JP2007149886A - 化合物半導体スイッチ回路装置およびその製造方法 - Google Patents

化合物半導体スイッチ回路装置およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】スイッチMMICにおいて、ゲート配線と、ソース配線電極またはドレイン配線電極との交差部では容量が大きく、高周波信号の漏れが発生し、歪特性が悪い問題があった。
【解決手段】ゲート配線上を、比誘電率の大きい窒化膜(膜厚3000Å)と、比誘電率の小さい中空部(厚さ2μm)で被覆し、その上にソース配線電極またはドレイン配線電極を設ける。これにより交差部での容量を低減できる。またゲート電極の一端を延在して曲折部を形成し、曲折部をソース電極−ドレイン電極間に配置する。これによりスイッチMMICの全てのソース電極−ドレイン電極間に、ゲート電極(曲折部)またはゲート配線を配置できる。オフ側FETのゲート電極は高周波信号としてGND電位であるので、ドレイン電極−ソース電極間の高周波信号の漏れを防止でき、交差部の中空部の配置と併せてスイッチMMICの歪特性を大幅に向上できる。
【選択図】 図3

Description

本発明は、化合物半導体スイッチ回路装置およびその製造方法に係り、特に高周波信号の漏れを抑制し、歪み特性の劣化を防止した化合物半導体スイッチ回路装置およびその製造方法に関する。
携帯電話等の移動体用通信機器では、GHz帯のマイクロ波を使用している場合が多く、アンテナの切換回路や送受信の切換回路などに、これらの高周波信号を切り替えるためのスイッチング素子が用いられることが多い。その素子としては、高周波を扱うことからガリウム・砒素(GaAs)を用いた電界効果トランジスタ(以下FETという)を使用する事が多く、これに伴って前記スイッチ回路自体を集積化したモノリシックマイクロ波集積回路(MMIC)の開発が進められている(例えば特願2004−371831号明細書参照。)。
図25は、従来の化合物半導体チップの一例として、FETを複数段接続した2つのスイッチング素子からなるスイッチMMICを示す。
化合物半導体基板に第1および第2スイッチング素子SW1、SW2となる2つのFET群を配置する。各FET群は4つのFETを直列に接続したものである。各FET群を構成する8つのゲート電極にはそれぞれ、第1コントロール抵抗CR1、第2コントロール抵抗CR2が接続されている。また共通入力端子INおよび共通出力端子OUT1およびOUT2に接続する電極パッドI、O1、O2と、制御端子Ctl1およびCtl2にそれぞれ接続する2つの電極パッドC1およびC2が基板の周辺に設けられている。
点線で示した第2層目の金属層による配線は各FETのゲート電極を形成するゲート金属層220であり、実線で示した第3層目の金属層による配線は各素子の接続およびパッドの形成を行う配線金属層230である。第1層目の金属層であるオーミック金属層は各FETのソース電極、ドレイン電極等を形成するものであり、図25では、配線金属層と重なるために図示されていない。
第1スイッチング素子SW1のFET1−1〜FET1−4、および第2スイッチング素子SW2のFET2−1〜FET2−4は全て同様の構成である。例えば、FET1−1は上側から伸びる櫛状の6本の配線金属層230が共通入力端子パッドIに接続されるソース電極215(あるいはドレイン電極)であり、この下にオーミック金属層で形成されるソース電極(あるいはドレイン電極)が設けられる。各ソース電極215は配線金属層230によるソース配線231によりそれぞれ接続されている。
また下側から伸びる櫛歯状の6本の配線金属層230がFET1−1のドレイン電極216(あるいはソース電極)であり、この下にオーミック金属層で形成されるドレイン電極(あるいはソース電極)が設けられる。各ドレイン電極216は配線金属層230によるドレイン配線232によりそれぞれ接続されている。
ソース電極215およびドレイン電極216は櫛歯をかみ合わせた形状に配置され、その間にゲート金属層220で形成されるゲート電極217が11本の櫛歯形状に配置されている。各ゲート電極217は、実線で示す動作領域100外でゲート配線221によってそれぞれ接続されている。
図25において第1スイッチング素子SW1の交差部CP’(丸印部分)は、ゲート配線221と、ソース電極215またはドレイン電極216が窒化膜(不図示)を介して交差する領域である。しかし実験の結果、このような構造では2次高調波歪が悪化することが判った。
これは、例えば第1スイッチング素子SW1がオフ側のスイッチング素子の場合、交差部CP’においてはソース電極215またはドレイン電極216を通過する高周波信号が窒化膜を介してゲート配線221に漏れるためと考えられる。
詳細は後述するが、交差部CP’の面積を決定するゲート配線幅dgを変化させて2次高調波レベルを測定した結果によれば、ゲート配線221の幅が小さい方が2次高調波レベルが改善される。つまり、スイッチMMIC全体として交差部CP’の面積を低減し、寄生容量を低下させることによって、2次高調波レベルを改善できる。
しかし現在のスイッチMMICにおいて、ゲート配線221の抵抗値が大きくなり過ぎないようにするためゲート配線の幅の最小値は1μm程度であり、これ以上の細線化は現実的でない。また、ゲート配線の幅を1μmまで細線化したとしても2次高調波の改善は十分なレベルには達しない。具体的には、入力パワーが29dBmにおいて、ゲート配線の幅が1μmの場合の2次高調波レベルは−62dBcである。しかし、CDMA(Code Division Multiple Access:符号分割多重接続)方式の携帯電話端末で使用されるスイッチMMICの2次高調波は29dBm程度のパワーを入力した場合、−75dBc程度のレベルが要求される。これは、CDMA方式の携帯電話端末において混信を防ぐために必要なレベルであり、ゲート配線の幅を1μmまで細線化して寄生容量の低減を図っても、このレベルには不足である。
本発明は上述した諸々の事情に鑑み成されたもので、第1に、化合物半導体基板にスイッチング素子を集積化し、第1RFポートと、第2RFポートと、制御端子に接続するスイッチ回路装置であって、前記基板上に設けられた櫛状のソース電極、ゲート電極、ドレイン電極と、前記ソース電極およびドレイン電極にそれぞれ接続するソース配線電極およびドレイン配線電極と、前記ゲート電極の一端を曲折し、前記ソース配線電極またはドレイン配線電極の一端の近傍に配置された曲折部と、前記ゲート電極の他端が接続し、前記ソース配線電極または前記ドレイン配線電極と交差して延在するゲート配線と、前記ゲート配線上を覆って設けられた絶縁膜と、前記ソース配線電極または前記ドレイン配線電極と、前記絶縁膜との間に設けられた中空部と、を具備することにより解決するものである。
第2に、化合物半導体基板上にスイッチング素子を集積化し、第1RFポート、第2RFポート及び制御端子に接続する化合物半導体スイッチ回路装置であって、前記基板上に積層され、バッファ層、第1電子供給層、チャネル層、第2電子供給層、該第2電子供給層と格子整合する第1ノンドープ層、該第1ノンドープ層と格子整合する第2ノンドープ層、該第2ノンドープ層と格子整合する第3ノンドープ層、該第3ノンドープ層と格子整合する安定層、該安定層と格子整合するキャップ層を含む半導体層と、前記半導体層に設けられ、ソース領域およびドレイン領域を有する動作領域と、前記動作領域上に設けられ、前記第1RFポート、前記第2RFポートおよび前記制御端子にそれぞれ接続する櫛状のソース電極、ドレイン電極およびゲート電極と、前記ソース電極およびドレイン電極にそれぞれ接続するソース配線電極およびドレイン配線電極と、前記ゲート電極の一端を曲折し、前記ソース配線電極またはドレイン配線電極の一端の近傍に配置された曲折部と、前記ゲート電極の他端が接続し、前記ソース配線電極または前記ドレイン配線電極と交差して延在するゲート配線と、前記ゲート配線上を覆って設けられた絶縁膜と、前記ソース配線電極または前記ドレイン配線電極と、前記絶縁膜との間に設けられた中空部と、を具備することにより解決するものである。
第3に、第1RFポートと、第2RFポートと、制御端子に接続するスイッチング素子を化合物半導体基板に集積化する化合物半導体スイッチ回路装置の製造方法において、前記基板上に動作領域を形成する工程と、該動作領域上に櫛状のソース電極およびドレイン電極を形成する工程と、前記動作領域とショットキー接合を形成する櫛状のゲート電極と、該ゲート電極に接続するゲート配線とを形成する工程と、前記ゲート配線上を絶縁膜で被覆する工程と、前記絶縁膜上に中空部を介して延在し前記ソース電極または前記ドレイン電極と接続するソース配線電極またはドレイン配線電極を形成する工程と、を具備することにより解決するものである。
第4に、第1RFポートと、第2RFポートと、制御端子に接続し、高周波アナログ信号をスイッチングするスイッチング素子を化合物半導体基板上に集積化する化合物半導体スイッチ集積回路装置の製造方法であって、前記基板上にバッファ層、第1電子供給層、チャネル層、第2電子供給層、該第2電子供給層と格子整合する第1ノンドープ層、該第1ノンドープ層と格子整合する第2ノンドープ層、該第2ノンドープ層と格子整合する第3ノンドープ層、該第3ノンドープ層と格子整合する安定層、該安定層と格子整合するキャップ層を含む複数の半導体層を積層し、絶縁化領域により動作領域を分離する工程と、該動作領域上に櫛状のソース電極およびドレイン電極を形成する工程と、前記動作領域とショットキー接合を形成する櫛状のゲート電極と、該ゲート電極に接続するゲート配線とを形成する工程と、前記ゲート配線上を絶縁膜で被覆する工程と、前記絶縁膜上に中空部を介して延在し前記ソース電極または前記ドレイン電極と接続するソース配線電極またはドレイン配線電極を形成する工程と、を具備することにより解決するものである。
本発明に依れば以下の効果が得られる。
第1に、ゲート配線とソース配線電極、またはドレイン配線電極との交差部において、ゲート配線上に窒化膜および中空部を配置し、その上にソース配線電極またはドレイン配線電極を延在する。これによりゲート電極のパターンが櫛状であっても交差部の寄生容量は十分小さくなり、高周波信号の漏れが発生しなくなる。従って、2次高調波レベルを十分低くできる。
第2に、ゲート電極のパターンが櫛状であるので、メアンダー形状のゲート電極と比較して静電破壊電圧を向上させることができる。
第3に、ゲート配線の上方に中空部を配置すればよく、従来のスイッチMMICのゲート配線、配線金属層のパターンを変更せずに実施できる。従ってチップ面積を維持して寄生容量の低減が実現できる。
第4に、ゲート電極の櫛歯の一端を延在して曲折部を設け、曲折部を全てのソース配線電極−ドレイン配線電極間に配置する。
これにより、ソース配線電極−ドレイン配線電極間(櫛歯のソース電極−ドレイン配線間および櫛歯のドレイン電極−ソース配線間)において、基板を介して流れる高周波電流をゲート電極(曲折部)により遮断できる。すなわち、スイッチMMICにおいて、1層目および2層目のソース電極−ドレイン電極間の従来の高周波信号のリーク経路は全てゲート電極またはゲート配線で遮断できる。
