複写機、プリンター、FAX、あるいはこれらの複合機等に代表される画像形成装置は、画像形成部で画像を形成し、この画像を用紙やOHP等のシート状の記録材上に転写している。画像形成装置で用いる画像記録方式には、様々な形式が実現されているが、その中でも高速性、画像品質、コスト等の面から上記の装置に広く採用されているのが電子写真方式である。
電子写真方式では、記録材上に転写した未定着のトナー像を、熱と圧力で記録材上に定着するのに、定着装置を用いるのが一般的である。定着装置による定着方式としては、高速性、安全性等の面からヒートローラ方式が現在最も多く採用されている。ヒートローラ方式とは、ハロゲンヒータなどの発熱部材により加熱される加熱ローラ等の加熱部材と、これに対向配置されて加熱部材と圧接して圧接ニップ部と呼ばれる相互圧接部を形成する対向回転体との間に、加熱部材から見て被加熱体となる記録材を通過させて加熱する方式である。加熱部材には、鉄やアルミ等が芯金として用いられる金属ローラが主に使用されている。加熱部材は、圧接時の変形量を抑えるために肉厚が厚く形成されており、その熱容量が大きくなっている。このため、トナーを溶融して使用可能とする温度(定着温度)である約180℃前後へ昇温するには数分から十数分という長い立ち上がり時間が必要であった。
そこで、画像形成装置では、装置使用者がプリントを行わない待機時にも、加熱部材が備えた発熱部材に電力を供給し、温度を使用可能温度(定着温度)よりやや低い予熱温度に保っている。これにより、加熱ローラが直ぐに使用可能温度(定着温度)まで立ち上がるようにして、所謂ファーストプリント時間の短縮を図っている。
このように温度の立ち上がりを重視すると、装置を使用していない時にも画像形成には直接必要のない、いわば余分な電力が待機電力として発熱部材で消費されることになる。この待機時の消費エネルギーは、画像形成装置の消費エネルギーの約7〜8割を占めるという調査結果もある。
近年、環境保護意識の高まりから各国で省エネ規制が制定されている。国内では省エネ法が改正されて強化され、米国でもエナジースターやZESM(Zero Energy Star Mode)などの省エネプログラムが制定されている。これらの規制やプログラムに対応すべく画像形成装置で省電力化を図る場合、待機時の消費エネルギーを削減すると省エネ効果が大きいため、装置待機状態時に電力供給を限りなくゼロにすることが要望されている。
従来の定着装置の構成のままで、装置待機時の電力をゼロにすると、再立上時には加熱ローラの昇温に時間を要していまい、待機時間が長く装置使用者の使い勝手が悪化してしまう。このため、速やかに加熱ローラの温度を上昇させる構成が、画像形成装置における使い勝手と省エネの双方を実現する上では必要とされている。例えば、前記ZESMでは装置が一旦立ち上がり、スリープ状態などの所謂、待機状態からの再立上時間を10秒以下にすると言う大変厳しい内容が要求されている。
昇温時間を短くするためには、加熱部材の熱容量を小さくあるいは加熱部材(発熱部材)への投入電力を大きくすることが考えられる。低熱容量化に関しては、加熱手段としての加熱ローラあるいは定着ローラの肉厚を従来の数mmから1mm以下へと薄肉化することや、加熱手段としてフィルムやベルト部材を用いることで、50cpm(50枚/1分)程度までの中低速なプリント速度域では10〜30秒程度の短時間での立ち上がりが実現されており、昇温時間を短くすることが可能となってきている。
一方、加熱手段に対する投入電力の増大を図るには、供給電圧あるいは供給電圧を高めればよいが、日本国内の一般的なオフィスのコンセントなどの商用電源は、100V/15A(アンペア)が一般的で、事実上1500Wが供給電力の上限となるため、加熱手段への供給電力を一般的な商業電源単独で増やすことは困難であった。
このような中低速のプリント速度域では、加熱手段の低熱容量化が短時間での昇温に有効であるが、60cpm(60枚/1分)以上の高速なプリント速度域では、単位時間あたりの記録材の通紙枚数が多くなるため、加熱手段が加熱される熱量よりも記録材によって加熱手段から奪う熱量が多く、加熱部材の熱容量が小さいと加熱手段の温度を所定温度に保持するのが難しかった。画像形成装置において、このような温度保持、すなわち加熱手段の温度低下は、定着不良の要因となってしまう。
これを解決するために、プリント速度が高速域まで対応可能な画像形成装置には、電源電圧を200Vにして大電力を供給する機器もあるが、設置場所の電源に特別な工事を施す必要があり、一般的な解決法とは言えない。また、100V15Aを2系統用いて総投入電力量を上げる製品も実用化されているが、2系統のコンセントが近くにないと設置することが困難である。このため、これまでは短時間で加熱ローラ(加熱手段)を昇温しようとしても、投入エネルギーの上限が上げられないのが実状であった。
このような背景の中、最大供給電力量を増やして定着装置の温度低下防止を実現する手法として、商用電源(100V−15A)と異なる充電可能な補助電源装置を備えた画像形成装置が提案されている。例えば、特許文献1では加熱手段に複数のヒータを発熱部材として備え、一方の発熱部材に対しては主電源となる商用電源から電力を供給し、他方の発熱部材には補助電源装置から電力を供給して加熱手段に対する最大電力供給量を増やし、立ち上がり時間の短縮と温度低下を防止している。補助電源装置としては、鉛蓄電池、カドニカ電池などの二次電池が代表的なものとしてあるが、二次電池は充放電を繰り返すと電池が劣化して容量が低下していき、大電流で放電するほど寿命が短くなるという性質を持っている。
