JP2007155919A - 電子写真感光体 - Google Patents

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Abstract

【課題】感度を低下させることなく耐磨耗性、耐久性に優れ、長期間にわたって、傷および濃度むらのない画像を形成できる電子写真感光体を提供することを課題とする。
【解決手段】導電性支持体上に少なくとも電荷発生層及び電荷輸送層がこの順で積層され、前記電荷輸送層が電荷輸送物質の含有率が異なる第1と第2の電荷輸送層の貼り合せ構造を有することを特徴とする電子写真感光体により上記課題を解決する。
【選択図】図1

Description

本発明は、電子写真感光体に関する。
電子写真方式の画像形成装置は、複写機だけでなく、近年需要の伸びが著しいコンピュータ等の出力手段であるプリンターなどにも広く利用されるに至っている。
電子写真方式の画像形成装置では、装置に備わる電子写真感光体の感光層を、帯電器によって一様に帯電させ、画像情報に対応する例えばレーザ光などによって露光し、露光によって形成される静電潜像に対してトナーと呼ばれる微粒子状の現像剤を現像器から供給してトナー画像を形成する。
電子写真感光体の表面に現像剤の成分であるトナーが付着することによって形成されるトナー画像は、転写手段によって記録紙などの転写材に転写されるけれども、電子写真感光体表面のトナーがすべて記録紙に転写されて移行するのではなく、一部が電子写真感光体表面に残留する。また現像時に電子写真感光体と接触する記録紙の紙粉が、電子写真感光体に付着したまま残留することもある。
このような電子写真感光体表面の残留トナーおよび付着紙粉は、形成される画像の品質に悪影響を及ぼすので、クリーニング装置によって除去される。また近年ではクリーナーレス化技術が進み、独立したクリーニング手段を有することなく現像手段に付加されるクリーニング機能によって残留トナーを回収する、いわゆる現像兼クリーニングシステムで除去される。
このように電子写真感光体には、帯電、露光、現像、転写、クリーニングおよび除電の動作が繰返し実行されるので、電気的および機械的外力に対する耐久性が求められる。具体的には、電子写真感光体表面が摺擦されることによって発生する磨耗や傷などに対する耐摩耗性、また帯電器による帯電時に発生するオゾンやNOx等の活性物質の付着による表面層の劣化等に対する耐久性が要求される。
電子写真方式の画像形成装置の低コスト化およびメンテナンスフリーを実現するためには、電子写真感光体が、充分な耐摩耗性および耐久性を有し、長期間安定して動作し得ることが重要でなる。このような電子写真感光体の耐摩耗性、耐久性および動作の長期安定性には、電子写真感光体を構成する表面層の物性が大きく関係する。
従来は、表面層に用いられる高分子バインダの比率を増やすか、または分子量の大きいバインダを使用することで、電子写真感光体の耐久性を高める設計がなされてきた。
しかしながら、バインダ比率の増加は感光体の感度を減少させ、高速度化には不向きである。また、分子量の大きいバインダは塗布液の高粘度化をもたらし、生産性が乏しくなるという問題があった。
以上のことより、上記以外の方法や、定量的な評価方法により感光体を評価し、高耐刷化する方法が求められる。
従来、電荷発生層及び電荷輸送層からなる積層感光体において、電荷輸送層は一層で構成されることが一般的であり、そのため、成膜性の低い電荷輸送物質と不活性な高分子バインダとの比率のバランスから、感度と耐摩耗性、耐久性を同時に満足するものは殆ど得られていない。
その改良として、電荷輸送層が、電荷輸送物質とバインダの比率が異なる多層で構成される感光体が提案されている(例えば、特許文献1)。また、電荷発生層と電荷輸送層界面での量子効率を高めて感度を向上させ、かつ、最外層のバインダ比率を高め、またバインダの分子量を大きくすることで耐磨耗性を向上させる目的で、多層の電荷輸送層の中で前記特許文献1よりも更に電荷輸送物質とバインダの比率を大きく変える感光体が提案されている(例えば、特許文献2)。
しかしながら、これらの従来技術による感光体は、基体から最外層に向かって順に塗布されて製造されるのが一般的であり、電荷発生層と接触する電荷輸送層が塗布された後に最外層の電荷輸送層が塗布されることで下層電荷輸送層と上層電荷輸送層の物質が拡散し混合し合うことが免れない。この下層電荷輸送層と上層電荷輸送層との間の拡散は、条件にもよるが無視できないほど大きくなり感光体の感度低下をもたらすこともある。
すなわち、電荷発生層と接触する電荷輸送層において、感度を向上させる目的で電荷輸送物質の比率を高くしたにもかかわらず、実際は最外層の電荷輸送層と大きく混じり合い、その目的を達成できないなどの問題を生じる。
また、最外層の電荷輸送層において、耐磨耗性を向上させる目的でバインダ比率を高め、またバインダの分子量を大きくしたにもかかわらず、実際は電荷発生層と接触する電荷輸送層と大きく混じり合い、その目的を達成できないなどの問題も生じる。
したがって電荷輸送層中で感度と耐磨耗性の両立を求める目的を達成するには現在の技術では不充分であり、電荷発生層と接触する電荷輸送層と最外層の電荷輸送層の拡散が小さい積層感光体が望まれる。
特開昭60−12551号公報 特開平5−66577号公報
本発明の目的は、感度を低下させることなく耐磨耗性、耐久性に優れ、長期間にわたって、傷および濃度むらのない画像を形成できる電子写真感光体を提供することである。
