JP2007165534A - 薄型希土類磁石 - Google Patents

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Abstract

【課題】加工劣化層を効果的に回復して、優れた磁気特性および耐食性を有する希土類磁石薄板を提供する。
【解決手段】添加したTiの一部または全てが固溶したR−B−Fe−Co−Ni−Ti合金粉末
但し、R(Yを含むランタノイドのうちから選んだ少なくとも一種):10at%以上、 25at%以下、B:2at%以上、20at%以下、Fe:10at%以上、73at%未満、
Co:7at%以上、50at%以下、Ni:5at%以上、30at%以下、
(Fe+Co+Ni):55at%以上、88at%未満、Ti:0.5at%以上、3at%以下
を原料として得た希土類磁石であって、TiB2相が分散析出したR2(Fe,Co,Ni)14B相およびR(Fe,Co,Ni)4B相を含み、R(Fe,Co,Ni)4B相における原子数比Fe/(Fe+Co+Ni)が0.50以下で、かつ、磁石の厚みが20〜300μmの希土類磁石において、その表面に希土類元素の拡散浸透層を形成する。
【選択図】なし

Description

本発明は、薄型希土類磁石に関し、特に機械加工後の加工劣化層の有利な回復を図ったものである。
最近の電子機器の小型・薄型化に伴い、そこに搭載される希土類磁石にも、より一層の薄型化が要求されている。例えば、ノートパソコンに搭載されるCDやDVD等の光ディスクドライブにおける光ピックアップ用希土類磁石には、一層の薄型化が要求されている。さらに、最近では、携帯電話への大容量メモリとしてハードディスクの搭載が検討されており、そこに搭載されるボイスコイルモータなどのアクチュエータにも同様に薄型磁石が要求される。
しかしながら、例えば、Nd系の希土類磁石は、機械加工を行った際に、加工表面の磁気特性が劣化するという問題があり、それが薄型化を阻んでいた。
この課題に対して、加工劣化層を回復するための手段が、特許文献1や特許文献2において提案されている。
特開昭62−74048号公報 特開2004−304038号公報
上掲した特許文献1および特許文献2はいずれも、加工表面に希土類金属膜を形成し、拡散反応によって表面を改質し、磁気特性の回復を図ろうとするものである。
しかしながら、これらの手法には、以下に述べるような問題があった。
(1) Nd系磁石は耐食性に劣るため、使用に際しては防食被覆が必要となるが、これにより寸法精度が低下する。この問題は、薄型になればなるほど顕在化する。また、防食被覆として電着Niを用いた場合、表面から発生する磁束の低下を招く。
(2) Nd系磁石の加工劣化厚みはおよそ10μm以上であるため、この厚みを回復しようとすると、成膜コストや熱処理コストに課題が残る。すなわち、厚いR′層(希土類層)を形成しようとすると、成膜時間が長時間化するだけでなく、原料費の増大を招く。また、拡散距離が長いために、高温または長時間の熱処理が必要となる。
本発明は、上記の課題を有利に解決するもので、耐食性に優れ、しかも加工劣化層を効果的に回復した薄型希土類磁石を提案することを目的とする。
さて、発明者らは、上記の問題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、磁石素材として、
R−B−Fe−Co−Ni−Ti−(Ga)系希土類磁石を用いることが極めて有効であるとの知見を得た。
すなわち、R−B−Fe−Co−Ni−Ti−(Ga)系希土類磁石は、耐食性に優れるだけでなく、機械加工後の加工劣化層が小さく、従って、加工表面から希土類元素を拡散浸透させて加工劣化層の回復を図る場合に、原料費や熱処理時間等を大幅に軽減できることを見出したのである。
本発明は、上記の知見に立脚するものである。
すなわち、本発明の要旨構成は次のとおりである。
(1)添加したTiの一部または全てが固溶したR−B−Fe−Co−Ni−Ti合金粉末
但し、R(Yを含むランタノイドのうちから選んだ少なくとも一種):10at%以上、 25at%以下、
B:2at%以上、20at%以下、
Fe:10at%以上、73at%未満、
Co:7at%以上、50at%以下、
Ni:5at%以上、30at%以下、
