JP2007165572A - 磁気検出素子 - Google Patents

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拓哉 清野
Naoya Hasegawa
直也 長谷川
Eiji Umetsu
英治 梅津
Kazusato Igarashi
一聡 五十嵐
Akira Nakabayashi
亮 中林
Kazumi Matsuzaka
和美 松坂
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Abstract

【課題】 磁気抵抗変化率(ΔR/R)の増大とともに、フリー磁性層に及ぼされるカップリング結合磁界(Hin)の低下を図ることができる磁気検出素子を提供する。
【解決手段】 フリー磁性層1上にCoFeの酸化物層16が形成され、前記酸化物層16上には保護層18が形成されている。前記保護層18は、酸化Al層19上に酸化Ta層20が形成された積層構造である。これによりスペキュラー効果が適切に発揮され、抵抗変化率(ΔR/R)を適切に向上させることが出来るとともに、フリー磁性層1に及ぼされるカップリング結合磁界(Hin)を小さくでき、安定した再生特性を得ることが可能である。
【選択図】 図1

Description

本発明は、ハードディスク装置などに搭載される再生用の磁気検出素子に係り、特に磁気抵抗変化率(ΔR/R)の増大を図るとともにフリー磁性層に及ぼされるカップリング結合磁界(Hin)を低減することができる磁気検出素子に関する。
以下に示す特許文献1には、再生用の磁気検出素子が開示されている。この特許文献1には、磁気検出素子の製造工程中での酸化工程において、フリー磁性層(自由層)を構成するCoFeの酸化物が形成され、このCoFeの酸化物が鏡面反射層として機能することが記載されている。
そして、この鏡面反射層の存在によって伝導電子の平均自由行程が増大し、磁気抵抗変化率(ΔR/R)を増大できることが開示されている。
また、前記特許文献1には、前記磁気検出素子に形成された反射層に接するようにして前記反射層の上に、酸化Ta、RuまたはNiFeCrで形成されたキャッピング層が形成される旨が記載されている。
特開2002−076474号公報
しかし、前記特許文献1に記載された前記磁気検出素子では、鏡面反射層として機能する酸化物層の上に酸化Ta、RuまたはNiFeCrで形成されたキャッピング層を形成したのみでは、酸化物層の鏡面反射層としての機能(以下、スペキュラー効果と言う)を十分に発揮することができないため、磁気抵抗変化率(ΔR/R)の増大を効果的に図ることができなかった。
また、フリー磁性層に及ぼされるカップリング結合磁界(Hin)は出来る限り小さいほうがアシンメトリーの増大を抑制し再生特性の安定性を得る上で好ましい。
しかし従来のように、前記鏡面反射層の上に酸化Taを形成した場合、磁気抵抗変化率(ΔR/R)を比較的大きな値にすることが可能な膜厚にて前記酸化Taを形成すると、逆に、前記カップリング結合磁界(Hin)が非常に大きくなるといった問題があった。
そこで本発明は前記従来の課題を解決するものであり、磁気抵抗変化率(ΔR/R)の増大を図るとともにフリー磁性層に及ぼされるカップリング結合磁界(Hin)を低減することができる磁気検出素子を提供することを目的とする。
本発明は、下から固定磁性層、非磁性材料層及びフリー磁性層の順に積層され、
前記フリー磁性層上に磁性材料が酸化された酸化物層が形成され、
前記酸化物層上には保護層が形成され、前記保護層の少なくとも一部は、酸化Al層、あるいは酸化Ti層、又は酸化Cr層上に酸化Ta層を有する構造より形成されることを特徴とするものである。
