JP4384608B2 - 電子ラジアル型超音波プローブ - Google Patents

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Description

本発明は、電子ラジアル型超音波プローブを用いた超音波内視鏡に関する。
超音波内視鏡は内視鏡の体腔内への挿入部に超音波プローブを設け、これを用いることにより、体腔内のガスや骨の影響なしに良好な画質で消化管壁や膵胆等の深部臓器を明瞭に描出することができる。
これら超音波プローブ(超音波探触子)のうち、電子走査式のものは数十個以上の素子から成り、各素子に対して送受信用の同軸ケーブルを接続する必要がある。電子走査式超音波プローブの各素子の電極と信号送受信用同軸ケーブルとを接続する際には、各素子のシグナル電極に対して同軸ケーブルの芯線を半田付けし、各素子のグランド電極に対して同軸ケーブルのシールド線を半田付けする方法が一般的である。このようにして、構成された超音波プローブが内視鏡の挿入部先端に設けられている。
このような超音波内視鏡として従来から利用されてきたものとして、コンベックスタイプ、リニアタイプ、及びラジアルタイプ等がある。このうち、ラジアルタイプとは、超音波ビームを円周方向に送受信するものであり、これにはプローブを回転させ超音波ビームを放射状に送受信する機械ラジアル走査方式と、複数の圧電素子を円筒外周上に配列して電子的な制御により超音波ビームを放射状に送受信する電子ラジアル走査方式(例えば、特許文献1)がある。
特公昭63−14623号公報
内視鏡は、体腔内へ挿入されるものであるため、内視鏡の設計に際し、人体への安全性について配慮する必要がある。内視鏡の挿入部及びその先端部分(超音波プローブ)の外表面は絶縁性の樹脂で覆われているため、その内部にあるシグナル配線が外部へ露出することは通常ありえない。
しかしながら、その外表面を覆っている樹脂が損傷を受けた場合には、その信号線が外部へ露出する可能性がある。その場合、信号線が全ての箇所で保護接地金属により覆われていることにより、感電を避けることができる。
上記の課題に鑑み、本発明では、保護接地構造を有する電子ラジアル型超音波プローブを提供する。
上記課題は、特許請求の範囲の請求項1に記載の発明によれば、第1の電極と第2の電極とを有し該電極間の電位差により超音波を送受する複数の超音波振動子エレメントが円筒状に配列され、該各超音波振動子エレメントを駆動させる駆動信号を送信するための各超音波振動子エレメントに対応するケーブル群が前記円筒の内部に格納され、該各ケーブルの信号線が前記円筒の内側に存在する第1の電極と電気的に接続されている電子ラジアル型超音波振動子であって、前記円筒状に複数配列された前記超音波振動子エレメント群がなす円筒体の開口部に装着される該開口部と略同一形状を有する第1の導電体が、前記ケーブルに含まれるグランド線と接続されていることを特徴とする電子ラジアル型超音波プローブを提供することによって達成できる。
上記課題は、特許請求の範囲の請求項2に記載の発明によれば、前記ケーブルは同軸ケーブルであり、該同軸ケーブルのシールド材が前記グランド線として前記第1の導電体に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の電子ラジアル型超音波プローブを提供することによって達成できる。
上記課題は、特許請求の範囲の請求項3に記載の発明によれば、前記グランド線は、前記各同軸ケーブルの前記シールド材を相互に短絡させることを特徴とする請求項2に記載の電子ラジアル型超音波プローブを提供することによって達成できる。
上記課題は、特許請求の範囲の請求項4に記載の発明によれば、前記グランド線は、さらに、前記第2の電極と電気的に接続されることを特徴とする請求項3に記載の電子ラジアル型超音波プローブを提供することによって達成できる。