(Fe+Co+Ni):55at%以上、88at%未満、
Ti:0.5at%以上、3at%以下
を原料として得た希土類磁石であって、TiB2相が分散析出したR2(Fe,Co,Ni)14B相およびR(Fe,Co,Ni)4B相を含み、R(Fe,Co,Ni)4B相における原子数比Fe/(Fe+Co+Ni)が0.50以下で、かつ、磁石の厚みが20〜300μmで、かつ、表面に希土類元素の拡散浸透層を有し、該拡散浸透層は、希土類元素R′(但し、R′は、Y,Nd,Dy,Pr,HoおよびTbのうちから選んだ1種または2種以上)を磁石表面に被覆したのち熱処理を施して得たものであることを特徴とする薄型希土類磁石。
(2)添加したTiの一部または全てが固溶したR−B−Fe−Co−Ni−Ti合金粉末
但し、R(Yを含むランタノイドのうちから選んだ少なくとも一種):10at%以上、 25at%以下、
B:2at%以上、20at%以下、
Fe:10at%以上、73at%未満、
Co:7at%以上、50at%以下、
Ni:5at%以上、30at%以下、
(Fe+Co+Ni):55at%以上、88at%未満、
Ti:0.5at%以上、3at%以下
を原料として得た希土類磁石であって、TiB2相が分散析出したR2(Fe,Co,Ni)14B相およびR(Fe,Co,Ni)4B相を含み、R(Fe,Co,Ni)4B相における原子数比Fe/(Fe+Co+Ni)が0.50以下で、かつ、磁石の厚みが20〜300μmで、かつ、表面に希土類元素の拡散浸透層を有し、該拡散浸透層は、R′−Ni−Co合金(但し、R′は45at%以上55at%以下で、Y,Nd,Dy,Pr,HoおよびTbのうちから選んだ1種または2種以上、Niは32at%以上55at%以下、Coは17at%以下)を磁石表面に被覆したのち熱処理を施して得たものであることを特徴とする薄型希土類磁石。
(3)添加したTiの一部または全てが固溶したR−B−Fe−Co−Ni−Ti−Ga合金粉末
但し、R(Yを含むランタノイドのうちから選んだ少なくとも一種):10at%以上、 25at%以下、
B:2at%以上、20at%以下、
Fe:10at%以上、73at%未満、
Co:7at%以上、50at%以下、
Ni:5at%以上、30at%以下、
(Fe+Co+Ni):55at%以上、88at%未満、
Ti:0.5at%以上、3at%以下、
Ga:3at%以下
を原料として得た希土類磁石であって、TiB2相が分散析出したR2(Fe,Co,Ni,Ga)14B相およびR(Fe,Co,Ni,Ga)4B相を含み、R(Fe,Co,Ni,Ga)4B相における原子数比Fe/(Fe+Co+Ni)が0.50以下で、かつ、磁石の厚みが20〜300μmで、かつ、表面に希土類元素の拡散浸透層を有し、該拡散浸透層は、希土類元素R′(但し、R′は、Y,Nd,Dy,Pr,HoおよびTbのうちから選んだ1種または2種以上)を磁石表面に被覆したのち熱処理を施して得たものであることを特徴とする薄型希土類磁石。
(4)添加したTiの一部または全てが固溶したR−B−Fe−Co−Ni−Ti−Ga合金粉末
但し、R(Yを含むランタノイドのうちから選んだ少なくとも一種):10at%以上、 25at%以下、
B:2at%以上、20at%以下、
Fe:10at%以上、73at%未満、
Co:7at%以上、50at%以下、
Ni:5at%以上、30at%以下、
(Fe+Co+Ni):55at%以上、88at%未満、
Ti:0.5at%以上、3at%以下、
Ga:3at%以下
を原料として得た希土類磁石であって、TiB2相が分散析出したR2(Fe,Co,Ni,Ga)14B相およびR(Fe,Co,Ni,Ga)4B相を含み、R(Fe,Co,Ni,Ga)4B相における原子数比Fe/(Fe+Co+Ni)が0.50以下で、かつ、磁石の厚みが20〜300μmで、かつ、表面に希土類元素の拡散浸透層を有し、該拡散浸透層は、R′−Ni−Co合金(但し、R′は45at%以上55at%以下で、Y,Nd,Dy,Pr,HoおよびTbのうちから選んだ1種または2種以上、Niは32at%以上55at%以下、Coは17at%以下)を磁石表面に被覆したのち熱処理を施して得たものであることを特徴とする薄型希土類磁石。
本発明によれば、機械加工後においても優れた磁気特性を有し、かつ耐食性および寸法精度にも優れた薄型希土類磁石を得ることができる。