上記により、スペキュラー効果が適切に発揮され、抵抗変化率(ΔR/R)を適切に向上させることが出来るとともに、フリー磁性層に及ぼされるカップリング結合磁界(Hin)を小さくでき、安定した再生特性を得ることが可能である。
特に前記保護層として酸化Al層を用いる場合、前記酸化Al層を薄い膜厚で形成しても、抵抗変化率(ΔR/R)の増大とカップリング結合磁界(Hin)の低減を両立させることが可能であるが、薄い膜厚の酸化Al層では、薄膜磁気ヘッドの製造過程中で行われる様々な工程により、ダメージを受けやすい。例えば、酸化Al層はアルカリ性に弱い等である。
したがって、前記保護層は、前記酸化Al層上に酸化Ta層を有する構造で形成されることが好ましい。これにより、薄膜磁気ヘッドの製造過程中で行われる様々な工程後でも、高い抵抗変化率(ΔR/R)を維持することが可能である。
また本発明では、前記磁性材料の酸化物層は、CoFe合金の酸化物層で形成されることが好ましい。これにより効果的に、抵抗変化率(ΔR/R)を向上させることが出来るとともに、フリー磁性層に及ぼされるカップリング結合磁界(Hin)を小さくでき、安定した再生特性を得ることが可能である。
本発明の磁気検出素子では、フリー磁性層上に磁性材料の酸化物層が形成され、
前記酸化物層上には保護層が形成され、前記保護層の少なくとも一部は、酸化Al層、あるいは酸化Ti層、又は酸化Cr層上に酸化Ta層を有する構造より形成される。
これにより、スペキュラー効果が適切に発揮され、抵抗変化率(ΔR/R)を適切に向上させることが出来るとともに、フリー磁性層に及ぼされるカップリング結合磁界(Hin)を小さくでき、安定した再生特性を得ることが可能である。
図1は、本発明の第1の実施形態の全体構造を記録媒体との対向面側から見た断面図である。なお、図1ではX1−X2方向に延びる素子の中央部分のみを破断して示している。図1に示す磁気検出素子A1は、スピンバルブ型磁気抵抗効果素子と呼ばれるものであり、ハードディスク装置に設けられた浮上式スライダのトレーリング側端部などに設けられて、ハードディスクなどの記録磁界を検出するものである。なお、ハードディスクなどの磁気記録媒体の移動方向は図示Z方向であり、磁気記録媒体からの漏れ磁界の方向はY方向である。
図1の最も下に形成されているのはTa,Hf,Nb,Zr,Ti,Mo,Wのうち1種または2種以上の元素などの非磁性材料で形成された下地層6である。なお、前記下地層6は形成されていなくても良い。
前記下地層6の上には、シードレイヤ22が形成されている。前記シードレイヤ22を形成することで、前記シードレイヤ22上に形成される各層の膜面と平行な方向における結晶粒径を大きくでき、耐エレクトロマイグレーションの向上に代表される通電信頼性の向上や磁気抵抗変化率(ΔR/R)の向上などをより適切に図ることができる。
前記シードレイヤ22はNiFeCr合金やCrなどで形成される。
前記シードレイヤ22の上に形成された反強磁性層4は、元素X(ただしXは、Pt,Pd,Ir,Rh,Ru,Osのうち1種または2種以上の元素である)とMnとを含有する反強磁性材料で形成されることが好ましい。
これら白金族元素を用いたX−Mn合金は、耐食性に優れ、またブロッキング温度も高く、さらに交換結合磁界(Hex)を大きくできるなど反強磁性材料として優れた特性を有している。特に白金族元素のうちPtやIrを用いることが好ましく、例えば二元系で形成されたPtMn合金やIrMn合金を使用することができる。
