JP2007162522A - 内燃機関の排気浄化装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】S再生のために燃料を添加した際において、ベンゼンの発生を適切に抑制することが可能な内燃機関の排気浄化装置を提供する。
【解決手段】内燃機関の排気浄化装置は、排気系における空燃比をリッチにするために、排気系に燃料を添加することによって内燃機関から排出される排気ガスを浄化する。燃料添加制御手段は、触媒の硫黄被毒に対する再生を行う際に、通常の燃料よりも含まれる高沸点アロマ成分が少ない燃料を排気系に添加する制御を行う。これにより、触媒に対して供給される高沸点アロマ成分が減少するため、触媒におけるベンゼンの生成反応を抑制することができる。
【選択図】図1
【解決手段】内燃機関の排気浄化装置は、排気系における空燃比をリッチにするために、排気系に燃料を添加することによって内燃機関から排出される排気ガスを浄化する。燃料添加制御手段は、触媒の硫黄被毒に対する再生を行う際に、通常の燃料よりも含まれる高沸点アロマ成分が少ない燃料を排気系に添加する制御を行う。これにより、触媒に対して供給される高沸点アロマ成分が減少するため、触媒におけるベンゼンの生成反応を抑制することができる。
【選択図】図1
Description
本発明は、内燃機関の排気浄化装置に関する。
従来から、硫黄成分(SOxなど)による触媒の硫黄被毒を回復(以下、「S再生」とも呼ぶ。)するために、排気ガス中に還元剤を添加する制御が行われている。例えば、特許文献1には、燃料に含まれる硫黄成分の濃度よりも低濃度の硫黄成分を有する還元剤を添加する技術が記載されている。また、特許文献2には、冷却装置を介することによって高硫黄成分の芳香族を分離した燃料を添加する技術が記載されている。その他にも、特許文献3に、排気通路中に還元剤を添加する技術が記載されている。
ところで、本発明の発明者らは、S再生のために還元剤(燃料)を添加した際に、ベンゼンの排出量が通常時に比較して増加することを発見した。こうなるのは、燃料中の高沸点のアロマ成分(アルキルベンゼンなど)が触媒で分解されてベンゼンを生成するためと考えられる。ベンゼンは、大気環境濃度が設定されている物質であり、車両からの排出を抑制することが好ましい。
しかしながら、上記した特許文献1乃至3に記載された技術では、ベンゼンを考慮した制御を行ってはいない。
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、S再生のために燃料を添加した際において、ベンゼンの発生を適切に抑制することが可能な内燃機関の排気浄化装置を提供することを目的とする。
本発明の1つの観点では、排気系における空燃比をリッチにする際に、前記排気系に燃料を添加する燃料添加手段と、触媒の硫黄被毒に対する再生を行う場合に、通常の燃料よりも含まれる高沸点アロマ成分が少ない燃料を前記排気系に添加するように、前記燃料添加手段を制御する燃料添加制御手段と、を備えていることを特徴とする。
上記の内燃機関の排気浄化装置は、燃料添加手段と燃料添加制御手段とを備えている。燃料添加手段は、排気系における空燃比をリッチにするために、排気系に燃料を添加する。燃料添加制御手段は、触媒の硫黄被毒に対する再生を行う際に、通常の燃料よりも含まれる高沸点アロマ成分が少ない燃料を排気系に添加するように燃料添加手段を制御する。このように燃料を添加する理由は、以下の通りである。触媒は、供給される高沸点アロマ成分を分解してベンゼンを生成する。また、触媒の硫黄被毒に対する再生を実行している際には、触媒がリッチ雰囲気であるためベンゼンが発生しやすい。したがって、触媒の硫黄被毒に対する再生を行う際に、燃料添加制御手段が、通常の燃料より含まれる高沸点アロマ成分が少ない燃料を添加させる制御を行うことによって、触媒に対して供給される高沸点アロマ成分が減少するため、触媒におけるベンゼンの生成反応が抑制される。したがって、触媒からのベンゼンの排出を抑制することができる。また、上記の内燃機関の排気浄化装置によれば、車両からのナノ粒子の排出も抑制することもできる。更に、触媒へのHC被毒も軽減することができるため、触媒を触媒活性が高い状態に維持することができるので、触媒の硫黄被毒に対する再生性能を向上させることが可能となる。