本発明者らは、鋭意努力を重ねた結果、従来技術の塗布法により製造された積層型感光体において生じていた、下層電荷輸送層と上層電荷輸送層の物質が両層の間で拡散し混合し合うことによる感度低下を防ぐことができることを見出し、本研究を完成した。
すなわち、本発明者らは、電荷輸送物質の含有率が異なる2つの電荷輸送層を別々に製造して貼り合せることにより下層電荷輸送層と上層電荷輸送層の物質が拡散し混合し合うことを防ぐことができ、上記の課題を解決できることを見出し、本研究を完成した。
しかるに、本発明によれば、導電性支持体上に少なくとも電荷発生層及び電荷輸送層がこの順で積層され、前記電荷輸送層が電荷輸送物質の含有率が異なる第1と第2の電荷輸送層の貼り合せ構造を有することを特徴とする電子写真感光体が提供される。
また、本発明によれば、前記第1の電荷輸送層が前記電荷発生層と接触し、該電荷輸送層の電荷輸送物質の含有率が、該電荷輸送層を構成する全物質に対して60重量%以上であり、かつ前記第2の電荷輸送層の電荷輸送物質の含有率が40重量%以下である電子写真感光体が提供される。
上記のように、2つの電荷輸送層の電荷輸送物質の含有率を変えることにより、電荷発生層と接触する第1の電荷輸送層を量子効率の高い高感度電荷輸送層用の製造処方で製造し、最外層となる第2の電荷輸送層を耐磨耗性、耐久性に優れた電荷輸送層用の製造処方で製造することができるので、長期間の使用に際しても、感度を低下させることなく、膜減り量が軽減される。
本発明による電子写真感光体は、その最外層である第2の電荷輸送層が50%以上の弾性仕事率ηHUを有することを特徴としており、耐磨耗寿命に優れているので、長期間の使用に際しても膜減り量が軽減される。
また、本発明による電子写真感光体は、上記第2の電荷輸送層が無機酸化物または有機フィラーを含有することを特徴としている。
上記のように第2の電荷輸送層が無機酸化物または有機フィラーを最外層の電荷輸送層が含むことによって、最外層の膜強度が増すので、長期間の使用に際しても膜減り量が軽減される。
また、本発明による電子写真感光体は、前記第1と第2の電荷輸送層が含有する電荷輸送物質が、式(1):
Figure 2007155919
で示される化合物であることを特徴としている。
さらに、本発明による電子写真感光体はベルト状であることも特徴としている。
さらに、本発明によれば、導電性支持体上に下引層を形成するかせずして、その上に電荷発生層を形成し、この電荷発生層に接触するように第1の電化輸送層を積層し、さらにこの第1の電荷輸送層に、電荷輸送物質の含有率が第1の電荷輸送層と異なる第2の電荷輸送層を貼り合せることを特徴とする電子写真感光体の製造方法も提供される。
なお、本発明による電子写真感光体の製造方法は、第1と第2の電荷輸送層との貼り合せが熱処理により行なわれることも特徴としている。
本発明によれば、長期間の使用に際しても感度の低下が起きず、かつ感光体表面の膜減り量が極めて少なく耐久性に優れた電子写真感光体が提供される。
図1は本発明の実施の一形態である電子写真感光体1の構成を簡略化して示す部分断面図である。
電子写真感光体1(以後、感光体と略称する)は、導電性素材からなる導電性支持体2と、導電性支持体2上に積層される下引層3と、下引層3上に積層される層であって電荷生成物質を含む電荷発生層4と、電荷発生層4の上にさらに接触するように積層される層であって電荷輸送物質を含む電荷輸送層5と、該電荷輸送層5上にさらに積層される電荷輸送物質を含む電荷輸送層6とを含む。電荷輸送層5と電荷輸送層6とは、それぞれ異なる濃度で電荷輸送物質を含んでおり、互いに貼り合わされて電荷輸送層7を構成する。
図2は本発明の実施の一事前形態である電子写真感光体1の一部である電荷輸送層5までの積層を簡略化して示す部分断面図である。
感光層8は、導電性素材からなる導電性支持体2と、導電性支持体2上に積層される下引層3と、下引層3上に積層される層であって電荷生成物質を含む電荷発生層4と、電荷発生層4の上にさらに積層される電荷輸送物質を含む電荷輸送層5を含む。
図3は本発明の実施の一事前形態である電子写真感光体1の一部である電荷輸送層6が形成された感光層9を簡略化して示す部分断面図である。
感光層9は、導電性素材からなる導電性支持体2と、導電性支持体2上に積層される電荷輸送物質を含む電荷輸送層6を含む。
導電性支持体2は、感光体1の電極としての役割を果たすとともに他の各層3、4および5の支持部材としても機能し、図3においては層6の支持部材として機能する。
導電性支持体2の素材としては、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエステルフィルム、フェノール樹脂フィルムなどの絶縁性物質にカーボンブラック、酸化チタン、ポリエテルエステルアミド、金属塩等の導電剤が含有され、表面にアルミニウム、銅、パラジウム、酸化錫、酸化インジウムなどの導電性層を設けたものが好適に用いられ、その体積抵抗が1010Ω・cm以下の導電性を有するものが好ましい。
導電性支持体2には、前記の体積抵抗を調整する目的で表面に酸化処理が施されてもよい。
なお導電性支持体2の形状はシート状、ベルト状またはフィルム状であってもよい。
