JP2007162562A - 可変容量圧縮機用制御弁 - Google Patents

可変容量圧縮機用制御弁 Download PDF

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Abstract

【課題】可変容量圧縮機用制御弁の弁部におけるシャフトとこれを保持しているボディとの間の摺動部に異物が混入しても、ヒステリシスの増加を少なくして耐異物性を向上させる。
【解決手段】弁体を保持しているシャフトと、そのシャフトを弁部の開閉方向に摺動自在に保持しているボディとの材質を、それらの硬度差ΔHvがビッカース硬度で500以下のものにした。シャフトの硬度をボディの硬度に近づけたことにより、それらの摺動部に異物が混入した場合に双方が異物によって同じように削られるため、片方(ボディ)のみに異物が深く噛み込んでしまって抜けづらくなるということがなくなる。これによりシャフトの引っ掛かりが増大することがないので、試験前後のヒステリシスの増加が抑制され、耐異物性を向上させることができる。
【選択図】図3

Description

本発明は可変容量圧縮機用制御弁に関し、特に自動車用空調装置の可変容量圧縮機にて冷媒の吐出容量を制御するのに好適な可変容量圧縮機用制御弁に関する。
自動車用空調装置の冷凍サイクルに用いられる圧縮機は、走行状態によって回転数が変化するエンジンを駆動源としているので回転数制御を行うことができない。そこで、一般的には、エンジンの回転数に制約されることなく適切な冷房能力を得るために、冷媒の吐出容量を可変することのできる可変容量圧縮機が用いられている。
可変容量圧縮機は、一般に、気密に形成されたクランク室内で傾斜角可変に設けられた揺動板が回転軸の回転運動によって駆動されて揺動運動をし、その揺動板の揺動運動により回転軸と平行な方向に往復運動するピストンが吸入室の冷媒をシリンダ内に吸入して圧縮した後、吐出室に吐出する。このとき、クランク室内の圧力を変化させることにより、揺動板の傾斜角度を変化させることができ、これによってピストンのストロークが変化され、冷媒の吐出量が変化させられる。このクランク室内の圧力を変化させるよう制御するのが、可変容量圧縮機用制御弁である。
このような可変容量圧縮機の吐出容量を可変制御するための可変容量圧縮機用制御弁は、一般に、吐出室から吐出された吐出圧力Pdの冷媒の一部を気密に形成されたクランク室に導入するようにし、その導入量を制御することによってクランク室内の圧力Pcを制御している。そのクランク室への冷媒導入量の制御は、たとえば吸入室の吸入圧力Psに応じて行うものが知られている。つまり、可変容量圧縮機用制御弁は、吸入圧力Psを感じて、その吸入圧力Psが一定に保たれるように吐出室からクランク室に導入される吐出圧力Pdの冷媒の流量を制御している。
このため、可変容量圧縮機用制御弁は、吸入圧力Psを感知する感圧部と、その感圧部が感知した吸入圧力Psに応じて吐出室からクランク室へ通じる通路を開閉制御する弁部とを備えている。さらに、可変容量動作に入るときの吸入圧力Psの値を外部から自由に設定することができるようにした可変容量圧縮機用制御弁では、感圧部の設定値を外部電流によって可変できるソレノイドを備えている。
弁部は、その構成の一例として、たとえば、吐出室に連通するポートとクランク室に連通するポートとの間に弁孔を形成し、その弁孔の下流側には閉弁方向に付勢された弁体を配置している。その弁体は、弁孔を構成するボディに開閉方向に摺動自在に保持されたシャフトおよび弁孔を挿通するように配置されてそのシャフトと結合された細径の連結棒と一体に形成され、そのシャフトが弁体を保持するとともに弁体を開閉方向にガイドする役目をしている。
シャフトの弁体が設けられている側と反対の側には、吸入圧力Psを感知する感圧部が配置されている。つまり、シャフトは、その一端に高圧の吐出圧力Pdがかかり、他端に低圧の吸入圧力Psがかかっている状態で弁部の開閉方向に摺動自在にボディに保持されている。シャフトとこれを保持しているボディの摺動面との間には、シャフトを弁部の開閉方向に動きやすくするためにある程度のクリアランスが設定されている。そのため、どうしても、吐出圧力Pdの冷媒がそのクリアランスを通って吸入圧力Psの側に漏れてしまうことになる。
