必要がなく高設架台を連接できるので、20アールに上記の大きさの6棟のトンネルハウスを建設した場合、従来の20アールのビニールハウス単棟の時とほぼ同じ作付け面積を確保できる。
そして、暖房対象空間は、トンネルハウス6棟の合計:従来の20アールのハウス単棟=約1250m:約5500m、と1/4弱にでき、暖房費が1/3程度で済む。
更に、ハウスの建設コストも、ビニールハウスでは本格的な基礎工事と鋼材によるハウス本体の骨組みが必要であるのに対し、トンネルハウスでは簡易な基礎工事と農業用パイプを組んだ骨組みで充分であるため、凡そ1/2程度で済む。
(4)レール付き高設架台を用いることにより、省力・高効率栽培を行なう。
具体的には、次の(a)〜(e)のような工夫を適宜組み合わせて行う。但し、(a)〜(c)は必ず採用する必要がある。
(a)栽培室の入口で、播種済み栽培コンテナーをレール付き高設架台に載せて重力で自動的に移動させ、栽培室の出口で生育終了した栽培コンテナーを回収する。その結果、回収された個数分の栽培コンテナーがレール上を順に栽培室の出口側に移動するため、作業者は栽培室の出入口で栽培コンテナーを出し入れするだけでよい上に、立ったまま作業できる高設架台を用いるので、非常に効率がよい。回収時以外の栽培コンテナーの移動を阻止するためには、例えば、高設架台の終端近傍に簡易なストッパーを設ければよい。
(b)COを施用し促成栽培を行う。トンネルハウスは空間が狭いためCOの施用が容易に行える。COの施用は午前6時から午前10時までの間が好ましく、施用濃度は1000〜1500ppm程度とする。
(c)生育ステージに合わせて噴霧する有機養液の成分濃度を調整する。例えば、40mの栽培室を、発芽ブロック、育苗ブロック、育成ブロックA、育成ブロックBの4つのステージに分けて各ブロックの成分濃度を調整する。
(d)専用の播種パネルを用いて自動播種機で播種する。これにより、高密植栽培の際に、非常に効率よく且つ均一に播種できる。
(e)ベビーリーフの収穫を専用のバリカン式刈り取り機で根を残す形で行うと共に、株取りレタスなどを除いて再生栽培を行う。これにより播種・育苗の手間が省ける。
刈り取り機は1ハウス1台とし、栽培コンテナーを高設架台のレール上で移動させて、刈り取り機の中を潜らせることにより、一瞬に収穫できる。
再生栽培を行う際の播種間隔は25〜30ミリ程度にすると再生が速い。但し、再生効率からみて、再生回数は4〜6回程度が好ましい。
上記本発明の栽培法は、ミスト栽培であるから連作障害は起こらない。また、温度制御が容易な施設栽培であるから、前述したような栽培地域を変えるリレー栽培を行う必要はなく、余計な輸送コストはかからない。
通常の場合、長さが10cm程度になったところで収穫する。日照や外気温との関係で変わるが、播種から収穫までの期間は3〜4週間である。
以下、本発明に係るベビーリーフ連続栽培用の移動コンテナー式トンネルハウス型システムについて、図面を参照しつつ説明する。
図1は、20アールの圃場にトンネルハウスを設置する場合のレイアウトの一例を示す図である。中央部の栽培コンテナー移動用レール付き高設架台は、収穫が終わった栽培コンテナーを搬入口側に重力で自動的に送り返すためのものであり、省力化の観点から設置することが好ましい。構造は後述するレール付き高設架台と同様でよいが、傾斜は高設架台によって付け、作物収穫口側から搬入口側への下り傾斜とする。左右の端の栽培コンテナー移動用レール付き高設架台も搬送の省力化のためのものであるが、必要に応じて設置すればよい。
図示した設備以外に、トンネルハウスの外に、6棟から回収した養液及び水を再利用するための種類別(通常は水と3種類の濃度の異なる養液)貯槽、養液原液槽、養液を送るためのミストポンプ、養液管理を行うための肥料管理機、それらの制御機構、CO発生器とCOを各棟に送るための加圧装置などの各種設備を設ける。
図2は、トンネルハウス内のレイアウトの一例を示す図であり、図2(a)は平面図、図2(b)は側面図である。
