JP2007158187A - 薄膜トランジスタ及びこれを用いた表示素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】 結晶粒界の影響を相対的に小さくすることで特性のバラツキを抑え、高速での回路動作が可能な薄膜トランジスタを提供する。
【解決手段】 多結晶シリコン層3上にゲート絶縁膜5を介してゲート電極6が形成されてなる薄膜トランジスタである。チャネル領域3Cには不純物がイオン注入されており、不純物のイオン注入量が1×1012cm−2以上である。また、多結晶シリコン膜において、チャネル領域3C内の結晶粒界の数が5以上である。さらに、チャネル領域3Cのチャネル長は2μm以下である。
【選択図】 図1

Description

本発明は、例えばアクティブマトリックス型液晶表示素子等の表示素子において、駆動回路部等に用いられる薄膜トランジスタに関するものであり、さらには、前記薄膜トランジスタを用いた表示素子に関する。
液晶表示素子や有機EL素子等においては、各画素に対応して薄膜トランジスタアレイを配列形成することにより画像表示を行う表示部を構成するとともに、その周辺に駆動回路部を一体に形成することが行われており、したがって、ガラス基板等の透明絶縁基板上に画素トランジスタや駆動回路トランジスタとして機能する薄膜トランジスタを作り込んだアレイ基板が用いられている。液晶表示素子では、前記アレイ基板と対向基板の間に液晶層を挟み込み、画素電極の電位を前記画素トランジスタによって制御し、液晶層の分子配向を制御することで画像表示が行われる。
前述のアレイ基板の作製に際しては、先ず、表示部において、1画素の液晶を駆動するのに1つの薄膜トランジスタが必要であり、広範な領域に薄膜トランジスタの活性層を形成する必要がある。そこで、これに対応するため、多結晶シリコン(ポリシリコン)層を活性層に使用した多結晶薄膜トランジスタをガラス基板上に形成する技術が開発されている。そして、近年のプロセス技術の進歩により、低いプロセス温度でガラス基板上に高性能な多結晶薄膜トランジスタを形成することが可能になっている。
一方、前記のように多結晶シリコン層を用いて表示部の薄膜トランジスタを形成したアレイ基板には、前記の通りドライバー回路や電源回路等、駆動回路を構成する薄膜トランジスタを併せて基板上に形成することが行われている。例えば外付け集積回路(IC)として設置していた駆動回路も前記アレイ基板上に作り込むようになっているが、この場合、駆動回路等の周辺回路には、動作周波数の増大や低電圧での動作が求められ、これら回路を構成する薄膜トランジスタにおいては、移動度の向上が求められる。
近年、このような要求に応えることを目的に、多結晶シリコンの粒径を拡大することが検討されている。多結晶シリコンの粒径を拡大することができれば、これを利用して形成される薄膜トランジスタの移動度が向上するものと考えられる。しかしながら、例えば粒界を拡大した多結晶シリコンを利用して薄膜トランジスタを形成し、高移動度を得ようとした場合、拡大された結晶粒の粒内に形成された薄膜トランジスタと、粒界に形成された薄膜トランジスタとでは、特性差が非常に大きくなるという問題が生ずる。また、多結晶シリコンにおいては、結晶成長に伴い結晶粒界の三重点に凹凸が形成されるが、結晶粒径を拡大すると凹凸も大きくなり、絶縁耐圧やゲートリーク電流の抑制のためにはゲート絶縁膜を厚くせざるを得ない。ゲート絶縁膜を厚くすると、オン電流が減少する等、薄膜トランジスタの性能に悪影響を及ぼすおそれもある。
多結晶シリコン膜の結晶粒径と比較して大きなチャネル長とすることにより特性のバラツキを小さくするという考えもあるが、粒径を保ったまま高集積化を図るために薄膜トランジスタのサイズを小さくすると、結晶粒径がチャネル長と同程度の大きさにまでなってしまい、チャネル領域と結晶粒界との位置関係によって電気特性がばらつくという問題を解消することは難しい。