下引層3は、導電性支持体2と感光層4、5との接着層としての役割を果たすとともに、導電性支持体2から電荷が感光層4、5、6へ流れ込むのを抑制するバリア層としても機能する。このように下引層3は感光体1の帯電特性を維持するように作用するので、感光体1の寿命を延ばすことができる。
下引層3は、例えば、ポリアミド、ポリウレタン、セルロース、ニトロセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、アルミニウム陽極酸化被膜、ゼラチン、でんぷん、カゼイン、N−メトキシメチル化ナイロンなどによって形成される。また酸化チタン、酸化錫、酸化アルミニウムなどの粒子を下引層3中に分散させてもよい。下引層3の膜厚は、約0.1〜10μmに形成される。
下引層3の形成には、塗布方法が好ましく、アプリケータ、バーコータ、キャスティング、スピンコートなどを用いることができる。
電荷発生層4は、公知の電荷発生物質を含んで構成することができる。電荷発生物質には、可視光を吸収してフリー電荷を発生するものであれば、無機顔料、有機顔料および有機染料のいずれをも用いることができる。
無機顔料としては、セレンおよびその合金、ヒ素-セレン、硫化カドミウム、酸化亜鉛、アモルファスシリコン、その他の無機光導電体が挙げられる。
有機顔料としては、フタロシアニン系化合物、アゾ系化合物、キナクリドン系化合物、多環キノン系化合物、ペリレン系化合物などが挙げられる。
有機染料としては、チアピリリウム塩、スクアリリウム塩などが挙げられる。
前記の電荷発生物質の中でも、好ましくは、有機顔料や有機染料などの有機光導電性化合物が用いられ、さらに有機光導電性化合物の中でも、フタロシアニン系化合物が好適に用いられ、特に良好な感度特性、帯電特性および再現性が得られるのでチタニルフタロシアニン化合物を用いることが最適である。電荷発生物質は1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。
前記の顔料および染料の他に、電荷発生層4には、化学増感剤または光学増感剤を添加してもよい。
化学増感剤としては、電子受容性物質、例えば、テトラシアノエチレン、7,7,8,8−テトラシアノキノジメタンなどのシアノ化合物、アントラキノン、p−ベンゾキノンなどのキノン類、2,4,7−トリニトロフルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロフルオレノンなどのニトロ化合物が挙げられる。
光学増感剤としては、キサンテン系色素、チアジン色素、トリフェニルメタン系色素などの色素が挙げられる。化学増感剤および光学増感剤は、それぞれ、1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。
電荷発生層4は、前記の電荷発生物質をバインダ樹脂とともに、適当な溶媒中に分散させ、下引層3上に積層され、乾燥または硬化させて成膜される。
電荷発生層成膜用のバインダ樹脂としては、具体的に、ポリアリレート、ポリビニルブチラール、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン、ポリアクリレートなどが挙げられる。バインダ樹脂は1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。
電荷発生層成膜用の溶媒としては、イソプロピルアルコール、シクロヘキサノン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソラン、エチルセロソルブ、酢酸エチル、酢酸メチル、ジクロロメタン、ジクロロエタン、モノクロルベンゼン、エチレングリコールジメチルエーテルなどが挙げられる。
なお電荷発生層成膜用の溶媒は、上記のものに限定されることなく、アルコール系、ケトン系、アミド系、エステル系、エーテル系、炭化水素系、塩素化炭化水素系、芳香族系のうちから選択されるいずれかの溶媒系を、単独または混合して用いてもよい。
ただし、電荷発生物質の粉砕およびミリング時の結晶転移に基づく感度低下、およびポットライフによる特性低下を考慮した場合、無機や有機顔料において結晶転移を起こしにくいシクロヘキサノン、1,2−ジメトキシエタン、メチルエチルケトン、テトラヒドロキノンのいずれかを用いることが好ましい。
電荷発生層4の形成には、真空蒸着法、スパッタリング法、CVD法などの気相堆積法や塗布方法などを適用することができる。塗布方法を用いる場合、電荷発生物質をボールミル、サンドグラインダ、ペイントシェイカ、超音波分散機などによって粉砕して溶剤に分散し、必要に応じてバインダ樹脂を加えた塗布液を、公知の塗布法によって下引層3上に塗布する。電荷発生層4の膜厚は、約0.05〜5μmであることが好ましく、より好ましくは約0.1〜1μmである。
なお、塗布法にはアプリケータ、バーコータ、キャスティング、スピンコートなどを用いることができる。
電荷輸送層5は、電荷発生層4に含まれる電荷発生物質で発生した電荷を受け入れ、これを輸送する能力を有するものであればよく、公知の電荷輸送物質と結着樹脂とを含んで構成することができる。
そのような電荷輸送物質としては、例えば、一般式(1):
Figure 2007155919
