JP2007161758A - 成形用難燃性ポリエステル及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 透明性が良好で、難燃性に優れ、各種フィルム、シート、ボトル等の各種成形物用樹脂として好適な成形用難燃性ポリエステルとその製造方法を提供する。
【解決手段】 エチレンテレフタレート単位を主成分とするポリエステルであり、特定構造の有機リン化合物がポリエステル中のリン原子の含有量として500〜15000ppmとなるよう共重合されており、かつチタン酸からなる被覆層が形成されたマグネシウム化合物を30〜250ppm含有し、極限粘度が0.55以上、ヘーズが5%以下である成形用難燃性ポリエステル。
【選択図】 なし
【解決手段】 エチレンテレフタレート単位を主成分とするポリエステルであり、特定構造の有機リン化合物がポリエステル中のリン原子の含有量として500〜15000ppmとなるよう共重合されており、かつチタン酸からなる被覆層が形成されたマグネシウム化合物を30〜250ppm含有し、極限粘度が0.55以上、ヘーズが5%以下である成形用難燃性ポリエステル。
【選択図】 なし
Description
本発明は、透明性や難燃性に優れた成形用難燃性ポリエステル及びその製造方法に関するものである。
ポリエステル、特にポリエチレンテレフタレート(以下、PETと略記する。)は、その優れた機械的特性と化学的特性のため、衣料用、産業用等の繊維のほか、磁気テープ用、コンデンサー用等のフィルムあるいはボトル等の成形物用樹脂として広く用いられている。 そして近年では、火災予防の観点から合成繊維や各種プラスチック製品を難燃化することが要求されている。
従来、ポリエステルに耐炎性を付与する試みは種々なされており、リン化合物を含有させる方法が有効であるとされている。リン化合物としては、各種提案されているが、その中でも式〔2〕で示される有機リン化合物は難燃性能の点で良好である。
しかし、この有機リン化合物は、ポリエステルの重合触媒として一般的である三酸価アンチモンに代表されるアンチモン化合物を用いた場合、アンチモン化合物との反応により三酸化アンチモンが、ポリエステルに不溶な金属アンチモンに還元されるため、重合反応時においては重合性が低下し、目標の極限粘度のポリエステルが得られないという問題や、金属アンチモンにより、ポリエステルが黒色に着色するという問題があった。
そこで、重合触媒として三酸化アンチモンの代わりに酸化ゲルマニウムを用いると、リン化合物との反応が行われなくなり、ポリエステルの着色は防止されるが、酸化ゲルマニウムのコストが非常に高いという問題がある。(特許文献1参照)
特開平01−284521号公報
本発明は、上記の問題を解決し、透明性や難燃性に優れた成形用難燃性ポリエステルと、このポリエステルをコスト高にならず製造することができる成形用難燃性ポリエステルの製造方法を提供することを技術的な課題とするものである。
本発明者は、上記の課題を解決するために鋭意検討した結果、重合触媒としてチタン酸からなる被覆層が形成されたマグネシウム化合物を用いればよいことを知見して本発明に到達した。
すなわち、本発明は、次の構成を要旨とするものである。
(1)エチレンテレフタレート単位を主成分とするポリエステルであり、下記式〔1〕で示される有機リン化合物がポリエステル中のリン原子の含有量として500〜15000ppmとなるよう共重合されており、かつチタン酸からなる被覆層が形成されたマグネシウム化合物を30〜250ppm含有し、極限粘度が0.55以上、ヘーズが5%以下であることを特徴とする成形用難燃性ポリエステル。
(1)エチレンテレフタレート単位を主成分とするポリエステルであり、下記式〔1〕で示される有機リン化合物がポリエステル中のリン原子の含有量として500〜15000ppmとなるよう共重合されており、かつチタン酸からなる被覆層が形成されたマグネシウム化合物を30〜250ppm含有し、極限粘度が0.55以上、ヘーズが5%以下であることを特徴とする成形用難燃性ポリエステル。
ここで、ヘーズは、溶融重合後のポリエステルを、押し出し温度280℃、金型温度20℃、冷却時間30秒の条件で射出成形して得られた厚さ5mm×長さ10cm×幅6cmのプレートの厚さ方向の濁度を表す。
(2)エチレンテレフタレート単位を主成分とするポリエステルの製造方法において、ポリエステルオリゴマーに、下記式〔2〕で示される有機リン化合物と脂肪族不飽和ジカルボン酸との反応物を添加し、重縮合触媒としてチタン酸からなる被覆層が形成されたマグネシウム化合物を用いて、重縮合反応を行うことを特徴とする上記(1)記載の成形用難燃性ポリエステルの製造方法。
