JP2007164967A - 光記録媒体の製造方法及び製造装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】基板101上に直接又は他の層を介して記録層102を形成し、記録層102上に直接又は他の層を介して樹脂原料層104aを形成し、記樹脂原料層104a上に凹凸形状に対応した転写用凹凸形状を有するスタンパ110を載置し、樹脂原料層104aを硬化させて接着体112を得て、接着体112を加熱した状態において樹脂原料層104aからスタンパ110を剥離し、樹脂原料層104aに転写用凹凸形状を転写して中間層104を形成する。
【選択図】図1
Description
以上のような背景から、ポリカーボネート系樹脂やアクリル樹脂のような安価な樹脂をスタンパとして用いつつも、スタンパの剥離を良好にすることができる、光記録媒体の製造方法の開発が望まれている。
本発明は上記の課題に鑑みて創案されたもので、良好な凹凸形状を有する、欠陥の少ない中間層を備える光記録媒体を安価に製造することを目的とする。
(i)第一に、加熱により接着体の温度が高温になることによって、スタンパが載置された樹脂原料層表面付近の材料の弾性率が下がったため、この表面近傍の材料がやわらかくなって、スタンパが剥離しやすくなったものと考えられる。
図1(a)〜(g)は、本発明の第一実施形態が適用される光記録媒体の製造方法の好ましい一例を説明するための模式図である。なお、図1(a)〜(g)には、積層型多層光記録媒体の製造方法の例として、有機色素を含む2つの記録層を有するデュアルレイヤタイプの片面入射型の光記録媒体(片面2層DVD−R又は片面2層DVDレコーダブル・ディスク)の製造方法が示されている。
さらに、光記録媒体100の光情報の記録・再生は、第1基板101側から第1記録層102及び第2記録層105に照射されたレーザ光109により行なわれるようになっている。即ち、第1記録層102及び第2記録層105は、照射されるレーザ光109により情報が記録及び再生されるようになっている。
本実施形態の光記録媒体の製造方法は、第1記録層形成工程と、第1反射層形成工程と、樹脂原料層形成工程と、樹脂原料層硬化工程と、スタンパ剥離工程と、第2記録層形成工程と、第2反射層形成工程と、第2基板形成工程とを有する。
まず、第1基板101を用意する。第1基板101としては、図1(a)に示すように、表面に凹凸で、溝、ランド、及びプリピットが形成されたものを用意する。第1基板101は、例えばニッケル製スタンパ等を用いて射出成形等により作製することができる。
次に、第1記録層形成工程において、第1基板101上に第1記録層102を形成する。第1記録層102の形成方法に制限はないが、例えば以下の方法で形成することができる。即ち、有機色素を含有する塗布液を第1基板101の凹凸を有する側の表面にスピンコート等により塗布する。その後、塗布液に使用した溶媒を除去するために加熱等を行ない、第1記録層102を成膜する。なお、本実施形態では、上記のように第1基板101上に直接第1記録層102を形成した例を示して説明するが、第1記録層102は、光記録媒体100の種類や構成などに応じて、第1基板101上に他の層を介して形成するようにしてもよい。
第1記録層102を成膜した後、第1反射形成工程において、第1記録層102上に第1反射層103を形成する。第1反射層103の形成方法に制限はないが、例えば、第1記録層102上にAg合金等をスパッタまたは蒸着することにより、第1記録層102上に第1反射層103を成膜することができる。
このように、第1基板101上に、第1記録層102及び第1反射層103を順に積層することによって、データ基板111を得る。なお、本実施の形態においては、データ基板111を透明にしているものとする。
続いて、樹脂原料層形成工程において、図1(b)に示すように、第1反射層103の表面(即ち、データ基板111の表面)全体に、樹脂原料層を形成する。即ち、第1記録層102上に、第1反射層103を介して樹脂原料層104aを形成する。
ここで形成する樹脂原料層104aは、光記録媒体100の完成時に中間層104を構成することになる層で、何らかの処理を施すことにより硬化しうる硬化性樹脂又はその前駆体により形成された層である。
