JP2007159174A - インバータ回路保護手段を有するインバータ装置およびその制御方法 - Google Patents

インバータ回路保護手段を有するインバータ装置およびその制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】インバータ回路の発振周波数を広帯域で制御可能にするとともに、より強固にインバータ回路を保護する。
【解決手段】インバータ出力電流(負荷に流れる電流)とインバータ出力電圧(負荷に印加される電圧)との位相角がゼロに近づくようにインバータ回路の発振周波数を制御する。PLLを用いずに、前記位相角を演算して用いることにより、発振周波数を広帯域で制御することが可能となっている。さらに、ローパスフィルタを介さずに、位相角値を監視することにより、より早く異常が検知できるため、インバータ回路の強固な保護が実現する。
【選択図】図1

Description

本発明は、インバータ回路保護手段を有するインバータ装置およびインバータ制御方法に関する。
従来、誘導加熱装置のような共振回路を負荷に持つインバータ装置において、インバータ回路の発振周波数の制御には、一般的にPLL(Phase Locked Loop)が用いられている。PLLは、位相比較回路と、ローパスフィルタと、VCO(Voltage Controled Oscilator)とから成るものである。インバータ回路の発振周波数の制御においては、例えば、自動車部品工場等で用いられる焼入れ装置等の高周波誘導加熱装置では、数kHzから約400kHz程度の幅の発振周波数を制御する必要がある。また、1つのラインでサイズが異なる部品の加工、処理を行う際には、高周波誘導加熱装置の加熱コイルを交換する必要があり、共振負荷の共振周波数もその都度変化する。
このように共振周波数が変化すると、ローパスフィルタを用いたPLLにおいては、ローパスフィルタが、負荷の共振周波数に応じた周波数特性を必要とするので、ローパスフィルタの遮断周波数の存在が問題となる。また、位相比較回路(Ex−OR型)とローパスフィルタを通るために、発振周波数が共振周波数のn倍や1/n倍の値へと誤って収束してしまう可能性がある。そのため、ローパスフィルタを用いたPLLにおいては、制御可能な周波数の範囲が限られている。したがって、従来のPLLでは、発振周波数を広い帯域にわたって制御することが困難である。また、負荷の共振周波数がその温度特性などの要因で変化した場合の対応も難しい。そして、制御できる発振周波数の帯域が狭いと、1つの制御装置で対応できる周波数範囲が狭くなるので、場合によっては複数の制御装置が必要になってしまう。
なお、前述のようなアナログ処理を行うPLL回路を用いないでインバータ回路の発振周波数を制御する方法が、特許文献1に開示されている。しかしながら、特許文献1は、誘導加熱調理器に関するものであり、一般的に誘導加熱調理器では、広い帯域にわたって発振周波数を制御する必要はない。特許文献1では、段落番号0006にあるように、25〜27kHz±2kHzといった幅の周波数を制御できればよい。したがって、特許文献1では、発振周波数制御の広帯域化は予定されておらず、広帯域化を実現するための構成も開示されていない。
また、コイル、加熱対象、コイルまでの経路で電気的に短絡があった場合、焼入れ装置では品質(硬化層のパターンなど)に影響が及ぶ場合やコイルが溶断するおそれがある。従来のローパスフィルタを用いたPLLにおいては、このような状況に対してインバータ回路を保護するために、フィルタから出力されVCOに入力される信号に上下限値を設けて監視している。そして、この信号が、許容範囲として設定された上下限値から逸脱した場合には、インバータ回路を停止させている。しかしながら、ローパスフィルタ通過後の信号を検出して監視するため、検出に遅れを生じて、インバータ回路が破壊されてしまうことがある。また、ローパスフィルタの存在によって、負荷の共振周波数がその温度特性などの要因で変化する場合への適応も困難になる。
特開2003−86342号公報
上記問題に鑑みて、例えば、自動車部品工場等で用いられる焼入れ装置等の高周波誘導加熱装置のように、広帯域の発振周波数を制御する必要のあるインバータ装置において、インバータ回路の発振周波数を広帯域で制御可能にすることが求められている。また、このような広帯域で制御可能なインバータ装置において、インバータ回路を保護するために、従来よりも早く異常を検知して、インバータ回路を停止させることが求められている。インバータ回路の発振周波数を広帯域で制御することが必要な工業用の誘導加熱装置においては、このような保護装置が特に求められている。
本発明にかかる装置は、共振回路を構成する負荷と、スイッチング素子を備え、前記負荷に高周波電力を供給するインバータ回路と、前記負荷に印加される電圧と前記負荷に流れる電流との位相の時間差を表す値を検出する時間差検出手段と、前記時間差を表す値を位相角値に変換する位相角変換手段と、前記位相角値と予め設定された位相角指令値との差分を取得し、その差分を用いて前記インバータ回路の発振周波数の周期を定める周期指示値を演算して、この周期指示値を出力する発振周期演算手段と、前記周期指示値を取得し、前記インバータ回路のスイッチング素子のオン・オフを制御するインバータ駆動信号を、前記周期指示値に基づいて生成し、この駆動信号を前記インバータ回路に出力するインバータ駆動信号生成手段と、前記位相角変換手段によって変換された位相角値と予め設定された監視位相角値とを比較して、この位相角値がこの監視位相角値として許容された範囲外の値であるときには、位相角異常検知信号を前記インバータ駆動信号生成手段に出力する位相角監視手段とを備えることができる。また、 前記インバータ駆動信号生成手段は、前記位相角監視手段から位相角異常検知信号を取得したときは、前記インバータ回路を停止させるように構成することができる。
