JP2007162837A - 軸継手 - Google Patents
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Abstract
【課題】平行な2軸間で互いに直交する案内溝の交差位置に配した転動体を介して動力を伝達する方式の軸継手において、使用条件に応じて偏心可能範囲を変更できるようにすることである。
【解決手段】鋼球(転動体)3を収納する保持器4の長孔7の両端縁部に、長孔7の端部を塞いで鋼球3の転動範囲を制限するストッパ8を取り付けて、両プレート(回転部材)1、2の偏心を規制することにより、使用条件に応じて偏心可能範囲を変更できるようにしたのである。
【選択図】図1(a)
【解決手段】鋼球(転動体)3を収納する保持器4の長孔7の両端縁部に、長孔7の端部を塞いで鋼球3の転動範囲を制限するストッパ8を取り付けて、両プレート(回転部材)1、2の偏心を規制することにより、使用条件に応じて偏心可能範囲を変更できるようにしたのである。
【選択図】図1(a)
Description
本発明は、互いに平行な2軸を連結して2軸間で動力を伝達する軸継手に関する。
一般的な機械装置の2つの軸を連結して駆動側から従動側へ動力を伝達する軸継手は、連結する2軸の位置関係によって構造が異なり、2軸が1直線上にあるもの、交差するもの、互いに平行な(かつ同心でない)ものに大別される。
このうちの平行な2軸を連結する軸継手として、本出願人は、平行な2軸間で互いに直交する案内溝の交差位置に配した転動体を介して動力を伝達する方式のものを提案した(特許文献1参照。)。
特開2005−172217号公報
図7は上述した方式の軸継手の一例を示す。この軸継手は、軸方向で対向する2つの回転部材51、52の対向面に、複数の案内溝53、54を相手側の案内溝と直交するように設けて、各案内溝53、54交差位置に転動体55を配するとともに、各転動体55を保持器56の長孔57に収納したもので、各転動体55が、保持器56に回転部材径方向の移動を拘束された状態で駆動側の回転部材51に押されることにより、案内溝53、54および保持器56の長孔57の内側を転動しながら従動側の回転部材52を押して動力を伝達するようになっている。なお、図7は、説明上、両回転部材51、52が同心の状態を示しているが、通常は両者の回転軸がずれた(偏心した)状態で使用される。また、そのときの偏心可能範囲は、両回転部材51、52の案内溝53、54および保持器56の長孔57のうちの最も短いものの長さで決定される。
ところで、この方式の軸継手では、偏心状態における転動体の移動速度が、回転部材の回転速度と偏心量の両方に比例して増大する。これは、回転部材が1回転する間に転動体が回転部材の案内溝や保持器の長孔の内側を1往復し、その移動距離が偏心量の4倍に等しいからである。このため、回転部材が高速回転する条件で使用する場合に、偏心可能範囲が広いと、偏心量が大きくなったときに転動体の移動速度が過大になって、振動が発生したり回転部材や保持器が損傷したりするおそれがあった。
また、軸継手を機械装置に組み込んだり、取り外したりする際に、偏心可能範囲が広いと、機械装置の軸との締結が外れている方の回転部材が自重で必要以上に下方へ偏心し、周囲の機器に衝突して損傷を与えたり、回転部材と周囲の機器との間に手を挟んだりすることがあった。
そこで、通常は、軸継手を組み込む機械装置の側に回転部材の偏心を規制するストッパを設けて、軸継手の偏心可能範囲を制限するようにしている。しかし、この方法では、ストッパを設けた機械装置が大型化・複雑化するという難点があるし、装置によっては、このようなストッパを設けることが困難な場合もある。
これに対して、偏心可能範囲、すなわち回転部材の案内溝および保持器の長孔の長さの異なる軸継手を多種揃えておき、そのうちで使用条件に適合する偏心可能範囲を有するものを選べるようにすれば、上記の問題はなくなる。しかし、この方法では、少しずつ仕様の異なる軸継手を多種製造することになるので、製造コストが高くなるし、管理も煩雑になる。また、回転速度等の使用条件の変更が必要になったときに、新たな使用条件に適合する仕様の軸継手を用意するのに時間がかかって迅速な対応ができない場合が多くなる。