オフ側FETにおいてゲート電極またはゲート配線は、高周波信号としてGND電位である。従って、オフ側FETの従来の高周波信号の全てのリーク経路において、ソース電極とドレイン電極の電位の間にGND電位が配置されたこととなる。つまりソース電極およびドレイン電極間の直接的な高周波信号の電界が、ソース電極およびドレイン電極間に高周波信号としてGND電位のゲート電極またはゲート配線を配置することにより、大幅に弱まるため、ソース電極−ドレイン電極間の高周波信号の漏れを防止できる。このことにより3次高調波レベルを十分に低くできる。
第5に、中空部は従来より他の金属層の交差箇所においてショート防止のために設けられていたものである。すなわち、特別な工程を付加することなく中空部形成パターンの変更のみで寄生容量の低減を図ることができる。
図1から図24を参照し、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
まず、図1から図8を参照して第1の実施形態を説明する。図1は、FETを複数段接続した4つのスイッチング素子からなるDPDT(Double Pole Double Throw)スイッチMMICの一例を示す回路図である。
DPDTは、CDMA携帯電話等に用いられるスイッチMMICであり、第1〜第4スイッチング素子SW1、SW2、SW3、SW4、2つの第1RFポート(第1共通入力端子IN1、第2共通入力端子IN2)と2つの第2RFポート(第1共通出力端子OUT1、第2共通出力端子OUT2)を有する。第1および第2スイッチング素子SW1、SW2で構成されるSPDTスイッチと、第3および第4スイッチング素子SW3、SW4で構成される他のSPDTスイッチを、第2RFポートで互いに接続した構成である。
各スイッチング素子SW1、SW2、SW3、SW4は、それぞれFETが3段直列に接続したFET群である。これらのスイッチング素子を構成するFETはディプレッション型FET(D−FET)である。例えば第1スイッチング素子SW1は、FET1−1、FET1−2、FET1−3が直列接続する。第2スイッチング素子SW2は、FET2−1、FET2−2、FET2−3が直列接続する。第3スイッチング素子SW3は、FET3−1、FET3−2、FET3−3が、第4スイッチング素子SW4は、FET4−1、FET4−2、FET4−3がそれぞれ直列接続する。
第1スイッチング素子SW1の一端(FET1−3)のドレイン電極(またはソース電極)は、第3スイッチング素子SW3の一端(FET3−3)のドレイン電極(またはソース電極)と接続し、第2スイッチング素子SW2の一端(FET2−3)のドレイン電極(またはソース電極)は、第4スイッチング素子SW4の一端(FET4−3)のドレイン電極(またはソース電極)と接続する。
第1および第2スイッチング素子SW1、SW2の他端(FET1−1、FET2−1)のソース電極(またはドレイン電極)は第1共通入力端子IN1に接続し、第3および第4スイッチング素子SW3、SW4の他端(FET3−1、FET4−1)のソース電極(またはドレイン電極)は第2共通入力端子IN2に接続する。
また第1、第3スイッチング素子SW1、SW3に共通の第1共通出力端子OUT1、およびまた第2、第4スイッチング素子SW2、SW4に共通の第2共通出力端子OUT2を有する。尚、スイッチMMICにおいては、ソース電極およびドレイン電極は等価である。従って以下ソース電極およびドレイン電極はこれらを入れ替えても同様である。
また、第1スイッチング素子SW1と第4スイッチング素子SW4のFETのゲート電極にはそれぞれコントロール抵抗CRが接続し、破線で示すロジック素子Lを介して制御端子Ctlに接続する。また第2スイッチング素子SW2および第3スイッチング素子SW3のゲート電極もそれぞれコントロール抵抗CRを介してロジック素子LのポイントPに接続する。
コントロール抵抗CRは、交流接地となる制御端子Ctlの直流電位およびロジック素子LのポイントPの直流電位に対して、ゲート電極を介して高周波信号が漏出することを防止する目的で配置されている。コントロール抵抗CRの抵抗値はそれぞれ5KΩ〜10KΩ程度である。
第1実施形態のスイッチMMICはロジック素子Lを備える。ロジック素子Lはインバータ回路であり、構成は次のとおりである。
ソース電極がGND端子に接続されたエンハンスメント型FET(E−FET)のドレイン電極がポイントPであり、ポイントPに負荷抵抗Rlの一端が接続し、負荷抵抗Rlの他端が電源端子VDDに接続する。E−FETのゲート電極が入力抵抗Riを介して制御端子Ctlに接続する。
制御端子CtlとGND端子間およびポイントPとGND端子間には、雑音吸収および発振防止のためそれぞれ容量Ciおよび容量Crが接続されている。また入力抵抗Riは静電破壊防止、雑音吸収および発振防止のために配置されている。
ロジック素子L(インバータ回路)の動作は次のとおりである。制御端子Ctlに印加されたロジック信号はインバータにより反転され、ポイントPに制御信号の反転信号が発生する。すなわち制御端子Ctlが3VのときはポイントPは0Vとなり、制御端子Ctlが0VのときはポイントPは3Vとなる。
図1のDPDTスイッチMMICの回路動作は以下のとおりである。制御端子Ctlに3Vが印加されるとき、制御端子Ctlの信号がそのままゲート電極に入力される第1スイッチング素子SW1および第4スイッチング素子SW4が、オンとなる。これにより、第1共通入力端子IN1−第1共通出力端子OUT1間および第2共通入力端子IN2−第2共通出力端子OUT2間が導通状態となりそれぞれ信号経路が形成される。
一方ポイントPの信号、すなわち反転信号0Vがゲート電極に入力される第2スイッチング素子SW2および第3スイッチング素子SW3は、オフとなる。従って、第1共通入力端子IN1−第2共通出力端子OUT2間および第2共通入力端子IN2−第1共通出力端子OUT1間が遮断される。制御端子Ctlに0Vが印加されるときはその逆の動作である。
このようなDPDTでは、第1RFポートと第2RFポートを入れ替えて使用することができる。その場合には共通入力端子から共通出力端子へ向かう高周波信号の経路が逆向きとなる。
図2は、上記のDPDTを化合物半導体基板の1チップに集積化した平面図である。回路を構成するそれぞれの素子のパターン配置は図1の回路図の配置とほぼ同様である。FETはMESFET(Metal Semiconductor Field Effect Transistor)、GaAs JFET(Junction FET)、HEMT(High Electron Mobility Transistor)のいずれでも良いが、ここでは主にHEMTを用いて説明する。
HEMTの基板構造は、例えば半絶縁性GaAs基板上にバッファ層、電子供給層、チャネル(電子走行)層、キャップ層等を積層したものである。また、HEMTにおいては、バッファ層に達する絶縁化領域60で分離することにより、動作領域100、コントロール抵抗CR、負荷抵抗Rlや入力抵抗Riなどの伝導領域を形成する。ここでは伝導領域はたとえばn型の不純物領域である。
第1スイッチング素子SW1〜第4スイッチング素子SW4は、それぞれ3つのFETを直列接続したFET群である。各スイッチング素子SW1〜SW4のゲート電極にはそれぞれ、コントロール抵抗CRが接続されている。また第1共通入力端子IN1、第2共通入力端子IN2、第1共通出力端子OUT1、第2共通出力端子OUT2に接続する第1共通入力端子パッドI1、第2共通入力端子パッドI2、第1共通出力端子パッドO1、第2共通出力端子パッドO2が基板の周辺に設けられている。破線で囲まれたロジック素子Lは、図2の如くE−FETや各端子に対応するパッドV、G、C、負荷抵抗Rl、入力抵抗Ri、容量Cr、Ciなどが配置される。ロジック素子Lの構成および動作は上記の通りであり詳細については、ここでの説明は省略する。
また各スイッチング素子は、同様の構成であるので、以下第1スイッチング素子SW1について説明する。
FET1−1、FET1−2、FET1−3はそれぞれ、第1層目の金属層であり基板にオーミックに接触するオーミック金属層(AuGe/Ni/Au)によって、第1ソース電極13および第1ドレイン電極14が形成される。尚、図2ではオーミック金属層は第2配線金属層40と重なるために図示されていない。
第2層目の金属層はゲート金属層(例えばPt/Mo)20であり、ゲート配線電極Gを形成する。ゲート配線電極Gは櫛状であり、ゲート配線電極Gの各櫛歯(以下ゲート電極17)がゲート配線21により接続されたものである。ゲート配線21もゲート金属層20により形成され、すなわちゲート電極17とゲート配線21は連続している。
第3層目の金属層は第1配線金属層(Ti/Pt/Au)30であり、ハッチングの如く各電極パッド(V、G、C、I1、I2、O1、O2)、容量Ci、Crの下部電極および配線を形成する。
第4層目の金属層は第2配線金属層(Ti/Pt/Au)40であり、オーミック金属層に重畳しソース配線電極SEおよびドレイン配線電極DEを形成する。ソース配線電極SEは櫛状であり、第1ソース電極13と重畳するソース配線電極SEの各櫛歯(以下第2ソース電極15)がソース配線31により接続されたものである。ソース配線31も第2配線金属層40により形成され、すなわち第2ソース電極15とソース配線31は連続してソース配線電極SEを構成する。
ドレイン配線電極DEは櫛状であり、第1ドレイン電極14と重畳するドレイン配線電極DEの各櫛歯(以下第2ドレイン電極16)がドレイン配線32により接続されたものである。ドレイン配線32も第2配線金属層40により形成され、すなわち第2ドレイン電極16とドレイン配線32は連続してドレイン配線電極DEを構成する。第2配線金属層40は、パッドも形成する。
すなわち、ソース配線電極SE、ドレイン配線電極DEは第2配線金属層40のみで形成されるが、各パッドは第1配線金属層30および第2配線金属層40の2層を積層して形成される。
また第1配線金属層30、第2配線金属層40により、第1スイッチング素子SW1〜〜第4スイッチング素子SW4とロジック素子Lとを接続する所望のパターンの配線が形成される。配線は、第1配線金属層30および第2配線金属層40がそれぞれ単層でパターンニングされる領域と、絶縁膜および中空部を介して互いに交差する領域がある。
動作領域100において、FET1−1は左側から伸びる3本の第2配線金属層40が第1共通入力端子パッドI1に接続される第2ソース電極15であり、この下にオーミック金属層で形成される第1ソース電極13がある。また右側から伸びる3本の第2配線金属層40がFET1−1の第2ドレイン電極16であり、この下に第1ドレイン電極14がある。この両電極は櫛歯をかみ合わせた形状に配置され、その間にゲート電極17が5本配置されている。
