JP2007160842A - 平版印刷版材料の製造方法および印刷方法 - Google Patents

平版印刷版材料の製造方法および印刷方法 Download PDF

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Abstract

【課題】平版印刷版材料の生産時に所定のサイズに断裁する際の粉落ちによる工程汚染、平版印刷版材料を印刷機に取り付ける際の印刷機汚染、および作業者の平版印刷版材料取り扱い時の汚れ、を著しく軽減する平版印刷版材料の製造方法、および印刷時の位置精度を大幅に高めるための印刷方法を提供する。
【解決手段】支持体表面に、少なくとも親水性層と感熱画像形成層を有してなる平版印刷版材料を切断するに際し、切断の前に切断部位の表面側から結合性素材を塗布することを特徴とする平版印刷版材料の製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、平版印刷版材料(以下単に、印刷版材料ともいう。)の製造方法および印刷方法に関し、特にコンピューター・トゥー・プレート(CTP)方式により画像形成が可能な感熱画像形成層を有する平版印刷版材料の製造方法および該製造方法により製造した平版印刷版材料を用いた印刷方法に関する。
現在、印刷の分野においては、印刷画像データのデジタル化に伴い、CTP方式による印刷が行われるようになってきているが、この印刷においては、安価で取り扱いが容易で従来の所謂PS版と同等の印刷適性を有したCTP方式用印刷版材料が求められている。
特に近年、特別な薬剤(例えばアルカリ、酸、溶媒など)を含む処理液による現像処理を必要とせず、従来の印刷機に適用可能である印刷版材料が求められており、例えば、全く現像処理を必要としない相変化タイプの印刷版材料、水もしくは水を主体とした実質的に中性の処理液で処理をする印刷版材料、印刷機上で印刷の初期段階で現像処理を行い特に現像工程を必要としない印刷版材料などの、ケミカルフリータイプ印刷版材料やプロセスレスタイプ印刷版材料と呼ばれる印刷版材料が知られている。
プロセスレスCTPとしては、印刷機上で湿し水やインクを用いて画像形成層の非画像部を除去する、機上現像タイプが多く知られており、この例として例えば、特許2938397号や特許2938398号に開示されているような、親水性層もしくはアルミ砂目上に熱可塑性微粒子、水溶性の結合剤、光熱変換素材を含有する画像形成層を設けた印刷版材料が挙げられる。
この構成においては、赤外線レーザー露光により画像形成層中の光熱変換素材が発熱し、熱可塑性微粒子を熱融着させることで耐水性を有する画像部とするが、アルミ砂目は熱伝導性が比較的良好であるため、画像形成層の露光部で生成した熱は、急速にアルミ砂目へと伝導する。
このため、特に画像部画像形成層とアルミ砂目との界面近傍の温度を上昇させることが困難となり、画像形成層素材のアルミ砂目への融着が進行しにくくなって、画像形成に要するエネルギーが高く(低感度)、また、画像部の接着性も不十分(低耐刷)となりやすい。
上記の問題を解決する印刷版材料構成のひとつとして、光熱変換素材として光熱変換剤粒子を含有する親水性層を有する赤外線レーザー記録用の印刷版材料が種々検討されている。
例えば、このような光熱変換剤粒子を含有し、光熱変換剤を含有する親水性層上に、例えば上述の熱可塑性微粒子と水溶性素材とを含有するような感熱画像形成層を設けた構成の印刷版材料や、光熱変換剤を含有する親水性層上に疎水性の薄層を設けた構成の印刷版材料が知られている(特許文献1、特許文献2参照)。
これらの印刷版材料は、親水性層用の塗布液を塗布し、乾燥してその上に感熱画像形成層を設層している。
しかしながら、これらの印刷版材料においては親水性層の無機粒子成分が脱落しやすく印刷時、特に刷りだし時において、非画像部に汚れがでる場合がある、あるいは色濁りが発生する場合があるなど印刷適性において充分なものではなかったため、これらを改善すべく親水性層塗布後に表面の脱落しやすい粒子を磁力等を用いてクリーニングする技術が知られている。(特許文献3参照)
しかしながら、この場合、印刷版表面からの脱落は防止できる反面、印刷版材料を所定のサイズに断裁する際の粉落ちへの対応が不十分であった。
特開2000−225780号公報 特開2000−355178号公報 特開2004−189439号公報
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、本発明の目的は、平版印刷版材料の生産時に所定のサイズに断裁する際の粉落ちによる工程汚染、平版印刷版材料を印刷機に取り付ける際の印刷機汚染、および作業者の平版印刷版材料取り扱い時の汚れ、を著しく軽減する平版印刷版材料の製造方法、および印刷時の位置精度を大幅に高めるための印刷方法を提供することにある。
本発明の上記目的は、下記の構成により達成される。
1.支持体表面に、少なくとも親水性層と感熱画像形成層を有する平版印刷版材料を切断するに際し、切断の前に切断部位の表面側から結合性素材を塗布することを特徴とする平版印刷版材料の製造方法。
2.前記結合性素材が、撥インク性を有することを特徴とする1に記載の平版印刷版材料の製造方法。
3.支持体表面に、少なくとも親水性層と感熱画像形成層を有する平版印刷版材料の端部に結合性素材が塗布された平版印刷版材料を用いて印刷を行うことを特徴とする印刷方法。
4.前記結合性素材が、撥インク性を有することを特徴とする3に記載の印刷方法。
5.前記少なくとも親水性層と感熱画像形成層の塗布方向と、印刷時の印刷方向とが直交することを特徴とする3または4に記載の印刷方法。
本発明によれば、平版印刷版材料の生産時に所定のサイズに断裁する際の粉落ちによる工程汚染、平版印刷版材料を印刷機に取り付ける際の印刷機汚染、および作業者の平版印刷版材料取り扱い時の汚れ、を著しく軽減する平版印刷版材料の製造方法、および印刷時の位置精度を大幅に高めるための印刷方法を提供することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明するが、本発明はこれらに限定されない。
