JP2007164831A - 薄膜磁気ヘッド及びその製造方法 - Google Patents

薄膜磁気ヘッド及びその製造方法 Download PDF

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亮 中林
Yosuke Ide
洋介 井出
Masaji Saito
正路 斎藤
Naoya Hasegawa
直也 長谷川
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Abstract

【課題】 特に、出力の向上とジュール熱の低減、さらには感度の向上を図ることが可能な薄膜磁気ヘッド及びその製造方法を提供することを目的としている。
【解決手段】 フリー磁性層30、非磁性材料層29及び第2固定磁性層28cからなるスピン依存散乱部31の膜面と平行な方向での面積は、第1固定磁性層28aの膜面と平行な方向での面積に比べて小さく、前記スピン依存散乱部31のトラック幅方向の幅寸法Tw2は、前記第1固定磁性層28aのトラック幅方向の幅寸法Tw3より小さく形成され、前記スピン依存散乱部31の両側側面31aと、前記第1固定磁性層28aの両側側面との間には段差部37が設けられ、前記スピン依存散乱部31の側面は連続面で形成されている。これにより、出力の向上とジュール熱の低減、さらには感度の向上を図ることができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、ハードディスク装置等に備えられた記録媒体の記録信号を再生するための薄膜磁気ヘッドに係り、特に、出力の向上とジュール熱の低減、さらには感度の向上を図ることが可能な薄膜磁気ヘッド及びその製造方法に関する。
スピンバルブ型薄膜素子は、反強磁性層、固定磁性層、非磁性材料層及びフリー磁性層を有して成る積層体と、前記積層体の両側に形成されたハードバイアス層とを有して成る。
前記積層体の膜面と垂直方向に電流が流れる構造はCPP(Current Perpendicular to the Plane)型と呼ばれている。CPP型のスピンバルブ型薄膜素子では、前記ハードバイアス層の上下に絶縁層が設けられている。また前記スピンバルブ型薄膜素子の上下に電極層が設けられる。例えば前記スピンバルブ型薄膜素子の上下に形成されるシールド層が前記電極層としても用いられる。
図23は従来のCPP型のデュアルスピンバルブ型薄膜素子を用いた薄膜磁気ヘッドの構造である。図23は、前記薄膜磁気ヘッドを記録媒体との対向面と平行な方向から切断した断面図である。
符号1は下部シールド層である。前記下部シールド層1上にデュアルスピンバルブ型薄膜素子2が形成される。前記デュアルスピンバルブ型薄膜素子2のトラック幅方向(図示X方向)のほぼ中央には積層体3が形成されている。
前記積層体3は、下から下地層4、シード層5、下側反強磁性層6、下側固定磁性層7、下側非磁性材料層8、フリー磁性層9、上側非磁性材料層10、上側固定磁性層11、上側反強磁性層12、及び保護層13の順に積層されている。
前記下側固定磁性層7及び前記上側固定磁性層11は積層フェリ構造で形成される。前記下側固定磁性層7は、下から下側第1固定磁性層7a、下側非磁性中間層7b、下側第2固定磁性層7cの順に積層され、前記上側固定磁性層11は、下から上側第2固定磁性層11c、上側非磁性中間層11b、上側第1固定磁性層11aの順に積層されている。
図23に示すように前記積層体3のトラック幅方向(図示X方向)の両側領域には、下から絶縁層14、ハードバイアス層15及び絶縁層16の順に積層されている。そして前記スピンバルブ型薄膜素子2上には上部シールド層17が形成されている。
図23の構造では、前記下部シールド層1及び上部シールド層17が電極層を兼ねている。よって電流は、前記シールド層1,17から前記積層体3の膜面に対し垂直方向に流される。前記絶縁層14,16は前記電流が前記積層体2のトラック幅方向(図示X方向)の両側に分流するのを抑制するために設けられる。図23に示すように前記積層体3のトラック幅方向の幅寸法(トラック幅Tw)は、Tw1で形成されている。
ところで、抵抗変化量(ΔR)及び再生出力(ΔV)に主として寄与する層は、第2固定磁性層7c,10c、非磁性材料層8,10、及びフリー磁性層9である。これら層内でスピン依存散乱が生じることで、抵抗変化量(ΔR)及び再生出力(ΔV)が得られるのである。
前記再生出力(ΔV)は、η・Δρ・I・t/(Tw・h)で示される。ηは定数、Δρは、第2固定磁性層7c,10c、非磁性材料層8,10、及びフリー磁性層9から成るスピン依存散乱部の抵抗率の変化量、Iは電流値、tは、前記下側第2固定磁性層7c、前記下側非磁性材料層8、前記フリー磁性層9、前記上側非磁性材料層10、前記上側第2固定磁性層11c(以下、これらの層をスピン依存散乱部と称する)の膜厚、Twは前記スピン依存散乱部の平均トラック幅Tw1、hは、前記スピン依存散乱部のハイト方向(図示Y方向)への平均長さ、である。なお電流値Iは特に断らない限り一定であるとして説明する。
上記の再生出力(ΔV)の式を見てわかるように、スピン依存散乱部の膜面と平行な方向(図示X−Y平面)での面積(Tw・h)を小さくすれば、前記再生出力(ΔV)を大きくできる。
したがって、従来では、前記トラック幅Tw1を小さくして、前記再生出力(ΔV)を大きくしようとしていた。
特開2005−167236号公報
図23に示すデュアルスピンバルブ型薄膜素子2では、前記積層体3を構成する全層のトラック幅をTw1となるように制御している。
しかしかかる場合、必要以上に前記積層体3の抵抗値が上昇してしまい、ジュール熱が大きくなるといった問題があった。スピンバルブ型薄膜素子2は熱に弱いため、ジュール熱を出来る限り抑制することが必要である。
上記した特許文献1では、この明細書に添付した図24に示すように、固定磁性層7,11のトラック幅方向の寸法をW1とし、非磁性材料層8,10のトラック幅方向の寸法をW2とし、フリー磁性層9のトラック幅方向の寸法をW3とし、W1,W2,W3には、W1>W2>W3の関係が成り立っている。特許文献1の構造では、図24に示すように、固定磁性層7,11と非磁性材料層8,10との間、及び非磁性材料層8,10とフリー磁性層9との間に夫々段差18,19が形成されている。
例えば図23に示すトラック幅方向の寸法TW1が、図24に示すトラック幅W1と同じであると仮定すると、図24に示す構造は、図23に比べて必要以上に素子抵抗が上昇せず、ジュール熱を小さくできる構造となっている。
しかし図24に示す構造では、以下のような問題点があった。まず、スピン依存散乱に寄与する第2固定磁性層7c,11cのトラック幅方向の幅寸法は、第1固定磁性層7a,11aと同じ幅寸法W1であり、前記第2固定磁性層7c,11cの記録媒体との対向面と平行な方向(図示X−Z平面)での断面積は大きく形成され、その結果、記録媒体からの外部磁界が前記第2固定磁性層7c,11cに入りやすい構造となっている。このため前記フリー磁性層9に入る外部磁界強度が弱くなり、再生感度が低下することで、抵抗変化(ΔR)や再生出力(ΔV)の低下をもたらした。
また図24に示すように、段差19を介してフリー磁性層9のトラック幅方向の寸法w1よりも幅寸法の大きい非磁性材料層8,10が形成されているため、電流は矢印方向に示すように、前記非磁性材料層8,10間にハードバイアス層15を介して流れる割合が増加する。これにより、スピン依存散乱部を構成するフリー磁性層への電流密度が低下するため再生出力(ΔV)が低下するといった問題があった。
また、フォトリソグラフィ技術を用いて、図24に示す積層体3の構造を形成するには、多数回のフォトリソグラフィ技術を用いないと形成できず、製造が非常に煩雑化しやすい。
なお前記フォトリソグラフィ技術を用いて図23,図24に示す積層体3を形成すると、前記積層体3は、上側から下側に向けてトラック幅方向の幅寸法が広がって形成されやすいが、かかる場合でも上記と同様の問題が生じる。
そこで本発明は、上記従来の課題を解決するためのものであり、特に、出力の向上とジュール熱の低減、さらには感度の向上を図ることが可能な薄膜磁気ヘッド及びその製造方法を提供することを目的としている。
本発明は、磁気検出素子と前記磁気検出素子の上下に形成された電極層とを有して成る薄膜磁気ヘッドにおいて、
前記磁気検出素子は、固定磁性層と前記固定磁性層に非磁性材料層を介して対向するフリー磁性層とを有して成る積層体と、前記積層体のトラック幅方向の両側に形成されたバイアス層と、前記バイアス層の上下に形成された絶縁層とを有して構成され、
前記固定磁性層は第1固定磁性層と、第2固定磁性層と、前記第1固定磁性層と第2固定磁性層間に介在する非磁性中間層とが積層された積層フェリ構造であり、前記第2固定磁性層が前記非磁性材料層に接して形成されており、
前記フリー磁性層、前記非磁性材料層及び前記第2固定磁性層からなるスピン依存散乱部の膜面と平行な方向での面積は、前記第1固定磁性層の膜面と平行な方向での面積に比べて小さく、
前記スピン依存散乱部のトラック幅方向の幅寸法は、前記第1固定磁性層のトラック幅方向の幅寸法より小さく形成され、
前記スピン依存散乱部のトラック幅方向の両側側面と、前記第1固定磁性層のトラック幅方向の両側側面との間には段差が設けられ、前記スピン依存散乱部のトラック幅方向の両側側面は連続面で形成されていることを特徴とするものである。
本発明では、第2固定磁性層、非磁性材料層及びフリー磁性層から成るスピン依存散乱部は、他の部分に比べて膜面と平行な方向での面積及びトラック幅方向の幅寸法が小さくなるように形成されている。さらに、前記スピン依存散乱部のトラック幅方向の両側端面は連続面であるが、前記第1固定磁性層の両側端面と前記スピン依存散乱部の両側端面間には段差部が設けられている。