FET1−2では、左側から延びる3本の第2ドレイン電極16は、FET1−1の第2ドレイン電極16と接続している。ここで、この電極は高周波信号の通過点に過ぎず一般には外部に導出する必要が無いためパッドは設けられていない。また、右側から延びる4本の第2ソース電極15は、FET1−3の第2ソース電極15に接続している。この電極も同様に高周波信号の通過点に過ぎず一般には外部に導出する必要が無いためパッドは設けられていない。この両電極の下にオーミック金属層がある。これらは櫛歯をかみ合わせた形状に配置され、その間にゲート電極17が6本の櫛状に配置されている。
FETを多段に直列に接続したスイッチMMICはFET1段のスイッチMMICに比べ、FET群がOFFの時により大きな電圧振幅に耐えられるため高出力スイッチMMICとなる。その際FETを直列に接続するときに接続部となるFETのソース電極またはドレイン電極は一般には外部に導出する必要が無いためパッドを設ける必要はない。
FET1−3は左側から伸びる3本の第2配線金属層40が第2ソース電極15であり、この下に第1ソース電極13がある。また右側から伸びる櫛状の4本の第2配線金属層40が、第1共通出力端子パッドO1に接続する第2ドレイン電極16であり、この下に第1ドレイン電極14がある。この両電極は櫛歯をかみ合わせた形状に配置され、その間にゲート電極17が6本配置されている。ゲート配線20は、コントロール抵抗CRを介して制御端子パッドCと接続する。
コントロール抵抗CRは、前述の如く絶縁化領域60により分離された伝導領域により構成される。本実施形態ではコントロール抵抗CRを高抵抗体で構成する。高抵抗体は、HEMT構造のキャップ層を除去し、下層の高シート抵抗値を有する半導体層のみを抵抗層としたものである。コントロール抵抗CRは高周波信号の漏れを防止するため、高い抵抗値にする必要があるが、高抵抗体で構成することにより、短い距離で抵抗値を高めることができる。一方負荷抵抗Rlや入力抵抗Riは精度の良い抵抗値を得るためHEMT構造のキャップ層を除去しない伝導領域より構成されている。
また、各パッドI1、I2、O1、O2周辺には、高周波信号の漏れを防ぎ、アイソレーション向上のため一点鎖線の如く周辺伝導領域70が配置される。また、各パッド−各FET間、各パッド−ソース(ドレイン)配線間、抵抗−抵抗間にも同様に周辺伝導領域70が形成されている。周辺伝導領域70は、例えばn型の高濃度の不純物領域である。
更に、第1スイッチング素子SW1および第2スイッチング素子SW2とロジック素子Lの間にも周辺伝導領域70を配置し、アイソレーションを向上させる。これらの周辺伝導領域70も絶縁化領域60により分離される。周辺伝導領域70は近接するパッドなどの金属層と直流的に接続するか、あるいはフローティング電位である。
図3は、図2の例えばFET1−1の動作領域100付近の拡大図である。図3(A)が平面図、図3(B)が図3(A)のa−a線断面図、図3(C)が図3(A)のb−b線断面図である。
図3(A)の如く、動作領域100上に櫛状の第1ソース電極13、第1ドレイン電極14が配置され、それぞれソース領域およびドレイン領域(ここでは不図示)とコンタクトする。また、それらに重畳して櫛状の第2ソース電極15、第2ドレイン電極16が配置される。
各ゲート電極17は、均等な幅の櫛状に形成され第2ソース電極15および第2ドレイン電極16間に配置される。またゲート電極17は、その一端(先端)を曲折した曲折部17aを有し、他端がゲート配線21に接続する。ここでは、隣り合うゲート電極17の曲折部17aが互いに対向して延在し、曲折部17a同士が接続したパターンを示す。すなわち、ゲート電極17と曲折部17aにより閉ループ形状が構成される。曲折部17aは、第2ソース電極15または第2ドレイン電極16のそれぞれの一端の近傍に配置される。また、第2ソース電極15および第2ドレイン電極16は、一端が曲折部17aに近接し、他端はそれぞれソース配線31およびドレイン配線32に接続する。
第2ソース電極15または第2ドレイン電極16と、ゲート配線21は、交差部CPにおいて交差する。交差部CPでは第2ソース電極15および第2ドレイン電極16と、ゲート配線21には、太破線の如く中空部520が配置される。
図3(B)は、図3(A)のa−a線断面図である。基板130は、半絶縁性GaAs基板131上にノンドープのバッファ層132を積層し、バッファ層132上に、n+型AlGaAs層の第1電子供給層133a、スペーサ層134、ノンドープInGaAs層のチャネル(電子走行)層135、スペーサ層134、第2電子供給層(n+型AlGaAs層)133b、第1ノンドープ層141、第2ノンドープ層142、第3ノンドープ層143、安定層144、キャップ層137を積層したものである。
バッファ層132は、不純物が添加されていない高抵抗層であり、その膜厚は、数千Å程度である。
電子供給層133は第1電子供給層133aおよび第2電子供給層133bの2層があり、それぞれチャネル層135の下層および上層に配置される。また、チャネル層135と各電子供給層133間にはそれぞれスペーサ層134が配置される。
電子供給層133はn+型AlGaAs層であり、チャネル層135よりバンドギャップが大きい材料が用いられる。また、電子供給層133のn+型AlGaAs層のn型不純物(例えばSi)の不純物濃度は、HEMTのオン抵抗Ronおよびピンチオフ電圧に関係し、本実施形態では2.6×1018cm−3とする。
このような構造により、電子供給層133のドナー不純物から発生した電子が、チャネル層135側へ移動し、電流パスとなるチャネルが形成される。この結果、電子とドナー・イオンは、ヘテロ接合界面を境として空間的に分離されることになる。電子はチャネル層135を走行するが、チャネル層135にはドナー・イオンが存在しないためクーロン散乱の影響が非常に少なく、高電子移動度を持つことができる。
また、チャネル層135の上下に、第1電子供給層133aおよび第2電子供給層133bを配置する。このようなダブルへテロ接合構造とすることにより、キャリア密度が増えオン抵抗Ronを非常に小さくできる。
第1ノンドープ層141は、第2電子供給層133bと当接してその上に設けられ、両者は格子整合する。第1ノンドープ層141はノンドープのAlGaAs層であり膜厚は150Åである。チャネル層135に近い部分に結晶歪みが少しでも発生する場合があると、良好なHEMTの特性を再現性良く得ることができない。しかし第1ノンドープ層141は、チャネル層135に近い第2電子供給層133bと同じAlGaAs層のため、チャネル層135に近い部分に結晶歪みが発生する要素を完全に無くすことができる。
第2ノンドープ層142は、第1ノンドープ層141と当接してその上に設けられ、第1ノンドープ層141と格子整合する。第2ノンドープ層142はノンドープのInGaP層であり膜厚は50Åである。又、第2ノンドープ層142は、その上に当接する第3ノンドープ層143のエッチングストップ層として機能する。
第3ノンドープ層143は、第2ノンドープ層142と当接してその上に設けられ、第2ノンドープ層142と格子整合する。第3ノンドープ層143はノンドープのAlGaAs層であり膜厚は50Åである。第3ノンドープ層143表面にはゲート電極17が設けられる。AlGaAs層はInGaP層と比較して結晶成長が安定している。従ってAlGaAs層表面にゲート電極17を形成することにより、HEMTの特性を安定して得られる効果もある。
第1乃至第3ノンドープ層141〜143のトータル厚みはHEMTの所定の耐圧とオン抵抗が得られるよう設計されている。
安定層144は、第3ノンドープ層143と当接してその上に設けられ、第3ノンドープ層143と格子整合する。また、安定層144はその上層のキャップ層137とも格子整合する。安定層144は、酸化しにくいため外部からの化学的ストレスに強く信頼性上安定なノンドープInGaP層またはドープドInGaP層であり、膜厚は100Åである。
製造工程は後に詳述するが、本実施形態ではゲート電極17の形成前にキャップ層137のエッチングマスクとなった窒化膜51の一部を、プラズマエッチングにより除去する工程がある。従って、動作領域100をプラズマダメージから保護するため、キャップ層137の下層に化学的に安定なInGaP層を配置する。安定層144の厚みは100Åあればプラズマダメージから動作領域100を十分保護できる。安定層144はプラズマダメージを受けるが、ゲート電極17形成時には安定層144が除去されるので、ゲート電極17を清浄な第3ノンドープ層143上に形成することができる。また安定層144は、その上層のキャップ層137のエッチングストップ層としても機能し、キャップ層137と同じパターンでエッチングされている。
このように、それぞれエッチングストップ層となるInGaP層とAlGaAs層を繰り返し積層した構造とすることにより、所定の耐圧を容易に且つ再現性よく実現することができる。
また、InGaP層をGaAs層およびノンドープAlGaAs層と格子整合させることにより、結晶の歪みを回避し、スリットなどの結晶欠陥を防止できる。
また、安定層(InGaP層)144をGaAs層およびノンドープAlGaAs層と格子整合させることにより、結晶の歪みを回避し、スリットなどの結晶欠陥を防止できる。
キャップ層となるn+型GaAs層137は、最上層に積層される。キャップ層137の厚みは600Å以上、不純物濃度は、2×1018cm−3以上であり、好適には膜厚が1000Å程度、不純物濃度が3×1018cm−3以上である。
HEMTの動作領域100は、バッファ層132に達する絶縁化領域60によって、図3(A)の細線の如く他の領域と分離される。HEMTのエピタキシャル構造はキャップ層137を含んでいる。キャップ層137の不純物濃度は1〜5×1018cm−3程度と高濃度であるため、キャップ層137の配置されている領域は機能的には高濃度の不純物領域といえる。
以下、HEMTの動作領域100とは、絶縁化領域60で分離され、HEMTの第1ソース電極13、第2ソース電極15、第1ドレイン電極14、第2ドレイン電極16およびゲート電極17が配置される領域の半導体層をいう。すなわち電子供給層133、チャネル(電子走行)層135、スペーサ層134、第1〜第3ノンドープ層141、142、143、安定層144、キャップ層137などのHEMTを構成する各半導体層をすべて含んだトータルとしての領域を動作領域100とする。
絶縁化領域60は、電気的に完全な絶縁ではなく、不純物(B+)をイオン注入することによりエピタキシャル層にキャリアトラップを設け、絶縁化した領域である。つまり、絶縁化領域60にもエピタキシャル層として不純物は存在しているが、絶縁化のための不純物(B+)注入により不活性化されている。
動作領域100では図3(B)のごとく、高濃度不純物が添加されたキャップ層137を部分的に除去することにより、ソース領域137sおよびドレイン領域137dを設ける。ソース領域137sおよびドレイン領域137dにはオーミック金属層10で形成される第1ソース電極13、第1ドレイン電極14が接続し、その上層には第2配線金属層40により第2ソース電極15、第2ドレイン電極16が形成される。
また、動作領域100の一部のキャップ層137をエッチングにより除去して、耐圧およびオン抵抗に応じて例えば第3ノンドープ層143を露出し、ゲート電極17(および曲折部17a)を形成する。