上記課題は、特許請求の範囲の請求項5に記載の発明によれば、前記円筒体は、前記第2の電極よりも外周側の層に第2の導電体を有し、前記ケーブルは、前記信号線を第1のシールド材で覆ったものである同軸ケーブルの複数を束ねて第2のシールド材で覆ったものであり、前記第1のシールド材は前記第2の電極に接続され、前記第2のシールド材は前記第1の導電体と前記第2の導電体とに接続されることを特徴とする請求項1に記載の電子ラジアル型超音波プローブを提供することによって達成できる。
上記課題は、特許請求の範囲の請求項6に記載の発明によれば、前記超音波振動子エレメントは、圧電素子または静電容量型超音波振動子のうちいずれかより構成されることを特徴とする請求項1に記載の電子ラジアル型超音波プローブを提供することによって達成できる。
上記課題は、特許請求の範囲の請求項7に記載の発明によれば、請求項1〜6のうちいずれか1項に記載の電子ラジアル型超音波プローブを備える超音波内視鏡を提供することによって達成できる。
本発明を用いることにより、超音波内視鏡先端の絶縁体に機械的な破損が生じても、保護接地部分が外部に露出する構造となっているため、感電を防止することができる。
<第1の実施形態>
本実施形態では、挿入部先端に円筒形のアレイ型超音波探触子を持つ電子ラジアル型超音波プローブにおいて、アレイ型探触子を構成する振動子エレメント群に接続された同軸ケーブル束と、この同軸ケーブル束と一体化した保護接地線と、アレイ型探触子の先端側端面にこの端面と略同一形状の導体の導体を持っていて保護接地線がこの導体と接続されている電子ラジアル型超音波プローブについて説明する。その保護接地線は、個々の振動子エレメントに接続された同軸ケーブル群のシールド線を超音波探触子近傍で相互に短絡したものである。
図1は、本発明にかかる超音波内視鏡の外観構成を示す。超音波内視鏡1は、体腔内に挿入される細長の挿入部2と、この挿入部2の基端に位置する操作部3と、この操作部3の側部から延出するユニバーサルコード4とで主に構成されている。
ユニバーサルコード4の基端部には、図示しない光源装置に接続される内視鏡コネクタ4aが設けられている。この内視鏡コネクタ4aからは図示しないカメラコントロールユニットに電気コネクタ5aを介して着脱自在に接続される電気ケーブル5及び図示しない超音波観測装置に超音波コネクタ6aを介して着脱自在に接続される超音波ケーブル6が延出している。
挿入部2は、先端側から順に硬質な樹脂部材で形成した先端硬質部7、この先端硬質部7の後端に位置する湾曲自在な湾曲部8、この湾曲部8の後端に位置して前記操作部3の先端部に至る細径かつ長尺で可撓性を有する可撓管部9を連設して構成されている。そして、先端硬質部7の先端側には超音波を送受する複数の圧電素子を配列した超音波プローブ10が設けられている。
操作部3には前記湾曲部8を所望の方向に湾曲制御するアングルノブ11、送気及び送水操作を行うための送気・送水ボタン12、吸引操作を行うための吸引ボタン13、体腔内に導入する処置具の入り口となる処置具挿入口14等が設けられている。
図2は、図1に示す超音波内視鏡1の先端硬質部7の拡大図である。図2(a)は外観斜視図を示し、図2(b)は外観構成図を示す。先端硬質部7の先端には、電子ラジアル型走査を可能にする超音波プローブ10が設けられている。超音波プローブ10は、音響レンズ(超音波送受部)17を形成した材質で被覆されている。
また、先端硬質部7には斜面部7aが形成されている。斜面部7aには、観察部位に照明光を照射する照明光学部を構成する照明レンズ18b、観察部位の光学像を捉える観察光学部を構成する対物レンズ18c、切除した部位を吸引したり処置具が突出したりする開口である吸引兼鉗子口18d、送気及び送水するための開口である送気・送水口18aが設けてある。
また、超音波内視鏡は体腔内壁との接触状態や位置関係を調整するため、内視鏡先端にバルーンを装着する。そのため、超音波プローブ先端には、このバルーンを係止するためのバルーン係止部19がある。