上記の内燃機関の排気浄化装置の一態様では、前記燃料添加制御手段は、前記触媒の硫黄被毒に対する再生を行わない場合には、前記通常の燃料を前記排気系に添加し、前記触媒の硫黄被毒に対する再生を行う場合には、前記高沸点アロマ成分が少ない燃料を前記排気系に添加するように前記燃料添加手段を制御する。
この態様では、燃料添加制御手段は、触媒の硫黄被毒に対する再生を行わない場合には、ベンゼンがほとんど生成されないため、高沸点アロマ成分が少ない燃料の代わりに、通常の燃料を排気系に添加する。したがって、ベンゼンが生成されやすい状況においてのみ(即ち触媒の硫黄被毒に対する再生を行う場合)、高沸点アロマ成分が少ない燃料を添加すればよい。そのため、高沸点アロマ成分が少ない燃料を必要最低限の量だけ添加すれば足りるので、高沸点アロマ成分が少ない燃料の無駄な消費を抑制することが可能となる。
上記の内燃機関の排気浄化装置の他の一態様では、前記燃料添加制御手段は、前記触媒の硫黄被毒に対する再生を行う場合において、前記排気系における空燃比がリッチであるときにのみ、前記高沸点アロマ成分が少ない燃料を添加するように前記燃料添加手段を制御する。
この態様では、燃料添加制御手段は、触媒の硫黄被毒に対する再生を行っている際において、空燃比がリッチであるときにのみ、通常の燃料よりも含まれる高沸点アロマ成分が少ない燃料を添加させる制御を行う。言い換えると、燃料添加制御手段は、空燃比がリーンであるときには、通常の燃料を添加させる制御を行う。これにより、高沸点アロマ成分が除去された燃料を使用する量を効果的に削減することができる。
上記の内燃機関の排気浄化装置の好適な例では、前記燃料添加手段は、前記通常の燃料が供給され、当該通常の燃料を前記排気系に対して添加する第1燃料添加弁と、前記高沸点アロマ成分が少ない燃料が供給され、当該高沸点アロマ成分が少ない燃料を前記排気系に対して添加する第2燃料添加弁と、を備えている。この場合、触媒の硫黄被毒に対する再生を行う際、或いは触媒の硫黄被毒に対する再生を行う際において排気系がリッチにあるときに、第2燃料添加弁から高沸点アロマ成分が少ない燃料を添加する。
他の好適な例では、前記燃料添加手段は、前記通常の燃料から高沸点アロマ成分を除去し、前記高沸点アロマ成分が少ない燃料を生成する除去手段を備えている。この場合、燃料添加制御手段は、触媒の硫黄被毒に対する再生を行う際、或いは触媒の硫黄被毒に対する再生を行う際において排気系がリッチにあるときに、除去手段によって生成された燃料を添加する。
更に、他の好適な例では、前記燃料添加手段は、前記通常の燃料が貯蔵された第1燃料タンクと、前記高沸点アロマ成分が少ない燃料が貯蔵された第2燃料タンクと、を備えている。この場合、燃料添加制御手段は、触媒の硫黄被毒に対する再生を行う際、或いは触媒の硫黄被毒に対する再生を行う際において排気系がリッチにあるときに、第2燃料タンクに貯蔵された燃料を添加する。
以下、図面を参照して本発明の好適な実施の形態について説明する。なお、本明細書では、「通常の燃料」とは、高沸点アロマ成分を除去するための処理がなされていない、気筒内での燃焼に用いられる一般的な燃料を意味する。
[第1実施形態]
まず、本発明の第1実施形態について説明する。
まず、本発明の第1実施形態について説明する。
図1は、第1実施形態に係る内燃機関の排気浄化装置を適用した内燃機関1の概略構成を示している。図1中において、実線矢印がガスの流れの一例を示し、破線矢印が信号の入出力を示している。
内燃機関1は、4つの気筒2が一列に並べられた直列4気筒型のディーゼルエンジンで、主に、吸気通路3、排気通路4、ターボ過給機5、ECU(Engine Control Unit)24を備えている。
吸気通路3には、ターボ過給機5のコンプレッサ5aと、コンプレッサ5aにて圧縮された吸気を冷却するインタークーラ7と、吸気通路3を流通する吸気の量を調節するスロットルバルブ13と、が設けられている。排気通路4には、ターボ過給機5のタービン5bと、触媒30と、A/Fセンサ32とが設けられている。触媒30としては、例えばNOx吸蔵還元型触媒、又はDPNR(Diesel Particulate-NOx active Reduction system)が用いられる。A/Fセンサ32は、触媒30下流における排気ガスのA/F(空燃比)を検出し、検出したA/Fに対応する検出信号S32をECU24に供給する。更に、吸気通路3と排気通路4とはEGR通路6によって接続され、排気通路4内の一部の排気ガスが吸気通路3へ還流される。また、EGR通路6には、排気ガスの還流量を調整するためのEGRバルブ8が設けられている。
