JP2007164003A - 自発光表示装置、画像処理装置、点灯時間長制御装置及びプログラム - Google Patents

自発光表示装置、画像処理装置、点灯時間長制御装置及びプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】発光時間の寿命を単に延長するだけであり、焼きつき現象の発生を本質的に補正できない。
【解決手段】1フレーム期間内の点灯時間長を可変制御可能な自発光表示パネルの有効表示領域の外側にダミー画素と輝度検出センサーが搭載される場合に、フレーム単位で入力表示データの平均階調値を入力表示データに多重し、ダミー画素の劣化特性を有効表示領域に一致させる。その上で、輝度劣化の実測タイミング毎に、一定の階調値をダミー画素データとして入力表示データに多重する。そして、その際の検出輝度に基づいて検出される発光特性の低下度合いに応じて、画面輝度の低下速度が一定になるように1フレーム期間内の点灯時間長を制御する。
【選択図】図7

Description

この明細書で説明する発明は、発光輝度の低下速度を一定に制御する技術に関する。
なお、発明者らが提案する発明は、自発光表示装置、画像処理装置、点灯時間長制御装置及びプログラムとしての側面を有する。
フラットパネルディスプレイは、コンピュータディスプレイ、携帯端末、テレビなどの製品で広く普及している。現在、主に液晶ディスプレイパネルが多く採用されている。しかし、依然として、視野角の狭さや応答速度の遅さが指摘され続けている。
一方、自発光素子で形成された有機ELディスプレイは、前述した視野角や応答性の課題を克服できるのに加え、バックライト不要の薄い形態、高輝度、高コントラストを達成できる。このため、液晶ディスプレイに代わる次世代表示装置として期待されている。
ところで、有機EL素子その他の自発光素子は、その発光量や発光時間に応じて劣化する特性があることが一般にも知られている。
一方で、ディスプレイに表示される画像の内容は一様ではない。このため、自発光素子の劣化が部分的に進行し易い。例えば時刻表示領域(固定表示領域)の自発光素子は、他の表示領域(動画表示領域)の自発光素子に比べて劣化の進行が速い。
劣化が進行した自発光素子の輝度は、他の表示領域の輝度に比して相対的に低下する。一般に、この現象は“焼き付き”と呼ばれる。以下、部分的な自発光素子の劣化を“焼き付き”と表記する。
また、基本発光色毎に複数種類の自発光素子を用いる場合や複数種類の基本発光色を発生できる発光素子を用いる場合、各発光色の劣化特性が一致しない場合が多く見られる。
この場合、“焼きつき”部分では、ホワイトバランスがずれて色がついたように見えたり、暗く見える現象が発生する。
これらの理由により、従来から“焼きつき”現象の抑制方法又は改善方法が検討されてきた。特に従来は、発光体を構成する材料の発光寿命を改善することにより、画面の“焼きつき”現象を抑えることが一番好ましいと考えられてきた。
しかし、自発光表示装置では発光体を構成する材料の発光寿命がいくら延びたとしても、原理的に焼きつきを0(ゼロ)にすることはできない。また、自発光表示装置に映し出される映像の内容は様々であり、“焼きつき”が起こりやすい映像信号のみが入力される場合がある。すなわち、発光体を構成する材料の発光寿命を改善するだけでは“焼きつき”を防ぐことができない。また、このように発光体を構成する材料の発光寿命に依存する方法は、“焼きつき”の改善が材料の開発スピードやコスト等に依存する問題がある。
発光体を構成する材料の発光寿命を改善する方法以外には、特許文献1その他の改善方法が検討されている。
特許文献1には、表示パネルが発光している時間を累積し、その時間に応じて全体輝度を抑制する改善方法が開示されている。すなわち、この改善方法では、発光特性の劣化速度を抑制することにより焼き付き現象を軽減する手法が開示されている。
特開2000−356981号公報
しかし、特許文献に開示された発明は、発光時間の寿命を単に延長しているだけであり、焼きつき現象の発生を本質的に補正することができない。
