JP2007155219A - 吸収器用伝熱管 - Google Patents
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Abstract
【課題】外面が平滑な伝熱管であっても、管外表面に対して、部分的に濡れ性向上処理を施すのみで、優れた吸収伝熱性能を発揮する吸収器用伝熱管を提供すること。
【解決手段】平滑管12の管外表面に、濡れ性向上領域14a,14b,14c,14dを、管軸に対して平行に、管軸方向に筋状に延びるように形成して、かかる管外表面に吸収液が膜状に流下される一方、管内に冷却媒体が流通せしめられて用いられる吸収器用伝熱管10を形成した。
【選択図】図1
【解決手段】平滑管12の管外表面に、濡れ性向上領域14a,14b,14c,14dを、管軸に対して平行に、管軸方向に筋状に延びるように形成して、かかる管外表面に吸収液が膜状に流下される一方、管内に冷却媒体が流通せしめられて用いられる吸収器用伝熱管10を形成した。
【選択図】図1
Description
本発明は、吸収式冷凍機や吸収式ヒートポンプ等の、冷凍空調分野の機器に主に用いられる吸収器用伝熱管に係り、特に、管外表面に濡れ性向上処理を施した吸収器用伝熱管の改良に関するものである。
従来より、吸収式冷凍機やヒートポンプ等の吸収器には、複数の伝熱管を水平に複数段及び/又は複数列設けて、格子状や千鳥状の配置とし、そしてそのような伝熱管に対して、作動媒体である臭化リチウム水溶液を上部滴下トレーから滴下して、その水平な管上を膜状に流下させるようにした、所謂流下液膜式が、広く採用されてきている。
ところで、このような流下液膜式の吸収器に用いられる伝熱管としては、もともとは、平滑管が用いられていた。平滑管は、低コストで製造が可能であると共に、管内周面も平滑であるため、圧力損失が低いといった利点を有しているからである。ところが、管外周面が平滑であるところから、臭化リチウム水溶液の液膜が、管周方向(重力方向)に流下し易く、管軸方向(水平方向)に広がり難いために、充分な伝熱性能が得られないといった問題を内在するものであった。
そこで、伝熱性能の向上を目的として、各種の伝熱管が開発され、使用されてきているのである。例えば、特許文献1(特開平1−134180号公報)や特許文献2(特開2001−66084号公報)においては、伝熱管の外周面に多数の溝を形成し、それら溝間にフィンを形成した伝熱管が、それぞれ明らかにされている。このような伝熱管によれば、管外周面のフィンによって伝熱面積が拡大し、伝熱性能を向上させることが出来ると共に、管内面が平滑であるため、管内圧力損失は平滑管の場合と大差ないのであるが、その管外周面に多数の突起(フィン)を付与するために、比較的加工速度の遅いディスク転造加工を用いて製造されるところから、生産速度を向上させることが難しいといった問題を内在するものであった。また、外周面に形成されたフィンによって伝熱面積を平滑管の2倍前後とした場合にあっても、伝熱促進効果としては30〜40%程度の性能向上しか得られず、実伝熱面積当たりの伝熱性能が低いといった問題をも、内在していた。
一方、そのような伝熱管の他にも、管外周面において、管軸方向に延びる複数の山部と谷部が、管周方向において交互に形成された、一般にフルーテッド管と呼ばれる構造の伝熱管が、特許文献3(特開平2−176378号公報)において明らかにされている。このようなフルーテッド管にあっては、比較的簡単な抽伸加工で製造が可能であると共に、伝熱面積は平滑管とほぼ同等でありながら、管外面に滴下された吸収液が谷部を伝わって管軸方向に効果的に流動せしめられる一方、山部を乗り越えて管周方向に流下する際に、吸収液に撹乱・乱流現象が効果的に惹起されることによって、伝熱促進効果の20〜30%の性能向上が得られ、実伝熱面積当たりの伝熱性能が高いといった特徴を有している。ところが、このフルーテッド管にあっては、上記のように、管壁に山部と谷部が形成されて、凸凹しているところから、管内面に飛び出した凸部の影響で、管内圧力損失が増大するといった問題点を内在するものであった。