冷凍サイクルを循環する冷媒には、微小な異物が含まれているので、そのような異物がシャフトとボディとの間のクリアランスに侵入すると、異物がシャフトおよびボディの摺動面に食い込んで摺動面に傷を生じさせることになる。傷が多くなると、シャフトに大きな引っ掛かり現象が発生してシャフトが動きにくくなるため、弁体が制御位置に向かって開弁方向または閉弁方向にストロークしていく方向によって停止する位置が異なってしまうヒステリシス現象が増加したり、シャフトがスムーズにストロークしないステッピング現象が発生したりすることがある。そして、このような現象が顕著になると、最悪、シャフトがスティックして動かなくなってしまうことがある。
このような現象に対して、シャフトとボディとの間のクリアランスに異物が侵入したとしても、そのような異物を容易に排出できるようにした可変容量圧縮機用の制御弁が提案されている(たとえば、特許文献1参照。)。この制御弁によれば、シャフトとボディとの間のクリアランスを、高圧側よりも低圧側の方を大きく形成して、クリアランスに侵入した異物が低圧側に容易に流出することができるようにしている。
また、シャフトが動かなくなる要因として異物によりシャフトに傷が付いてそこに異物が噛み込んでしまう現象がある。このため、シャフトに硬度の高い材料を使用して傷が付きにくくなるようにすることも行われている。
特開2003−301773号公報(段落番号〔0022〕,図1)
しかしながら、シャフトとボディとの間のクリアランスが高圧側よりも低圧側の方を大きくなるように構成した制御弁においては、高圧側と低圧側とのシール性が悪くなって高圧側から低圧側への冷媒漏れが多くなり、冷凍サイクルの効率が悪化するという問題点があった。
また、シャフトの硬度を上げた場合には、シャフト側が異物によって傷が付きにくくなる反面、ボディ側に深い傷が発生しており、ボディへの異物の刺さり代が多くなることで、異物が抜けづらくなり、これがシャフトとの引っ掛かりを増大させることになって、ヒステリシスが増加し、ステッピング現象、さらにはスティック現象が発生するという問題点があった。
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、ヒステリシスの増加を少なくして耐異物性を向上させた可変容量圧縮機用制御弁を提供することを目的とする。
本発明では上記問題を解決するために、冷媒が流れる弁孔を開閉する弁体と一体に動くように形成されたシャフトと、前記シャフトを摺動自在に保持して前記弁体の開閉方向の動きを案内するボディとを備えた可変容量圧縮機用制御弁において、前記シャフトと前記ボディとの材質の硬度差をビッカース硬度で500以下にしたことを特徴とする可変容量圧縮機用制御弁が提供される。
このような可変容量圧縮機用制御弁によれば、シャフトおよびボディの硬度差をビッカース硬度で500以下にしたことで、それらの摺動面の間に異物が入ったときに、摺動面が異物によって互いに削られる量が少ないため、シャフトの引っ掛かりが発生しにくくなっており、これがヒステリシス、つまり摺動荷重の増加を抑制している。
本発明の可変容量圧縮機用制御弁は、弁部のシャフトとこれを摺動自在に保持しているボディとを硬度の近い材質で構成したため、冷媒に含まれている異物がシャフトとボディとの摺動部に混入した場合に、シャフトおよびボディの両方が異物によって互いに同じように削られることで、互いに浅い傷しか付かず、引っ掛かりが発生しにくくなっていることから、ヒステリシスの増加が少なく、耐異物性を向上させることができるという利点がある。
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明による可変容量圧縮機用制御弁の構成例を示す中央縦断面図である。
この可変容量圧縮機用制御弁は、図の上方に弁部を備えている。弁部は、ボディ11の側部開口部が可変容量圧縮機の吐出室に連通して吐出圧力Pdを受けるポート12を構成し、そのポート12の周りには、ストレーナ13が周着されている。吐出圧力Pdを受けるポート12は、ボディ11の上部に開口されたポート14と内部で連通しており、そのポート14は、可変容量圧縮機のクランク室に連通していてクランク室に制御された圧力Pcを導出する。