そこで、発明者らは、1フレーム期間内の点灯時間長を可変制御可能な自発光表示パネルに形成される有効表示領域の外側に、ダミー画素とその発光輝度を検出する輝度検出センサーとが搭載されている場合に、以下に示す処理機能を実行する仕組みを提案する。
(a)フレーム単位で入力表示データの平均階調値を算出する処理機能
(b)平均階調値をダミー画素データとして入力表示データに多重する一方で、輝度劣化の実測タイミングでは、一定の階調値をダミー画素データとして入力表示データに多重する処理機能
(c)ダミー画素の検出輝度に基づいて、発光特性の低下度合いを検出する処理機能
(d)画面輝度の低下速度が一定になるように、ダミー画素の発光特性の低下度合いに応じて1フレーム期間内の点灯時間長を制御する処理機能
発明者らの提案する発明では、入力表示データの平均階調値で発光制御されたダミー画素の発光輝度を輝度検出センサーで実測し、検出された発光特性の低下度合いに応じてフレーム期間内の点灯時間長を制御する。すなわち、画面輝度の低下速度が一定になるように制御する。これにより、経時変化に伴う劣化特性の変動を正確に補正するために変換テーブルを適時更新する場合と同じ効果を変換テーブルの更新動作を伴わずに実現することができる。
以下、発明に係る自発光表示装置の形態例を説明する。
なお、本明細書で特に図示又は記載されない部分には、当該技術分野の周知又は公知技術を適用する。
また以下に説明する形態例は、発明の一つの形態例であって、これらに限定されるものではない。
(A)有機ELディスプレイ装置への応用
(A−1)システム構成
図1に、この形態例で説明する有機ELディスプレイ装置1のシステム構成例を示す。有機ELディスプレイ装置1は、有機ELパネルモジュール3、入力表示データ補正部5及び点灯時間制御部7で構成する。
有機ELパネルモジュール3は、有効表示領域と、ダミー画素領域と、輝度検出センサーと、駆動回路その他の周辺回路で構成される。詳細については後述する。また、有機ELパネルモジュール3は、1フレーム期間中の発光時間長を外部からの制御信号(デューティ信号)に基づいて自在に可変できるものとする。
入力表示データ補正部5は、有効表示領域を構成する各画素の劣化量が基準画素の劣化量に揃うように入力表示データを個別に補正する処理デバイスである。ここでの基準画素には、入力表示データの平均階調値で継続的に発光されている画素を想定する。
点灯時間制御部7は、1フレーム期間内の最大点灯時間長を制御する処理デバイスである。
点灯時間制御部7は、輝度検出センサーで実測されたダミー画素の発光輝度を有機ELパネルモジュール3より入力する。また、点灯時間制御部7は、入力された発光特性の低下度合いに応じ、有機ELパネルモジュール3の最大点灯時間長を制御する信号(デューティ信号)を生成する。生成されたデューティ信号は、点灯時間制御部7より有機ELパネルモジュール3に出力される。
実測された発光特性の低下度合いに応じて最大点灯時間長を可変制御することにより、発光特性の経時変化を正確に反映させながら、補正基準となる基準画素の劣化速度を一定に調整することができる。なお、最大点灯時間が長いほど点灯画素の輝度は高くなり、最大点灯時間が短いほど点灯画素の輝度は低くなる。
従って、有機ELディスプレイ装置1は、各画素の劣化速度を基準画素の劣化速度に一致させるように補正する機能と、基準画素の劣化速度を経時変化にかかわらず一定になるように補正する機能とを搭載する。
(A−2)デバイスの構成
以下、有機ELディスプレイ装置1を構成するデバイスの詳細構成を説明する。
(a)有機ELパネルモジュールの構成
図2に、有機ELパネルモジュール3の平面構成を示す。なお、図2は、主に画素配置の観点から表しており、駆動回路その他の周辺回路は省略して表している。
有機ELパネルモジュール3は、有効表示領域31、ダミー画素領域33及び輝度検出センサー35で構成される。
有効表示領域31は発光が外部から観察できる領域である。一方、ダミー画素領域33は発光が外部から観察されないように遮光された領域であり、有効表示領域31の外側に配置される。有効表示領域31とダミー画素領域33には、入力表示データ補正部5より補正済みの入力表示データ(すなわち、補正表示データ)が与えられる。