また本発明では、前記反強磁性層4は、元素Xと元素X′(ただし元素X′は、Ne,Ar,Kr,Xe,Be,B,C,N,Mg,Al,Si,P,Ti,V,Cr,Fe,Co,Ni,Cu,Zn,Ga,Ge,Zr,Nb,Mo,Ag,Cd,Sn,Hf,Ta,W,Re,Au,Pb、及び希土類元素のうち1種または2種以上の元素である)とMnとを含有する反強磁性材料で形成されてもよい。
前記反強磁性層4の上に形成されている固定磁性層3は、前記反強磁性層4との界面4aと接する第1の磁性層13、および前記第1の磁性層13上に非磁性中間層12を介して形成された第2の磁性層11とで構成された、積層フェリピンド構造として構成されている。
前記固定磁性層3の上には非磁性材料層2が形成されている。前記非磁性材料層2は、例えばCuで形成されている。
さらに前記非磁性材料層2の上にはフリー磁性層1が形成される。図1に示す実施形態では、前記フリー磁性層1は第1の層14と、前記第1の層14の上に形成された第2の層15の2層構造で形成されている。前記第1の層14は例えばCoFeなどの磁性材料で形成され、前記第2の層1bは例えばNiFeなどの磁性材料で形成することができる。ただし、前記フリー磁性層1が1層構造で形成されていても良い。
前記フリー磁性層1の上には、磁性材料の酸化物層16が形成されている。この酸化物層16は、磁気抵抗変化に寄与する伝導電子の平均自由行程を増大させるための鏡面反射層(スペキュラー層)としての機能を有するものである。なお、前記酸化物層16は、磁性材料層が自然酸化されたもの、あるいはプラズマ酸化などの自然酸化以外の方法で酸化されたものである。
前記酸化物層16は、CoFeなどが酸化された酸化物層で形成される。本実施形態では、前記酸化物層16はCoFeの酸化物層で形成されることが好ましい。前記酸化物層16の膜厚が厚くなりすぎると磁歪λsが大きくなりすぎ好ましくない。また前記酸化物層16の膜厚が薄くなりすぎると抵抗変化率(ΔR/R)が低下し、また前記フリー磁性層の磁気的膜厚(Ms・t)が小さくなるため好ましくない。よって前記酸化物層16の膜厚を所定膜厚の範囲内(CoFeを1〜5Åの膜厚で成膜し、その後自然酸化させる)とすると、磁気抵抗変化率(ΔR/R)と前記フリー磁性層1の磁気的膜厚(Ms・t)を大きくできるとともに、前記フリー磁性層1の磁歪λsを小さくすることができる。
前記酸化物層16の上に、保護層18が形成されている。
図1に示す実施形態では、前記保護層18は2層構造である。前記保護層18の下層19は、酸化Al層(以下、酸化Al層19と言う)で形成され、前記保護層18の上層20は、酸化Ta層(以下、酸化Ta層20と言う)で形成される。なお本実施形態では前記保護層18の材質や層構造は上記のものに限定されず、具体的な他の構造については後述する。
図1に示す磁気検出素子A1では、前記下地層6から保護層18までの積層膜のトラック幅方向図示X1−X2方向)の両側に、ハードバイアス層5,5及び電極層8,8が形成されている。
前記ハードバイアス層5,5は、例えばCo−Pt(コバルト−白金)合金やCo−Cr−Pt(コバルト−クロム−白金)合金などで形成されており、電極層8,8は、α−Ta、Au、Ru、Rh、Cr、Cu(銅)やW(タングステン)などで形成されている。
図1に示す磁気検出素子A1では、前記固定磁性層3の磁化は、前記反強磁性層4との間で発生する交換結合磁界によってハイト方向(図示Y2方向)に固定されている。
一方、前記フリー磁性層1は、ハードバイアス層5,5から供給される縦バイアス磁界により、トラック幅方向の図示右方向(図示X2方向)に、外部磁界に対し磁化回転できる程度に弱く単磁区化された状態にある。