また、前記位相角変換手段は、前記周期指示値に基づいて、周期の逆数を演算する逆数演算手段と、前記時間差検出手段によって検出される時間差を表す値と前記周期の逆数とを乗算する乗算手段とを備えることができる。
前記発振周期演算手段によって演算された前記周期指示値と予め設定された監視周期指示値とを比較して、この周期指示値がこの監視周期指示値として許容された範囲外の値であるときには、周期指示値異常検知信号を前記インバータ駆動信号生成手段に出力する周期指示値監視手段を備えることができる。また、前記インバータ駆動信号生成手段は、前記周期指示値監視手段から周期指示値異常検知信号を取得したときは、前記インバータ回路を停止させるように構成することができる。
また、本発明装置においては、前記共振回路が直列共振回路であってよい。このとき、電圧型インバータ装置において前記負荷に流れる電流を検出して、この電流の波形の正負に応じて2値化した電流2値化信号を前記時間差検出手段に与える電流検出手段を備えるように本発明装置を構成することができる。
また、本発明装置においては、前記共振回路が並列共振回路であってよい。このとき、電流型インバータ装置において前記負荷に印加される電圧を検出して、この電圧の波形の正負に応じて2値化した電圧2値化信号を前記時間差検出手段に与える電圧検出手段を備えるように本発明装置を構成することができる。
さらに、本発明によれば、前記インバータ駆動信号生成手段が、所定周波数のクロック信号をカウントするカウント手段を備えることができ、前記カウント手段が、前記周期指示値によって示される目標カウント数まで前記クロック信号をカウントする毎に、カウント数がリセットされ、目標カウント数までカウントすることによって得られる時間に基づいて、前記インバータ駆動信号を生成するように本発明装置を構成することができる。
また、本発明は、以下のような特徴を有するインバータ制御方法を提供する。本発明に係る方法は、共振回路を構成する負荷と、スイッチング素子を備え前記負荷に高周波電力を供給するインバータ回路とを備えるインバータ装置において、前記インバータ回路の発振周波数を制御するインバータ制御方法であって、前記負荷に印加される電圧と前記負荷に流れる電流との位相の時間差を表す値を検出する時間差検出ステップと、前記時間差を表す値を位相角値に変換する位相角変換ステップと、前記位相角値と予め設定された位相角指令値との差分を取得し、その差分を用いて前記発振周波数の周期を定める周期指示値を演算して、この周期指示値を出力する発振周期演算ステップと、前記周期指示値を取得し、前記インバータ回路のスイッチング素子のオン・オフを制御するインバータ駆動信号を、前記周期指示値に基づいて生成し、この駆動信号を前記インバータ回路に出力するインバータ駆動信号生成ステップと 前記位相角変換ステップで変換された位相角値と予め設定された監視位相角値とを比較して、この位相角値がこの監視位相角値として許容された範囲外の値であるときには、位相角異常検知信号を出力する位相角監視ステップと、この位相角異常検知信号を取得して、インバータ回路を停止させるインバータ停止ステップとを含むことができる。
また、前記位相角変換ステップは、前記周期指示値に基づいて、周期の逆数を演算する逆数演算ステップと、前記時間差検出ステップによって検出される時間差を表す値と前記周期の逆数とを乗算する乗算ステップとを含むことができる。
また、前記発振周期演算ステップで演算された前記周期指示値と予め設定された監視周期指示値とを比較して、この周期指示値がこの監視周期指示値として許容された範囲外の値であるときには、周期指示値異常検知信号を出力する周期指示値監視ステップを備えることができ、前記インバータ停止ステップは、前記周期指示値異常検知信号を取得して、前記インバータ回路を停止させることを含むことができる。
また、本方法は、前記共振回路が直列共振回路である、電圧型インバータ装置において、前記負荷に流れる電流を検出して、この電流の波形の正負に応じて2値化した電流2値化信号を生成する電流検出ステップを含み、前記時間差検出ステップにおいて、前記時間差を表す値を検出するために、前記電流2値化信号を用いるように構成されてもよい。
また、本方法は、前記共振回路が並列共振回路である、電流型インバータ装置において、前記負荷に印加される電圧を検出してこの電圧の波形の正負に応じて2値化した電圧2値化信号を生成する電圧検出ステップを含み、前記時間差検出ステップにおいて、前記時間差を表す値を検出するために、前記電圧2値化信号を用いるように構成されてもよい。
また、本発明方法は、前記インバータ駆動ステップが、所定周波数のクロック信号をカウント手段によってカウントするステップを含み、前記カウント手段が、前記周期指示値によって示される目標カウント数まで前記クロック信号をカウントする毎に、該カウンタのカウント数がリセットされ、前記目標カウント数までカウントすることによって得られる時間に基づいて、前記インバータ駆動信号を生成するステップであるように構成することができる。
なお、本発明装置および方法において、前記負荷に印加される電圧と前記負荷に流れる電流との位相の時間差を表す値は、直接、前記負荷に印加される電圧と前記負荷に流れる電流を検出して導きだされる値であっても良いし、そうでなくても良い。本発明装置が、電圧型インバータ装置として構成される場合は、前記カウントが目標カウント数に達してリセットされた時点と、前記電流2値化信号の立ち上がり点の時点を前記カウント数から取得したものとの差を取れば、「位相の時間差を表す値」が得られる。したがって、この場合、負荷に印加される電圧の位相を知るために、実際に当該電圧を測定する必要は必ずしもない。また、本発明装置が、電流型インバータ装置として構成される場合は、カウントが目標カウント数に達してリセットされた時点と、前記電圧2値化信号の立ち上がり点の時点を前記カウント数から取得したものとの差を取れば、「位相の時間差を表す値」が得られる。したがって、この場合、負荷に流れる電流の位相を知るために、実際に当該電流を測定する必要は必ずしもない。