本発明の構造により、必要以上に素子抵抗を上昇させることなく、スピン依存散乱部の膜面と平行な方向の面積に反比例の関係にある再生出力(ΔV)を大きくできる。さらに、上記したように、第2固定磁性層と第1固定磁性層との間には段差が形成され、前記第2固定磁性層のトラック幅方向の幅寸法は、図24に示す従来構造よりも十分に小さく形成されるので、再生感度を向上させることができ、抵抗変化量(ΔR)及び更なる再生出力(ΔV)の向上を図ることが可能である。
また本発明では、下から反強磁性層、前記第1固定磁性層、前記非磁性中間層、前記第2固定磁性層、前記非磁性材料層、前記フリー磁性層の順に積層され、前記反強磁性層、前記第1固定磁性層、前記非磁性中間層の前記トラック幅方向の両側端面は、下から上に向けて徐々にトラック幅方向の幅寸法が小さくなるように連続した傾斜面で形成されており、前記段差を介して前記非磁性中間層上に前記スピン依存散乱部が形成されていることが好ましい。これにより、より適切に再生出力(ΔV)の向上、素子抵抗の低減及び再生感度の向上を図ることが出来る。また上記構成により、前記スピン依存散乱部の膜面と平行な方向での面積及びトラック幅方向の幅寸法を他の部分よりも、適切に小さく形成できる。
また本発明は、磁気検出素子と前記磁気検出素子の上下に形成された電極層とを有して成る薄膜磁気ヘッドにおいて、
前記磁気検出素子は、フリー磁性層と前記フリー磁性層の上に形成された上側非磁性材料層と前記上側非磁性材料層の上に形成された上側固定磁性層と前記フリー磁性層の下に形成された下側非磁性材料層と前記下側非磁性材料層の下に形成された下側固定磁性層とを有して成る積層体と、前記積層体のトラック幅方向の両側に形成されたバイアス層と、前記バイアス層の上下に形成された絶縁層とを有して構成され、
前記上側固定磁性層は、上側第1固定磁性層と、上側第2固定磁性層と、前記上側第1固定磁性層と前記上側第2固定磁性層間に介在する上側非磁性中間層とが積層された積層フェリ構造であり、前記上側第2固定磁性層が前記上側非磁性材料層に接して形成されており、
前記下側固定磁性層は、下側第1固定磁性層と、下側第2固定磁性層と、前記下側第1固定磁性層と前記下側第2固定磁性層間に介在する下側非磁性中間層とが積層された積層フェリ構造であり、前記下側第2固定磁性層が前記下側非磁性材料層に接して形成されており、
前記フリー磁性層、前記上側非磁性材料層、前記下側非磁性材料層、前記下側第2固定磁性層、及び前記上側第2固定磁性層から成るスピン依存散乱部の膜面と平行な方向での面積は、前記上側第1固定磁性層及び前記下側第1固定磁性層の膜面と平行な方向での面積に比べて小さく、
前記スピン依存散乱部のトラック幅方向の幅寸法は、前記上側第1固定磁性層及び前記下側第1固定磁性層のトラック幅方向の幅寸法より小さく形成され、
前記スピン依存散乱部の両側側面と、前記下側第1固定磁性層のトラック幅の両側側面との間には下側段差部が設けられ、前記スピン依存散乱部のトラック幅の両側側面と、前記上側第1固定磁性層のトラック幅の両側側面との間には上側段差部が設けられ、前記スピン依存散乱部のトラック幅方向の両側側面は連続面で形成されていることを特徴とするものである。
本発明では、下側第2固定磁性層、下側非磁性材料層、フリー磁性層、上側非磁性材料層、上側第2固定磁性層から成るスピン依存散乱部は、他の部分に比べて膜面と平行な方向での面積及びトラック幅方向の幅寸法が小さくなるように形成されている。さらに、前記スピン依存散乱部のトラック幅方向の両側端面は連続面であるが、前記下側第1固定磁性層及び前記上側第1固定磁性層の両側端面と前記スピン依存散乱部の両側端面間には段差部が設けられている。
本発明の構成により、必要以上に素子抵抗を上昇させることなく、スピン依存散乱部の膜面と平行な方向の面積に反比例の関係にある再生出力(ΔV)を大きくできる。さらに、上記したように、前記下側第2固定磁性層と前記下側第1固定磁性層との間、及び前記上側第2固定磁性層と前記上側第1固定磁性層との間には段差が形成され、前記第2固定磁性層のトラック幅方向の幅寸法は、図24に示す従来構造よりも適切に小さく形成されるので、再生感度を向上させることができ、抵抗変化量(ΔR)及び更なる再生出力(ΔV)の向上を図ることが可能である。さらに図24の従来構造に比べて電流の分流ロスを抑制できる。
また本発明では、前記下側第1固定磁性層の下には下側反強磁性層が形成され、前記下側反強磁性層、前記下側第1固定磁性層、前記下側非磁性中間層の前記トラック幅方向の両側端面は、下から上に向けて徐々にトラック幅方向の幅寸法が小さくなるように連続した傾斜面で形成されており、
前記下側段差部を介して前記下側非磁性中間層上に形成された前記スピン依存散乱部のトラック幅方向の両側端面と、前記上側非磁性中間層のトラック幅方向の両側側面とは連続面で形成され、
前記上側段差部を介して前記上側非磁性中間層上に形成された上側第1固定磁性層、及び前記上側第1固定磁性層上に形成された上側反強磁性層の前記トラック幅方向の両側端面は、下から上に向けて徐々にトラック幅方向の幅寸法が小さくなるように連続した傾斜面で形成されていることが好ましい。これにより、より適切に再生出力(ΔV)の向上、素子抵抗の低減及び再生感度の向上を図ることが出来る。また上記構成により、前記スピン依存散乱部の膜面と平行な方向での面積及びトラック幅方向の幅寸法を他の部分よりも、適切に小さく形成できる。
本発明における薄膜磁気ヘッドの製造方法は、以下の工程を有することを特徴とするものである。
(a) 下側電極層上に、下から反強磁性層、第1固定磁性層、非磁性中間層、第2固定磁性層、非磁性材料層、及びフリー磁性層の順に積層された積層体を形成する工程、
(b) 第2固定磁性層、非磁性材料層及びフリー磁性層のスピン依存散乱部のトラック幅方向の両側端面を削除加工する工程、
(c) 前記スピン依存散乱部のトラック幅方向の両側に第1絶縁層を介してバイアス層を形成し、さらに前記バイアス層間上に第2絶縁層を形成する工程、
(d) 前記フリー磁性層上に上側電極層を形成する工程、
上記の製造工程により、第2固定磁性層、非磁性材料層及びフリー磁性層から成るスピン依存散乱部の膜面と平行な方向での面積及びトラック幅方向の幅寸法を他の部分よりも、適切且つ簡単に小さく形成できる。
また本発明では、前記(a)工程と前記(b)工程の間に、
(e) 前記積層体のトラック幅方向の両側端面を削除加工する工程、を含み、
前記(e)工程後、前記(b)工程で、前記スピン依存散乱部のトラック幅方向の両側端面を部分的に削除加工し、
さらに、前記(c)工程と前記(d)工程の間に、
(f) 前記積層体のハイト方向の後端面側を削除加工し、前記ハイト方向の後端面に第3絶縁層を形成する工程、
を含むことが好ましい。上記の加工を行うことで、前記積層体の周囲を絶縁層で適切に囲うことができ、電流の分流ロスの少ない磁気検出素子を製造できる。
また本発明における薄膜磁気ヘッドの製造方法は、以下の工程を有することを特徴とするものである。
(g) 下側電極層上に、下から下側反強磁性層、下側第1固定磁性層、下側非磁性中間層、下側第2固定磁性層、下側非磁性材料層、フリー磁性層、上側非磁性材料層、上側第2固定磁性層、上側非磁性中間層の順に積層された第1積層体を形成する工程、
(h) 前記上側非磁性中間層、前記上側第2固定磁性層、前記上側非磁性材料層、前記フリー磁性層、前記下側非磁性材料層及び前記下側第2固定磁性層のスピン依存散乱部及び前記上側非磁性中間層のトラック幅方向の両側端面を削除加工する工程、
(i) 前記スピン依存散乱部のトラック幅方向の両側に第4絶縁層を介してバイアス層を形成し、さらに前記バイアス層間上に第5絶縁層を形成する工程、
(j) 前記第1積層体上及び前記第5絶縁層上に、下から上側第1固定磁性層、上側反強磁性層の順に積層された第2積層体を形成する工程、
(k) 前記上側反強磁性層上に上側電極層を形成する工程、
上記の製造工程により、下側第2固定磁性層、下側非磁性材料層、フリー磁性層、上側非磁性材料層、上側第2固定磁性層から成るスピン依存散乱部の膜面と平行な方向での面積及びトラック幅方向の幅寸法を他の部分よりも、適切且つ簡単に小さく形成できる。特に、前記(g)工程で、前記上側非磁性中間層までを積層した後、前記(h)工程で、トラック幅方向の幅寸法の加工工程を行い、前記(j)工程で、前記非磁性中間層上に前記第2固定磁性層、及び前記下側反強磁性層を積層する。このような製造工程とすることで、前記上側第1固定磁性層と前記上側第2固定磁性層との間に適切にRKKY相互作用を適切に生じさせ、前記上側第1固定磁性層と前記上側第2固定磁性層とを適切にハイト方向と平行な方向に磁化固定することが可能である。
本発明では、前記(g)工程と、前記(h)工程の間に、
(l) 前記第1積層体のトラック幅方向の両側端面を削除加工する工程、を含み、
前記(l)工程後、前記(h)工程で、前記スピン依存散乱部及び前記上側非磁性中間層のトラック幅方向の両側端面を部分的に削除加工し、
前記(j)工程と前記(k)工程の間に、
(m) 前記(h)工程でのスピン依存散乱部のトラック幅方向の幅寸法よりも大きい幅寸法にて、前記第2積層体のトラック幅方向の両側端面を削除加工する工程、
(n) 前記第2積層体のトラック幅方向の両側に第6絶縁層を形成する工程、
(o) 前記第1積層体と前記第2積層体とを有して成る積層体のハイト方向の後端面側を削除加工し、前記ハイト方向の後端面に第7絶縁層を形成する工程、
を含むことが好ましい。上記の加工を行うことで、前記積層体の周囲を絶縁層で適切に囲うことができ、電流の分流ロスの少ない磁気検出素子を製造できる。
本発明によれば、必要以上に素子抵抗を上昇させることなく、スピン依存散乱部の膜面と平行な方向の面積に反比例の関係にある再生出力(ΔV)を大きくでき、さらに再生感度を向上させることができる。
図1は本実施形態のシングルスピンバルブ型薄膜素子(磁気検出素子)を備えた再生磁気ヘッド(薄膜磁気ヘッド)を、記録媒体との対向面と平行な方向から切断した部分断面図、図2は図1に示す再生磁気ヘッドをA−A線に沿って図示Z−Y平面と平行な方向に切断し、その切断面を矢印方向から見た前記再生磁気ヘッドの部分断面図である。