固定磁性層3の固定磁化方向と外部磁界の影響を受けるフリー磁性層1の磁化の方向との関係で、前記電極層8,8間に流れる電気抵抗が変化し、この電気抵抗値の変化に基づく電圧変化により、記録媒体からの外部信号が再生される。図1に示す磁気検出素子1では、前記フリー磁性層1の膜面に対して水平方向にセンス電流が流されるCIP−GMR型の磁気検出素子となっている。
図1に示す磁気検出素子A1では、前記フリー磁性層1の上にCoFeの酸化物層16が形成され、前記酸化物層16の上に前記酸化Al層19が形成され、さらに前記酸化Al層19の上に酸化Ta層20が形成されている。
これにより、前記酸化物層16の鏡面反射層としてのスペキュラー効果が効果的に発揮され、これにより、適切に、磁気抵抗変化率(ΔR/R)を大きくできる。さらに本実施形態では、フリー磁性層1上の膜構成を上記のようにすることで、前記フリー磁性層1に及ぼされるカップリング結合磁界(Hin)を小さくすることが可能である。これは、前記フリー磁性層1の酸化が適切に防止されているためであると考えられる。よってアシンメトリーの増大を抑制でき、安定した再生特性を得ることが可能である。さらに前記フリー磁性層1の磁気的膜厚(Ms・t)を所定範囲内に適切に維持することが可能である。すなわち磁気的膜厚は、フリー磁性層1を構成する材質そのものが有する飽和磁化(Ms)と前記フリー磁性層1を形成したときの膜厚(t)によって決定されるが、本実施形態では、特に前記フリー磁性層1への酸化を抑制できるため、磁気的膜厚(Ms・t)を所定の範囲内に、諸工程後においても、適切に維持することができる。
本実施形態では前記保護層18は酸化Al層の単層構造でも良い。ただし前記酸化Al層19は薄膜磁気ヘッドの製造過程で行われる様々な工程によりダメージを受け、その影響が酸化物層16やフリー磁性層1にまで及ぶためか、複数工程後、抵抗変化率(ΔR/R)が低下することがわかっている。よって前記酸化Al層19のダメージを抑制すべく、図1に示す実施形態では前記酸化Al層19上に酸化Ta層20を設けている。これにより、薄膜磁気ヘッドの製造の様々な工程に曝されても、前記酸化Al層19のダメージを適切に抑制でき、前記抵抗変化率(ΔR/R)を高い値に維持できる。
本実施形態では、前記酸化Al層19に代えて酸化Cr層を、前記保護層18の下層19として設けてもよい。すなわち前記保護層18は酸化Cr層と酸化Ta層20の積層構造で形成される。これによっても、抵抗変化率(ΔR/R)を適切に向上させることが出来るとともに、カップリング結合磁界(Hin)の低減を図ることが可能である。また前記フリー磁性層1の磁気的膜厚の変動を小さくでき、安定して所定範囲内の磁気的膜厚を得ることが出来る。さらに、薄膜磁気ヘッドの製造過程での様々な工程に曝されても抵抗変化率(ΔR/R)を高い値に維持することが出来る。
また、図2に示すように、保護層28は図1と違って単層構造で形成され、このとき前記保護層28は酸化Ti層で形成されることが好ましい。これにより、抵抗変化率(ΔR/R)を適切に向上させることが出来るともに、前記カップリング結合磁界(Hin)を小さくすることができる。また前記フリー磁性層1の磁気的膜厚の変動を小さくでき、安定して所定範囲内の磁気的膜厚を得ることが出来る。さらに前記酸化Ti層は単層構造であっても、薄膜磁気ヘッドの製造過程での様々な工程に曝されても抵抗変化率(ΔR/R)を高い値に維持することが出来る。