本発明においては、ローパスフィルタを用いずに、インバータ回路の発振周波数の制御が実現される。したがって、従来のローパスフィルタを用いたPLLと比較して、ローパスフィルタの周波数特性に左右されないため、広帯域の周波数制御が可能となっている。また、本発明においては、インバータ出力電圧(負荷に印加される電圧)とインバータ出力電流(負荷に流れる電流)との位相の時間差を表す値を取得し、それを位相角に変換する演算を行って、得られた位相角値と予め設定される位相角指令値とを比較している。時間差を用いて目標時間差と比較する場合には、周波数が変化する毎に、予め設定される目標時間差を調整する必要がある。しかしながら、本発明では、時間差を位相角に変換しているため、予め設定される位相角指令値を異なる周波数毎に調整する必要がなく、広帯域の周波数に対応することが可能となっている。
また、ローパスフィルタを介さずに、位相角値の異常を監視しているため、従来よりも早く異常を検知して、インバータ回路を停止させることが可能となっている。したがって、従来よりもインバータ回路の故障を低減させることができる。
以下、本発明の実施の形態を添付の図により説明する。図1及び図2に本発明の第1の実施形態であるインバータ装置の電気的構成を示す。図2は、図1におけるインバータ駆動信号生成部16の詳細を示すものである。図1に示すインバータ装置10は、電圧型インバータ装置として構成され、誘導加熱装置に用いるものである。インバータ装置10は、共振負荷(共振回路を構成する負荷)11と、インバータ回路12とを備えている。また、インバータ装置10は、時間差検出部13と、位相角変換部14と、発振周期演算部15と、インバータ駆動信号生成部16とを備えている。また、インバータ装置10には、位相監視部60と周波数上下限監視部61と入力側電流監視部17と絶縁・増幅部27とが設けられている。
電圧型インバータ装置の場合、共振負荷11の共振回路は、直列共振回路となり、本実施形態では、加熱コイルLsと、共振用コンデンサCsとを備えている。また、インバータ装置10によって加熱される被加熱物に依存する抵抗をRsで示している。インバータ回路12には、Gaによりそのゲートが示される2つのトランジスタ(ここでは、絶縁ゲートバイポーラトランジスタを用いることができる)と、Gbによりそのゲートが示される2つのトランジスタとからなるブリッジ回路が構成されている。各トランジスタのソース・ドレイン間にダイオードが逆並列に接続されている。また、インバータ回路12は直流電源26を備えている。
インバータ駆動信号生成部16は、カウンタ20と、クロック信号発振部21と、50パーセントデューティ比生成部22と、非重なり信号生成部50と、異常時遮断部51とを備えている。また、発振周期演算部15は、本実施形態では、フィードバック制御を安定させるための積分演算を行う積分器30を備えている。位相角変換部14は、逆数演算部40と、乗算部41とを備えている。また、電圧型インバータ装置を実現する本実施形態では、電流検出部18が設けられており、電流検出部18は、インバータ回路の出力電流(負荷に流れる電流)iinvを検出する図示しないセンサを備えている。
また、図3にインバータ装置10における各信号波形を模式的に示す。Gaで示す波形は、スイッチング素子のゲートGaに与えられるインバータ駆動信号の波形であり、Gbで示す波形は、スイッチング素子のゲートGbに与えられるインバータ駆動信号の波形である。vinvの波形は図1の回路図に対応するインバータ出力電圧の波形であり、iinvの波形は、図1の回路図に対応するインバータ出力電流の波形である。idcの波形は、図1の回路図に対応するインバータ入力側電流の波形である。
次に上記各構成要素の動作について説明する。インバータ回路の出力電流iinvは、電流検出部18のセンサによって検出される。図4に本実施形態における時間差検出の概念図を示す。検出された電流は、図4に示すように、正弦波状の波形を示す。電流検出部18は、この正弦波状波形の正から負へ、負から正への変化に対応して2値化した電流2値化信号を生成する。図4からも明らかなように、インバータ回路の出力電流iinvのゼロクロス点は、電流2値化信号の立ち上がり点bと立ち下がり点と一致する。この電流2値化信号は、時間差検出部13に与えられる。時間差検出部13は、インバータ出力電圧(負荷に印加される電圧)vinvの立ち上がりゼロクロス点aと、電流2値化信号の立ち上がり点bとの時間差を検出する。インバータ出力電圧vinvの本実施形態における検出方法および具体的な時間差検出方法は後に説明する。
誘導加熱装置において、加熱の効率を高めるためには、インバータ回路の発振周波数を負荷である共振回路の共振周波数に近づける必要がある。この場合、共振周波数は、加熱コイルのインダクタンスLsと、共振用コンデンサの容量Csと、被加熱物の抵抗Rsとから決定されるため、これらのパラメータの値が変動するのにつれて、共振周波数を追尾して制御する必要がある。共振周波数を追尾して制御するために、共振回路の特性を利用する。インバータ回路の発振周波数をfs、共振周波数をfr、位相角(インバータ回路の出力電圧と出力電流の位相差)をφとすると、位相角φは、次のように表すことができる。
Figure 2007159174
ここで、qは共振の鋭さ(quality factor)を示しており、このqは、共振回路の定数で決定される、その性質を表すパラメータである。上式は、直列共振回路においても、また並列共振回路においても、成立する。図5に、インバータ回路の発振周波数fsと、共振周波数frと、位相角φとの関係を示す。図5からも明らかなように、インバータ回路の出力電流と出力電圧の位相差(位相角)がゼロに近づくように制御すれば、発振周波数を共振周波数に近づけることできる。
図6に、本実施形態におけるインバータ出力電圧vinvとインバータ出力電流iinvとの出力波形のタイムチャートを模式的に示す。位相角φは位相差から求めると、図中tswに対するtfbkの比となる。したがって、図5における位相角は、φ = 2πtfbk/tsw の式から求めることができる。