いずれの場合にも、薄膜トランジスタに特性のバラツキが生ずると、一部の駆動回路の応答が遅くなったり、動作しなくなる等の不都合が起こり、特に、高速ないし低電圧駆動の回路形成において大きな障害となる。
駆動回路部の薄膜トランジスタの性能向上の手法としては、前記の他、例えばチップオングラス法による駆動回路のガラス基板への実装を併用することや、各薄膜トランジスタをLDD構造とするとともに電気的特性を個別に最適化すること等も検討されている(特許文献1等や特許文献2等を参照)。
例えば、特許文献1記載の発明では、薄膜トランジスタを用いたアクティブマトリクス型液晶表示装置において、駆動回路の一部を基板周辺部に内蔵するとともに、駆動ドライバをチップオングラス法により基板の一辺に実装することが開示されている。特許文献1記載の発明では、前記構成を採用することにより、表示部の薄膜トランジスタ、内蔵回路の薄膜トランジスタ、ドライバのトランジスタの駆動電圧等を最適化している。
特許文献2記載の発明では、CMOS構成の薄膜半導体装置において、各薄膜トランジスタは低濃度ソース・ドレイン領域(LDD領域)を備える構造を取り、LDD領域のサイズや不純物濃度、各薄膜トランジスタのチャネル長やチャネル幅、薄膜トランジスタのソース・ドレイン領域やチャネル領域を構成するシリコン等の半導体膜の膜厚とLDD領域の不純物濃度との関係等を最適化し、高速動作可能な回路を構成し得る薄膜半導体装置を実現している。
特開2002−139745号公報 特開2004−341540号公報
しかしながら、特許文献1記載の発明のように、駆動ドライバを別途作製し、これをアレイ基板に貼り付ける前記チップオングラス法では、駆動ドライバのトランジスタの性能を向上することは可能であるが、駆動ドライバのトランジスタと表示部の薄膜トランジスタとを別工程で形成する必要があり、工数の大幅な増加に繋がり、コストを削減することは難しい。また、特許文献2記載の技術では、薄膜トランジスタ自体の設計を大きく変更する必要が生じ、工数やコストが大きく上昇するおそれがある。
本発明は、このような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、結晶粒界の影響を相対的に小さくすることができ、特性のバラツキを抑え、結果的に高速での回路動作が可能な薄膜トランジスタを提供することを目的とする。また、本発明は、ゲート絶縁膜の厚さを薄くすることが可能で、オン電流を増加することが可能な薄膜トランジスタを提供することを目的とする。さらに、本発明は、前記薄膜トランジスタの高速化やオン電流の増加等により、表示品質を向上することが可能な表示素子を提供することを目的とする。
前述の目的を達成するために、本発明に係る薄膜トランジスタは、多結晶シリコン膜上にゲート絶縁膜を介してゲート電極が形成されてなる薄膜トランジスタであって、少なくともチャネル領域に不純物がイオン注入されており、不純物のイオン注入量が1×1012cm−2以上であることを特徴とする。
また、本発明の表示素子は、アレイ基板と対向基板を備えた表示素子であって、前記アレイ基板は、表示部と駆動回路部を有し、前記駆動回路部の薄膜トランジスタは、多結晶シリコン膜上にゲート絶縁膜を介してゲート電極が形成されてなる薄膜トランジスタであって、前記薄膜トランジスタは、少なくともチャネル領域に不純物がイオン注入されており、不純物のイオン注入量が1×1012cm−2以上であることを特徴とする。
薄膜トランジスタの電界効果移動度は、バルク移動度(結晶粒界内の移動度)、粒界の移動度、チャネル内の結晶粒界の数n、クーロン散乱移動度によって決まる。例えば、チャネル長の短い薄膜トランジスタでは、チャネルと粒界の位置関係によって前記チャネル内の結晶粒界の数nがばらつき、結果として移動度のバラツキが大きくなる。