本発明は、支持体表面に、少なくとも親水性層と感熱画像形成層(以下単に画像形成層という)からなる平版印刷版材料の切断において、切断の前に切断部位の表面側から結合性素材を塗布することを特徴とする。
本発明に係る親水性層は、画像露光による画像様加熱により画像を形成するために光熱変換剤粒子を含有するが、このようなタイプの平版印刷版材料においては、親水性層中の光熱変換剤粒子の含有比率が感度に影響し、高感度化のためには、光熱変換剤粒子の含有比率を増加させる必要がある。
しかしながら、単に光熱変換剤粒子の含有比率を増加させると、親水性層の塗膜としての結合強度が低下する場合があるなどの問題があった。
これは、親水性層中の光熱変換剤粒子の含有比率が増加すると、光熱変換剤粒子を層中に保持固定する親水性バインダの比率が減少することになり、光熱変換剤粒子の保持能力が低下するためと推定された。
光熱変換剤粒子の脱落を抑制する方法としては、親水性バインダの架橋を制御して強度を向上させたり、光熱変換剤粒子を表面処理してバインダとの結合力を向上させたりするなどして親水性層自体の塗膜強度を向上させることで光熱変換剤粒子の保持能力を向上させることが考えられるが、この方法は親水性層の親水性の低下が大きい。
本発明者が鋭意検討した結果、親水性層成分の脱落を、後述する塗布保護工程によってあらかじめ固定してしまうことで、製造、取り扱い、印刷工程での親水性層成分の粉落ちによるあらゆる汚染を低減する平版印刷版材料を製造できることを見出し本発明に至ったものである。
(結合性素材の塗布)
本発明の印刷版材料の切断において、切断の前に切断部位の表面側から結合性素材を塗布する。
(結合性素材塗布液)
本発明に用いられる結合性素材の塗布液は、水または有機溶媒に、後述の熱可塑性樹脂等を分散もしくは溶解状態で含有される。
本発明の結合性素材塗布液に好ましく用いられる有機溶媒は、熱可塑性樹脂を容易に分散、溶解できるものでかつ容易に乾燥可能であるものであれば、単独もしくは混合して用いることに特に制限はない。好ましく用いられるものとして、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類、メチルエチルケトン、アセトン、シクロヘキサノンなどのケトン系、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系、ヘキサン、オクタン、デカンなどの直鎖または分岐の脂肪族系溶媒、エステル系溶剤(酢酸エチル、酢酸ブチル等)、エーテル類(テトラヒドロフラン、ジオキサン等)、ハロゲン系溶剤(クロロホルム、ジクロルベンゼン等)、アミド系溶剤(例えばジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等)が挙げられる。これらの中でも、安全性や乾燥の容易さ、価格などからエタノール、プロパノール、アセトン、メチルエチルケトンなどがより好ましく用いられる。
(結合性素材)
結合性素材に用いられる樹脂としては、シリコーン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、塩化ビニル系共重合体等の塩化ビニル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体等の塩化ビニル系樹脂、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体等のポリオレフィン系樹脂、ポリビニルブチラール等のポリビニルアセタール系樹脂、ニトロセルロース等のセルロース系樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体等のスチレン系樹脂、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系樹脂、ポリアミド、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、その他、水溶性樹脂としては、ポリビニルアルコール、でんぷん、ポリアクリル酸およびポリアクリル酸の金属塩、スチレン−マレイン酸共重合樹脂などが挙げられる。
また熱可塑性樹脂のほかに、比較的低分子の結合性素材としてポリエチレン、マイクロクリスタリン、パラフィンワックスや蜜蝋、カルナバワックスなどの天然ワックス類なども好ましく用いられる。
また、ステアリン酸、ベヘン酸などの金属塩やアミド化合物も好ましく用いられる。特にステアリン酸アミドなどは、印刷インキに対して感脂性が少ない、いわゆる發インク性のため、結合剤塗布部が印刷時に印刷機のインキローラーと接触しても印刷物への汚れの懸念がない。そのほかの溌インク性素材としては、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂などが挙げられる。具体的には株式会社フロロテクノロジー製のフロロサーフ等である。
結合性素材塗布液は上記結合性素材を通常0.1質量%以上90質量%以下含有するものが好ましい。
これ以上の希薄液では、十分な効果が得られるための塗布液量が大量に必要となり、乾燥にも時間がかかり、これ以上の濃厚液では、必要量を塗布するための制御が困難となる。
(塗布方法)
本発明の結合性素材の塗布液の塗布方法としては、リバースロール、グラビアロール、エアドクターコータ、ブレードコータ、エアナイフコータ、スクイズコータ、含浸コータ、バーコータ、トランスファロールコータ、キスコータ、キャストコータ或いはスプレーコーター、ワイヤーバー等により塗布することができる。
これらのコーターのほかにスポンジや布等に塗布液を含浸させたものを接触させて塗布することもできる。また、インクジェット方式等のノズルから部分的に液を供給することも好ましい態様である。
結合性素材の塗布量は、乾燥後の質量として通常0.05g/m2以上、100g/m2であり、好ましくは0.1g/m2以上10g/m2である。この値未満では本発明の効果が十分に得られず、これより多い場合には、結合性素材自体の脱落の懸念が生じる。
