JP2007163381A - 落雷情報収集システム - Google Patents

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Abstract

【課題】システム構成を簡明にして、小型で低コストの部材や回路等にて製作でき、小型・軽量・安価で性能的に優れた落雷情報収集システムを提供する。
【解決手段】落雷情報収集システムは複数台がそれぞれ異なる測定箇所に取り付けられ、導体に流れる落雷電流をコイルで検出して、落雷時刻を含む落雷情報を取得する落雷測定装置と、落雷測定装置が取得したデータを収集するデータ収集器とを備える。同じ形状で同じ巻き数の2つのコイルから構成された検出コイルは導体に近接され、落雷電流により生じる磁束の方向にコイル軸を向けた姿勢でかつ導体からの相対距離を所定寸法ずらし配設される。該コイルに誘起される起電力によるRC充電回路の充電電圧をそれぞれ測定し、充電電圧の比より、該コイルのいずれか一方と導体間との距離を演算し、距離といずれかの該コイルからのRC充電回路の充電電圧とによって、導体に流れる落雷電流を演算する。
【選択図】図1

Description

本発明は、落雷(雷撃)を検知してデータを取得するためのシステム(装置)にかかり、より詳細には、送配電用鉄塔や電線などを有する電力供給設備や関連する電気機器などに落雷があったときに、その落雷電流(サージ電流、雷撃電流)の検出と測定とを行い、落雷に関する情報やデータを得ることができるシステム(装置)に関するものである。
従来の雷サージ検出装置としては、電流センサとしてロゴスキーコイルを用いたものがあり、この装置では、その出力(一次側である雷電流の微分波形電圧)を積分回路・実効値回路を介して、雷電流波形電圧を取り出し、100MHzといった高速のAD変換素子によって波形をデジタル化し、CPU制御でメモリに記憶する。こうした処理によって、雷撃電流波形(型式によっては雷撃電流ピーク値のみ)や雷撃回数などを計測することができる。
このようなロゴスキーコイルを用いた装置は、1)外部磁界の影響を受けない、2)高周波特性に優れる、3)一次側導体の位置や傾きが正確にコイルの中心軸に無くても精度がよい、4)分割構造化が容易、などといった優れた特性があるので、雷電流観測に一般的に用いられている。
しかしながら、従来型のロゴスキーコイルを用いた雷撃電流の観測装置では、観測箇所を送電線鉄塔としたときには、その鉄塔部材の大きさに対応した大型のロゴスキーコイルが必要となり、また、雷撃現象に対応した高速の応答が可能なフルスペックの回路素子構成(AD変換素子、CPU、メモリ)による比較的大きな基板が必要であり、さらに、それらの素子には、高速・大容量でグレードの高いものが要求される。このため、ロゴスキーコイルによる雷撃電流の観測装置は、比較的大型となって費用が大変高くつくものになるという問題点がある。
また、ロゴスキーコイルによる従来型の装置では、突然の雷撃に対応するためには、スリープモード(省電力モード)の使用が不可能となる。すなわち、スリープモード状態のCPUが起動するのにmsオーダーの時間が必要なので、起動するまでにμsオーダーの雷撃現象は終了してしまうためである。さらに、回路が複雑になるので、通常、小電力で動作させることは困難であり、電源としてAC電源か、大型のバッテリーが必要となる。
本発明のような雷撃を検知して計測するための技術分野に関連した特許文献としては、次のようなものがある。
特開2005−62080号公報(東光電気の出願) 特開平08−15448号公報(サンコーシャの出願)
上述のように、ロゴスキーコイルなどを用いた従来型の雷撃電流の観測装置では、小型・軽量・安価な装置とすることが難しく、比較的大型でかなり高価な装置にならざるを得ないという問題点がある。このため、雷撃の観測地点を多く設定したくとも、コスト面から見て、十分な装置を設置することができないという問題点があった。
本発明の落雷情報収集システムでは、小型・軽量・安価で性能的にも優れた装置(システム)を提供することを課題としている。
(1)落雷測定装置とデータ収集器とを備える落雷情報収集システムであって、