前記再生磁気ヘッドは、ハードディスク装置に設けられた浮上式スライダのトレーリング側端部などに設けられて、ハードディスクなどの記録磁界を検出するものである。なお、図中においてX方向は、トラック幅方向、Y方向は、磁気記録媒体からの洩れ磁界の方向(ハイト方向)、Z方向は、ハードディスクなどの磁気記録媒体の移動方向及び前記シングルスピンバルブ型薄膜素子の各層の積層方向、である。各方向は残り2つの方向に対し直交する関係となっている。「記録媒体との対向面」とは、X−Z平面と平行な方向の面である。
図1の最も下に形成されているのは、NiFe合金等の磁性材料で形成された下部シールド層20である。
前記下部シールド層20の上に、シングルスピンバルブ型薄膜素子23が形成されている。前記シングルスピンバルブ型薄膜素子23は、感磁部としての積層体24と前記積層体24のトラック幅(図示X方向)の両側に形成された側方領域25,25とで構成される。
前記積層体24のうち最も下には、下地層21が形成される。前記下地層21はTa,Hf,Nb,Zr,Ti,Mo,Wのうち1種または2種以上の元素などの非磁性導電材料で形成される。前記下地層21上にはシード層26が設けられる。前記シード層26は、例えばNiFeCrによって形成される。前記シード層26をNiFeCrによって形成すると、前記シード層26は、面心立方(fcc)構造を有し、膜面と平行な方向に{111}面として表される等価な結晶面が優先配向しているものになる。
前記シード層26の上に形成された反強磁性層27は、元素X(ただしXは、Pt,Pd,Ir,Rh,Ru,Osのうち1種または2種以上の元素である)とMnとを含有する反強磁性材料、あるいは元素Xと元素X′(ただし元素X′は、Ne,Ar,Kr,Xe,Be,B,C,N,Mg,Al,Si,P,Ti,V,Cr,Fe,Co,Ni,Cu,Zn,Ga,Ge,Zr,Nb,Mo,Ag,Cd,Sn,Hf,Ta,W,Re,Au,Pb、及び希土類元素のうち1種または2種以上の元素である)とMnとを含有する反強磁性材料で形成される。例えば前記反強磁性層27はIrMnやPtMnで形成される。
前記反強磁性層27上には固定磁性層28が形成される。前記固定磁性層28は、下から第1固定磁性層28a、非磁性中間層28b、第2固定磁性層28cからなる積層フェリ構造で形成される。前記反強磁性層27との界面での交換結合磁界及び前記非磁性中間層28bを介した反強磁性的交換結合磁界(RKKY的相互作用)により前記第1固定磁性層28aと第2固定磁性層28cの磁化方向は互いに反平行状態にされる。この構成により前記固定磁性層28の磁化を安定した状態にでき、また前記固定磁性層28と反強磁性層27との界面で発生する交換結合磁界を見かけ上大きくすることができる。
前記第1固定磁性層28aは、例えば、CoFe、NiFe,CoFeNiなどの強磁性材料で形成されている。また前記非磁性中間層28bは、Ru、Rh、Ir、Cr、Re、Cuなどの非磁性導電材料で形成される。図1に示す構造では前記第2固定磁性層28cが2層構造で形成される。前記第2固定磁性層28cの下側の層(前記非磁性中間層28bと接する層)は、CoFe、NiFe,CoFeNiなどの強磁性材料層28c1で形成され、前記強磁性材料層28c1に形成された層(非磁性材料層29に接する層)はCoMnGe等のホイスラー合金層28c2である。ホイスラー合金は、組成によって強磁性を示し、スピン分極率が大きい金属であり、伝導電子のほとんどが、アップスピン電子またはダウンスピン電子のいずれか一方のみからなるハーフメタルである。前記第2固定磁性層28cの全部あるいは図1のように一部(特に非磁性材料層29に接する側)にホイスラー合金層28c2を設けることでΔRA(ΔR:抵抗変化量、A;膜面と平行な方向のスピン依存散乱部での平均した素子面積)を向上させることが可能である。前記強磁性材料層28c1を前記非磁性中間層28b側に設けることで第1固定磁性層28aとのRKKY相互作用を高めることができ、前記第1固定磁性層28a及び第2固定磁性層28cを適切に磁化固定できる。
前記固定磁性層28上には非磁性材料層29が形成されている。前記非磁性材料層29は、Cu、Au、またはAgで形成されている。Cu、Au、またはAgで形成された非磁性材料層29は、面心立方(fcc)構造を有し、膜面と平行な方向に{111}面として表される等価な結晶面が優先配向している。
前記非磁性材料層29上にはフリー磁性層30が形成されている。前記フリー磁性層30は、NiFe合金やCoFe合金等の強磁性材料、あるいはホイスラー合金、又はこれらの組み合わせ、又は積層フェリ構造等で形成される。図1では前記フリー磁性層30は一層構造であり、例えばホイスラー合金で形成されている。
前記フリー磁性層30上には、Ta等で形成された保護層39が形成される。
なお、以下では、前記第2固定磁性層28c、前記非磁性材料層29及び前記フリー磁性層30を「スピン依存散乱部31」と称する。
図1に示すように前記積層体24のトラック幅方向(図示X方向)の両側領域25,25には、下からエッチング保護用絶縁層22、第1絶縁層32、ハードバイアス層33、第2絶縁層34の順で積層されている。
前記エッチング保護用絶縁層22、前記第1絶縁層32及び前記第2絶縁層34はAlやSiO等の絶縁材料で形成される。前記エッチング保護用絶縁層22は、前記下地層21から前記非磁性中間層28bまでの両側側面に形成される。前記ハードバイアス層33は、CoPt合金やCoCrPt合金等で形成される。前記ハードバイアス層33は前記フリー磁性層30に対して図示X方向へのバイアス磁界を与えるための層であるから、前記ハードバイアス層33は前記フリー磁性層30のトラック幅方向の両側に設けられていることが好ましい。
図1に示すように前記スピンバルブ型薄膜素子23上にはNiFe合金等で形成された上部シールド層35が形成されている。
図2に示すように前記積層体24のハイト側後端面24aは、下から上に向かうにしたがってハイト方向の長さ寸法が徐々に小さくなる連続した傾斜面で形成される。なお「傾斜面」とは、図2からの断面で見たときに前記後端面24aが湾曲形状、及び直線形状で現れるときのどちらも含む。図2に示すように前記後端面24aのハイト側(図示Y方向)にはAlやSiO等の絶縁材料からなるバックフィルギャップ層(第3絶縁層)38が形成されている。
図1,図2に示す実施形態では、第1固定磁性層28aの磁化方向と第2固定磁性層28cの磁化方向は反平行でしかもハイト方向(図示Y方向)と平行な方向に固定される。例えば前記第2固定磁性層28cは図示Y方向に磁化固定され、前記第1固定磁性層28aは図示Y方向とは逆方向に磁化固定される。前記フリー磁性層30は記録媒体からの外部磁界を受けていない状態では、図示X方向に磁化される。記録媒体からの外部磁界を受けて前記フリー磁性層30の磁化は変動する。
前記下部シールド層20及び前記上部シールド層35は電極層としても機能している。図1のスピンバルブ型薄膜素子は、前記シールド層20,35から前記積層体24に対し電流が膜面と垂直方向に流れるCPP−GMRである。
図1に示すように、前記スピン依存散乱部31のトラック幅方向の両側端面31a,31aは、下から上に向かうにしたがって徐々にトラック幅方向への幅寸法が小さくなる連続した傾斜面で形成される。なお「傾斜面」とは、図1からの断面で見たときに前記両側端面31aが湾曲形状、及び直線形状で現れるときのどちらも含む。図1に示すように前記スピン依存散乱部31の両側端面31aは前記保護層39の両側端面も含めて連続面で形成されている。ここで以下、前記スピン依存散乱部31の「素子面積」という場合は、スピン依存散乱部31において平均化したトラック幅方向(図示X方向)の幅寸法Tw2と、前記スピン依存散乱部31において平均化したハイト方向(図示Y方向)への長さ寸法h1とを乗じた値(Tw2×h1)を意味する。図1及び図2には平均化した幅寸法Tw2及び長さ寸法h1が図示されている。またフリー磁性層30、非磁性材料層29、第2固定磁性層28cのトラック幅方向(図示X方向)の幅寸法という場合は、各層における平均化した前記幅寸法を指す。すなわちこの明細書において特に断らない限り、素子面積や幅寸法、長さ寸法と言う場合は、対象となっている層の平均値を指している。
図1に示すように、前記スピン依存散乱部31の下に形成された前記非磁性中間層28b、第1固定磁性層28a、反強磁性層27、シード層26及び下地層21(以下、これらの層をまとめて言うときは、反強磁性層27と第1固定磁性層28a間で交換結合されることにちなんで交換結合含有部36と称する。なお交換結合含有部には少なくとも第1固定磁性層と反強磁性層とが含まれることが必須条件である。)のトラック幅方向の両側端面36a,36aは、下から上に向けて徐々にトラック幅方向(図示X方向)の幅寸法が小さくなるように連続した傾斜面で形成される。なお「傾斜面」とは、図1からの断面で見たときに前記両側端面36aが湾曲形状、及び直線形状で現れるときのどちらも含む。前記交換結合含有部36の前記両側端面36aは連続面で形成されている。
図1に示すように、前記スピン依存散乱部31の素子面積は、前記第1固定磁性層28aの素子面積(第1固定磁性層28aにおいて平均化したトラック幅方向(図示X方向)の幅寸法Tw3と、前記第1固定磁性層28aにおいて平均化したハイト方向(図示Y方向)への長さ寸法h2とを乗じた値(Tw3×h2))よりも小さく、且つ前記スピン依存散乱部31のトラック幅方向の幅寸法Tw2は、前記第1固定磁性層28aのトラック幅方向の幅寸法Tw3に比べて小さく形成されている。
しかも図1に示すように、前記スピン依存散乱部31の前記両側端面31aと、前記交換結合含有部36の前記両側端面36a間には段差部37が設けられている。すなわち、前記スピン依存散乱部31の両側端面31aと前記交換結合含有部36の両側端面36aは連続面で形成されず、前記スピン依存散乱部31のトラック幅方向の幅寸法Tw2及びハイト方向への長さ寸法h1は、第1固定磁性層28aのトラック幅方向の幅寸法Tw3及びハイト方向への長さ寸法h2に比べて十分に小さく形成されている。