トンネルハウスの一端を播種済み栽培コンテナーなどの搬入口、他端を作物収穫口とし、附室、設備室(主に暖房設備)、栽培コンテナーの仮置き棚を設けた作業室などを用意する。残りのスペースを栽培室とし、上端部に栽培コンテナー移動用のレールを付設した高設架台を複数連接して設置する。連接は高設架台の支柱を共用することにより行えばよい。作業室内で高設架台に栽培コンテナーを載せたり下したりできるように、高設架台を作業室内まで延長して設けることが好ましい。延長は90cm程度でよい。栽培コンテナーが搬入口側から作物収穫口側へ向かって重力で自動的に移動できるように、レールには下り傾斜を付ける。傾斜を付けるには、何らかの方法で高設架台自体を傾斜させてもよいが、最も簡便なのはトンネルハウス内の地面に傾斜を付ける方法である。傾斜は、通常の場合、1〜1.5%程度でよい。トンネルハウスの地面には防草シート(例えば農業用ポリエチレンシート)を敷いて、雑草や土中の微生物による作物への悪影響をなくす。また、トンネルハウスの妻には換気扇を内向けに取り付け、ダクトを用いて空気を内部に送り、トンネルハウス内の気圧を外部よりもやや高く(5〜10hPa程度)保つことが好ましい。これにより、虫やカビの胞子などの侵入を防止することができる。
栽培室内の温度と湿度は、通常、15〜25℃、60〜80%RH程度に維持する。
図2の例はトンネルハウスの長さが52m、栽培室の長さが40m、高設架台の長さが約41mであり、栽培コンテナーの移動距離を1.8m/日(栽培室を抜ける所要日数は22日)とすると、毎日播種すれば、1日に15パレットが収穫でき、2日毎に播種すれば、2日毎に30パレットが収穫できる。
図3は、本発明で用いるトンネルハウスの一例の栽培室部分を搬入口方向から見た図である。トンネルハウスの骨組みは農業用パイプなど公知のものを利用すればよい。骨組みの上には防虫ネットを被せ、その上に雨よけシートを被せる。図3では、防虫ネット及び雨よけポリオレフィン(PO)シートをビニペットで固定している。しかし、栽培室内の栽培環境を適切に維持するため、電動開閉機構などにより適宜、雨よけシートを巻き上げて通気させることが好ましい。
高設架台は、高さ60〜80cm程度(立ったまま作業できる高さ)、幅60cm程度が好ましい。長さは栽培室の長さに応じて設計する。高設架台の下方空間には、植物の根に養液をミスト噴霧する設備(例えばミスト噴霧口を一定間隔で有する塩ビ製パイプ)を設ける。高設架台の下方空間の開放面は遮光性のビニールシートなどで覆い下方空間を簡易なミスト噴霧室とする。通常は、栽培室内にある部分の開放面(側面及び前後面)のみを覆えばよい。高設架台の底部にはミスト噴霧した養液及び水の余りを回収し循環利用するためのビニールシートなど(図示せず)を設ける。その他に適宜、電照(照明)、気流扇、CO散布パイプなどを設ける。
図4は、ローラー付き栽培コンテナーの一例を示す図であり、図4(a)は平面図、図4(b)は側面図、図4(c)は、戸車アッセンブリーの設計図である。
栽培コンテナーはポリエチレンなどで作製し、移動用のローラーを付設する。この例では四隅に設けている。ローラーとしては、栽培コンテナーがレール上を重力で自動的に移動し易いように摩擦抵抗の少ないものが好ましい。具体例として、図4(c)に示した樹脂製の戸車アッセンブリー(アトムリビングテック社製:ランサー戸車EC型)が挙げられる。
また、栽培コンテナーには、植物の根が底面を通り抜けて下方に向って自由に伸張できるように、底面が網目状になったものを用いるとよい。また、後述するように、栽培コンテナーの網目状底部に不織布などを敷き、培地の流出を防止することが望ましい。栽培コンテナー内に敷き詰める培地の深さは通常3cm程度とする。浅すぎると植物の支持材としての機能を発揮することができないし、ミスト栽培と土耕栽培を組み合わせるメリットがなくなるので好ましくなく、深すぎるとミスト栽培の利点が失われるので好ましくない。しかし、植物の種類や培地の性質によっても変化するので上記の深さに限定されるわけではない。栽培コンテナーの大きさは高設架台との関係で決められるが、通常は幅及び長さが55〜60cm程度、深さが4cm程度とする。
図5は、本発明で用いる専用播種パネルの一例を示す図であり、図5(a)は平面図、図5(b)は正面図、図5(c)は側面図である。