また、特許文献4(特開平7−24522号公報)においては、そのようなフルーテッド管の外面に、凹凸や溝等の加工を加えて、更に伝熱性能を向上させた伝熱管が、明らかにされている。かかる特許文献において明らかにされている伝熱管によれば、管外周面に管長手方向に延びる複数の湾曲溝の底部(谷部)に、湾曲溝に沿って延びる多数の微細溝によって凹凸化されているところから、管周方向に流下せしめられる吸収液に対して、湾曲溝による撹乱作用が、より有効に発揮されると共に、かかる吸収液が湾曲溝の谷部への滞留による管軸方向への拡張作用に加えて、微細溝への毛細管的な効果による管軸方向への拡張作用が発揮されることによって、伝熱管の濡れ面積が増大し、以て、熱交換効率を向上することが出来るのである。しかしながら、このような伝熱管によれば、前述の特許文献1や特許文献2と同様に、外周面に溝(フィン)を形成するために、加工速度の遅い加工をしなければならないといった問題や、特許文献3と同様に、管内面の凸部の影響による管内圧力損失が増大するといった問題を内在するものであった。
さらに、平滑管の伝熱性能を向上させる方法として、特許文献5(特開平5−179419号公報)、特許文献6(特開2001−234357号公報)、特許文献7(特開平7−12427号公報)及び特許文献8(特開平8−54158号公報)等に開示されているように、管外表面に対して、コロナ放電処理や加熱処理、ブラスト処理を施すことによって管外表面に表面親水性を付与し、濡れ性を向上させて、液膜を管軸方向に広がり易くして、伝熱性能を向上せしめる方法が、明らかにされている。これらの方法に従って、濡れ性を向上させた伝熱管によれば、平滑管の外表面を処理するのみで製作可能であるところから、生産性を有利に向上せしめることが可能であると共に、滴下される吸収液の液膜が、管軸方向に広がり易くなり、伝熱性能を向上させることが可能となるのであるが、その効果には限界があり、前述した外面フィン付管やフルーテッド管の伝熱性能には及ばないものであった。
ここにおいて、本発明は、かかる事情を背景にして為されたものであって、その解決課題とするところは、特殊な外面形状とされた伝熱管ではなく、外面が平滑な伝熱管であっても、管外表面に対して濡れ性向上処理を部分的に施すのみで、優れた吸収伝熱性能が付与された吸収器用伝熱管を提供することにある。また、本発明の別の解決課題とするところは、フルーテッド管に対して所定の濡れ性向上処理を部分的に行うことで、更なる吸収伝熱性能の向上が図られ得た吸収器用伝熱管を提供することにある。
そして、本発明者等は、そのような課題を解決するために種々の検討を重ねた結果、管外表面に吸収液が膜状に流下される一方、管内に冷却媒体が流通せしめられるようにした吸収器用伝熱管において、管外表面に対してブラスト処理等の濡れ性向上処理を施して、伝熱性能の向上を図る際に、伝熱管の外表面全体に一様に濡れ性向上処理を施すと、全体の伝熱性能の向上が阻害されてしまう事実を突き止め、そしてそのような濡れ性向上処理を施した面とその処理を施していない面とを混在させることによって、伝熱性能をより向上させ得ることが出来ることを見出したのである。
つまり、本発明者等が、所定の濡れ性向上処理によって得られる伝熱管の表面を詳しく調査したところ、濡れ性を向上させた箇所では、吸収液の液膜が比較的薄くなる一方、濡れ性を向上させない素地の部分では、吸収液の液膜が比較的厚く形成され、その結果、流下する液膜に凹凸が形成されて、吸収伝熱に効果的な気液界面面積が増加することとなる事実を見出したのである。そして、そのような気液界面面積の増加の効果は、管表面の全面の濡れ性を向上させた場合には得られず、管外表面に濡れ性向上処理を施した面とそのような処理を施していない面とを混在せしめた場合の方が、より高い伝熱性能向上効果が得られることが判明したのである。そこで、本発明者等は、そのような濡れ性向上処理を施した面と、処理を施していない面について、種々の面積や形状において更に検討を重ね、その好ましい比率等についても、新たな知見を得たのである。
従って、本発明は、かかる知見に基づいて完成されたものであって、その特徴とするところは、管外表面に吸収液が膜状に流下される一方、管内に冷却媒体が流通せしめられるようにした吸収器用伝熱管にして、管外表面に、濡れ性の付与された領域が部分的に形成されていることを特徴とする吸収器用伝熱管を、その要旨とするものである。
なお、本発明に従う吸収器用伝熱管の望ましい態様の一つによれば、前記濡れ性の付与された領域は、管軸方向及び/又は管周方向に帯状に形成されることとなる。