本発明の成形用難燃性ポリエステルは、重縮合触媒として、チタン酸からなる被覆層が形成されたマグネシウム化合物を用いることによって、チタン酸とマグネシウム化合物の複合効果により適度な重合活性が得られ、極限粘度が0.55以上のものとなる。さらに、チタン酸とマグネシウム化合物は、難燃成分として使用するリン化合物との反応が起こらないため、アンチモン触媒を使用した場合のような着色やくすみがなく、ヘーズが5%以下と透明性が良好で、難燃性も良好なポリエステルである。
また、本発明の製造方法によれば、上記の特性を有する成形用難燃性ポリエステルをコスト高にならず製造することが可能となる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の成形用難燃性ポリエステル(以下、ポリエステルと略称することがある。)はエチレンテレフタレート単位を主成分とするものであり、エチレンテレフタレート単位の割合は特に限定されるものではないが、80モル%以上が好ましい。
本発明のポリエステルには、式〔1〕で示される有機リン化合物が、ポリエステル中のリン原子の含有量として500〜15000ppm、好ましくは1000〜10000ppmとなるよう共重合されていることが必要である。
(式中、Xはアルキル基の水素原子のうち2個以上がカルボキシル基で置換されたアルキル基を表す。)
上記の有機リン化合物の共重合割合が、リン原子の含有量として500ppm未満では、十分な難燃性能が得られない。一方、15000ppmを超えると、ポリエステルの重合性が悪くなるため重合度を十分に上げることが困難となる。
(式中、Xはアルキル基の水素原子のうち2個以上がカルボキシル基で置換されたアルキル基を表す。)
上記の有機リン化合物の共重合割合が、リン原子の含有量として500ppm未満では、十分な難燃性能が得られない。一方、15000ppmを超えると、ポリエステルの重合性が悪くなるため重合度を十分に上げることが困難となる。
なお、本発明のポリエステルは、本発明の効果を損ねない範囲で、式〔1〕で示される有機リン化合物と製造方法で後述する脂肪族不飽和ジカルボン酸以外の共重合成分として、多価カルボン酸、ヒドロキシカルボン酸、環状エステル、又はエチレングリコール以外のグリコール、多価アルコールを共重合したものでもよい。
このような共重合成分の例として、ジカルボン酸としては、蓚酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、テトラデカンジカルボン酸、ヘキサデカンジカルボン酸、エイコサン二酸、トリシクロデカンジカルボン酸、1,3−シクロブタンジカルボン酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、2,5−ノルボルナンジカルボン酸、ダイマー酸等に例示される飽和脂肪族ジカルボン酸又はこれらのエステル形成性誘導体、オルソフタル酸、イソフタル酸、5−(アルカリ金属)スルホイソフタル酸、ジフェニン酸、1,3−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、4、4'−ビフェニルジカルボン酸、4、4'−ビフェニルスルホンジカルボン酸、4、4'−ビフェニルエーテルジカルボン酸、1,2−ビス(フェノキシ)エタン−p,p'−ジカルボン酸、パモイン酸、アントラセンジカルボン酸等に例示される芳香族ジカルボン酸又はこれらのエステル形成性誘導体が挙げられる。
ジカルボン酸以外の多価カルボン酸としては、エタントリカルボン酸、プロパントリカルボン酸、ブタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、トリメリット酸、トリメシン酸、3,4,3',4'−ビフェニルテトラカルボン酸、及びこれらのエステル形成性誘導体等が挙げられる。
ヒドロキシカルボン酸としては、乳酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、ヒドロキシ酢酸、3−ヒドロキシ酪酸、p−ヒドロキシ安息香酸、p−(2−ヒドロキシエトキシ)安息香酸、4−ヒドロキシシクロヘキサンカルボン酸、又はこれらのエステル形成性誘導体等が挙げられる。