前記落雷測定装置は、複数台がそれぞれ異なる測定箇所に取り付けられ、そこの導体に流れる落雷電流をコイルによって検出し、落雷時刻を含む落雷に関する情報を取得する手段を備え、
前記落雷測定装置の落雷電流の検出コイルは、前記導体に近接され、前記導体に流れる落雷電流により生じる磁束の方向にコイル軸(巻回されたコイルの中心軸、図5参照)を向けた姿勢にして配設され、
前記検出コイルは、同じ形状で同じ巻き数の2つの検出用コイルから構成され、
前記2つの検出用コイルは、同じ姿勢で、かつ前記導体からの相対距離を所定寸法ずらした状態にして配設され、
前記落雷測定装置は、
前記2つの検出用コイルに誘起される誘起起電力によるRC充電回路の充電電圧をそれぞれ測定する手段と、
2つの検出用コイルから得られた前記充電電圧の比より、前記検出用コイルのいずれか一方と前記導体間との距離を演算する手段と、
前記距離と、いずれか一方の検出用コイルに誘起された誘起起電力によるRC充電回路の充電電圧とにより、前記導体に流れる落雷電流を演算する手段と、備えることを特徴とする落雷情報収集システム。
(2)落雷測定装置とデータ収集器とを備える落雷情報収集システムであって、
前記落雷測定装置は、複数台がそれぞれ異なる測定箇所に取り付けられ、そこの導体に流れる落雷電流をコイルによって検出して、落雷時刻を含む落雷に関する情報を取得する手段を備え、
前記落雷測定装置は、
前記導体に近接され、前記導体に流れる落雷電流により生じる磁束の方向にコイル軸を向けた姿勢にして配設される落雷電流の検出コイルと、
前記検出コイルに誘起される誘起起電力によるRC充電回路の充電電圧を測定する手段と、
得られた前記測定データと前記導体−検出用コイル間の既知の距離データとにより、前記導体に流れる落雷電流を演算する手段と、を備えることを特徴とする落雷情報収集システム。
(3)(1)に記載の落雷情報収集システムにおいて、
前記2つの検出用コイルは、前記導体に、より近接する側から「コイル1、コイル2」として配設され、
前記2つの検出用コイルのそれぞれに誘起される誘起起電力によるRC充電回路の充電電圧について、「コイル1の値−コイル2の値」が、所定電圧値より小さいかどうかが判断され、小さい場合には、電流測定の対象となる導体を流れる電流以外の影響を受けていると判断し、測定を行わないとする手段を、備える。
本発明の落雷情報収集システムによれば、各装置の構成は簡明であって、且つ小型で安価な部材や回路等を用いて製作できる。従って、本発明により、小型、軽量、安価で且つ性能的にも優れた落雷情報収集システムまたは装置を提供することができる。また、本発明の落雷情報収集システムは、落雷検出時の電流検出機能や時刻記憶機能などを持っており、落雷時の有効な情報やデータの取得ができ、その分析や解析において有効に活用することができる。
以下に本発明の一実施の形態にかかる落雷情報収集システムについて、添付の図面を参照して説明する。
図1は、本発明による落雷情報収集システムの一実施形態にかかる図であり、本システムで用いられる発明落雷測定装置100とデータ収集器200とを示す。まず図1(1a)は、落雷測定装置100が測定箇所に取り付けられた状態にある例であって、つぎの図1(1b)は、その落雷測定装置100が落雷を検出して、内蔵していた表示物12(表示バー)を突出または垂下させて、落雷があったことを表示している例を示す図である。
本発明による落雷測定装置100は、複数台すなわち通常は多数台が用意されて、それぞれ異なる測定箇所に取り付けられる落雷検出のためのユニットである。ここでの測定箇所とは、落雷して雷サージ電流が流れる可能性がある電力供給用の鉄塔や構造物、落雷の虞がある一般の建造物などであって、落雷の検出や測定のためには、通常は多くの測定箇所が選定されている。
本落雷測定装置100は、そのような測定箇所となる導体部材30(図1では例えば送電用鉄塔の主柱材)において、本体部10(ケース)の側面から突設された取り付け部11を介して、取り付け用のベルト部材31によって所定位置に配設される。