CPP−GMRにおいて再生出力(ΔV)は、η・Δρ・I・t/(Tw・h)で示される。ηは定数、Δρは、第2固定磁性層7c,10c、非磁性材料層8,10、及びフリー磁性層9から成るスピン依存散乱部の抵抗率の変化量、Iは電流値、tは、前記スピン依存散乱部31の膜厚、Twは、図1ではTw2、hは、図2ではh1、である。なお電流値Iは特に断らない限り一定であるとして説明する。
上記式に示すように本実施形態では、スピン依存散乱部31の素子面積を部分的に小さくしたことで、前記再生出力(ΔV)を向上させることが出来る。また図23に示す従来例のように、図1における積層体24の素子面積を全体的に小さく形成した場合に比べて、前記交換結合含有部36の素子面積をスピン依存散乱部31に対し段差部37を介してより大きく形成しているので必要以上に素子抵抗は大きくならず、ジュール熱の発生を抑制することが可能である。また図24に示す従来例のように、図1における第2固定磁性層28cのトラック幅方向の両側端面を前記交換結合含有部36の両側端面36aと連続面で形成し、前記フリー磁性層30及び非磁性材料層29を段差を介して小さく形成する形態に比べて、前記第2固定磁性層28cの記録媒体との対向面での断面積(図1の断面に現れる面積)をより適切に小さくできるから、図24に示す従来構造に比べて、前記フリー磁性層30へ記録媒体からの外部磁界が入りやすくなり、適切に再生感度を向上させることが出来る。したがってより効果的に抵抗変化量(ΔR)及び再生出力(ΔV)の向上を図ることが可能である。
図1の実施形態では、前記非磁性中間層28bは、その下に形成されている第1固定磁性層28aと両側端面が連続面で形成されているが、前記非磁性中間層28bの両側端面は、前記スピン依存散乱部31の両側端面31aと連続面で形成され、前記非磁性中間層28bの両側端面と、前記第1固定磁性層28aの両側端面との間に前記段差部37が設けられる形態であってもよい。ただし前記非磁性中間層28bの両側端面を前記スピン依存散乱部31の両側端面31aと連続面で形成すると前記非磁性中間層28bのトラック幅方向(図示X方向)の幅寸法が小さくなることから前記非磁性中間層28bの素子面積が小さくなり素子抵抗が上昇するため、再生出力(ΔV)及び再生感度に寄与するスピン依存散乱部31だけを段差部37を介して小さく形成することが好ましい。
図3に示す実施形態(他の実施形態のシングルスピンバルブ型薄膜素子(磁気検出素子)を備えた再生磁気ヘッドを、記録媒体との対向面と平行な方向から切断した部分断面図)では、図1に示す実施形態と異なってスピン依存散乱部31のトラック幅方向(図示X方向)の両側端面31aが膜面に対して垂直方向(図示Z方向)に形成され、前記スピン依存散乱部31を構成する各層が同じトラック幅方向の幅寸法Tw4で形成されている。また、前記スピン依存散乱部31の下に段差部37を介して形成された交換結合含有部36のトラック幅方向(図示X方向)の両側端面36aは、膜面に対して垂直方向(図示Z方向)に形成され、前記交換結合含有部36を構成する各層が同じトラック幅方向の幅寸法Tw5で形成されている。
また図4(図3に示す再生磁気ヘッドをB−B線に沿って図示Z−Y平面と平行な方向に切断し、その切断面を矢印方向から見た前記再生磁気ヘッドの部分断面図)に示すように前記積層体24のハイト側後端面24aは膜面に対し垂直方向(図示Z方向)に形成され、各層のハイト方向への長さ寸法は全て同じ長さh3で形成されている。
図3,図4に示す実施形態でも、前記スピン依存散乱部31の素子面積(Tw4×h3)及びトラック幅方向の幅寸法Tw4は、前記第1固定磁性層28aの素子面積(Tw5×h3)及びトラック幅方向の幅寸法Tw5に比べて小さく形成され、しかも前記スピン依存散乱部31の両側端面31aは連続面で形成されるとともに、前記スピン依存散乱部31の両側端面31aと前記交換結合含有部36の両側端面36aとの間には段差部37が形成され、前記スピン依存散乱部31が前記交換結合含有部36に比して十分に小さく形成されている(逆に言えば前記交換結合含有部36を前記スピン依存散乱部31よりも十分大きく形成する)。これにより、必要以上に素子抵抗を上昇させることなく再生出力(ΔV)及び再生感度を向上させることが出来る。
図5の実施形態では、前記交換結合含有部36のトラック幅方向(図示X方向)の幅寸法が、所定寸法に加工されておらず、前記スピン依存散乱部31のトラック幅方向の幅寸法Tw2に対して非常に広い幅寸法となっているが、このような形態であってもよい。図5ではエッチング加工が前記スピン依存散乱部31だけに行われている。製造工程を図1に比べて容易化できる(エッチング加工回数を減らせる)が、図1,図2に示すように前記積層体24の周囲を絶縁層で囲む形態であることが電流の分流ロスを適切に抑制でき好ましい。
図6の実施形態(他の実施形態のシングルスピンバルブ型薄膜素子(磁気検出素子)を備えた再生磁気ヘッドを、記録媒体との対向面と平行な方向から切断した部分断面図)では、図1と異なって、積層体24は、下から下地層21、フリー磁性層30、非磁性材料層29、第2固定磁性層28c、非磁性中間層28b、第1固定磁性層28a、反強磁性層27及び保護層39の順に積層されている。前記積層体24のトラック幅方向(図示X方向)の両側には絶縁層40、ハードバイアス層33、絶縁層41、絶縁層42が順に積層されている。
図7(図6に示す再生磁気ヘッドをC−C線に沿って図示Z−Y平面と平行な方向に切断し、その切断面を矢印方向から見た前記再生磁気ヘッドの部分断面図)に示すように、前記積層体24のハイト側後端面24aは下から上に向かうにしたがって徐々にハイト方向への長さ寸法が小さくなる連続した傾斜面で形成されている。
図6,図7に示す実施形態でも、前記スピン依存散乱部31の素子面積及びトラック幅方向の幅寸法Tw6は、前記交換結合含有部36の素子面積及びトラック幅方向の幅寸法Tw7に比べて小さく形成され、しかも前記スピン依存散乱部31の両側端面31aは連続面で形成されるとともに、前記スピン依存散乱部31の両側端面31aと前記交換結合含有部36の両側端面36aとの間には段差部44が形成され、前記スピン依存散乱部31は前記交換結合含有部36に比して十分に小さく形成されている。これにより、必要以上に素子抵抗を上昇させることなく再生出力(ΔV)及び再生感度を向上させることが出来る。
ところで図1,図2に示す構造と図6,図7に示す構造とでどちらが好ましいかといえば図1,図2のほうが好ましい。それは図6,図7の構造の場合、一度に(同一真空中で)前記積層体24を形成できず、途中の非磁性中間層28bまでを形成して図6のように加工し、その後、前記非磁性中間層28b上に交換結合含有部36を形成しなければならず、製造工程が煩雑化すること、また図6,図7の構造では、積層フェリ構造の固定磁性層28を同一真空中で連続成膜できないため、前記第1固定磁性層28aと前記第2固定磁性層28c間に生じるRKKY相互作用が弱くなりやすい。一方、図1及び図2に示す実施形態では、前記積層体24を構成する各層を同一真空中で一度に成膜できるので、前記第1固定磁性層28aと前記第2固定磁性層28c間に生じるRKKY相互作用を図6,図7に示す実施形態に比して強く出来る。よって図1,図2の実施形態のほうが、図6,図7の実施形態よりも前記固定磁性層28を安定して磁化固定でき、ひいてはより適切に抵抗変化量(ΔR)及び再生出力(ΔV)を向上させることが出来る。
図8は、本実施形態のデュアルスピンバルブ型薄膜素子(磁気検出素子)を備えた再生磁気ヘッドを、記録媒体との対向面と平行な方向から切断した部分断面図、図9は、図8に示す再生磁気ヘッドをD−D線に沿って図示Z−Y平面と平行な方向に切断し、その切断面を矢印方向から見た前記再生磁気ヘッドの部分断面図である。図1〜図7の実施形態では、シングルスピンバルブ型薄膜素子が用いられていたが、図8ではデュアルスピンバルブ型薄膜素子が用いられる。なお図1と同じ符号が付けられている層は図1と同じ層を示している。
図8に示すように前記下部シールド層20上にはデュアルスピンバルブ型薄膜素子50が形成される。前記デュアルスピンバルブ型薄膜素子50の感磁部としての積層体51は、下から下地層21、シード層26、下側反強磁性層52、下側固定磁性層53、下側非磁性材料層54、フリー磁性層55、上側非磁性材料層56、上側固定磁性層57、上側反強磁性層58及び保護層39の順に積層されている。前記下側固定磁性層53は、下から下側第1固定磁性層53a、下側非磁性中間層53b及び下側第2固定磁性層53cの順に積層された積層フェリ構造、前記上側固定磁性層57は、下から上側第2固定磁性層57c、上側非磁性中間層57b及び上側第1固定磁性層57aの順に積層された積層フェリ構造である。
前記下側第2固定磁性層53c及び上側第2固定磁性層57cは、強磁性材料層53c1,57c1とホイスラー合金層53c2,57c2との積層構造で形成される。
なお以下では前記下地層21から上側非磁性中間層57bまでの積層体を第1積層体60と、上側第1固定磁性層57a、上側反強磁性層58及び保護層39までの積層体を上側交換結合含有部(あるいは第2積層体。特に第2積層体という表現は製造方法の説明で用いる。)61と、前記第1積層体60のうち、前記下地層21から下側非磁性中間層53bまでの積層体を下側交換結合含有部62と、前記下側第2固定磁性層53c、下側非磁性材料層54、フリー磁性層55、上側非磁性材料層56、上側第2固定磁性層57cまでの積層体をスピン依存散乱部63と呼ぶ場合がある。