エチレングリコール以外のグリコールとしては、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、2,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,3−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジエタノール、1,10−デカメチレングリコール、1、12−ドデカンジオール、ポリエチレングリコール、ポリトリメチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等に例示される脂肪族グリコール、ヒドロキノン、4,4'−ジヒドロキシビスフェノール、1,4−ビス(β−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,4−ビス(β−ヒドロキシエトキシフェニル)スルホン、ビス(p−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(p−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(p−ヒドロキシフェニル)メタン、1,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)エタン、ビスフェノールA、ビスフェノールC、2,5−ナフタレンジオール、これらのグリコールにエチレンオキシドが付加したグリコール、等に例示される芳香族グリコールが挙げられる。
これらグリコール以外の多価アルコールとしては、トリメチロールメタン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、グリセロール、ヘキサントリオール等が挙げられる。
環状エステルとしては、ε-カプロラクトン、β-プロピオラクトン、β-メチル-β-プロピオラクトン、δ-バレロラクトン、グリコリド、ラクチド等が挙げられる。
次に、本発明のポリエステルは、チタン酸からなる被覆層が形成されたマグネシウム化合物を30〜250ppm、好ましくは50〜180ppm含有することが必要である。なお、本発明において、ppmはすべて質量ppmである。重縮合反応時に、チタン酸からなる被覆層が形成されたマグネシウム化合物が、生成するポリエステル中に対して30ppm未満になるように添加された場合、重合活性が不足し、得られるポリエステルの極限粘度は低いものとなる。一方、250ppmを超えて添加されると、添加量が多すぎるため透明性が悪く、b値の高いポリエステルとなる。
本発明において、チタン酸からなる被覆層が形成されたマグネシウム化合物とは、マグネシウム化合物の存在下にチタン化合物を加水分解して、その表面にチタン酸を析出させることによって、マグネシウム化合物の表面にチタン酸からなる被覆層を形成させたものであり、この化合物は、酸化ゲルマニウムよりは安価なものである。
上記マグネシウム化合物としては、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、酢酸マグネシウム、マグネシウムアセチルアセトネート、酢酸以外のカルボン酸塩等が挙げられ、特に水酸化マグネシウムが好ましい。上記チタン化合物としては、チタンハロゲン化物、チタン酸塩、チタンアルコキシド類等が用いられる。
また、本発明のポリエステルは、極限粘度が0.55以上、好ましくは0.58〜0.65であることが必要である。極限粘度が0.55未満では、フィルムや繊維、成形品等に加工することができなかったり、加工後の強度等が不充分なものとなる。
さらに、本発明のポリエステルはヘーズが5%以下、好ましくは3.5%以下であることが必要である。ここでいうヘーズとは、溶融重合後のポリエステルを、押し出し温度280℃、金型温度20℃、冷却時間30秒の条件で射出成形して得られた厚さ5mm×長さ10cm×幅6cmのプレートの厚さ方向の濁度を表す。ヘーズが5%を超えると透明性が悪く、透明な成形材料としては使用できない。
また、本発明のポリエステルには、本発明の効果を損なわない範囲において、ヒンダードフェノール系化合物のような抗酸化剤、コバルト化合物、蛍光剤、染料のような色調改良剤、二酸化チタンのような顔料、酸化セリウムのような耐光性改良材等の添加剤が添加されていてもよい。
次に、本発明のポリエステルの製造方法について説明する。
まず、本発明のポリエステルに式〔1〕で表される有機リン化合物を共重合する方法としては、予め、式〔2〕で表される有機リン化合物と脂肪族不飽和ジカルボン酸を反応させることで、式〔1〕で表される有機リン化合物とした後、反応系に添加することが好ましい。
脂肪族不飽和ジカルボン酸としては、カルボキシル基を1〜4個含有する化合物が好ましい。具体例としては、フマル酸、マレイン酸、メサコン酸、シトラコン酸、グルタコン酸、イタコン酸等、もしくはそれらの無水物やそれらのエステル化合物が挙げられるが、最も好ましいのはイタコン酸である。
式〔2〕で表される有機リン化合物と脂肪族不飽和ジカルボン酸との反応条件については、特に限定されるものではないが、脂肪族不飽和ジカルボン酸を、有機リン化合物に対し、1.0〜1.05倍当量の割合とし、エチレングリコール溶液下において、反応温度100℃〜150℃にて1〜10時間反応させ、式〔1〕で表される有機リン化合物を得る。この場合、反応溶液中の有機リン化合物と脂肪族不飽和ジカルボン酸との反応率を90%以上とすることが好ましい。