で示される化合物、ポリ−N−ビニルカルバゾールおよびその誘導体、ポリ−g−カルバゾリルエチルグルタメートおよびその誘導体、ポリビニルピレン、ポリビニルフェナントレン、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、9−(p−ジエチルアミノスチリル)アントラセン、1,1−ビス(4−ジベンジルアミノフェニル)プロパン、スチリルアントラセン、スチリルピラゾリン、ピラゾリン誘導体、フェニルヒドラゾン類、ヒドラゾン誘導体、トリフェニルアミン系化合物、テトラフェニルジアミン系化合物、スチルベン系化合物、3−メチル−2−ベンゾチアゾリン環を有するアジン化合物等の電子供与性物質が挙げられる。これらの中でも、上記の一般式(1)で示される電荷輸送物質が特に好ましい。電荷輸送物質は1種を単独で、または2種以上を併用することもできる。
電荷輸送層5を構成する結着樹脂としては、電荷輸送物質と相溶性を有するものであればよく、例えば、ポリカーボネートおよび共重合ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリビニルブチラール、ポリアミド、ポリエステル、エポキシ樹脂、ポリウレタン、ポリケトン、ポリビニルケトン、ポリスチレン、ポリアクリルアミド、フェノール樹脂、フェノキシ樹脂およびポリスルホン樹脂、それらの共重合樹脂などが挙げられる。これらの樹脂を単独で、または2種以上を混合して用いてもよい。
前記の結着樹脂の中でもポリスチレン、ポリカーボネートおよび共重合ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエステルなどの樹脂は、1013Ω以上の体積抵抗率を有し、成膜性や電位特性などにも優れており、特に好ましい。
また、これらの材料を溶解させる溶剤としては、メタノールやエタノールなどのアルコール類、アセトン、メチルエチルケトンやシクロヘキサノンなどのケトン類、エチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンやジオキソランなどのエーテル類、クロロホルム、ジクロロメタンやジクロロエタンなどの脂肪族ハロゲン化炭化水素、ベンゼン、クロロベンゼンやトルエンなどの芳香族類などを用いることができる。溶剤は1種を単独で使用できまたは必要に応じて2種以上を併用できる。
電荷輸送層5を形成するための電荷輸送層用塗布液は、電荷輸送物質溶液中へ結着樹脂を溶解して調製される。電荷輸送層5に占める電荷輸送物質の割合は、60重量%以上の範囲が好ましい。電荷発生層4上への電荷輸送層5の形成は、前記の下引層3上に電荷発生層4を形成した際の方法と同様にして行われる。電荷輸送層5の膜厚は、10〜50μmが好ましく、より好ましくは15〜40μmである。
また、電荷輸送層5には、1種以上の電子受容性物質や色素を含有させることによって、感度の向上を図り繰返し使用時の残留電位の上昇や疲労などを抑えるようにしてもよい。
電子受容性物質としては、例えば無水コハク酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、4−クロルナフタル酸無水物などの酸無水物、テトラシアノエチレン、テレフタルマロンジニトリルなどのシアノ化合物、4−ニトロベンズアルデヒドなどのアルデヒド類、アントラキノン、1−ニトロアントラキノンなどのアントラキノン類、2,4,7−トリニトロフルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロフルオレノンなどの多環または複素環ニトロ化合物が挙げられ、これらを化学増感剤として用いることができる。
色素としては、例えば、キサンテン系色素、チアジン色素、トリフェニルメタン色素、キノリン系顔料、銅フタロシアニンなどの有機光導電性化合物が挙げられ、これらを光学増感剤として用いることができる。電子受容性物質は1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。
さらに、電荷輸送層5には、公知の可塑剤を含有させることによって、成形性、可撓性および機械的強度を向上させるようにしてもよい。
可塑剤としては、二塩基酸エステル、脂肪酸エステル、リン酸エステル、フタル酸エステル、塩素化パラフィン、エポキシ型可塑剤などが挙げられる。
図3において、導電性支持体2上に形成される電荷輸送層6は電荷輸送層5と同様の公知の電荷輸送物質と結着樹脂とを含んで構成することができる。
電荷輸送層6を形成するための電荷輸送層用塗布液は、電荷輸送層5と同様に電荷輸送物質溶液中へ結着樹脂を溶解して調製される。電荷輸送層6に占める電荷輸送物質の割合は、40重量%以下の範囲が好ましい。
導電性支持体2上への電荷輸送層6の形成は、前記の電荷発生層4上に電荷輸送層5を形成した際の方法と同様にして行われる。電荷輸送層6の膜厚は、1〜10μmが好ましく、より好ましくは3〜5μmである。
また、電荷輸送層6には、必要に応じてポリシロキサンなどのゆず肌防止のためのレベリング剤、耐久性向上のためフェノール系化合物、ハイドロキノン系化合物、トコフェロール系化合物、アミン系化合物などの酸化防止剤、紫外線吸収剤などを含有してもよい。
また、電荷輸送層6には、必要に応じてアルミナ、酸化チタン、シリカ等の無機酸化物、及びポリエチレンテレフタレート等の有機フィラー、または有機金属化合物等を含有してもよい。最外層にフィラーを含有させることで膜強度が増し耐刷性に優れた感光体を提供できる。
導電性支持体2から電荷輸送層5まで積層された層8及び導電性支持体2上に電荷輸送層6が積層された層9は、層形成後に各々熱処理を行うことで一旦成膜される。