さらに、本発明の別の望ましい態様の一つによれば、前記濡れ性の付与された領域は、2mm以上の幅において形成されている一方、管外表面の濡れ性が付与されていない領域は2mm以上の幅を有して形成されているのである。
また、そのような本発明に従う吸収器用伝熱管の好ましい態様の一つによれば、伝熱管が、同一径の管壁を有する平滑管にて構成される一方、さらに別の好ましい態様の一つによれば、湾曲断面形状の山部と谷部とが管周方向に交互に設けられて、管軸方向に延びる複数の湾曲溝が形成されてなるフルーテッド管にて構成される。
更にまた、本発明に従う吸収器用伝熱管の別の望ましい態様の一つによれば、前記濡れ性の付与された領域が、ブラスト処理によって形成される一方、更に別の望ましい態様の一つによれば、前記濡れ性の付与された領域と、かかる濡れ性が付与されていない領域との比が、1〜5:1とされることとなる。
このように、本発明に従う吸収器用伝熱管によれば、濡れ性の付与された領域が、管外表面全体に形成されるものではなく、部分的に形成されているところから、その濡れ性を向上させた領域では、吸収液の液膜が比較的薄くなる一方、その濡れ性を向上させない素地の領域では、吸収液の液膜が比較的厚く形成されて、管外表面を流下する液膜に凹凸が形成されることとなる。そして、この液膜に形成された凹凸により、吸収伝熱に効果的な気液界面面積が増加せしめられることとなり、以て、伝熱管の吸収伝熱性能が、効果的に向上せしめられ得るのである。
これは、通常の製造方法にて製造した管の外表面は、通常、僅かに残油があり、酸化皮膜が形成されている状態であることが多いため、吸収液の濡れ性が充分でなく、濡れ性の指標である水との接触角は、90°近くもある。そこで、そのような面に対して、濡れ性向上処理を施すことによって、水との接触角を20°程度まで大幅に低減させ、管外表面に対する濡れ性を向上せしめて、吸収液の液膜が形成され易くするのである。そして、そのような濡れ性を向上させた面と、濡れ性を向上させない素地面とでは、その濡れ性の差が大きければ大きい程、伝熱性能の向上効果が大きくなるのであるが、一般的に、濡れ性を向上させた面の水との接触角が40°以下、濡れ性を向上させない素地面の接触角が70°以上程度であれば、液膜の厚さの差を利用して、有効な伝熱性能向上効果を得ることが出来るようになるのである。
ところで、本発明の望ましい態様に従って、濡れ性の付与された領域を、管軸方向及び/又は管周方向に帯状に形成したり、さらに本発明の望ましい他の態様に従って、濡れ性の付与された領域を、2mm以上の幅において形成する一方、管外表面の濡れ性が付与されていない領域を、2mm以上の幅を有するように、形成することによって、そのような吸収液の液膜に凹凸を効果的に形成して、吸収伝熱性能を有利に向上させることが可能となる。つまり、濡れ性を付与させた領域(濡れ性向上面)を帯状に形成することにより、吸収伝熱に効果的な気液界面面積を確保するのに充分な液面の凹凸を得ることが出来るのである。なお、それぞれの領域の幅が2mm未満となると、濡れ性向上面と素地面とにおける液膜の厚さの違いが効果的に発揮され難くなり、伝熱性能向上効果が充分に発現され得ない恐れがある。
また、本発明の好ましい態様の一つに従って、濡れ性を付与する伝熱管に、円形の断面で、同一径の管壁を有する平滑管を用いることにより、管内の圧力損失の増大を効果的に抑制することが出来ると共に、管の外面に溝やフィンを形成する等の特別な手間や時間のかかる加工をする必要がないため、生産性を、有利に高め得ることが可能となる。
一方、本発明の別の好ましい態様に従って、伝熱管として、湾曲断面形状を呈する山部と谷部とが管周方向に交互に設けられて、管軸方向に延びる複数の湾曲溝が形成されてなるフルーテッド管を用いることによって、かかるフルーテッド管の外面形状による伝熱性能向上効果に加えて、本発明に従って管外表面に濡れ性向上面を形成することにより、その更なる伝熱性能の向上を達成することが出来るのである。
また、本発明に従う好ましい態様の一つに従って、ブラスト処理によって、管外表面に、濡れ性の付与された領域を形成することにより、コロナ放電や火炎処理によって濡れ性を付与する場合よりも、濡れ性を向上した領域と濡れ性の向上されていない領域との面積比を、精度よくコントロールして、形成することが出来る特徴がある。