栽培コンテナーの培地への播種は、専用播種パネルを用いて行うとよい。専用播種パネルは、両端に余った種を回収するための種ポケットを設けた支持部材と種穴を多数設けた薄板からなり、種ポケットの内側裏面に、種受けシートホルダー及び栽培コンテナーの内側に入り込む位置決めリブを備えている。支持部材と薄板は厚さ2mm程度のアルミニウム板などで作成し、薄板には強度を高めるため両端に補強リブを設けることが好ましい。
種穴は、通常、径と深さ2mm、ピッチ15〜30mm程度とするが、種の大きさに合わせて適宜変更可能である。但し、各種穴に種が一つづつ入る大きさとする必要がある。図5の例では、1枚の播種パネルに1280粒の播種ができる。
播種するときは、培地を敷き詰めた栽培コンテナーの上に、位置決めリブを用いて専用播種パネルの支持部材を載置し、厚さ1.5mm程度のPET板などからなる種受けシートをホルダーに保持させたのち、種穴を多数設けた薄板を載せる。次いで、自動播種機で播種すると、薄板の下に種受けシートがあるため種穴の深さが一定となり、種は各種穴に一つづつ保持され、余った種は種ポケットに集まる。この状態で種受けシートを引き抜くと、各種穴に保持されていた種が培地に落ちて播種が完了することになる。種ポケットに集まった種は再利用する。
本発明のミスト栽培においても、前記先願発明(特願2005−215808)で改良した点は、適宜採用することが好ましい。以下、主な点について説明する。
<養液ミストの均一噴霧>
図6として液滴の大きさが変ると根の状態が変ることを説明するためのイメージ図を示すが、液滴が大きいと根が水に浸された状態に近くなり常に濡れた状態になるため根の伸張が遅くなると共に、図6(a)のように、側根に付着した養液の重さで側根が垂れ下がり水平方向への生育が妨げられるため、ミスト噴霧室内の根の密度が低くなってしまう。また、伸張した根が壁となり、噴霧ノズルから離れた株の根に養液ミストが十分に供給されず生育障害を起こすことがある。
これに対し、液滴が小さくなり、特に50μm以下の霧状になると、図6(b)のように水平方向への枝分かれが多くなり、枝分かれしたそれぞれの側根から産毛のような毛根が多数発生するので、根が濡れた状態にならないで済むと共に根の伸張も早くなる。また液滴が小さければ、短時間でミスト噴霧室内に充満し、狭い隙間にも侵入するので、ノズルから離れた株の根にも十分に養液が供給されることになる。
表1に液滴の大きさが根及び葉の生育状態に及ぼす影響に関する比較データを示すが、液滴が小さくなるに従い、根の重量及び葉の枚数が顕著に増えることが分る。なお、このデータは、上記先願において、他の栽培条件を同一にして養液ミストの液滴の大きさだけを変え、培地から根が出始めたときから10日間の大葉の状態変化を調べたものであり、表の数値は10株の平均値である。
表1の結果から、液滴はより小さい方が好ましいと推測される。そこで、35μmの場合についても検討したが、35μmにしようとすると、ノズル口径が小さくなるため直ぐにノズル噴出口の目詰まりが発生しメンテナンスが大変になること、給水ポンプの圧力を高くする必要があるため消費電力が増大し栽培コストが高くなること、配管内の圧力が高くなるため樹脂配管が使えず設備コストが高くなることなどから現状では実用的でない。但し、植物の生育の観点からは液滴が小さくなっても問題ないと考えられる。
Figure 2007166956
<養液ミストの噴霧方向の改善>
養液ミストを根の先端部に向けて噴霧する従来の方式では、根が密生する前の隙間がある状態のときには養液ミストが栽培コンテナーの底面に直接当るため、噴霧ノズルの真上の培地が過湿状態となるし、根が密生して密度が高くなったときには、垂れ下がる根に阻まれてミスト噴霧室全体に養液ミストが充満するのに多くの時間がかかり、その結果、ノズルに近い根はずぶ濡れ状態となり、逆にノズルから離れた根には十分に養液ミストが行き渡らないという問題がある。