一般的に大電流で長寿命とされているカドニカ電池でも、充放電の繰り返し回数は約500〜1000回程度であり、例えば一日に20回の充放電を繰り返すと一ヶ月程度で電池の寿命が来てしまうことになる。これでは電池交換の手間がかかると共に、電池代などのランニングコストも非常に高くつく事になってしまう。さらに、充電時間の観点からも、大容量を充電するには時間を要するため一日に何度も充放電を繰り返す用途には使用できず、実用上は実現が困難であった。二次電池の容量を大きくして充放電サイクルを浅くして使用することで繰り返し数を増やすことは可能であるが、充放電に必要な時間が長いため実用化が困難である。このように、二次電池では実用上の問題点があるため、電気二重層キャパシタなどの大容量コンデンサを補助電源装置として用いる事も特許文献1には記載されている。
大容量コンデンサは電池と比較して次に示す有利な特徴を有している。第1に、充放電の繰り返し回数が数万回以上でほぼ無制限であり、充電特性の劣化がほとんどなく定期的なメンテナンスが不要である。第2に、充電時間が二次電池であるバッテリーで数十分〜数時間を要するのに対し、数十秒から数分程度にすることが可能である。また、電気二重層キャパシタでは数十から百アンペアの大電流も流せ、大電力の供給が可能である。
以下、図面を用いて本発明の実施の形態を説明する。図1は本発明が適用された装置の一例となる画像形成装置の概要図である。図1において、画像形成装置は、その本体内部に、静電潜像担持体(像担持体)としてのドラム状の感光体41を備えている。この感光体41は、図示しない駆動モータによって図中矢印で示す時計周り方向に回転駆動されるように構成されている。感光体41の周囲には、感光体表面を均一に帯電させる帯電装置42、感光体上の潜像を現像する現像ローラ44aを備えた現像装置44、感光体上の画像(トナー画像)を記録材であり、被加熱体としての用紙Pに転写する転写装置48、感光体表面を清掃するクリーニング装置46が、感光体41の回転方向に配設されている。
帯電装置42によって均一に帯電された感光体41の表面には、帯電装置42と現像装置44との間の露光部150に、書込み系レーザ光Lbが反射鏡43で反射されて露光光として照射される。これにより感光体表面には潜像が形成される。書込み系レーザ光Lbは、反射鏡43と図示しないポリゴンミーなどで構成された周知の書込ユニットから照射されている。感光体表面に形成された潜像は、現像装置44の現像ローラ44aによって顕剤(現像剤とも言う)としてのトナーの供給を受けて顕画像化される。
転写装置48は感光体表面と対向配置されていて、両者の間に転写部47を形成している。転写部47には、給紙装置50が有する給紙トレイ51から搬送系を構成する給紙コロ110及びレジストローラ対49を介して用紙Pが搬送される。搬送された用紙Pには、転写部47において転写装置48から印加される転写バイアスによって感光体41上のトナー画像(顕画像)が静電的に転写される。
トナー画像(顕画像)が転写された用紙Pは、転写部47よりも下流に配置された定着装置10へと図示しない搬送系を構成する図示しない搬送ローラ等で適宜搬送される。定着装置10は、図中破線で示す用紙搬送路上に配設されていて、後述する給電制御装置200から電力供給を受けて加熱される加熱部材であり定着部材でもある加熱ローラ1と、これと対向配置された加圧部材であり対向回転体となる加圧ローラ7を備えている。加熱ローラ1と加圧ローラ7は接触して定着用の圧接ニップ部52を形成している。定着装置10へと搬送された用紙Pは、圧接ニップ部52を通過する際に、加熱ローラ1からの熱と圧接ニップ部52に加わる圧力により用紙Pに熱定着されて図示しない排紙トレイ上に排出される。
転写部47で用紙Pに転写されずに感光体41上に残った残留トナーは、感光体41の回転と共にクリーニング装置46に至る。そして、クリーニング装置46のクリーニング部材46aと感光体42との間を通過する際にクリーニング部材46aによって掻き落とされて清掃される。
定着装置とこれに関連する構成部について説明する。
定着装置10としては、図2に示すローラ定着方式と図3に示すベルト定着方式がある。図1に示す画像形成装置の定着装置10には、図2に示すローラ定着方式を用いているが、図3に示すベルト定着方式のものを用いても良い。
定着装置10は、図示しない駆動源によって回転される加熱ローラ1と、加熱ローラ1の外周面に圧接して圧接ニップ部52を形成する加圧ローラ7とを備え、圧接ニップ部52に未定着像であるトナー画像Tを転写された用紙Pを導入して挟持搬送させることで、トナー画像Tを用紙Pに熱と圧力で固着するものである。加熱ローラ1は、その内部に発熱部材としてのハロゲンヒータ60を備えていて、このハロゲンヒータ60に電力が供給されて発熱することで、その表面が所定の温度である定着温度まで昇温される。図2において符号Tで示すトナー画像は定着前の状態を示している。