ゲート電極17は、蒸着金属の最下層金属(Pt)の一部が熱処理により動作領域100表面に埋め込まれる。埋め込まれたPt(以下この領域を埋め込み部17bと称する)もゲート電極17の一部であり、ゲート電極17として機能する。埋め込み部17bの底部は、第3ノンドープ層143および第2ノンドープ層142を貫通して第1ノンドープ層141に達する。すなわち、埋め込み部17bを含むゲート電極17は、第1ノンドープ層141、第2ノンドープ層142および第3ノンドープ層143とショットキー接合を形成する。
このように本実施形態では、Ptの一部を動作領域100表面に埋め込んだ、埋め込み電極構造を採用する。これにより、埋め込み部17bの底部の端を湾曲形状にできる。
後に詳述するが、ゲート電極17の形成工程においてゲート金属層の蒸着前に安定層144はプラズマダメージを受ける。その状態で安定層144上にゲート電極17を形成して埋め込むと、埋め込み部17bの形成は所定の曲率半径を有する連続した曲線とならない。そこで、本実施形態では安定層144を除去し、清浄な第3ノンドープ層143表面にゲート金属層を蒸着する。これにより、埋め込み部17bの端部、すなわちショットキー接合の端部の形状が所定の曲率半径を有する連続した曲線となる。従って、ゲート電極17に逆バイアスが印加される際、電界強度が分散される。つまり、電界集中の緩和により最大電界強度が弱まり、大きな耐圧を得ることができる。
また、埋め込み部17bは第1ノンドープ層141に達するが、埋め込み部17bの底部が第1乃至第3ノンドープ層141〜143層のうちどの層にあったとしても、ゲート電極17から電子供給層133(第2電子供給層133b)に至るまでの間に不純物が添加された層が無く、実質的に電子供給層133に連続する第1ノンドープ層141に、ゲート電極17が設けられたことと等価となる。
このように、ダブルへテロ接合構造で、電子供給層133に連続するノンドープ層にゲート電極17が設けられた構造により、電子供給層の濃度を2.6×1018cm−3まで上げることができる。すなわち、HEMTは所定の耐圧を確保しながら非常に低いオン抵抗を実現することができる。これにより、Vp=−0.8Vにおいて20Vの耐圧を有しながら、ゲート幅1mmあたりのオン抵抗としてゲート電圧Vg=0Vでオン抵抗Ron=1.4Ω/mmを実現した。このオン抵抗の値はスイッチ用HEMTとしては極めて低いといえる。
第1ノンドープ層141、第3ノンドープ層143はAlGaAs層であり、第2ノンドープ層142、安定層144はInGaP層である。InGaP層とAlGaAs層はエッチングの選択比が高いため、ウェットエッチングで容易に所望の層を露出させることができる。
すなわち、第2ノンドープ層142は第1ノンドープ層141を露出する際のエッチングストップ層となる。また、第3ノンドープ層143は、プラズマダメージを受けた安定層144を選択エッチングにより除去し、清浄なノンドープ層にゲート電極17を形成するために設けられる。
図3(A)(C)のごとく、ゲート配線21とドレイン配線電極DE(詳細には第2ドレイン電極16)は交差部CPにおいて絶縁膜510および中空部520を介して交差する。以下第2ドレイン電極16について説明するが、ゲート配線21とソース配線電極SE(第2ソース電極15)も同様である。
ゲート配線21と第2ドレイン電極16は互いに直交する方向に延在する。ゲート配線21は、ゲート電極17と同様にキャップ層137および安定層144をエッチングして露出した第3ノンドープ層143上に設けられ、その一部が基板130表面に埋め込まれる。すなわち、ゲート配線21の埋め込み部21bは、第3ノンドープ層143、第2ノンドープ層142を貫通し、第1ノンドープ層141に達する。
ゲート配線21はその周囲に高濃度の不純物領域(伝導領域)、すなわちキャップ層137を含む基板130が配置されるように、バッファ層132に達する絶縁化領域60により動作領域100と分離される。ゲート配線21と周囲の伝導領域(周辺伝導領域70)は、直流電流が流れる状態で接続(以下直流的に接続)する。これにより、ゲート配線21付近のアイソレーションが向上する。
ここで、HEMTのゲート電極17およびゲート配線21は、第3ノンドープ層143上に蒸着される。製造工程は後述するが、ゲート電極17、ゲート配線21の形成領域のフォトリソグラフィ工程の後、窒化膜エッチングと、さらにキャップ層137のサイドエッチングを0.3μm程度行い、ゲート電極17、ゲート配線21が形成される。
すなわち、ゲート配線21の直下は、第1ノンドープ層141〜第3ノンドープ層143が配置され、ゲート配線21が直流的に接続する周辺伝導領域70は、周囲に配置されたキャップ層137を含む基板130である。つまり、ゲート配線21は周辺伝導領域70と直接固着してはいないが、わずか0.3μm程度の離間距離であれば直流的に十分接続しているといえる。
このように、絶縁化領域60は、周辺伝導領域70と動作領域100を分離する。尚、図示は省略するが、スイッチMMICにおいては抵抗も伝導領域(不純物領域)により形成され、また各パッドの周辺にもアイソレーション向上のため周辺伝導領域(不純物領域)70が形成される。そしてこれらのパターンは、それぞれ図3(C)の如く、絶縁化領域60によって分離される。
ゲート配線21上には、比誘電率の大きい絶縁膜510と、比誘電率の小さい中空部520が配置され、その上を第2ドレイン電極16が交差する。絶縁膜510は、少なくとも1層の例えば窒化膜である。以下絶縁膜510および中空部520について詳細に説明する。
ゲート配線21(ゲート電極17も同様)の周囲のキャップ層137表面には、それぞれのマスクやパッシベーション膜となる第1窒化膜511、第2窒化膜512、第3窒化膜513、第4窒化膜514が積層される。一方、ゲート配線21(ゲート電極17)とその周囲に露出した第3ノンドープ層143は、第3窒化膜513、第4窒化膜514で被覆される。第3窒化膜513、第4窒化膜514の膜厚はそれぞれ1500Å程度である。本実施形態では一例として第3窒化膜513、第4窒化膜514によって絶縁膜510が構成される場合を例に説明するが、前述の如く絶縁膜510は、中空部520よりも比誘電率が大きい、少なくとも1層の絶縁膜により構成されればよい。
絶縁膜510は、ゲート配線21と重畳し、ゲート配線21上に配置されるが、ゲート配線21とドレイン配線電極DEの交差部CPにおいては絶縁膜510上に中空部520が配置される。中空部520は、レジスト上にドレイン配線電極DEを蒸着リフトオフ後、当該レジストを除去することによりドレイン配線電極DEと絶縁膜510間に空気を内在させた、いわゆるエアブリッジである。中空部520の厚み(高さ)は、2μm程度である。すなわち、交差部CPのゲート配線21上には、第3窒化膜513、第4窒化膜514からなる絶縁膜510(窒化膜の場合:比誘電率εs1=7.5)が配置され、その上に中空部520(比誘電率εs2=1)が配置される。そして、ゲート配線21の延在方向と直交する方向に、第2ドレイン電極16が延在する。また、第2ドレイン電極16に接続するドレイン配線32は、ゲート配線21と並行に延在する。
図3(A)、(C)において、高周波信号の流れを矢印Xで示した。すなわち、本実施形態では厚く比誘電率の小さい中空部520によって、高周波信号が伝搬する第2ドレイン電極16とゲート配線21の交差部CPでの寄生容量を十分小さくできる。これにより、高周波信号の漏れの発生を防ぐことができる。
図4には比較のため、従来(図25)の交差部CP’付近の拡大図を示す。図4(A)が平面図であり、図4(B)が図4(A)のc−c線断面図である。尚、基板130の構造は、図3と同様であるので説明は省略する。また他の構成要素についても図3と同様のものは同一符号とし、説明を省略する。
図4(B)は、本実施形態では図3(C)に相当する断面である。このように従来では、ドレイン電極216とゲート配線221は、交差部CP’において第3窒化膜513を介して交差する。第3窒化膜513の膜厚は、1500Åである。
すなわち、ゲート配線221と高周波信号の流れるドレイン電極216間には、比誘電率の大きい第3窒化膜513が1500Åの膜厚で配置されるのみである。従って、この間の寄生容量が大きく、そのために高周波信号の漏れが発生する問題があった。
具体的に、図3の構造におけるゲート配線21−第2ドレイン電極16間の容量値C1および図4の構造におけるゲート配線221−ドレイン電極216間の容量値C2を比較する。容量値Cは以下の式で与えられる。
C=ε・ε・S/d
ここで、ε:真空の誘電率(F/cm)、ε:比誘電率、S:面積(cm)、d:厚み(cm)である。また、ゲート配線幅dgを1μm、ゲート配線の長さ100μmあたりの容量値とする。
図3の場合は、ゲート配線21−第2ドレイン電極16間に、絶縁膜(第3窒化膜および第4窒化膜)510および中空部520が配置される。絶縁膜510の容量値C11=(8.85E−14×7.5×100E−8)/3000E−8=22.1fFであり、中空部520の容量値C12=(8.85E−14×1×100E−8)/2E−4=0.443fFである。従って、トータルの容量値C1=1/(1/22.1+1/0.443)=0.434fFとなる。
一方、図4の場合は、ゲート配線221−ドレイン電極216間は、第3窒化膜513のみである。従って、容量値C2=(8.85E−14×7.5×100E−8)/1500E−8=44.3fFとなる。
つまり、本実施形態(図3)によれば、容量値C1は図4の如く第3窒化膜513のみが配置される場合のわずか1%となり、交差部CPにおける寄生容量の大幅な低減が可能となる。
尚、後述するが、中空部520は第1配線金属層30と第2配線金属層40の交差部においても、これらのショート防止のために配置される。
次に、図5および図6を参照し、寄生容量と2次高調波の関係について説明する。
図5は、本実施形態のゲート電極17のレイアウトと比較するための他のゲート電極G’のレイアウトを示す。図5はゲート電極G’を櫛状に設けず、1本のゲート電極G’を曲折させてソース配線電極S’−ドレイン配線電極D’間に延在するレイアウト(以下メアンダー形状)のスイッチMMICの一例である。
この場合は、ゲート電極G’同士を接続するゲート配線は存在せず、ソース配線電極S’またはドレイン配線電極D’とゲート電極G’との交差部も存在しない。このため、後述する2次高調波レベルが低いことが知られており、スイッチMMICにはメアンダー形状のゲート電極レイアウトが採用されることが多い。
しかしこのレイアウトはゲート−ドレイン間、またはゲート−ソース間に外部より印加される静電気に極めて弱いという問題がある。その理由は、このようなゲート電極G’のパターンの場合、制御端子Ctlに印加された静電エネルギーが動作領域100上のゲート電極G’の始点ST(コントロール抵抗CRに最も近い部分)に集中するためである。従ってこのようなゲート電極G’は低い静電気電圧でゲート電極G’の始点ST部分が破壊するため、結果的にスイッチMMICとして静電破壊電圧が低く、信頼性上好ましくないレイアウトである。