図3は、超音波プローブの製造工程(その1)を示す。同図において、超音波プローブ10を形成するに際し、まず基板20、導電体21、電極22(22a,22b)、圧電素子23、音響整合層24(第1音響整合層24a,第2音響整合層24b)、導体25、溝26から構成される構造体Aを作製する。それでは、構造体Aの作製について説明する。
まず、第2音響整合層24bを形成した後に、第1音響整合層24aを形成する。次に、例えばダイシングソー(精密裁断機)を用いて、第1音響整合層24aに溝を形成し、その溝に導電性樹脂25を流し込む。次に導電性樹脂25と接合するように、第1音響整合層24aの表面に導電層22bを形成する。
次に、圧電素子23を導電層22bの上に形成し、その上に導電層22aを形成する。導電層22a及び導電層22bは、圧電素子に電圧を与えるための電極22a,22bである。そして圧電素子23の側面かつ導電層22b上に基板20を取り付ける。基板20の表面には、電極層20aが形成されている。そして、電極20aと電極22aを電気的に導通させるための導電体21を取り付ける。
ダイシングソーを用いて、上記で形成した構造体Aに切り込みを入れ、数十μm幅の溝(ダイシング溝)26を複数形成する。この溝幅は、20〜50μmであるのが好ましい。このとき、第2音響整合層24bのみが完全に切断されずに数十μm切れ残るように構造体Aに切り込みを入れるようにする。このような溝26を例えば約200個程度設ける。ここで、分割した個々の振動子を振動子エレメント27という。
なお、上記では、本実施形態は2層整合であるので、第1音響整合層24aの材料には、アルミナやチタニア(TiO2)などフィラーを含有するエポキシ樹脂を用い、第2音響整合層24bの材料には、フィラーが入っていないエポキシ樹脂を用いるのが好ましい。また、3層整合の場合には、第1音響整合層の材料に、マシナブルセラミックスやフィラーやファイバーを含有するカーボンまたはエポキシ樹脂などを用い、第2音響整合層には、アルミナやチタニアなどフィラーを若干含有(2層整合の場合と比較して含有率が少ない)するエポキシ樹脂を用い、第3音響整合層には、フィラーが入っていないエポキシ樹脂を用いるのが好ましい。
圧電素子23は、予めその両主面に電極を付与したものを使用しても良い。また、電極層22aは前記予め圧電素子に付与された電極を利用しても良い。
次に、図4(a)に示すように、この積層体の側面X1と側面X2の面とが向かい合うように、この構造体Aを湾曲させて円筒状にしていく。
次に、図4(b)に示すように、円筒表面に音響レンズ17を形成する(以下、構造体Bという)。音響レンズ17は、予め音響レンズ単体で製造していたものを円筒状にした構造体Aと組み合わせてもよいし、または、円筒状にした構造体Aを型に入れて音響レンズ材料をその型に流し込んで音響レンズ17を形成してもよい。なお、音響レンズ17のうち、実際に音響レンズとして機能するのはレンズ部17aである。
次に、図4(c)に示すように、環状の構造部材30aを構造体Bの開口部より内側に取り付ける。このとき、構造部材30aは、基板20上に位置するように取り付ける(図5(a)参照)。反対側の開口部についても同様に構造部材30bを取り付ける。このとき、構造部材30bは導電性材料25上に位置するように取り付ける(図5(a)参照)。構造部材30bの外側の面は、銅箔等の金属で覆われている。
図5は、構造部材30を取り付けた構造体Bの断面を示す。図4(c)で構造部材30(30a,30b)を取り付けた(図5(a)参照)後、構造部材30a−30b間をバッキング材40で充填する(図5(b)参照)。バッキング材40には、ゲル状のエポキシ樹脂にアルミナのフィラーを混ぜたものを用いる。その後、導電性材料25と構造部材30bの導電面とを導電性材料41で電気的に接続する(図5(c)参照)(以下、図5で作成した構造体を構造体Cという)。