図3に、輝度検出センサー35の配置例を示す。この形態例の場合、輝度検出センサー35は、ダミー画素領域33の全体を覆うように、ダミー画素領域33の対面位置に配置する。輝度検出センサー35は、ダミー画素から出力される可視光を検出して電気信号に変換する光検出素子である。光検出素子には任意の検出センサーを適用することができる。この形態例の場合、光検出素子には、アモルファスシリコン半導体を用いた可視光センサーを使用する。なお、電流値として検出される光量情報は増幅されて電圧値に変換され、光検出信号として出力される。
図4に、有機ELパネルモジュール3の具体的な構成例を示す。図4に示す表示パネルは、N+1行×M列に表示上の1画素が配置される場合を表している。この例の場合、有機ELパネルモジュール3を構成する表示上の1画素は、赤(R)、緑(G)、青(B)の3つのダミー画素で構成されるものとする。すなわち、赤(R)、緑(G)、青(B)の3色を基本発光色とする。
図4の場合、1行目からN行目までの部分が有効表示領域31に対応し、N+1行目の部分がダミー画素領域33に対応する。すなわち、この例の場合、ダミー画素領域33には、表示上の1画素(RGBに対応する3画素)がM個配置される。なお、この明細書では、表示上の1画素を構成する各画素(R画素、G画素、B画素)もダミー画素という。
各ダミー画素は、各発光色別に全画素同時に又は指定された画素単位で個別に発光制御される。
この形態例の場合、ダミー画素領域33を構成する各ダミー画素は、補正表示データ信号のブランキング期間を利用して発光制御する。図4の場合、ダミー画素のデータ駆動線は、有効表示領域31を構成する各画素と共用する。従って、図4の場合、ダミー画素の選択線(ゲート駆動線)を、一般的なパネル構成に1本追加するだけで実現できる。
以上のように、ダミー画素は有効表示領域31内の各画素と同じ構造で実現でき、専用の又は大規模な駆動回路を必要としない。
図5に、有機ELパネルモジュール3を構成する全画素(ダミー画素を含む。)に共通する画素回路例を示す。なお、ここでの画素は、基本発光色別の画素をいう。
各画素に対応する有機EL素子3Aとその駆動回路(画素駆動回路)3Bは、データ駆動線3Cと選択線(ゲート駆動線)3Dの交点位置に配置される。画素回路3Bは、データスイッチ素子T1、キャパシタC1、電流駆動素子T2、点灯スイッチ素子T3で構成される。
このうち、データスイッチ素子T1は、データ駆動線3Cを通じて与えられる電圧値の取り込みタイミングを制御するのに用いられる。取り込みタイミングは、選択線(ゲート駆動線)3Dを通じて線順次で与えられる。
キャパシタC1は、取り込んだ電圧値を1フレームの間保持するのに用いられる。キャパシタC1を用いることで、面順次駆動が実現される。
電流駆動素子T2は、キャパシタC1の電圧値に応じた電流を有機EL素子3Aに供給するのに用いられる。駆動電流は、電流供給線3Eを通じて供給される。なお、この電流供給線3Eには最大出力電圧Vmax が印加される。
点灯スイッチ素子T3は、有機EL素子3Aに対する駆動電流の供給を制御するのに用いられる。
点灯スイッチ素子T3は、駆動電流の供給経路に対して直列に配置される。点灯スイッチ素子T3が閉じている間、有機EL素子3Aが点灯する。一方、点灯スイッチ素子T3が開いている間、有機EL素子3Aが消灯する。
この点灯スイッチ素子T3の開閉動作を制御するデューティ信号を供給するのが点灯時間制御線3Fである。なお、点灯時間制御線3Fは、点灯時間制御部7に接続されている。
図6(A)に、最大発光期間に対応する1フレーム期間を示す。図6(B)に、実際の点灯期間を与えるデューティ信号の初期状態を示す。この形態例の場合、点灯時間制御部7は、発光輝度の低下度合いに応じて発光時間長を延長するように制御する。すなわち、図6(C)に示すように、点灯時間長が長くなるように制御する。
(b)入力表示データ補正部の構成
図7に、入力表示データ補正部5の構成例を示す。入力表示データ補正部5は、階調値/劣化量変換テーブル51、劣化量差算出部53、総劣化量差蓄積部55、補正量決定部57及び映像信号補正部59で構成する。