ポート12とポート14とがボディ11の内部で連通する冷媒通路には、弁座15がボディ11と一体に形成されている。この弁座15の圧力Pcを導出する側から対向して弁体16が軸線方向に進退自在に配置されている。この弁体16は、弁孔を介して図の下方へ延びていてボディ11に軸線方向に進退自在に保持されたシャフト17と一体に形成されている。弁体16とシャフト17とを結合している細径部には、吐出室からの吐出圧力Pdが導入される。シャフト17の外径は、弁座15を構成する弁孔の内径と同じにして、弁体16の受圧面積とシャフト17の受圧面積とを同じにしてある。これにより、吐出圧力Pdが弁体16を図の上方へ作用する力を、シャフト17を図の下方へ作用する力によってキャンセルして、弁部の制御が高圧の吐出圧力Pdの影響を受けないようにしている。
弁体16は、スプリング18によって閉弁方向に付勢されており、そのスプリング18は、ポート14内に螺着されたアジャストねじ19によって荷重が調整されている。
さらに、ボディ11の図の下方には、可変容量圧縮機の吸入室に連通して吸入圧力Psを受けるポート20が形成されている。
ボディ11の下端部は、ソレノイドの一部を構成する磁性材料のボディ21に圧入によって固定されている。そのボディ21の中には、ソレノイドの分割したプランジャの一方である第2プランジャ22が配置されている。この第2プランジャ22は、図の上端面中央にシャフト17の外径よりも十分大きな内径を有する穴が凹設されていて、その穴の底部に、ボディ11とはほとんどクリアランスがない状態で軸線方向に進退可能に保持されているシャフト17の下端面が当接するようにしている。このシャフト17の下端面は、断面円弧状に形成されていて、穴の底部に当接する角度が正確に直角でなくても、第2プランジャ22が上下動することによりシャフト17に偶力が発生することがないようにしている。第2プランジャ22は、また、断面T字型の形状に形成されていて、そのフランジ部23の図の下側の面は、ボディ21の図の上側の面と対向させるようにしている。これにより、ソレノイドの通電開始時に、フランジ部23とボディ21との対向面の間で軸線方向の吸引力を発生させて、弁部が閉弁方向へ迅速に移動するのを助けている。第2プランジャ22は、さらに、ボディ21内に形成された段差部との間に配置されたスプリング24によって図の上方へ付勢されている。このスプリング24は、弁体16を閉弁方向に付勢しているスプリング18よりも大きな荷重を有していて、ソレノイドへの通電がないときには、図示のように、第2プランジャ22は、ポート20に連通する部屋の天井に当接するまでシャフト17を押し上げ、弁体16をその全開位置に維持させることができる。このスプリング24は、また、第2プランジャ22のフランジ部23より下の部分を保持しており、第2プランジャ22のガイド機能を担っている。
第2プランジャ22の図の下方には、感圧部とソレノイドの残りの構成要素とが配置されている。すなわち、第2プランジャ22の図の下方には、コア25の図の上部にスリーブ26を接合し、図の下部にキャップ27を接合し、さらにスリーブ26の図の上部開口端を金属製のダイヤフラム28で封止して真空容器を構成し、その真空容器の中にソレノイドの分割したプランジャの他方である第1プランジャ29およびスプリング30を収容したアセンブリが配置され、スリーブ26の外側には、コイル31と、磁気回路を形成するためのヨークを成す、ボディ21と一体のケース32および把手33とが配置されている。
スリーブ26の中に軸線方向に進退自在に配置されている第1プランジャ29は、コア25の中心を軸線方向に延びるシャフト34の一端に固定されており、シャフト34の他端は、コア25の中に摺動可能に配置された軸受部35によって支持されている。シャフト34の途中には、止輪36が嵌合され、その止輪36によって図の上方への移動が規制されるようにばね受け部37が設けられていて、そのばね受け部37と軸受部35との間にスプリング30が配置されている。このスプリング30により、第1プランジャ29は、コア25から離れる方向へシャフト34を介して付勢されている。なお、このスプリング30は、キャップ27を押して内側に変形させることによって軸受部35の軸線方向の位置を変え、スプリング30の荷重を調節し、この可変容量圧縮機用制御弁のセット値を調整している。
以上の構成において、この可変容量圧縮機用制御弁の図示の状態は、ソレノイドが通電されていなくて、吸入圧力Psが高い場合の状態、すなわち、空調装置が動作していないときの状態を示している。吸入圧力Psが高いので、ダイヤフラム28は、スプリング30の荷重に抗して図の下方へ変位し、第1プランジャ29をコア25へ当接させている。一方、第2プランジャ22は、スプリング24によってダイヤフラム28から離れるよう図の上方へ付勢されているため、シャフト17を介して弁体16をその全開位置に付勢している。したがって、この状態で、可変容量圧縮機の回転軸がエンジンによって回転駆動されていても、可変容量圧縮機は吐出容量が最小の状態で運転されることになる。