また、本発明による落雷測定装置100は、その導体部材30に流れる落雷電流をコイルによって検出して、雷撃電流値(落雷の大きさ)・落雷時刻・回数などを含む落雷に関する情報(落雷情報)を取得する手段を備え、また、この落雷を視覚的に報知するための落雷表示手段を備える。ここで得られた落雷情報のデータは、落雷測定装置100の内部に記憶,保管されるが、本体正面に設けられたコネクタ部13(データ取り出し部)に接続することによって、装置外へ取り出すことができる。なお、このコネクタ部13は、落雷測定装置100が設置された状態では、防塵や防水などのために、保護体13aによって覆われて内部が保護されており、この保護体13aはチェーン13bに連結されて、本体の側面に固着されている。
図1(2)は、本発明によるデータ収集器の一例を示す図である。このデータ収集器200は、携帯に便利な筐体またはケース体からなる本体20と、ここから延出される接続ケーブル23とその端部のコネクタ部24とを備え、また、本体20は表示画面21と複数の入力キー部22を備える。
図1(3)は、データ収集器200を落雷測定装置100に接続させて、その内部に記憶保管された落雷に関するデータの取り出しを行う状況を示す図であり、このときは、データ収集器200のコネクタ部24と落雷測定装置100のコネクタ部13とを機械的に連結させて接続を行っている。
ここでのデータ収集器200は、内部には制御部、メモリ部、内蔵時計(カレンダー/日付機能を含む)、電源(電池)などを備え、外面側には表示画面21と入力キー部22とを備え、落雷測定装置100に保管されていたデータを取り出して保管する手段、落雷測定装置100内の保管されていたデータを消去したり調整したりする手段、落雷測定装置100の内蔵された時計機能を調整する手段、落雷測定装置100から得られたデータを他のパソコン等に移送する手段などを備えている。データ収集器200の操作は、表示画面21と入力キー部22とを用いて行うが、落雷測定装置100から得られた雷撃電流値・雷撃時刻・雷撃回数などの落雷情報を、本体20の表示画面21において表示させることもできる。
図2は、本発明による落雷測定装置の一実施形態における動作原理を示すための概念図である。ここでの落雷測定装置の落雷電流の検出コイルは、導体に近接されて、導体に流れる雷サージ電流(落雷電流)により生じる磁束の方向に、巻回されたコイルの中心軸すなわちコイル軸(図5のCa)を向けた姿勢にして配設され、この検出コイルは、同じ形状で同じ巻き数の2つの検出用コイルから構成され、これら2つの検出用コイルは、同じ姿勢で、かつ前記導体からの相対距離を所定寸法ずらした状態にして配設されている。そして、2つの検出用コイルに誘起される誘起起電力によるRC充電回路の充電電圧をそれぞれ測定して、得られた2つの検出用コイルの充電電圧の比より、検出用コイルのいずれか一方と前記導体間との距離を演算することができ、得られた距離と、いずれか一方の検出用コイルに誘起された誘起起電力によるRC充電回路の充電電圧とにより、前記導体に流れる落雷電流を演算することができる。
図2の構成をより具体的に述べれば、ここでの落雷測定装置は、落雷電流測定回路として空芯コイル2個(電流計測コイル1とコイル2)を並べて配置する構造を有し、雷サージ電流(落雷電流)が進む方向に近い側のコイル1が、雷サージ電流から直角に離れた距離「r」の位置に配置されている。そして、2個の空芯コイルに接続された2つのRC回路(抵抗RとコンデンサCとを含む充電回路1と2)を充電させ、その充電電圧(VC1とVC2)をピークホールド回路で計測し、得られたデータは装置内に記憶される。
すなわち、本落雷測定装置では、雷サージ電流が所定の導体内を通過すると、2つのコイルと雷サージ電流の通過位置との距離の違いから、充電電圧のVC1とVC2とに差が生じることとなり、この差から雷撃電流値を逆算してこれを利用するものである。
本発明による落雷測定装置の構造は、RC充電回路を用いてコンデンサの充電電圧の測定で計測しているので、高速のAD変換素子の必要はなく、回路を極めて簡略化することができる。ロゴスキーコイルなどは用いておらず、コストの安い部品類を用いての製造が可能となるので、製品の低コスト化に大いに貢献できる。そして、落雷時には雷サージ電流が流れる現象は非常に早いために、電磁誘導での発生電圧は容易に計測することができないものであるが、本発明による落雷測定装置によれば、先に述べた本願に特有なRC充電回路を用いているので、確実な雷サージ電流の測定と安定した性能とが期待できる。
