JP2007151562A - 超音波振動子 - Google Patents

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【課題】 クロストークや超音波ビームの乱れがない超音波振動子を提供する。
【解決手段】 超音波を送受する超音波振動子エレメント27が複数配列され、音響整合層24が積層している超音波振動子において、隣接する超音波振動子エレメント27間の溝26の長手方向両側であって振動素子23と接触しない位置に接着剤(28)を充填し、溝26に充填された接着剤(28)と振動素子23との間に振動減衰材を充填することを特徴とする。
【選択図】 図5

Description

本発明は、内視鏡等に用いられる超音波振動子に関し、特に、クロストークや超音波ビームの乱れが発生しない超音波振動子に関する。
電子走査式の超音波振動子は内視鏡の体腔内への挿入部に設けられ、これを用いることにより、体腔内のガスや骨の影響なしに良好な画質で消化管壁や膵胆等の深部臓器を明瞭に描出することができる。このような電子走査型振動子で内視鏡に利用されてきたものとして、コンベックスタイプ、リニアタイプ、及びラジアルタイプ等がある。
超音波振動子は、超音波を送受する超音波振動子エレメントが複数配列されるものが一般的であり、振動子の端部の溝部分(互いに隣接する振動子エレメント同士の間隙)にのみ樹脂を充填する方法が開示されている。(例えば、特許文献1参照。)
また、溝の中央を含む数箇所に接着剤を充填する方法が開示されている。(例えば、特許文献2参照。)
特開平8−107598号公報 特開2000−253496号公報
しかし、特許文献1の技術では隣接する振動素子間に比較的大きなクロストークが発生するとともに、振動子を湾曲させるラジアルタイプやコンベックスタイプでは特に不向きであった。
また、特許文献2の技術では、超音波内視鏡のように振動子が小さいものでは、クロストークの増加、ビームパターンの悪化や不均一化など、大きな特性劣化につながる。
また、特許文献1及び特許文献2は共に、数十ミクロンの溝内に均一に樹脂を充填することを必要としているが、それは不可能であり、振動子の小さな超音波内視鏡用の振動子としては特性のバラツキが顕著に現れる。
本発明の課題は、上記従来の実情に鑑み、クロストークや超音波ビームの乱れがない超音波振動子を提供することである。
本発明の第1の超音波振動子は、超音波を送受する超音波振動子エレメントが複数配列され、音響整合層が積層している超音波振動子において、隣接する前記超音波振動子エレメント間の溝の長手方向両側であって振動素子と接触しない位置に接着剤を充填し、
当該溝に充填された接着剤と前記振動素子との間に振動減衰材を充填することを特徴とする。
本発明の第2の超音波振動子は、上記第1の超音波振動子であって、前記接着剤は、前記溝の長手方向両端に充填されることを特徴とする。
本発明の第3の超音波振動子は、上記第1又は第2の超音波振動子であって、前記接着剤は、硬質樹脂であることを特徴とする。
本発明の第4の超音波振動子は、上記第1乃至第3のいずれか1つの超音波振動子であって、前記振動減衰材は前記超音波振動子エレメントの背面に充填されるバッキング材であることを特徴とする。
本発明の第5の超音波振動子は、上記第1乃至第4のいずれか1つの超音波振動子であって、電子ラジアル型超音波振動子であることを特徴とする。
本発明の超音波内視鏡は、上記第1乃至第5のいずれか1つの超音波振動子を備えたことを特徴とする。
本発明によれば、隣接する超音波振動子エレメント間の溝の長手方向両側であって振動素子と接触しない位置に強度を維持する硬質の接着剤を充填し、振動素子間に振動減衰材を充填することにより、接着剤が振動素子の振動を規制せず、クロストークや超音波ビームの乱れが発生しなくなる。
この際、接着剤の充填箇所は、クロストークの影響が減少する溝の長手方向両端であることが好ましいが、これに限定されるものではなく、溝の長手方向両側におけるいずれかの箇所であれば所望の効果が期待できる。
なお、本発明は、ラジアル型、コンベックス型、及びリニア型の超音波振動子に共通で用いることが可能であり、多くの超音波内視鏡の性能を高めることが可能である。
図1は、本発明にかかる超音波内視鏡の外観構成を示す。超音波内視鏡1は、体腔内に挿入される細長の挿入部2と、この挿入部2の基端に位置する操作部3と、この操作部3の側部から延出するユニバーサルコード4とで主に構成されている。