(乾燥方法)
本発明の結合性素材の塗布後の乾燥は、温風、赤外線等公知の方法を用いて乾燥することが出来るが、後述の画像形成層が熱によって親水性表面を有する基材上から除去されなくなる加熱条件以下で行われることが好ましい。
以下、本発明の平版印刷版材料の製造方法の一例について、図を用いて説明する。
図1に、本発明の平版印刷版材料の製造方法の一例を示す。図1において、少なくとも親水性層と感熱画像形成層を塗布された平版印刷版材料原反1を巻き出し、搬送しながら、塗布部材2を用いて結合性素材を塗布した後に断裁部材3で所定の幅に断裁する。
塗布工程後、断裁工程前には、必要に応じて乾燥手段4で乾燥を行う。この一連の工程により断裁工程3において粉落ちが抑止できるため工程内での塵埃の発生が生じない。
図1においては、親水性層、画像形成層を積層後の原反の例を挙げたが、親水性層、画像形成層を積層前の原反に親水性層、画像形成層、結合性素材を連続的に塗布、乾燥を行っても良い。
幅方向の断裁が終了後、次に長さ方向に同様の塗布を施しながら所定のサイズのシート状に断裁する(図2)。
断裁後の平版印刷版材料に画像を形成後、印刷機に取り付ける前に位置決め用のパンチ穴6を開ける際にも結合性素材が塗布されているために親水性層の粉落ちが生じない。
(親水性層)
本発明の印刷版材料の親水性層および親水性層を構成する素材について説明する。
[光熱変換剤粒子]
本発明に係る光熱変換剤粒子は、画像露光により発熱して感熱画像形成層に画像を形成しうる機能を有する粒子であり、金属酸化物粒子もしくは金属酸化物で表面を被覆された粒子である。
光熱変換剤粒子の粒子径としては、平均1次粒子径が1μm以下であることが好ましく、平均1次粒子径が0.01〜0.5μmの範囲にあることがより好ましい。
平均1次粒子径が1μm以下とすることで、添加量に対する光熱変換能がより良好となり、平均1次粒子径が0.01〜0.5μmの範囲とすることで添加量に対する光熱変換能がより良好となる。
金属酸化物剤粒子としては、可視光域で黒色を呈している素材、または素材自体が導電性を有するか、半導体であるような素材からなる粒子を使用することができる。
前者としては、例えば黒色酸化鉄(Fe34)や、二種以上の金属を含有する黒色複合金属酸化物が挙げられる。
後者としては、例えばSbをドープしたSnO2(ATO)、Snを添加したIn23(ITO)、TiO2、TiO2を還元したTiO(酸化窒化チタン、一般的にはチタンブラック)などが挙げられる。
又、これらの金属酸化物で芯材(BaSO4、TiO2、9Al23・2B2O、K2O・nTiO2等)を被覆したものも使用することができる。
これらの光熱変換剤粒子のうち、黒色酸化鉄および二種以上の金属を含有する黒色複合金属酸化物がより好ましい素材として挙げられる。
黒色酸化鉄粒子としては、針状比(長軸径/短軸径)が1〜1.5の範囲の粒子であることが好ましく、実質的に球状(針状比1)であるか、もしくは、八面体形状(針状比約1.4)を有していることが好ましい。
このような黒色酸化鉄粒子としては、例えば、チタン工業社製のTAROXシリーズが挙げられる。
球状粒子としては、BL−100(粒子径0.2〜0.6μm)、BL−500(粒子径0.3〜1.0μm)等を好ましく用いることができる。
また、八面体形状粒子としては、ABL−203(粒子径0.4〜0.5μm)、ABL−204(粒子径0.3〜0.4μm)、ABL−205(粒子径0.2〜0.3μm)、ABL−207(粒子径0.2μm)等を好ましく用いることができる。
さらに、これらの粒子表面をSiO2等の無機物でコーティングした粒子も好ましく用いることができ、そのような粒子としては、SiO2でコーティングされた球状粒子:BL−200(粒子径0.2〜0.3μm)、八面体形状粒子:ABL−207A(粒子径0.2μm)が挙げられる。
二種以上の金属を含有する黒色複合金属酸化物粒子としては、具体的には、Al、Ti、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Sb、Baから選ばれる二種以上の金属からなる複合金属酸化物粒子が挙げられる。
これらは、特開平8−27393号公報、特開平9−25126号公報、特開平9−237570号公報、特開平9−241529号公報、特開平10−231441号公報等に開示されている方法により製造することができる。
本発明に用いることができる複合金属酸化物としては、特にCu−Cr−Mn系またはCu−Fe−Mn系の複合金属酸化物がが好ましい。
Cu−Cr−Mn系の場合には、6価クロムの溶出を低減させるために、特開平8−27393号公報に開示されている処理を施すことが好ましい。
金属酸化物で表面を被覆された粒子としては、例えば後述する金属粒子やカーボンブラック粒子、グラファイト粒子などが挙げられる。
金属粒子の表面は薄い酸化物皮膜が形成されているため、金属酸化物で被覆された粒子であると言える。
金属としては粒径が0.5μm以下、好ましくは100nm以下、更に好ましくは50nm以下の微粒子であれば何れの金属であっても使用することができる。形状としては球状、片状、針状等何れの形状でも良い。特にコロイド状金属微粒子(Ag、Au等)が好ましい。
また、特開2000−3551788号に記載されている、磁性を有する鉄合金粒子も用いることができる。
カーボンブラック粒子としては特にファーネスブラックやアセチレンブラックの使用が好ましい。粒度(d50)は100nm以下であることが好ましく、50nm以下であることが更に好ましい。
グラファイト粒子としては粒径が0.5μm以下、好ましくは100nm以下、更に好ましくは50nm以下の微粒子を使用することができる。
これらのカーボンブラック粒子やグラファイト粒子は、例えば、特開2000−3551788号に記載されているような方法を用いて表面を金属酸化物で被覆することで、本発明に用いることができる。
また、金属酸化物粒子や金属粒子をさらにSiO2等の金属酸化物で被覆したものも好ましく用いることができる。