また、導体−検出用コイル間の距離データが既に判っている場合やこれを確定できる場合においては、本発明による落雷測定装置の別の実施形態において、雷サージ電流を測定することができる。
この形態の落雷測定装置は、導体に近接され、前記導体に流れる落雷電流により生じる磁束の方向にコイル軸を向けた姿勢にして配設される落雷電流の検出コイルと、検出コイルに誘起される誘起起電力によるRC充電回路の充電電圧を測定する手段と、得られた測定データと導体−検出用コイル間の既知の距離データとにより、導体に流れる落雷電流を演算することができる。
さて図3は、本発明による落雷測定装置の一実施形態を示す構成ブロック図である。
図3の落雷測定装置100は、装置全体を制御するためのCPU14(制御部)を備え、2つの落雷電流検出コイル(15aと15b)と、抵抗とコンデンサを含む充電回路を有した落雷電流検出回路15などを用いて、雷サージ電流(落雷電流)の検出・測定などを行い、落雷に関する情報を取得することができる。また、ここでのCPU14は、例えば、プログラムメモリやRAMを有し、動作クロック4MHz程度のスペックのものを用いることができ、時計用IC17(RTC)やメモリ部18(EEPROM)を参照して、落雷時の年月日や時刻(分秒)などのデータや落雷回数などのデータを取得し、これらのデータをメモリ部18(EEPROM)に記憶して保管するとともに、必要に応じてこれを取り出すことができる。
また、この図3の構成ブロック図における落雷測定装置100は、2つの落雷電流検出コイル(15aと15b)の他に、落雷を単に感知するためのサーチコイル16aと落雷検出回路16とを有しており、雷サージ電流が流れたかどうかを検出することができる。ここでの落雷検出回路16は、落雷の有り無しの検出にあたっては、どのような大きさの落雷を感知すべきなのかについて、その感知する大きさを選択・調整する手段を備えており、その落雷感度の調整を、感度調整部16k(感度設定スイッチ)において行うことができる。さらに、落雷測定装置100は、雷撃時の視覚的な報知または表示を行うために、ソレノイドを含む落雷表示駆動回路12Aと落雷表示12a(表示バー)とを有しており、落雷があったことを知らせることができる。
落雷測定装置100の落雷感度の調整については、図3の左上にある感度調整部16k(感度設定スイッチ)において、動作電流感度を設定することができる。例えば、サージ電流の大きさに応じてスイッチを段階別に切り替えるとすれば、一例として、「雷サージ電流の大きさが1600A以上のものを検出するにはスイッチ1、2400A以上はスイッチ2、3200A以上はスイッチ3、3600A以上はスイッチ4、5050A以上はスイッチ5、8250A以上はスイッチ6」のようにして、検出の感度を設定することができる。
本発明による落雷情報収集システムの主要な動作は、つぎのように行われる。
(1)落雷時刻および落雷電流データの記憶
(1-1)CPUは常時スリープモード(省電力モード)で動作する。
(1-2)鉄塔塔脚などの取り付け部位を流れる雷サージ電流が所定値以上であるとき、落雷検知回路が動作し、CPUが動作する。
(1-3)CPUは、落雷時の正確な時刻を内部時計から読み込むと同時に、落雷電流検出コイルに発生した誘起起電力によるRC充電回路の充電電圧および回数をEEPROMに記憶する。
(1-4)落雷表示のためのソレノイドを動作させて、落雷があったことを表示バーなどの表示物が視覚的に報知させる。
(1-5)CPUは再度スリープモード(省電力モード)で動作する。
(2)落雷データの取り出し・消去および時刻調整
(2-1)落雷データの有無は、落雷表示バーが落雷測定装置の本体下部に飛び出していることで確認する。
(2-2)落雷データの取り出しは、本落雷情報収集システム専用のデータ収集器を用いて行う。このデータ収集器は接続用ケーブルおよびコネクタを具備しており、落雷測定装置の
データ取り出しコネクタにこれを接続して、データの取り込みを行う。このとき、落雷測定装置の電源は、データ収集器より供給することができる。
(2-3)落雷測定装置の内部時刻の調整や内部に記憶された落雷データの消去は、データ収集器を用いて行う。