ユニバーサルコード4の基端部には、図示しない光源装置に接続される内視鏡コネクタ4aが設けられている。この内視鏡コネクタ4aからは図示しないカメラコントロールユニットに電気コネクタ5aを介して着脱自在に接続される電気ケーブル5及び図示しない超音波観測装置に超音波コネクタ6aを介して着脱自在に接続される超音波ケーブル6が延出している。
挿入部2は、先端側から順に硬質な樹脂部材で形成した先端硬質部7、この先端硬質部7の後端に位置する湾曲自在な湾曲部8、この湾曲部8の後端に位置して操作部3の先端部に至る細径かつ長尺で可撓性を有する可撓管部9を連設して構成されている。そして、先端硬質部7の先端側には超音波を送受する複数の振動素子を配列した超音波振動子部10が設けられている。
操作部3には湾曲部8を所望の方向に湾曲制御するアングルノブ11、送気及び送水操作を行うための送気・送水ボタン12、吸引操作を行うための吸引ボタン13、体腔内に導入する処置具の入り口となる処置具挿入口14等が設けられている。
図2は、図1に示す超音波内視鏡1の先端硬質部7の拡大図である。図2(a)は外観斜視図を示し、図2(b)は外観構成図を示す。先端硬質部7の先端には、電子ラジアル型走査を可能にする超音波振動子10が設けられている。超音波振動子10は、音響レンズ(超音波送受部)17を形成した材質で被覆されている。また、先端硬質部7には斜面部7aが形成されている。斜面部7aには、観察部位に照明光を照射する照明光学部を構成する照明レンズ18b、観察部位の光学像を捉える観察光学部を構成する対物レンズ18c、切除した部位を吸引したり処置具が突出したりする開口である吸引兼鉗子口18d、送気及び送水するための開口である送気・送水口18aが設けてある。
図3は、超音波振動子の製造工程(その1)を示す。同図において、超音波振動子を形成するに際し、まず基板20、導電体21、電極22(22a,22b)、振動素子(ここでは圧電素子)23、音響整合層24(第1音響整合層24a,第2音響整合層24b)、導電樹脂25、溝26から構成される構造体Aを作製する。それでは、構造体Aの作製について説明する。
まず、第2音響整合層24bを形成した後に、第1音響整合層24aを形成する。次に、例えばダイシングソー(精密裁断機)を用いて、第1音響整合層24aに導電性樹脂25を充填するための溝を形成し、その溝に導電性樹脂25を流し込む。次に、対向する両主面に電極層22a,22bを形成した振動素子23を接合する。そして振動素子23の横に基板20を取り付ける。基板20の表面には、電極層20aが形成されている。そして、電極20aと電極22aを電気的に導通させるための導電体21を取り付ける。
上記ダイシングソーを用いて、形成した構造体Aに切り込みを入れ、数十μm幅の溝(ダイシング溝)26を一定間隔で複数形成する。この溝幅は、20〜50μmであるのが好ましい。このとき、第2音響整合層24bのみが完全に切断されずに数十μm切れ残るように構造体Aに切り込みを入れるようにする。このような溝26を例えば約200個程度、構造体Aの全体に均一に設ける。ここで、分割した個々の振動子を振動子エレメント27という。
なお、本実施の形態は2層整合であるので、第1音響整合層24aの材料には、アルミナやチタニア(TiO2)などフィラーを含有するエポキシ樹脂を用い、第2音響整合層24bの材料には、フィラーが入っていないエポキシ樹脂を用いるのが好ましい。また、3層整合の場合には、第1音響整合層の材料に、マシナブルセラミックスやフィラーやファイバーを含有するカーボンまたはエポキシ樹脂などを用い、第2音響整合層には、アルミナやチタニアなどフィラーを若干含有(2層整合の場合と比較して含有率が少ない)するエポキシ樹脂を用い、第3音響整合層には、フィラーが入っていないエポキシ樹脂を用いるのが好ましい。
次に、図4(a)に示すように、この積層体の側面X1と側面X2の面とが向かい合うように、図3で示した構造体Aを湾曲させて円筒状にしていく。ここで、溝26の端部から所定距離を隔てた箇所にマスキングテープを貼り、これをマスクとして硬質樹脂28を溝26上から擦り付けることにより、溝26におけるマスキングテープによって覆われていない端部にのみ硬質樹脂28を充填する(図5参照)。