上記硬化性樹脂としては光記録媒体に使用しうる硬化性樹脂を任意に用いることができる。硬化性樹脂の例としては、放射線硬化性樹脂、熱硬化性樹脂などが挙げられる。熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等を用いて樹脂原料層104aを形成する場合、通常は、適当な溶剤に熱可塑性樹脂等を溶解して塗布液を調製し、この塗布液を塗布すればよい。そして、この樹脂原料層104aを乾燥(加熱)することによって、中間層104を形成することができる。一方、放射線硬化性樹脂を用いて樹脂原料層104aを形成する場合は、通常、そのまま若しくは適当な溶剤に溶解して塗布液を調製し、この塗布液を塗布すればよい。そして、この樹脂原料層104aを適当な放射線を照射して硬化させることによって、中間層104を形成することができる。中でも、放射線硬化性樹脂の一種である紫外線硬化性樹脂が好ましい。なお、本明細書においては、「放射線」を、電子線、紫外線、可視光、及び赤外線を含む意味で用いる。また、硬化性樹脂は1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
ただし、樹脂原料層104aはこの後でスタンパ110(後述)により表面に凹凸が成形されることになるため、樹脂原料層硬化工程において成形される前には、不定形な状態(通常は、所定の粘度を有する液体状態)となっている。
本実施形態においては、放射線硬化性樹脂の一つである紫外線硬化性樹脂の前駆体をスピンコートにより塗布し、樹脂原料層(以下、説明の便宜から「紫外線硬化性樹脂原料層」と呼ぶ場合がある。)104aを形成したものとする。
次に、樹脂原料層硬化工程において、図1(c)に示すように、紫外線硬化性樹脂原料層104a上にスタンパ110を載置し、紫外線硬化性樹脂原料層104aを硬化させる。つまり、第1記録層102とは反対側の紫外線硬化性樹脂原料層104aの表面にスタンパ110が載置された状態となる。
スタンパ110は、中間層104に形成されることになる凹凸の形状(凹凸形状)に対応した形状(転写用凹凸形状)の凹凸(転写用凹凸)を表面に有する型である。そして、スタンパ110が有する転写用凹凸の転写用凹凸形状が紫外線硬化性樹脂原料層104aに転写されることにより、中間層104に、所望の凹凸形状の凹凸が形成されるよう、転写用凹凸形状は設定されている。
このようにして、前記樹脂原料層104aを硬化させて、データ基板111(即ち、第1基板101、第1記録層102及び第1反射層103)、紫外線硬化性樹脂原料層104a、並びに、スタンパ110を備えた接着体112が得られる。
そして、スタンパ剥離工程では、図1(d)に示すように、紫外線硬化性樹脂原料層104a(図1(c)参照)から(即ち、接着体112から)スタンパ110を剥離させる。これにより、紫外線硬化性樹脂原料層104aにスタンパ110の転写用凹凸形状が転写されて、中間層104が形成される。なお、本明細書では、紫外線硬化性樹脂原料層104aとは、塗布後、硬化され、スタンパが剥離するよりも以前のものを指す。また、中間層104とは、スタンパ110が剥離した後のものを指す。したがって、紫外線硬化性樹脂原料層104a及び中間層104は同様の位置に形成された層を指すものであるが、その状態が異なるものである。
さらに、加熱操作を行なっている期間中には、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で温度変化があってもよい。
さらに、本実施形態の光記録媒体の製造方法においては、中間層104とスタンパ110との剥離が容易になるため、スタンパ110に用いる材料の自由度が大きく広がるという利点も得ることができる。
続いて、第2記録層形成工程では、図1(e)に示すように、中間層104上に第2記録層105を形成する。第2記録層105の形成方法に制限はないが、例えば以下の方法で形成することができる。即ち、有機色素を含む塗布液を、スピンコート等により中間層104表面に塗布する。そして、塗布液に使用した溶媒を除去するために加熱等を行ない、第2記録層105を成膜する。[4.樹脂原料層形成工程]から[7.第2記録層形成工程]を繰り返すことによって、積層型多層光記録媒体を効率よく製造することができる。
次に、第2反射層形成工程では、図1(f)に示すように、第2記録層105上に第2反射層106を形成する。第2反射層106の形成方法に制限はないが、例えば、Ag合金等をスパッタ蒸着することにより第2記録層105上に第2反射層106を成膜することができる。