内燃機関1には、各気筒2に対応させて4つのインジェクタ9が設けられている。4つのインジェクタ9は、コモンレール10に接続される。コモンレール10は、燃料タンク15から燃料(軽油)を汲み上げてコモンレール10に圧送するサプライポンプ11に接続される。4つのインジェクタ9は夫々、コモンレール10に圧送された燃料を4つの気筒2内に噴射する。
また、内燃機関1は、還元剤(燃料)を排気通路4に対して添加する2つの燃料添加インジェクタ28、29を備えている。燃料添加インジェクタ28はサプライポンプ11に接続され、サプライポンプ11は燃料タンク15に接続されている。一方、燃料添加インジェクタ29はサプライポンプ12に接続され、サプライポンプ12は高沸点アロマ除去装置25を介して燃料タンク15に接続されている。高沸点アロマ除去装置25は、燃料タンク15から供給される燃料(通常の燃料)中の高沸点アロマ成分(アルキルベンゼンなど)を除去する装置である。具体的には、高沸点アロマ除去装置25は、冷却して分離する方法、分離膜を用いる方法、及び吸着材を利用する方法、のうちのいずれかの方法を用いて、燃料中の高沸点アロマ成分を除去した燃料を生成する。高沸点アロマ除去装置25は、本発明に係る除去手段として動作する。
燃料添加インジェクタ28は、燃料タンク15から直接供給される通常の燃料を排気通路4に対して供給する。一方、燃料添加インジェクタ29は、高沸点アロマ除去装置25によって高沸点アロマ成分が除去された燃料を、排気通路4に対して供給する。これらの燃料添加インジェクタ28、29から供給される燃料は、主に、触媒30に対する再生処理を行うための還元剤として用いられる。なお、燃料添加インジェクタ28は本発明に係る第1燃料添加弁として動作し、燃料添加インジェクタ29は本発明に係る第2燃料添加弁として動作する。また、燃料添加インジェクタ28、29、サプライポンプ11、12、及び高沸点アロマ除去装置25は、本発明に係る燃料添加手段として機能する。
ECU24は、図示しないCPU、ROM、RAM、A/D変換器及び入出力インタフェイスなどを含んで構成される。ECU24は、内燃機関1における運転状態などに応じて、前述したサプライポンプ11、12に対して制御信号S11、S12を供給することによって、サプライポンプ11、12による燃料の圧送を制御する。具体的には、ECU24は、燃料添加インジェクタ28又は燃料添加インジェクタ29のいずれかから、燃料が添加されるように制御を行う。より詳しくは、第1実施形態においては、ECU24は、通常時(S再生を行っていないとき)には燃料添加インジェクタ28から通常の燃料が添加されるように制御を行う。一方、ECU24は、硫黄被毒した触媒30に対してS再生させるための制御(以下、「S再生制御」とも呼ぶ。)の実行中には、燃料添加インジェクタ28から高沸点アロマ成分が除去された燃料の添加を行う。
このように、ECU24は、本発明に係る燃料添加制御手段として機能する。また、ECU24、燃料添加インジェクタ28、29、サプライポンプ11、12、及び高沸点アロマ除去装置25は、本発明に係る内燃機関の排気浄化装置として機能する。
上記したように、S再生時に高沸点アロマ成分を除去した燃料の添加を行う理由を、図2及び図3を用いて説明する。
図2は、高沸点アロマ成分を除去していない燃料(通常の燃料)を添加したときの、排気ガス中の炭化水素に占めるベンゼンの量及び高沸点アロマ成分の量を示すグラフである。図2(a)は、触媒30の上流側におけるベンゼン及び高沸点アロマ成分の量を示し、図2(b)は、触媒30の下流側におけるベンゼン及び高沸点アロマ成分の量を示している。
図2(a)より、触媒30の上流側ではベンゼンの量が少なく、高沸点アロマ成分の量が多いことがわかり、図2(b)より、触媒30の下流側ではベンゼンの量が多く、高沸点アロマ成分の量が少ないことがわかる。触媒30の上流側における高沸点アロマ成分は、主に、燃料中の成分に対応し、触媒30の下流側のベンゼンは、主に、高沸点アロマ成分が触媒30で分解されて生成されたものに対応する。したがって、触媒30の下流で高沸点アロマ成分の量が減少した理由は、触媒30で分解されたからであり、触媒30の下流でベンゼンの量が増加した理由は、触媒30における高沸点アロマ成分の分解によってベンゼンが生成されたからである。なお、ベンゼンはC6のアロマ成分に対応し、高沸点アロマ成分はC10などのアロマ成分に対応する。