ここで、自動車用空調装置が起動されたときのように、ソレノイドのコイル31に最大の制御電流が供給されると、第1プランジャ29については、高い吸入圧力Psにより図の下方へ押されてコア25に当接しているので、コア25との間で吸引状態になってもそのままの位置にある。したがって、このときには、第1プランジャ29およびコア25は、固定鉄芯のように振る舞い、第1プランジャ29がダイヤフラム28を介しスプリング24の付勢力に抗して第2プランジャ22を吸引する。第2プランジャ22は、吸引されてダイヤフラム28に当接されることにより図の下方へ移動し、これに伴って、弁体16がスプリング18により押し下げられて弁座15に着座され、弁部は全閉になる。これにより、吐出室からクランク室への通路は遮断されるので、可変容量圧縮機は、速やかに最大容量の運転に移行するようになる。
可変容量圧縮機が最大容量の運転を続けて、吸入室の吸入圧力Psが十分に低くなると、ダイヤフラム28がその吸入圧力Psを感知して図の上方へ変位しようとする。このとき、ソレノイドのコイル31に供給される制御電流を空調の設定温度に応じて小さくすると、第2プランジャ22および第1プランジャ29は吸着状態のまま一体となって、吸入圧力Psとスプリング18,24,30の荷重とソレノイドの吸引力とがバランスした位置まで図の上方へ移動する。これにより、弁体16が第2プランジャ22により押し上げられ、弁座15から離れて所定の開度に設定される。したがって、吐出圧力Pdの冷媒が開度に応じた流量に制御されてクランク室に導入され、可変容量圧縮機は、制御電流に対応した容量の運転に移行するようになる。
そして、ソレノイドのコイル31に供給される制御電流が一定の場合、ダイヤフラム28は吸入圧力Psを絶対圧で感知して弁部の弁リフトを制御する。たとえば冷凍負荷が大きくなって、吸入圧力Psが高くなった場合は、第1プランジャ29は図の下方へ変位するので、弁体16も下方へ移動して弁リフトが小さくなり、可変容量圧縮機は、吐出容量を増やすよう動作する。逆に、冷凍負荷が小さくなって吸入圧力Psが低くなった場合には、第1プランジャ29は図の上方へ変位して弁リフトを大きくするので、可変容量圧縮機は、吐出容量を減らすよう動作する。このようにして、可変容量圧縮機用制御弁は、吸入圧力Psがソレノイドによって設定された値になるよう可変容量圧縮機の吐出容量を制御する。
このように、可変容量圧縮機用制御弁の動作中は、弁部のシャフト17は、弁体16をその開閉方向の往復移動に対してガイドするようにボディ11に摺動自在に保持されており、シャフト17とボディ11との間には所定のクリアランスが設けられている。このクリアランスの図の上部は、高圧の吐出圧力Pdがかかり、図の下方には、低圧の吸入圧力Psがかかっているため、その差圧により、クリアランスを介して冷媒漏れが発生しており、冷媒の中に含まれている微小の異物もそのクリアランスを流れることになる。そのクリアランスに侵入した異物は、シャフト17およびボディ11を傷付け、かつ、シャフト17とボディ11との間に噛み込まれて、ヒステリシスの増加を招いている。
このヒステリシス増加現象は、シャフト17とボディ11との間に所定のクリアランスを設ける必要性から、構造的に不可避的に発生するものであるが、シャフト17およびボディ11の材質を変更して耐異物試験を行った結果、ヒステリシスの増加傾向を抑制できることが分かった。この耐異物試験では、シャフト17として3種類の材質のものをそれぞれ3つで、計9個のサンプルを用意し、これらを1種類の材質のボディ11と組み合わせたものに対して、ヒステリシスがどのように変化するかを見ることで評価を行った。
図2はシャフトおよびボディの材質のサンプル例を示す図、図3は試験前後のヒステリシス変化を示す図である。
耐異物試験に用いたシャフト17のサンプルは、その材質として、図2に示したように、オーステナイト系ステンレス鋼、熱処理を施したマルテンサイト系ステンレス鋼および窒化処理を施したオーステナイト系ステンレス鋼が用いられ、そのときのビッカース硬度は、それぞれ、約400Hv、約700Hvおよび約1100Hvであった。また、ボディ11の材質は、真鍮とし、そのビッカース硬度は、約200Hvである。