ここで、位相角変換部14は、時間差検出部13で検出したインバータ出力電圧vinvとインバータ出力電流iinvとの位相の時間差を、逆数演算部40と、乗算部41とによって、位相角値に変換する。逆数演算部40は、発振周期演算部15を経て出力された周期指示値から周期の値を取得し、この値に対して逆数演算を行って、周期の逆数を出力する。乗算部41は、この周期の逆数と、時間差検出部13から出力された時間差とを乗算して、さらに2πを乗ずることにより、位相角値を導出し、この位相角値を発振周期演算部15に出力する。
発振周期演算部15は、位相角指令値と、位相角変換部14から出力された位相角値との差分を演算して取得する。ここで、位相角指令値は、ゼロではなく、10〜20度程度が望ましい。位相差がマイナス、つまり、インバータ回路の発振周波数が共振周波数よりも低下すると、直列共振回路の位相差がマイナスとなり、共振回路が容量性負荷になる。したがって、スイッチング素子に定格値以上の突入電流が流れて素子が破損するおそれがあるためである。
上記のように、本実施形態では、インバータ出力電圧とインバータ出力電流との位相の時間差を位相角に変換する演算を行って、位相角の値と、予め設定される位相角指令値の値とを比較している。時間差を直接用いて目標時間差と比較する場合には、周波数が変化する毎に、予め設定される目標時間差を調整する必要がある。しかしながら、本発明では、時間差を位相角に変換しているため、予め設定される位相角指令値の値を周波数毎に調整する必要がなく、広帯域の周波数に対応することが可能となっている。
本実施形態においては、取得された差分に乗ずる値として積分ゲインが与えられる。積分ゲインは、フィードバック制御を適正に安定させるために、負荷のq値(共振の鋭さ)の逆数に予め与えられる共振周波数の周期値とπとを乗じた値であることが望ましい。積分器30は積分ゲインが乗じられた差分を用いて、積分演算を行う。また、積分演算処理が行われた後の差分情報と予め与えられる初期周期値とを用いて、周期指示値を演算する。初期周期値としては、例えば、制御対象として想定される発振周波数の帯域において、最大の周波数の周期を用いてもよい。周期指示値は、位相角指令値と算出した位相角値の差分を無くすように、インバータ回路の発振周波数の周期を定める値である。周期指示値は、インバータ駆動信号生成部16に与えられる。また、前述のように、周期指示値は逆数演算部40にも与えられる。
インバータ駆動信号生成部16に備えられたカウンタ20は、クロック信号発振部21から与えられた所定周波数のクロック信号をカウントする。カウンタ20が、周期指示値が示す数値(目標カウント数)まで前記クロック信号をカウントする毎に、該カウンタのカウント数がリセットされる。これらの動作を、図4にタイマ動作として示す。これは、1クロックごとにカウント数が増加していく様子を概念的に示したものである。ここで、図4に模式的に示すように、本実施形態の電圧型インバータにおいて、カウントが目標カウント数に達してカウンタがリセットされた時点に、インバータ出力電圧vinvの立ち上がりゼロクロス点aにおける時点が一致するように構成されている。したがって、本実施形態においては、時間差検出部13は、与えられた電流2値化信号の立ち上がり点bの時点をカウンタのカウント数から取得することによって、インバータ出力電圧vinvと、インバータ出力電流iinvとの位相の時間差Nfbkを検出する。
図4に示される本実施形態におけるデジタル処理と、従来のアナログ処理を行うPLLとの相違を明確に示すために、従来のPLLによるアナログ処理を図11に示す。なお、図11は、図4に示されるデジタル処理との対比として示すため、周波数上下限監視部は図示していない。
インバータ駆動信号生成部16は、カウンタが所定周波数のクロック信号を目標値(周期指示値Nsw)までカウントするまでの時間を得ることにより、周期を得ることができる。50パーセントデューティ比生成部22において、上記周期の長さを示すカウント数に基づいて、インバータ回路の発振周波数の周期が周期指示値によって指示された周期となるように、デューティ比50パーセントの信号が生成される。図2に示すように、この信号の論理反転された信号も生成される。そして、非重なり信号生成部50によって、上記2つの信号の非重なり時間が設けられるように、デューティ比が調整される。電圧型インバータでは、スイッチング素子Gaとスイッチング素子Gbとが同時にオンすることによる短絡を防止するために、非重なり時間が設けられる。さらに、前記カウントが目標カウント数に達してカウンタがリセットされた時点に、インバータ出力電圧vinvが負から正へ変化する際のゼロクロス点の時点が一致するように、2つの信号は調整される。
調整された信号は、インバータ駆動信号Aおよびインバータ駆動信号Bとして、絶縁・増幅部27を介して、インバータ回路12に与えられる。絶縁・増幅部27は、インバータ駆動信号生成部16とインバータ回路12との間を電気的に絶縁する役目と、インバータ駆動信号生成部16からの出力を電流増幅する役目とを果たすものである。スイッチング素子GaとGbとが調整されたインバータ駆動信号Aおよびインバータ駆動信号Bによってオン・オフされることにより、インバータ回路の発振周波数の周期が周期指示値によって指示された周期となる。ここで、入力側電流監視部17によって、入力側電流の異常が検知された場合には、異常信号が異常時遮断部51に与えられ、異常時遮断部51がインバータ回路を停止させる。本実施形態では、入力側電流監視部17は、入力側電流の瞬時値を監視している。電圧型インバータの本実施形態では、スイッチング素子をすべてオフにすることで、インバータ回路を停止させる。
入力側電流監視部17は、予め設定された比較値と入力側電流検出部24で検出された電流値とを比較器25で比較して、検出値が比較値で定められた範囲外の値であった場合、異常信号を異常時遮断部51に出力する。入力側電流監視部17と異常時遮断部51とによって、スイッチング素子に定格値以上の電流が流れてスイッチング素子を破壊することを防いでいる。