前記下側反強磁性層52及び前記上側反強磁性層58は、元素X(ただしXは、Pt,Pd,Ir,Rh,Ru,Osのうち1種または2種以上の元素である)とMnとを含有する反強磁性材料、あるいは元素Xと元素X′(ただし元素X′は、Ne,Ar,Kr,Xe,Be,B,C,N,Mg,Al,Si,P,Ti,V,Cr,Fe,Co,Ni,Cu,Zn,Ga,Ge,Zr,Nb,Mo,Ag,Cd,Sn,Hf,Ta,W,Re,Au,Pb、及び希土類元素のうち1種または2種以上の元素である)とMnとを含有する反強磁性材料で形成される。例えば前記下側反強磁性層52及び前記上側反強磁性層58はIrMnやPtMnで形成される。
前記下側第1固定磁性層53a及び前記上側第1固定磁性層57aは、例えば、CoFe、NiFe,CoFeNiなどの強磁性材料で形成されている。また前記下側非磁性中間層53b及び前記上側非磁性中間層57bは、Ru、Rh、Ir、Cr、Re、Cuなどの非磁性導電材料で形成される。前記下側第2固定磁性層53c及び前記上側第2固定磁性層57cは上記したように2層構造で形成される。
前記下側非磁性材料層54及び前記上側非磁性材料層56はCu、Au、またはAgで形成されている。前記フリー磁性層55は、NiFe合金やCoFe合金等の強磁性材料、あるいはホイスラー合金、又はこれらの組み合わせ、又は積層フェリ構造等で形成される。
図8に示すように、前記積層体51のトラック幅方向(図示X方向)の両側には、下から第4絶縁層65、ハードバイアス層33、第5絶縁層66、及び第6絶縁層67の順に積層されている。前記第4絶縁層65、前記第5絶縁層66、及び前記第6絶縁層67はAlやSiO等の絶縁材料で形成される。
図8に示すように前記デュアルスピンバルブ型薄膜素子50上にはNiFe合金等で形成された上部シールド層35が形成されている。
図9に示すように前記積層体51のハイト側後端面51aは、下から上に向かうにしたがってハイト方向(図示Y方向)の長さ寸法が徐々に小さくなる連続した傾斜面で形成される。なお「傾斜面」には、図9からの断面で見たときに前記後端面51aが湾曲形状、及び直線形状で現れるときのどちらも含む。図9に示すように前記後端面51aのハイト側(図示Y方向)にはAlやSiO等の絶縁材料からなるバックフィルギャップ層(第7絶縁層)68が形成されている。
図8に示すように、前記スピン依存散乱部63のトラック幅方向の両側端面63a,63aは、下から上に向かうにしたがって徐々にトラック幅方向への幅寸法が小さくなる連続した傾斜面で形成される。なお「傾斜面」には、図8からの断面で見たときに前記両側端面63aが湾曲形状、及び直線形状で現れるときのどちらも含む。図8に示すように前記スピン依存散乱部63の両側端面63aは前記上側非磁性中間層57bの両側端面も含めて連続面で形成されている。図8及び図9にはスピン依存散乱部63における平均化した幅寸法Tw8及び長さ寸法h4が図示されている。
図8に示すように、前記スピン依存散乱部31の下に形成された下側交換結合含有部62のトラック幅方向の両側端面62a,62aは、下から上に向けて徐々にトラック幅方向(図示X方向)の幅寸法が小さくなるように連続した傾斜面で形成される。なお「傾斜面」には、図7からの断面で見たときに前記両側端面62aが湾曲形状、及び直線形状で現れるときのどちらも含む。
また図8に示すように、前記スピン依存散乱部31の上に形成された上側交換結合含有部61のトラック幅方向の両側端面61a,61aは、下から上に向けて徐々にトラック幅方向(図示X方向)の幅寸法が小さくなるように連続した傾斜面で形成される。なお「傾斜面」には、図7からの断面で見たときに前記両側端面61aが湾曲形状、及び直線形状で現れるときのどちらも含む。
図8に示すように、前記スピン依存散乱部31の素子面積(Tw8×h4)は、前記下側第1固定磁性層53aの素子面積(前記下側第1固定磁性層53aにおいて平均化したトラック幅方向(図示X方向)の幅寸法Tw9と、前記下側第1固定磁性層53aにおいて平均化したハイト方向(図示Y方向)への長さ寸法h6とを乗じた値(Tw9×h6))及び、前記上側第1固定磁性層57aの素子面積(前記上側第1固定磁性層57aにおいて平均化したトラック幅方向(図示X方向)の幅寸法Tw10と、前記上側第1固定磁性層57aにおいて平均化したハイト方向(図示Y方向)への長さ寸法h5とを乗じた値(Tw10×h5))よりも小さく、且つ前記スピン依存散乱部31のトラック幅方向の幅寸法Tw8は、前記下側第1固定磁性層53aのトラック幅方向の幅寸法Tw9、及び前記上側第1固定磁性層57aのトラック幅方向の幅寸法Tw10に比べて小さく形成されている。なお、図9に示すように、前記上側第1固定磁性層57aのハイト方向への長さ寸法h5は、前記スピン依存散乱部63のハイト方向への長さ寸法h4に比べて小さく形成されるので、前記幅寸法Tw10は、幅寸法Tw8のh4/h5倍よりも大きく形成される。
しかも図8に示すように、前記スピン依存散乱部63の前記両側端面63aと、前記下側交換結合含有部62の両側端面62aとの間には下側段差部70が形成され、前記スピン依存散乱部63の前記両側端面63aと前記上側交換結合含有部61の両側端面61a間には上側段差部71が形成されている。すなわち、前記スピン依存散乱部31の両側端面31aと前記下側交換結合含有部62及び前記上側交換結合含有部61の両側端面62a,61aは連続面で形成されず、前記下側段差部70及び前記上側段差部71を介して前記スピン依存散乱部63のトラック幅方向の幅寸法Tw8及び素子面積は、前記下側第1固定磁性層53a及び前記上側第1固定磁性層57aのトラック幅方向の幅寸法Tw9,Tw10及び各素子面積に比べて十分に小さく形成されている。
本実施形態では、スピン依存散乱部63の素子面積を部分的に小さくしたことで、前記再生出力(ΔV)を向上させることが出来る。また図23に示す従来例のように、図8における積層体51の素子面積を全体的に小さく形成した場合に比べて、前記下側交換結合含有部62及び上側交換結合含有部61の素子面積をスピン依存散乱部31に対し段差部70,71を介して大きく形成しているので必要以上に素子抵抗は大きくならず、ジュール熱の発生を抑制することが可能である。また図24に示す従来例のように、図8における下側第2固定磁性層53c及び上側第2固定磁性層57cのトラック幅方向の両側端面を前記下側交換結合含有部62の両側端面62aおよび前記上側交換結合含有部61の両側端面61aと連続面で形成し、前記フリー磁性層55及び非磁性材料層54,56を段差を介して小さく形成する形態に比べて、前記第2固定磁性層53c,57cの記録媒体との対向面での断面積(図7の断面に現れる面積)を小さくできるから、前記フリー磁性層55へ記録媒体からの外部磁界が入り込みやすくなり、図24の従来技術に比べて再生感度を向上させることが出来る。したがってより適切に抵抗変化量(ΔR)及び再生出力(ΔV)の向上を図ることが可能である。しかも図24の従来技術の場合、上側非磁性材料層及び下側非磁性材料層の幅寸法がフリー磁性層の幅よりも広く形成されており、上側非磁性材料層及び下側非磁性材料層の間にハードバイアス層が入り込んでいたため、前記フリー磁性層を通らずに、上側非磁性材料層−ハードバイアス層−下側非磁性材料層を通る電流の分流ロスが生じたが、図8に示す実施形態では、スピン依存散乱部63の両側端面63aを下から上に向かうにしたがって徐々に幅寸法が小さくなる連続した傾斜面で形成しているので、電流の分流ロスが、従来技術に比べて生じにくい。
図8の実施形態では、前記下側非磁性中間層53bは、その下に形成されている下側第1固定磁性層53aと両側端面が連続面で形成されているが、前記下側非磁性中間層53bの両側端面は、前記スピン依存散乱部63の両側端面63aと連続面で形成され、前記下側非磁性中間層53bの両側端面と、前記下側第1固定磁性層53aの両側端面との間に前記下側段差部70が設けられる形態であってもよい。ただし前記下側非磁性中間層53bの両側端面を前記スピン依存散乱部63の両側端面63aと連続面で形成すると前記下側非磁性中間層53bのトラック幅方向(図示X方向)の幅寸法が小さくなることから前記下側非磁性中間層53bの素子面積が小さくなり素子抵抗が上昇するので、再生出力(ΔV)及び再生感度に寄与するスピン依存散乱部31だけを下側段差部70を介して小さく形成することが好ましい。
図8の形態では、前記スピン依存散乱部63上に形成される上側非磁性中間層57bの両側端面は、前記スピン依存散乱部63の両側端面63aと連続した傾斜面で形成されている。上記した考え方からすれば、素子抵抗の上昇を抑制すべく前記上側非磁性中間層57bのトラック幅方向の幅寸法を大きくし、前記上側交換結合含有部61の両側端面61aと連続面で形成することが望ましいが、前記上側第1固定磁性層57aと前記上側第2固定磁性層57cとの間で適切にRKKY相互作用を生じさせ、さらに前記上側第1固定磁性層57aと前記上側反強磁性層58との間で大きな交換結合磁界(Hex)を生じさせるには、成膜過程において、前記上側非磁性中間層57bまでの第1積層体60を同一真空中で成膜し、図7に示す形状の加工を施した後、前記上側非磁性中間層57bの上面をクリーニングし、その後、図7に示す第2積層体61を前記第1積層体60上に積層することが好ましい。よって図7のように、前記スピン依存散乱部63と前記上側非磁性中間層57bの両側端面とが連続面で形成され、前記上側非磁性中間層57bと前記上側第1固定磁性層57aとの間に前記上側段差部71が形成されている形態であることが好ましい。
図10に示す実施形態(他の実施形態のデュアルスピンバルブ型薄膜素子(磁気検出素子)を備えた再生磁気ヘッドを、記録媒体との対向面と平行な方向から切断した部分断面図)では、図8に示す実施形態と異なってスピン依存散乱部63のトラック幅方向(図示X方向)の両側端面63aが膜面に対して垂直方向(図示Z方向)に形成され、前記スピン依存散乱部63を構成する各層が同じトラック幅方向の幅寸法Tw11で形成されている。また、前記スピン依存散乱部63に対して下側段差部70を介して形成された下側交換結合含有部62のトラック幅方向(図示X方向)の両側端面62a及び、前記スピン依存散乱部63に対して上側段差部71を介して形成された上側交換結合含有部61のトラック幅方向(図示X方向)の両側端面61aは、夫々、膜面に対して垂直方向(図示Z方向)に形成され、前記下側交換結合含有部62及び前記上側交換結合含有部61を構成する各層が同じトラック幅方向の幅寸法Tw12で形成されている。なお前記下側交換結合含有部62の幅寸法と、前記上側交換結合含有部61の幅寸法は異なっていてもよい。