その後、第2基板形成工程において、図1(g)に示すように、第2反射層106上に第2基板108を形成する。第2基板108の形成方法に制限はないが、例えば、第2基板108を、接着層107を介して第2反射層106に貼り合わせて形成することができる。なお、第2基板108に制限はないが、ここでは、ポリカーボネートを射出成形して得られた鏡面基板を第2基板108として用いているものとする。
なお、図1(g)に示した層構成はあくまで一例であり、例えば、本実施形態の光記録媒体の製造方法により、図1(g)に図示しない他の層(例えば、第1基板101と第1記録層102との間に下地層を挿入する。)を有する光記録媒体を製造するようにしてもよい。また、上述した各工程の前、途中、後に、上述した工程以外の他の工程を行なうようにしてもよい。
本発明の光記録媒体の製造方法においては、光記録媒体の反りや、中間層上に形成される記録層の記録特性等を考慮し、樹脂原料層を複数の樹脂層から形成してもよい。この場合、樹脂原料層を構成する複数の樹脂層のうち、スタンパに接して凹凸形状を形成される樹脂層が最外樹脂層となる。
そして、その後、樹脂原料層形成工程を行なう。
図2(a),(b)は、本発明の第二実施形態が適用される光記録媒体の製造方法の樹脂原料層形成工程について説明するための模式図である。なお、図2(a),(b)において、図1(a)〜(g)と同様の部位については、図1(a)〜(g)と同様の符号を付して説明する。
また、第2樹脂層104a2の形成方法に制限はないが、例えば、スタンパ110の表面全体に、紫外線硬化性樹脂の前駆体をスピンコート等により塗布して成膜することができる。
ここで、スタンパ110を載置する際には、スタンパ110をデータ基板111に押し付ける力を、紫外線硬化性樹脂原料層104aの膜厚が所定範囲になるように調節しながら、載置を行なうようにする。
ただし、この第二実施形態においては、スタンパ110の剥離を行なう際の接着体112’の温度(加熱温度)の上限の設定は、スタンパ110のガラス転移温度、及び、最外樹脂層である第2樹脂層104a2の硬化後のガラス転移温度以下とすることが好ましい。即ち、スタンパ110のガラス転移温度以下、且つ、第2樹脂層104a2(最外樹脂層)の硬化後のガラス転移温度以下の温度範囲とすることが好ましい。これは、中間層104の表面の凹凸形状は、第2樹脂層104a2(最外樹脂層)によって形成されるため、第2樹脂層104a2(最外樹脂層)の硬化後のガラス転移温度を考慮して加熱の際の温度を設定すれば、中間層104の凹凸形状を良好にしやすいからである。
以上のようにすれば、第一実施形態と同様に、良好な凹凸形状を有する、欠陥の少ない中間層104を備えた光記録媒体100(図1(g)参照)を製造することができる。また、本実施形態の光記録媒体の製造方法によれば、第一実施形態と同様の利点を得ることができる。
さらに、本実施形態によれば、中間層104の形成のために、紫外線硬化性樹脂原料層104aを複数の樹脂層(第1樹脂層104a1,第2樹脂層104a2)により構成するようにした。このため、第2記録層105の記録特性を良好にしやすい材料を最外樹脂層として用いることができる、第1反射層103との密着性がよい材料をデータ基板111に接する樹脂層に用いることができる、光記録媒体の反りの改善する材料をデータ基板111に接する樹脂層に用いることができる、という利点を得ることも可能である。
よって、本実施形態によれば、第1樹脂層104a1として、第2樹脂層104a2よりも硬化後のガラス転移温度が低い樹脂を用いることが出来る。具体的には、第1樹脂層104a1として、第2樹脂層104a2の硬化後のガラス転移温度よりも20℃以上低い、更には40℃以上低い、特には80℃以上低い樹脂を用いることが可能である。
ただし、本実施形態においても、第1実施形態と同様に、任意に変更して実施することができる。