本発明では、前記クーロン散乱移動度の項に着目し、薄膜トランジスタ全体の電界効果移動度のバラツキを抑えるようにしている。すなわち、チャネル領域に不純物をイオン注入すると、イオン注入量(ドーズ量)の増加に伴ってクーロン散乱移動度が小さくなる。これにより、クーロン散乱移動度の項が薄膜トランジスタの電界効果移動度において支配的になり、結晶粒界の数nのバラツキが電界効果移動度に与える影響が相対的に小さくなる。その結果、薄膜トランジスタの電界効果移動度のバラツキが抑えられ、設計のマージンが増す。このとき、チャネル領域への不純物のイオン注入により、薄膜トランジスタの電界効果移動度自体は若干低下するが、前記の通り薄膜トランジスタの電界効果移動度のバラツキが抑えられるので、一部の駆動回路の応答が遅かったり、動作しない等のトラブルが生ずることはなく、結果的に駆動回路全体の性能アップが図られる。
また、本発明では、結晶粒径を拡大する必要がなく、結晶粒界の三重点の凹凸が抑えられる。したがって、ゲート絶縁膜の膜厚を薄くすることができ、オン電流の増加が見込める。
本発明によれば、結晶粒界の影響を相対的に小さくすることができ、特性のバラツキが小さく、結果的に高速での回路動作が可能な薄膜トランジスタを提供することが可能である。また、本発明によれば、結晶粒界の凹凸の影響を抑えることができ、ゲート絶縁膜の厚さを薄くして、薄膜トランジスタのオン電流を増加することが可能である。これらの利点を有する薄膜トランジスタを表示素子の駆動回路に適用することで、駆動回路の性能を向上し、表示素子における表示品質を向上することが可能である。
以下、本発明を適用した薄膜トランジスタ及びこれを用いた表示素子について、図面を参照して詳細に説明する。
先ず、例えば液晶表示素子においてアレイ基板上に形成される薄膜トランジスタの基本構造について説明すると、液晶表示素子用のアレイ基板においては、図1に示すように、透明絶縁基板であるガラス基板1上にアンダーコート層2を介して多結晶シリコン層(ポリシリコン層)3が形成され、この多結晶シリコン層3を活性層として薄膜トランジスタが構成されている。
ガラス基板1上には、前記の通りアンダーコート層2が形成されるが、これはガラス基板1の表面の傷や穴等を塞いで平坦化すること、ガラス基板1に含まれる不純物の多結晶シリコン層3への拡散を防止すること等を目的に形成されている。このアンダーコート層2は、例えばシリコン酸化膜やシリコン窒化膜等を成膜することにより形成されるが、例えば、熱処理により流動化する流動化樹脂からなる平坦化層と、不純物の拡散を防止する被覆層とからなる積層構造とすることも可能である。あるいは、前記ガラス基板1が平坦化に優れ、含まれる不純物も少ない場合には、前記アンダーコート層2を省略することも可能である。
前記アンダーコート層2上に形成される多結晶シリコン層3は、例えばプラズマCVD法により成膜された非晶質シリコン(a−Si)をアニールした後、レーザ照射等によって多結晶化することにより形成されるものである。この多結晶シリコン層3は、エッチングにより島状に素子分離されている。
前記多結晶シリコン層3には、不純物注入によりソース領域3A及びドレイン領域3Bが形成されており、さらに多結晶シリコン層3上には、ゲート絶縁膜5が形成されるとともに、ゲート絶縁膜5を介してゲート電極6や層間絶縁膜7、ソースドレイン電極8が形成され、これによりトランジスタ構造が構成されている。
前記薄膜トランジスタにおいては、多結晶シリコン層3のゲート電極6に対応する領域がチャネル領域3Cであり、ゲート電極6の幅がチャネル領域3Cのチャネル長となる。図2は、多結晶シリコン層3の表面像である。この図2においては、チャネル領域3Cが図示されており、おおよその結晶粒径、及び結晶粒径とチャネル長L(=0.5μm)の関係を把握することができる。本例では、平均結晶粒径が0.45μmであり、平均結晶粒径とチャネル長Lとは概ね1:1である。