次に、図4(b)に示すように、環状の構造部材30(30a)を構造体Bの開口部より内側に取り付ける。このとき、構造部材30aは、基板20上に位置するように取り付ける(図7(a)参照)。反対側の開口部についても同様に構造部材30(30b)を取り付ける。このとき、構造部材30bは導電樹脂25上に位置するように取り付ける(図7(a)参照)。
図5は、図4に示す構造体Bに接着剤を充填した状態を模式的に示す拡大図であり、図6は、説明のため平面化した図である。図5及び図6に示すように、接着剤としての硬質樹脂28は、溝26内の長手方向両側であって振動素子23と接触しない位置に充填される。硬質部長が長くなると、超音波内視鏡装置により診療される患者の負担にもなるため、硬質樹脂28は溝26の端部にあって、クロストークの影響を低減するには可能な限り振動素子23と硬質樹脂28との間隔は長いことが好ましい。また、硬質樹脂28は、例えば硬質のエポキシ樹脂に粘性を高めるために無機物(炭酸カルシウムやアルミナ)のフィラーを入れたものを用いる。
図7は、図4(b)で示した構造部材30を取り付けた構造体Bの断面を示す。図4(b)で構造部材30(30a,30b)を取り付けた(図7(a)参照)後、構造部材30a−30b間をバッキング材40で充填する(図7(b)参照)。バッキング材には、ゲル状のエポキシ樹脂にアルミナのフィラーを混ぜたものを用いる。その後、導電樹脂25上に導体(銅線)41を取り付ける(図7(c)参照)(以下、図7で作成した構造体を構造体Cという)。
次に、図4(b)に示すように、円筒表面に音響レンズ17を形成する。音響レンズ17は、予め音響レンズ単体で製造していたものを円筒状にした構造体Aと組み合わせてもよいし、または、円筒状にした構造体Aを型に入れて音響レンズ材料をその型に流し込んで音響レンズ17を形成してもよい。なお、音響レンズ17のうち、実際に音響レンズとして機能するのはレンズ部17aである。
次に、図8(a)に示すように、構造体Cの一方の開口部側(基板20が設けられている側)から、円筒状の構造部材50を挿入する。この円筒状構造部材50は、円筒状部分53とその一端に設けられている環状の鍔(つば)52とから構成されている。鍔52表面にはプリント配線板54が設けてあり、その表面に数十から数百の電極パッド51が設けてある。さらに、円筒状構造部材50内部にはケーブル62の束が通してあり、そのケーブル62の先端は、各パッド51と半田付けされている(電極パッド51の内側(環の中心方向)にケーブル62を半田付けして結線する。)。なお、ケーブル62は、通常はノイズ低減のために同軸ケーブルを用いる。
円筒状構造部材50は絶縁体材料(例えば、エンジニアリング・プラスチック)で作られている。絶縁体材料としては、例えば、ポリサルフォン、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンオキサイド、エポキシ樹脂などがある。円筒部分53の表面は導電体でメッキされている。こうしてケーブル62を結線した円筒状構造部材50を構造体Cに挿入すると、構造体Cの構造部材30に円筒状構造部材50の鍔52部分が当たって、円筒状構造部材50の位置が構造体C内部で固定され、振動子内部で位置決めがされる。
図8(b)は、円筒状構造部材50が挿入されて位置決めがされた後、電極パッド51の外側部分(環の外周方向の電極パッド部分)と、振動子エレメント27の電極20aとをワイヤー90を用いて結線した状態を示す。
図9は、図8(b)で示した電子ラジアル超音波内視鏡の先端の側断面図を示す。上述のように、振動素子23、バッキング材40などが設けられている。また、電極パッド51のうち鍔の中心方向側にケーブル62が結線されている。電極パッド51のうち鍔の外周方向側にワイヤー90の一端が半田101で結線され、他端が振動子エレメントの基板20上にあるシグナル側電極20aと半田102で結線されている。なお、隣接するシグナル側電極20aにワイヤーが接触して短絡しないように短いワイヤー90を用いて結線する。また、ケーブル62に負荷がかかることにより引っ張られて、ケーブル62が電極パッド51から外れてしまうことを防ぐために、ポッティング樹脂100でケーブル62と電極パッド51との結線部分全体を被覆する。また、構造部材30bの表面には銅箔103が成膜されており、さらに、構造部材30の表面と音響整合層24及び円筒部材50の円筒側面は、導電性樹脂(例えば、半田)104で結合されている。以上のような構成をしている振動子部分の先端には、先端構造部材106が設けられ、内視鏡硬質部7との接続部には、構造部材(蛇管接続部)105が設けられている。