これらの光熱変換剤粒子の添加量としては、親水性層に対して0.1〜90質量%であることが好ましいが、15質量%以上であることが好ましく、本発明においては高感度化と耐刷性との両立ために、15〜70質量%であることがより好ましく、15〜50質量%であることがさらに好ましい。
本発明に係る光熱変換剤粒子としては、下記の親水性素材としての機能を合わせ持つものも好ましく使用できる。
[親水性層のその他の含有可能な素材]
本発明の親水性層は、親水性素材を含有する。
親水性素材としては、金属酸化物が好ましく用いられる。
金属酸化物としては、金属酸化物微粒子の状態で用いるのが好ましい。
例えば、コロイダルシリカ、アルミナゾル、チタニアゾル、その他の金属酸化物のゾルが挙げられる。
この金属酸化物微粒子の形態としては、球状、針状、羽毛状、その他の何れの形態でも良い。平均粒径としては、3〜100nmであることが好ましく、平均粒径が異なる数種の金属酸化物微粒子を併用することもできる。又、粒子表面に表面処理がなされていても良い。
上記金属酸化物微粒子はその造膜性を利用して結合剤としての使用が可能である。有機の結合剤を用いるよりも親水性の低下が少なく、親水性層への使用に適している。
本発明には、上記の中でも特にコロイダルシリカが好ましく使用できる。コロイダルシリカは比較的低温の乾燥条件であっても造膜性が高いという利点があり、炭素原子を含まない素材が91質量%以上というような層においても良好な強度を得ることができる。
また、コロイダルシリカは粒子径が小さいほど結合力が強くなることが知られており、本発明には平均粒径が20nm以下であるコロイダルシリカを用いることが好ましく、3〜15nmであることが更に好ましい。
又、前述のようにコロイダルシリカの中ではアルカリ性のものが地汚れ発生を抑制する効果が高いため、アルカリ性のコロイダルシリカを使用することが特に好ましい。
平均粒径がこの範囲にあるアルカリ性のコロイダルシリカとしては日産化学社製の「スノーテックス−20(粒子径10〜20nm)」、「スノーテックス−30(粒子径10〜20nm)」、「スノーテックス−40(粒子径10〜20nm)」、「スノーテックス−N(粒子径10〜20nm)」、「スノーテックス−S(粒子径8〜11nm)」、「スノーテックス−XS(粒子径4〜6nm)」が挙げられる。
本発明に係る親水性層は親水性素材としての金属酸化物として多孔質金属酸化物粒子を含むことが好ましい。
多孔質金属酸化物粒子としては、後述する多孔質シリカ又は多孔質アルミノシリケート粒子もしくはゼオライト粒子を好ましく用いることができる。
・多孔質シリカ多孔質シリカ又は多孔質アルミノシリケート粒子多孔質シリカ粒子は一般に湿式法又は乾式法により製造される。湿式法ではケイ酸塩水溶液を中和して得られるゲルを乾燥、粉砕するか、中和して析出した沈降物を粉砕することで得ることができる。
粒子の多孔性としては、分散前の状態で細孔容積で1.0ml/g以上であることが好ましく、1.2ml/g以上であることがより好ましく、1.8〜2.5ml/g以下であることが更に好ましい。
親水性層中には親水性有機樹脂を含有させてもよい。
親水性有機樹脂としては、例えばポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルエーテル、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体の共役ジエン系重合体ラテックス、アクリル系重合体ラテックス、ビニル系重合体ラテックス、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン等の樹脂、糖類が挙げられる。
又、カチオン性樹脂を含有しても良く、カチオン性樹脂としては、ポリエチレンアミン、ポリプロピレンポリアミン等のようなポリアルキレンポリアミン類又はその誘導体、第3級アミノ基や第4級アンモニウム基を有するアクリル樹脂、ジアクリルアミン等が挙げられる。カチオン性樹脂は微粒子状の形態で添加しても良い。これは、例えば特開平6−161101号に記載のカチオン性マイクロゲルが挙げられる。
上記の糖類としては、オリゴ糖を用いることもできるが、特に多糖類を用いることが好ましい。
多糖類としては、デンプン類、セルロース類、ポリウロン酸、プルランなどが使用可能であるが、特にメチルセルロース塩、カルボキシメチルセルロース塩、ヒドロキシエチルセルロース塩等のセルロース誘導体が好ましく、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩やアンモニウム塩がより好ましい。
これは、親水性層に多糖類を含有させることにより、親水性層の表面形状を好ましい状態形成する効果が得られるためである。
親水性層の表面は、PS版のアルミ砂目のように0.1〜50μmピッチの凹凸構造を有することが好ましく、この凹凸により保水性や画像部の保持性が向上する。
このような凹凸構造は、親水性層に適切な粒径のフィラーを適切な量含有させて形成することも可能であるが、親水性層の塗布液に前述のアルカリ性コロイダルシリカと前述の水溶性多糖類とを含有させ、親水性層を塗布、乾燥させる際に相分離を生じさせて形成することがより良好な印刷性能を有する構造を得ることができ、好ましい。
また、親水性層の膜厚としては、0.01〜50μmであり、好ましくは0.2〜10μmであり、更に好ましくは0.5〜3μmである。
本発明に係る親水性層用塗布液は、上記の親水性層に用いられ素材と塗布溶媒からなる。
塗布溶媒としては、水が好ましく用いられるが、アルコール類等の水と相溶する溶媒を含有することもできる。
また、本発明に係る親水性層用塗布液には、塗布性改善等の目的で水溶性の界面活性剤を含有させることができる。
Si系やF系やアセチレングリコール系等の界面活性剤を使用することができるが、特にSi元素を含む界面活性剤を使用することが印刷汚れを生じる懸念がなく、好ましい。
該界面活性剤の含有量は親水性層全体(塗布液としては固形分)の0.01〜3質量%が好ましく、0.03〜1質量%が更に好ましい。