電荷輸送層5上への電荷輸送層6の形成は、導電性支持体2から電荷輸送層5まで積層された層8と、導電性支持体2上に電荷輸送層6が積層された層9を貼り合せることによって達成される。
図4は、前記感光体1を形成する際に、上記電荷輸送層5と上記電荷輸送層6とを貼り合せる工程の模式図である。
2本のベルト10上に導電性支持体2から電荷輸送層5まで積層された感光層8と導電性支持体2上に電荷輸送層6が積層された感光層9とを電荷輸送層5と電荷輸送層6が向かい合うように配置し、ベルトの進行と共にそのギャップが徐々に狭くなるようにして、電荷輸送層5と電荷輸送層6とが接触した後に圧着ローラ11により上記2層が圧着される。
電荷輸送層5と電荷輸送層6が完全に接着されるためには、熱処理を行う事が不可欠であり、感光体が圧着ローラを通過後に熱処理を行う。圧着ローラを通過後に熱処理を行う替わりに圧着ローラにヒータを内蔵したローラを用いて加熱圧着を行ってもよい。
図5は、感光体1を形成するために貼り合わされた感光層8および9から電荷輸送層6側の導電性支持体2を剥離する工程の模式断面図である。
貼り合わされた感光層8および9において、感光層9に由来する導電性支持体2と電荷輸送層6の界面の自由エネルギーが最も大きいため、その界面の接着性が最も弱い。したがって、貼り合わされた感光層8および9を切断し(電荷輸送層6の途中まででも可能)、電荷輸送層6側の導電性支持体2と電荷輸送層6の間にエアナイフ12を入れることで容易に剥離することが可能である。
このようにして感光層9由来の電荷輸送層6と導電性支持体2とを完全に剥離し、感光体1が形成される。電荷輸送層6から剥離して除去した導電性支持体2の表面には電荷輸送層6に由来する付着物が残存しないのでこの導電性支持体はリサイクル可能であり、したがって製造コストを低減することができる。形成された1枚のシート状の感光体1は、切断面を超音波溶着等で接合することにより環状のベルト状感光体を形成させることができる。
前記のように構成される感光体1の表面皮膜物性は、温度25℃、相対湿度50%の環境下で、表面に押込み最大荷重5mNを負荷した場合の弾性仕事率ηHUが50%以上、好ましくは50〜60%であるように設定される。
以下、弾性仕事率ηHUについて説明する。固体材料に荷重が負荷された場合、押し込み中に費やされる機械的仕事量Wtotalは、その一部だけが塑性変形仕事量Wplastとして使われ、残りは荷重除去時の弾性回復仕事量(弾性変形仕事量)Welastとして解放される。また、弾性回復仕事量Welastには瞬時弾性変形成分と遅延弾性変形成分とが含まれる。弾性仕事率ηHUは材料の粘弾性を表すが、特に弾性回復に寄与するパラメータである。本実施の形態における弾性仕事率ηHUは、以下の通り求められる。
図6に示すヒステリシスライン13は、感光体1の表面に押込み荷重負荷を開始して予め定める押込み最大荷重Fmaxに達するまでの押込み過程(A→B)、押込み最大荷重Fmaxで一定時間t保持する負荷荷重保持過程(B→C)、除荷を開始して荷重零(0)に達して除荷を完了するまでの除荷過程(C→D)の変形(押込み深さ変化)履歴を示している。
本実施の形態では、弾性仕事率ηHUは、温度25℃、相対湿度50%の環境下で、圧子に四角錘のダイヤモンド圧子(Vickers圧子)を用い、押込み最大荷重Fmax=5mNで、一定時間t=5秒負荷保持する条件で測定された。ヒステリシスライン13のうち、機械的仕事量WtotalはW=∫Fdhであるので、荷重増大中の押し込み深さ曲線(A→B)と押し込み深さh1で囲まれる面積で表される。その内の弾性回復仕事量Welastは荷重除去中の押し込み深さ曲線(C→D)と押し込み深さh2で囲まれる面積で表される。この時、荷重保持過程(B→C)の押し込みは含まれない。この仕事量の比率が弾性仕事率ηHUであり、式(1)によって表される。
ηHU=Welast/Wtotal×100(%) …(1)
ただし、Wtotal=Welast+Wplast
ここで、h1:最大荷重5mNに達した時点(B)における押込み深さ
2:最大荷重5mNで時間t保持した時点(C)における押込み深さ
このような弾性仕事率ηHUは、例えばフィッシャースコープH100Vによって求めることができる。
通常、感光体は樹脂及び低分子物質の混合物から成るので完全な塑性体に成りえず、必ずいくらか弾性成分を含んでいる。ηHUが小さくなる方向とは、外部応力が加わったときの弾性回復が小さい、すなわち塑性体に近づくものと考えられる。
本発明者らが種々検討した結果、ηHUが50%未満では、外部応力に対して弾性回復が小さく加わった力がそのまま表面の変形につながりやすく、磨耗や傷を引き起こしやすくなることが判った。さらに、荷重を負荷する物質によっては感光体表面の変形が少ないまでも例えばクリーニングブレードの反転等が起こりやすくなることも判った。しかしながら、ηHUが50%以上では、上記のような現象が起こりにくいことを見出した。したがって、弾性仕事率ηHUを、50%以上とした。
感光体1表面の弾性仕事率ηHUの調整は、電荷輸送層7を構成する電荷輸送材料および結着樹脂の種類と配合比、電荷輸送層5の厚みと電荷輸送層6の厚みとの組合せ、また電荷発生層5および電荷輸送層6形成後の熱処理条件等の制御によって実現される。