図6は、本実施形態と、図4(図25)および図5に示す従来構造の各パターンにおける、2次高調波の入力パワー依存性を示す。実線が図3に示す本実施形態の場合で、ゲート配線幅dg=1μmの場合である。また、破線および一点鎖線が図4の場合であり、破線がゲート配線幅dg=5μm、一点鎖線がdg=1μmの場合である。更に、点Mが図5のメアンダー形状のゲート電極レイアウトで、図25の如きスイッチMMICを構成した場合である。尚、ここでは特に29dBmの入力パワーにおける比較を行うため、メアンダー形状の場合は、点Mのみ示している。
入力パワーが29dBmにおける2次高調波レベルは、ゲート電極形状が櫛状の従来構造でdg=5μmの場合に−51dBc、dg=1μmの場合に−62dBcである。つまり、ゲート配線幅dgを狭めることにより、矢印のごとく10dBc程度改善される。
一方、図5のメアンダー形状のゲート電極G’の場合、29dBmの入力パワーにおける2次高調波レベルは−75dBcであり(点M)、2次高調波レベルとしては要求レベルに達している。これは、前述の如くゲート電極G’とソース配線電極S’およびドレイン配線電極D’間に交差部が存在しないためである。
これらのデータにより、スイッチMMICに採用されるFETにおいて、ソース(配線)電極またはドレイン(配線)電極とゲート配線(ゲート電極)との間の寄生容量が小さいほど、2次高調波レベルが低いことがわかる。すなわち、2次高調波歪を悪くする原因はFETにおいて、ソース電極またはドレイン電極を通過する高周波信号が窒化膜を介してゲート配線に漏れていることにある、といえる。
CDMA携帯電話端末では通話における混信を防ぐ必要があり、これに使用されるスイッチMMICは、29dBm程度のパワーを入力した場合、−75dBc程度以下の2次高調波レベルが要求される。つまり、図25の場合ではゲート配線幅dgを、例えば1μmまで狭めて寄生容量を低減しても、要求されるレベルには不足である。また、櫛状のレイアウトの場合、ゲート配線幅dgの縮小は1μm程度が限界値であり、これ以上細線化することは困難である。
一方、2次高調波レベルが十分低い値を示すメアンダー形状のゲート電極G’のレイアウトでは、前述の如く静電破壊に弱い問題があり、高い信頼性が要求される製品には採用できない。
一方本実施形態によれば、図3の如く交差部CPにおける寄生容量を、図4(図25)の場合の1%にまで低減できる。従って、入力パワーが29dBmの2次高調波レベルは、メアンダー形状のレイアウトと同程度の−75dBcまで低減できる。従って、CDMA携帯電話端末に採用されるスイッチMMICとして十分な2次高調波レベルを実現できる。更に、本実施形態では複数の櫛状のゲート電極17をゲート配線21によって束ねている。これにより、制御端子Ctlに印加された静電エネルギーを、ゲート配線21を介してFET全体に渡ってまんべんなく振り分けることができる。従って、静電破壊に対する耐性を十分高め、なおかつメアンダー形状と同程度の低い2次高調波が実現できる。
更に、本実施形態のゲート電極17は曲折部17aを有しており、これにより高周波信号の漏れを防ぎ、3次高調波レベルを低減することができる。
再び図3を参照して説明する。各ゲート電極17は均等な間隔で形成され一端(先端)を動作領域100外まで延在し曲折部17aを構成する。また1つのゲート電極17の他端は、他のゲート電極17の他端とゲート配線21により接続し各櫛歯が束ねられる。
ここでは、ゲート配線21は動作領域100外に配置され、曲折部17aおよび第2ソース電極15の先端、第2ドレイン電極16の先端も動作領域100外に配置される。尚ゲート配線21は動作領域100内に配置されていてもよい。ここで、櫛状の第2ソース電極15、第2ドレイン電極16およびゲート電極17の一端とは、それぞれソース配線31、ドレイン配線32、ゲート配線21によって接続されない側の端部とする。また、第2ソース電極15および第2ドレイン電極16にそれぞれ重畳する第1ソース電極13および第1ドレイン電極14についても同様とする。
すなわち、第2ソース電極15に重畳する第1ソース電極13の一端は動作領域100外に配置される。また、第2ドレイン電極16に重畳する第1ドレイン電極14の一端も動作領域100外に配置される。また、第1ソース電極13の他端および第1ドレイン電極14の他端も動作領域100外に配置される。
第2ソース電極15の他端は他の第2ソース電極15の他端とソース配線31により接続する。第2ドレイン電極16の他端は他の第2ドレイン電極16の他端とドレイン配線32により接続する。第1ソース電極13および第2ソース電極15の一端とドレイン配線32は近接し、第1ドレイン電極14および第2ドレイン電極16の一端とソース配線31は近接する。
以降、1層目の第1ソース電極13と、2層目のソース配線電極SE(第2ソース電極15およびソース配線31)を総称してソース電極Sとする。同様に1層目の第1ドレイン電極14と、2層目のドレイン配線電極DE(第2ドレイン電極16およびドレイン配線32)を総称してドレイン電極Dとする。すなわちソース電極Sの一端とは櫛歯の先端側であり、他端とは櫛歯が束ねられたソース配線31側である。同様に、ドレイン電極Dの一端とは櫛歯の先端側であり、他端とは櫛歯が束ねられたドレイン配線32側である。
図3(例えばFET1−1)において、曲折部17aはドレイン電極Dの一端に沿って、ソース電極Sの他端との間に配置される。そして、図3においては1つのドレイン電極Dの櫛歯に対して、両側に配置されるゲート電極17の曲折部17aがそれぞれ対向して延在し、曲折部17aが連続する。すなわち、ゲート電極17および曲折部17aによって、ゲート配線21を始点SPとしドレイン電極Dの櫛歯の先端を囲み、再びゲート配線21方向に延在して終点EPにおいてゲート配線21と接続する閉ループ形状が構成される。
これにより、ドレイン電極Dの先端は曲折部17aおよびゲート電極17により完全に包囲される。また、ドレイン電極Dとソース電極Sとの間に、必ずゲート配線電極G(ゲート電極17、曲折部17a、ゲート配線21のいずれか)が配置されるパターンが実現できる。
尚、FET1−2ではソース電極Sおよびドレイン電極DがFET1−1と逆になる。すなわち、FET1−2の動作領域100においては、ソース電極Sの先端に沿って、ドレイン電極Dの他端との間に曲折部17aが配置される。曲折部17aは隣り合うゲート電極17間で連続し閉ループ形状を構成する。ソース電極Sの先端は曲折部17aおよびゲート電極17により完全に包囲される。
FET1−3は、FET1−1と同様である。ここではFET1−1およびFET1−2のドレイン同士が接続されドレイン配線32を共通とし、FET1−2およびFET1−3のソース同士が接続されソース配線31を共通としている。これにより、ソース電極S−ドレイン電極D間にゲート配線電極Gを配置することができる。
従ってソース電極S−ドレイン電極D間の高周波信号が漏れる恐れのあるどの経路にも必ずその間をゲート配線電極Gで遮断しているため、ソース電極S−ドレイン電極D間の高周波信号の漏れを防止することができる。
特に、ソース電極S(ドレイン電極D)の先端はゲート電極17および曲折部17aにより完全に包囲されるため、高周波信号の漏れを防止し、3次高調波レベルを低減するパターンとして有利である。
FETを多段接続したハイパワースイッチMMICでは、ソース電極およびドレイン電極が隣接し直接対向する箇所において、高周波信号のリークがFETのチャネル層外で発生し、高調波レベルを増大させていることがわかっている。
つまり、図25においてソース電極215−ドレイン電極216が隣接し直接対向する実線で囲われたY領域において、ソース電極215−ドレイン電極216間で高周波信号の漏れが発生する。オフ側のスイッチング素子ではFETのチャネル層(図25では動作領域100)を高周波信号が通過することはほとんどないが、オフ側のY領域においては、高周波信号のリーク経路がFETのチャネル層外に形成されてしまう。このため出力信号の歪みレベルは設計通りの値を確保できず、3次高調波レベルが所定の値より高くなる問題があった。
しかし、本実施形態では、FETのチャネル層(動作領域100)外においては何れの領域においてもソース電極S−ドレイン電極D間にゲート配線電極G(ゲート電極17の曲折部17aまたはゲート配線21)が配置されているため、ソース電極S−ドレイン電極D間において基板を介して高周波電流が流れることを阻止することができ、高周波信号の漏れを防ぐことができる。
また、高周波信号の漏れを防止するためには、ソース電極S−ドレイン電極D間のリーク経路に対して曲折部17aが途切れることなく連続して配置されることが望ましい。しかし、閉ループ形状の場合、正確なパターンが形成されない場合がある。ゲート配線電極Gは、ゲート金属層20のリフトオフで形成する。つまりリフトオフの際レジスト除去液を不要なゲート金属層20の下のレジストに滲入させ、レジストと共にゲート金属層を除去する。このときゲート配線電極Gが連続していると、レジスト除去液が十分滲入しない場合がある。
つまり、図3の如く閉ループ形状のゲート電極17のパターン形成をリフトオフで行う場合、ループの内側にループの外側からレジスト除去液が入り込めないため、一般にはリフトオフが容易でない問題がある。しかし本実施形態ではリフトオフが可能である。
図7は、例えば図3(B)に示す断面において、ゲート電極を形成するためにゲート金属層20を蒸着した後のゲート電極付近の断面図である。スイッチMMICの場合に限り、ゲート電極17は5〜10KΩ程度以上のコントロール抵抗CRが接続されるためゲート電極17の抵抗値が大きくても問題はない。つまり、ゲート金属層20の金属蒸着膜厚dを100Å程度と薄くできる。このように蒸着膜厚dを薄くすると、レジストマスクPRのエッジでゲート金属層20は必ず不連続となる。従って不連続部分からレジスト除去液がゲート金属層20下のレジストPRに十分滲入する(矢印)ため、閉ループ形状であっても全く問題なくリフトオフできる。
以下、図8を参照して高周波信号の漏れを防ぐメカニズムについて説明する。
図8は本実施形態を示す図であり、図3(A)のd−d線断面図である。図8の如くドレイン電極Dの一端(先端)およびソース配線31は、動作領域100外(絶縁化領域60上)に配置される。そして絶縁化領域60の上のドレイン電極Dおよびソース配線31には高周波信号が通過する。
ここで、図8においてソース配線31およびドレイン電極Dの間に、ゲート配線電極G(曲折部17a)が配置されない場合を考える。高周波信号は窒化膜51を介して、絶縁化領域60に伝わる。絶縁化領域60は窒化膜51同様誘電体として高周波信号を通す。つまり、この場合、ソース配線31−ドレイン電極D間において高周波信号の漏れが発生する。
また、この状態ではソース配線31−ドレイン電極Dが直接対向配置されているためソース配線31−ドレイン電極D間で直接的な電界が存在している。このため高周波信号のリーク電流が流れることになる。本実施形態の場合FETを多段接続したスイッチング素子によるハイパワーのスイッチMMICのため高周波信号の振幅が大きく、高周波リーク電流の振幅も大きい。