また、図1では、前記保護層18は前記酸化Al層19と前記酸化Ta層20の2層構造であると説明したが、前記酸化Al層19は前記酸化物層16上に最初Al層が所定膜厚で形成され、その後、酸化されて成るものである。このとき前記Al層全体が酸化されず、一部Al層が保護層18内に残ってもよい。同様に、酸化Ta層20は、前記酸化Al層19上に最初、Ta層が所定膜厚で形成され、その後、酸化されて成るものである。このとき前記Ta層全体が酸化されず、一部Ta層が保護層18内に残ってもよい。また、上記した酸化Cr層と酸化Ta層20の積層構造の場合も同様であり、一部に酸化されないCr層、Ta層が残存してもよい。また図2の酸化Ti層で形成された保護層28にも、一部酸化されないTi層が残存してもよい。ただし、好ましい構成としては、成膜されたAl層、Ta層、Cr層及びTi層は全酸化されることである。これにより、より効果的にスペキュラー効果を発揮させることが可能である。
また前記酸化物層16は、最初、CoFeの磁性層でスパッタ等で形成され、その後、例えば自然酸化等により酸化されて成るが、酸化物層16の下側に酸化しきれていないCoFe合金層がわずかばかり残存していてもよい。ただし前記磁性層は全酸化されることがより好ましい。
本実施形態における磁気検出素子の製造方法について説明する。まず、下地層6、シードレイヤ22、反強磁性層4、固定磁性層3、非磁性材料層2、及びフリー磁性層1までをスパッタ法等に積層形成した後、前記フリー磁性層1上にCoFe合金層をスパッタ法等で形成する。そして前記CoFe合金層を酸化して酸化物層16を形成する。酸化方法には、自然酸化、プラズマ酸化など既存の酸化方法を用いることが可能である。本実施形態では、前記CoFe合金層を1〜5Å程度で成膜し、その後、前記CoFe合金層を酸化させることが好ましい。前記CoFe合金を上記程度の膜厚で形成すれば、自然酸化(大気暴露)により、前記CoFe合金層を全酸化させることが出来る。また前記フリー磁性層1上にはCoFeの酸化物層16が形成されていることで前記フリー磁性層1の酸化を適切に抑制できる。
次に前記酸化物層16上にAlを所定膜厚でスパッタ成膜し、Al層を上記手法により酸化して酸化Al層19を形成し、次に前記酸化Al層19上にTaを所定膜厚でスパッタ成膜し、Ta層を上記手法により酸化して酸化Ta層20を形成する。本実施形態では、前記Al層を4〜8Åで成膜した後、前記Al層を酸化し、また、前記Ta層を4〜10Åで成膜した後、前記Ta層を酸化することが好ましい。前記Al層及び前記Ta層を上記程度の膜厚で形成すれば、自然酸化(大気暴露)により、前記Al層及び前記Ta層を全酸化させることが出来る。後述する実験によれば、高い抵抗変化率(ΔR/R)と小さいカップリング結合磁界(Hin)を得ることが可能な磁気検出素子を容易に製造することが出来る。あるいは前記Al層とTa層を連続して成膜した後、前記Al層とTa層とを一度に酸化処理してもよい。またはCoFe合金層、Al層及びTa層を連続して成膜した後、一度にこれら層を酸化処理する。
下地層6から保護層18までの積層体を図1に示す形態に加工処理した後、前記積層体のトラック幅(X1−X2方向)の両側にハードバイアス層5,5及び電極層8,8を積層する。前記ハードバイアス層5,5から前記フリー磁性層1にバイアス磁界が供給され、前記フリー磁性層1は、トラック幅方向と平行な方向に磁化される。このとき、フリー磁性層1の磁気的膜厚が所定値よりも小さくなると、バイアス磁界が強くききすぎて、フリー磁性層1の外部磁界に対する感度が低下しやすいが、本実施形態では前記フリー磁性層1を所定の磁気的膜厚で形成できるから、前記フリー磁性層1をバイアス磁界により適切に磁化でき、前記フリー磁性層1の外部磁界に対する感度を良好にすることができ、再生特性の安定性を図ることが可能である。