また、インバータ装置10はインバータ回路保護手段を実装している。位相角変換部14から発振周期演算部15に出力される位相角値は、位相監視部60によって監視される。位相監視部60は、位相角変換部14によって算出された位相角と予め設定された監視位相角値とを比較して、算出された位相角の値が監視位相角値として許容された範囲外の値であるときには、位相角異常検知信号をインバータ駆動信号生成部16の異常時遮断部51に出力する。異常時遮断部51は、位相角異常検知信号を受信すると直ちにインバータ回路を停止させる。
前述のようにインバータ回路の発振周波数が共振周波数よりも低下すると、スイッチング素子の定格値以上の電流が流れてスイッチング素子が破壊されるおそれがある。誘導加熱装置では、コイルの冷却不足による溶断、電磁力による破断、被加熱物のコイル接触などが起こり、そのようなときに、上記の発振周波数制御のみでは、発振周波数>共振周波数を保てないことがある。また、入力側電流監視部17によってもインバータ回路の停止が間に合わずに素子が破壊されてしまう場合が考えられる。このような場合であっても、位相監視部60により、インバータ回路を保護することが可能となっている。
また、位相監視部60は、従来の周波数上下限監視のように、ローパスフィルタを介さずに、位相角変換部14で変換された位相角値を監視しているため、従来よりも早く異常を検知できる。参考のために、従来の周波数上下限監視を図10にブロック図で模式的に示す。図10において、位相比較部213とフィルタ部215と周波数可変回路216はPLL(Plase Locked Loop)を実現している。フィルタ部215は、PLLにおいて一般的に用いられるローパスフィルタで構成されており、周波数可変回路216は、VCO(Voltage Controled Oscilator)で構成されている。図10に示すように、従来技術において、周波数上下限監視部261はローパスフィルタから出力されVCOに入力される信号を監視している。したがって、従来法では、異常を検知するのに、概ねインバータ発振周期の1.5〜3倍程度の時間が必要であり、この時間はフィルタの定数に依存するものである。しかしながら、本実施形態においては、インバータの発振周期が遅延時間の最大値であり、従来法よりも早く異常が検知できるため、インバータ回路をより強固に保護することが可能となっている。
さらに、周波数上下限監視部61が、発振周期演算部15からインバータ駆動信号生成部16に与えられる周期指示値を監視する。本実施形態では、周期指示値監視手段が周波数上下限監視部61として実現している。周期指示値と予め設定された監視周期指示値とを比較して、周期指示値が監視周期指示値として許容された範囲外の値であるときには、周期指示値異常検知信号をインバータ駆動信号生成部16の異常時遮断部51に出力する。異常時遮断部51は、周期指示値異常検知信号を受信すると直ちにインバータ回路を停止させる。周波数上下限監視部61は、インバータ回路の保護をさらに強化するために用いられる。
本発明は、一例として、上記のように実施され、インバータ回路の発振周波数の制御をデジタル制御で行うことができる。従来のアナログ処理を行うPLLを用いた制御と比較して、デジタル回路は経年変化や劣化に強く、制御値、制御動作の切替も容易である。
次に、本発明の第2の実施形態を説明する。図7及び図8に本発明の第2の実施形態であるインバータ装置100の電気的構成を示す。図8は、図7におけるインバータ駆動信号生成部116の詳細を示すものである。図7に示すインバータ装置100は、電流型インバータ装置として構成され、誘導加熱装置として用いるものである。装置100は、共振負荷(共振回路を構成する負荷)111と、インバータ回路112とを備えている。また、インバータ装置100は、時間差検出部113と、位相角変換部114と、発振周期演算部115と、インバータ駆動信号生成部116とを備えている。加えて、入力側電圧監視部117と絶縁・増幅部127とが設けられている。
電流型インバータ装置の場合、共振負荷111の共振回路は、並列共振回路となり、本実施形態では、加熱コイルLsと共振用コンデンサCsとを備えている。また、インバータ装置100によって加熱される被加熱物の抵抗をRsで示している。インバータ回路12には、Gaによりそのゲートが示される2つのトランジスタ(ここでは、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)と、Gbによりそのゲートが示される2つのトランジスタとからなるブリッジ回路が構成されている。各トランジスタには、ダイオードがそれぞれ直列に接続されている。また、インバータ回路112は直流電源126を備えている。なお、配線によるインダクタンスをLcとして示している。
インバータ駆動信号生成部116は、カウンタ120と、クロック信号発振部121と、50パーセントデューティ比生成部122と、重なり信号生成部150と、異常時遮断部151とを備えている。また、発振周期演算部115は、本実施形態では、フィードバック制御を安定させるための積分演算を行う積分器130を備えている。位相角変換部114は、逆数演算部140と乗算部141とを備えている。また、電流型インバータ装置を実現する本実施形態では、電圧検出部118が設けられており、電圧検出部118は、インバータ回路の出力電圧vinvを検出する図示しないセンサを備えている。
また、図9にインバータ装置100における各信号波形を模式的に示す。Gaの波形は、図7のスイッチング素子Gaに与えられるインバータ駆動信号の波形であり、Gbの波形は、図7のスイッチング素子Gbに与えられるインバータ駆動信号の波形である。iinvの波形は、図7の回路図に対応するインバータ出力電流(負荷に流れる電流)の波形であり、vinvの波形は図7の回路図に対応するインバータ出力電圧(負荷に印加される電圧)の波形である。vdcは図7の回路図に対応する入力側の電圧の波形である。