このため、従来(図25)のY領域の如く、ドレイン配線232と、ソース電極215の櫛歯の先端が、対向して配置されている場合に、高周波信号の漏れが発生してしまう。
一方本実施形態では、ソース配線31−ドレイン電極D間にゲート電極17の曲折部17aが配置される。従って、ソース配線31−ドレイン電極D間の高周波信号の漏れを曲折部17a(ゲート電極17)で遮断することができる。以下そのメカニズムについて説明する。
第1に、ゲート配線電極Gは5〜10KΩのコントロール抵抗CRを介して制御端子Ctlに接続されている(図2参照)。制御端子Ctlには制御信号が印加されるが、制御信号はDC信号であるため制御端子は高周波信号のGND電位となる。またゲート配線電極Gがロジック素子LのポイントPに接続される場合も同様である。
オン側のFETにおいて、ゲート電極17は動作領域100表面に直接接してショットキー接合を形成している。つまりFETのチャネル層を流れる高周波電流の影響を受けてゲート電極17の電位は高周波振動している。しかしオフ側のFETにおいてはチャネル層には電流が流れておらず、従って動作領域100表面の電位はほとんど高周波振動していない。つまりゲート電極17は、オン側FETのように高周波振動することはなく、制御端子Ctlと同様ほとんど高周波信号のGND電位と見なすことができる。
従ってオフ側のFETのソース配線31−ドレイン電極D間に曲折部17aを配置することにより、平面パターンとしての配置がソース配線31−高周波信号としてのGND電位−ドレイン電極Dとなる。
曲折部17aを配置しない場合は、ソース配線31−ドレイン電極D間に直接的な高周波信号の電界が存在するが、間に高周波信号としてのGND電位を挟むことで、これらの間の直接的な電界が大幅に弱まる。従ってこれらの間において基板を介して高周波電流が流れることを阻止することができ、高周波信号の漏れを防ぐことができる。特にFETを多段接続したハイパワースイッチMMICにおいては高周波信号の振幅が大きく、従ってソース電極S−ドレイン電極D間に強い高周波信号の電界が発生するため、曲折部17aを配置しない場合は大きな高周波電流が流れる。本実施形態では多段接続のハイパワースイッチMMICであっても高周波信号の漏れを防止できる。
このメカニズムはゲート配線21側でも同様である。すなわち、ゲート配線21側においては図3(A)の如く、ドレイン配線32−ソース電極S間の高周波信号の漏れをゲート配線21によって防止できる。
このように、本実施形態によればソース電極S−ドレイン電極D間の高周波信号が漏れる恐れのあるどの経路にも必ずその間にゲート配線電極Gが配置されているため、ソース電極S−ドレイン電極D間の高周波信号の漏れを防止することができる。
第2に、動作領域100外の部分において曲折部17aは絶縁化領域60に直接接してショットキー接合を形成する。従って絶縁化領域60に漏れた高周波信号を直接吸収することができ、ソース電極S−ドレイン電極D間の高周波信号の漏れをさらに大幅に防ぐことができる。
以上2つのメカニズムは、ゲート配線21が動作領域100内にある場合も同様に働く。すなわち動作領域100内にあるゲート配線21(またはゲート電極17)を挟むことによりソース電極S−ドレイン電極D間の高周波信号の漏れを防ぐことができる。
すなわち本実施形態によれば、メアンダー形状のゲート電極レイアウトで問題であった静電気に弱いという信頼性上の問題を克服できる。従って、櫛状のゲート電極構造を維持しても、信頼性を損なうことなく、ソース電極S−ドレイン電極D間の高周波信号の漏れを防ぐことができる。
特に、スイッチMMICがDPDTの場合には、信号の入出力が逆となり第1RFポートおよび第2RFポートを入れ替えて使用する場合もある。本実施形態では高周波信号の伝搬が逆向きの経路になった場合であっても、ソース電極S−ドレイン電極D間に従来形成されていた高周波信号のリーク経路のいずれも完全に遮断することができる。すなわちいずれのRFポートの端子パッドが最も高周波信号の振幅が大きい入力端子パッドになったとしても高周波信号のリークを完全に防止することができるため、設計どおりのPin0.1dBと歪特性(3次高調波レベル)を得ることができる。
具体的には、従来は図25の如く共通入力端子パッドIから入力した直後の最も振幅が大きい高周波信号についてはFET1−1またはFET2−1のゲート配線221により、その漏れを防止できる。すなわち、いずれかオフ側のFETにおいてソース電極S−ドレイン電極D間の高周波信号の漏れが、ゲート配線221が配置される部分については最低限防止できていた。
しかし逆に共通出力端子パッドO1またはO2から例えば高周波信号が入力した場合は、FET1−4またはFET2−4のいずれかオフ側のFETにおいて、最も振幅が大きい高周波信号が入力した直後の部分では大きな高周波信号の漏れが発生していた。最も振幅が大きい高周波信号が入力した直後の部分とはY領域に相当するソース電極S−ドレイン電極D間である。しかし本実施形態では、Y領域に曲折部17aを配置したため、入力端子パッドまたは出力端子パッドいずれの端子パッドから高周波信号が入力しても、ゲート配線21および曲折部17aによりソース電極S−ドレイン電極D間の高周波信号の漏れを防止できるため3次高調波レベルが大幅に改善した。
図9は、第2の実施形態としてゲート電極17と曲折部17aの他のパターンを示す。
ゲート電極の曲折部17aの形状は上記に示すものに限らない。例えば、図9(A)の如く、隣り合う曲折部17aが離間し、ソース電極Sまたはドレイン電極Dの一端を包み込むように曲折部17aを両側から互い違いに重ね合わせるように配置してもよい。
図9(B)では、ゲート電極17は、ゲート配線21を始点としソース電極Sまたはドレイン電極Dの一端を囲み、再びゲート配線21方向に延在するが、ゲート電極17の一端はゲート配線21と接続しない。これによりソース電極Sまたはドレイン電極Dの一端は曲折部17aおよびゲート電極17により完全に包囲される。
いずれも、ソース電極S−ドレイン電極D間の高周波信号が漏れる恐れのあるどの経路にも、必ずその間にゲート配線電極Gが配置されているため、ソース電極S−ドレイン電極D間の高周波信号の漏れを防止することができる。
以上のように、交差部CPに比誘電率の小さい中空部520を挟むことにより寄生容量を減らすことができる。このことによりソース電極S−ゲート配線電極G間またはドレイン電極D−ゲート配線電極G間の高周波信号の漏れを防止できるため2次高調波レベルを低減できる。さらに曲折部17aを配置することによりソース電極S−ドレイン電極D間の高周波信号の漏れを防止し、3次高調波レベルを低減できる。2次高調波、3次高調波の両方を低減できるため、設計どおりの歪特性を得ることができる。スイッチMMICにおいては2次高調波と3次高調波の両方を低減しないと、所定の歪特性を得ることができない。すなわち2次高調波と3次高調波のどちらか一方を低減する対策では所定の歪特性を得ることができない。本実施形態では交差部CPに比誘電率の小さい中空部520を挟み、さらに曲折部17aを配置する。これにより所定の歪特性を得ることができる。つまり、スイッチMMICにおいてはこの2つの対策を組み合わせることが歪特性改善に非常に効果的である。
上記のスイッチ回路装置の製造方法を、HEMTの場合を例に図10〜図23を参照して説明する。尚、以下の断面図においてはそれぞれ図(A)にE型HEMT(E−FET)の動作領域100の断面図(図2のf−f線)、(B)にD型HEMTの動作領域100の断面図(図3のa’−a’線)、(C)にゲート配線21の断面図(図3のb−b線)、(D)に第1配線金属層30と第2配線金属層40の交差部分の断面図(図2のe−e線)を併記する。
第1工程(図10および図11): 基板上に動作領域を形成する工程。
図10の如く化合物半導体基板131上にバッファ層132、第1電子供給層133a、チャネル層135、第2電子供給層133b、第1ノンドープ層141、第2ノンドープ層142、第3ノンドープ層143、安定層144、キャップ層137を含む複数の半導体層を積層する。
ノンドープのバッファ層132は、不純物が添加されていない高抵抗層であり、その膜厚は、数千Å程度で、複数の層で形成される場合が多い。
バッファ層132上に、第1電子供給層のn+型AlGaAs層133a、スペーサ層134、チャネル層のノンドープInGaAs層135、スペーサ層134、第2電子供給層のn+型AlGaAs層133bを順次形成する。第1および第2電子供給層133a、133bは、チャネル層135よりバンドギャップが大きい材料が用いられ、n型不純物(例えばSi)が2〜4×1018cm−3程度(例えば2.6×1018cm−3)添加されている。
第1ノンドープ層141は、所定の耐圧とピンチオフ電圧を確保するため、電子供給層133b上に積層され、電子供給層133bと格子整合するノンドープAlGaAs層である。その上層に第1ノンドープ層141と格子整合する第2ノンドープ層142を設ける。第2ノンドープ層142は、ノンドープInGaP層である。更に第2ノンドープ層142と格子整合する第3ノンドープ層143、第3ノンドープ層143と格子整合する安定層144を順次積層する。第3ノンドープ層143はノンドープAlGaAs層であり、安定層144はノンドープInGaP層またはドープドInGaP層である。
InGaP層は、酸化しにくいため外部からの化学的ストレスに強く信頼性上安定な層であり、AlGaAs層またはGaAs層とのエッチング選択比が高いためエッチングストップ層としても機能する。
更にキャップ層となるn+GaAs層137を最上層に積層する。安定層144はキャップ層137とも格子整合する。キャップ層137は、1000Åであり、不純物濃度は、3×1018cm−3以上である。
第1ノンドープ層141の膜厚は150Åである。第2ノンドープ層142、第3ノンドープ層143はそれぞれ50Åの膜厚である。また安定層144は100Åの膜厚である。100Åあればプラズマダメージから動作領域を十分保護することができる。
そして、基板全面に、初期窒化膜50を堆積する。初期窒化膜50は、ウェハ投入後の基板表面の保護膜となる。または、後の工程で絶縁化領域を形成する際に注入される不純物の活性化アニールの保護膜となる。あるいは、これらの両方に共用される。
レジストマスク(不図示)により初期窒化膜50およびキャップ層37の一部をエッチングしてアライメントマーク(不図示)を形成する。
レジスト除去後新たなレジストマスク(不図示)を形成する。初期窒化膜50上からボロン(B+)をイオン注入し、レジストを除去した後、500℃、30秒程度のアニールを行う。これにより、バッファ層32に達する絶縁化領域60が形成される。
絶縁化領域60は、電気的に完全な絶縁ではなく、不純物(B+)をイオン注入することによりエピタキシャル層にキャリアトラップを設け、絶縁化した領域である。つまり、絶縁化領域60にもエピタキシャル層として不純物は存在しているが、絶縁化のためのB+注入により不活性化されている。
すなわち、所定のパターンに絶縁化領域60を形成することにより、HEMTの動作領域と抵抗など他の構成要素とを分離する。