更にまた、別の好ましい態様の一つに従って、濡れ性の付与された領域の面積(A)と、濡れ性が付与されていない領域の面積(B)との面積の比(A:B)を、1〜5:1とすることによって、充分な液膜の凹凸を得ることが出来、効果的に伝熱促進効果を発揮することが可能となる。これは、濡れ性が付与された領域の面積比(A/B)が1未満であると、濡れ広がり性が低下するため、濡れ面積が、従来に比べて不足することに加えて、液膜の厚い部分が大部分を占めるため、気液界面の液膜の凹凸が少なくなり、界面面積が不足し、充分な伝熱促進効果が得られ難くなるからである。また、面積比(A/B)が5を超えるようになると、濡れ広がり性が向上し、従来に比べて、濡れ面積は増大することとなるのであるが、逆に、液膜の薄い部分が大半を占めるようになるため、前記1未満とした場合と同様に、気液界面の液膜の凹凸が少なくなり、界面面積が不足し、充分な伝熱促進効果が得られ難くなってしまうからである。
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明することとする。
先ず、図1には、本発明に従う吸収器用伝熱管の一例が、斜視図の形態において、概略的に示されている。そこでは、図からも明らかなように、吸収器用伝熱管10は、円形の横断面を有し、内部を冷却媒体が流通せしめられる中空の直管形状を呈しており、その管外表面には、管軸方向に所定幅で延びる、濡れ性が向上せしめられた濡れ性向上領域14a〜14dが、管周方向に所定間隙を隔てて、独立して形成されている。
より具体的には、かかる吸収器用伝熱管10は、要求される伝熱性能等に応じて銅や銅合金等の中から適宜に選択された所定の金属材質にて構成された、管外周面に溝やフィン等の加工が為されていない平滑管12によって、形成されている。なお、このような平滑管12は、公知の通常の製造方法、つまり、鋳造、熱間押出、圧延及び複数回の冷間抽伸と中間焼鈍処理等を経て、所定の寸法に加工されることによって、形成される。
そして、そのような平滑管12の外表面に対して、図2(a),(b)に示すように、管外周面を管軸方向に連続して延びる、それぞれ所定幅の4つの濡れ性向上領域14a,14b,14c,14dが、独立して形成されているのである。なお、これら濡れ性向上領域14a〜14dは、ここでは、それぞれ同一幅とされて、それぞれの隣り合う濡れ性向上領域の間に、所定幅の濡れ性非向上領域(素地面)15a〜15dを挟んで、形成されており、また、それぞれの間の濡れ性非向上領域15a〜15dの幅も、濡れ性向上領域14a〜14dと同一の幅とされることで、管外周面を、周方向に8つの領域に等分割している。
なお、そのような濡れ性向上領域14a〜14dは、平滑管12の外表面に対して、珪砂等の非金属粒子やアルミナ粒子等の金属粒子を高速度で吹き付けることによって、表面を粗面化する、所謂ブラスト処理にて、有利に形成されることとなる。このように、管外表面を粗面化することによって、平滑管12の製造時に表面に残存していた油膜を落とすと共に、表面を粗面化することにより、濡れ性が向上せしめられ得て、水との接触角を小さくすることが可能となるのである。ところで、これらの濡れ性向上領域14a〜14dは、本実施の形態の如く、ブラスト処理によって形成される他、一般的なコロナ放電処理、火炎処理等、各種の公知の手段を用いて形成することも、勿論可能である。しかし、濡れ性を向上させる領域14a〜14dの総面積(A)と、濡れ性を向上させない領域(素地面)15a〜15dの総面積(B)との面積比(A/B)を精度よくコントロールするためには、ブラスト処理を採用して、それら濡れ性向上領域14a〜14dを形成することが、望ましいのである。
このように、本発明に従う吸収器用伝熱管10によれば、平滑管12の管外周面に部分的に付与された濡れ性向上領域14a〜14dによって、図3に示すように、吸収器用伝熱管10の上側(図において上側)から滴下された吸収液が、管外表面を上側から下側に向かって流下せしめられる際に、管外表面に形成される液膜が、濡れ性向上領域12a〜12d部分においては、薄く(液膜16)、濡れ性向上処理が施されていない濡れ性非向上領域15a〜15d(素地面)においては、厚く(液膜18)なり、以て吸収液の液膜に、凹凸が形成されるようになるのである。そして、このような液膜の凹凸によって、吸収伝熱に効果的な気液界面面積が有利に増大せしめられ得て、その結果、吸収器用伝熱管10の伝熱性能が、効果的に向上せしめられることとなるのである。