次に、図6(a)に示すように、構造体Cの一方の開口部側(基板20が設けられている側)から、円筒状の構造部材50を挿入する。この円筒状構造部材50は、円筒状部分53とその一端に設けられている環状の鍔(つば)52とから構成されている。鍔52表面にはプリント配線板54が設けてあり、その表面に数十から数百の電極パッド51が設けてある。さらに、円筒部材50内部にはケーブル62の束が通してあり、そのケーブル62の先端は、各パッド51と半田付けされている(電極パッド51の内側(環の中心方向)にケーブル62を半田付けして結線する。)。なお、ケーブル62は、通常はノイズ低減のために同軸ケーブルを用いる。
円筒部材50は絶縁体材料(例えば、エンジニアリング・プラスチック)で作られている。絶縁体材料としては、例えば、ポリサルフォン、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンオキサイド、エポキシ樹脂などがある。円筒部分53の表面は導電体(金属薄膜63)でメッキされている。なお、円筒部分53の表面には孔55が設けてあり、円筒状構造部材に挿通されたケーブル束62から伸びているグランド線71がその孔55から出て、円筒部分53の外側面にメッキされた金属薄膜63に接合されている。
こうしてケーブル62を結線した円筒部材50を構造体Cに挿入すると、構造体Cの構造部材30に円筒部材50の鍔52部分が当たって、円筒状構造部材50の位置が構造体C内部で固定され、超音波プローブ10の内部で位置決めがされる。
図6(b)は、円筒部材50が挿入されて位置決めがされた後、電極パッド51の外側部分(環の外周方向の電極パッド部分)と、振動子エレメント27の電極20aとをワイヤー90を用いて結線した状態を示す(以下、図6(b)で作成した構造体を構造体Dという)。
さて、超音波プローブの開口部には、バルーンの端部を係止するためのバルーン係止部材19が取り付けられるが、このバルーン係止部材19を超音波プローブの開口部に保持させるための支え部材が必要になる。これについて図7を用いて説明する。
図7は、構造体Dに取り付けられるバルーン係止部材19及びその支え部材の一例を示す。中央に孔が開いた円形の導体板110の平面には、支え部材111が設けられている。支え部材は、略L字、すなわち、先端部にオーバーハングが1つ形成されている。この導体板110は、構造体Dの開口部から伸びる保護接地線112と電気的及び機械的に接続されている。導体板110が構造体Dの開口部に装着される。
バルーン係止部材19は、支え部材111が挿入される空洞と、バルーンを係止するための係止溝が設けられ、構造体Dの開口部を覆うように取り付けられる。
図8は、導体板110のバリエーションの一例を示す。図8(a)は、導体板110として金属板120を用いた例を示す。支え部材111は、溶接または接着を用いて金属板120に固定する。
図8(b)は、導体板110として、一方の面が銅箔121で被覆された樹脂版122(プリント基板材料)を用いた例を示す。支え部材111は、半田付けまたは接着を用いて樹脂板122の銅箔121で被覆された面側に固定する。
図8(c)は、導体板110として、一方の面の全面が銅箔121で被覆され、他面が電極パターンで形成され、スルーホール(2つの面を電気的に接続するために孔表面に銅箔が形成された孔)を設けた樹脂板(プリント基板材料)を用いた例を示す。支え部材111は、電極パターンを形成した面側に半田付けで固定する。この場合、半田部の熱容量が小さいため半田部が容易になり、信頼性が高まる。
図9は、導体板110の取り付け時の断面図を示す。上述の通り、電極パッド51のうち鍔の中心方向側にケーブル62が半田で結線されている。電極パッド51のうち鍔の外周方向側にワイヤー90の一端が半田101で結線され、他端が振動子エレメントの基板20上にあるシグナル側電極20aと半田102で結線されている。なお、隣接するシグナル側電極20にワイヤーが接触して短絡しないように短いワイヤー90を用いて結線する。また、ケーブル62に負荷がかかることにより引っ張られて、ケーブル62が電極パッド51から外れてしまうことを防ぐために、ポッティング樹脂100でケーブル62と電極パッド51との結線部分全体を被覆する。