上記の第一及び第二実施形態では、製造対象となる光記録媒体の例として、有機色素を含む2つの記録層を有するデュアルレイヤタイプの片面2層DVD−Rを例に挙げて説明したが、本発明の光記録媒体の製造方法及び製造装置を適用しうる光記録媒体はこれに限られるものではない。即ち、少なくとも、基板と、記録層と、凹凸形状を有する中間層とを有し、記録層上に、直接又は他の層を介して、樹脂原料層を形成し、樹脂原料層上に転写用凹凸形状を有するスタンパを載置し、樹脂原料層を硬化させた後、樹脂原料層からスタンパを剥離し、樹脂原料層にスタンパの転写用凹凸形状を転写して中間層を形成する工程を含む製造方法によって製造される光記録媒体又は光記録媒体用積層体であれば本発明を適用することができ、これにより、本発明の効果が良好に発揮される。したがって、例えば、他の構成の光記録媒体に対しても、本発明の光記録媒体の製造方法及び製造装置を適用することができる。
さらに、例えば、本発明の光記録媒体の製造方法及び製造装置は、記録層を3層以上有し、中間層を2層以上有する光記録媒体に適用することもできる。この場合、2層以上の中間層のそれぞれを形成するために、上記実施形態で説明した中間層の形成方法を適用することができる。
さらに、上述した実施形態では、いわゆる基板面入射型の光記録媒体の製造方法及び製造装置について説明したが、本発明の光記録媒体の製造方法及び製造装置は、いわゆる膜面入射型の光記録媒体の製造方法及び製造装置にも当然に適用することができる。
〔第1基板〕
第1基板101は、光透過性を有し、複屈折率が小さい等、光学特性に優れることが望ましい。また、第1基板101は、射出成形が容易である等成形性に優れることが望ましい。さらに、第1基板101は、吸湿性が小さいことが望ましい。更に、第1基板101は、光記録媒体がある程度の剛性を有するよう、形状安定性を備えることが望ましい。
第1記録層102は、通常、CD−Rや片面型DVD−R等に用いられる光記録媒体に用いる記録層に比較して、より高感度であることが望ましい。例えば、上記の実施形態に適用する場合、光記録媒体100においては、通常、第1反射層103を半透明反射膜とする。このため、入射したレーザ光109の半分は第1反射層103を透過する。この結果、第1記録層102に入射するレーザ光109のパワーは半減することになる。したがって、入射したレーザ光の約半分のパワーで第1記録層102に対する記録が行なわれることになるために、第1記録層102は、特に感度が高いことが望ましい。
第1反射層103は、記録再生光の吸収が小さく、光透過率が通常40%以上あり、かつ、適度な光反射率を有することが望ましい。第1反射層103の具体的な構成の例としては、反射率の高い金属を薄く設けることにより適度な透過率を持たせた層が挙げられる。さらに、第1反射層103は、ある程度の耐食性があることが望ましい。また、第1反射層103の上層(上記の実施形態では中間層104)からの他の成分の浸み出しにより第1記録層102が影響されないような遮断性を持つことが望ましい。
中間層104は、透明、且つ、溝やピットの凹凸形状が形成可能であり、また、他の層との接着力が高い樹脂から構成される。さらに、硬化時の収縮率が小さい樹脂を用いると、媒体の形状安定性が高く好ましい。
また、中間層104は、第一実施形態のような単層としてもよく、第二実施形態のような多層にしてもよい。
中間層104の材料の中でも、放射線硬化性樹脂が好ましく、その中でも、紫外線硬化性樹脂が好ましい。これらの樹脂の採用により、スタンパの凹凸形状の転写が行ないやすくなる。
ラジカル系紫外線硬化性樹脂は、紫外線硬化性化合物(ラジカル系紫外線硬化性化合物)と光重合開始剤を必須成分として含む組成物が用いられる。ラジカル系紫外線硬化性化合物としては、例えば、単官能(メタ)アクリレート及び多官能(メタ)アクリレートを重合性モノマー成分として用いることができる。これらは、各々、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。なお、ここで、アクリレートとメタアクリレートとを併せて(メタ)アクリレートと称する。
また、光重合開始剤に制限はないが、例えば、分子開裂型または水素引き抜き型のものが好ましい。本発明においては、ラジカル重合型のアクリル酸エステルを主体とする未硬化の紫外線硬化樹脂前駆体を用いて、これを硬化させて中間層を得ることが好ましい。
また、カチオン重合型の光開始剤としては、スルホニウム塩、ヨードニウム塩、ジアゾニウム塩等が挙げられる。
さらに、中間層104の膜厚は、正確に制御されることが好ましく、通常5μm以上、好ましくは10μm以上である。但し、通常、100μm以下、好ましくは70μm以下である。