つまり、図3の化学式に示すように、燃料中の高沸点アロマ成分(アルキルベンゼン)が触媒30によって分解されることによって、触媒30の下流側でベンゼンが生成される。このようなベンゼンの生成は、触媒30において酸化反応(燃焼)が進まない場合などに発生する。例えば、S再生を実行している場合には排気系がリッチにされるため、特にベンゼンが発生しやすい。ベンゼンは浄化すべき物質の1つであるため、排出を抑制することが好ましい。
以上より、本発明の第1実施形態では、ベンゼンが発生しやすいS再生時には、適切なS再生の実行を行いつつ、触媒30からのベンゼンの排出が抑制されるように、ベンゼンの発生の原因となる高沸点アロマ成分を除去した燃料を添加する。具体的には、ECU24は、S再生時に、燃料を添加するインジェクタを燃料添加インジェクタ28から燃料添加インジェクタ29へと切り替える。これにより、触媒30に供給された燃料が還元剤として機能することによって適切なS再生を実行することができると共に、ベンゼンの発生の原因となる高沸点アロマ成分が減少された燃料を触媒30に供給するため、触媒30におけるベンゼンの生成反応が抑制されるので、触媒30からのベンゼンの排出を抑制することができる。
(S再生時制御)
次に、第1実施形態において、S再生時に行われる制御(以下、「S再生時制御」と呼ぶ。)について具体的に説明する。
次に、第1実施形態において、S再生時に行われる制御(以下、「S再生時制御」と呼ぶ。)について具体的に説明する。
図4は、第1実施形態に係るS再生時制御を示すフローチャートである。この制御は、ECU24によって所定の周期で繰り返し実行される。
まず、ステップS101では、ECU24は、現在の触媒制御モードに対する判定を行う。ここでは、ECU24は、まず、燃料使用量、触媒温度、A/Fなどに基づいて、PM(Particulate Matter)堆積量及びS堆積量を計算する。そして、ECU24は、この計算結果に基づいて、現在の触媒制御モードが、通常制御モード、PM再生制御モード、S再生制御モードのいずれに設定されているかを判定する。そして、処理はステップS102に進む。
ステップS102では、ECU24は、S再生制御の実行を示すS再生制御モードがオンとなっているか否かを判定する。S再生制御モードがオンである場合(ステップS102;Yes)、処理はステップS103に進む。一方、S再生制御モードがオフである場合(ステップS102;No)、処理は当該フローを抜ける。この場合には、S再生時ではないため、ECU24は、燃料添加インジェクタを切り替えずに、燃料添加インジェクタ28による燃料噴射が行われるようにする。
ステップS103では、ECU24は、S再生時であるため、燃料添加インジェクタを切り替える。具体的には、ECU24は、サプライポンプ11の作動を停止して燃料添加インジェクタ28による燃料噴射を停止するとともに、サプライポンプ12の作動を開始して燃料添加インジェクタ29による燃料噴射を実行する。つまり、通常の燃料の噴射を停止し、代わりに高沸点アロマ成分が除去された燃料の添加を実行する。これにより、触媒30に対して供給される高沸点アロマ成分が減少されることによって、触媒30におけるベンゼンの生成反応が抑制されるので、触媒30からのベンゼンの排出が抑制される。以上の処理を終了すると、処理は当該フローを抜ける。
図5は、第1実施形態に係るS再生時制御を行ったときの効果を説明するための図である。
図5(a)は、触媒30の下流の排気ガスにおけるベンゼンの濃度を示している。具体的には、左に通常の燃料を添加した場合におけるベンゼンの濃度を示し、右に第1実施形態に係る高沸点アロマ成分を除去した燃料を添加した場合におけるベンゼンの濃度を示している。図5(a)より、通常の燃料を添加した場合よりも、高沸点アロマ成分を除去した燃料を添加した場合のほうが、発生するベンゼンの濃度が小さいことがわかる。したがって、第1実施形態に係るS再生時制御を行うことにより、触媒30におけるベンゼンの生成が抑制されることがわかる。