階調値/劣化量変換テーブル51は、入力表示データ(階調値)を劣化量に変換するテーブルである。変換テーブルを用いるのは、有機EL素子の劣化の進行が階調値と比例関係にないためである。図8に、階調値/劣化量変換テーブル51の一例を示す。階調値/劣化量変換テーブル51には、入力表示データが採り得る全ての階調値と、これらに対応する劣化量とが対応付けられて記憶されている。劣化量Rは、各階調値に対応する劣化速度(劣化率)と発光期間tとの積として与えられる。発光期間tは、固定でも可変でも良い。
なお、階調値と劣化量との対応関係は、厳密には表示パネル間に存在する特性誤差だけでなく、使用環境の温度や発光輝度の低下等に伴って変化する。従って、各画素の劣化状態を変換テーブルだけで正確に見積もるためには、経時変化に伴って対応関係(階調値と劣化量の対応関係)を補正する必要がある。しかし、この形態例の場合、階調値/劣化量変換テーブル51の対応関係は固定値のままで使用する。後述するように、使用環境等による発光特性の変動は、点灯時間制御部7の発光時間制御により吸収するためである。
劣化量差算出部53は、ある基準画素と有効表示領域内の各画素との間に新たに発生する劣化量差を算出する処理デバイスである。基準画素は、1フレームを構成する全画その平均階調値で発光する画素を想定する。
総劣化量差蓄積部55は、基準画素に対する各画素の劣化量差を累積した総劣化量差を保存する記憶領域又は記憶装置である。総劣化量差は、基準画素に対するある画素の劣化の進行度(進んでいるか遅れているか)及び進行度の度合いを表す。
補正量決定部57は、各画素に対応する補正値を総劣化量差に基づいて決定する処理デバイスである。補正量の決定方法には、総劣化量差を無くすように補正値を決定する方法を採用する。
映像信号補正部59は、入力表示データを補正表示データに変換する処理デバイスである。この形態例の場合、映像信号補正部59は、入力表示データに補正値を加減算する処理を実行する。なお、補正値は、補正量決定部57より与えられる。変換後の補正表示データは、階調値/劣化量変換テーブル51と点灯時間制御部7に与えられる。
(c)点灯時間制御部の構成
図7に、点灯時間制御部7の構成例を示す。点灯時間制御部7は、ダミー画素データ算出部71、ダミー画素データ多重部73、発光特性検出部75及び点灯時間長制御部77で構成する。
ダミー画素データ算出部71は、発光輝度の実測タイミング以外の期間に使用するダミー画素データを算出する処理デバイスである。ダミー画素データは、有効表示領域の補正基準を与える基準画素の劣化特性を再現するよう生成する。
このため、ダミー画素データ算出部71は、フレーム単位での入力表示データの平均階調値を算出する。図9に、ダミー画素データ算出部71の内部構成例を示す。ダミー画素データ算出部71は、グレースケール変換部711と1フレーム内全画素階調平均算出部713とで構成する。
グレースケール変換部711は、入力表示データ(R、G、B画素に対応する階調値)を白黒のグレースケール信号に変換する処理デバイスである。
1フレーム内全画素階調平均算出部713は、1フレームを構成する全画素について、グレースケール変換後の階調値の平均値を算出する処理デバイスである。この平均値がダミー画素データとしてダミー画素データ多重部73に出力される。
ダミー画素データ多重部73は、ダミー画素データを補正表示データに多重して有機ELパネルモジュール3に出力する処理デバイスである。
なお、ダミー画素データ多重部73は、ダミー画素の発光輝度を実測するタイミングとそれ以外の期間とで多重するダミー画素データの切り替え処理を実行する。
例えば発光輝度の実測タイミングの場合、ダミー画素データ多重部73は、発光特性検出部75から与えられるダミー画素データを多重する。一方、発光輝度の実測タイミング以外の場合、ダミー画素データ多重部73は、ダミー画素データ算出部71から与えられるダミー画素データを多重する。