また、本発明に係る親水性層はリン酸塩を含むことができる。本発明では親水性層の塗布液がアルカリ性であることが好ましいため、リン酸塩としてはリン酸三ナトリウムやリン酸水素二ナトリウムとして添加することが好ましい。リン酸塩を添加することで、印刷時の網の目開きを改善する効果が得られる。リン酸塩の添加量としては、水和物を除いた有効量として、0.1〜5質量%が好ましく、0.5〜2質量%が更に好ましい。
[支持体(基材)]
支持体(基材ともいう)としては、印刷版の基板として使用される公知の材料を使用することができる。
例えば、金属板、プラスチックフィルム、ポリオレフィン等で処理された紙、上記材料を適宜貼り合わせた複合基材等が挙げられる。基材の厚さとしては、印刷機に取り付け可能であれば特に制限されるものではないが、50〜500μmのものが一般的に取り扱いやすい。
金属板としては、鉄、ステンレス、アルミニウム等が挙げられるが、比重と剛性との関係から特にアルミニウムが好ましい。アルミニウム板は、通常その表面に存在する圧延・巻取り時に使用されたオイルを除去するためにアルカリ、酸、溶剤等で脱脂した後に使用される。脱脂処理としては特にアルカリ水溶液による脱脂が好ましい。また、塗布層との接着性を向上させるために、塗布面に易接着処理や下塗り層塗布を行なうことが好ましい。
例えば、ケイ酸塩やシランカップリング剤等のカップリング剤を含有する液に浸漬するか、液を塗布した後、十分な乾燥を行なう方法が挙げられる。陽極酸化処理も易接着処理の一種と考えられ、使用することができる。また、陽極酸化処理と上記浸漬または塗布処理を組み合わせて使用することもできる。また、公知の方法で粗面化されたアルミニウム基材を使用することもできる。
プラスチックフィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリイミド、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、セルロースエステル類等を挙げることができる。
本発明に係る基材としては、特にポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートが好ましい。
これらプラスチックフィルムは塗布層との接着性を向上させるために、塗布面に易接着処理や下塗り層塗布を行なうことが好ましい。易接着処理としては、コロナ放電処理や火炎処理、プラズマ処理、紫外線照射処理等が挙げられる。また、下塗り層としては、ゼラチンやラテックスを含む層等が挙げられる。下塗り層に、有機または無機の公知の導電性素材を含有させることもできる。
また、裏面のすべり性を制御するために粗面を有する裏面コート層を設けた基材や公知の導電性素材を含有する裏面コート層を設けた基材も好ましく使用することができる。
[塗布・乾燥方法]
上記の親水性層用塗布液を基材上に塗布する塗布方法としては、公知の塗布方法、例えばバー塗布、ロール塗布、押し出し塗布等、どのような塗布方法であっても用いることができる。
乾燥温度としては、70℃以上であることが好ましい。基材が樹脂である場合には、80〜150℃の範囲であることがより好ましい。また、基材が金属である場合には、80℃〜300℃の範囲であることがより好ましい。
乾燥時間としては1秒間〜5分間の範囲が好ましく、5〜2分間の範囲がより好ましい。また、乾燥温度と乾燥時間との組み合わせによっては、基材に熱ダメージを与える可能性があるため、基材が熱ダメージを受けない条件とすることが好ましい。
[感熱画像形成層]
親水性層塗布工程を経た後、後述するような画像形成層を形成することで、平版印刷版材料とすることができる。
画像形成は、露光部の画像形成層が熱によって親水性表面を有する基材上から除去されやすくなる方向へと変化する、いわゆるポジ版であってもよいし、あるいは、露光部の画像形成層が熱によって除去されにくくなる方向へと変化する、いわゆるネガ版であってもよい。
本発明に係る平版印刷版材料の好ましい態様としては、露光部の画像形成層が熱によって親水性表面を有する基材上から除去されにくくなる方向へと変化する、ネガ版タイプの平版印刷版材料である。
このような、露光部が熱によって親水性層上から除去されにくくなる方向へと変化する画像形成層としては、例えば、親水性層を熱により親水性層から疎水性への変化させ得る疎水化前駆体と水溶性もしくは水分散性素材とを含有する画像形成層を挙げることができる。
疎水化前駆体としては、例えば熱によって親水性(水溶性または水膨潤性)から疎水性へと変化するポリマー、具体的には、例えば、特開2000−56449に開示されている、アリールジアゾスルホネート単位を含有するポリマーを挙げることができる。
本発明に係る画像形成層には、疎水化前駆体として、熱溶融性微粒子および熱融着性微粒子等の熱可塑性疎水性粒子などを好ましく用いることができる。
熱可塑性微粒子としては、後述する熱溶融性微粒子および熱融着性微粒子を挙げることができる。
熱溶融性微粒子とは、熱可塑性素材の中でも特に溶融した際の粘度が低く、一般的にワックスとして分類される素材で形成された微粒子である。物性としては、軟化点40℃以上120℃以下、融点60℃以上150℃以下であることが好ましく、軟化点40℃以上100℃以下、融点60℃以上120℃以下であることが更に好ましい。融点が60℃未満では保存性が問題であり、融点が300℃よりも高い場合はインク着肉感度が低下する。
使用可能な素材としては、パラフィン、ポリオレフィン、ポリエチレンワックス、マイクロクリスタリンワックス、脂肪酸系ワックス等が挙げられる。これらは分子量800から10000程度のものである。又、乳化しやすくするためにこれらのワックスを酸化し、水酸基、エステル基、カルボキシル基、アルデヒド基、ペルオキシド基などの極性基を導入することもできる。更には、軟化点を下げたり作業性を向上させるためにこれらのワックスにステアロアミド、リノレンアミド、ラウリルアミド、ミリステルアミド、硬化牛脂肪酸アミド、パルミトアミド、オレイン酸アミド、米糖脂肪酸アミド、ヤシ脂肪酸アミド又はこれらの脂肪酸アミドのメチロール化物、メチレンビスステラロアミド、エチレンビスステラロアミドなどを添加することも可能である。又、クマロン−インデン樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、テルペン変性フェノール樹脂、キシレン樹脂、ケトン樹脂、アクリル樹脂、アイオノマー、これらの樹脂の共重合体も使用することができる。