本発明の課題は、平行な2軸間で互いに直交する案内溝の交差位置に配した転動体を介して動力を伝達する方式の軸継手において、使用条件に応じて偏心可能範囲を変更できるようにすることである。
上記の課題を解決するため、本発明は、両回転部材および保持器のうちの少なくとも一つの部材に、各転動体の転動範囲を制限するストッパを取り付けて、両回転部材の偏心を規制できるようにしたのである。これにより、軸継手を仕様の異なるものに取り替えることなく、偏心可能範囲を変更できるようになる。
また、前記各転動体を円筒形状に形成して、その両端部を各回転部材の案内溝で案内し、中央部を保持器に設けた長孔に通して保持するとともに、各転動体の外周から鍔状に張り出し、保持器と係合して転動体の軸を含む平面内での回転を拘束するスライダを設けた場合には、前記ストッパを、転動体の転動に伴うスライダの移動を規制することで転動体の転動範囲を制限するものとすることができる。
ここで、前記ストッパの取付位置を調整する手段を設けて、各転動体の転動範囲を可変とすれば、ストッパを交換することなく偏心可能範囲を調整できるようになる。
前記ストッパの取付位置を調整する手段としては、各転動体の転動範囲が拡縮する方向にストッパをスライドさせる送りねじを採用することができる。
さらに、前記送りねじを、両回転部材および保持器のうちのストッパを取り付けた部材にその外周面からねじ込んで、ストッパ取付位置を継手外部から調整できるようにすれば、より簡単に偏心可能範囲の調整を行えるようになる。
本発明は、上述したように、軸継手の両回転部材および保持器のうちの少なくとも一つの部材に、各転動体の転動範囲を制限するストッパを取り付けて、両回転部材の偏心を規制できるようにしたので、使用条件に応じて軸継手を取り替えることなく偏心可能範囲を変更することができる。従って、例えば、軸継手を高速回転条件で使用する場合に、偏心可能範囲を狭くして転動体の移動速度を抑え、振動の発生や部品の損傷を防止することができる。また、偏心可能範囲を機械装置への組み込みや取り外しの際に必要とされる範囲以上に広げないようにして、組込・取外時の回転部材の過大な偏心による事故を防ぐこともできる。
しかも、本発明によれば、一種類の軸継手で偏心可能範囲を自在に設定できるので、仕様の異なる軸継手を多種製造する必要がなくなって、軸継手の製造コストが安くなり管理もしやすくなるし、使用条件の変更にも迅速に対応できるようになる。さらに、軸継手を組み込む機械装置は、ストッパが不要となることにより、小型化・簡素化が図れる。
以下、図1乃至図6に基づき、本発明の実施形態を説明する。図1および図2は第1の実施形態を示す。この軸継手は、図1(a)および図1(b)に示すように、軸方向で対向し、回転軸が互いに平行な状態に保持される回転部材としてのプレート1、2と、両プレート1、2間に配される複数の転動体としての鋼球3と、各鋼球3のプレート径方向の移動を拘束する保持器4とを備え、各鋼球3を介して両プレート1、2間で動力を伝達するものである。なお、図1は、説明上、両プレート1、2が同心の状態を示しているが、通常は後述するように両プレート1、2の回転軸がずれた(偏心した)状態で使用される。
前記各プレート1、2は、それぞれ円盤部の中央に軸部が一体に形成されており、円盤部どうしが軸方向で対向している。各プレート1、2の円盤部の対向面には、それぞれ4つの案内溝5、6が、周方向に等間隔で、相手側のプレートの対応する位置の案内溝と直交し、かつプレート径方向と45度をなす方向に直線的に延びるように形成されている。また、前記保持器4は、環状に形成され、その径方向と直交する方向に直線的に延びる長孔7が周方向に等間隔で4箇所に設けられている。そして、前記各鋼球3は、それぞれ両プレート1、2の案内溝5、6の交差位置に配され、保持器4の長孔7に収納されてプレート径方向の移動を拘束された状態で、案内溝5、6に案内されて転動するようになっており、その転動範囲は、保持器4の各長孔7の両端縁部に取り付けられて長孔7端部を塞ぐストッパ8により制限されている。
この軸継手は、上記の構成であり、入力側のプレート1が回転すると、その案内溝5に周方向から押された鋼球3が、保持器4でプレート径方向の移動を拘束された状態で、出力側のプレート2の案内溝6を押すことにより、出力側プレート2に動力が伝達される。なお、入力側プレート1の回転方向が変わったり、両プレート1、2の駆動側と従動側が逆になったりしても、同じメカニズムで動力伝達が行われる。