以上のように、本実施の形態によれば、隣接する超音波振動子エレメント間の溝の長手方向両側であって振動素子と接触しない位置に硬質樹脂を充填し、上記溝に充填される硬質樹脂と振動素子との間にバッキング材を充填することで、硬質樹脂が振動素子と接触しないため、振動素子の振動を規制しない。また、クロストークも低減できるとともに、全長が20mm以下の内視鏡に用いる振動子の機械的強度を持たせることもできる。
また、振動素子の振動を妨げる硬質樹脂が振動素子に接触しないため、超音波ビームの乱れを防ぐことができる。
なお、本実施の形態では、電子ラジアル型超音波振動子を用いて説明を行ったが、振動子が円弧状に配列されるコンベックス型や振動子が直線状に配列されるリニア型であっても同様の構成及び効果となるため説明を省略する。
また、本実施の形態は、振動素子として圧電素子を用いた超音波振動子だけに限らず、静電容量型振動子(c−MUT)を用いた電子ラジアル型超音波振動子に対しても適用することが可能である。
本発明における超音波内視鏡の外観構成を示す図である。 図1に示す超音波内視鏡1の先端部硬質部の拡大図である。 超音波振動子の製造工程(その1)を示す図である。 超音波振動子の製造工程(その2)を示す図である。 図3に示す構造体Aに接着剤を充填した状態を模式的に示す拡大図である。 図3に示す構造体Aに接着剤を充填した状態を説明のため平面化した図である。 超音波振動子の製造工程(その3)を示す図である。 超音波振動子の製造工程(その4)を示す図である。 図6(b)で示した電子ラジアル超音波内視鏡の先端の側断面図を示す。
符号の説明
1 超音波内視鏡
2 挿入部
3 操作部
4 ユニバーサルコード
4a 内視鏡コネクタ
5 電気ケーブル
5a 電気コネクタ
6 超音波ケーブル
6a 超音波コネクタ
7 先端硬質部
8 湾曲部
9 可撓管部
10 超音波振動子
11 アングルノブ
12 送気・送水ボタン
13 吸引ボタン
14 処置具挿入口
17 音響レンズ(超音波送受部)
18a 送気・送水口
18b 照明レンズ
18c 対物レンズ
18d 吸引兼鉗子口
20 基板
20a 電極層
21 導電体
22(22a,22b) 電極
23 振動素子
24 音響整合層
24a 第1音響整合層
24b 第2音響整合層
25 導電樹脂
26 溝
27 振動子エレメント
28 硬質樹脂
30(30a,30b) 構造部材
40 バッキング材
41 導体(銅線)
50 円筒状構造部材
51 電極パッド
52 鍔(つば)
53 円筒部分
54 プリント配線板
62 同軸ケーブル
90 ワイヤー
100 ポッティング樹脂
101,102 半田
103 銅箔
104 導電性樹脂
105 構造部材
106 先端構造部材


Claims (6)

  1. 超音波を送受する超音波振動子エレメントが複数配列され、音響整合層が積層している超音波振動子において、
    隣接する前記超音波振動子エレメント間の溝の長手方向両側であって振動素子と接触しない位置に接着剤を充填し、
    当該溝に充填された接着剤と前記振動素子との間に振動減衰材を充填することを特徴とする超音波振動子。
  2. 請求項1に記載の超音波振動子であって、前記接着剤は、前記溝の長手方向両端に充填されることを特徴とする超音波振動子。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の超音波振動子であって、前記接着剤は、硬質樹脂であることを特徴とする超音波振動子。
  4. 請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の超音波振動子であって、前記振動減衰材は前記超音波振動子エレメントの背面に充填されるバッキング材であることを特徴とする超音波振動子。
  5. 請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の超音波振動子であって、電子ラジアル型超音波振動子であることを特徴とする超音波振動子。
  6. 請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の超音波振動子を備えたことを特徴とする超音波内視鏡。


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