図7に本発明の感光体1を適用した装置の一例を示す。図7は感光体1を用いたカラーレーザプリンタである。感光体1上にスコロトロン帯電器22で一様な帯電を行った後、レーザ露光装置23でイエロー画像パターンに従った露光を行い、感光体1上の静電潜像をイエロー現像器24Yで現像し、現像後の画像を中間転写ドラム26に転写する。次に、感光体1上の残留トナーは、クリーニングブレード25によって掻き取られ、再び帯電、露光工程で感光体1にマゼンタの画像パターンに従った静電潜像を形成する。そして、マゼンタの現像器24Mで現像した後、イエロー画像に重ねてマゼンタ画像を中間転写ドラム26に転写する。
これらの工程を、シアン現像器24C、ブラック現像器24Kを用いてシアン画像及びブラック画像についても同様に行い、中間転写ドラム26上にイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの合成画像を形成する。中間転写ドラム26上に形成した4色の画像は、給紙カセット27から搬送された用紙に転写ローラ28により一括転写され、定着器29で加熱定着し印写プロセスを完了する。なお、用紙に転写した後の中間転写ドラム26上に残留する未転写のトナーは中間転写クリーナ30で除去される。本発明の感光体は、この他に電子写真プロセスを利用する様々なプリンター、複写機、ファクシミリ、複合機などに適用することが可能である。
以下に実施例および比較例を挙げ、本発明を具体的に説明する。なお、以下において、「部」は「重量部」を意味する。
本実施例において使用する各成分は、具体的には次の通りである。
〔酸化チタン〕
商品名:TTO−MI−1、Al23およびZrO2にて表面処理された樹枝状ルチル型酸化チタン、チタン成分85%、石原産業(株)製
〔アルコール可溶性ナイロン樹脂〕
商品名:CM8000、東レ(株)製
〔ブチラール樹脂〕
商品名:S−LEC BL−2、積水化学工業(株)製
〔ポリカーボネート樹脂〕
商品名:GH−503、出光興産(株)製
商品名:TS2040、帝人化成(株)製
〔酸化防止剤〕
商品名:Irganox1010、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製
商品名:スミライザーBHT、住友化学工業(株)製
〔アルミナ〕
商品名:スミコランダムAA−03、住友化学工業(株)製
以下において、これらの各成分については、その商品名を記載する。
実施例1
酸化チタン(TTO−MI−1)3部およびアルコール可溶性ナイロン樹脂(CM8000)3部を、メチルアルコール60部と1,3−ジオキソラン40部との混合溶剤に加え、ペイントシェイカにて10時間分散処理して下引層用塗布液(50g)を調整した。この塗布液を、表面にアルミニウム蒸着が施されたポリエチレンテレフタレートフィルム上にバーコータで塗布し、自然乾燥して層厚0.9μmの下引層3を形成した。
ブチラール樹脂(S−LEC BL−2)10部、下記構造式(2):
Figure 2007155919
で示されるチタニルフタロシアニン15部および1,3−ジオキソラン1400部をボールミルにて72時間分散処理して電荷発生層用塗布液(50g)を調整した。この塗布液を、下引層の場合と同様の塗布法にて前記の下引層上に塗布し、自然乾燥して層厚0.4μmの電荷発生層4を形成した。
次に、電荷輸送物質として前記構造式(1)で示されるエナミン系化合物100部、ポリカーボネート樹脂(TS2040)40部および酸化防止剤(Irganox1010)3部をテトラヒドロフラン570部に混合して溶解し、電荷輸送層用塗布液(150g)を調製した。この塗布液を、バーコータで前記の電荷発生層上に塗布し、130℃で30分乾燥して層厚22μmの電荷輸送層5を形成した。
次に、電荷輸送物質として前記構造式(1)で示されるエナミン系化合物100部、ポリカーボネート樹脂(GH−503)200部および酸化防止剤(Irganox1010)3部およびアルミナ(AA−03)5部をテトラヒドロフラン2000部に混合し、ペイントシェイカにて5時間分散処理し、さらにポリカーボネート樹脂(GH−503)700部をテトラヒドロフラン3570部に混合した溶液を加え、ペイントシェイカにてさらに2時間分散処理した電荷輸送層用塗布液(150g)を調製した。この塗布液を、バーコータで表面にアルミニウム蒸着が施されたポリエチレンテレフタレートフィルム上に塗布し、130℃で30分乾燥して層厚3μmの電荷輸送層6を形成した。
次に、図4のように、2本のベルト10上に導電性支持体2から電荷輸送層5まで積層された層8と導電性支持体2上に電荷輸送層6が積層された層9を電荷輸送層5と電荷輸送層6が向かい合うように配置し、ベルトの進行と共にそのギャップを小さくしてゆき、電荷輸送層5と電荷輸送層6とが接触した後に130℃の圧着ヒートローラ11により2枚の層を圧着した。
図5に示すように貼り合わされた層8と層9を切断し、電荷輸送層6側の導電性支持体2と電荷輸送層6の間にエアナイフ12を入れて感光体1と電荷輸送層6側の導電性支持体2を完全に剥離し、切断面を超音波溶着で接合して実施例1の環状のベルト感光体を作製した。
実施例2
電荷輸送層6用の塗布液として電荷輸送物質として前記構造式(1)で示されるエナミン系化合物100部、ポリカーボネート樹脂(GH−503)900部および酸化防止剤(Irganox1010)3部をテトラヒドロフラン5570部に混合して溶解し、電荷輸送層用塗布液(150g)を調製した以外は、実施例1と同様にして、感光体を作製した。