(2-4)動作後の落雷表示バーのリセットについては、表示バーを落雷測定装置の本体の下部から上方へ押し込んで戻すことにより行う。
図4は、落雷測定装置とデータ収集器とを備える本発明による落雷情報収集システムにおいて、その一実施形態にかかる動作フローチャートである。
この落雷情報収集システムにおいて、システムの動作を開始する(ステップ01:S01)と、落雷測定装置のCPUの初期設定を行い(S02)、CPUはスリープ状態(省電力モード)となる(S03)。つぎに、外部割込みが発生したかどうかが判断され(S04)、そこでNoの場合は「S03(CPUスリープモード)」に戻るが、Yesの場合には次のステップ「S05」に進んで、落雷信号かどうかが判断される。
ステップ「S05」で、落雷信号であると判断されたとき(Yesの場合)は、「落雷測定電源ON(S06)」から「1msWAIT(S07)」を経由して、その次のステップ(S08)において、再び落雷信号であるかどうかが判断される。この「S08」においてNoである場合には、「電圧放電ON(S20)」→「10msWAIT(S21)」→「「電圧放電OFF(S22)」→「落雷測定電源OFF(S23)」と経由して、「S03(CPUスリープモード)」に戻ることとなる。
また「S08」においてYesである場合には、「1msWAIT(S09)」から「落雷電流を測定し、8回のデータを取得してそれらを平均するステップ(S10)」に進み、その次のステップ(S11)において、「VC1−VC2」の値が所定電圧(ここでは0.02V)より小さいかどうかが判断される。
ここで、「VC1−VC2」の値が所定電圧より小さい(Yes)と判断された場合には、電流測定の対象となる導体を流れる電流以外の影響を受けていると判断して、その後の測定を行わないこととするので、そのときは、先のステップ「S20」→「S21」→「S22」→「S23」を経由して、「S03(CPUスリープモード)」に戻る。
このステップ(S11)で、「VC1−VC2」の値が、所定電圧より小さくない(No)と判断された場合には、その後、引き続いて測定を行うこととなる。そのときは、次のステップの「落雷電流放電(S12)」から「落雷検知表示のソレノイドが動作(S13)」へと進んで、その次のステップ「S14」において、落雷回数が所定回数以下(ここでは50回以下)であるかどうかが判断される。
ステップ「S14」において、落雷回数が所定回数以下(ここでは50回以下)である(Yes)と判断された場合には、次に、内部時計より時刻を読み込んで、落雷回数(+1)を取得し(S15)、さらに、メモリ(EEPROM)へ落雷時刻・データを書き込んで(S16)、次に、「30msWAIT(S17)」→「電圧放電OFF(S18)」→「落雷測定電源OFF(S19)」と経由して、「S03(CPUスリープモード)」に戻る。
また、ステップ「S14」において、落雷回数が所定回数以下(ここでは50回以下)ではない(No)と判断された場合には、「S15」と「S16」には進まず、「30msWAIT(S17)」→「電圧放電OFF(S18)」→「落雷測定電源OFF(S19)」を経由して、「S03(CPUスリープモード)」に戻る。
さて、ここで前のステップ(S05)に戻って説明を続ける。外部割込みが発生して(S04)、それが落雷信号であるかどうかが判断されるステップ「S05」において、その外部割込みが落雷信号ではないとされたとき(Noの場合)には、続くステップ「S24」において、データ収集からの要求であるのかどうかが判断される。ここで、Noである場合には、前のステップのCPUスリープの状態「S03」に戻ってしまうが、データ収集からの要求であるのと判断されたとき(Yesの場合)には、先のステップ(S25)へと進む。
このステップ「S25」では、データの取り出しを行うかどうかの判断がなされ、データを取り出すとき(Yesの場合)には、つぎのステップ「S28」において、データ収集器へデータを送信し、その次に「データを消去する」かどうかが判断され(S28)、データを消去する場合には、つぎのステップ「S30」においてそれを実行してから、CPUスリープの状態「S03」に戻る。また、消去しない場合には、すぐにCPUスリープの状態「S03」に戻る。