また図示しないが、前記積層体51のハイト側後端面51aは膜面に対し垂直方向(図示Z方向)に形成され、各層のハイト方向への長さ寸法は全て同じ長さh7で形成されている。
図10に示す実施形態でも、前記スピン依存散乱部63の素子面積(Tw11×h7)及びトラック幅方向の幅寸法Tw11は、前記第1固定磁性層53a,57aの素子面積(Tw12×h7)及びトラック幅方向の幅寸法Tw12に比べて小さく形成され、しかも前記スピン依存散乱部63の両側端面63aは連続面で形成されるとともに、前記スピン依存散乱部63の両側端面63aと前記下側交換結合含有部62の両側端面62aとの間には下側段差部70が形成され、また前記スピン依存散乱部63の両側端面63aと前記上側交換結合含有部61の両側端面61aとの間には上側段差部71が形成され、前記スピン依存散乱部63が前記交換結合含有部61,62に比して十分に小さい素子面積及びトラック幅方向の幅寸法で形成されている。これにより、必要以上に素子抵抗を上昇させることなく再生出力(ΔV)及び再生感度を向上させることが出来る。
以下、図1,図2に示す薄膜磁気ヘッドの製造方法について説明する。図11〜図14は、図1と同じ側から見た製造工程中の断面図であり、図15は、図2と同じ側から見た製造工程中の断面図、である。
図11に示す工程では、下部シールド層20上に、下から下地層21、シード層26、反強磁性層27、第1固定磁性層28a、非磁性中間層28b、第2固定磁性層28c、非磁性材料層29、フリー磁性層30及び保護層39の順に成る積層体24を同一真空中で成膜する。各層の材質については図1で説明したのでそちらを参照されたい。
磁場中熱処理を行い、前記反強磁性層27と前記第1固定磁性層28aとの間に交換結合磁界(Hex)を生じさせる。磁場はハイト方向(図示Y方向)に向けられる。
前記保護層39上にトラック幅方向(図示X方向)の幅寸法(最大幅寸法)がTw13で形成された第1のリフトオフ用レジスト層72を形成し、前記第1のリフトオフ用レジスト層72に覆われていない前記積層体24をエッチングにて除去する。図11に示す点線箇所が除去される部分である。
図11に示すように前記積層体24は、下から上に向かうにしたがって徐々にトラック幅方向の幅寸法が小さくなる形態で形成される。前記積層体24のトラック幅方向の両側端面24bは連続した傾斜面となる。図11工程により、前記第1固定磁性層28aのトラック幅方向の幅寸法はTw3となる。
図12工程では図11工程で使用した第1のリフトオフ用レジスト層72を利用して、前記下地層21から前記第1固定磁性層28aまでの交換結合含有部36の両側端面36aにエッチング保護用絶縁層22を形成する。前記第1のリフトオフ用レジスト層72には絶縁材料層22aが付着する。そして前記第1のリフトオフ用レジスト層72を除去する。
図13に示す工程では、前記保護層39上に第2のリフトオフ用レジスト層73を形成する。前記第2のリフトオフ用レジスト層73のトラック幅方向(図示X方向)の幅寸法(最大幅寸法)を、前記第1のリフトオフ用レジスト層72の幅寸法Tw13よりも小さいTw14で形成する。
そして図13工程では、第2固定磁性層28c、非磁性材料層29及びフリー磁性層30から成るスピン依存散乱部31のトラック幅方向(図示X方向)の両側端面31a,31a及び保護層39のトラック幅方向の両側端面をエッチングする。図13に示す点線部分がエッチングにより削られた領域である。この図13工程を施すことにより、前記スピン依存散乱部31のトラック幅方向への(平均)幅寸法はTw2に小さくなる。図13に示すように前記スピン依存散乱部31の両側端面31a及び保護層39の両側端面は、下から上に向かうにしたがって徐々にトラック幅方向の幅寸法が小さくなる連続した傾斜面で形成される。
図13工程に示すように前記交換結合含有部36の両側端面36aにはエッチング保護用絶縁層22が設けられているので、前記下地層21から前記非磁性中間層28bまでの各層は図13工程でのエッチングの影響を受けず、前記エッチングにより、前記スピン依存散乱部31の両側端面31aと交換結合含有部36の両側端面36aとの間には段差部37が形成される。
次に図14工程では、図13工程で使用した第2のリフトオフ用レジスト層73を利用して、前記エッチング保護用絶縁層22上であって、スピン依存散乱部31及び保護層39の両側に、下から第1絶縁層32、ハードバイアス層33、及び第2絶縁層34の順で積層する。前記第2のリフトオフ用レジスト層73には絶縁材料層32a、バイアス材料層33a、絶縁材料層34aが付着する。そして前記第2のリフトオフ用レジスト層73を除去する。
そして図15に示す工程では、前記積層体24上に、第4のリフトオフ用レジスト層74を形成し、前記積層体24のハイト側後端面24aをエッチングする。図15に示すように前記ハイト側後端面24aは、下から上に向かうにしたがって前記積層体24のハイト方向への長さが徐々に小さくなる傾斜面で形成される。
そして前記第4のリフトオフ用レジスト層74を利用して前記下部シールド層20上であって前記積層体24のハイト側後端面24aにバックフィルギャップ層(第3絶縁層)38を形成する。前記第4のリフトオフ用レジスト層74には絶縁材料層38aが付着する。そして前記第4のリフトオフ用レジスト層74を除去する。
次に、前記保護層39の表面をプラズマ処理にて洗浄した後、前記保護層39上、第2絶縁層34上及びバックフィルギャップ層38上に上部シールド層35を形成する。
なお図12工程では、Al2O3等のスパッタされるエッチング保護用絶縁層22の代わりにレジスト層を用いてもよい。そして図14工程前に前記レジスト層を除去し、その後、第1絶縁層32、ハードバイアス層33及び第2絶縁層34の成膜を行う。かかる場合、積層体24の両側には、エッチング保護用絶縁層22は設けられない。
また高性能なエッチング装置を用いれば、前記エッチング保護用絶縁層22やレジスト層を用いずとも、前記スピン依存散乱部31の両側側面だけを精度良く削ることも出来る。
図5に示す薄膜磁気ヘッドの製造方法では、図11工程で積層体24を成膜した後、図11工程でのエッチング工程及び図12工程を行わず、図13工程を行う。図6の薄膜磁気ヘッドの製造方法は、次に説明する図8の薄膜磁気ヘッドの製造方法と大部分共通するので、省略する。
図8に示す薄膜磁気ヘッドの製造方法について説明する。図16〜図20は、図8と同じ側から見た製造工程中の断面図である。
図16工程では、下部シールド層20上に、下から下地層21、シード層26、下側反強磁性層52、下側第1固定磁性層53a、下側非磁性中間層53b、下側第2固定磁性層53c、下側非磁性材料層54、フリー磁性層55、上側非磁性材料層56、上側第2固定磁性層57c、及び上側非磁性中間層57bの順に成る第1積層体60を同一真空中で成膜する。各層の材質については図8で説明したのでそちらを参照されたい。
図16に示すように前記上側非磁性中間層57b上にトラック幅方向(図示X方向)の幅寸法(最大幅寸法)がTw15で形成された第1のリフトオフ用レジスト層80を形成し、前記第1のリフトオフ用レジスト層80に覆われていない前記第1積層体60の両側をエッチングにて除去する。
図16に示すように前記第1積層体60は、下から上に向かうにしたがって徐々にトラック幅方向の幅寸法が小さくなる形態で形成される。前記第1積層体60のトラック幅方向の両側端面60aは連続した傾斜面となる。図16工程により、前記下側第1固定磁性層53aのトラック幅方向の幅寸法はTw9となる。
さらに図16工程では前記第1のリフトオフ用レジスト層80を利用して、前記下地層21から前記下側非磁性中間層53bまでの下側交換結合含有部62の両側端面62aにエッチング保護用絶縁層22を形成する。前記第1のリフトオフ用レジスト層80には絶縁材料層22aが付着する。そして前記第1のリフトオフ用レジスト層80を除去する。
次に、図17に示す工程では、前記上側非磁性中間層57b上に第2のリフトオフ用レジスト層81を形成する。前記第2のリフトオフ用レジスト層81のトラック幅方向(図示X方向)の幅寸法(最大幅寸法)を、前記第1のリフトオフ用レジスト層80の幅寸法Tw15よりも小さいTw16で形成する。
そして図17工程では、下側第2固定磁性層53c、下側非磁性材料層54、フリー磁性層55、上側非磁性材料層56、及び上側第2固定磁性層57cから成るスピン依存散乱部63のトラック幅方向(図示X方向)の両側端面63a,及び上側非磁性中間層57bのトラック幅方向の両側端面をエッチングする。図17に示す点線部分がエッチングにより削られた領域である。この図17工程を施すことにより、前記スピン依存散乱部63のトラック幅方向への(平均)幅寸法はTw8に小さくなる。図17に示すように前記スピン依存散乱部63の両側端面63a及び上側非磁性中間層57bの両側端面は、下から上に向かうにしたがって徐々にトラック幅方向の幅寸法が小さくなる連続した傾斜面で形成される。
図17工程に示すように前記下側交換結合含有部62の両側端面62aにはエッチング保護用絶縁層22が設けられているので、前記下地層21から前記下側非磁性中間層53bまでの各層は図17工程でのエッチングの影響を受けず、前記エッチングにより、前記スピン依存散乱部63の両側端面63aと下側交換結合含有部62の両側端面62aとの間には下側段差部70が形成される。
次に図18工程では、図17工程で使用した第2のリフトオフ用レジスト層81を利用して、前記エッチング保護用絶縁層22上であって、スピン依存散乱部31及び上側非磁性中間層57bの両側に、下から第4絶縁層65、ハードバイアス層33、及び第5絶縁層66の順で積層する。前記第2のリフトオフ用レジスト層81には絶縁材料層65a、バイアス材料層33a、絶縁材料層66aが付着する。そして前記第2のリフトオフ用レジスト層81を除去する。