図3に示すベルト定着方式の定着装置100は、無端ベルトで構成された定着部材としての定着ベルト101と、定着ベルト101が巻き掛けられる複数のバックアップ部材としての定着ローラ102と加熱ローラ103と、定着ベルト101を間に挟んで一方のローラとしての定着ローラ102との間に圧接ニップ部52を形成する加圧部材であり対向回転体となる加圧ローラ104を備え、圧接ニップ部52にトナー画像Tを転写された用紙Pを導入して挟持搬送させることで、トナー画像Tを用紙Pに熱と圧力で固着するものである。
加熱ローラ103は、その内部に発熱部材としてのハロゲンヒータ60を備えていて加熱部材を構成している。加熱ローラ103は、ハロゲンヒータ60に電力が供給されて発熱することで、ローラを介して定着ベルト101の表面を所定の温度としての定着温度まで昇温する。この定着装置100では、用紙Pを搬送するために定着ローラ102と加圧ローラ104が図示しない駆動源となる駆動モータから駆動力を伝達されるように構成されている。
このため、図3において、定着ローラ102は時計回り方向に回転駆動されて定着ベルト101も同方向に回転移動し、加圧ローラ104は反時計回り方向に回転駆動される。駆動形態としては、定着ローラ101あるいは加圧ローラ104の何れか一方が駆動力を受けて回転駆動する形態であってもよい。
図2に示すように、加熱ローラ1は、金属製で筒状のローラ基体63の内部にハロゲンヒータ60を備えている。ハロゲンヒータ60は、その輻射熱でローラ基体63を加熱してローラ表面温度を昇温するように構成されている。ローラ基体63は、加熱ローラ1の基体として機能することから、アルミや鉄などの金属製であることが耐久性や加圧による変形などの点を考慮すると望ましい。本形態では、ローラ表面となるローラ基体63の外周面にトナー等の固着を防ぐための離型層1aが形成されている。ローラ内面、すなわち、ローラ基体63の内周面には、ハロゲンヒータ60の熱を効率よく吸収するための黒化処理をすることが望ましい。加圧ローラ7は、その芯金7aの外周にゴムなどの弾性層7bを形成されていて、加熱ローラ1との圧接時に弾性変形して圧接ニップ部52が十分に形成されるように構成されている。
図3に示すように、加熱ローラ103は、定着ローラ102よりも、その直径が小径に形成されている。加熱ローラ103は、金属製で筒状のローラ基体103aの内部にハロゲンヒータ60を備えている。ハロゲンヒータ60は、その輻射熱でローラ基体103aを加熱してローラ表面温度を昇温して定着ベルト101を加熱昇温するように構成されている。この加熱ローラ103は、加圧ローラ104と対向しないで、定着ベルト101に張力を与えるように機能するので、図2の加熱ローラ1よりもローラ基体103aの肉厚が薄く構成されている。このため、金属部分が小径で薄肉化されているので、その熱容量が加熱ローラ1よりも小さく、従来のような補助ヒータが不要となる。ローラ内面、すなわち、ローラ基体103aの内周面には、ハロゲンヒータ60の熱を効率よく吸収するための黒化処理をすることが望ましい。加圧ローラ104は、その芯金104aの外周にゴムなどの弾性層104bが形成されていて、加熱ローラ102との圧接時に弾性変形して圧接ニップ部52が十分に形成されるように構成されている。
本発明では、図2,図3に示すように加圧部材1の温度を検知する加圧部材温度検知手段80を有している。加圧部材温度検知手段80として、サーミスタや熱電対などの接触タイプのものや、赤外線によって温度を検知する非接触のものなどが挙げられる。本形態において、加圧部材温度検知手段80は、図2、図3に示すとおり加圧ローラ7,104自身の表面温度を検知するように設置されており、検出した温度情報を画像形成装置の制御を行うとともに、定着装置10を含む画像形成装置の構成部に対する供給電力を制御する後述する制御手段600などへ伝え、画像形成装置動作を決定する情報として利用される。
本形態において、ハロゲンヒータ60は、100Vで1200Wの出力のものを1本用いている。ハロゲンヒータ60は、図5(a)に示すように各ローラの軸線方向の全域に設ける形態としても良いし、図5(b)に示すように各ローラ中央部のみを加熱する第1ヒータ61と、ローラ両端部のみを加熱する第2ヒータ62とを設け、用紙サイズに応じて各ヒータへの給電を制御して非通紙部の昇温を防止する構成としてもよい。この場合、発熱部材は複数となるが、何れか一方が補助ヒータとして機能するのではなく、双方共に主ヒータとして機能する。
本形態において、各加熱部材はそれぞれ発熱部材としてはハロゲンヒータ60で加熱されているが、加熱形態としては、このような形態に限定されるものではない。例えば、板状のセラミックヒータを各ローラの内部に配置して用いても良い。あるいは、図4に示すように、円弧状のコア701にコイル702を巻いて磁束発生手段700を構成し、コイル702に高周波を流して交番磁界によってコア701を誘導加熱して温度を昇温させる構成としても良い。この場合、加熱部材がコイル702となり、発熱部材がコア701となる。このような加熱形態としては、加熱ローラ103自体が加熱されなくても良い。