また、構造部材30bの表面には銅箔105が成膜されており、さらに、構造部材30の表面と音響整合層24及び円筒部材50の円筒側面は、導電性樹脂(例えば、半田)104で結合されている。
なお、図6(a)で説明したように、ケーブル束62からグランド線71(71a,71b)に伸びて、それぞれ半田103a、103bで金属薄膜63と接合されている。
図10は、図9の破線枠130で囲まれた同軸ケーブル群62の拡大図を示す。図10(a)は、側面方向からの拡大図であり、図10(b)は同軸ケーブル群62のうちの1つの同軸ケーブル140の上面からの断面図である。なお、以下では、1本1本の同軸ケーブル140が束になったものを同軸ケーブル群62という。
各同軸ケーブル140は、信号線141が誘電体142で被覆され、その上からシールド線(シグナルグランド線)143で被覆され、さらに外皮144で被覆されている。信号線141が、これに対応する圧電素子と電気的に接続される。
同図において、各同軸ケーブル140の外皮は所定位置まで取り除かれている。そして、同軸ケーブル140のシールド線143同士が短絡させている。その短絡させたシールド線部分からグランド線145が伸びている。
グランド線145は、図9に示すように、保護接地線112として導体板110に接合され、また、グランド線71(71a,71b)として、それぞれ半田103a、103bで金属薄膜63と接合されている。同軸ケーブル62は、超音波内視鏡1の挿入部2内部を通って不図示の超音波観測装置に接続されており、同軸ケーブル62のシールド線143もその超音波観測装置のGNDと接続されている。
図11は、本実施形態における超音波プローブ10が保護接地されている状態の断面図を示す。同図は、図9において導体板110を構造体Dに取り付けて、保護接地された部分(図の斜線)を強調して示している。なお、説明の都合上、図9を一部省略している。
図11では、グランド線112,71、導電体の110の底面、電極22b、構造部材30bの下面に形成された銅箔105、及び円筒状構造部材50の側面表面に形成された金属メッキにより、超音波プローブの筐体全体が保護接地されている。したがって、超音波プローブが機械的損傷を受けて、その内部が露出したとしても、その部分は保護接地されている。
本実施形態では、保護接地とシグナルグランド(GND)を共用することにより構成部品を少なくすることができるので、超音波プローブの小型化に有利である。
以上より、超音波プローブ全体を保護接地で覆うことができる。したがって、たとえ超音波内視鏡先端部分に機械的な破損が生じても、超音波プローブ外部に露出する部分は保護接地になっているので、感電を防止することができる。
<第2の実施形態>
第1の実施形態では、保護接地とシグナルGNDを共用したが、本実施形態では、保護接地とシグナルGNDを分離させた電子ラジアル型超音波プローブについて説明する。
図12は、本実施形態における超音波プローブの製造工程の一部を示す。図12(a)は、図3に相当する図である。図3と異なり、図12では、導電層22bが圧電素子と接合する部分に形成され、基板20と第1音響整合層24aとの間には形成されていない。
また、本実施形態では、図4(a)の構造体Aを作製した後、金属薄膜を構造体Aの表面に形成して、その後に音響レンズ17を形成する。
また、図5(a)で取り付けた構造部材30bの両面に金属薄膜が形成されている。また、本実施形態で用いる円筒状構造部材50は、図12(b)に示すように、金属薄膜146(146a,146b)で断続的にメッキされている。金属薄膜146aと金属薄膜146bとは、電気的に接続されていない。円筒状構造部材50の側面53に開いた孔147aからは、上述するシグナルGND線165が出て金属薄膜146aと接合している。また、孔147bは、後述する保護接地線160が出て金属薄膜146bと接合する。これら以外は、第1の実施形態と同様に製造される。
図13は、本実施形態における保護接地及びシグナルGNDが分離された超音波プローブ10の断面を示す。同図は、図9において導体板110を構造体Dに取り付けて、保護接地された部分(斜線部分150)及びシグナルGNDを設けた部分(点線部分151)を強調して示している。