ここで、薄膜トランジスタのチャネル長と、当該チャネル長内に存在する結晶粒界の数nの関係を調べると図3あるいは図4に示す結果となる。なお、図3はN型TFTの電界効果移動度の分布を示すものであり、チャネル長内に存在する結晶粒界の数n=20の場合に比べて、n=5,n=3と結晶粒界の数nが小さくなるにしたがって電界効果移動度のバラツキが大きくなっている。同様に、図4はP型TFTの電界効果移動度の分布を示すものであり、P型TFTにおいても結晶粒界の数nが小さくなるにしたがって電界効果移動度のバラツキが大きくなっている。これら図3や図4にも表されているように、結晶粒径とチャネル長が同程度のサイズになると、薄膜トランジスタの電界効果移動度のバラツキが大きくなるが、これはチャネルがグレインのどの場所に当たるかに強く依存しているためである。
そこで、本発明においては、前記結晶粒界の数nの影響を小さくすることで、薄膜トランジスタの電界効果移動度のバラツキを抑えることとする。
薄膜トランジスタの電界効果移動度μFEは、数1に示すように、バルク移動度(結晶粒内の移動度)μBULK、粒界の移動度μgb、結晶粒界の数n、及びクーロン散乱移動度μclmbによって決まる。この数1から明らかな通り、結晶粒界の数nが変わると薄膜トランジスタの電界効果移動度μFEが大きく変化することになる。
Figure 2007158187
前記数1において、チャネル長内の結晶粒界の数nが例えば10以上であると、第2項の影響が最も大きくなり、薄膜トランジスタの電界効果移動度μFEは結晶粒界の数nで決まる。チャネル長が短くなると、チャネルと結晶粒の位置関係によって薄膜トランジスタ毎に結晶粒界の数nがバラツキ、結果として薄膜トランジスタの電界効果移動度μFEのバラツキが大きくなる。これに対して、チャネル領域への不純物を注入すると、前記クーロン散乱移動度μclmbの値が変わる。注入量(ドーズ量)を増やせば、第3項の影響が大きくなり、結晶粒界の数nによるバラツキが薄膜トランジスタ全体の電界効果移動度μFEに与える影響が相対的に小さくなる。その結果、薄膜トランジスタ全体の電界効果移動度μFEのバラツキが小さくなるものと考えられる。
前記の知見に基づき、本発明においては、多結晶シリコン層3のチャネル領域に不純物(例えばB,P等)を所定の注入量でイオン注入することで、薄膜トランジスタ全体の電界効果移動度μFEのバラツキを抑える。この場合、イオン注入量としては、1×10−12cm−2以上とする。イオン注入量を1×10−12cm−2以上とすれば、移動度に占めるクーロン散乱が支配的となり、効果的に薄膜トランジスタ全体の電界効果移動度μFEのバラツキを抑えることができる。
前記イオン注入量は、注入する不純物の種類によらず前記範囲とすればい。クーロン散乱量は、注入された不純物の種類によらず、不純物原子(イオン)の数によってほぼ決まるからである。また、前記イオン注入量は、例えばソース・ドレイン領域におけるイオン注入量に比べると遙かに小さく、これによりソース・ドレイン領域の特性に悪影響を及ぼすこともない。したがって、前記クーロン散乱を支配的にするためのイオン注入は、チャネル領域にのみ行ってもよいし、多結晶シリコン層3全体に行ってもよい。なお、前記イオン注入量を増やすと、薄膜トランジスタ全体の電界効果移動度μFEも小さくなるので、イオン注入量には自ずと限界があり、図5に示すように5×1013cm−2以下とすることが好ましい。