そして、このステップ「S25」で、データを取り出さないとき(Noの場合)には、つぎのステップ「S26」に進んで「時刻確認・修正」をするかどうかが判断される。S26で「時刻確認・修正」をしない場合(Noの場合)には、すぐにCPUスリープの状態「S03」に戻るが、S26で「時刻確認・修正」をする場合(Yesの場合)には、つぎのステップ「S27」においてそれを実行してから、CPUスリープの状態「S03」に戻ることとなる。
図5は、本発明による落雷測定装置とデータ収集器とを備える落雷情報収集システムにおいて、その落雷電流検出の原理をより詳細に説明するための図である。図5中には、落雷電流が流れる導体D1と落雷測定装置が備える検出コイルC1とを示し、図5(1)は、導体D1と検出コイルC1とが配置された状態での平面図であり、図5(2)は、同じく側面図である。
図5の導体D1には落雷電流iが流れ、これを検出コイルC1で測定する。この検出コイルC1は、落雷電流の測定の対象となる導体D1に非接触で接近させて配設される。この検出コイルC1は、縦と横のl×lの寸法の矩形形状であり、巻数はNである。矩形形状の一辺を導体D1に平行とし、導体D1と一辺との距離がrであり、コイル軸Caが平行で導体D1の周囲に生じる磁束の方向と合致する姿勢とされる。なお、この図5において、rは導体D1の中心から検出コイルC1までの距離であるが、既知の値として設定することができる。
図5において、検出コイル1に発生するコイル発生電圧V は、つぎの[数1]で示される。
Figure 2007163381
ここで、N:コイル巻数、μ:真空の透磁率 4π×10−7、I:雷電流、である。
つぎに図6により、本発明による落雷情報収集システムの一実施形態について、その落雷電流検出の原理を説明する。ここでの落雷電流は導体D2を流れ、これを2つの検出コイル(C11とC12)を用いて測定する。落雷電流の測定の対象となる導体D2に非接触で接近させて第1検出コイルC11と第2検出コイルC12とが配設される。これらの第1検出コイルC11と第2検出コイルC12は、縦と横のl×lの寸法が同じ矩形形状であるとともに同じ巻数Nである。しかも、矩形形状の一辺を導体D2に平行とし、導体D2との相対距離が所定寸法gだけずらされ、コイル軸CaとCaとが平行で導体D2の周囲に生じる磁束の方向と合致する姿勢とされる。なお、図において、r,r は、導体D2の中心から第1検出コイルC11と第2検出コイルC12までの距離であるが、ここでは未知数である。
図6において、第1検出コイルC11に生ずるコイル発生電圧V は、先に述べたように[数1]として示される。
また、第2検出コイルC12に生ずるコイル発生電圧V は、同じく[数2]と示される。
Figure 2007163381
ここで、N:コイル巻数、μ:真空の透磁率 4π×10−7、I:雷電流、である。
そして、コイル発生電圧(V 、V)による「Cの充電電圧(Vc 、Vc)」は、次のように示される。
Figure 2007163381
Figure 2007163381
ここで、τ:RC回路の時定数、Τ:雷の立ち上がり時間、である。
そして、「Cの充電電圧(Vc 、Vc)」と「コイル発生電圧(V 、V)」とは次の数式5の関係にあるから、外挿法などによって「r 」が求まる。
Figure 2007163381
そして、dI/dt = I /T 、τ>>T、I:落雷電流のピーク値、とすると、先の[数1][数3]により、次のように表すことができる。
Figure 2007163381
ここで、γ:回路特性による補正係数、とする。
本発明による落雷測定装置とデータ収集器とを備える落雷情報収集システムの一実施形態では、上記のようなコイルを配置した落雷電流測定の原理に基づいて行われ、2つのコイルをその用いた電流測定では、つぎのような手順で行われるとよい。
まず、データ収集器のマイクロコンピュータ等の演算処理部に、予め、各演算式および第1検出コイルC11と第2検出コイルC12等のデータl,l,g,N,μ,等が設定される。
そして、落雷測定装置では、第1検出コイルC11と第2検出コイルC12を導体D2に近接して配置しておき、落雷電流が流れると、第1検出コイルC11と第2検出コイルC12に発生する誘導電圧(V 、V)によるCの充電電圧(Vc 、Vc)を測定する。