第2記録層105は、前述した第1記録層102の場合と同様に、通常CD−Rや片面型DVD−R等の光記録媒体に用いる記録層より高感度であることが望ましい。また、第2記録層105は、良好な記録再生特性を実現するためには低発熱で高屈折率な色素であることが望ましい。更に、第2記録層105と第2反射層106との組合せにおいて、光の反射及び吸収を適切な範囲とすることが望ましい。
なお、第1記録層102と第2記録層105とに用いる材料は、同じでも良いし、異なっていてもよい。
第2反射層106は、高反射率、かつ高耐久性であることが望ましい。
また、第2反射層106の上下に反射率の向上、記録特性の改善、密着性の向上等のために、公知の無機系または有機系の中間層、接着層を設けることもできる。
接着層107は、接着力が高く、硬化接着時の収縮率が小さいと、光記録媒体100の形状安定性が高くなり、好ましい。また、接着層107は、第2反射層106にダメージを与えない材料からなることが望ましい。但し、ダメージを抑えるために第2反射層106,接着層107の間に公知の無機系または有機系の保護層を設けることもできる。
また、接着層107の膜厚は、通常、2μm以上、好ましくは5μm以上である。但し、光記録媒体100をできるだけ薄くするために、また、硬化に時間を要して生産性が低下する等のことを抑制するために、接着層107の膜厚は、通常、100μm以下が好ましい。
なお、接着層107としては、感圧式両面テープ等も使用可能である。感圧式両面テープを第2反射層106と第2基板108との間に挟んで押圧することにより、接着層107を形成できる。
第2基板108は、機械的安定性が高く、剛性が大きいことが好ましい。また接着層107との接着性が高いことが望ましい。
このような第2基板108の材料としては、第1基板101に用いうる材料と同様のものを用いることができる。また、上記材料としては、例えば、Alを主成分としたAl−Mg合金等のAl合金基板や、Mgを主成分としたMg−Zn合金等のMg合金基板、シリコン、チタン、セラミックスのいずれかからなる基板やそれらを組み合わせた基板等を用いることもできる。また、第2基板108の材料は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
さらに、光記録媒体100に十分な剛性を持たせるために、第2基板108はある程度厚いことが好ましく、第2基板108の厚さは、0.3mm以上が好ましい。但し、3mm以下、好ましくは1.5mm以下である。
光記録媒体100は、上記の積層構造において、必要に応じて任意の他の層を挟んでも良い。或いは、光記録媒体100の最外面に任意の他の層を設けても良い。更に、光記録媒体100には、必要に応じて、記録光又は再生光の入射面ではない面に、インクジェット、感熱転写等の各種プリンタ、或いは各種筆記具にて記入(印刷)が可能な印刷受容層を設けてもよい。さらに、光記録媒体100を2枚、第1基板101を外側にして貼合わせてもよい。光記録媒体100を2枚貼り合わせることにより、記録層を4層有する大容量の媒体を得ることができる。また、このように光記録媒体100を2枚張り合わせる場合には、接着層107や第2基板108は、必ずしも2層ずつ必要ではない。即ち、接着層107や第2基板108のうち少なくとも何れかの層が1層であってもよく、更には用いなくてもよい。
(1)光記録媒体の作製
(1−1)スタンパの用意
ポリカーボネートを材料として、射出成形法により、内径15mmの中心孔を有する、外径120mm、厚さ0.6mmの円盤状のスタンパ(以下、PCスタンパという場合がある。)を形成した。射出成形は、トラックピッチ0.74μm、幅0.32μm、深さ175nmの案内溝を有するニッケル製原盤を使用した。なお、原子間力顕微鏡(AFM:Atomic Force Microscope)により、PCスタンパには、ニッケル製原盤の案内溝(凹凸)が正確に転写されたことが確認された。
ニッケルスタンパを用いてポリカーボネートを射出成形し、ピッチ0.74μm、幅0.33μm、深さ160nmの溝が形成された、直径120mm、厚さ0.57mmの基板(第1基板)を得た。
次に、含金属アゾ色素のテトラフルオロロペンタノール溶液(濃度2重量%)を調製し、これを基板上に滴下してスピナー法により塗布した。塗布後、70℃で30分間乾燥し第1の記録層を形成した。さらに、第1の記録層上に、Ag−Bi(Bi:1.0原子%)からなるAg合金を用いて、厚さ17nmの半透明の第1の反射層をスパッタリング法により成膜した。