図5(b)は、車両から排出されるナノ粒子の粒子数(ナノ粒子数)を相対値によって示した図である。具体的には、左に通常の燃料を添加した場合におけるナノ粒子数を示し、右に第1実施形態に係る高沸点アロマ成分を除去した燃料を添加した場合におけるナノ粒子数を示している。この場合、通常の燃料を添加した場合におけるナノ粒子数を「1」として、高沸点アロマ成分を除去した燃料を添加した場合におけるナノ粒子数の相対値を示している。図5(b)より、通常の燃料を添加した場合よりも、高沸点アロマ成分を除去した燃料を添加した場合のほうが、発生するナノ粒子数が少ないことがわかる。したがって、第1実施形態に係るS再生時制御を行うことにより、ナノ粒子の生成が抑制されることがわかる。
以上のように、第1実施形態では、S再生時に、ベンゼンの発生の原因となる高沸点アロマ成分が除去された燃料を添加する。これにより、触媒30に対して供給される高沸点アロマ成分が減少されることによって、触媒30におけるベンゼンの生成反応が抑制される。したがって、第1実施形態によれば、適切にS再生を行いつつ、触媒30からのベンゼンの排出を抑制することができる。また、車両からのナノ粒子の排出も抑制することもできる。更に、触媒30へのHC被毒も軽減することができるため、触媒30を触媒活性が高い状態に維持することができるので、触媒30のS再生性能を向上させることが可能となる。
加えて、第1実施形態では、通常の燃料を添加する燃料添加インジェクタ28とは別に、高沸点アロマ成分が除去された燃料を添加する燃料添加インジェクタ29を設けているので、要求があるとき(即ち、S再生時)にのみ高沸点アロマ成分が除去された燃料を添加し、要求がないときには通常の燃料を添加することができる。そのため、高沸点アロマ成分が除去された燃料を必要最低限の量だけ添加すれば足りるので、高沸点アロマ成分が除去された燃料の無駄な消費を抑制することが可能となる。
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について説明する。前述した第1実施形態では、S再生時に常に高沸点アロマ成分が除去された燃料を添加したが、第2実施形態では、S再生時において触媒30下流の排気ガスのA/Fがリッチにあるときにのみ、高沸点アロマ成分が除去された燃料を添加する。言い換えると、第2実施形態では、S再生時であっても触媒30下流の排気ガスのA/Fがリーンにあるときには、高沸点アロマ成分が除去された燃料を添加せずに、通常の燃料を添加する。こうするのは、A/Fがリーンであるときには酸素が多量に存在するため、添加する燃料中に高沸点アロマ成分が存在しても高沸点アロマ成分が酸化(燃焼)するので、触媒30においてベンゼンが生成されにくいからである。即ち、第2実施形態では、高沸点アロマ成分が除去された燃料の消費を効果的に削減しつつ、触媒30からのベンゼンの排出を適切に抑制する。
次に、本発明の第2実施形態について説明する。前述した第1実施形態では、S再生時に常に高沸点アロマ成分が除去された燃料を添加したが、第2実施形態では、S再生時において触媒30下流の排気ガスのA/Fがリッチにあるときにのみ、高沸点アロマ成分が除去された燃料を添加する。言い換えると、第2実施形態では、S再生時であっても触媒30下流の排気ガスのA/Fがリーンにあるときには、高沸点アロマ成分が除去された燃料を添加せずに、通常の燃料を添加する。こうするのは、A/Fがリーンであるときには酸素が多量に存在するため、添加する燃料中に高沸点アロマ成分が存在しても高沸点アロマ成分が酸化(燃焼)するので、触媒30においてベンゼンが生成されにくいからである。即ち、第2実施形態では、高沸点アロマ成分が除去された燃料の消費を効果的に削減しつつ、触媒30からのベンゼンの排出を適切に抑制する。
図6は、第2実施形態に係るS再生時制御を示すフローチャートである。この制御は、ECU24によって所定の周期で繰り返し実行される。なお、第2実施形態における内燃機関1の構成は、前述した第1実施形態に係る内燃機関1の構成と同様である。
まず、ステップS201では、ECU24は、現在の触媒制御モードに対する判定を行う。ここでは、ECU24は、燃料使用量、触媒温度、A/Fなどに基づいて、PM(Particulate Matter)堆積量及びS堆積量を計算し、この計算結果に基づいて、現在の触媒制御モードが、通常制御モード、PM再生制御モード、S再生制御モードのいずれに設定されているかを判定する。そして、処理はステップS202に進む。