データ収集器では、その得られた充電電圧(Vc 、Vc)から、先の数式[数1]〜[数5]を用いて、導体D2と第1検出コイルC11との間の距離「r を演算により求め、さらに、落雷電流値「I:ピーク値」を演算により求める。次に、この演算で求められた「r 「I などのデータを表示部で適宜に表示する。
さて、図7は、本発明の落雷情報収集システムによる落雷測定装置を用いて測定された落雷電流値と、従来型のロゴスキーコイルを用いて測定された落雷電流値とを、比較して示すデータ図である。ここでの落雷電流の測定は、各種大きさのL型アングル部材の取り付け箇所に、本発明による落雷測定装置とロゴスキーコイルによる従来型測定装置との2種類の装置を設置し、試験的に大きさを変えた落雷電流を多数回数流して、それらの落雷電流をその都度測定したものである。測定にあたっては、L型アングル部材はL65/L100/L150の3種類とし、電流測定値が1000A〜9000Aの範囲となるような設定で行った。
この図7を見れば明らかなように、本発明の落雷測定装置による落雷電流測定値と、ロゴスキーコイルによる従来型測定装置による落雷電流測定値とでは、両者のデータ間のばらつきや差異がほとんど見られず、直線的なグラフの関係として示され、両者がほぼ等しい測定電流値を得られることがわかった。
このように、本発明のような低コストで小型の落雷測定装置を用いても、大変高価で大型のロゴスキーコイルによる従来型測定装置とほぼ同等で、極めて正確なデータが得られることが判明した。
そして、図7のデータは、本発明の落雷測定装置において用いられている、コイル発生電圧によるコンデンサの充電電圧を測定することをベースにした測定の理論が、落雷電流の測定に好適であることを示すものである。
なお、上記の実施形態の説明にあっては、検出コイルに矩形コイルを用いた場合について説明したが、検出コイルとしてはこれに限られるものではなく、円形コイルや楕円形コイルや三角コイル等を検出コイルとして用いることができる。
また、本発明の落雷電流の測定では、2つのコイルの第1検出コイルと第2検出コイルの誘導起電力によるRC充電回路の充電電圧の比から、第1検出コイルと導体との間の距離rを演算することを主に説明してきたが、検出コイルと導体との間の距離rが既知であるなら、[数1]〜[数6]から明らかなように、1つの検出コイルだけで落雷電流を測定することも可能である。
本発明の落雷情報収集システムによれば、落雷測定装置を落雷電流が流れる例えば送電鉄塔の塔脚に取り付けておくと、所定の大きさ以上の雷撃電流が塔脚を流れたときに、その雷撃電流の大きさおよび落雷があった正確な時刻などの落雷情報(データ)を記憶して保存しておくことができる。これら記憶された落雷データは、インターフェースコネクタを通してデータ収集器に取り出すことができ、そして、データ収集器に格納された落雷データを、さらに他の電子機器(パソコンなど)へ取り出すこともできる。
また、本発明の落雷情報収集システムによれば、空芯コイルによる電流センサの適用や回路構成の簡素化などによって落雷測定装置の単価を低コストのものとして提供できるため、落雷が起こりうる多数の落雷場所のそれぞれに落雷測定装置を設置することが可能となる。そして、多くの落雷測定装置から得られたデータをデータ収集器によって収集し、落雷データ(動作の有無・日時・回数・電流値など)の検討、落雷箇所の特定、履歴の管理、点検箇所の順位付け、点検時期の見極めなどが極めて容易にできるようになり、落雷に対する設備点検の効率化が大いに期待できる。
本発明による落雷情報収集システムの一実施形態にかかる図であり、本システムで用いられる発明落雷測定装置とデータ収集器とを示す図である。 本発明による落雷情報収集システムに用いられる落雷測定装置の動作原理を示すための概念図である。 本発明による落雷情報収集システムの一実施形態を示す構成ブロック図である。 本発明による落雷情報収集システムの一実施形態にかかる動作フローチャートである。 本発明による落雷情報収集システムの一実施形態において、その落雷電流検出の原理をより詳細に説明するための図である。 本発明による落雷情報収集システムの一実施形態について、その落雷電流検出の原理を説明するための図である。 本発明の落雷情報収集システムによる落雷測定装置を用いて測定された落雷電流測定データと、従来型のロゴスキーコイルを用いて測定された落雷電流測定データとを、比較して示すグラフ図である。