同軸ケーブル群151からは、シグナルGND線165が伸びて、円筒状構造部材50の表面に形成された金属薄膜146aと半田付けされている。また、同軸ケーブル群151からは、保護接地線161(161a,161b)が伸びている。このうち、保護接地線161aは、導電体110と半田付けされている。保護接地線161bは、円筒状構造部材50の表面に形成された金属薄膜146bと半田付けされている。また、導電性樹脂25は、超音波プローブ内部側の構造部材30の表面に形成された金属薄膜153と電気的に導通している。なお、説明の都合上、図11と同様に一部省略している。
図14は、図13の破線枠150で囲まれた同軸ケーブル群151の拡大図を示す。図14(a)は、側面方向からの拡大図であり、図14(b)は同軸ケーブル群151の上面からの断面図である。なお、以下では、1本1本の同軸ケーブル140が束になったものを同軸ケーブル群151という。
各同軸ケーブル140の構成は、図9と同様である。そして、同軸ケーブル140のシールド線(シグナルGND線)143同士が短絡させている。その短絡させたシールド線部分からグランド線(シグナルGND線)165が伸びている。
また、複数の同軸ケーブル140は束ねられて、総合シールド線160で被覆されている。また、その総合シールド線160は外皮162で被覆されている。総合シールド線160からはグランド線(保護接地線)161が延びている。
図13では、保護接地線161a、161b、導電体の110の底面、音響整合層の外表面に形成された金属薄膜155、構造部材30bの下面に形成された銅箔105、及び円筒状構造部材50の側面表面に形成された金属薄膜146bにより、超音波プローブの筐体全体が保護接地されている。
この保護接地は、シグナルGND線165、電極22b、構造部材30bの上面に形成された銅箔153、及び円筒状構造部材50の側面表面に形成された金属薄膜146aにより構成されるシグナルGNDとは分離されている。すなわち、保護接地線(総合シールド線160)は、個々の振動子エレメントに接続された同軸ケーブル群のシールド(シグナルGND線165)とは電気的に独立している。
このように、超音波プローブ全体を保護接地で覆い、その内部でシグナルGNDを設けると、外部からの電気的ノイズは保護接地により遮断され、シグナルGNDへの電気的ノイズの影響を抑制することができる(耐ノイズ性が高まる。)。これにより、シグナルGNDの電位が変化することがなく、信号線に対する基準電位としてのブレを抑制でき、よりノイズ成分の少ない超音波画像信号を得ることができる。
なお、第1及び第2の実施形態では圧電素子を用いた電子ラジアル型超音波プローブを用いたが、これに限定されず、静電容量型振動子(c−MUT)を用いた電子ラジアル型超音波プローブに対しても適用することができる。
以上より、超音波内視鏡先端部分に機械的な破損が生じても、感電を防止することができる。そして、保護接地とシグナルGNDを分離することで、第1の実施形態よりも耐ノイズ性を向上させることができる。
本発明における超音波内視鏡の外観構成を示す図である。 図1の超音波内視鏡1の先端部の拡大図である。 第1の実施形態における超音波プローブの製造工程(その1)を示す図である。 第1の実施形態における超音波プローブの製造工程(その2)を示す図である。 第1の実施形態における超音波プローブの製造工程(その3)を示す図である。 第1の実施形態における超音波プローブの製造工程(その4)を示す図である。 第1の実施形態における構造体Dに取り付けられるバルーン係止部材及びその支え部材の一例を示す。 第1の実施形態における導体板110のバリエーションの一例を示す。 第1の実施形態における導体板110を構造体Dに取り付け時の断面図を示す。 図9の破線枠130で囲まれた同軸ケーブル群62の拡大図を示す。 第1の実施形態における超音波プローブ10が保護接地されている状態の断面図を示す。 第2の実施形態における超音波プローブの製造工程の一部を示す。 第2の実施形態における保護接地及びシグナルGNDが分離された超音波プローブ10の断面を示す。 図13の破線枠150で囲まれた同軸ケーブル群151の一部分の拡大図を示す。