ここで、動作領域100とは、絶縁化領域60で分離され、HEMTの第1ソース電極、第2ソース電極、第1ドレイン電極、第2ドレイン電極およびゲート電極が配置される領域の半導体層をいう。第1ソース電極および第1ドレイン電極がコンタクトするキャップ層137は、後の工程で分離されてソース領域137s、ドレイン領域137dとなる。
すなわち電子供給層133、チャネル(電子走行)層135、スペーサ層134、第1〜第3ノンドープ層141〜143、安定層144、キャップ層137などのHEMTを構成する各半導体層をすべて含んだトータルとしての領域を動作領域100とする。
図11を参照し、全面の初期窒化膜50を除去してキャップ層37を露出させる。本工程で、ウェハ投入後表面の保護のために堆積した初期窒化膜50および/又は絶縁化領域60のイオン注入の活性化アニールの際の保護膜として堆積した初期窒化膜50が除去される。従来は、この窒化膜をゲート電極形成用のリセスエッチングのマスクとして利用していたが、本実施形態では後の工程で新たにゲートのリセスエッチングのためのマスクとなる窒化膜を堆積する。本工程で初期窒化膜50を全面除去することにより、後の窒化膜を均一な膜厚に形成することができる。
第2工程(図12および図13):動作領域上に櫛状のソース電極およびドレイン電極を形成する工程。
図12を参照し、新たなレジストマスク(不図示)を形成する。そして全面にオーミック金属層(AuGe/Ni/Au)10を蒸着、リフトオフし、アロイする。これにより、HEMTの動作領域100の一部にコンタクトする第1ソース電極13および第1ドレイン電極14が形成される。
図13の如く、全面に、第1窒化膜511を形成する。この第1窒化膜511は、ゲートのリセスエッチングのマスクとなる。第1窒化膜511は、ほぼ均一な膜厚および膜質で、第1ソース電極13および第1ドレイン電極14の表面および側面と、これらの付近のキャップ層137に密着して被覆する。すなわち第1ソース電極13、第1ドレイン電極14とキャップ層137の段差はまんべんなく覆われる。
従って、以降の製造工程中、またはウェハ完成後において薬液及び水分から、第1ソース電極13および第1ドレイン電極14の付近のキャップ層137表面を完全に保護することができる。これによりガルバニック効果の発生を防止できる。
第3工程(図14〜図18):動作領域とショットキー接合を形成する櫛状のゲート電極と、ゲート電極に接続するゲート配線とを形成する工程。
まずE型HEMT(E−FET)を形成する。上記の如く本実施形態のスイッチ回路装置は、D型HEMT(D−FET)によりスイッチング素子を構成し、同一基板にE型HEMTによりロジック素子を構成する。そして、これらのゲート電極は所望のピンチオフ電圧を得るために、ゲート金属層やゲート金属を蒸着するノンドープ層などが異なっており、まずE型HEMTのゲート電極を形成した後、D型HEMTのゲート電極を形成する。
図14の如く、フォトリソグラフィプロセスにより第1ゲート電極(E型HEMTのゲート電極)の形成領域がパターンニングされたフォトレジストマスクPRを形成し、第1窒化膜511を除去して開口部OPを形成する。その後、開口部OPに露出したキャップ層137を更にウェットエッチングにより除去するリセスエッチングを行い、ノンドープInGaP層144を露出させる。
さらに所定の耐圧を確保するためキャップ層137をサイドエッチングし、動作領域100のキャップ層137を分離する。このときキャップ層137のGaAs層とその下の安定層(InGaP層)144とは選択エッチングされるため、サイドエッチングの際にInGaP層144がエッチングされることは無い。
キャップ層137のサイドエッチングにより、開口部OPに張り出した第1窒化膜511のひさし部を、プラズマエッチングにより除去する。その後、レジストマスクをそのままに、プラズマのダメージを受けた安定層144(InGaP層)、第3ノンドープ層143(AlGaAs層)および第2ノンドープ層142(InGaP層)を、それぞれ塩酸、リン酸、塩酸で選択エッチングして、第1ノンドープ層141を露出させる。
さらにレジストマスクをそのままに全面にゲート金属層20を蒸着する。ゲート金属層20は、例えばPt/Moである。
図15の如く、ゲート金属層20をリフトオフし、清浄な第1ノンドープ層141表面とショットキー接合し、E型HEMTを構成するゲート電極17を形成する(図15(A)参照)。その後、ゲート電極17の最下層金属のPtを埋め込む熱処理を施し、埋め込み部17bを形成する。E型HEMTの場合、埋め込み部17bの底部は例えば第1ノンドープ層141内に位置する。これにより櫛状のゲート電極17が形成される。またこのとき同時に、隣り合う櫛状のゲート電極17を接続するゲート配線(不図示)が形成され、ゲート配線の一部も埋め込まれる。
図16の如く、全面に第2窒化膜512を堆積し、E型HEMTのゲート電極17とその周囲に露出した第1ノンドープ層141を保護する。第1ノンドープ層141はAlGaAs層であるため、酸化されやすく後の工程の影響を受けやすい。従って、ゲート電極17および埋め込み部17b形成直後に第2窒化膜512で覆い、第1ノンドープ層141を保護する。
図17を参照し、D型HEMTのゲート電極形成のために新たなレジストマスクPRを形成する。そして、マスクの開口部分に露出した第1窒化膜511および第2窒化膜512を除去して開口部OPを形成する。その後、開口部OPに露出したキャップ層137を更にリセスエッチングし、開口部OPには安定層144を露出させる。
さらに所定の耐圧を確保するためキャップ層137をサイドエッチングし、動作領域100のキャップ層137を分離する。このときキャップ層137のGaAs層とその下の安定層(InGaP層)144とは選択エッチングされるため、サイドエッチングの際にInGaP層144がエッチングされることは無い。
キャップ層137のサイドエッチングにより、開口部OPに張り出した第1窒化膜511および第2窒化膜512のひさし部を、プラズマエッチングにより除去する。その後、レジストマスクをそのままに、プラズマのダメージを受けた安定層144を、塩酸で選択エッチングして、第3ノンドープ層143を露出させる。
次に、全面にゲート金属層20を蒸着する。ゲート金属層20は、例えばPt/Moである。このとき、ゲート金属層20の膜厚dは、100Å程度であり、レジストマスクPR(膜厚:数千Å程度)と比較して十分薄い。従って、レジストマスクPRのエッジでゲート金属層20は必ず不連続となる。従って不連続部分からレジスト除去液がゲート金属層20下のレジストマスクPRに十分滲入するため、ゲート電極17のパターンが閉ループ形状であっても全く問題なくリフトオフできる(図7参照)。
図18の如く、ゲート金属層20をリフトオフし、第3ノンドープ層43表面とショットキー接合し、D型HEMTを構成するゲート電極17を形成する(図18(B))。その後、ゲート電極17の最下層金属の一部を熱処理により動作領域表面に埋め込む熱処理を施し、埋め込み部17bを形成する。D型HEMTの場合、埋め込み部の底部は例えば、第3および第2ノンドープ層143、142を貫通して第1ノンドープ層141に達する。これにより櫛状のゲート電極17が形成される。またこのとき同時に、隣り合う櫛状のゲート電極17を接続するゲート配線21が形成され、ゲート配線21の埋め込み部21bも形成される(図18(C))。
第4工程(図19および図20):ゲート配線上を絶縁膜で被覆する工程。
図19の如く、全面に第3窒化膜513を堆積する。これにより、E型HEMTにおいては、ゲート電極17と、ゲート電極17の周囲に露出した第1ノンドープ層141が第2窒化膜512および第3窒化膜513により被覆される(図19(A))。またD型HEMTにおいては、ゲート電極17およびその周囲の第3ノンドープ層143が第3窒化膜513で被覆される。
その後、所定のパターンで第1窒化膜511、第2窒化膜512および第3窒化膜513にコンタクトホールを形成し(不図示)、図20の如く、所望のパターンでレジストマスク(不図示)を形成後、第1配線金属層30を蒸着、リフトオフし、各電極パッド、容量Cr、Ciの下部電極、および配線を形成する。
更に全面に、第4窒化膜514を形成する。第4窒化膜514は、図示は省略するが容量Cr、Ciの誘電体膜を形成する。これにより、D型HEMTのゲート配線21上およびその周辺の基板130表面は、比誘電率の大きい絶縁膜510(第3窒化膜513および第4窒化膜514)により被覆される。第3窒化膜513および第4窒化膜514の膜厚はそれぞれ1500Åである。
つまり、本実施形態によれば、第1ソース電極13および第1ドレイン電極14は、第1窒化膜511、第2窒化膜512、第3窒化膜513、第4窒化膜514で被覆される。またE型HEMTのゲート電極17およびその周囲は第2窒化膜512、第3窒化膜513、第4窒化膜514で被覆され(図20(A))、D型HEMTのゲート電極17およびその周囲は、第3窒化膜513および第4窒化膜514で被覆される(図20(B))。そして、D型HEMTのゲート配線21も第3窒化膜513および第4窒化膜514で被覆される(図20(C))。
このように、本実施形態の絶縁膜510は、スイッチング素子を構成するD型HEMTのゲート電極17を被覆する第3窒化膜513および第4窒化膜514からなる。尚、例えば異なる製造方法により、D型HEMTのゲート電極17が第3窒化膜513のみで被覆される場合には、絶縁膜510は第3窒化膜513のみからなる。
尚、中空部520は、スイッチング素子であるD型HEMTの交差部CPに配置されれば良く、ロジック素子を構成するE型HEMTのゲート配線上には中空部520は配置されない。
第5工程(図21から図23):絶縁膜上に中空部を介して延在しソース電極およびドレイン電極と接続するソース配線電極およびドレイン配線電極を形成する工程。
レジストマスクにより第1窒化膜511〜第4窒化膜514の一部を除去し、第2配線金属層40とオーミック金属層10を接続するためのコンタクトホールCHを形成する。
そして第1の感光性樹脂(例えばネガ型レジスト)PR1を塗布し、フォトリソグラフィ工程によって中空部の形成領域にレジストマスクを形成する。レジストマスクは、ゲート配線21と、後の工程で形成される例えばドレイン配線電極DEとの交差部CPで、絶縁膜510上に設けられる(図21(C))。また、第1配線金属層30と後の工程で形成される第2配線金属層40との交差部にも配置され、第1配線金属層30のエッジ部も被覆する(図21(D))。
その後、図22の如く、第2の感光性樹脂(例えばポジ形レジスト)PR2を塗布し、フォトリソグラフィ工程によって、所望のパターンが開口したレジストマスクを形成する。そして第2配線金属層40を全面に蒸着する。
その後図23の如くポジ形レジストPR2をレジスト除去液により除去して第2配線金属層40をリフトオフし、ソース配線電極SEおよびドレイン配線電極DEを形成する。ソース配線電極SEおよびドレイン配線電極DEの一部は、第1ソース電極13および第1ドレイン電極14とそれぞれ重畳する第2ソース電極15、第2ドレイン電極16となる。