発光特性検出部75は、ダミー画素の発光輝度を検出するタイミング(すなわち、実測タイミング)に同期してダミー画素データを出力する処理と、実測タイミングにおけるダミー画素の発光輝度を検出する処理とを実行する処理デバイスである。この形態例の場合、発光輝度の検出は、一定周期毎(一定のフレーム数毎)に実行する。また、発光輝度の検出には、常に同じ階調値を使用する。同じ階調値でダミー画素を光らせることで、ダミー画素の発光輝度の低下度合いを検出することが可能になる。
なお、劣化状態の検出に使用する階調値は、RGB別に設定しても良いし、RGBのいずれにも同じ値を用いても良い。例えば、100%階調値(階調が8ビットの場合は「255」)を使用する。因みに、同じ発光色に対応するダミー画素には同じ階調値を与える。
また、発光特性検出部75は、実際に測定されたダミー画素の検出輝度と初期輝度とを比較し、初期輝度に対する発光特性の低下度合いを検出する処理も実行する。検出された低下度合いは、点灯時間長制御部77に出力される。
点灯時間長制御部77は、ダミー画素の発光時間長を制御する処理デバイスである。具体的には、画面輝度の低下速度が一定になるように、ダミー画素の発光特性の低下度合いに応じて1フレーム期間内の点灯時間長を制御する処理を実行する。例えば、低下度合いをαとすると、その逆比1/α倍だけ点灯時間長を初期時間長に対して延長する処理を実行する。
(A−2)制御動作例
図10に、点灯時間制御部7による発光時間長の制御動作例を示す。
図10(A)は、ダミー画素の発光輝度の低下特性を示す。図に示すように、ダミー画素を構成する有機EL素子の発光輝度は時間軸に対して非線形に低下する。なお、ダミー画素は、有効表示領域に対応する全画素の平均階調値で発光制御されているので、この輝度低下は、有効表示領域を構成する全画素の平均的な輝度低下の特性を表す。
図10(B)は、ダミー画素の発光特性の低下度合いに応じて可変制御される発光時間長の制御例である。図10(B)に示すように、発光時間長は、発光特性の低下度合いを反転した関係で与えられる。例えば、発光輝度が初期輝度Aの1/2に低下している場合、発光時間長は初期時間値Bの2倍に制御される。
図10(C)は、発光時間長の可変制御後の画面輝度の低下特性である。
図10(C)に示すように、発光時間長が延長されることにより、有効表示領域を構成する全画素の平均的な発光輝度は一定速度で低下するように制御される。すなわち、劣化率が一定に制御される。このように、発光輝度の低下度合いに含まれる非線形性が発光時間長の延長制御により打ち消される。
(A−3)形態例の効果
以上説明したように、この形態例に係る有機ELディスプレイ装置では、有効表示領域31の外側に基本発光色に対応するダミー画素を1つ又は複数配置し、各基本発光色に対応する入力表示データ信号の平均階調値で発光制御する。これにより、ダミー画素の発光特性を有効表示領域内の発光特性と一致させることができる。その上で、定期的にダミー画素の発光特性の低下度合いを実測し、その低下度合いの分だけ反対に1フレーム期間内の発光時間長を延長制御する。
この際、発光時間長は、画面輝度の低下速度が結果的に一定になるように制御する。すなわち、有効表示領域を構成する各画素の劣化が一定速度(劣化率)で進行するように制御する。
このことは、補正演算で使用する階調値/劣化量変換テーブルを経時変化に応じて更新しなくても、正確な補正処理を実行されるのと同じ結果を実現できることを意味する。
なお、形態例で説明する処理方法は、ダミー画素の発光輝度の低下を実測し、その低下度合いの逆比で発光時間長を延長するという単純な信号処理だけで補正処理を実現する。このため、経時変化に応じた全ての事象に対応するために、事前に膨大な実験を実行する必要を無くすことができる。このため、製造コストの大幅な低減を実現できる。
また、形態例で説明した処理手法は、制御内容が単純であるので画面サイズが大型化しても低コストで実現できる。
また、ダミー画素は有効表示領域とまったく同じ画素構成で製造でき、ダミー画素専用の複雑な回路構成や特殊な制御動作を必要としない。この点でも、回路規模の削減と生産難易度の低減との点で有利である。