そこで、噴霧ノズルを栽培コンテナーの底面に近い位置に設ける。このようなノズル配置にして養液ミストを下方に向けて噴霧しても、液滴の大きさが50μm以下であれば短時間でミスト噴霧室全体に養液ミストが充満し、上記従来技術の問題点を克服できる。しかも液滴の根への衝突が穏やかになり、特に空中に繁茂する多数の毛根に対してストレスを与えることなく養分の供給ができるという利点がある。養液ミストが霧状に撒き上がり易くするため、噴霧ノズルは出来るだけ栽培コンテナーの底面に近い位置に設置する。底面から離れるほど霧状に撒き上がらないで液化してしまうため好ましくない。
表2に液滴の大きさと養液ミストがミスト噴霧室に充満する時間の比較データを示す。表2のデータは、上記先願において、他の栽培条件を同一にして、根が十分に伸びて垂れ下がった状態で、養液ミストの液滴の大きさだけを変えて測定したものである。表から、100μmでは充満するのに55秒もかかっていたのが、50μmでは10秒という短時間で充満することが分る。
Figure 2007166956
<ミスト噴霧室の遮光>
上記先願において開示したように、従来のミスト栽培ではミスト室の遮光は全く考慮されていない。しかし、ミスト噴霧室の遮蔽用シートを遮光性にして光が入らないようにすると、根が褐色にならず真っ白となり伸張も旺盛で活力ある根となる。従来法では根が褐変して活力が落ち、根の伸張速度が遅くなり、茎葉の成長も鈍くなってしまう。光が少しでも入ると褐変するため出来るだけ完全に遮光することが望ましい。
また、遮光によりミスト噴霧室の藻類の発生を防止できる。藻類が発生すると、ディスクフィルターの目詰まりが早くなり、メンテナンスに多大の労力と時間がかかるため、藻類の発生を防止できる実用上のメリットは大きい。
<養液ミストの間歇噴霧>
養液ミストの噴霧を連続的に行なわず、適当な休止時間を設けることにより、毛根や葉の生育に明らかな差を生じる。
表3に比較データを示すが、上記先願において、他の栽培条件を同一にして、養液ミストの噴霧時間と休止時間だけを変え、培地から根が出始めたときから10日間の大葉の状態変化を調べたものであり、表の数値は10株の平均値である。なお、表3において「連続」とは、休止なしで連続して噴霧することを意味し、例えば2段目の「噴霧時間1分、休止時間5分」とは、1分の噴霧と5分の休止を繰り返すことを意味する。
表3の結果から、休止時間を設けることにより、生長促進の程度にバラツキはあるものの、連続噴霧に比べて顕著に成長が促進されることが分る。また、噴霧時間は3分よりも1分の方がよく、停止時間は5分よりも10分の方がよい。これらの結果を勘案すると、休止時間に根が乾燥することにより、養液の吸収能力を高めるため毛根の発生が活発になり、植物の成長が促進されると考えられる。即ち、噴霧時間と停止時間は、必要な養液の供給量及び根の乾燥に必要な時間を考慮して決定すればよいことになる。
Figure 2007166956
<培地の流出防止>
灌水や養液の水分により栽培コンテナーの底部の網目から培地が流れ出し、循環する養液に混入して噴霧ノズルが閉塞されるのを防止するため、栽培コンテナーの底部に不織布やネットを敷くなどの工夫を施すことが望ましい。
不織布は目開きの融通性が高いので、根が成長して太くなっても自在に対応可能であり、目合いを変えることができないネットよりも優れている。また、ネットに比べて培地の流出度合いも大幅に低下するので、液肥の濾過部(ディスクフィルター)のメンテナンス回数も少なくできる。更に、不織布の適度な吸水性により培地の底面から液肥が浸透し培地内の環境が良くなるし、ミスト噴霧室の乾燥を防ぐことができるので、噴霧間隔の調節が容易になるという利点もある。
不織布としては、耐水性が高く目開きが適当で且つ根の成長に合わせて容易に隙間が広がる特性を有するものが好ましい。目開き0.5〜1mm程度、厚さ5〜10mm程度のものが好ましく用いられる。具体例としては、ポリエステル繊維からなる住友スリーエム社製のコレトンが挙げられる。
ネットとしては防虫ネットなどを利用すればよいが、環境に配慮して、トウモロコシのデンプンから得られる乳酸を利用して作られる生分解性「ポリ乳酸繊維」(例えば、鐘紡製:ラクトロン、ユニチカ製:テラマック、クラレ製:プラスターチ)で作製されたものを用いることが好ましい。ネットの目合いは培地に合わせて適宜選択すればよいが、通常は0.8〜1.0mm程度とする。