次に上記各構成要素の動作について説明する。インバータ回路の出力電圧vinvは、電圧検出部118のセンサによって検出される。電圧検出部は、検出された電圧から、第1の実施形態と同様に、波形の正負に対応して2値化した電圧2値化信号を生成する。この電圧2値化信号は、時間差検出部113に与えられる。時間差検出部113は、インバータ出力電流(負荷に流れる電流)iinvの立ち上がり点と、電圧2値化信号の立ち上がり点との時間差を検出する。
電圧型インバータは、電圧源に負荷が接続されて電流が流れるものであり、したがって、第1の実施形態においては、インバータ出力電圧vinvとインバータ出力電流iinvとの時間差は、電圧を基準に検出されている。これに対して、電流型インバータは、電流源に負荷が接続されて電圧が発生するものであり、したがって、本実施形態では、インバータ出力電圧vinvとインバータ出力電流iinvとの時間差は、電流を基準に検出されている。
第1の実施形態と同様に、位相角変換部114は、時間差検出部113で検出したインバータ出力電圧vinvとインバータ出力電流iinvとの位相の時間差を、逆数演算部140と乗算部141とによって、位相角値に変換する。逆数演算部140は、発振周期演算部115を経て出力された周期指示値から周期の値を取得し、この値に対して逆数演算を行って、周期の逆数を出力する。乗算部141は、この周期の逆数と時間差検出部113から出力された時間差とを乗算して、さらに2πを乗ずることにより、位相角値を導出し、この位相角値を発振周期演算部115に出力する。
発振周期演算部115は、位相角指令値と、位相角変換部114から出力された位相角値との差分を演算して取得する。ここで、位相角指令値は、ゼロではなく、10〜20度程度が望ましい。位相差がマイナス、つまり、インバータ回路の発振周波数が共振周波数よりも低下すると、並列共振回路が誘導性負荷になる。このような誘導性の状態で電流をスイッチングすると、サージ電圧が発生して、スイッチング素子を破壊する可能性があるので、ゼロでないプラスの位相角指令値とすることが望ましい。本実施形態においては、取得された差分に乗ずる値として積分ゲインが積分器130に与えられる。積分ゲインは、第1の実施態様と同様に、負荷のq値(共振の鋭さ)の逆数に予め与えられる共振周波数の周期値とπとを乗じた値であることが望ましい。積分器130は積分ゲインが乗じられた差分を用いて、積分演算を行う。また、積分演算処理が行われた後の差分情報と予め与えられる初期周期値とを用いて、周期指示値を演算する。初期周期値としては、例えば、制御対象として想定される発振周波数の帯域において、最大の周波数の周期を用いてもよい。このように、発振周期演算部115は、第1の実施形態と同様に、周期指示値を演算する。周期指示値は、インバータ駆動信号生成部116に与えられる。また、周期指示値は逆数演算部140にも与えられる。
インバータ駆動信号生成部116に備えられたカウンタ120は、クロック信号発振部121から与えられた所定周波数のクロック信号をカウントする。カウンタ120が、周期指示値が示す数値(目標カウント数)まで前記クロック信号をカウントする毎に、該カウンタのカウント数がリセットされる。本実施形態の電流型インバータにおいて、カウントが目標カウント数に達してカウンタがリセットされた時点に、インバータ出力電流iinvの立ち上がりゼロクロス点における時点が一致するように構成されている。したがって、本実施形態においては、時間差検出部113は、与えられた電圧2値化信号の立ち上がり点の時点をカウンタのカウント数から取得することによって、インバータ出力電圧vinvと、インバータ出力電流iinvとの位相の時間差を検出する。
インバータ駆動信号生成部116は、カウンタ120が所定周波数のクロック信号を目標カウント数までカウントするまでの時間を得ることにより周期を得ることができる。50パーセントデューティ比生成部122において、上記周期の長さを示すカウント数に基づいて、インバータ回路の発振周波数の周期が周期指示値によって指示された周期となるように、デューティ比50パーセントの信号が生成され、この信号の論理反転された信号も生成される。電流型インバータである本実施形態では、この2つの信号に重なり時間が設けられるように、重なり信号生成部150によってデューティ比が調整される。重なり時間は電流とインダクタンスLcによって決まる。さらに、前記カウントが目標カウント数に達してカウンタがリセットされた時点に、インバータ出力電流iinvが負から正へ変化する際のゼロクロス点の時点が一致するように、2つの信号は調整される。
調整された信号は、インバータ駆動信号Aおよびインバータ駆動信号Bとして、第1の実施形態と同様に、絶縁・増幅部127を介して、インバータ回路に与えられる。ここで、絶縁・増幅部127は第1の実施形態における絶縁・増幅部と同様の役目を果たす。スイッチング素子GaとGbとが調整されたインバータ駆動信号Aおよびインバータ駆動信号Bによってオン・オフされることにより、インバータ回路の発振周波数の周期が周期指示値によって指示された周期となる。ここで、入力側電圧監視部117によって、入力側電圧の異常が検知された場合には、異常信号が異常時遮断部151に与えられ、異常時遮断部151がインバータ回路を停止させる。電流型インバータの本実施形態では、スイッチング素子をすべてオンにすることで、インバータ回路を停止させる。
本実施形態では、入力側電圧監視部117は、入力側電圧の瞬時値を監視しており、入力側電圧検出部124が絶縁アンプで電圧を絶縁して取り出す。入力側電圧監視部117は、予め設定された比較値と入力側電圧検出部124で検出された電圧とを比較器125で比較して、検出値が比較値で定められた範囲外の値であった場合、異常信号を異常時遮断部151に出力する。入力側電圧監視部117と異常時遮断部151とによってサージ電圧等の発生によるスイッチング素子の破壊を防いでいる。