以下、本発明を具体的に説明する。
まず、本発明の素材であるR−B−Fe−Co−Ni−Ti合金からなる希土類磁石において、成分組成を上記の範囲に限定した理由について説明する。
R(Yを含むランタノイドのうちから選んだ少なくとも一種):10at%以上、25at%以下
Rは、R2(Fe,Co,Ni)14B相においては大きな結晶磁気異方性を持つ点で、また粒界においては逆磁区の発生を抑えることで保磁力を大きくする点で、有用な成分である。しかしながら、含有量が10at%に満たないと、Fe,Co,Niリッチ相が析出して保磁力が低下し、一方25at%を超えると相対的にFe,Co,Ni濃度が低下して飽和磁化の低下を招く。従って、Rは10at%以上、25at%以下の範囲に限定した。
B:2at%以上、20at%以下
Bは、R2(Fe,Co,Ni)14B相を形成するのに有用な成分である。しかしながら、含有量が2at%に満たないと、やはりFe,Co,Niリッチ相が析出して保磁力が低下し、一方20at%を超えると相対的にFe,Co,Ni濃度が低下して飽和磁化の低下を招く。従って、Rは2at%以上、20at%以下の範囲に限定した。
Fe:10at%以上、73at%未満
Feは、大きな飽和磁化を得るのに有効に寄与するが、含有量が10at%未満ではその添加効果に乏しく、一方73at%以上になるとα−Feの析出を伴い、保磁力低下の不利を招く。従って、Feは10at%以上、73at%未満の範囲に限定した
Co:7at%以上、50at%以下
Coは、Ni添加による耐食性の向上効果を損なうことなしに、磁気特性、特に保磁力を効果的に向上させるだけでなく、キュリー温度の向上にも有効な元素である。しかしながら、含有量が7%未満ではその添加効果に乏しく、一方50%を超えるとむしろ保磁力や飽和磁化の低下を招く。従って、Coは7at%以上、50at%以下の範囲に限定した。
Ni:5at%以上、30at%以下
Niは、耐食性を向上させるのに有効な元素であるが、含有量が5at%未満ではその添加効果に乏しく、一方30at%を超えると保磁力や飽和磁化の急激な低下を招く。従って、Niは5at%以上、30at%以下の範囲に限定した。
(Fe+Co+Ni):55at%以上、88at%未満
上記した(Fe+Co+Ni)の合計量が55at%に満たないと飽和磁化が低下し、一方88at%以上になると相対的にRやBが少なくなり保磁力が低下する。従って、(Fe+Co+Ni)量は55at%以上、88at%未満の範囲に限定した。
Ti:0.5at%以上、3at%以下
本発明の希土類磁石は、溶解・鋳造したR−B−Fe−Co−Ni−Ti合金またはR−B−Fe−Co−Ni−Ti−Ga合金から製造されるが、添加したTiの一部または全部が合金中に固溶していることが肝要である。
すなわち、本発明の希土類磁石において、添加したTiは、焼結後には、全てTiB2として析出するのであるが、溶解・鋳造段階では、一部はTiB2として析出するが、一部は合金中に固溶している。そして、固溶したTiは焼結時にR2(Fe,Co,Ni)14B相中に析出する。
なお、添加したTiの一部または全部を合金中に固溶させるには、鋳造時における1400〜1080℃での平均冷却速度を5℃/s以上とすることが好ましい。
これらの析出相は、以下に示す2つの効果がある。
第1の効果は、機械強度の向上であり、この効果は、析出相がクラック伝播を抑制する効果と結晶粒の微細化効果からなる。前者はR2(Fe,Co,Ni)14B相中に析出したTiB2、一方後者は、溶解・鋳造時に析出し、粒界に偏析したTiB2が効果の主たる役割を担っている。このようなTiB2の析出形態をここでは分散析出と記載する。
従って、溶解・鋳造時には、全てのTiを固溶させていてもよいが、一部を析出させておいた方がより効果的である。好適な固溶量は添加Ti量の15〜45%程度である。
第2の効果は、R(Fe,Co,Ni)4B相量のコントロールである。
R(Fe,Co,Ni)4B相は、R−Fe−B合金における非磁性の Nd1.1Fe4B4に対応する。Nd1.1Fe4B4と違って 強磁性相で飽和磁化の増大に寄与するが、磁化容易軸が面内に向いているため、その析出の形態によっては保磁力が低下する。この点、Tiを添加するとTiB2の析出と共に合金中のB濃度が低下してR(Fe,Co,Ni)4B相量が減少する。また、先に述べたように結晶粒の微細化も起こる。このような状態でのR(Fe,Co,Ni)4B相は、飽和磁化の増大に寄与し、保磁力低下の原因とはならない。