次に、第1の反射層上に、第1樹脂層を形成するための所定の紫外線硬化性樹脂〔1〕を円形に滴下し、スピナー法により厚さ約25μmの膜(第1樹脂層)を形成した。一方、PCスタンパの案内溝が形成された面に、第2樹脂層(最外樹脂層)を形成するための所定の紫外線硬化性樹脂〔2〕を円形に滴下し、スピナー法により厚さ約25μmの膜(第2樹脂層)を形成した。
なお、紫外線硬化性樹脂〔1〕,〔2〕としてそれぞれラジカル系紫外線硬化性樹脂を用いた。詳細は以下のとおりである。また、PCスタンパに用いたポリカーボネートと、最外樹脂層を形成する紫外線硬化性樹脂〔2〕の硬化後のガラス転移温度を表−1に示す。
その後、接着体を恒温槽から取り出して接着体の表面温度を株式会社KEYENCE製の非接触型温度計IT2−60で測定した後、PCスタンパを剥離した。ここで、恒温槽に保持した時間及びPCスタンパ剥離直前に測定した接着体の表面温度を表−2に示す。
そして、剥離後のPCスタンパの表面について、蛍光灯下の目視検査又は光学顕微鏡観察を行ない、以下の基準により、剥離性を評価した。
○:容易に剥離でき、PCスタンパ表面に紫外線硬化性樹脂の残渣が無い。
×:剥離が困難、又は、剥離後のPCスタンパ表面に紫外線硬化性樹脂の残渣(キズ)が目視検査で認識される。
実施例1〜4,比較例1,2のそれぞれについて、上記基準で評価した剥離性の結果を表−3に示す。以上を経て、第1樹脂層と第2樹脂層とが積層された厚さ約50μmの中間層を形成した。
中間層の上に、含金属アゾ色素のテトラフルオロロペンタノール溶液(濃度2重量%)を滴下してスピナー法により塗布した。塗布後、70℃で30分間乾燥し第2の記録層を形成した。
続いて、Ag−Bi(Bi:1.0原子%)からなるAg合金を用いて、厚さ120nmの第2の反射層をスパッタリング法により成膜した。
さらに、第2の反射層上に、紫外線硬化性樹脂をスピンコートして接着層を設けた。そして、この接着層上に直径120mm、厚さ0.6mmのポリカーボネート基板を載置して第2基板とし、紫外線を照射し硬化接着させた。
このようにして、2つの記録層を有する多層型の光記録媒体を製造した。
(2−1)光記録媒体のPush−Pull信号の測定
予め調製した2個の記録層を有する光記録媒体(上記の「(1)光記録媒体の作製」で作製した光記録媒体)の第2の記録層から得られるPush−Pull信号を測定した。数値が大きいほど、記録特性が良好である。なお、Push−Pull信号は下記式で定義される。
Push−Pull信号は、光記録媒体上の3箇所(半径位置:25mm、40mm、55mm)で測定した。各実施例及び各比較例の光記録媒体のPush−Pull信号の測定結果を表−3に示す。
測定は、Expert社 DVDT−SD1を用いて行なった。DVD+R 8,5 Gbytes Basic Format Specifications verson 1.0に則り、PI Errorの値は280個以下を合格とし、値が小さいほど良いとする。
PIエラーは、光記録媒体上の3箇所(半径位置:25mm、40mm、55mm)で測定した。各実施例及び各比較例の光記録媒体のPIエラーの測定結果を表−3に示す。
これは、接着体を加熱することで、PCスタンパと第2樹脂層(最外樹脂層)との熱膨張の違いが発生すること、PCスタンパと第2樹脂層(最外樹脂層)との界面(接着面)の分子間結合が弱められること、などによって剥離しやくなるためと考えられる。
比較例1、2において剥離性が不良である理由は、ポリカーボネートの極性基が第2樹脂層(最外樹脂層)の界面で分子間結合を形成し、その分子間結合のエネルギーがPCと第2樹脂層(最外樹脂層)の界面を剥離するときに生じるエネルギーよりも大きく、第2樹脂層(最外樹脂層)の紫外線硬化樹脂の結合を破壊した為と考えられる。
従って、工業生産における品質の安定性やコスト等を考慮すると、スタンパ剥離時の加熱が非常に有効であるといえる。
紫外線硬化性樹脂〔3〕:日本化薬株式会社製MPZ383A(Tg=150℃)
紫外線硬化性樹脂〔4〕:日本化薬株式会社製MPZ368(Tg=193℃)
紫外線硬化性樹脂〔5〕:日本化薬株式会社製MPZ383B(Tg=165℃)