これらの中でもポリエチレン、マイクロクリスタリン、脂肪酸エステル、脂肪酸の何れかを含有することが好ましい。これらの素材は融点が比較的低く、溶融粘度も低いため、高感度の画像形成を行なうことができる。又、これらの素材は潤滑性を有するため、印刷版材料の表面に剪断力が加えられた際のダメージが低減し、擦りキズ等による印刷汚れ耐性が向上する。
又、熱溶融性微粒子は水に分散可能であることが好ましく、その平均粒子径は0.01〜10μmであることが好ましく、より好ましくは0.1〜3μmである。平均粒子径が0.01μmよりも小さい場合、熱溶融性微粒子を含有する層の塗布液を後述する多孔質な親水性層上に塗布した際に、熱溶融性微粒子が親水性層の細孔中に入り込んだり、親水性層表面の微細な凹凸の隙間に入り込んだりしやすくなり、機上現像が不十分になって、地汚れの懸念が生じる。熱溶融性微粒子の平均粒子径が10μmよりも大きい場合には、解像度が低下する。
又、熱溶融性微粒子は内部と表層との組成が連続的に変化していたり、もしくは異なる素材で被覆されていてもよい。
被覆方法は公知のマイクロカプセル形成方法、ゾルゲル法等が使用できる。
層中の熱溶融性微粒子の含有量としては、層全体の1〜90質量%が好ましく、5〜80質量%がさらに好ましい。
熱融着性微粒子としては、熱可塑性疎水性高分子重合体微粒子が挙げられ、高分子重合体微粒子の軟化温度に特定の上限はないが、温度は高分子重合体微粒子の分解温度より低いことが好ましい。高分子重合体の重量平均分子量(Mw)は10,000〜1,000、000の範囲であることが好ましい。
高分子重合体微粒子を構成する高分子重合体の具体例としては、例えば、ポリプロピレン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、エチレン−ブタジエン共重合体等のジエン(共)重合体類、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体等の合成ゴム類、ポリメチルメタクリレート、メチルメタクリレート−(2−エチルヘキシルアクリレート)共重合体、メチルメタクリレート−メタクリル酸共重合体、メチルアクリレート−(N−メチロールアクリルアミド)共重合体、ポリアクリロニトリル等の(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸(共)重合体、ポリ酢酸ビニル、酢酸ビニル−プロピオン酸ビニル共重合体、酢酸ビニル−エチレン共重合体等のビニルエステル(共)重合体、酢酸ビニル−(2−エチルヘキシルアクリレート)共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン等及びそれらの共重合体が挙げられる。これらのうち、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸(共)重合体、ビニルエステル(共)重合体、ポリスチレン、合成ゴム類が好ましく用いられる。
又、熱融着性微粒子は水に分散可能であることが好ましく、その平均粒子径は機上現像性、感度などの面から0.01〜10μmであることが好ましく、より好ましくは0.1〜3μmである。
又、熱融着性微粒子は内部と表層との組成が連続的に変化していたり、もしくは異なる素材で被覆されていてもよい。
被覆方法は公知のマイクロカプセル形成方法、ゾルゲル法等が使用できる。
層中の熱可塑性微粒子の含有量としては、層全体の1〜90質量%が好ましく、5〜80質量%がさらに好ましい。
マイクロカプセルとしては、例えば特開2002−2135号や特開2002−19317号に記載されている疎水性素材を内包するマイクロカプセルを挙げることができる。
マイクロカプセルは平均径で0.1〜10μmであることが好ましく、0.3〜5μmであることがより好ましく、0.5〜3μmであることがさらに好ましい。
画像形成層は水溶性素材を含んでもよく水溶性素材としては下記のような素材を挙げることができる。
[水溶性高分子化合物]
画像形成層に含有される水溶性素材としては、pH4からpH10の水溶液に溶解する公知の水溶性高分子化合物が挙げられる。
具体的には、多糖類、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルエーテル、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン等の樹脂が挙げられる。
これらのなかでは、多糖類、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドンが好ましい。
多糖類としては、デンプン類、セルロース類、ポリウロン酸、プルラン、キトサン、またはこれらの誘導体などが使用可能であるが、特にメチルセルロース塩、カルボキシメチルセルロース塩、ヒドロキシエチルセルロース塩等のセルロース誘導体が好ましく、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩やアンモニウム塩がより好ましい。
ポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩、ポリアクリルアミドとしては、分子量3000〜100万であることが好ましく、5000〜50万であることがより好ましい。
これらの中では、ポリアクリル酸Naといったポリアクリル酸塩が最も好ましい。ポリアクリル酸塩は親水性層の親水化処理剤としての効果が高く、画像形成層が機上現像されて現れる親水性層の表面の親水性を向上させることができる。
[オリゴ糖]
水溶性素材としては、上述の水溶性高分子化合物以外にオリゴ糖を含有させることができる。