また、インバータ装置100はインバータ回路保護手段を実装している。位相角変換部114から発振周期演算部115に出力される位相角値は、位相監視部160によって監視される。位相監視部160は、位相角変換部114によって算出された位相角と予め設定された監視位相角値とを比較して、算出された位相角の値が監視位相角値として許容された範囲外の値であるときには、位相角異常検知信号をインバータ駆動信号生成部116の異常時遮断部151に出力する。異常時遮断部151は、位相角異常検知信号を受信すると直ちにインバータ回路を停止させる。
前述のようにインバータ回路の発振周波数が共振周波数よりも低下すると、スイッチング素子の定格値以上の電圧が印加されてスイッチング素子が破壊されるおそれがある。第1の実施形態で述べたように、誘導加熱装置では、コイルの冷却不足による溶断・電磁力による破断、被加熱物のコイル接触などが起こり、そのようなときに、上記の発振周波数制御のみでは、発振周波数>共振周波数を保てないことがある。また、入力側電圧監視部117によってもインバータ回路の停止が間に合わずに素子が破壊されてしまう場合が考えられる。このような場合であっても、位相監視部160により、インバータ回路を保護することが可能となっている。
また、位相監視部160は、従来の周波数上下限監視のように、ローパスフィルタを介さずに、位相角変換部114で変換された位相角値を監視しているため、第1の実施形態で述べたように、従来よりも早く異常を検知できる。したがって、インバータ回路をより強固に保護することが可能となっている。
さらに、周波数上下限監視部161が、発振周期演算部115からインバータ駆動信号生成部116に与えられる周期指示値を監視する。本実施形態では、周期指示値監視手段が周波数上下限監視部161として実現される。周期指示値と予め設定された監視周期指示値とを比較して、周期指示値が監視周期指示値として許容された範囲外の値であるときには、周期指示値異常検知信号をインバータ駆動信号生成部116の異常時遮断部151に出力する。異常時遮断部151は、周期指示値異常検知信号を受信すると直ちにインバータ回路を停止させる。周波数上下限監視部161は、インバータ回路の保護をさらに強化するために用いられる。
[他の実施形態]
本発明にかかるインバータ装置及びインバータ制御方法は、上記に説明した形態に限られるものではない。例えば、他の実施形態において、インバータ駆動信号生成部に、Texas Instruments社のTMS320F2812のタイマを用いてもよい。このタイマは様々な機能を持っており、タイマに周期指示値Nswを与えると、(Nsw+1)×Pclk(所定の周波数を有するクッロク信号)の周期をタイマが生成し、比較器にNsw/2を与えるとデューティ比50パーセントの信号が生成される。非重なり期間の付与も可能であるため、インバータ駆動信号を直接生成できる。また、時間差検出部と位相角変換部と発振周期演算部においても、上記タイマを用いることができる。
また、上記実施形態において、インバータ回路には、4つのスイッチング素子を用いたブリッジ回路が構成されている。しかしながら、インバータ回路の構成は上記構成に限定されるものではなく、スイッチング素子の数も上記実施形態に限定されるものではない。また、位相角変換部における演算において、2πは固定値であるため、2πの値は用いても良いし用いなくても良い。また、入力側電圧監視部は、上記実施形態に限定されるものではなく、ブレイクオーバーダイオードとトランスを用いた回路など、さまざまな手段を用いて実現することができる。
また、本発明におけるインバータ装置及びインバータ制御方法は、誘導加熱装置のみではなく、オゾナイザ、コロナ放電装置のような共振回路を負荷に持つインバータ回路を用いた装置にも適用することができる。
本発明の第1の実施形態の全体的な電気系統を示す模式図である。 本発明の第1の実施形態の全体的な電気系統を示す模式図である。 図1の回路図に対応する各信号波形の模式図である。 第1の実施形態における時間差検出の概念図である。 共振回路の特性を示す特性図である。 第1の実施形態におけるインバータ出力電圧vinvとインバータ出力電流iinvとの出力波形のタイムチャートを模式的に示す模式図である。 本発明の第2の実施形態の全体的な電気系統を示す模式図である。 本発明の第2の実施形態の全体的な電気系統を示す模式図である。 図7の回路図に対応する各信号波形の模式図である。 従来のインバータ回路保護手段を示す模式図である。 従来のPLLによるアナログ処理を示す模式図である。
符号の説明
10 インバータ装置(電圧型)
11 共振負荷
12 インバータ回路
13 時間差検出部
14 位相角変換部
15 発振周期演算部
16 インバータ駆動信号生成部
17 入力側電流監視部
18 電流検出部
20 カウンタ
21 クロック信号発振部
22 50パーセントデューティ比生成部
30 積分器
40 逆数演算部
41 乗算部
50 非重なり信号生成部
51 異常時遮断部
60 位相監視部
61 周波数上下限監視部
100 インバータ装置(電流型)
111 共振負荷
112 インバータ回路
113 時間差検出部
114 位相角変換部
115 発振周期演算部
116 インバータ駆動信号生成部
117 入力側電圧監視部
118 電圧検出部
120 カウンタ
121 クロック信号発振部
122 50パーセントデューティ比生成部
130 積分器
140 逆数演算部
141 乗算部
150 重なり信号生成部
151 異常時遮断部
160 位相監視部
161 周波数上下限監視部

Claims (12)

  1. 共振回路を構成する負荷と、
    スイッチング素子を備え、前記負荷に高周波電力を供給するインバータ回路と、
    前記負荷に印加される電圧と前記負荷に流れる電流との位相の時間差を表す値を検出する時間差検出手段と、