前記イオン注入によりクーロン散乱を支配的とし、薄膜トランジスタ全体の電界効果移動度μFEのバラツキを抑えることができるが、このとき結晶粒界の数nについてもある程度大きくすることが効果的である。結晶粒界の数nがあまり小さすぎると、いくらクーロン散乱を支配的にしても結晶粒界の数nのバラツキの影響が大きくなる。したがって、前記結晶粒界の数nは5以上とすることが好ましい。前記結晶粒界の数nを5以上とすることにより、結晶粒界の数nのバラツキの影響が抑えられ、前記クーロン散乱を支配的にしたこととの相乗効果により、薄膜トランジスタ全体の電界効果移動度μFEのバラツキを極めて小さなレベルに抑えることができる。なお、この結晶粒界の数nについても上限があり、図6に示すようにn=30以上とすると薄膜トランジスタ全体の電界効果移動度μFEの低下が問題になるおそれがある。
また、薄膜トランジスタのチャネル長と結晶粒径の関係について言えば、通常の多結晶シリコンの結晶粒径が0.4μm〜0.5μm程度であるため、チャネル長2μm以下で電界効果移動度μFEのバラツキが問題となる。したがって、結晶粒径が0.4μm〜0.5μm程度の多結晶シリコンを用いるとすると、前記イオン注入量は、チャネル長2μm以下の薄膜トランジスタにおいて効果的ということになる。
なお、前記比率(結晶粒界の数n≧5)を保ったままチャネル長が小さくなっていくとすると、結晶粒径も小さくなることになり、結果として表面凹凸も小さくなる。多結晶シリコンにおいては、結晶成長に伴い結晶粒界の三重点に凹凸(図2において白く観察される部分)が形成されるが、この凹凸は結晶粒径に比例し、結晶粒径が小さくなれば凹凸も小さくなる。表面凹凸を小さくすることができれば、ゲート絶縁膜5を薄くすることができ、これによりしきい値電圧が低下することから電源電圧を低く設定することが可能になる。
以上のように、本発明の薄膜トランジスタでは、結晶粒界の影響を相対的に小さくするために、チャネル領域に所定の注入量でイオン注入を行うようにしている。前記イオン注入により移動度自体は小さくなるが、電界効果移動度μFEのバラツキも小さくなるので、設定マージンが増し、結果的に高速での回路動作が可能となる。また、結晶粒径を小さくすることも可能となるため、多結晶シリコン層3の表面の凹凸を小さくすることが可能となる。そのため、ゲート絶縁膜5の膜厚を薄くすることができ、オン電流の増加が見込める。
前述の薄膜トランジスタを形成したアレイ基板は、例えば液晶表示素子のアレイ基板に適用して好適である。以下、液晶表示素子の構成について説明する。図7は、液晶表示素子を構成する液晶表示パネルの一例を概略的に示すものであり、図8は図7に示す液晶表示素子の概略的な回路構造を示す。
この液晶表示素子は、液晶表示パネル41及びこの液晶表示パネル41を制御する外部制御回路42を備える。液晶表示パネル41は、液晶層LQが一対の表示パネル基板、すなわちアレイ基板AR及び対向基板CT間に保持される構造を有し、このアレイ基板ARとして前述の構造のアレイ基板が用いられている。また、外部制御回路42は液晶表示パネル41から独立した回路基板上に配置され、フレキシブル基板43により液晶表示パネル41の内部回路と接続されている。
アレイ基板ARは、マトリクス状に配置されるm×n個の画素電極PE、複数の画素電極PEの行に沿って形成されるm本の走査線Y(Y1〜Ym)、それぞれの画素電極PEの列に沿って形成されるn本の信号線X(X1〜Xn)、信号線X1〜Xn及び走査線Y1〜Ymの交差位置近傍にそれぞれ配置され例えば薄膜トランジスタからなるm×n個の画素スイッチ44、走査線Y1〜Ymに平行に配置され各々対応行の画素電極PEに容量結合した補助容量線CS、走査線Y1〜Ymを駆動する走査線駆動回路45、並びに信号線X1〜Xnを駆動する信号線駆動回路46、および外部制御回路42及びアレイ基板AR間の接続に用いられる複数の外部接続パッドOLBを含む。