上記のメカニズムについては、まだ明確に解明されたわけではないが、おそらく保磁力を発現するNd2(Fe,Co,Ni)14B相との磁気的な交換結合に起因しているものと推定している。
ここに、Tiの添加量が0.5at%未満では、上記の効果が小さく、一方3at%超えではB濃度が低くなりすぎる等の理由で保磁力の低下を招く。従って、Tiは0.5at%以上、3at%以下の範囲に限定した。
また、本発明において、TiB2相が分散析出したR2(Fe,Co,Ni)14B相の量は、体積率で0.3〜5%程度とすることが好ましい。というのは、R2(Fe,Co,Ni)14B相量が 0.3%に満たないと機械強度向上の効果が小さく、一方5%を超えると主相内の歪が大きくなって保磁力の低下を招くからである。
同様に、R(Fe,Co,Ni)4B相の量は、体積率で1〜20%程度とすることが好ましい。というのは、R(Fe,Co,Ni)4B相量が1%に満たないと(Fe,Co,Ni)リッチ相が析出して保磁力を低下させ、一方20%を超えると(Fe,Co,Ni)を消費して飽和磁化を下げてしまうからである。
R(Fe,Co,Ni)4B相における原子数比Fe/(Fe+Co+Ni):0.5以下
R−遷移金属−B合金磁石には、Bリッチ相が必ず存在し、Nd−Fe−BではNd1.1Fe4B4相が析出する。このBリッチ相はR(Fe,Co,Ni)4B相よりもBが多い。本発明に従いTiを添加した場合には、Bを多量に消費することを考慮すると、Bの少ないR(Fe,Co,Ni)4B相を勘案して、B量をバランスすることが望ましい。ここに、原子数で(Fe+Co+Ni)合計量に対するFe量の比すなわち原子数比Fe/(Fe+Co+Ni)が0.5超になるとR(Fe,Co,Ni)4B相が存在できなくなり、αFeなど保磁力の低下する相が析出する。従って、R(Fe,Co,Ni)4B相における原子数比Fe/(Fe+Co+Ni)は0.5以下に限定した。
Ga:3at%以下
また、本発明では、磁気特性とくに保磁力の向上を目的として、さらにGaを含有させることもできる。このGaは、R2(Fe,Co,Ni)14B相およびR(Fe,Co,Ni)4B相に固溶してR2(Fe,Co,Ni,Ga)14B相およびR(Fe,Co,Ni,Ga)4B相を形成する。かかるR2(Fe,Co,Ni,Ga)14B相およびR(Fe,Co,Ni,Ga)4B相の作用・効果は、R2(Fe,Co,Ni)14B相およびR(Fe,Co,Ni)4B相の場合と同様であるが、特に保磁力の向上に有効に寄与する。しかしながら、含有量が3at%を超えるとかえって保磁力の低下を招くので、Gaは3at%以下の範囲で添加することが好ましい。なお、このGa添加量の好適下限値は0.5at%である。
そして、このGaは、Tiと同時に添加するとより効果的である。
なお、本発明では、上記した有効成分の他、C,N,O,V,Cr,Mn,Cu,Zn,Ge,In,Sn,Zr,Hf,Ta,Wなどの不純物成分が若干混入することがあるが、これらの不純物は合計量が2at%以下であれば特に問題はない。
希土類磁石厚み:20〜300μm
加工劣化層の厚みは磁石厚みによらず一定なので、300μmを超える厚い磁石では加工劣化層の回復効果が少ない。また、薄型磁石としても、300μm以下の厚みが要求されている。一方、20μm未満の厚さでは加工劣化層の回復が困難となる。従って、本発明で適用する磁石厚みは20〜300μmの範囲に限定した。
加工表面における希土類元素の拡散浸透層
加工劣化層は、機械加工に伴い、磁石表層部の希土類元素濃度が低下して生じたものである。従って、磁石表面から適量の希土類元素を拡散浸透させてやれば、劣化層は回復する。
そのため、本発明では、磁石表面に適量の希土類元素を被覆したのち、熱処理を加えることによって、磁石表層部に希土類元素を拡散浸透させるのである。
かような希土類元素の拡散浸透層を形成するためには、適量の希土類元素を加工表面に被覆したのち、熱処理を施して磁石の内部に拡散させればよく、これにより加工表面の磁気特性は回復する。