上記動力伝達メカニズムは、両プレート1、2が偏心した通常の使用状態でも基本的に同じである。すなわち、各プレート1、2が偏心すると、案内溝5、6の交差位置がプレート周方向で変化し、各鋼球3が案内溝5、6および保持器4の長孔7内を転動しながら両プレート1、2間の動力伝達を行うようになる。このとき、図2(a)、(b)に示すように、鋼球3の転動は保持器4に取り付けられたストッパ8で規制され、これによって両プレート1、2の偏心も規制される。従って、ストッパ8の大きさを変えてストッパ8が長孔7を塞ぐ範囲を変更することにより、偏心可能範囲を使用条件に応じて自在に設定することができる。
上記第1の実施形態では、各鋼球3の転動範囲を制限するストッパ8を保持器4に取り付けたが、図3に示す第2の実施形態のように、ストッパ8を両プレート1、2の案内溝5、6の両端縁部に取り付けるようにしてもよい。
図4(a)、(b)は第3の実施形態を示す。この実施形態では、第1の実施形態をベースとして、ストッパ8の両側部に取付孔8aを保持器4の長孔7と平行に設け、この取付孔8aを通して保持器4にねじ込まれる固定用ねじ9でストッパ8を保持器4に固定している。従って、ストッパ8の取付位置をその取付孔8aの長さの範囲内で調整することにより、ストッパ8を大きさの異なるものに交換することなく、偏心可能範囲を無段階に調整することができる。
図5(a)、(b)は第4の実施形態を示す。この実施形態では、第1の実施形態をベースとして、ストッパ8を保持器4の長孔7に沿ってスライドさせる送りねじ10を、保持器4の外周面からねじ込んでいる。従って、軸継手を機械装置に組み込んだ状態でも、継手外部からドライバや六角レンチ等の工具で送りねじ10を回すことにより、簡単にストッパ8取付位置を変更して偏心可能範囲の調整を行うことができる。
図6(a)、(b)は第5の実施形態を示す。この実施形態では、上記各実施形態の鋼球3に代えて円筒形の転動体11を使用し、その両端部を各プレート1、2の案内溝5、6で案内し、中央部を保持器4の長孔7に通して保持するとともに、各転動体11の外周から鍔状に張り出し、保持器4と係合して転動体11の軸を含む平面内での回転を拘束するスライダ12を設けている。この構成は、転動体11を円筒形として軸方向のガタつきをなくすとともに、スライダ12で転動体11の傾きを抑えて案内溝5、6への噛み込みをなくし、常に安定した作動状態が得られるようにしたものである(特願2005−154090号参照。)。
前記各転動体11は、両端部および中央部の外周に軸受13が嵌め込まれ、これらの各軸受13を介して各案内溝5、6および保持器4の長孔7と転接しており、その転動に伴って前記スライダ12も保持器4の長孔7に沿って移動するようになっている。そして、スライダ12の移動を規制するストッパ8を保持器4に取り付けることにより、転動体11の転動範囲を制限して、偏心可能範囲を自在に設定できるようにしている。
ここで、前記ストッパ8は、第3の実施形態と同様に、保持器4の長孔7と平行な取付孔8aを有し、この取付孔8aを通して保持器4にねじ込まれる固定用ねじ9で保持器4に固定されているので、取付位置の調整が可能である。なお、ストッパの構造としては、第1および第4の実施形態で説明したものを採用することもできる。
1、2 プレート
3 鋼球(転動体)
4 保持器
5、6 案内溝
7 長孔
8 ストッパ
8a 取付孔
9 固定用ねじ
10 送りねじ
11 転動体
12 スライダ
13 軸受
3 鋼球(転動体)
4 保持器
5、6 案内溝
7 長孔
8 ストッパ
8a 取付孔
9 固定用ねじ
10 送りねじ
11 転動体
12 スライダ
13 軸受
Claims (5)
- 軸方向で対向し、回転軸が互いに平行でかつ同心でない状態に保持される2つの回転部材のそれぞれの対向面に、複数の案内溝を相手側の回転部材の対応する位置の案内溝と直交するように設け、前記両回転部材の案内溝が交差する位置に、各案内溝に案内されて転動する転動体を配し、これらの各転動体の回転部材径方向の移動を拘束する保持器を設けて、前記各転動体を介して前記両回転部材間で動力を伝達するようにした軸継手において、前記両回転部材および保持器のうちの少なくとも一つの部材に、前記各転動体の転動範囲を制限するストッパを取り付けて、前記両回転部材の偏心を規制できるようにしたことを特徴とする軸継手。