実施例3
電荷輸送層5用の塗布液として電荷輸送物質として前記構造式(1)で示されるエナミン系化合物100部、ポリカーボネート樹脂(TS2040)100部および酸化防止剤(Irganox1010)3部をテトラヒドロフラン850部に混合して溶解し、電荷輸送層用塗布液(150g)を調製した以外は、実施例1と同様にして、感光体を作製した。
実施例4
電荷輸送層6用の塗布液として電荷輸送物質として前記構造式(1)で示されるエナミン系化合物100部、ポリカーボネート樹脂(GH−503)100部および酸化防止剤(Irganox1010)3部およびアルミナ(AA−03)5部をテトラヒドロフラン500部に混合し、ペイントシェイカにて5時間分散処理し、さらにポリカーボネート樹脂(GH−503)100部をテトラヒドロフラン1020部に混合した溶液を加え、ペイントシェイカにてさらに2時間分散処理した電荷輸送層用塗布液(150g)を調製した以外は、実施例1と同様にして、感光体を作製した。
実施例5
電荷輸送層5用の電荷輸送物質として下記構造式(3):
Figure 2007155919
で示されるアミン系化合物を用いる以外は、実施例1と同様にして、感光体を作製した。
実施例6
電荷輸送層6用の電荷輸送物質として下記構造式(4):
Figure 2007155919
で示されるブタジエン系化合物、酸化防止剤としてスミライザーBHTを用いる以外は、実施例1と同様にして、感光体を作製した。
比較例1
電荷輸送層5、および6の作製方法として、電荷輸送層5用の塗布液を電荷発生層上に塗布し、130℃で20分乾燥して電荷輸送層5を形成し、次に、電荷輸送層6用の塗布液を電荷輸送層5上に塗布し、130℃で1時間乾燥して電荷輸送層6を形成した以外は、従来の塗布法により感光体を作製した。
比較例2
電荷輸送層6用の電荷輸送物質として前記構造式(4)で示されるブタジエン系化合物、酸化防止剤としてスミライザーBHTを用いる以外は、比較例1と同様にして、感光体を作製した。
比較例3
電荷輸送層6用の塗布液として実施例2と同様に調整し、比較例1と同様に電荷輸送層5、および6を作製した。
以上のように、実施例1〜6および比較例1〜3の各感光体作製において、電荷輸送物質および電荷輸送層用塗布液に含まれる樹脂および含有比率、さらに電荷輸送層5および6の作製方法を変えることによって、感光体表面の弾性仕事率ηHUは、変化する。これら実施例1〜6および比較例1〜3の感光体表面の弾性仕事率ηHUを、温度25℃、相対湿度50%の環境下で、フィッシャースコープH100V(株式会社フィッシャー・インストルメンツ製)によって測定した。測定条件は、押込み最大荷重W=5mN、押込み最大荷重までの負荷所要時間5秒、荷重保持時間t=5秒、除荷時間10秒であった。
実施例1〜6および比較例1〜3の各感光体を、非接触帯電プロセスを有するカラー複合機AR−C260(シャープ株式会社製)をベルト感光体試験用に改造したAR−C260改造機に装着し、表面電位の測定によって感度の評価、および画像形成することによって耐刷性の評価試験を行った。次に、各性能の評価方法について説明する。
[感度]
温度25℃、相対湿度50%の常温/常湿(N/N:Normal Temperature/Normal Humidity)環境中で、感光体をAR−C260改造機に装着し、波長780nmレーザ光を0.4μJ/cm2照射し、露光後の表面電位から感度を評価した。
[耐刷性]
同様に温度25℃、相対湿度50%の常温/常湿(N/N:Normal Temperature/Normal Humidity)環境中で、感光体毎に文字テストチャートを記録紙10万枚に黒画像位置にて形成して耐刷試験を行なった。
耐刷試験開始時と記録紙10万枚画像形成後との膜厚、すなわち感光層の層厚みを、膜厚測定装置(商品名:フィッシャースコープMMS、(株)フィッシャー・インストルメンツ製)を用いて測定し、耐刷試験開始時の膜厚と記録紙10万枚画像形成後の膜厚との差から感光体ドラムの膜減り量を求めた。膜減り量が多い程、耐刷性が悪いと評価した。
[総合評価]
感度、及び耐刷性(膜べり量の評価)の双方が充分優れているもの、感度E≦170、かつ膜べり量≦0.60を◎、感度E≦200、かつ膜べり量≦0.90を○、感度E≦200、かつ膜べり量≦1.20を△、感度E>200、かつ膜べり量>1.20を×とした。
評価結果を合せて表1に示す。
Figure 2007155919
本発明の感光体、すなわち電荷輸送層が電荷発生層と接触する電荷輸送層に最外層の電荷輸送層を貼り合せ、熱処理を施して形成された感光体では、感度を確保した状態で膜減り量が少なく、耐刷性に優れていた。また、弾性仕事率ηHUが50%以上の範囲にあり、外部応力に対して弾性回復が大きく磨耗や傷に強いといえる。
他方、比較例1〜3の感光体は、感度も悪く、膜減り量が大きく耐刷性に劣る結果となった。これは比較例1〜3の感光体表面のηHUが小さく、膜の弾性が小さいため摺擦により膜が削り取られているためと考えられる。
また、実施例と比較例の感光体で感度、膜減り量に大きな差が見られたのは、実施例においては電荷発生層と接触する電荷輸送層と最外層の電荷輸送層の拡散が小さく機能分離が確保されており、比較例においては電荷発生層と接触する電荷輸送層と最外層の電荷輸送層の拡散が大きいと考えられる。