磁束発生手段700を加熱手段として利用するメリットは、ハロゲンヒータ60の電力調整には、一般にオン/オフ制御や位相制御、もしくはゼロクロス制御などを用いるが、その出力制御はオン時間とオフ時間を混在させて平均電力を調整する方式である。このため、昇温性(立ち上がり特性)という点では好ましいが、厳密に電力の調整をすることが難しい。これに対し、誘導加熱構成では、コイル702への周波数を変化させることで加熱のための出力電力を変更することができるため、電力調整が容易であることが利点である。また、加熱ローラ内部にハロゲンヒータを同時に内包することで、待機状態などローラ非回転時でもローラ全体を加熱しておくことができるようにする構成としてもよい。
次に、発熱制御手段200と加熱装置400の構成について説明する。本形態では、図2に示すローラ定着方式の定着装置10の加熱ローラ1を加熱する例で説明するが、定着装置100の加熱ローラ103を加熱する形態であっても良い。
図1に示すように、画像形成装置は、発熱制御手段200と加熱装置400を備えている。加熱装置400は、図6に示すように、電力供給によって発熱するハロゲンヒータ60を備えた加熱ローラ1と、電力を消費する電力要求部であり画像形成部となる複数の駆動系300とに電流を供給する電力供給手段500と、電力供給手段500を制御する制御手段600とを備えている。この制御手段600は、補助電力制御手段として機能する。
電力供給手段500は、複数の電力供給手段として主電源装置2と、蓄電装置で構成された補助電源装置3、補助電源装置3への充電器4、補助電源装置3の出力電圧を略一定に保つ定電圧回路としての電圧調整回路5、充放電切替手段sw1、及び主電源装置2からの電力供給を制御する主電力制御手段としてのトライアックなど周知のスイッチ素子6及び、電力配分手段9を備えている。
主電源装置2は、図1に示すプラグ201を介して商用電源202のコンセントから電力を得て、ハロゲンヒータ60と画像形成装置の電力要求部であり定着装置以外の負荷装置としての複数の駆動系300にそれぞれ給電を行う。日本では100Vの電圧で15A程度の電流容量に制限されているので、主電源装置2からの電力は1500W程度が最大電力とされている。
補助電源装置3は、主電源装置2から補助電源装置3に充電した蓄電電力を、装置立上げ時や連続通紙時等の、より多くの電力供給が望まれる任意のタイミングの時に充放電切替手段sw1が切替えられることで放電供給され、主電源装置2の供給電力を越えた電力を複数の駆動系300へ給電するように構成されている。補助電源装置3は、電気二重層キャパシタからなるキャパシタセルを複数個接続して構成されている。
本形態において、蓄電装置としては、キャパシタの中でも大容量コンデンサとなる電気二重層キャパシタを用いている。大容量コンデンサは電気化学キャパシタとも呼ばれてきており、電気二重層キャパシタ、シュードキャパシタなど、動作原理により幾つかの種類に分類できるが、充放電回数の寿命などから、特に電気二重層キャパシタを使用することが望ましい。コンデンサは、蓄電式の補助電源装置3の別な形態となる二次電池とは異なり、化学反応を伴わないため下記のような優れた特徴を有している。
二次電池として一般的なニッケル−カドミウム電池を補助電源装置3として用いると、急速充電を行っても数十分から数時間の時間を要するため、一日の大電力供給可能回数が数時間おきに数回しか実現できず、実用的ではない。これに対し、コンデンサを補助電源装置3として用いると、数十秒〜数分程度の急速な充電が可能であるため、補助電源装置3を用いた加熱の回数を実用的な回数にまで増やすことができる。
ニッケル−カドミウム電池は、充放電の繰り返し回数が500から1000回であるため加熱時用補助電源装置としては寿命が短く、交換の手間やコストが問題となる。これに対し、コンデンサを用いた蓄電式の補助電源装置3は、一般に1万回以上の放充電が可能で長寿命である特性を有し、繰り返しの充放電による劣化も少ない。また、鉛蓄電池のように液交換や補充なども必要ないため、メンテナンスがほとんど必要とならない。電気二重層キャパシタは、内部抵抗が5mΩ以下と蓄電池に比べて小さいため、20Aを越える大電流での使用も可能で、リチウム電池やニッケル水素電池などの二次電池よりもロスが小さく大電力を得やすい。近年は電気二重層コンデンサにも多量の電気エネルギーを蓄えられる物が開発されてきており、電気自動車などへの採用も検討されている。例えば、日本ケミコン(株)の開発した電気二重層コンデンサ等は2.5Vで2000F程度の静電容量を有しており。日本電子株式会社からは、耐電圧を3.2〜3.5Vへ上げて電力量密度を50〜75wh/kgと従来の5〜10倍にしたナノゲートキャパシタという技術も発表されている。
本形態では補助電源装置3各部の温度を検知する補助電源温度検知手段90を有している。補助電源温度検知手段90は、サーミスタや熱電対などからなり、図7に示すように、補助電源装置3(キャパシタ)のセル自体に付設している構成が望ましい。これは、大電流で充放電を行うと、内部抵抗によりセル自身が昇温するため素早く影響を検知できるためである。このほか、補助電源装置3の雰囲気温度が上昇するとセル温度も上昇するため、補助電源装置3の雰囲気温度あるいは周囲部材温度を検知する構成としても良い。例えば、セルを収納しているケース150に付加してケース温度あるいはケース内部の温度を検知する構成としても良い。またセルを収納しているケース内部に図示しないスイッチング素子などの発熱しやすい電気回路部材が設置されている場合には、この回路部材近傍に温度検知手段を設置するようにしても良い。補助電源温度検知手段90には、赤外線により温度を検知する非接触タイプのものでも良い。補助電源温度検知手段90の設置形態としては、補助電源装置3を構成する複数のセルに付設し、各セル温度の平均値や最大値を温度データとして制御パラメータとして用いても良い。