- 前記各転動体を円筒形状に形成して、その両端部を前記各回転部材の案内溝で案内し、中央部を前記保持器に設けた長孔に通して保持するとともに、各転動体の外周から鍔状に張り出し、前記保持器と係合して転動体の軸を含む平面内での回転を拘束するスライダを設け、前記ストッパを、前記転動体の転動に伴うスライダの移動を規制することで転動体の転動範囲を制限するものとしたことを特徴とする請求項1に記載の軸継手。
- 前記ストッパの取付位置を調整する手段を設けて、前記各転動体の転動範囲を可変としたことを特徴とする請求項1または2に記載の軸継手。
- 前記ストッパの取付位置を調整する手段が、前記各転動体の転動範囲が拡縮する方向にストッパをスライドさせる送りねじであることを特徴とする請求項3に記載の軸継手。
- 前記送りねじを、前記両回転部材および保持器のうちの前記ストッパを取り付けた部材にその外周面からねじ込んで、前記ストッパの取付位置の調整を継手外部から行えるようにしたことを特徴とする請求項4に記載の軸継手。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2005360311A JP2007162837A (ja) | 2005-12-14 | 2005-12-14 | 軸継手 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2005360311A JP2007162837A (ja) | 2005-12-14 | 2005-12-14 | 軸継手 |
Publications (1)
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JP2007162837A true JP2007162837A (ja) | 2007-06-28 |
Family
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Family Applications (1)
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JP2005360311A Pending JP2007162837A (ja) | 2005-12-14 | 2005-12-14 | 軸継手 |
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JP (1) | JP2007162837A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN110925321A (zh) * | 2019-12-27 | 2020-03-27 | 长安大学 | 一种偏心距可调的偏心联轴器 |
-
2005
- 2005-12-14 JP JP2005360311A patent/JP2007162837A/ja active Pending
Cited By (2)
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CN110925321A (zh) * | 2019-12-27 | 2020-03-27 | 长安大学 | 一种偏心距可调的偏心联轴器 |
CN110925321B (zh) * | 2019-12-27 | 2023-07-14 | 长安大学 | 一种偏心距可调的偏心联轴器 |
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Legal Events
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A711 | Notification of change in applicant |
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