オリゴ糖としては、ラフィノース、トレハロース、マルトース、ガラクトース、スクロース、ラクトースといったものが挙げられるが、特にトレハロースが好ましい。
[画像形成層に含有可能なその他の素材]
また、画像形成層には光熱変換素材として、赤外線吸収色素を含有させることができる。赤外線吸収色素の含有量としては、色素の可視光での着色の程度によって、機上現像時の印刷機汚染との兼ね合いを考慮する必要があるが、一般的に印刷版材料の単位面積あたりとして、0.001g/m2以上、0.2g/m2未満であることが好ましく、0.05g/m2未満であることがより好ましい。また、可視光での着色が少ない色素を用いることが好ましいことは言うまでもない。
赤外線吸収色素の具体例としては公知のものが挙げられる。
また、画像形成層には、界面活性剤を含有させることができる。Si系、又はF系等の界面活性剤を使用することができるが、特にSi元素を含む界面活性剤を使用することが印刷汚れを生じる懸念がなく、好ましい。該界面活性剤の含有量は親水性層全体(塗布液としては固形分)の0.01〜3質量%が好ましく、0.03〜1質量%が更に好ましい。
さらに、pH調整のための酸(リン酸、酢酸等)またはアルカリ(水酸化ナトリウム、ケイ酸塩、リン酸塩等)を含有していても良い。
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。尚、特に断りない限り、実施例中の「部」は「質量部」を示す。
実施例1
(基材の作製)
厚さ175μmのロール状の二軸延伸ポリエステルフィルムフィルムの両面に、8W/m2・分のコロナ放電処理を施し、次いで、一方の面に下記下引き塗布液aを乾燥膜厚0.8μmになるように塗設後にコロナ放電処理(8W/m2・分)を行ないながら下引き塗布液bを乾燥膜厚0.1μmになるように塗布し、各々180℃、4分間乾燥させた(下引き面A)。
また反対側の面に下記下引き塗布液cを乾燥膜厚0.8μmになるように塗設後にコロナ放電処理(8W/m2・分)を行ないながら下引き塗布液dを乾燥膜厚1.0μmになるように塗布し、しそれぞれ180℃、4分間乾燥させた(下引き面B)。
塗布後の25℃、25%相対湿度での表面電気抵抗は108Ωであった。このようにして、両面に下引き層を形成した基材1を得た。
《下引き塗布液a》
スチレン/グリシジルメタクリレート/ブチルアクリレート=60/39/1の3元系共重合ラテックス(Tg=75℃) (固形分基準)6.3部
スチレン/グリシジルメタクリレート/ブチルアクリレート=20/40/40の3元系共重合ラテックス 1.6部
アニオン系界面活性剤S−1 0.1部
水 92.0部
《下引き塗布液b》
ゼラチン 1部
アニオン系界面活性剤S−1 0.05部
硬膜剤H−1 0.02部
マット剤(シリカ、平均粒子径3.5μm) 0.02部
防黴剤F−1 0.01部
水 98.9部
《下引き塗布液c》
スチレン/グリシジルメタクリレート/ブチルアクリレート=20/40/40の3元系共重合ラテックス (固形分基準)0.4部
スチレン/グリシジルメタクリレート/ブチルアクリレート/アセトアセトキシエチルメタクリレート=39/40/20/1の4元系共重合ラテックス 7.6部
アニオン系界面活性剤S−1 0.1部
水 91.9部
《下引き塗布液d》
成分d−1/成分d−2/成分d−3=66/31/1の導電性組成物 6.4部
硬膜剤H−2 0.7部
アニオン系界面活性剤S−1 0.07部
マット剤(シリカ、平均粒子径3.5μm) 0.03部
水 92.8部
成分d−1;
スチレンスルホン酸ナトリウム/マレイン酸=50/50の共重合体からなるアニオン性高分子化合物
成分d−2;
スチレン/グリシジルメタクリレート/ブチルアクリレート=40/40/20からなる3成分系共重合ラテックス
成分d−3;
スチレン/イソプレンスルホン酸ナトリウム=80/20からなる高分子活性剤
(下層用塗布液の調製)
下記表1に示す組成の素材のうち、界面活性剤を除いた素材を、ホモジナイザを用いて、回転数10000回転で10分間混合分散した後、界面活性剤を添加して、回転数200回転で1分間混合した。
次いで、これをろ過して固形分15質量%の下層用塗布液を得た。
下層用塗布液組成(表中の単位指定のない数字は質量部を表す)
(親水性層用塗布液の調製)
下記表2に示す組成の素材を、ホモジナイザを用いて、回転数10000回転で10分間混合分散した。
次いで、これをろ過して固形分20質量%の親水性層用塗布液を得た。
親水性層塗布液1組成(表中単位記載のない数値は質量部を示す)
(親水性層用塗布液の塗布乾燥)
コーター/乾燥部を二基有する塗布ラインで、ラインスピード30m/minの搬送速度で上述のPET基材の下引きA面上に親水性層を塗布形成し、親水性層を内側としてロール状に巻き取った。
親水性層1に関しては、第一コーターで下層を塗布形成した後、第二コーターで下層上に親水性層を塗布形成した。
下層は乾燥付量で2g/m2なるように、公知の方法でワイヤーバーを用いて塗布した。親水性層1は、乾燥付量で1.5g/m2となるように、公知の方法でワイヤーバーを用いて塗布した。乾燥条件は、下層、親水性層ともに125℃、45秒であった。
エイジング処理
親水性層を塗布形成し、巻き取ったサンプルのロールを60℃の恒温炉に入れ、48時間のエイジング処理を行なった。
(画像形成層用塗布液の調製)
下記表3に示す組成の素材を十分に混合攪拌し、ろ過して、固形分5質量%の画像形成層用塗布液を調製した。
画像形成層用塗布液組成(表中の単位指定のない数字は質量部を表す)
(画像形成層用塗布液の塗布乾燥)
親水性層を塗布形成したラインを用い、親水性層まで形成したサンプルのウエブを30m/minで搬送して、親水性層上に画像形成層塗布液を第二コーターで塗布乾燥して、画像形成層を形成し、画像形成層を外側にして巻き取った。
画像形成層は乾燥付量で0.3g/m2となるように、公知の方法でワイヤーバーを用いて塗布した。
乾燥条件は、70℃、45秒であった。
画像形成層を塗布形成したサンプルのロールを55℃の高温炉に入れ、50℃48時間のエイジング処理を行なった。