養液循環経路には沈殿槽(流速5m/分)を設け、併せて精度の高い濾過器であるディスクフィルター(25μm)も装備し、養液貯槽にシルトが戻らないような対策を講じることが望ましい。ディスクフィルターを用いるとノズルの目詰まりを顕著に減少させることができるからである。その際に不織布とネットで大きな差が生じる。
不織布(住友スリーエム社製のコレトン:厚さ7mmのCW−15型)を敷いた場合と、目合い1mmの生分解性「ポリ乳酸繊維」(鐘紡製:ラクトロン)ネットを張った場合を比較すると、不織布ではメンテナンス回数(ディスクフィルターの交換回数)を約半分にすることができる。
<アミノ酸入り総合液肥(養液)の開発>
魚屑を原料として作られるアミノ酸液肥は色々な種類のものが発売されているが、総合肥料(N・P・K・Ca・Mg・他微量要素)にアミノ酸を配合した液肥(アミノ酸入り総合液肥)は無い。何故ならば、有機物とCaを一緒にすると結合し析出してしまうからである。その結果、化学肥料のみを用いることになり、作物本来の味や香りが出ないため水耕栽培の作物は何となく呆けた味で風味が無く偽物感の高いものとなっている。しかし味や香りの問題を解決するため液肥にアミノ酸を添加すると、濃厚原液では微生物汚染は生じないが、施用濃度に希釈すると直ちに微生物に汚染される。従って、抗菌システムを組み込んでいない養液システムでは、液肥にアミノ酸を添加することは出来ず葉面散布に止まっているのが現状であり、液肥メーカーもアミノ酸入り総合液肥は作っていない。
そこで、上記先願では、アミノ酸入り総合液肥の作成方法について検討し、Caを含まないアミノ酸入り有機液肥とCa複合液肥とを別々に作成し、使用時に両者を適当な割合(有機液肥:Ca複合液肥=2:1程度)で混合希釈して用いる方法を開発した。
ここで、アミノ酸入り有機液肥とは、魚などを主原料として、硝酸態窒素、水溶性リン酸、カリの他、必要な微量要素を加えたものであり、Ca複合液肥は、Ca液肥に、Mg、Mn、B、Cu、Znなどを適量混合したものである。
<培地の改良>
培地として、通常の土耕栽培に用いる土に対し、腐植(完熟堆肥)に生育活性を補完するキチン・キトサンや塩基置換容量を高めるゼオライトなどを配合して無菌化処理を施したものを用いると、保水性や透水性(通気性)が大幅に改善され、穏やかな肥効も備わり、特に生育初期の作物の培地として理想的であり、幼樹の生育が一層力強くなる。腐植(完熟堆肥)とキチン・キトサンとゼオライトの配合比(容量比)は、50〜60%:100倍水溶液で5〜6%:10〜15%程度が好ましい。これに土を加えて全体で100%とする。なお、培地の無菌化処理は、90〜100℃程度の高温水蒸気を用いて無菌化する方法などにより行えばよい。また、培地は1作毎に加熱消毒して無菌化し、完全リサイクルを行うことが好ましい。
本発明によれば、収穫作業の省力化が可能で、連作障害を起こさず、安定な品質と収量を確保でき、無農薬で栽培できる上に、輸送コストがかからない、ベビーリーフのミスト栽培法を提供できる。
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
実施例1
図1〜図5に概要を示したような栽培施設を用いてグリーンマスタードを栽培した。
図1のように、20アール(60m×33.3m)の圃場に6棟のトンネルハウスを並列に設置し、中央部に栽培コンテナー移動用のレール付き高設架台(材質は後述するものと同じ)を設けた。該高設架台のレールに作物収穫口側から搬入口側への下り傾斜を付けるため、トンネルハウスの地面に約1%の傾斜を付けて整地した。また、トンネルハウスの地面には農業用ポリエチレンシートを敷いた。
栽培室内の温度と湿度は、15〜25℃、60〜80%RHの範囲に維持した。