符号の説明
1 超音波内視鏡
2 挿入部
3 操作部
4 ユニバーサルコード
4a 内視鏡コネクタ
5 電気ケーブル
5a 電気コネクタ
6 超音波ケーブル
6a 超音波コネクタ
7 先端硬質部
8 湾曲部
9 可撓管部
10 超音波プローブ
11 アングルノブ
12 送気・送水ボタン
13 吸引ボタン
14 処置具挿入口
17 音響レンズ(超音波送受部)
18a 送気・送水口
18b 照明レンズ
18c 対物レンズ
18d 吸引兼鉗子口
19 バルーン係止部(バルーン係止部材)
20 基板(シグナル基板)
20a 電極層
21 導電体
22(22a,22b) 電極
23 圧電素子
24 音響整合層
24a 第1音響整合層
24b 第2音響整合層
25 導電性樹脂(導体)
26 溝
27 振動子エレメント
30(30a,30b) 構造部材
40 バッキング材
41 導体(銅線)
50 円筒状構造部材
51 電極パッド
52 鍔(つば)
53 円筒部分
54 プリント配線板
62 同軸ケーブル
90 ワイヤー
100 ポッティング樹脂
101,102,103(103a、103b) 半田
104 導電性樹脂
105 銅箔
110 導体板
111 支え部材
112 保護接地線
140 同軸ケーブル
141 信号線
142 誘電体
143 シールド線
144 外皮
145 グランド線
151 同軸ケーブル群
160 総合シールド線
161(161a,162b) 保護接地線
162 外皮
165 シグナルGND線




Claims (7)

  1. 第1の電極と第2の電極とを有し該電極間の電位差により超音波を送受する複数の超音波振動子エレメントが円筒状に配列され、該各超音波振動子エレメントを駆動させる駆動信号を送信するための各超音波振動子エレメントに対応するケーブル群が前記円筒の内部に格納され、該各ケーブルの信号線が前記円筒の内側に存在する第1の電極と電気的に接続されている電子ラジアル型超音波振動子であって、
    前記円筒状に複数配列された前記超音波振動子エレメント群がなす円筒体の開口部に装着される該開口部と略同一形状を有する第1の導電体が、前記ケーブルに含まれるグランド線と接続されている
    ことを特徴とする電子ラジアル型超音波プローブ。
  2. 前記ケーブルは同軸ケーブルであり、該同軸ケーブルのシールド材が前記グランド線として前記第1の導電体に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の電子ラジアル型超音波プローブ。
  3. 前記グランド線は、前記各同軸ケーブルの前記シールド材を相互に短絡させることを特徴とする請求項2に記載の電子ラジアル型超音波プローブ。
  4. 前記グランド線は、さらに、前記第2の電極と電気的に接続されることを特徴とする請求項3に記載の電子ラジアル型超音波プローブ。
  5. 前記円筒体は、前記第2の電極よりも外周側の層に第2の導電体を有し、
    前記ケーブルは、前記信号線を第1のシールド材で覆ったものである同軸ケーブルの複数を束ねて第2のシールド材で覆ったものであり、前記第1のシールド材は前記第2の電極に接続され、前記第2のシールド材は前記第1の導電体と前記第2の導電体とに接続されることを特徴とする請求項1に記載の電子ラジアル型超音波プローブ。
  6. 前記超音波振動子エレメントは、圧電素子または静電容量型超音波振動子のうちいずれかより構成されることを特徴とする請求項1に記載の電子ラジアル型超音波プローブ。
  7. 請求項1〜6のうちいずれか1項に記載の電子ラジアル型超音波プローブを備える超音波内視鏡。



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