対向基板CTは、m×n個の画素電極PEに対向して配置されコモン電位Vcomに設定される単一の対向電極CEを含む。このコモン電位Vcomは例えば補助容量線CSにも印加される。
外部制御回路42は、モバイル機器の処理回路から供給されるデジタル映像信号及び同期信号を受取り、画素表示信号Vpix、垂直走査制御信号YCT及び水平走査制御信号XCTを発生する。垂直走査制御信号YCTは走査線駆動回路45に供給され、水平走査制御信号XCTは表示信号Vpixと共に信号線駆動回路46に供給される。走査線駆動回路45は走査信号を1垂直走査(フレーム)期間毎に走査線Y1〜Ymに順次供給するよう垂直走査制御信号YCTによって制御される。信号線駆動回路46に接続される各走査線Yは、走査信号により駆動される1水平走査期間(1H)において入力されるデジタル映像信号を直並列変換し、さらにデジタル・アナログ変換した表示信号Vpixをアナログ形式で信号線X1〜Xnにそれぞれ供給するように水平走査制御信号XCTによって制御される。
この液晶表示素子では、液晶層LQがm×n個の画素電極PEにそれぞれ対応してm×n個の表示画素PXに区画され、各表示画素PXが2本の隣接走査線Yと2本の隣接信号線Xとの間にほぼ規定される。表示画面はこれらm×n個の表示画素PXにより構成される。各画素スイッチ44は対応走査線Yからの走査信号に応答して対応信号線Xからの表示信号Vpixをサンプリングして対応画素電極PEに印加し、この画素電極PEの電位と対向電極CEの電位との電位差に基づいて対応表示画素PXの光透過率を制御する。
以上の構成を有する液晶表示素子においては、前記アレイ基板ARとして先に説明した薄膜トランジスタを備えたアレイ基板を用いているので、走査線駆動回路45や信号線駆動回路46の駆動トランジスタにおいて、高移動度が達成されて高性能化され、表示品質の向上を図ることが可能である。
以下、本発明の実施例について、具体的な実験結果に基づいて説明する。
イオン注入量及び結晶粒界の数nについての検討
多結晶シリコン層のチャネル領域へのイオン注入量を2×1011cm−2〜5×1012cm−2とするとともに、チャネル内の結晶粒界の数nを1,5,10として、薄膜トランジスタを作製した。不純物としてはホウ素(B)を注入した。作製した薄膜トランジスタについて、電界効果移動度μFEのバラツキを調べた。電界効果移動度μFEのバラツキは、結晶粒界の数n=1とn=5との差(条件1)、及び結晶粒界の数n=5とn=10との差(条件2)を算出した。結果を表1に示す。
Figure 2007158187
この表1から明らかなように、イオン注入量を1××1012cm−2以上とすることで、移動度のバラツキが10%以下に抑えられている。また、チャネル内の結晶粒界の数nが大きい場合の方が前記バラツキが小さい。
図9は、チャネル内の結晶粒界の数nを0(無し),1,2,5,10,20とし、結晶粒内の移動度と多結晶シリコン膜全体の移動度の関係を示すものである。結晶粒内の移動度が小さくなっていくと、結晶粒界の影響が小さくなることがわかる。本発明では、イオン注入により結晶粒内移動度が低下するが、バラツキを考慮した最低移動度を考えると、回路設計においてはバラツキ低減効果の方が大きいと言える。
ゲート絶縁膜に関する検討
n型薄膜トランジスタ及びp型薄膜トランジスタについて、チャネル領域へのイオン注入量を変え、ゲート絶縁膜の膜厚としきい値電圧(V th、V th)の関係を調べた。結果を図10に示す。n型薄膜トランジスタ、p型薄膜トランジスタのいずれにおいても、ゲート絶縁膜を薄くすることにより、しきい値電圧が低下しており、この傾向はイオン注入量によらない。したがって、多結晶シリコン層の結晶粒径を小さくして表面凹凸を小さくすることができれば、ゲート絶縁膜の膜厚を薄くすることができ、電源電圧を低く設定可能であることがわかる。