次に、ビス(β−ヒドロキシエチル)テレフタレート及びその低重合体の存在するエステル化反応槽に、テレフタル酸とエチレングリコールとのスラリーを連続的に供給し、250℃の温度で3〜8時間程度反応させて、エステル化反応率95%付近のポリエステルオリゴマーを連続的に得る。これを重合缶に移送し、上記の有機リン化合物のエチレングリコール溶液を添加し、230〜260℃の温度で0.5〜2時間解重合を行った後、重縮合触媒としてチタン酸からなる被覆層が形成されたマグネシウム化合物を添加し、重縮合反応を開始させ、反応開始後に所定温度まで内温を上昇させる。
重縮合反応は、通常、0.12〜12hPa程度の減圧下、250〜290℃の温度で、極限粘度が0.55以上となるまで行い、本発明のポリエステルを得る。
本発明のポリエステルは、着色やくすみがなく、ヘーズが5%以下と透明性が良好で、難燃性も良好なので、難燃性能が要求されるフィルム、成形容器等、各種用途に用いることができる。
次に、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例におけるポリエステルの各特性は、次の方法により測定もしくは評価した。
(1)極限粘度〔η〕
フェノールとテトラクロロエタンとの等質量混合物を溶媒とし、温度20℃で測定した。
(2)ポリエステルの色調(L値、b値)
日本電色工業社製の色差計ND-Σ80型を用いて測定した。色調の判定は、ハンターのLab表色計で行った。b値は黄−青系(+は黄味、−は青味)を表す。b値が20以下であれば合格である。
(3)リン原子、重縮合触媒の含有量
蛍光X線スぺクトロメーター(リガク社製3270型)を用いて、蛍光X線法により定量した。
(4)ヘーズ
乾燥したポリエステルを、日精樹脂工業社製射出成形機(PS20E2ASE)にて、押し出し温度280℃、金型温度20℃、冷却時間30秒の条件で、厚さ5mm×長さ10cm×幅6cmのプレートに射出成形し、濁度を日本電色工業社製の濁度計MODEL 1001DPで評価した(空気:ヘーズ0%)。
(1)極限粘度〔η〕
フェノールとテトラクロロエタンとの等質量混合物を溶媒とし、温度20℃で測定した。
(2)ポリエステルの色調(L値、b値)
日本電色工業社製の色差計ND-Σ80型を用いて測定した。色調の判定は、ハンターのLab表色計で行った。b値は黄−青系(+は黄味、−は青味)を表す。b値が20以下であれば合格である。
(3)リン原子、重縮合触媒の含有量
蛍光X線スぺクトロメーター(リガク社製3270型)を用いて、蛍光X線法により定量した。
(4)ヘーズ
乾燥したポリエステルを、日精樹脂工業社製射出成形機(PS20E2ASE)にて、押し出し温度280℃、金型温度20℃、冷却時間30秒の条件で、厚さ5mm×長さ10cm×幅6cmのプレートに射出成形し、濁度を日本電色工業社製の濁度計MODEL 1001DPで評価した(空気:ヘーズ0%)。
この値が小さいほど透明性が良好であり、5%以下であれば合格である。
(5)難燃性
厚さ5mm×長さ10cm×幅10mmのプレートを用いて、JIS K 7201−2に準拠してLOI値(限界酸素指数)を測定し、45以上のものを合格とした。
(5)難燃性
厚さ5mm×長さ10cm×幅10mmのプレートを用いて、JIS K 7201−2に準拠してLOI値(限界酸素指数)を測定し、45以上のものを合格とした。
なお、実施例において用いた重合触媒は、堺化学社製TiコートMGZ(水酸化マグネシウムの表面にチタン酸からなる被膜層を形成したもの)である。
実施例1
(1)有機リン化合物と脂肪族不飽和ジカルボン酸の反応液の調製
式〔2〕で表される有機リン化合物(10kg)と、脂肪族不飽和ジカルボン酸としてイタコン酸を有機リン化合物に対し1.02当量となる量(6.3kg)及びエチレングリコール(38.7kg)を反応缶に入れ、常圧下、130℃で3時間加熱して反応させ、式〔1〕で表される有機リン化合物のエチレングリコール溶液を得た。
(2)ポリエステルの製造
PETオリゴマーの存在するエステル化反応缶に、テレフタル酸とエチレングリコールとの物質量比が1:1.6であるスラリーを連続的に供給し、温度250℃、圧力0.1MPa、滞留時間8時間の条件でエステル化反応を行い、反応率95%のPETオリゴマーを連続的に得た。
実施例1
(1)有機リン化合物と脂肪族不飽和ジカルボン酸の反応液の調製