次に真空装置内で、前記上側非磁性中間層57bの表面をプラズマ処理にてクリーニングする。そして前記真空装置から出さずに、プラズマ処理に連続して図19に示すように、前記真空装置内で、前記上側非磁性中間層57b上及び第5絶縁層66上に、上側第1固定磁性層57a、上側反強磁性層58、保護層39からなる第2積層体(上側交換結合含有部)61を成膜する。
磁場中熱処理を行い、前記下側反強磁性層52と前記下側第1固定磁性層53aとの間、及び前記上側反強磁性層58と前記上側第1固定磁性層57aとの間に交換結合磁界(Hex)を生じさせる。磁場はハイト方向(図示Y方向)に向けられる。例えば前記下側第2固定磁性層53cは、前記下側第1固定磁性層53aに比べてMs・t(Msは飽和磁化、tは膜厚)が大きく、前記上側第2固定磁性層57cは、前記上側第1固定磁性層57aに比べてMs・t(Msは飽和磁化、tは膜厚)が大きくなっている。ハイト方向へ飽和磁界(Hs)よりも大きい磁界を与えて、前記磁界を取り除くと、Ms・tの大きい第2固定磁性層53c,57cはともにハイト方向に磁化固定され、Ms・tの小さい第1固定磁性層53a,57aはともにハイト方向とは逆方向に磁化固定される。なお前記飽和磁界(Hs)とは、磁化方向が反平行である2つの磁性層に対し、一方の磁性層の磁化方向と平行方向の磁界を印加したときに、2つの磁性層の各磁化方向がともに磁界印加方向に飽和し平行方向となるときの磁界の大きさを指す。
次に保護層39上に、第3のリフト用オフレジスト層82を形成する。前記第3のリフトオフ用レジスト層82のトラック幅方向(図示X方向)の幅寸法(最大幅寸法)を、前記第2のリフトオフ用レジスト層81の幅寸法Tw16よりも大きいTw17で形成する。前記第3のリフトオフ用レジスト層82の前記トラック幅方向の幅寸法Tw17を前記第1のリフトオフ用レジスト層80の前記幅寸法Tw15と同じ幅寸法で形成してもよいし異なる値で形成してもよい。
そして前記第3のリフトオフ用レジスト層82に覆われていない前記第2積層体61の両側端面61aをエッチングにて除去する。図19に示すように、前記第2積層体61の両側端面61aは、下から上に向かうにしたがって徐々にトラック幅方向(図示X方向)の幅寸法が小さくなる連続した傾斜面で形成される。なお前記エッチングにて前記第5絶縁層66の一部も除去されるが、特に問題はない。
図19に示すように前記上側第1固定磁性層57aのトラック幅方向(図示X方向)の幅寸法はTw10で形成され、前記スピン依存散乱部63のトラック幅方向の幅寸法Tw8よりも大きく形成される。前記スピン依存散乱部63の両側端面63aと前記第2積層体61の両側端面61aとは連続しておらず前記スピン依存散乱部63の両側端面63aと前記第2積層体61の両側端面61a間には上側段差部71が設けられている。
次に図20に示す工程では、図19工程で使用した第3のリフトオフ用レジスト層82を利用して、前記第5絶縁層66上であって上側交換結合含有部61の両側に、第6絶縁層67を形成する。前記第3のリフトオフ用レジスト層82には絶縁材料層67aが付着する。そして前記第3のリフトオフ用レジスト層82を除去する。
次に先に説明した図15と同様な加工処理を行い、図9のように積層体51のハイト側後端面51aにバックフィルギャップ層(第7絶縁層)68を形成する。そして前記デュアルスピンバルブ型薄膜素子50上に上部シールド層35を形成する。
上記した製造方法によれば、本実施形態の薄膜磁気ヘッドを簡単且つ適切に製造することが可能である。特に本実施形態では図24の従来技術の構造に比べて少ないエッチング加工回数で、適切に再生出力(ΔV)の向上、素子抵抗の低減及び再生感度の向上を図ることが可能な薄膜磁気ヘッドを製造できる。
図8に示すデュアルスピンバルブ型薄膜素子50の構造では、図16工程に示すように、積層体51の途中までを積層し(第1積層体60の形成)、その後、図19工程にて残りの積層体を形成することが必要となる(第2積層体61の形成)。前記第1積層体60を積層するとき、その最上層は前記上側非磁性中間層57bであることが好ましい。前記上側非磁性中間層57bは、第1固定磁性層57aや第2固定磁性層57cに比べて酸化されにくく、前記上側非磁性中間層57bの表面のクリーニング処理によって適切な積層フェリ構造を形成しやすいためである。
また磁場中熱処理は、第2積層体(上側交換結合含有部)61の成膜後、一度に行ったが、図16工程の第1積層体60の成膜後に、下側反強磁性層52と下側第1固定磁性層53a間に交換結合磁界を生じさせるための第1磁場中熱処理を行い、前記第2積層体61の成膜後、上側反強磁性層58と上側第1固定磁性層57a間に交換結合磁界を生じさせるための第2磁場中熱処理を行ってもよい。ただしかかる場合、第2磁場中熱処理での磁場の大きさを、第1磁場中熱処理での磁場の大きさよりも小さくすることが必要である等の制約がある。
なお本実施形態のスピンバルブ型薄膜素子は、非磁性材料層の部分がAl等の絶縁障壁層で形成されたTuMR(Tunnel Magneto Resistive)であってもよい。
またシールド層とは別に、前記シールド層とスピンバルブ型薄膜素子との間に電極層が設けられていてもよい。
図8に示す本実施例の薄膜磁気ヘッドと、図23に示す比較例の薄膜磁気ヘッドを用い、スピン依存散乱部の素子面積をAとしたときの1/AとΔR、及び1/Aとジュール熱との関係について調べた。
なお図23の比較例の薄膜磁気ヘッドの積層体部分は、下から上に向かうにしたがって徐々にトラック幅方向の幅寸法が小さくなる略台形状で形成された。また比較例の薄膜磁気ヘッドの積層体の両側端面の膜面平行方向に対する傾きと実施例の薄膜磁気ヘッドの積層体の両側端面の膜面平行方向に対する傾きとはほぼ同じであった。すなわち比較例では図8に示す段差部70,71の形成は無く、スピン依存散乱部31の両側端面31aと前記下側交換結合含有部62の両側端面62a及び、スピン依存散乱部31の両側端面31aと上側交換結合含有部61の両側端面61aとが連続面で形成された。実施例及び従来例ともに、前記積層体部分の膜厚は800Åであった。実験では、電流値は一定として測定した。
図21は、実施例の薄膜磁気ヘッドを用いた場合の、1/AとΔR、及び1/Aとジュール熱との関係を示すグラフである。Aが小さくなるほど、すなわち1/Aが大きくなるほど、ΔR及びジュール熱は大きくなることがわかった。なお再生出力(ΔV)と抵抗変化量(ΔR)との間には、ΔV=(ΔR・A)A・Iなる関係が成り立っている。よってΔRが大きくなればΔVも大きくなる。
図22は、比較例の薄膜磁気ヘッドを用いた場合の、1/AとΔR、及び1/Aとジュール熱との関係を示すグラフである。ΔRの1/A依存性は、図21及び図22のどちらでもさほど変わらない。これは、ΔRは、スピン依存散乱部の素子面積Aの大小に大きく依存し、他の部位の素子面積にはほとんど依存していないことを示している。
また比較例では、実施例に比べて1/Aに対するジュール熱の変動が大きくなることがわかった。これは、比較例ではスピン依存散乱部だけでなく積層体の全体の素子面積を小さく形成するため素子抵抗が、スピン依存散乱部のみの素子面積を小さくする実施例に比べて上昇したためである。
本実施形態のシングルスピンバルブ型薄膜素子(磁気検出素子)を備えた再生磁気ヘッド(薄膜磁気ヘッド)を、記録媒体との対向面と平行な方向から切断した部分断面図、 図1に示す再生磁気ヘッドをA−A線に沿って図示Z−Y平面と平行な方向に切断し、その切断面を矢印方向から見た前記再生磁気ヘッドの部分断面図、 他の実施形態のシングルスピンバルブ型薄膜素子(磁気検出素子)を備えた再生磁気ヘッドを、記録媒体との対向面と平行な方向から切断した部分断面図、 図3に示す再生磁気ヘッドをB−B線に沿って図示Z−Y平面と平行な方向に切断し、その切断面を矢印方向から見た前記再生磁気ヘッドの部分断面図、 他の実施形態のシングルスピンバルブ型薄膜素子(磁気検出素子)を備えた再生磁気ヘッドを、記録媒体との対向面と平行な方向から切断した部分断面図、 他の実施形態のシングルスピンバルブ型薄膜素子(磁気検出素子)を備えた再生磁気ヘッドを、記録媒体との対向面と平行な方向から切断した部分断面図、 図6に示す再生磁気ヘッドをC−C線に沿って図示Z−Y平面と平行な方向に切断し、その切断面を矢印方向から見た前記再生磁気ヘッドの部分断面図、 本実施形態のデュアルスピンバルブ型薄膜素子(磁気検出素子)を備えた再生磁気ヘッドを、記録媒体との対向面と平行な方向から切断した部分断面図、 図8に示す再生磁気ヘッドをD−D線に沿って図示Z−Y平面と平行な方向に切断し、その切断面を矢印方向から見た前記再生磁気ヘッドの部分断面図、 他の実施形態のデュアルスピンバルブ型薄膜素子(磁気検出素子)を備えた再生磁気ヘッドを、記録媒体との対向面と平行な方向から切断した部分断面図、 図1,図2に示す薄膜磁気ヘッドの製造方法を示す工程図(図1と同じ側から見た製造工程中の断面図)、 図11の次に行われる工程図(図1と同じ側から見た製造工程中の断面図)、 図12の次に行われる工程図(図1と同じ側から見た製造工程中の断面図)、 図13の次に行われる工程図(図1と同じ側から見た製造工程中の断面図)、 図14の次に行われる工程図(図2と同じ側から見た製造工程中の断面図)、 図8に示す薄膜磁気ヘッドの製造方法を示す工程図(図8と同じ側から見た製造工程中の断面図)、 図16の次に行われる工程図(図8と同じ側から見た製造工程中の断面図)、 図17の次に行われる工程図(図8と同じ側から見た製造工程中の断面図)、 図18の次に行われる工程図(図8と同じ側から見た製造工程中の断面図)、 図19の次に行われる工程図(図2と同じ側から見た製造工程中の断面図)、 実施例の1/AとΔRとの関係、及び1/Aとジュール熱との関係を示すグラフ、 比較例の1/AとΔRとの関係、及び1/Aとジュール熱との関係を示すグラフ、 従来のデュアルスピンバルブ型薄膜素子を用いた薄膜磁気ヘッドを記録媒体との対向面と平行な方向から切断した断面図、 図23とは異なる従来構造のデュアルスピンバルブ型薄膜素子を用いた薄膜磁気ヘッドを記録媒体との対向面と平行な方向から切断した断面図、