また、輝度検出センサー35は、ダミー画素領域に対して1つ配置するだけで良い。このため、有機ELパネルモジュール3を構成する基本発光色の数の影響を受けずに済み、回路規模と生産上の難易度を効果的に低減できる。また、ダミー画素毎に輝度検出センサー35を設けないので、この点でも製造に有利である。
(C)他の形態例
(a)前述の形態例では、基本発光色がRGBの3色である場合について説明したが、基本発光色は補色を含めて4色以上の場合にも適用できる。この場合、ダミー画素は、これら基本発光色の数だけ用意すれば良い。
(b)前述の形態例では、基本発光色の発色形態について説明しなかったが、基本発光色別に発光素子材料が異なる有機EL素子を用意しても良いし、カラーフィルタ方式や色変換方式を用いて基本発光色を生成しても良い。
(c)前述の形態例では、表示上の1画素に対応するダミー画素(RGBに対応する個々のダミー画素)を有効表示領域のN+1行目にM個配列する場合について説明した。しかし、ダミー画素の数や配置位置は任意である。
(d)前述の形態例では、自発光表示装置の一例として有機ELディスプレイパネルを例示したが、他の自発光表示装置にも適用できる。例えば、FED(field emission display) 、無機ELディスプレイパネル、LEDパネルその他にも適用できる。
(e)前述の形態例では、ダミー画素の発光輝度の低下度合いに応じて発光時間長を制御する機能を実装する有機ELディスプレイ装置1について説明した。
しかし、発光時間長の制御機能は、自発光表示装置を搭載する画像処理装置の一部として実装しても良い。例えば、発光時間長の制御機能は、ビデオカメラ、デジタルカメラその他の撮像装置(カメラユニットだけでなく、記録装置と一体に構成されているものを含む。)、情報処理端末(携帯型のコンピュータ、携帯電話機、携帯型のゲーム機、電子手帳等)、ゲーム機、プリンタ装置等に実装しても良い。
(f)前述の形態例では、ダミー画素の発光輝度の低下度合いに応じて発光時間長を制御する機能を実装する有機ELディスプレイ装置1について説明した。
しかし、発光時間長の制御機能は、自発光表示装置と独立した画像処理装置の一部として実装しても良い。例えば、発光時間長の制御機能は、自発光表示装置や自発光表示装置を搭載する画像処理装置に対して入力表示データ信号を供給する画像処理装置に搭載しても良い。すなわち、ダミー画素の発光輝度や劣化情報を自発光表示装置等から自装置内に取り込む手法を採用しても良い。
(g)前述の形態例では、発光時間長の制御機能を機能構成の観点から説明したが、言うまでもなく、同等の機能をハードウェアとしてもソフトウェアとしても実現できる。
また、これらの処理機能の全てをハードウェア又はソフトウェアで実現するだけでなく、その一部はハードウェア又はソフトウェアを用いて実現しても良い。すなわち、ハードウェアとソフトウェアの組み合わせ構成としても良い。
(h)前述の形態例には、発明の趣旨の範囲内で様々な変形例が考えられる。また、本明細書の記載に基づいて創作される又は組み合わせられる各種の変形例及び応用例も考えられる。
有機ELディスプレイ装置のシステム構成例を示す図である。 有機ELパネルモジュールの平面構成を示す図である。 輝度検出センサーの配置例を示す図である。 有機ELパネルモジュールを構成する画面の具体例を示す図である。 画素回路例を示す図である。 デューティ信号の制御を説明する図である。 入力表示データ補正部と点灯時間制御部の内部構成例を示す図である。 階調値/劣化量変換テーブル例を示す図である。 ダミー画素データ算出部の構成例を示す図である。 発光輝度の低下度合いに応じた発光時間長の制御動作例を示す図である。
符号の説明
1 有機ELディスプレイ装置
3 有機ELパネルモジュール
5 入力表示データ補正部
7 点灯時間制御部
33 ダミー画素領域
35 輝度検出センサー
71 ダミー画素データ算出部
73 ダミー画素データ多重部
75 発光特性検出部
77 点灯時間長制御部

Claims (7)

  1. 有効表示領域の外側にダミー画素を配置する表示パネルと、
    輝度劣化の実測タイミングに、前記ダミー画素の発光輝度を検出する輝度検出センサーと、