符号の説明
100 落雷測定装置
200 データ収集器
10 本体部(ケース)
12 表示物(表示バー)
12A 落雷表示駆動回路
12a 落雷表示
13 コネネクタ部(データ取り出し部)
13a 保護体
13b チェーン
14 CPU(制御部)
15 落雷電流検出回路
15a、15b 検出コイル
16 落雷検出回路
16a サーチコイル
16k 感度調整部
17 時計用IC
18 メモリ部(EEPROM)
20 本体(筐体またはケース体)
21 表示画面
22 入力キー部
23 接続ケーブル
24 コネクタ部
30 導体部材(取り付け部材)
31 ベルト部材
D1、D2 導体
C1、C11、C12 検出コイル
Ca、Ca 、Ca コイルのコイル軸
r、r 、r12 雷サージ電流から検出コイルまでの距離
g 2つのコイルの距離(ギャップ)

Claims (3)

  1. 落雷測定装置とデータ収集器とを備える落雷情報収集システムであって、
    前記落雷測定装置は、複数台がそれぞれ異なる測定箇所に取り付けられ、そこの導体に流れる落雷電流をコイルによって検出し、落雷時刻を含む落雷に関する情報を取得する手段を備え、
    前記データ収集器は、それぞれの落雷測定装置に接続する手段と、前記落雷測定装置が取得したデータを収集する手段とを備え、
    前記落雷測定装置の落雷電流の検出コイルは、前記導体に近接され、前記導体に流れる落雷電流により生じる磁束の方向にコイル軸を向けた姿勢にして配設され、
    前記検出コイルは、同じ形状で同じ巻き数の2つの検出用コイルから構成され、
    前記2つの検出用コイルは、同じ姿勢で、かつ前記導体からの相対距離を所定寸法ずらした状態にして配設され、
    前記落雷測定装置は、
    前記2つの検出用コイルに誘起される誘起起電力によるRC充電回路の充電電圧をそれぞれ測定する手段と、
    2つの検出用コイルから得られた前記充電電圧の比より、前記検出用コイルのいずれか一方と前記導体間との距離を演算する手段と、
    前記距離と、いずれか一方の検出用コイルに誘起された誘起起電力によるRC充電回路の充電電圧とによって、前記導体に流れる落雷電流を演算する手段と、備えることを特徴とする落雷情報収集システム。
  2. 落雷測定装置とデータ収集器とを備える落雷情報収集システムであって、
    前記落雷測定装置は、複数台がそれぞれ異なる測定箇所に取り付けられ、そこの導体に流れる落雷電流をコイルによって検出して、落雷時刻を含む落雷に関する情報を取得する手段を備え、
    前記データ収集器は、それぞれの落雷測定装置に接続する手段と、前記落雷測定装置が取得したデータを収集する手段とを備え、
    前記落雷測定装置は、
    前記導体に近接され、その導体に流れる落雷電流により生じる磁束の方向にコイル軸を向けた姿勢にして配設される落雷電流の検出コイルと、
    前記検出コイルに誘起される誘起起電力によるRC充電回路の充電電圧を測定する手段と、
    得られた前記データと前記導体−検出用コイル間の既知の距離データとによって、前記導体に流れる落雷電流を演算する手段と、を備えることを特徴とする落雷情報収集システム。
  3. 請求項1に記載の落雷情報収集システムにおいて、
    前記2つの検出用コイルは、前記導体に、より近接する側から「コイル1、コイル2」として配設され、
    前記2つの検出用コイルのそれぞれに誘起される誘起起電力によるRC充電回路の充電電圧について、「コイル1の値−コイル2の値」が、所定値より小さいかどうかが判断され、
    小さい場合には、電流測定の対象となる導体を流れる電流以外の影響を受けていると判断し、測定を行わないとする手段を、備えることを特徴とする落雷情報収集システム。
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