したがって、比較例1〜3では電荷発生層と接触する電荷輸送層において、感度を向上させる目的で電荷輸送物質の比率を高くしたにもかかわらず、実際は最外層の電荷輸送層と大きく混じり合い、その目的を達成できていないことが判った。
さらに、比較例3では最外層の電荷輸送層において、耐磨耗性を向上させる目的でバインダ比率を大きくしたにもかかわらず、実際は電荷発生層と接触する電荷輸送層と大きく混じり合い、その目的を達成できていないことも判った。
なお、電荷発生層と接触する電荷輸送層と最外層の電荷輸送層の拡散の検証は感光体最表面のFT―IR測定(ATR法)により確認することができた。
以上に述べたように、本実施の形態では、感光体の表面は感光層によって構成されるものであり、感光層の外層にさらに表面保護層が設けられた場合は、これに限らない。
本発明によれば、電子写真方式の画像形成に用いられ、導電性支持体と電荷発生層及び電荷輸送層を設けた積層有機感光体は、電荷輸送層が電荷発生層と接触する電荷輸送層に最外層の電荷輸送層を貼り合せ、熱処理を施して形成される。このことによって、電荷発生層と接触する電荷輸送層と最外層の電荷輸送層は拡散することなく層を形成できるので、電荷発生層と接触する電荷輸送層を量子効率の高い高感度の処方に設定し、最外層の電荷輸送層を耐磨耗性、耐久性に優れた処方を設定することができる。その結果、高感度、かつ高耐刷という電荷輸送層中で機能を分離することが可能となる。したがって、帯電、露光、現像、転写、クリーニングおよび除電の画像形成が繰返し行なわれる長期間の使用に際しても、感度を低下させることなく、膜減り量が軽減され、また膜の傷発生も軽減されて感光体表面の平滑性が保たれるので、形成される画像に傷や濃度むらの発生することが防止される。
さらに前記感光層が上記構造式(1)で示される化合物を含有することで高感度、かつ耐磨耗寿命および耐傷つき性に優れる電子写真感光体が実現される。
本発明の実施の一形態である電子写真感光体1構成を簡略化して示す部分断面図である。 本発明の実施の一形態である電子写真感光体1の一部である電荷輸送層5までの積層を簡略化して示す部分断面図である。 本発明の実施の一形態である電子写真感光体1の一部である電荷輸送層6が形成された層を簡略化して示す部分断面図である。 電荷輸送層5上への電荷輸送層6の形成の際に貼り合わす工程の模式図である。 貼り合わされた層8と層9から電荷輸送層6側の導電性支持体2を剥離する工程の模式断面図である。 弾性仕事率ηHUを求める方法を説明する図である。 本発明の感光体1を適用した装置の一例である。
符号の説明
1 電子写真感光体
2 導電性支持体
3 下引層
4 電荷発生層
5,6電荷輸送層
7 貼り合わされ電荷輸送層
8,9 感光層
10 ベルト
11 圧着ローラ
12 エアナイフ
13 ヒステリシスライン
22 スコロトロン帯電器
23 レーザ露光装置
24 現像器
25 クリーニングブレード
26 中間転写ドラム
27 給紙カセット
28 転写ローラ
29 定着器
30 中間転写クリーナ

Claims (8)

  1. 導電性支持体上に少なくとも電荷発生層及び電荷輸送層がこの順で積層され、前記電荷輸送層が電荷輸送物質の含有率が異なる第1と第2の電荷輸送層の貼り合せ構造を有することを特徴とする電子写真感光体。
  2. 前記第1の電荷輸送層が前記電荷発生層と接触し、該電荷輸送層の電荷輸送物質の含有率が、該電荷輸送層を構成する全物質に対して60重量%以上であり、かつ前記第2の電荷輸送層の電荷輸送物質の含有率が40重量%以下である請求項1に記載の電子写真感光体。
  3. 前記第2の電荷輸送層が50%以上の弾性仕事率ηHUを有する請求項1に記載の電子写真感光体。
  4. 前記第2の電荷輸送層が無機酸化物または有機フィラーを含有する請求項1記載の電子写真感光体。
  5. 前記電荷輸送物質が、式(1):
    Figure 2007155919
    で示される化合物である請求項1に記載の電子写真感光体。
  6. 前記電子写真感光体がベルト状である請求項1に記載の電子写真感光体。
  7. 導電性支持体上に下引層を形成するかせずして、その上に電荷発生層を形成し、この電荷発生層に接触するように第1の電化輸送層を積層し、さらにこの第1の電荷輸送層に、電荷輸送物質の含有率が第1の電荷輸送層と異なる第2の電荷輸送層を貼り合せることを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
  8. 前記の貼り合せが熱処理による請求項7に記載の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2009276379A (ja) * 2008-05-12 2009-11-26 Ricoh Co Ltd 電子写真感光体及びそれを用いた画像形成方法、画像形成装置、画像形成装置用プロセスカートリッジ
JP2012068589A (ja) * 2010-09-27 2012-04-05 Mitsubishi Chemicals Corp 画像形成装置およびプロセスカートリッジ
JP2015219458A (ja) * 2014-05-20 2015-12-07 シャープ株式会社 電子写真感光体及びそれを用いた画像形成装置

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