    フレーム単位で入力表示データの平均階調値を算出するダミー画素データ算出部と、
    前記平均階調値をダミー画素データとして前記入力表示データに多重する一方で、輝度劣化の実測タイミングでは、一定の階調値をダミー画素データとして前記入力表示データに多重するダミー画素データ多重部と、
    前記ダミー画素の検出輝度に基づいて、発光特性の低下度合いを検出する発光特性検出部と、
    画面輝度の低下速度が一定になるように、ダミー画素の発光特性の低下度合いに応じて1フレーム期間内の点灯時間長を制御する点灯時間長制御部と
    を有することを特徴とする自発光表示装置。
  2. 請求項1に記載の自発光表示装置において、
    前記発光特性検出部は、初期輝度に対する検出輝度の低下率を前記低下度合いとして検出し、
    前記点灯時間長制御部は、前記低下率だけ点灯時間長を初期点灯時間長に対して延長する
    ことを特徴とする自発光表示装置。
  3. 請求項1に記載の自発光表示装置において、
    前記点灯時間長制御部は、前記低下度合いに反比例するように点灯時間長を非線形に延長制御する
    ことを特徴とする自発光表示装置。
  4. 請求項1に記載の自発光表示装置において、
    前記入力表示データは、有効表示領域に対応する各画素の輝度劣化量が基準画素の輝度劣化量に収束するように補正された表示データである
    ことを特徴とする自発光表示装置。
  5. 有効表示領域の外側にダミー画素とその発光輝度を検出する輝度検出センサーを搭載する自発光表示装置における1フレーム期間内の点灯時間長を可変制御する画像処理装置であって、
    フレーム単位で入力表示データの平均階調値を算出するダミー画素データ算出部と、
    前記平均階調値をダミー画素データとして前記入力表示データに多重する一方で、輝度劣化の実測タイミングでは、一定の階調値をダミー画素データとして前記入力表示データに多重するダミー画素データ多重部と、
    前記ダミー画素の検出輝度に基づいて、発光特性の低下度合いを検出する発光特性検出部と、
    画面輝度の低下速度が一定になるように、ダミー画素の発光特性の低下度合いに応じて1フレーム期間内の点灯時間長を制御する点灯時間長制御部と
    を有することを特徴とする画像処理装置。
  6. 有効表示領域の外側にダミー画素とその発光輝度を検出する輝度検出センサーを搭載する自発光表示装置における1フレーム期間内の点灯時間長を可変制御する点灯時間長制御装置であって、
    フレーム単位で入力表示データの平均階調値を算出するダミー画素データ算出部と、
    前記平均階調値をダミー画素データとして前記入力表示データに多重する一方で、輝度劣化の実測タイミングでは、一定の階調値をダミー画素データとして前記入力表示データに多重するダミー画素データ多重部と、
    前記ダミー画素の検出輝度に基づいて、発光特性の低下度合いを検出する発光特性検出部と、
    画面輝度の低下速度が一定になるように、ダミー画素の発光特性の低下度合いに応じて1フレーム期間内の点灯時間長を制御する点灯時間長制御部と
    を有することを特徴とする点灯時間長制御装置。
  7. 有効表示領域の外側にダミー画素とその発光輝度を検出する輝度検出センサーを搭載する自発光表示装置における1フレーム期間内の点灯時間長を可変制御するコンピュータに、
    フレーム単位で入力表示データの平均階調値を算出する処理と、
    前記平均階調値をダミー画素データとして前記入力表示データに多重する一方で、輝度劣化の実測タイミングでは、一定の階調値をダミー画素データとして前記入力表示データに多重する処理と、
    前記ダミー画素の検出輝度に基づいて、発光特性の低下度合いを検出する処理と、
    画面輝度の低下速度が一定になるように、ダミー画素の発光特性の低下度合いに応じて1フレーム期間内の点灯時間長を制御する処理と
    を実行させるコンピュータプログラム。
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