本形態において、補助電源装置3の温度検知の形態としては補助電源温度検知手段90を用いているが、補助電源温度検知手段90を設置していない部位の温度推定などの処理を施して温度データを出力する構成としてもかまわない。
充電器4では、補助電源3Aに応じた主電源電力の電圧調整とAC/DC変換を行って、補助電源35Aへ給電して蓄電を行う。加熱装置400は、制御手段600と接続されて電力要求部の動作状態を検出する動作状態検出手段95を備えている。装置の動作状態とは、補助電源3Aの電力残量であり、動作状態検出手段95は補助電源3Aの電力残量を検出している。すなわち、補助電源3Aの充電状態は、動作状態検出手段95によって検出されていて、制御手段600により充分充電されたことと判断されると、充電を停止し、蓄電流が少ないと判断されると充電を開始するように制御される。つまり、動作状態検出手段95は、補助電源3Aの状態を検出する補助電源状態検出手段としても機能する。
本形態において、補助電源3Aは定格2.5V−1200Fで、内部抵抗が5mΩ以下の直径40mmで長さが120mm程度のキャパシタセルを、8本直列に接続する20Vモジュールとして構成している。直列に接続する際の各セルの電圧バランスを確保するためには、図示しない電圧バランス回路を備えることで動作の長期的な安定性を確保することが可能である。補助電源3Aは20Vの満充電状態から200wで給電を開始し、その電圧を動作状態検出手段95で検出して半分の約10V程度まで放電をすると制御手段600によって放電が停止される。
補助電源3Aからの供給電力量は、ハロゲンヒータ60の定格電力よりも小さい電力であり、さらには、ハロゲンヒータ60の最大定格電力(1200W)と図8に示す補助電源3Aを使わない状態での電力Wfus_run(900W)との差(300W=1200W−900W)以内の電力を供給する構成とされている。
電圧調整回路5は、DC/DCコンバータなどの変圧手段を有し、補助電源3Aからの出力電力を画像形成装置側の負荷に応じた所定の電圧に調整する用に構成されている。
電圧調整回路5は、主電源装置2から定着装置10以外の複数の駆動系300へ給電する。電圧調整回路5は、複数の駆動系300がモータなどの比較的使用電力の大きい装置へ給電するDC24Vの定電圧出力としているが、定電圧に限るものではなく、駆動系300の負荷の入力許容電圧範囲が広い場合には、それに応じて電圧が変動する構成であってもかまわない。
電圧調整回路5は、前述の構成では、2.5V定格のセルを8本として20Vから10Vまでの範囲を24Vに出力している。このため、DC/DCコンバータ5は昇圧回路としている。電力量を増やす場合でも、12本として30Vから15Vの範囲を24Vに出力すると昇圧と降圧の機能を持たせても、20本構成として50Vから25Vの範囲を24Vに出力する降圧の機能を有する構成にしてもかまわない。特に400W以上の出力電力が大きい構成にする場合、10V程度の低い電圧領域ではキャパシタからなる補助電源3Aから出力する電流が大きくなるためロスが大きくなり、昇降圧もしくは降圧構成にすることが望ましい。DC/DCコンバータ5の回路を簡素化できるため、降圧構成がさらに望ましいと言える。
スイッチ素子6は、制御手段600と接続されていて、制御手段600によってオン状態とされることでハロゲンヒータ60に対して通電をすると共に、連続してオン/オフ制御されることで、ハロゲンヒータ60への総通電流量を制御して発熱量を調整している。
電力配分手段7は、制御手段600と接続されていて、制御手段600によって複数の駆動系300に対する主電源装置2から給電と補助電源装置3からの給電を切替えるように構成されている。すなわち、補助電源3Aの残電力がある場合には、補助電源3Aから複数の駆動系300のうち、ハードディスク装置(HDD)301と搬送用駆動系302に対して給電を行い、残電力がなくなると主電源装置2から給電するように切換制御される。このため、ハードディスク装置(HDD)301と搬送用駆動系302に対して常に必要な電力を供給することができ駆動状態とすることができる。一方、複数の駆動系300のうち、ハードディスク装置(HDD)301と搬送用駆動系302以外の各駆動系は、補助電源3Aからの給電を受けることはできず、常に主電源装置2からの給電によって駆動するように構成されている。