ステップS202では、ECU24は、S再生制御の実行を示すS再生制御モードがオンとなっているか否かを判定する。S再生制御モードがオンである場合(ステップS202;Yes)、処理はステップS203に進む。一方、S再生制御モードがオフである場合(ステップS202;No)、処理は当該フローを抜ける。この場合には、S再生時ではないため、ECU24は、燃料添加インジェクタを切り替えずに、燃料添加インジェクタ28による燃料噴射が行われるようにする。
ステップS203では、ECU24は、A/Fセンサ32から供給される検出信号S32に基づいて、現在のA/Fがリッチであるか否か(A/Fがストイキ(理論空燃比)よりも小さいか否か)を判定する。第2実施形態では、触媒30下流の排気ガスのA/Fがリッチにあるときにのみ高沸点アロマ成分が除去された燃料を添加するため、ステップS203では、高沸点アロマ成分が除去された燃料を添加すべき状況か否かを判定する。
A/Fがリッチである場合(ステップS203;Yes)、処理はステップS204に進む。例えば、排気ガスをリッチにするための要求に応じて通常の燃料の添加をある程度行った後に、A/Fがリーンからリッチに変化する。一方、A/Fがリッチでない場合(ステップS203;No)、即ちA/Fがリーンである場合、処理は当該フローを抜ける。この場合には、ECU24は、燃料添加インジェクタを切り替えずに、燃料添加インジェクタ28による通常の燃料の添加が行われるようにする。
ステップS204では、ECU24は、S再生時であり、且つA/Fがリッチであるため、燃料添加インジェクタを切り替える。具体的には、ECU24は、サプライポンプ11の作動を停止して燃料添加インジェクタ28による燃料噴射を停止するとともに、サプライポンプ12の作動を開始して燃料添加インジェクタ29による燃料噴射を実行する。つまり、通常の燃料の添加を停止し、高沸点アロマ成分が除去された燃料の添加を実行する。これにより、触媒30に対して供給される高沸点アロマ成分が減少されることによって、触媒30におけるベンゼンの生成反応が抑制されるので、触媒30からのベンゼンの排出が抑制される。以上の処理を終了すると、処理は当該フローを抜ける。
以上のように、第2実施形態では、S再生時において触媒30下流の排気ガスのA/Fがリッチであるときにのみ、高沸点アロマ成分が除去された燃料を添加する。これにより、高沸点アロマ成分が除去された燃料を使用する量を効果的に削減することができる。そのため、高沸点アロマ成分が除去された燃料を多量に生成する必要がないので、高沸点アロマ除去装置25を簡便に構成することが可能となる。
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態について説明する。前述した第1実施形態では、燃料タンク15内に貯蔵された通常の燃料から高沸点アロマ除去装置25によって高沸点アロマ成分を除去し、除去後の燃料を添加したが、第3実施形態では、高沸点アロマ成分を除去することなく、通常の燃料よりも含まれる高沸点アロマ成分が少ない燃料が貯蔵された燃料タンク内の燃料を添加する。具体的には、第1実施形態では、通常の燃料が貯蔵された1つの燃料タンク15のみを用いて燃料の添加を実行したが、第3実施形態では、通常の燃料が貯蔵された燃料タンク15と、通常の燃料よりも含まれる高沸点アロマ成分が少ない燃料が貯蔵された燃料タンクの2つのタンクを用いて、燃料の添加を実行する。
次に、本発明の第3実施形態について説明する。前述した第1実施形態では、燃料タンク15内に貯蔵された通常の燃料から高沸点アロマ除去装置25によって高沸点アロマ成分を除去し、除去後の燃料を添加したが、第3実施形態では、高沸点アロマ成分を除去することなく、通常の燃料よりも含まれる高沸点アロマ成分が少ない燃料が貯蔵された燃料タンク内の燃料を添加する。具体的には、第1実施形態では、通常の燃料が貯蔵された1つの燃料タンク15のみを用いて燃料の添加を実行したが、第3実施形態では、通常の燃料が貯蔵された燃料タンク15と、通常の燃料よりも含まれる高沸点アロマ成分が少ない燃料が貯蔵された燃料タンクの2つのタンクを用いて、燃料の添加を実行する。