このようなシャフト17およびボディ11を用いた弁部に対し、投入異物量と弁部の開閉回数とをそれぞれ変えた3つの試験モードにて、耐異物試験を実施した。たとえば、投入する異物として、粒度1000番のホワイトアルミナを使用し、各サンプルに対して、投入異物量20mgで弁部の開閉回数10回、続いて投入異物量20mgで弁部の開閉回数10回、そして投入異物量0で弁部の開閉回数50回とする3つの試験モードにて順次試験を実施した。
この耐異物試験によれば、図3に示したように、試験前後のヒステリシス変化は、シャフト17とボディ11との硬度差ΔHvが500Hv以下では、ヒステリシスの増加が少なく、硬度差ΔHvが500Hvを越えると、ヒステリシスの増加が大きくなる傾向を示し、硬度差ΔHvが900Hvのサンプルの中には、ヒステリシスが2kg以上にも増加しているものがあった。
この耐異物試験の結果から、シャフト17およびボディ11は、それらの硬度差ΔHvが500Hv以下で、好ましくは約200Hvとなる材質を選択することにより、ヒステリシスの増加が少なく、耐異物性を向上させることが分かる。
試験後にシャフト17およびボディ11の摺動面を観察してみると、シャフト17の硬度が高くなるほど、シャフト17に付く傷は少なく、逆にボディ11に付く傷は増加していることから、シャフト17の硬度を高くすることにより、シャフト17の摺動面が異物により削られない(傷が付かない)分、それに対向するボディ11の摺動面に深い傷が発生している。これら摺動面の片側(ボディ側)への異物の刺さり代が多くなると、そこから異物が抜けづらくなり、シャフト17の引っ掛かりを発生させ、これがヒステリシスの増加に繋がっているものと思われる。
これに対し、シャフト17およびボディ11の硬度差ΔHvを500Hv以下にした場合は、それらの摺動面の間に異物が入ったときに、摺動面が異物によって互いに削られる量が少ないため、互いに傷の深さが浅く、引っ掛かりが発生しにくくなっていることで、摺動荷重の増加を抑制することができる。
なお、以上の実施の形態では、吸入圧力Psを感知して、その吸入圧力Psが所定の圧力に保たれるように吐出室からクランク室に導入される吐出圧力Pdの冷媒の流量を制御している可変容量圧縮機用制御弁の弁部を例に説明したが、吐出圧力Pdと吸入圧力Psとの差圧を感知してその差圧が所定の差圧に保たれるように吐出室からクランク室に導入される吐出圧力Pdの冷媒の流量を制御している可変容量圧縮機用制御弁の弁部のシャフトおよびボディにおいても、同様に適用することができる。また、クランク室の圧力を制御するためにクランク室から吸入室へ流れる冷媒の流量を制御するように配置された可変容量圧縮機用制御弁においても、その弁部のシャフトおよびボディに同様に適用することができる。
本発明による可変容量圧縮機用制御弁の構成例を示す中央縦断面図である。 シャフトおよびボディの材質のサンプル例を示す図である。 試験前後のヒステリシス変化を示す図である。
符号の説明
11 ボディ
12 ポート
13 ストレーナ
14 ポート
15 弁座
16 弁体
17 シャフト
18 スプリング
19 アジャストねじ
20 ポート
21 ボディ
22 第2プランジャ
23 フランジ部
24 スプリング
25 コア
26 スリーブ
27 キャップ
28 ダイヤフラム
29 第1プランジャ
30 スプリング
31 コイル
32 ケース
33 把手
34 シャフト
35 軸受部
36 止輪
37 ばね受け部

Claims (3)

  1. 冷媒が流れる弁孔を開閉する弁体と一体に動くように形成されたシャフトと、前記シャフトを摺動自在に保持して前記弁体の開閉方向の動きを案内するボディとを備えた可変容量圧縮機用制御弁において、
    前記シャフトと前記ボディとの材質の硬度差をビッカース硬度で500以下にしたことを特徴とする可変容量圧縮機用制御弁。
  2. 前記シャフトと前記ボディとの材質の前記硬度差をビッカース硬度で約200であることを特徴とする請求項1記載の可変容量圧縮機用制御弁。
  3. 前記シャフトをオーステナイト系のステンレス鋼、前記ボディを真鍮で構成したことを特徴とする請求項1記載の可変容量圧縮機用制御弁。
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