前記フリー磁性層1の形成後、Cr層を所定膜厚(2〜5Åが好ましい)で成膜し、前記Cr層を酸化して酸化Cr層を形成し、次に前記酸化Cr層上に、Ta層を所定膜厚(5〜12Åが好ましい)で成膜し、前記Ta層を酸化して酸化Ta層20を形成してもよい。前記Cr層及び前記Ta層を上記程度の膜厚で形成すれば、自然酸化(大気暴露)により、前記Cr層及び前記Ta層を全酸化させることが出来る。あるいは図2に示す実施形態のように前記フリー磁性層1の形成後、Ti層を所定膜厚(14〜18Åが好ましい)で成膜し、前記Ti層を酸化して酸化Ti層を形成してもよい。前記Ti層を上記程度の膜厚で形成すれば、自然酸化(大気暴露)により、前記Ti層を全酸化させることが出来る。
図3は、図1または図2に示す構造の磁気検出素子について、前記酸化物層16としてCoFeの酸化物を用い、保護層及びCoFeに対する酸化強度(kL)と磁気抵抗変化率(ΔR/R)との関係を示したグラフ、図4は、図1または図2に示す構造の磁気検出素子について、前記酸化物層16としてCoFeを用い、CoFe及び保護層に対する酸化強度(kL)と、前記フリー磁性層1の磁気的膜厚(Ms・t)との関係を示したグラフである。
図3および図4に示す測定に用いた磁気検出素子の膜構成は下から、シードレイヤ:NiFeCr(42Å)/反強磁性層:IrMn(55Å)/固定磁性層[Co70Fe30(14Å)/Ru(9.1Å)/CoFe(22Å)]/非磁性材料層:Cu(18Å)/フリー磁性層:[CoFe(12Å)/NiFe(15Å)]/CoFe(3Å)/保護層、である。なおフリー磁性層上に3ÅのCoFe合金を成膜した後、前記CoFe合金を酸化した。そしてCoFeの酸化物層上に、図3,図4に示す保護層を成膜した。なお、図3,図4に示す「NO」とはCoFeが酸化されたことを表している。
また、比較例1では保護層としてTa(16Å)、比較例2では保護層としてTa(16Å)、実施例1では保護層としてAl(6Å)、実施例2では保護層としてTi(16Å)、実施例3では保護層としてCr(3Å)/Ta(9Å)を成膜しているが、これらは全て成膜後、酸化されている。
図3に示すように、比較例1,比較例2での抵抗変化率(ΔR/R)は実施例に比べて低くなった。また比較例2は、磁気抵抗変化率(ΔR/R)が実施例1ないし3に比較して小さくなるとともに、CoFeが形成されている比較例1よりも小さいことが判る。したがって、CoFeの酸化物層をフリー磁性層上に形成した方が、磁気抵抗変化率(ΔR/R)を効果的に大きくできることが判った。
次に図4に示すように、特に、比較例2のフリー磁性層の磁気的膜厚は、他の試料に比べて低下することがわかった。これは比較例2では、フリー磁性層上にCoFeの酸化物層が設けられていないために前記フリー磁性層の酸化が他の試料に比べて進行しているためであると考えられる。
次に図3,図4の実験で用いた膜構成と同様の膜構成から成る磁気検出素子を製作した。実験に使用した比較例3はフリー磁性層上にTaを成膜したものであり、Ta層は成膜後、酸化されている。実験に使用した比較例4は、フリー磁性層上にCoFeを3Å成膜し、その後、前記CoFeを酸化し、CoFeの酸化物層上にCrを成膜したものである。Cr層は成膜後、酸化されている。実施例1〜実施例3,比較例1は、図3,図4の実験に使用したものと同じ膜構成である。
実験では、Ta(比較例1,3、実施例3)、Cr(比較例4)、Al(実施例1)、及びTi(実施例2)の膜厚を変化させ、前記膜厚と抵抗変化率(ΔR/R)(図5)、前記膜厚とフリー磁性層に及ぼされるカップリング結合磁界(Hin)(図6)及び前記膜厚とフリー磁性層の磁気的膜厚(図7)との関係を調べた。なお横軸の膜厚は、Ta(比較例3、実施例3)、Cr(比較例4)、Al(実施例1)、及びTi(実施例2)の成膜時の膜厚である。