トンネルハウスの骨組みは農業用の亜鉛メッキ鋼管(径25mm)を利用し、大きさは、長さ52m、幅3.6m、高さ2.1mとした。トンネルハウスの中には、図2に示すように、搬入口側から順に、附室、暖房機と電照などの制御盤を設置した設備室、栽培コンテナーの仮置き棚を設けた作業室、栽培室(40m)、栽培コンテナーの仮置き棚を設けた作業室、附室を設けた。栽培室には、1棟当り415個、6棟で2490個の栽培コンテナーを収容した。また、栽培室と作業室の境目は、栽培コンテナーの出し入れ作業用の穴(縦15cm、横3.2m)を開けた防虫ネットで遮断し、出し入れの時以外はポリオレフィンシートで穴を塞ぐようにした。更に、図3に示すように、骨組みの上に防虫ネットを被せ、その上に雨よけ用のポリオレフィンシートをビニペットで固定した。
トンネルハウスの外には、6棟から回収した養液及び水を再利用するための貯槽を、種類別(水と3種類の濃度の異なる養液)に4槽設けた。また、養液原液槽を3槽(アミノ酸入り有機液肥、Ca複合液肥、pH調整用の酸液)設け、水及び濃度調整した養液を、適切な時期にミストポンプ2台(荏原製 多段高圧ポンプ 40VDP2057.5)を用いて送った。送る液の切り替えは手動バルブを用いて行った。なお、安全のためにバックアップポンプを用意した。また、市販の肥料管理機(セムコーポレーション、らくらく肥料管理機)を3台用いて、後述するブロック毎に養液管理を行った。ミスト噴霧は吸入サイドも電磁弁で切り替えて濃度の異なる養液を噴霧できるようにした。更に、CO発生器(松下ナベック製、NK−CO3)とCOを加圧して各棟に送るためのリングブロワー(日立製、VB−040)を設けた。
レール付き高設架台は亜鉛メッキした鉄製で、高さ60cm、幅60cm、長さ42mとした。レールは鉄製で、高設架台の両端上部に付設した。
高設架台の下方空間には、ミスト噴霧口(ヤマホ社製の微量ノズル)を1m間隔で有する塩ビ製パイプを設け、水又は養液ミストの液滴の大きさを50μmとした。水及び養液ミストの噴霧は、1分噴霧、10分休止の繰り返しとした。連接した高設架台の栽培室内にある部分の側面及び前後面は遮光性のシート(ミカド化工社製の銀・黒ダブルマルチシート)で覆った。高設架台の底部にはミスト噴霧した水及び養液の余りを回収し循環利用するためビニールシートを設けた。更に、上方のミスト噴霧設備よりも上に、電照(照明)を約6m間隔で、気流扇を約20m間隔で設け、CO散布用パイプ(CO放出用の穴を有する直径50mmの塩ビ管)も付設した。
栽培コンテナーはポリエチレン製で、四隅に移動用のローラーを付設した。ローラーにはアトムリビングテック社製:ランサー戸車 EC型〔図4(c)参照〕を用いた。大きさは縦・横55cm、深さ3cmとし、網目状の底には不織布(住友スリーエム社製のコレトン:厚さ7mmのCW−15型)を敷いた。培地には、腐植(完熟堆肥):キチン・キトサン:ゼオライト=55%:100倍水溶液で5%:12%(容量比)の配合物に土を加えて100%としたものを、95℃の高温水蒸気で無菌化処理して用いた。
上記のような設備を用いて、次のような手順で栽培した。
図5に示した播種パネルを用いて1280粒の種を播種した栽培コンテナーを、栽培室の5列のレール付き高設架台上に、各列につき、2日毎に6個のペースで載せた。
栽培室は、発芽ブロック、育苗ブロック、育成ブロックA、育成ブロックBの4ブロック(4段階)に分け、発芽ブロックでは水をミスト噴霧し、発芽後の3ブロックでは、それぞれ生育状況に合わせて濃度の異なる養液(育苗ブロック:EC0.8、育成ブロックA:EC1.4、育成ブロックB:EC1.8)をミスト噴霧した。
COの施用は午前6時から午前10時までの間とし、施用濃度は1000〜1500ppmの間で制御した。
栽培コンテナーをレール付き高設架台上に載せた日から22日経過する毎に(即ち2日毎に)、栽培室の出口で30個の栽培コンテナーを回収した。
1年間の栽培結果は次の表4に示すとおりである。
Figure 2007166956
実施例2
トンネルハウスの妻に換気扇を内向けに取り付け、ダクトを用いて空気を内部に送り、トンネルハウス内の気圧を外部よりも5〜10hPa高くした(陽圧にした)点以外は、実施例1と同様にして栽培を行った。
栽培室内を陽圧にすることで、微少害虫(アブラムシ類、アザミウマ類、コナガ等)の食害が少なくなった。陽圧対策を講じない実施例1では1ハウス当たり、数十株で食害が確認されたが陽圧対策後の食害は数株に止まった。
実施例3