式〔2〕で表される有機リン化合物(10kg)と、脂肪族不飽和ジカルボン酸としてイタコン酸を有機リン化合物に対し1.02当量となる量(6.3kg)及びエチレングリコール(38.7kg)を反応缶に入れ、常圧下、130℃で3時間加熱して反応させ、式〔1〕で表される有機リン化合物のエチレングリコール溶液を得た。
(2)ポリエステルの製造
PETオリゴマーの存在するエステル化反応缶に、テレフタル酸とエチレングリコールとの物質量比が1:1.6であるスラリーを連続的に供給し、温度250℃、圧力0.1MPa、滞留時間8時間の条件でエステル化反応を行い、反応率95%のPETオリゴマーを連続的に得た。
このエステル化反応させたPETオリゴマー47.3kgを重縮合反応缶に移送し、上記(1)で得られた有機リン化合物の反応溶液12.9kgを添加して、250℃の温度で60分間解重合を行った後、重縮合触媒としてTiコートMGZを6.3g(ポリエステル対して120ppmとなる量)を添加した。その5分後、減圧を開始して60分後に1.2hPa以下とし、反応缶内の温度は減圧開始後30分間で275℃まで昇温させた。この条件で、攪拌しながら4時間重縮合反応を行った後、常法により払い出してペレット化し、ポリエステルを得た。
このポリエステルの極限粘度は0.60、b値は16、リン化合物の共重合量は、ポリエステル中のリン原子として7000ppmであった。得られたポリエステルを用いて射出成形によりプレートを得た。このプレートを用いてヘーズと難燃性能(LOI値)を測定したところ、ヘーズは2.3%、LOI値は61で良好であった。
実施例2〜4、比較例1〜4
リン原子の含有量、TiコートMGZの含有量を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様に行ってポリエステルを得た。
比較例5
TiコートMGZのかわりに、三酸化アンチモンを250ppm添加した以外は、実施例1と同様に行ってポリエステルを得た。
実施例2〜4、比較例1〜4
リン原子の含有量、TiコートMGZの含有量を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様に行ってポリエステルを得た。
比較例5
TiコートMGZのかわりに、三酸化アンチモンを250ppm添加した以外は、実施例1と同様に行ってポリエステルを得た。
実施例1〜4及び比較例1〜5で得られたポリエステルの特性について測定及び評価した結果を表1にまとめて示す。
一方、比較例1〜5では、次のような問題があった。
まず、比較例1は、リン原子の含有量が少なかったため、得られたプレートのLOI値が低く、満足な難燃性が得られなかった。
次に、比較例2はリン原子の含有量が多かったため、また、比較例3は触媒の含有量が少なかったため、いずれもポリエステルの重合性が悪くて目標の極限粘度に到達できず、成形及び難燃性の評価ができなかった。
また、比較例4は、触媒の含有量が多かったため、ポリエステルの色調が悪くてb値が高かった。
さらに、比較例5は、触媒として三酸化アンチモンを用いたため金属アンチモンが生成し、ポリエステルが黒く着色してヘーズが悪かった。
Claims (2)
- エチレンテレフタレート単位を主成分とするポリエステルであり、下記式〔1〕で示される有機リン化合物がポリエステル中のリン原子の含有量として500〜15000ppmとなるよう共重合されており、かつチタン酸からなる被覆層が形成されたマグネシウム化合物を30〜250ppm含有し、極限粘度が0.55以上、ヘーズが5%以下であることを特徴とする成形用難燃性ポリエステル。
ここで、ヘーズは、溶融重合後のポリエステルを、押し出し温度280℃、金型温度20℃、冷却時間30秒の条件で射出成形して得られた厚さ5mm×長さ10cm×幅6cmのプレートの厚さ方向の濁度を表す。 - エチレンテレフタレート単位を主成分とするポリエステルの製造方法において、ポリエステルオリゴマーに、下記式〔2〕で示される有機リン化合物と脂肪族不飽和ジカルボン酸との反応物を添加し、重縮合触媒としてチタン酸からなる被覆層が形成されたマグネシウム化合物を用いて、重縮合反応を行うことを特徴とする請求項1記載の成形用難燃性ポリエステルの製造方法。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013540875A (ja) * | 2010-10-28 | 2013-11-07 | エスケー ケミカルズ カンパニー リミテッド | 熱的安定性および色安定性に優れたポリエステル/ポリカーボネートブレンド |
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2005
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