さらに、このような吸収器用伝熱管10にあっては、製造が容易な平滑管の外表面に、単に、ブラスト処理等によって、濡れ性向上領域を形成するのみで、製造可能となるものであるところから、その生産性を、有利に高め得ることが可能となると共に、管内に余計な凸部のない平滑管を用いているため、管内の圧力損失の増大を効果的に抑制することも出来る特徴を有している。
ところで、本発明にあっては、前述したような吸収器用伝熱管10を与える平滑管12の他にも、図4(a),(b)に示される吸収器用伝熱管20のように、断面が湾曲形状の山部24と谷部26とが管周方向に交互に設けられて、それらが管軸方向に延びることによって、外周面に複数の湾曲溝28が形成されてなるフルーテッド管22に対しても、効果的に適用されることとなる。
そして、かかる図4(a),(b)に示されるように、フルーテッド管22の谷部26の管外周面、つまり、それぞれの湾曲溝28の底面に対して、軸方向に連続するように、濡れ性向上処理を部分的に施すことによって、濡れ性向上領域として、管外周面に管軸方向に延びる12条の濡れ性向上処理領域30を、部分的に形成せしめる一方、それら濡れ性向上処理領域30の間に挟まれた所定幅の領域が、濡れ性向上処理の施されていない表面となって、本発明に従う吸収器用伝熱管20が、形成されているのである。
従って、このような吸収器用伝熱管20にあっては、フルーテッド管のもつ高い伝熱性能に加えて、部分的に形成された濡れ性向上処理領域30によって、前述せる如き平滑管12に濡れ性向上領域14a〜14dを形成した吸収器用伝熱管10と同様に、管外周面を流下する吸収液の液膜に有効な凹凸が形成されることとなり、これにより、効果的に気液界面面積を増大せしめることが出来、以て、吸収器用伝熱管20の伝熱性能が、更に有利に向上せしめられ得ることとなる。
さらに、吸収器用伝熱管20を与えるフルーテッド管22は、外面に溝やフィンを形成せしめた伝熱管よりも、比較的製造が容易であるところから、吸収器用伝熱管20の生産性も、効果的に高めることが可能となるのである。
以上、本発明の代表的な実施形態について詳述してきたが、それは、あくまでも、例示に過ぎないものであって、本発明は、そのような実施形態に係る具体的な記述によって、何等限定的に解釈されるものではないことが、理解されるべきである。
例えば、上述した実施形態の一つである吸収器用伝熱管10にあっては、管周方向に延びる4本の濡れ性向上領域14a〜14dを、図5(a)に示される如く、濡れ性向上処理領域32の総面積(A)と非処理領域34の総面積(B)との面積比(A:B)が1:1となる割合において形成していたが、図5(b)に示されるように、その比を3:1としたり、図5(c)に示されるように、5:1とすることも、勿論可能である。なお、このような濡れ性向上処理領域32と非処理領域34の面積比(A:B)は、本発明にあっては、好ましくは、1〜5:1の割合において、形成されることとなる。
また、そのような濡れ性向上処理領域32の条数も、前述した管外周面の1周あたり4条としたものの他、図6(a)に示されるように、12条/周として形成することも可能である。さらに、図6(b)のように、管軸に平行に6条/周の割合で形成した濡れ性向上処理領域32を、管軸方向の略中間部位で分割して、位相をずらして組み合わせたり、図6(c)のように、条数の異なる濡れ性向上処理領域を組み合わせても良い。このように位相をずらした領域を設けることにより、管周方向と管軸方向に液膜の凹凸を形成することが出来、伝熱性能の向上に効果的な気液界面面積を、有利に増大せしめることが、可能となる。
加えて、図7(a),(b)に示されるように、濡れ性向上処理領域32を、管軸に垂直な方向において、管周方向に平行なリング状に形成してもよい。このようにリング状に濡れ性向上面を形成することにより、液膜の滞留によって液膜厚さが極端に増大しやすい伝熱管下部において、効果的に凹凸のある液膜が形成されることとなり、以て、気液界面面積を増大せしめることが出来るのである。