図7は、第3実施形態に係る内燃機関の排気浄化装置を適用した内燃機関1の概略構成を示している。第3実施形態に係る内燃機関1は、高沸点アロマ除去装置25を有しないで、燃料タンク16を有する点で、第1実施形態に係る内燃機関1とは構成が異なる。よって、同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
燃料タンク16には、通常の燃料よりも含まれる高沸点アロマ成分が少ない燃料が貯蔵されている。燃料タンク16には、例えば、高沸点アロマ成分が予め除去された燃料が貯蔵されている。燃料タンク16に貯蔵された燃料はサプライポンプ12によって圧送されて、燃料添加インジェクタ29から排気通路4に供給される。一方、燃料タンク15には、第1実施形態と同様に通常の燃料が貯蔵されており、燃料タンク15に貯蔵された燃料はサプライポンプ11によって圧送されて、燃料添加インジェクタ28から排気通路4に供給される。上記の場合、燃料タンク15は本発明に係る第1燃料タンクとして機能し、燃料タンク16は本発明に係る第2燃料タンクとして機能する。
第3実施形態によれば、高沸点アロマ成分を除去する処理を行う高沸点アロマ除去装置25を別途設ける必要がないため、装置の構成を簡便にすることが可能となる。
なお、第3実施形態においては、第1実施形態又は第2実施形態のいずれかと同様の制御を行うことができる。即ち、第1実施形態と同様にS再生時に燃料タンク16に貯蔵された燃料を燃料添加インジェクタ29によって添加させる制御を行うか、或いは、第2実施形態と同様に、S再生時においてA/Fがリッチであるときにのみ、燃料タンク16に貯蔵された燃料を燃料添加インジェクタ29によって添加させる制御を行う。
[変形例]
本発明は、上記した実施形態で示したように2つの燃料添加インジェクタ28、29を用いて燃料を添加することに限定はされない。他の例では、1つの燃料添加インジェクタを用いて燃料を添加することができる。この場合、通常の燃料、及び高沸点アロマ成分がより少ない燃料のうちのいずれかが燃料添加インジェクタに対して供給されるように、内燃機関の排気浄化装置が構成される。例えば、燃料タンク15から直接燃料が供給される経路と、燃料タンク15から高沸点アロマ除去装置25を介して燃料が供給される経路のいずれかの経路が、弁などを制御することによって選択的に1つの燃料添加インジェクタに接続されるように内燃機関の排気浄化装置を構成することができる。また、その代わりに、燃料タンク15から燃料が供給される経路と、燃料タンク16から燃料が供給される経路のいずれかの経路が、弁などを制御することによって選択的に1つの燃料添加インジェクタに接続されるように内燃機関の排気浄化装置を構成してもよい。
本発明は、上記した実施形態で示したように2つの燃料添加インジェクタ28、29を用いて燃料を添加することに限定はされない。他の例では、1つの燃料添加インジェクタを用いて燃料を添加することができる。この場合、通常の燃料、及び高沸点アロマ成分がより少ない燃料のうちのいずれかが燃料添加インジェクタに対して供給されるように、内燃機関の排気浄化装置が構成される。例えば、燃料タンク15から直接燃料が供給される経路と、燃料タンク15から高沸点アロマ除去装置25を介して燃料が供給される経路のいずれかの経路が、弁などを制御することによって選択的に1つの燃料添加インジェクタに接続されるように内燃機関の排気浄化装置を構成することができる。また、その代わりに、燃料タンク15から燃料が供給される経路と、燃料タンク16から燃料が供給される経路のいずれかの経路が、弁などを制御することによって選択的に1つの燃料添加インジェクタに接続されるように内燃機関の排気浄化装置を構成してもよい。
また、本発明は、S再生をする場合にのみ、高沸点アロマ成分を除去した燃料を添加することに限定はされない。少なくともS再生をする場合に高沸点アロマ成分を除去した燃料を添加し、S再生をする場合以外の燃料を添加すべき状況(排気系をリッチにすべき状況)においても、高沸点アロマ成分を除去した燃料を添加してもよい。
1 内燃機関
3 吸気通路
4 排気通路
10 コモンレール
11、12 サプライポンプ
15、16 燃料タンク
24 ECU
25 高沸点アロマ除去装置
28、29 燃料添加インジェクタ
30 触媒
3 吸気通路
4 排気通路
10 コモンレール
11、12 サプライポンプ
15、16 燃料タンク
24 ECU
25 高沸点アロマ除去装置
28、29 燃料添加インジェクタ
30 触媒
Claims (6)