制御手段600は、周知のコンピュータ演算回路で構成されていて、図示しないROM及びRAMなどの記憶手段と、各機器やセンサと接続されるコネクタを備えている。制御手段600は、主電源装置2のみからハロゲンヒータ60へ電力を供給すると共に、主電源装置2と補助電源装置3の両方から複数の駆動系300に電力を供給する第1の電力供給モードと、主電源装置2のみから複数の駆動系300に電力を供給し、主電源装置2のみからハロゲンヒータ60に電力を供給すると共に、ハロゲンヒータ60への供給電力がハロゲンヒータ60の定格電力(本形態では1200w)よりも少ない第2の電力供給モードとを備えている。制御手段600は、第1の電力供給モードにおけるハロゲンヒータ60への供給電力が、第2の電力供給モードにおけるハロゲンヒータ60への供給電力よりも大きくなるように設定されている。制御手段600は、第1の電力供給モードにおけるハロゲンヒータ60への供給電力を、ハロゲンヒータ60の最大定格電力(1200W)よりも小さく制御するように構成されている。
制御手段600には、加熱ローラ1の発熱状態を検出する発熱状態検出手段8が電気的に接続されている。発熱状態検出手段8は、加熱ローラ1の表面温度を検出する温度センサであり、検出結果を制御手段600に送信している。制御手段600は、発熱状態検出手段8の検出情報に応じて補助電源3Aから複数の駆動系300への供給電力量を変化させるように構成されている。つまり、発熱状態検出手段8で検出される温度が制御手段600に予め設定された所定温度以上である場合には、補助電源装置3から複数の駆動系300への供給電力量を低減するように制御している。
制御手段600は、動作状態検出手段3aで検出される電力残量が予め設定された設定値よりも低い場合には、補助電源装置3から電力要求部への供給電力量を抑制するように制御する。すなわち、制御手段600は、動作状態検出手段3aで検出される電力残量に応じて、補助電源装置3から駆動系300への供給電力量を変化させると共に、プリント物の生産性を変化させるように、各部を制御する。具体的には、動作状態検出手段3aで検出される電力残量が予め設定された設定値よりも低い場合(ゼロも含む)には、補助電源装置3から駆動系300への供給電力量を抑制し、プリント物の生産性を低減させるように駆動系300を制御する。
本形態では、加圧ローラ7の温度を検知することで画像形成装置の動作を決定しており、ウォームアップからの昇温時、もしくは印刷開始時に検知した加圧ローラ7の温度情報に基づき、加圧ローラ7の温度が予め制御手段600に記憶した所定温度以上であった場合には補助給電を禁止のまたは途中で停止することを特徴としている。
これは、印刷開始直後に加熱ローラ1の温度が低下する主な理由が加圧ローラ7の温度が低いためである。これは、用紙Pを加熱するよりも加圧ローラ7を加熱するのにエネルギーが利用されているため、急速に加熱ローラ1の温度が低下するのである。すなわち、印刷開始直前もしくは印刷開始時に加圧ローラ7の温度が十分高くなっている場合には加熱ローラ1(定着ローラ)の温度低下、すなわち画像品質の劣化が起こりにくいため、補助電源装置3からの電力供給を停止することで不要なエネルギー消費を防ぐとともに、充電時間の短縮を図ることができる。また、ウォームアップ時には加熱ローラ1及び加圧ローラ7を回転しながら昇温するが、この際でも加圧ローラ7の温度が高い場合には必要な電力が少なくても所定の時間内でウォームアップが完了するため、補助電源装置3への補助給電を停止することで不要な放電を防止することが可能となる。
寿命の長い電気二重層コンデンサを補助電源装置3に用いる場合でも、長期に使用していると徐々にその性能が低下していき、必要な電力量を十分に確保できない状態が想定される。コンデンサにおいて性能低下に大きな影響を与えるのが温度であり、高温になるほど性能低下が大きくなる。
そこで、本形態では、補助電源装置3としての電気二重層コンデンサの温度を補助電源温度検知手段90で検知し、検知した温度情報に応じて、充電もしくは放電動作を決定する。すなわち、補助電源温度検出装置90の温度検出結果が所定の温度よりも高いときには、補助電源装置3への充電電流を減少させ充電時間を長くする。通常は充電器4及び配線その他装置を保護するため、充電電流には所定の上限値が設定されており、これを上回らない様に充電電流が制御されている。充電電流を減少させるには、この充電電流の上限値を下回る値に充電電流を制限するとよく、電流が小さいため空気への放熱量との関係で充電による補助電源装置3(電気二重層コンデンサ)の温度上昇を抑えることができる。
図15に示すように、補助電源装置3(電気二重層コンデンサ)は、充放電動作を連続して行うと徐々に表面温度が上昇していくが、その際、放電時には温度が低下して充電時には上昇するという現象を示す。また、充電時の昇温は充電電流及び充電時間に依存しており電流が小さいほど昇温が小さいため、充電電流を低くすること電気二重層コンデンサの昇温を緩和することができる。また、放電では吸熱作用で補助電源装置3(電気二重層コンデンサ)の温度が低減し、これも放電電流及び放電時間に応じて低下温度が異なるため、放電電流すなわち補助給電電力に応じて温度をある程度コントロールすることが可能となる。
電気二重層コンデンサ温度が高いときには充放電動作をさせず、蓄電装置の発熱現象による昇温を抑えることが望ましい。このため、本構成例では、印刷速度を落として画像形成の生産性を低減することで印刷に必要な電力を低減することで、補助給電の電力を低減する構成としている。これで放電電力を回復するための充電電力が低減もしくは必要なくなるため、電気二重層コンデンサの昇温を防ぐことが可能となる。本形態において、このような充電動作もしくは放電動作の制御は、制御手段600によって実行されるため、制御手段600は充放電動作制御手段としても機能する。