かような希土類元素R′としては、YおよびNd,Dy,Pr,Ho,Tb等の希土類元素のうちから1種または2種以上が有利に適合する。これ以外の、例えばSmなどを用いると、磁石合金の結晶磁気異方性を減じて保磁力が劣化する。
また、かような拡散浸透層の形成成分としてはR′−Ni−Co合金を選ぶこともできる。この合金は、磁気特性の回復に加えて、耐食性の向上を期待できる。
ここで、R′が45at%未満に満たないとR′(Ni,Co)2ラーベス相などの軟磁性相が析出して保磁力の低下を招き、一方 55at%を超えると耐食性が劣化するため、R′は45at%以上55at%以下の範囲に限定した。
また、Niが32at未満では耐食性の改善効果に乏しく、一方55at%を超えると軟磁性相が析出して保磁力の低下を招くなどの不利が生じるので、Niは32at%以上55at%以下の範囲に限定した。
さらに、Coが17at%を超えるとR′リッチ相とラーベス相に分解して耐食性と保磁力の低下を招くので、Coは17at%以下に限定した。なお、このCoは必ずしも含有させる必要はない。
なお、加工表面への被覆方法については、特に限定されるものではないが、蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング法などが有利に適合する。
この際、被覆厚は0.5〜5μm 程度とするのが好適である。
また、熱処理については、不活性雰囲気中で処理することが好ましく、特に800〜1000℃の温度範囲で表面のみをフラッシュアニールする手法はより効果的である。
これにより、深さが1〜8μm 程度の拡散浸透層が得られる。
表1に示す成分組成になるように各元素を秤量し、高周波溶解後、水冷銅ハースに鋳込んだ。得られた各インゴット中のR(Fe,Co,Ni,(Ga))4B相における原子数比Fe/(Fe+Co+Ni)およびR2(Fe,Co,Ni,(Ga))14B相中における固溶Ti量について調べた結果を、表1に併記する。
ついで、得られた各インゴットを、窒素気流中で粗粉砕後、ジェットミルで平均2〜3μmまで微粉砕したのち、15kOeの磁場中にて、1.5 t/cm2の圧力で成形し、引き続き真空中、1000〜1100℃で焼成して焼結体を得た。その後、この焼結体を、ダイヤモンドホイールにて切断後、#400遊離砥粒研摩を施して厚み:20μmとした。ついで、スパッタリング法で加工表面に表1に示す組成の皮膜を成膜し、真空中1000℃にてフラッシュアニールした。
かくして得られた希土類磁石の磁気特性および耐食性について調べた結果を、表2に示す。
なお、磁気特性は、振動試料型磁力計にて測定した。
また、インゴット中のR2(Fe,Co,Ni,(Ga))14B相中におけるTi固溶量は、SEM-EDXにて測定した。
さらに、耐食性は、70℃、95%RHにて500時間腐食試験を行ったときの、発錆面積率で評価し、その値が20%未満の場合を耐食性良好(○)と判断した。
Figure 2007165534
Figure 2007165534
同表から明らかなように、本発明に従う薄型希土類磁石はいずれも、加工劣化層が効果的に回復されて、優れた磁気特性を有することができ、また耐食性にも優れている。

Claims (4)

  1. 添加したTiの一部または全てが固溶したR−B−Fe−Co−Ni−Ti合金粉末
    但し、R(Yを含むランタノイドのうちから選んだ少なくとも一種):10at%以上、 25at%以下、
    B:2at%以上、20at%以下、
    Fe:10at%以上、73at%未満、
    Co:7at%以上、50at%以下、
    Ni:5at%以上、30at%以下、
    (Fe+Co+Ni):55at%以上、88at%未満、
    Ti:0.5at%以上、3at%以下
    を原料として得た希土類磁石であって、TiB2相が分散析出したR2(Fe,Co,Ni)14B相およびR(Fe,Co,Ni)4B相を含み、R(Fe,Co,Ni)4B相における原子数比Fe/(Fe+Co+Ni)が0.50以下で、かつ、磁石の厚みが20〜300μmで、かつ、表面に希土類元素の拡散浸透層を有し、該拡散浸透層は、希土類元素R′(但し、R′は、Y,Nd,Dy,Pr,HoおよびTbのうちから選んだ1種または2種以上)を磁石表面に被覆したのち熱処理を施して得たものであることを特徴とする薄型希土類磁石。