印刷版材料の断裁
エイジング処理後の平版印刷版材料の断裁予定部分以外にマスキング処理を行い、下記組成の結合性素材塗布液を塗布幅が6mmとなるようにスプレーコーターを用いて、断裁予定部に塗布を行った後、50℃、30秒の乾燥を行った。結合性素材塗布部の乾燥後の付量は1.0g/m2であった。次に結合性素材塗布部の中心に沿って、カッティングマット上でエヌティー株式会社製カッターL−300RPを用いて670mm×560のサイズとなるように断裁を行った。
結合性素材塗布液1
ポリビニルアセタール樹脂エスレックBL−1(積水化学工業株式会社製)
5質量部
メチルエチルケトン 95質量部
(赤外線レーザーによる露光)
上記平版印刷版材料を露光ドラムに巻付け固定した。露光には波長830nm、スポット径約18μmのレーザービームを用い、2400dpi(dpiとは、2.54cm当たりのドット数を表す。)、175線で画像を形成した。露光した画像はベタ画像と1〜99%の網点画像と2400dpiのラインアンドスペース細線画像および印刷版の四隅に位置確認用のトンボとを含むものである。
印刷方法
K(黒)、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)の各印刷版に画像露光を行い、次いで小森コーポレーション(株)製リスロン426印刷機にてOKトップコート(王子製紙(株)製)、湿し水:アストロマーク3(日研化学研究所製)2質量%、インク(東洋インク社製TKハイユニティネオ墨、藍、紅、黄)を用いて9000枚/時の印刷速度で印刷を行った。印刷の順序はK→C→M→Yの刷り順で行った。
露光後の平版印刷版材料をそのまま印刷機の版胴に取り付け、PS版と同様の印刷条件および刷り出しシークエンスを用いて3000枚まで印刷を行なった。
(比較例)
上記本発明例について、「平版印刷版材料の断裁前に、結合性素材塗布液の塗布をおこなわない」ように変更した以外は同様にして印刷を行った。
《評価方法》
〔断裁時の粉落ち〕
断裁後のカッティングマット上の断裁部分をルーペで観察し、断裁による汚れを確認した。
本発明の場合(即ち、本発明の平版印刷版材料の製造方法および印刷方法の場合)については、断裁粉の付着が観察されなかったのに対して、比較例の場合には断裁粉の付着が確認された。
[印刷機汚染評価]
刷り出しから3000枚終了後の各色ブランケットの両端部を観察した。比較例の場合は、ブランケットの両端に印刷インキと黒色粉が混ざった色のすじ状の汚れが付着していたのに対して、本発明の場合は、印刷インキのみの付着だけであった。
〔印刷位置精度〕
100枚目の印刷物と3000枚目の印刷物のKに対するC,M,Yのトンボのずれ量を測定した。
本発明の場合には、トンボのずれがC35μm、M40μm、Y30μmであったのに対して、比較例の場合では、C75μm、M80μm、Y65μmであった。
実施例2
実施例1で用いた支持体を3%水酸化ナトリウム水溶液で50℃、20秒間処理して脱脂した後、希硫酸溶液で中和し、水洗した240μmのアルミ支持体に変更し、
下記組成の結合性素材塗布液を塗布幅が6mmとなるようにスプレーコーターを用いて、断裁予定部に塗布を行った後、60℃、60秒の乾燥を行う(結合性素材塗布部の乾燥後の付量は0.4g/m2であった。)ように変更し、
赤外線レーザーによる露光を大日本スクリーン製造株式会社製サーマルプレートレコーダーPlateRite4300を用いて同一エネルギーで画像形成し、その際、印刷機に取り付ける位置決め様の内蔵パンチを使用してパンチ穴を形成するように変更した他は、実施例1と同様にして平版印刷版材料を製造し印刷を行った(即ち、本発明の平版印刷版材料の製造方法および印刷方法)。
結合性素材塗布液2
シリコーンアクリルエマルジョンX−41−7001(信越化学工業株式会社製、不揮発分42.0質量%) 20質量部
純水 80質量部
(比較例2)
上記本発明例における平版印刷版材料の断裁前に、結合性素材塗布液の塗布をおこなわなかった以外は同様にして印刷を行った。
[露光汚染の評価]
あらかじめ清掃を行ったPlateRite4300を用いて上記の画像形成を40枚分行い、パンチかす受けおよび装置内のクリーニングローラーを、水を湿した白色ウエスでふき取り、汚れを確認した。
本発明の平版印刷版材料を用いた場合は、粉落ちに起因する汚れが目視で確認できなかったのに対して、比較例の平版印刷版材料を用いた場合では、黒色の粉汚れが付着した。
[印刷機汚染の評価]
刷り出しから3000枚終了後の各色ブランケットの両端部を観察した。比較例の平版印刷版材料を用いた場合は、ブランケットの両端に印刷インキと黒色粉が混ざった色のすじ状の汚れが付着していたのに対して、本発明の平版印刷版材料を用いた場合は、印刷インキの付着も観察されなかった。
本発明の平版印刷版材料の製造方法の一例を示す図である。 本発明の平版印刷版材料の製造方法の一例を示す図である。
符号の説明
1 平版印刷版材料原反
2 塗布部材
3 断裁部材
4 乾燥手段
5a 印刷くわえ部
5b 印刷くわえ尻部
6 位置決め用のパンチ穴

Claims (5)

  1. 支持体表面に、少なくとも親水性層と感熱画像形成層を有する平版印刷版材料を切断するに際し、切断の前に切断部位の表面側から結合性素材を塗布することを特徴とする平版印刷版材料の製造方法。
  2. 前記結合性素材が、撥インク性を有することを特徴とする請求項1に記載の平版印刷版材料の製造方法。
  3. 支持体表面に、少なくとも親水性層と感熱画像形成層を有する平版印刷版材料の端部に結合性素材が塗布された平版印刷版材料を用いて印刷を行うことを特徴とする印刷方法。
  4. 前記結合性素材が、撥インク性を有することを特徴とする請求項3に記載の印刷方法。
  5. 前記少なくとも親水性層と感熱画像形成層の塗布方向と、印刷時の印刷方向とが直交することを特徴とする請求項3または4に記載の印刷方法。
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