図5、図6に示すように、保護層をAlで成膜(成膜後、酸化されて酸化Al層)した実施例1では、Alの成膜膜厚が薄くなっても、磁気抵抗変化率(ΔR/R)を大きくできるとともにカップリング結合磁界(Hin)を小さくできることが判った。Al層の膜厚を4〜8Åの範囲内で成膜すると、抵抗変化率(ΔR/R)を効果的に大きくできるとともにカップリング結合磁界(Hin)を効果的に小さくできることがわかった。また膜厚の上記範囲内では、フリー磁性層の磁気的膜厚の変動も小さく抑えることができることがわかった(図7)。
また図5,図6に示すように、前記保護層をCrのみで成膜(成膜後、酸化されて酸化Cr層)した比較例4は、磁気抵抗変化率(ΔR/R)が非常に小さく、またカップリング結合磁界(Hin)が非常に大きくなることが判った。しかし、前記保護層をCr/Taの2層構造で成膜(成膜後、酸化Cr層/酸化Ta層)した実施例3では、比較例1,3および4と比較して、磁気抵抗変化率(ΔR/R)を大きくでき、しかもカップリング結合磁界(Hin)を小さくできることが判った。実施例3において、Ta層の膜厚を5〜12Åの範囲内で成膜すると、抵抗変化率(ΔR/R)を効果に大きくでき、しかもカップリング結合磁界(Hin)を効果的に小さくできることがわかった。また膜厚の上記範囲内では、フリー磁性層の磁気的膜厚の変動も小さく抑えることができることがわかった(図7)。
さらに図5,図6に示すように、前記保護層をTiで成膜(成膜後、酸化されて酸化Ti層)した実施例2では、Ti層の膜厚を14〜18Åの範囲内で成膜すると、抵抗変化率(ΔR/R)を効果に大きくでき、しかもカップリング結合磁界(Hin)を効果的に小さくできることがわかった。また膜厚の上記範囲内では、フリー磁性層の磁気的膜厚の変動も小さく抑えることができることがわかった(図7)。
次に、図3,図4の実験で用いた膜構成を基本構成として、フリー磁性層上に形成された3ÅのCoFeを酸化してなる酸化物層上に16Åの膜厚のTa層を酸化してなる比較例1、フリー磁性層上に形成された3ÅのCoFeを酸化してなる酸化物層上にAl層を6Å成膜し前記Al層を酸化した実施例1、フリー磁性層上に形成された3ÅのCoFeを酸化してなる酸化物層上にAl層を8Å成膜し前記Al層を酸化し、さらに酸化Al層上にTa層を7Å成膜し、前記Ta層を酸化した実施例4、フリー磁性層上に形成された3ÅのCoFeを酸化してなる酸化物層上にCr層を3Å成膜し前記Cr層を酸化し、さらに酸化Cr層上にTa層を9Å成膜し、前記Ta層を酸化した実施例3、フリー磁性層上に形成された3ÅのCoFeを酸化してなる酸化物層上にTi層を18Å成膜し、前記Ti層を酸化した実施例2を形成し、各試料を工程A〜工程E工程に曝し、各工程終了の度に、抵抗変化率(ΔR/R)を測定した。
工程Aでは、アニール、工程Bでは、保護層の追加成膜、工程Cでは、フォトリソグラフィ工程、工程Dでは保護層の成膜、工程EではUV照射工程、を行った。
図8に示すように、実施例1では、各工程後における抵抗変化率(ΔR/R)が徐々に低下していくことがわかった。これは保護層を酸化Al層の単層構造としているからである。酸化Al層は、図5〜図7に示すように薄い膜厚でも高い抵抗変化率(ΔR/R)、低いカップリング結合磁界(Hin)、安定したフリー磁性層の磁気的膜厚を得ることができるが、膜厚が薄いことで、薄膜磁気ヘッドの製造過程中に行われる工程により、酸化Al層のダメージが大きくなり、ひいてはその影響がCoFeの酸化物層やフリー磁性層に及ぶことで、図8に示すように実施例1では抵抗変化率(ΔR/R)が低下した。よって実施例1に比べて抵抗変化率(ΔR/R)を高い値に安定して維持できる実施例4の構造、すなわち酸化Al層の上に酸化Ta層を形成する構造をより好ましい構造とすることとした。