符号の説明
20 下部シールド層
22 エッチング保護用絶縁層
23 シングルスピンバルブ型薄膜素子
24、51 積層体
27 反強磁性層
28 固定磁性層
28a 第1固定磁性層
28b 非磁性中間層
28c 第2固定磁性層
29 非磁性材料層
30、55 フリー磁性層
31 スピン依存散乱部
32 第1絶縁層
33 ハードバイアス層
34 第2絶縁層34
36 交換結合含有部
37、44 段差部
38、68 バックフィルギャップ層
39 保護層
50 デュアルスピンバルブ型薄膜素子
52 下側反強磁性層
53 下側固定磁性層
53a 下側第1固定磁性層
53b 下側非磁性中間層
53c 下側第2固定磁性層
54 下側非磁性材料層
56 上側非磁性材料層
57 上側固定磁性層
57a 上側第1固定磁性層
57b 上側非磁性中間層
57c 上側第2固定磁性層
58 上側反強磁性層
65 第4絶縁層
66 第5絶縁層
67 第6絶縁層
70 下側段差部
71 上側段差部
72、80 第1のリフトオフ用レジスト層
73、81 第2のリフトオフ用レジスト層
74 第4のリフトオフ用レジスト層
82 第3のリフトオフ用レジスト層

Claims (9)

  1. 磁気検出素子と前記磁気検出素子の上下に形成された電極層とを有して成る薄膜磁気ヘッドにおいて、
    前記磁気検出素子は、固定磁性層と前記固定磁性層に非磁性材料層を介して対向するフリー磁性層とを有して成る積層体と、前記積層体のトラック幅方向の両側に形成されたバイアス層と、前記バイアス層の上下に形成された絶縁層とを有して構成され、
    前記固定磁性層は第1固定磁性層と、第2固定磁性層と、前記第1固定磁性層と第2固定磁性層間に介在する非磁性中間層とが積層された積層フェリ構造であり、前記第2固定磁性層が前記非磁性材料層に接して形成されており、
    前記フリー磁性層、前記非磁性材料層及び前記第2固定磁性層からなるスピン依存散乱部の膜面と平行な方向での面積は、前記第1固定磁性層の膜面と平行な方向での面積に比べて小さく、
    前記スピン依存散乱部のトラック幅方向の幅寸法は、前記第1固定磁性層のトラック幅方向の幅寸法より小さく形成され、
    前記スピン依存散乱部のトラック幅方向の両側側面と、前記第1固定磁性層のトラック幅方向の両側側面との間には段差が設けられ、前記スピン依存散乱部のトラック幅方向の両側側面は連続面で形成されていることを特徴とする薄膜磁気ヘッド。
  2. 下から反強磁性層、前記第1固定磁性層、前記非磁性中間層、前記第2固定磁性層、前記非磁性材料層、前記フリー磁性層の順に積層され、前記反強磁性層、前記第1固定磁性層、前記非磁性中間層の前記トラック幅方向の両側端面は、下から上に向けて徐々にトラック幅方向の幅寸法が小さくなるように連続した傾斜面で形成されており、前記段差を介して前記非磁性中間層上に前記スピン依存散乱部が形成されている請求項1記載の薄膜磁気ヘッド。
  3. 磁気検出素子と前記磁気検出素子の上下に形成された電極層とを有して成る薄膜磁気ヘッドにおいて、
    前記磁気検出素子は、フリー磁性層と前記フリー磁性層の上に形成された上側非磁性材料層と前記上側非磁性材料層の上に形成された上側固定磁性層と前記フリー磁性層の下に形成された下側非磁性材料層と前記下側非磁性材料層の下に形成された下側固定磁性層とを有して成る積層体と、前記積層体のトラック幅方向の両側に形成されたバイアス層と、前記バイアス層の上下に形成された絶縁層とを有して構成され、
    前記上側固定磁性層は、上側第1固定磁性層と、上側第2固定磁性層と、前記上側第1固定磁性層と前記上側第2固定磁性層間に介在する上側非磁性中間層とが積層された積層フェリ構造であり、前記上側第2固定磁性層が前記上側非磁性材料層に接して形成されており、
    前記下側固定磁性層は、下側第1固定磁性層と、下側第2固定磁性層と、前記下側第1固定磁性層と前記下側第2固定磁性層間に介在する下側非磁性中間層とが積層された積層フェリ構造であり、前記下側第2固定磁性層が前記下側非磁性材料層に接して形成されており、
    前記フリー磁性層、前記上側非磁性材料層、前記下側非磁性材料層、前記下側第2固定磁性層、及び前記上側第2固定磁性層から成るスピン依存散乱部の膜面と平行な方向での面積は、前記上側第1固定磁性層及び前記下側第1固定磁性層の膜面と平行な方向での面積に比べて小さく、
    前記スピン依存散乱部のトラック幅方向の幅寸法は、前記上側第1固定磁性層及び前記下側第1固定磁性層のトラック幅方向の幅寸法より小さく形成され、
    前記スピン依存散乱部の両側側面と、前記下側第1固定磁性層のトラック幅の両側側面との間には下側段差部が設けられ、前記スピン依存散乱部のトラック幅の両側側面と、前記上側第1固定磁性層のトラック幅の両側側面との間には上側段差部が設けられ、前記スピン依存散乱部のトラック幅方向の両側側面は連続面で形成されていることを特徴とする薄膜磁気ヘッド。
  4. 前記下側第1固定磁性層の下には下側反強磁性層が形成され、前記下側反強磁性層、前記下側第1固定磁性層、前記下側非磁性中間層の前記トラック幅方向の両側端面は、下から上に向けて徐々にトラック幅方向の幅寸法が小さくなるように連続した傾斜面で形成されており、
    前記下側段差部を介して前記下側非磁性中間層上に形成された前記スピン依存散乱部のトラック幅方向の両側端面と、前記上側非磁性中間層のトラック幅方向の両側側面とは連続面で形成され、
    前記上側段差部を介して前記上側非磁性中間層上に形成された上側第1固定磁性層、及び前記上側第1固定磁性層上に形成された上側反強磁性層の前記トラック幅方向の両側端面は、下から上に向けて徐々にトラック幅方向の幅寸法が小さくなるように連続した傾斜面で形成されている請求項3記載の薄膜磁気ヘッド。
  5. 前記スピン依存散乱部のトラック幅方向の両側端面は、下から上に向けて徐々にトラック幅方向の幅寸法が小さくなるように連続した傾斜面で形成されている請求項1ないし4のいずれかに記載の薄膜磁気ヘッド。
  6. 以下の工程を有することを特徴とする薄膜磁気ヘッドの製造方法。
    (a) 下側電極層上に、下から反強磁性層、第1固定磁性層、非磁性中間層、第2固定磁性層、非磁性材料層、及びフリー磁性層の順に積層された積層体を形成する工程、
    (b) 第2固定磁性層、非磁性材料層及びフリー磁性層のスピン依存散乱部のトラック幅方向の両側端面を削除加工する工程、
    (c) 前記スピン依存散乱部のトラック幅方向の両側に第1絶縁層を介してバイアス層を形成し、さらに前記バイアス層間上に第2絶縁層を形成する工程、
    (d) 前記フリー磁性層上に上側電極層を形成する工程、
  7. 前記(a)工程と前記(b)工程の間に、
    (e) 前記積層体のトラック幅方向の両側端面を削除加工する工程、を含み、
    前記(e)工程後、前記(b)工程で、前記スピン依存散乱部のトラック幅方向の両側端面を部分的に削除加工し、
    さらに、前記(c)工程と前記(d)工程の間に、
    (f) 前記積層体のハイト方向の後端面側を削除加工し、前記ハイト方向の後端面に第3絶縁層を形成する工程、
    を含む請求項6記載の薄膜磁気ヘッドの製造方法。
  8. 以下の工程を有することを特徴とする薄膜磁気ヘッドの製造方法。
    (g) 下側電極層上に、下から下側反強磁性層、下側第1固定磁性層、下側非磁性中間層、下側第2固定磁性層、下側非磁性材料層、フリー磁性層、上側非磁性材料層、上側第2固定磁性層、上側非磁性中間層の順に積層された第1積層体を形成する工程、
    (h) 前記上側非磁性中間層、前記上側第2固定磁性層、前記上側非磁性材料層、前記フリー磁性層、前記下側非磁性材料層及び前記下側第2固定磁性層のスピン依存散乱部及び前記上側非磁性中間層のトラック幅方向の両側端面を削除加工する工程、
    (i) 前記スピン依存散乱部のトラック幅方向の両側に第4絶縁層を介してバイアス層を形成し、さらに前記バイアス層間上に第5絶縁層を形成する工程、
    (j) 前記第1積層体上及び前記第5絶縁層上に、下から上側第1固定磁性層、上側反強磁性層の順に積層された第2積層体を形成する工程、
    (k) 前記上側反強磁性層上に上側電極層を形成する工程、
  9. 前記(g)工程と、前記(h)工程の間に、
    (l) 前記第1積層体のトラック幅方向の両側端面を削除加工する工程、を含み、
    前記(l)工程後、前記(h)工程で、前記スピン依存散乱部及び前記上側非磁性中間層のトラック幅方向の両側端面を部分的に削除加工し、
    前記(j)工程と前記(k)工程の間に、
    (m) 前記(h)工程でのスピン依存散乱部のトラック幅方向の幅寸法よりも大きい幅寸法にて、前記第2積層体のトラック幅方向の両側端面を削除加工する工程、
    (n) 前記第2積層体のトラック幅方向の両側に第6絶縁層を形成する工程、
    (o) 前記第1積層体と前記第2積層体とを有して成る積層体のハイト方向の後端面側を削除加工し、前記ハイト方向の後端面に第7絶縁層を形成する工程、
    を含む請求項8記載の薄膜磁気ヘッドの製造方法。
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US9047893B1 (en) * 2014-01-31 2015-06-02 HGST Netherlands B.V. Magnetic sensor having narrow trackwidth and small read gap

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