補助電源装置3として用いた電気二重層コンデンサは、放電時には吸熱現象を示すため、より積極的に放電をさせる構成を取ることも可能である。これは、補助電源温度検知手段90による検知温度が所定よりも高い場合には主電源装置2からの給電量を低減すると共に補助電源装置3からの供給量を増やし、より多くの放電をさせることによる。このようにすることで放電による吸熱現象で補助電源装置3を構成する電気二重層コンデンサの温度を低減することが可能となる。この場合においても、通常に充電を行うと温度が再度上昇するため、充電開始まで所定時間間隔をおくか、上述したような充電電流を制限してやる構成と組み合わせることが望ましい。補助電源温度検知手段90による本電気二重層コンデンサの温度の検知結果を基に、図示しないファンなどの冷却装置を稼動させてより積極的に電気二重層コンデンサの温度を低下させる構成をとることが、さらに望ましいことはいうまでもない。つまり、装置構成として冷却装置を備え、この冷却装置を制御手段600で制御するようにしても良い。
以上説明してきた加熱装置400による給電パターンを従来の給電パターンと比較しながら説明する。図8は、画像形成装置の稼動状態と供給電力の関係を示す図であり、縦軸が供給電力、横軸が時間をそれぞれ示す。図8は、連続通紙時における加熱ローラ1(加熱部材)の温度と、ハロゲンヒータ60と非加熱部となる駆動系300での消費電力と、電源供給手段となる各電源装置からの供給電力の関係を示すものである。図8に示すように、加熱ローラ1の温度の立ち上がり区間Twuでは、主電源装置2からの給電はハロゲンヒータ60へ1200w(Wfus_wu)、その他の負荷となる駆動系300へ300W給電し、画像形成装置全体への総給電力が1500Wとなっている。この状態において、駆動する駆動系300としては、図6に示すハードディスク装置301やエンジン制御部等の比較的消費電力が少ない駆動系である。このため、図8に示す立ち上がり時においては、主電源装置2からの単独の給電で各部での消費電力を賄える。
この状態から印刷が開始されて連続通紙が始まると、図6に示すランプなどの読取駆動系303、搬送用駆動系302(モータ)、現像用駆動系304(モータ)、ポリゴンミラーなどの書込駆動系305と各センサ類などにも給電が必要となり、ハロゲンヒータ60以外の装置に供給する電力が、図8に示す立上げ区間Twuでの300Wを超えてしまい、ハロゲンヒータ60以外の駆動系300で例えば約500Wが必要となる。また、ハロゲンヒータ60で必要な電力は、加熱ローラ1を含む定着系が十分温まると900W(Wfus_run)程度の電力で十分となり、駆動系300の要求電力500Wと合わせても1400W(Wall_run)の電力で印刷が可能となる。
しかし、短時間で立ち上がり性能を向上するために、加熱ローラ1の熱容量を小さくした本願の定着装置10では、加熱される熱量よりも用紙Pに奪われる熱量が多く、十分に加熱ローラ1が加熱しきれず、立上げ直後に必要な電力が大きくなる。例えば、装置起動時から30秒で立ち上がって65cpm程度のプリント速度で印刷する場合では、立上げ直後だけはハロゲンヒータ60で約1100W(Wfus_edlc_run)程度の電力が必要であった。つまり、ハロゲンヒータ60で十分に加熱ローラ1の温度を定着温度域に保持するには、ハロゲンヒータ60での要求電力が1100W(Wfus_edlc_run)必要であり、定着以外の駆動系300での要求電力500Wをそのまま給電しようとすると、合計1600W(Wall_edlc_run)が必要で主電源装置2の定格電力1500Wを超えてしまう。
ところが、ハロゲンヒータ60での大電力(1100W:Wfus_edlc_run)は連続通紙中に常時必要ではなく、立上げ直後の数分程度の短時間だけである。そこで、本形態のように駆動系300への給電電力を補助電源装置3から例えば200W程度を数分間補助する間(Tedlc)は、主電源装置2からハロゲンヒータ60へは1100W(Wfus_edlc_run)を供給することが可能となる。
すなわち、画像形成装置の定着装置10以外の負荷装置となる駆動系300で消費される電力500Wのうち、200Wを補助電源装置3から供給することで、主電源装置2から駆動系300へ供給する電力を300Wに抑えられる。主電源装置2の定格電力は1500W(Wall_wu)であるため、主電源装置2からハロゲンヒータ60に対しては1500W−300W=1200Wまで使うことができ、定着に必要な温度を得るのに必要な1100W(Wfus_edlc_run)を十分に供給する余裕ができることになる。
これに対し、ローラ基体が厚く低熱容量化されていない従来の加熱ローラでは、補助電源装置3からのみ電力が供給される補助ヒータをローラ内に設け、補助ヒータを発熱させて加熱ローラで必要な加熱を補っていた。このため、連続通紙で用紙Pに奪われる熱量が多い場合、図10に縦軸を加熱ローラの温度、横軸を時間とした温度特性図に破線で示すように、主電源装置2からの給電だけでは定着電力が足りず、所定の最低温度(定着可能な最低温度)を下回ってしまう場合がある。しかし、本形態では、補助電源装置3からシステム部となる画像形成装置の駆動系300へ給電するので、図10に実線で示すように、補助ヒータを設けなくても加熱ローラ1の温度の落込を小さくすることが可能である。このため、加熱ローラ1の径を小型化できると共に、単位時間あたりの通紙の多い、すなわちプリント速度が早い画像形成装置に適用した場合や、普通紙に比べて厚みのある用紙P(厚紙)を通紙しても、定着不良が少なく安定した定着性能となり、良好な画像品質を得られる。