トンネルハウスの出入口(=附室の出入口)、設備室の出入口、作業室の出入口、栽培室の出入口を連係させ、インターロック方式で各出入口の開閉を制御した点以外は、実施例1と同様にして栽培を行った。
その結果、出入り口の通し解放を行わなくなったことにより、比較的大型の害虫(ヨトウガ、アオムシ、ダイコンハムシ等)の被害も発生しなくなった。
比較例1
本発明のミスト栽培法(実施例1)と従来法との比較結果を次の表5に示す。
表中のハウス土耕は従来から行われている20アールの大規模なビニールハウスを用いた場合、水耕栽培は従来から広く行われている水耕栽培を用いた場合の結果である。
表から、本発明の方法では、従来法に比べて、1クールの日数を2倍以上にすることができ、作業者数は1/2〜1/3程度で済み、収穫量は3〜4倍に増えることが分る。
Figure 2007166956
20アールの圃場にトンネルハウスを設置する場合のレイアウトの一例を示す図。 トンネルハウス内のレイアウトの一例を示す図。(a)平面図、(b)側面図。 本発明で用いるトンネルハウスの一例の栽培室部分を搬入口方向から見た図。 ローラー付き栽培コンテナーの一例を示す図。(a)平面図、(b)側面図、(c)戸車アッセンブリーの設計図。 本発明で用いる専用播種パネルの一例を示す図。(a)平面図、(b)正面図、(c)側面図。 液滴ミストの大きさと根の状態との関係を説明するイメージ図。(a)液滴が大きい場合、(b)液滴が小さい場合。

Claims (6)

  1. トンネルハウスの地面に防草シートを敷き、端部の一方を搬入口、他方を作物収穫口とし、トンネルハウス内の一部を仕切って栽培室とし、ローラー付き栽培コンテナー(以下、栽培コンテナーという)の出し入れの時以外は栽培室を遮蔽し、レール付き高設架台上に播種済み栽培コンテナーを載せ、レールには、栽培コンテナーが搬入口側から作物収穫口側へ重力で自動的に移動できるように下り傾斜を付け、栽培コンテナーには、植物の根が下方に向かって自由に伸張可能な底面を有するものを用い、底面に培地の流出防止処理を施した上で培養土を含有する無菌化処理した培地を敷き詰め、レール付き高設架台の下方空間の開放面を遮光可能な素材で覆ってミスト噴霧室とし、ミスト噴霧室の上方から下方に向って、液滴の大きさが50μm以下の水及び養液ミストを間歇的に(連続的でなく休止時間を設けて)噴霧し、生育ステージに合わせて有機養液の成分濃度を調整すると共に、植物にCOを施用することを特徴とするベビーリーフの噴霧水耕栽培法。
  2. 栽培室と隣接する部屋との境目を、栽培室への栽培コンテナーの出し入れに必要な大きさの出入口(作業用の穴)を開けた防虫ネットで遮断し、該出し入れの時以外は、出入口を遮蔽膜で塞いでおくことを特徴とする請求項1記載のベビーリーフの噴霧水耕栽培法。
  3. トンネルハウスの出入口及びトンネルハウス内の各部屋の出入口を連係させ、一つの出入口を閉じないと他の出入口が開かないインターロック方式で各出入口の開閉を制御することを特徴とする請求項1又は2記載のベビーリーフの噴霧水耕栽培法。
  4. トンネルハウスの妻に換気扇を内向けに取り付け、空気を取り込んでトンネルハウス内の気圧を外部よりも高くすることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のベビーリーフの噴霧水耕栽培法。
  5. 培地への播種に際し、両端に余った種を回収するための種ポケットを設けた支持部材と種穴を多数設けた薄板からなり、種ポケットの内側裏面に、種受けシートホルダー及び栽培コンテナーの内側に入り込む位置決めリブを備えた専用播種パネルを用いることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載のベビーリーフの噴霧水耕栽培法。
  6. 栽培コンテナーの底を網目状として不織布を敷き、その上に培地を敷き詰めることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載のベビーリーフの噴霧水耕栽培法。
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