    前記時間差を表す値を位相角値に変換する位相角変換手段と、
    前記位相角値と予め設定された位相角指令値との差分を取得し、その差分を用いて前記インバータ回路の発振周波数の周期を定める周期指示値を演算して、該周期指示値を出力する発振周期演算手段と、
    前記周期指示値を取得し、前記インバータ回路のスイッチング素子のオン・オフを制御するインバータ駆動信号を、前記周期指示値に基づいて生成し、該駆動信号を前記インバータ回路に出力するインバータ駆動信号生成手段と、
    前記位相角変換手段によって変換された位相角値と予め設定された監視位相角値とを比較して、該位相角値が該監視位相角値として許容された範囲外の値であるときには、位相角異常検知信号を前記インバータ駆動信号生成手段に出力する位相角監視手段と
    を備え、
    前記インバータ駆動信号生成手段は、前記位相角監視手段から位相角異常検知信号を取得したときは、前記インバータ回路を停止させる、インバータ装置。
  2. 前記位相角変換手段は、前記周期指示値に基づいて、周期の逆数を演算する逆数演算手段と、前記時間差検出手段によって検出される時間差を表す値と前記周期の逆数とを乗算する乗算手段とを備える、請求項1に記載のインバータ装置。
  3. 前記発振周期演算手段によって演算された前記周期指示値と予め設定された監視周期指示値とを比較して、該周期指示値が該監視周期指示値として許容された範囲外の値であるときには、周期指示値異常検知信号を前記インバータ駆動信号生成手段に出力する周期指示値監視手段を備え、
    前記インバータ駆動信号生成手段は、前記周期指示値監視手段から周期指示値異常検知信号を取得したときは、前記インバータ回路を停止させるものである、請求項1又は2に記載のインバータ装置。
  4. 前記共振回路が直列共振回路であり、前記負荷に流れる電流を検出して、該電流の波形の正負に応じて2値化した電流2値化信号を前記時間差検出手段に与える電流検出手段を備える、請求項1〜3のいずれかに記載のインバータ装置。
  5. 前記共振回路が並列共振回路であり、前記負荷に印加される電圧を検出して該電圧の波形の正負に応じて2値化した電圧2値化信号を前記時間差検出手段に与える電圧検出手段を備える、請求項1〜3のいずれかに記載のインバータ装置。
  6. 前記インバータ駆動信号生成手段が、所定周波数のクロック信号をカウントするカウント手段を備え、
    前記カウント手段が、前記周期指示値によって示される目標カウント数まで前記クロック信号をカウントする毎に、カウント数がリセットされ、
    前記目標カウント数までカウントすることによって得られる時間に基づいて、前記インバータ駆動信号を生成する、請求項1〜5のいずれかに記載のインバータ装置。
  7. 前記インバータ回路の発振周波数を制御するインバータ制御方法であって、
    負荷に印加される電圧と前記負荷に流れる電流との位相の時間差を表す値を検出する時間差検出ステップと、
    前記時間差を表す値を位相角値に変換する位相角変換ステップと、
    前記位相角値と予め設定された位相角指令値との差分を取得し、その差分を用いて前記発振周波数の周期を定める周期指示値を演算して、該周期指示値を出力する発振周期演算ステップと、
    前記周期指示値を取得し、前記インバータ回路のスイッチング素子のオン・オフを制御するインバータ駆動信号を、前記周期指示値に基づいて生成し、該駆動信号を前記インバータ回路に出力するインバータ駆動信号生成ステップと、
    前記位相角変換ステップで変換された位相角値と予め設定された監視位相角値とを比較して、該位相角値が該監視位相角値として許容された範囲外の値であるときには、位相角異常検知信号を出力する位相角監視ステップと、
    該位相角異常検知信号を取得して、インバータ回路を停止させるインバータ停止ステップと
    を含むインバータ制御方法。
  8. 前記位相角変換ステップは、前記周期指示値に基づいて、周期の逆数を演算する逆数演算ステップと、前記時間差検出ステップによって検出される時間差を表す値と前記周期の逆数とを乗算する乗算ステップとを含む、請求項7に記載のインバータ制御方法。
  9. 前記発振周期演算ステップで演算された前記周期指示値と予め設定された監視周期指示値とを比較して、該周期指示値が該監視周期指示値として許容された範囲外の値であるときには、周期指示値異常検知信号を出力する周期指示値監視ステップを備え、
    前記インバータ停止ステップは、前記周期指示値異常検知信号を取得して、前記インバータ回路を停止させることを含む、請求項7又は8に記載のインバータ制御方法。
  10. 前記共振回路が直列共振回路であり、前記負荷に流れる電流を検出して、該電流の波形の正負に応じて2値化した電流2値化信号を生成する電流検出ステップを含み、
    前記時間差検出ステップにおいて、前記時間差を表す値を検出するために、前記電流2値化信号を用いる、請求項7〜9のいずれかに記載のインバータ制御方法。
  11. 前記共振回路が並列共振回路であり、前記負荷に印加される電圧を検出して該電圧の波形の正負に応じて2値化した電圧2値化信号を生成する電圧検出ステップを含み、
    前記時間差検出ステップにおいて、前記時間差を表す値を検出するために、前記電圧2値化信号を用いる、請求項7〜9のいずれかに記載のインバータ制御方法。
  12. 前記インバータ駆動信号生成ステップが、所定周波数のクロック信号をカウント手段によってカウントするステップを含み、
    前記カウント手段が、前記周期指示値によって示される目標カウント数まで前記クロック信号をカウントする毎に、カウント数がリセットされ、
    前記目標カウント数までカウントすることによって得られる時間に基づいて、前記インバータ駆動信号を生成するステップである、請求項7〜11のいずれかに記載のインバータ制御方法。
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