実施例1で用いた第1基板上に、上記紫外線硬化性樹脂〔1〕を円形に滴下し、スピナー法により厚さ約25μmの膜(第1樹脂層)を形成した。一方、PCスタンパの案内溝が形成された面に、上記紫外線硬化性樹脂〔2〕を円形に滴下し、スピナー法により厚さ約25μmの膜(第2樹脂層)を形成した。
その後、室温(25℃)においてPCスタンパを剥離した。なお、PCスタンパと第2樹脂層(最外樹脂層)との剥離は以下のようにして行なった。つまり、上記基礎実験用の接着体の外周部にナイフエッジを差し込んだ後、力を加えてPCスタンパを第2樹脂層(最外樹脂層)から剥離させた。
2 第1記録層形成装置
3 第1反射層形成装置
4 樹脂原料層形成装置
5 樹脂原料層硬化装置
6 スタンパ剥離装置
7 第2記録層形成装置
8 第2反射層形成装置
9 第2基板形成装置
10 搬送手段
100 光記録媒体
101 第1基板
102 第1記録層
103 第1反射層
104 中間層
104a 樹脂原料層(紫外線硬化性樹脂原料層)
104a1 第1樹脂層
104a2 第2樹脂層(最外樹脂層)
105 第2記録層
106 第2反射層
107 接着層
108 第2基板
109 レーザ光
110 スタンパ
111 データ基板
112,112’ 接着体
113 光記録媒体用積層体
Claims (8)
- 少なくとも、基板、記録層、及び、凹凸形状を有する中間層を備えた光記録媒体の製造方法であって、
前記基板上に、直接又は他の層を介して、前記記録層を形成する工程と、
前記記録層上に、直接又は他の層を介して、樹脂原料層を形成する工程と、
前記樹脂原料層上に、前記凹凸形状に対応した転写用凹凸形状を有するスタンパを載置した状態で、前記樹脂原料層を硬化させて、前記基板、前記記録層、前記樹脂原料層及び前記スタンパを備えた接着体を得る工程と、
前記接着体から前記スタンパを剥離し、前記樹脂原料層に前記転写用凹凸形状を転写して前記中間層を形成する工程とを有し、かつ、
前記スタンパを剥離する工程を、前記接着体が加熱された状態で行なう
ことを特徴とする、光記録媒体の製造方法。 - 前記スタンパを剥離する際の前記接着体の温度が、50℃以上である
ことを特徴とする、請求項1記載の光記録媒体の製造方法。 - 前記スタンパを剥離する際の前記接着体の温度が、前記スタンパのガラス転移温度以下である
ことを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の光記録媒体の製造方法。 - 前記樹脂原料層が複数の樹脂層から構成され、前記複数の樹脂層のうち前記スタンパと接する樹脂層を最外樹脂層とした場合に、
前記スタンパを剥離する際の前記接着体の温度が、前記スタンパのガラス転移温度及び前記最外樹脂層の硬化後のガラス転移温度以下である
ことを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の光記録媒体の製造方法。 - 前記スタンパが、ポリカーボネート系樹脂製である
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の光記録媒体の製造方法。 - 前記樹脂原料層が、放射線硬化性樹脂からなる
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の光記録媒体の製造方法。 - 前記光記録媒体が、記録層を2層以上有する多層光記録媒体である
ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の光記録媒体の製造方法。 - 少なくとも、基板、記録層、及び、凹凸形状を有する中間層を備えた光記録媒体の製造装置であって、
前記基板上に、直接又は他の層を介して、前記記録層を形成する手段と、
前記記録層上に、直接又は他の層を介して、樹脂原料層を形成する手段と、
前記樹脂原料層上に、前記凹凸形状に対応した転写用凹凸形状を有するスタンパを載置した状態で、前記樹脂原料層を硬化させて、前記基板、前記記録層、前記樹脂原料層及び前記スタンパを備えた接着体を得る手段と、
前記接着体から前記スタンパを剥離し、前記樹脂原料層に前記転写用凹凸形状を転写して前記中間層を形成する手段とを備え、かつ、
前記スタンパを剥離する手段が、前記接着体が加熱された状態で剥離を行なう
ことを特徴とする、光記録媒体の製造装置。
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