  2. 添加したTiの一部または全てが固溶したR−B−Fe−Co−Ni−Ti合金粉末
    但し、R(Yを含むランタノイドのうちから選んだ少なくとも一種):10at%以上、 25at%以下、
    B:2at%以上、20at%以下、
    Fe:10at%以上、73at%未満、
    Co:7at%以上、50at%以下、
    Ni:5at%以上、30at%以下、
    (Fe+Co+Ni):55at%以上、88at%未満、
    Ti:0.5at%以上、3at%以下
    を原料として得た希土類磁石であって、TiB2相が分散析出したR2(Fe,Co,Ni)14B相およびR(Fe,Co,Ni)4B相を含み、R(Fe,Co,Ni)4B相における原子数比Fe/(Fe+Co+Ni)が0.50以下で、かつ、磁石の厚みが20〜300μmで、かつ、表面に希土類元素の拡散浸透層を有し、該拡散浸透層は、R′−Ni−Co合金(但し、R′は45at%以上55at%以下で、Y,Nd,Dy,Pr,HoおよびTbのうちから選んだ1種または2種以上、Niは32at%以上55at%以下、Coは17at%以下)を磁石表面に被覆したのち熱処理を施して得たものであることを特徴とする薄型希土類磁石。
  3. 添加したTiの一部または全てが固溶したR−B−Fe−Co−Ni−Ti−Ga合金粉末
    但し、R(Yを含むランタノイドのうちから選んだ少なくとも一種):10at%以上、 25at%以下、
    B:2at%以上、20at%以下、
    Fe:10at%以上、73at%未満、
    Co:7at%以上、50at%以下、
    Ni:5at%以上、30at%以下、
    (Fe+Co+Ni):55at%以上、88at%未満、
    Ti:0.5at%以上、3at%以下、
    Ga:3at%以下
    を原料として得た希土類磁石であって、TiB2相が分散析出したR2(Fe,Co,Ni,Ga)14B相およびR(Fe,Co,Ni,Ga)4B相を含み、R(Fe,Co,Ni,Ga)4B相における原子数比Fe/(Fe+Co+Ni)が0.50以下で、かつ、磁石の厚みが20〜300μmで、かつ、表面に希土類元素の拡散浸透層を有し、該拡散浸透層は、希土類元素R′(但し、R′は、Y,Nd,Dy,Pr,HoおよびTbのうちから選んだ1種または2種以上)を磁石表面に被覆したのち熱処理を施して得たものであることを特徴とする薄型希土類磁石。
  4. 添加したTiの一部または全てが固溶したR−B−Fe−Co−Ni−Ti−Ga合金粉末
    但し、R(Yを含むランタノイドのうちから選んだ少なくとも一種):10at%以上、 25at%以下、
    B:2at%以上、20at%以下、
    Fe:10at%以上、73at%未満、
    Co:7at%以上、50at%以下、
    Ni:5at%以上、30at%以下、
    (Fe+Co+Ni):55at%以上、88at%未満、
    Ti:0.5at%以上、3at%以下、
    Ga:3at%以下
    を原料として得た希土類磁石であって、TiB2相が分散析出したR2(Fe,Co,Ni,Ga)14B相およびR(Fe,Co,Ni,Ga)4B相を含み、R(Fe,Co,Ni,Ga)4B相における原子数比Fe/(Fe+Co+Ni)が0.50以下で、かつ、磁石の厚みが20〜300μmで、かつ、表面に希土類元素の拡散浸透層を有し、該拡散浸透層は、R′−Ni−Co合金(但し、R′は45at%以上55at%以下で、Y,Nd,Dy,Pr,HoおよびTbのうちから選んだ1種または2種以上、Niは32at%以上55at%以下、Coは17at%以下)を磁石表面に被覆したのち熱処理を施して得たものであることを特徴とする薄型希土類磁石。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN102568738A (zh) * 2012-02-18 2012-07-11 西安西工大思强科技有限公司 高机械强度烧结钕铁硼永磁体的制造方法

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