本形態では、補助電源装置3の残電力を動作状態検出手段95で検出し、残電力が所定値よりも少ない(残量ゼロも含む)場合、画像形成動作中であれば補助給電を停止し、プリント物の生産性となるプリント速度(cpm)を低減して生産性を落とするので、画像品質を確保することができる。また印刷前に残電力がないことを確認できれば、プリントスタート時からプリント速度(cpm)を落として画像品質を確保するようにしてもよい。
制御手段600による給電制御の形態としては、連続通紙時に補助電源装置3から駆動系300へ給電する構成ではなく、図11〜図13に示すように、装置立上げ時間に補助電源装置3から駆動系300へ給電するようにしてもよい。このようにすることで立上げ時間を短縮することが可能である。
図11は、画像形成装置の駆動系300への給電と立ち上がり時の補給給電の関係を示す特性図であり、図12は給電と立ち上がり時の加熱ローラ1(加熱部材)温度と、ハロゲンヒータ60と非加熱部となる駆動系300での消費電力と、各電源装置からの供給電力の関係を示し、図13は加熱ローラ1の温度上昇特性を示す図である。図11において縦軸は必要な電力量、横軸は時間をそれぞれ示す。図13において縦軸は加熱ローラ1の温度、横軸は時間をそれぞれ示す。
すなわち、図11,図12において、補助電源装置3から給電のない立上げ時Twuに駆動系300での要求電力を300W、定着系(ハロゲンヒータ60)で使用される電力を1200Wとした場合、ハロゲンヒータ60の定格電力(Wfus_edlc_wu)を予め大きく、例えば1350Wに設定しておき、所定温度(定着温度)になるまでは、この多くした分の電力(150W)を補助電源装置3から駆動系300に給電することで、ハロゲンヒータ60に対する主電源装置2から利用可能な電力を増加することができる。このため、図13に示すように、主電源装置2だけを用いるよりも、主電源装置2と補助電源装置3を同時に用い、補助電源装置3を駆動系300に給電した方が昇温時間を短くすることができる。
図6に示す構成では、補助電源装置3の給電先を電力配分手段9で切替える構成としたが、図14に示すように、主電源装置2および補助電源装置3と電力配分手段9とを接続して双方からの電力を適切に配分して、複数の駆動系300へ供給するようにしても良い。この形態において、補助電源装置3に残電力がある場合には、補助電源装置3と主電源装置2の両方からの給電電力を画像形成装置の駆動系300それぞれに供給し、残電力がなくなると主電源装置2からの電力のみでハードディクス装置301と搬送用駆動系302に給電すればよい。
前記、補助電源装置3からの供給電力を駆動負荷に対して給電するとともに定着装置10への電力を増やす構成のほか、図16〜図18に示すように補助電源装置3からの供給電力を定着装置10の発熱部材へ直接供給して発熱電力を増やす構成を取ることも可能である。
図16は、定着装置10に発熱部材60を主発熱部材と副発熱部材となる主ヒータ60aと副ヒータ60bで構成したローラ定着方式の定着装置の一形態を示す。図16に示す定着装置は10、2つのヒータ60a,60bを備える以外は、図2の定着装置10の構成と同様な構成とされている。
図17は、定着装置10に発熱部材として補助ヒータ60bを追加した場合の回路概要図を示す。図17に示すように、副ヒータ60bは符号6bで示すFETなどのスイッチング素子により補助電源装置3と接続されていて、スイッチング素子6bをオン/オフすることで補助電源装置3から副ヒータ60bへの供給電力がされる。主ヒータ60aは図6に示すヒータ60と同様、トライアックなど周知のスイッチ素子6を介して補助電源装置3と接続されている。
図18に示すように、補助電力を副ヒータ60bに給電する方式では、主発熱部となる主ヒータ60aの最大電力を(例えば1200W)とし、副ヒータ60bの最大電力(例えば700W)とすると、双方あわせた大電力(例えば1900W)が発熱部材に供給可能であるため、立ち上がり性を考慮して低熱容量化した構成の加熱手段の場合、装置が何らなの原因で暴走した時に過度な温度上昇を招いてしまうことが考えられる。
しかし、副ヒータ60bへの制御を、主ヒータ60aと同時に加熱動作を行うことにより、昇温時間の短縮と印刷時の加熱ローラ1の温度低下を防止することが可能になる。さらに加圧ローラ7の温度を検出する加圧部材温度検出手段80及び、補助電源温度検出装置90を用いた制御動作に関し、図6の構成で説明して制御形態とすることで、無駄な補助給電を抑え、また、補助電源装置3の温度上昇を抑えて長期的に安定的な性能を維持することが可能となる。
上述の実施の形態では、画像形成装置、詳しくは当該装置が備えている定着装置10または定着装置100に対して本願発明を適用して説明したが、電力を主エネルギー源とする別な装置に関しても本願発明適宜応用する形態であっても無論構わない。