さらに、そのようなリング状の濡れ性向上処理領域と、図5(a)に示したような濡れ性向上処理領域を組み合わせて、図7(c)に示すように、格子状に、濡れ性向上処理領域32を形成することも、勿論可能である。このように、格子状に配置することにより、管周方向と管軸方向の両方向に凹凸を有する液膜を形成することが出来、より効果的に気液界面面積を増大せしめることが可能となる。
ところで、このように、濡れ性向上処理領域と非処理領域の配置パターンを変更した場合にあっても、それら濡れ性向上処理領域32と非処理領域34の面積比(A:B)は、1〜5:1の割合において、形成されることが望ましい。
なお、これら管外周面に対する濡れ性向上処理領域の配置パターンについて説明した図5(a)〜(c)、図6(a)〜(c)、及び図7(a)〜(c)は、吸収器用伝熱管10を管軸方向に平行に切断して、管外表面を展開した状態において示しており、各図において左右方向が管軸方向、上下方向が管周方向とされている。
また、本発明が適用される平滑管やフルーテッド管にあっては、その外径や、管壁の肉厚等の寸法には、特に制限は無いが、管外表面に形成される濡れ性向上処理領域や非処理領域の幅は、それぞれ2mm以上とされていることが、望ましい。
その他、一々列挙はしないが、本発明は、当業者の知識に基づいて、種々なる変更、修正、改良等を加えた態様において実施され得るものであり、また、そのような実施の態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、何れも、本発明の範疇に属するものであることは、言うまでもないところである。
以下に、本発明の代表的な実施例の幾つかを示し、本発明の特徴を更に明確にすることとするが、本発明が、そのような実施例の記載によって、何等の制約をも受けるものでないことは、言うまでもないところである。
先ず、本発明に従う吸収器用伝熱管を形成する平滑管として、一般的な管の製造方法に従い、鋳造、熱間押出、圧延及び複数回の冷間抽伸と中間焼鈍といった工程を経て得られる、外径:16mm、肉厚:0.6mmのりん脱酸銅の平滑管を、用意した。かかる平滑管の外表面の状態は、抽伸加工を行った状態のままとし、その濡れ性を示す指標である水との接触角は、約90°であった。
そして、そのような平滑管の外周面に対して、粒度#220のブラスト用アルミナ粒子をノズル移動速度:10〜20mm/sで噴射して、ブラスト処理を行い、所定幅の濡れ性向上処理領域を形成して、本発明に従う吸収器用伝熱管の複数を作製した。なお、それぞれの実施例における濡れ性向上処理領域の形状や、濡れ性向上処理領域と素地面(非処理領域)との面積比(A:B)は、以下の通りである。
先ず、実施例1〜3は、それぞれ、図5(a)〜(c)に示されるように、管軸に平行に4条/周の濡れ性向上処理領域を、素地面と交互になるようにして、筋状に形成した。それぞれの濡れ性向上処理領域の幅は等幅とし、また素地面(非処理領域)の幅も、それぞれ等幅となるようにした。濡れ性向上処理領域と素地面との面積比(A:B)は、実施例1においては1:1、実施例2においては3:1、実施例3においては5:1とした。
また、実施例4として、図6(a)に示すように、管軸に平行となるように12条/周の濡れ性向上処理領域を、筋状に形成した。そして、実施例5として、管軸に平行に6条/周の筋状の濡れ性向上処理領域を、管軸方向(長さ方向)の略中央部位において位相をずらして形成し(図6(b)参照)、さらに実施例6として、管軸方向(長さ方向)の略中央部位において、管軸に平行に6条/周とされた筋状の濡れ性向上処理領域と1条/周とされた濡れ性向上処理領域の2種類の配置パターンを組み合わせて形成した。なお、これらの際、それぞれの実施例における周方向に隣り合う濡れ性向上処理領域と素地面(非処理領域)の幅は等幅とし、それらの領域の面積比(A:B)は、1:1となるようにした。
さらに、実施例7,8として、管軸に対して垂直となるリング状の濡れ性向上処理領域を、形成した(図7(a)及び図7(b)参照)。このとき、濡れ性向上処理領域と素地面との面積比(A:B)は、実施例7においては1:1とし、実施例8においては5:1とした。更にまた、実施例9として、図7(c)に示すように、実施例1と実施例7とを組み合わせて、格子状となるように濡れ性向上面を形成した。このとき、濡れ性向上領域と素地面の幅は等幅とし、それらの面積比(A:B)は3:1となるようにした。