薄膜トランジスタの構造例を示す概略断面図である。 多結晶シリコン膜の表面像を示す電子顕微鏡写真である。 N型薄膜トランジスタにおいて、チャネル内結晶粒界の数nを3,5,20としたときの電界効果移動度の分布を示す図である。 P型薄膜トランジスタにおいて、チャネル内結晶粒界の数nを3,5,20としたときの電界効果移動度の分布を示す図である。 クーロン移動度のドーズ量依存性を示す特性図である。 粒界数と移動度の関係を示す特性図である。 液晶表示パネルの一例を示す概略斜視図である。 液晶表示素子の回路構成の一例を示す図である。 チャネル内結晶粒界の数nを変えたときの粒内移動度と多結晶シリコン膜の移動度の関係を示す特性図である。 n型薄膜トランジスタとp型薄膜トランジスタのゲート絶縁膜の膜厚としきい値電圧(V th、V th)の関係を示す特性図である。
符号の説明
1 ガラス基板、2 アンダーコート層、3 多結晶シリコン膜、3A ソース領域、3B ドレイン領域、3C チャネル領域、5 ゲート絶縁膜、6 ゲート電極、7 層間絶縁膜、8 ソースドレイン電極

Claims (6)

  1. 多結晶シリコン膜上にゲート絶縁膜を介してゲート電極が形成されてなる薄膜トランジスタであって、
    少なくともチャネル領域に不純物がイオン注入されており、不純物のイオン注入量が1×1012cm−2以上であることを特徴とする薄膜トランジスタ。
  2. 前記多結晶シリコン膜において、チャネル領域内の結晶粒界の数が5以上であることを特徴とする請求項1記載の薄膜トランジスタ。
  3. 前記チャネル領域のチャネル長が2μm以下であることを特徴とする請求項1または2記載の薄膜トランジスタ。
  4. アレイ基板と対向基板を備えた表示素子であって、
    前記アレイ基板は、表示部と駆動回路部を有し、
    前記駆動回路部の薄膜トランジスタは、多結晶シリコン膜上にゲート絶縁膜を介してゲート電極が形成されてなる薄膜トランジスタであって、
    前記薄膜トランジスタは、少なくともチャネル領域に不純物がイオン注入されており、不純物のイオン注入量が1×1012cm−2以上であることを特徴とする表示素子。
  5. 前記薄膜トランジスタの多結晶シリコン膜において、チャネル領域内の結晶粒界の数が5以上であることを特徴とする請求項4記載の表示素子。
  6. 前記薄膜トランジスタにおいて、チャネル領域のチャネル長が2μm以下であることを特徴とする請求項4または5記載の表示素子。
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JP2009253043A (ja) * 2008-04-07 2009-10-29 Advanced Lcd Technologies Development Center Co Ltd 結晶化領域に設けられた薄膜トランジスタの電気特性を求めるシミュレータによりシミュレーションする方法および結晶化領域に設けられた薄膜トランジスタのチャネル領域に含まれるクーロン散乱中心密度を計算及び抽出するための物理解析モデル。

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JP2009253043A (ja) * 2008-04-07 2009-10-29 Advanced Lcd Technologies Development Center Co Ltd 結晶化領域に設けられた薄膜トランジスタの電気特性を求めるシミュレータによりシミュレーションする方法および結晶化領域に設けられた薄膜トランジスタのチャネル領域に含まれるクーロン散乱中心密度を計算及び抽出するための物理解析モデル。

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