- 排気系における空燃比をリッチにする際に、前記排気系に燃料を添加する燃料添加手段と、
触媒の硫黄被毒に対する再生を行う場合に、通常の燃料よりも含まれる高沸点アロマ成分が少ない燃料を前記排気系に添加するように、前記燃料添加手段を制御する燃料添加制御手段と、を備えていることを特徴とする内燃機関の排気浄化装置。 - 前記燃料添加制御手段は、前記触媒の硫黄被毒に対する再生を行わない場合には、前記通常の燃料を前記排気系に添加し、前記触媒の硫黄被毒に対する再生を行う場合には、前記高沸点アロマ成分が少ない燃料を前記排気系に添加するように前記燃料添加手段を制御することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の排気浄化装置。
- 前記燃料添加制御手段は、前記触媒の硫黄被毒に対する再生を行う場合において、前記排気系における空燃比がリッチであるときにのみ、前記高沸点アロマ成分が少ない燃料を添加するように前記燃料添加手段を制御することを特徴とする請求項1又は2に記載の内燃機関の排気浄化装置。
- 前記燃料添加手段は、前記通常の燃料が供給され、当該通常の燃料を前記排気系に対して添加する第1燃料添加弁と、前記高沸点アロマ成分が少ない燃料が供給され、当該高沸点アロマ成分が少ない燃料を前記排気系に対して添加する第2燃料添加弁と、を備えていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の内燃機関の排気浄化装置。
- 前記燃料添加手段は、前記通常の燃料から高沸点アロマ成分を除去し、前記高沸点アロマ成分が少ない燃料を生成する除去手段を備えていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の内燃機関の排気浄化装置。
- 前記燃料添加手段は、前記通常の燃料が貯蔵された第1燃料タンクと、前記高沸点アロマ成分が少ない燃料が貯蔵された第2燃料タンクと、を備えていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の内燃機関の排気浄化装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005357422A JP2007162522A (ja) | 2005-12-12 | 2005-12-12 | 内燃機関の排気浄化装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2005357422A JP2007162522A (ja) | 2005-12-12 | 2005-12-12 | 内燃機関の排気浄化装置 |
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JP2007162522A true JP2007162522A (ja) | 2007-06-28 |
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Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2007162522A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2012123634A1 (en) * | 2011-03-14 | 2012-09-20 | Wärtsilä Finland Oy | Operating method and exhaust system for an internal combustion engine |
-
2005
- 2005-12-12 JP JP2005357422A patent/JP2007162522A/ja active Pending
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WO2012123634A1 (en) * | 2011-03-14 | 2012-09-20 | Wärtsilä Finland Oy | Operating method and exhaust system for an internal combustion engine |
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