一方、フルーテッド管の代表として、図4に示したような、管軸に垂直に切断した断面が花柄状を呈し、溝深さが0.7mm、溝条数が12とされた花柄管を用意した。かかる花柄管の製造方法も、一般的な、溝形状に沿ったプラグとダイスを用いた抽伸加工法が用いられ、また管外表面の状態は、実施例1〜9の平滑管の場合と同様に、抽伸加工を行った状態のままとし、水との接触角は、約90°であった。そして、そのような花柄管の外表面に対して、図4(b)に示したもののように、それぞれの溝底部表面に軸方向に連続して筋状となるように、濡れ性向上処理領域を12条形成し、実施例10とした。なお、それらの濡れ性向上処理領域は、実施例1〜9と同様の条件にて、ブラスト処理によって形成した。
そして、比較のために、実施例1〜9と同様な平滑管の外周面に対してブラスト処理を施していないものを比較例1とし、また実施例10に用いたものと同様なフルーテッド管の外周面にブラスト処理を施していないものを比較例2とし、さらに、実施例1〜9と同様な平滑管の管外周面の全周に亘ってブラスト処理を施したものを、比較例3として準備した。
このように準備された実施例1〜10及び比較例1〜3の13種類の伝熱管について、従来より公知の吸収器、蒸発器、再生器、及び凝縮器から構成される一般的なラボ試験機を用いて、熱通過率を測定する実験を行った。つまり、先ず、そのような試験機の吸収器に、用意した伝熱管を、長さ約:500mm、1列5段の管群として設置して、上部滴下トレーより、実機運転条件にほぼ等しい1リットル/分の流量で、63.5wt%臭化リチウム水溶液を滴下し、熱通過率を測定して、その結果を、下記表1に示した。なお、かかる表1においては、平滑管で外表面にブラスト処理を行っていない比較例1の伝熱管の熱通過率を1として、それぞれの伝熱管の熱通過率を、比率で示した。
かかる表1の結果から明らかなように、本発明に従う、平滑管に対して部分的に濡れ性向上処理を行った実施例1〜9の吸収器用伝熱管においては、濡れ性向上処理を施していない比較例1よりも高い熱通過率を示すと共に、管外周面の全面に濡れ性向上処理を行った比較例3の伝熱管よりも、高い熱通過率の向上が実現されていることが認められる。また、フルーテッド管に対して、本発明に係る濡れ性向上処理を部分的に行った実施例10のものにあっても、濡れ性向上処理を施していないフルーテッド管である比較例2の熱通過率よりも、更に高い熱通過率が得られていることがわかる。
10 吸収器用伝熱管
12 平滑管
14a,14b,14c,14d 濡れ性向上領域
15a,15b,15c,15d 濡れ性非向上領域
12 平滑管
14a,14b,14c,14d 濡れ性向上領域
15a,15b,15c,15d 濡れ性非向上領域
Claims (7)
- 管外表面に吸収液が膜状に流下される一方、管内に冷却媒体が流通せしめられるようにした吸収器用伝熱管にして、管外表面に、濡れ性の付与された領域が部分的に形成されていることを特徴とする吸収器用伝熱管。
- 前記濡れ性の付与された領域が、管軸方向及び/又は管周方向に帯状に形成されている請求項1に記載の吸収器用伝熱管。
- 前記濡れ性の付与された領域が、2mm以上の幅において形成されている一方、管外表面の濡れ性が付与されていない領域が2mm以上の幅を有している請求項2に記載の吸収器用伝熱管。
- 同一径の管壁を有する平滑管にて構成されている請求項1乃至請求項3の何れか一つに記載の吸収器用伝熱管。
- 湾曲断面形状の山部と谷部とが管周方向に交互に設けられて、管軸方向に延びる複数の湾曲溝が形成されてなるフルーテッド管にて構成されている請求項1乃至請求項3の何れか一つに記載の吸収器用伝熱管。
- 前記濡れ性の付与された領域が、ブラスト処理によって形成されている請求項1乃至請求項5の何れか一つに記載の吸収器用伝熱管。
- 前記濡れ性の付与された領域と、かかる濡れ性が付与されていない領域との比が、1〜5:1である請求項1乃至請求項6の何れか一つに記載の吸収器用伝熱管。
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-
2005
- 2005-12-06 JP JP2005351594A patent/JP2007155219A/ja not_active Withdrawn
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