なお実施例2,実施例3では、いずれも、各工程後における抵抗変化率(ΔR/R)を安定して高い値に維持できることがわかった。
次に図3,図4の実験に使用した膜構成を基本膜構成として、CoFeの成膜時の膜厚を変化させ、前記CoFeを酸化した後、CoFeの酸化物層上に膜厚が16ÅのTaを成膜し、前記Ta層を酸化した。そして各試料のCoFeの成膜時膜厚と抵抗変化率(ΔR/R)との関係を調べた。なおCoFeを100kLの酸化強度で酸化した。
図10に示すように、CoFeの成膜時の膜厚が大きくなるとフリー磁性層の磁気的膜厚(Ms・t)が大きくなることがわかった。これは、膜厚を厚くすることで、酸化されていない箇所がCoFeの下層部分に残存しやすく、その結果、磁気的膜厚(Ms・t)が大きくなるものと考えられる。さらに、CoFeの成膜時の膜厚が大きくなるとフリー磁性層の磁歪λsが大きくなることがわかった(図11)。
図9〜図11の実験結果から前記CoFeの成膜時の膜厚を1〜5Å、好ましくは、2〜4Åとすることで、高い抵抗変化率(ΔR/R)、安定したフリー磁性層の磁気的膜厚とともに、磁歪を低く出来ることがわかった。
第1実施形態の磁気検出素子の全体構造を記録媒体との対向面側から見た断面図、 第2実施形態の磁気検出素子の全体構造を記録媒体との対向面側から見た断面図、 実施例1〜3、比較例1,2について、CoFe、及び保護層に対する酸化強度と抵抗変化率(ΔR/R)との関係を示すグラフ、 実施例1〜3、比較例1,2について、CoFe、及び保護層の酸化強度とフリー磁性層の磁気的膜厚(Ms・t)との関係を示すグラフ、 実施例1〜3、比較例3,4について、保護層の成膜時膜厚と抵抗変化率(ΔR/R)との関係を示すグラフ 実施例1〜3、比較例1,3,4について、保護層の成膜時膜厚と、カップリング結合磁界(Hin)との関係を示すグラフ、 実施例1〜3、比較例1,3,4について、保護層の成膜時膜厚と、フリー磁性層の磁気的膜厚(Ms・t)との関係を示したグラフ、 実施例1〜4、及び比較例1について、工程A〜工程Eの各工程後の抵抗変化率(ΔR/R)を示すグラフ、 フリー磁性層上に形成されるCoFeの成膜時膜厚と抵抗変化率(ΔR/R)との関係を示すグラフ、 フリー磁性層上に形成されるCoFeの成膜時膜厚とフリー磁性層の磁気的膜厚(Ms・t)との関係を示すグラフ、 フリー磁性層上に形成されるCoFeの成膜時膜厚と磁歪(λs)との関係を示すグラフ、
符号の説明
1 フリー磁性層
2 非磁性材料層
3 固定磁性層
4 反強磁性層
5 バイアス層
8 電極層
11 第2の磁性層
12 非磁性中間層
13 第1の磁性層
14 下層
15 上層
16 CoFeの酸化物層
18 保護層
19 酸化Al層
20 酸化Ta層
28 保護層(酸化Ti層)

Claims (3)

  1. 下から固定磁性層、非磁性材料層及びフリー磁性層の順に積層され、
    前記フリー磁性層上に磁性材料が酸化された酸化物層が形成され、
    前記酸化物層上には保護層が形成され、前記保護層の少なくとも一部は、酸化Al層、あるいは酸化Ti層、又は酸化Cr層上に酸化Ta層を有する構造より形成されることを特徴とする磁気検出素子。
  2. 前記保護層は、前記酸化Al層上に酸化Ta層を有する構造で形成される請求項1記載の磁気抵抗効果素子。
  3. 前記磁性材料の酸化物層は、CoFe合金の酸化物層で形成される請求項1又は2に記載の磁気検出素子。
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