引き続き、ネガ型レジストPR1をレジスト除去液により除去し、中空部520を形成する。中空部520は、交差部CPのゲート配線21および絶縁膜510上に設けられる。これにより中空部520の上を例えばドレイン配線電極DEが延在するエアブリッジ構造が実現する(図23(C))。また中空部520は、第1配線金属層30と第2配線金属層40が交差する部分の、第1配線金属層30のエッジ部にも配置される(図23(D))。
このように、中空部520を形成する際にはネガ型レジストPR1を採用し、第2配線金属層40のパターンニングにはポジ型レジストPR2を採用する。これにより、第2配線金属層40を蒸着、リフトオフする際に使用するポジ型レジストPR2の現像液およびレジスト除去液が、中空部520となるネガ型レジストPR1に影響を与えず、中空部520を形成できる。尚、これらのレジストは入れ替えても良い。しかしネガ型レジストPR1およびポジ型レジストPR2のそれぞれの現像液およびレジスト除去液がお互いに先に形成された相手側のレジストに必ずしも影響を与えないとは限らない。従って、後で使用するレジストの現像液およびレジスト除去液が先に形成された相手側のレジストに影響を与えないような、PR1およびPR2の組み合わせにする必要がある。またこのような組み合わせであれば、両方ポジレジストまたは両方ネガレジストであっても良い。
図24は、図23(D)の拡大図である。
金属層の蒸着およびリフトオフの工程では、レジストマスクのパターンが正確にできない場合には、バリが発生する場合がある。図24は、例えばGND端子に対応するパッドGの近傍で、第1配線金属層30と第2配線金属層40が交差する部分を示す図である。図の如く第1配線金属層30にリフトオフのバリBが発生し、その上層に第2配線金属層40が交差する場合、これらが窒化膜のみを介して交差すると、第1配線金属層30と第2配線金属層40がショートする問題がある。
そこで第2配線金属層40とのショートを防止するため、従来より第2配線金属層40と交差する第1配線金属層30のエッジ部は、図の如く2μm程度の厚み(高さ)の中空部520によって被覆されていた。
すなわち、本実施形態では第2配線金属層40と交差する第1配線金属層30のエッジ部分にショート防止のために設ける中空部520のパターンを変更し、ゲート配線21上にも中空部520を配置する。
更に、ソース配線電極層SEおよびドレイン配線電極層DEを、第2配線金属層40で形成することにより、交差部CPのゲート配線21と、ソース配線電極層SEおよびドレイン配線電極層DEの間に、厚い中空部520を配置することができ、交差部CPの容量を低減することができる。
以上、ロジック素子を備えたDPDTスイッチMMICを例に説明したが、スイッチMMICの構成は上記の例に限らず、SP3T、SP4T、DP4T、DP7Tのように入力ポート数および出力ポート数が異なるスイッチMMICであってもよく、またロジック素子を備えていても備えていなくても良い。さらにオフ側出力端子に、高周波信号の漏れを防止するシャントFETを接続しても良い。
以上、本実施形態では比誘電率の大きい絶縁膜510が第3窒化膜513および第4窒化膜514の2層で構成される場合を示した。しかし既述の如く、絶縁膜510はこの構成に限らない。すなわち、絶縁膜510は、少なくとも1層の絶縁膜であればよく、例えば窒化膜1層で構成される場合や3層以上で構成される場合もある。さらに絶縁膜510は、窒化膜に限らず酸化膜などの他の絶縁膜で構成される場合であってもよい。

本発明を説明するための回路図である。 本発明を説明するための平面図である。 本発明を説明するための(A)平面図、(B)断面図、(C)断面図である。 本発明を説明するための(A)平面図、(B)断面図である。 本発明と従来技術を比較するための平面図である。 本発明を説明するための特性図である。 本発明を説明するための断面図である。 本発明を説明するための断面図である。 本発明を説明するための平面図である。 本発明の製造方法を説明するための断面図である。 本発明の製造方法を説明するための断面図である。 本発明の製造方法を説明するための断面図である。 本発明の製造方法を説明するための断面図である。 本発明の製造方法を説明するための断面図である。 本発明の製造方法を説明するための断面図である。 本発明の製造方法を説明するための断面図である。 本発明の製造方法を説明するための断面図である。 本発明の製造方法を説明するための断面図である。 本発明の製造方法を説明するための断面図である。 本発明の製造方法を説明するための断面図である。 本発明の製造方法を説明するための断面図である。 本発明の製造方法を説明するための断面図である。 本発明の製造方法を説明するための断面図である。 本発明を説明するための断面図である。 従来技術を説明する平面図である。
符号の説明
10 オーミック金属層
13 第1ソース電極
15 第2ソース電極
14 第1ドレイン電極
16 第2ドレイン電極
17 ゲート電極
17a 曲折部
20 ゲート金属層
21 ゲート配線
30 第1配線金属層
31 ソース配線
32 ドレイン配線
40 第2配線金属層
50 初期窒化膜
51 窒化膜
60 絶縁化領域
70 周辺伝導領域
100 動作領域
130 基板
131 GaAs基板
132 バッファ層
133 電子供給層
133a 第1電子供給層
133b 第2電子供給層
134 スペーサ層
135 チャネル層
137 キャップ層
137s ソース領域
137d ドレイン領域
141 第1ノンドープ層
142 第2ノンドープ層
143 第3ノンドープ層
144 安定層
215 ソース電極
216 ドレイン電極
217 ゲート電極
220 ゲート金属層
221 ゲート配線
230 配線金属層
231 ソース配線
232 ドレイン配線
510 絶縁膜
520 中空部
511 第1窒化膜
512 第2窒化膜
513 第3窒化膜
514 第4窒化膜
IN 共通入力端子
IN1 第1共通入力端子
IN2 第2共通入力端子
Ctl 制御端子
OUT1 第1共通出力端子
OUT2 第2共通出力端子
I 共通入力端子パッド
I1 第1共通入力端子パッド
I2 第2共通入力端子パッド
C 制御端子パッド
C1 第1制御端子パッド
C2 第2制御端子パッド
O1 第1共通出力端子パッド
O2 第2共通出力端子パッド
CR コントロール抵抗
SW1 第1スイッチング素子
SW2 第2スイッチング素子
SW3 第3スイッチング素子
SW4 第4スイッチング素子
P ポイント
CP、CP’ 交差部
SE ソース配線電極
DE ドレイン配線電極
G ゲート配線電極
S ソース電極
D ドレイン電極
S’ ソース配線電極
D’ ドレイン配線電極
G’ ゲート電極

Claims (15)

  1. 化合物半導体基板にスイッチング素子を集積化し、第1RFポートと、第2RFポートと、制御端子に接続するスイッチ回路装置であって、
    前記基板上に設けられた櫛状のソース電極、ゲート電極、ドレイン電極と、
    前記ソース電極およびドレイン電極にそれぞれ接続するソース配線電極およびドレイン配線電極と、
    前記ゲート電極の一端を曲折し、前記ソース配線電極またはドレイン配線電極の一端の近傍に配置された曲折部と、
    前記ゲート電極の他端が接続し、前記ソース配線電極または前記ドレイン配線電極と交差して延在するゲート配線と、
    前記ゲート配線上を覆って設けられた絶縁膜と、
    前記ソース配線電極または前記ドレイン配線電極と、前記絶縁膜との間に設けられた中空部と、
    を具備することを特徴とする化合物半導体スイッチ回路装置。
  2. 化合物半導体基板上にスイッチング素子を集積化し、第1RFポート、第2RFポート及び制御端子に接続する化合物半導体スイッチ回路装置であって、
    前記基板上に積層され、バッファ層、第1電子供給層、チャネル層、第2電子供給層、該第2電子供給層と格子整合する第1ノンドープ層、該第1ノンドープ層と格子整合する第2ノンドープ層、該第2ノンドープ層と格子整合する第3ノンドープ層、該第3ノンドープ層と格子整合する安定層、該安定層と格子整合するキャップ層を含む半導体層と、
    前記半導体層に設けられ、ソース領域およびドレイン領域を有する動作領域と、
    前記動作領域上に設けられ、前記第1RFポート、前記第2RFポートおよび前記制御端子にそれぞれ接続する櫛状のソース電極、ドレイン電極およびゲート電極と、
    前記ソース電極およびドレイン電極にそれぞれ接続するソース配線電極およびドレイン配線電極と、
    前記ゲート電極の一端を曲折し、前記ソース配線電極またはドレイン配線電極の一端の近傍に配置された曲折部と、
    前記ゲート電極の他端が接続し、前記ソース配線電極または前記ドレイン配線電極と交差して延在するゲート配線と、
    前記ゲート配線上を覆って設けられた絶縁膜と、
    前記ソース配線電極または前記ドレイン配線電極と、前記絶縁膜との間に設けられた中空部と、
    を具備することを特徴とする化合物半導体スイッチ回路装置。
  3. 前記絶縁膜の膜厚は、前記中空部の厚みより薄いことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の化合物半導体スイッチ回路装置。
  4. 前記絶縁膜は窒化膜であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の化合物半導体スイッチ回路装置。
  5. 前記中空部は、ゲート配線と、前記ソース配線電極または前記ドレイン配線電極との交差部に設けられることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の化合物半導体スイッチ回路装置。
  6. 前記ソース配線電極および前記ドレイン配線電極は、それぞれソース配線およびドレイン配線とを有し、前記ゲート配線は、前記ソース配線または前記ドレイン配線に沿って延在することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の化合物半導体スイッチ回路装置。
  7. 前記曲折部は隣り合う前記ソース電極またはドレイン電極の櫛歯の一端と、前記ドレイン配線または前記ソース配線との間に配置されることを特徴とする請求項6に記載の化合物半導体スイッチ回路装置。
  8. 1つの曲折部と他の曲折部は連続することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の化合物半導体スイッチ回路装置。
  9. 前記スイッチング素子は、前記ソース電極、ゲート電極、ドレイン電極により構成されるFETを直列に多段接続してなることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の化合物半導体スイッチ回路装置。
  10. 前記第1RFポートおよび第2RFポート間に高周波アナログ信号が伝搬することを特徴とする請求項1に記載の化合物半導体スイッチ回路装置。
  11. 第1RFポートと、第2RFポートと、制御端子に接続するスイッチング素子を化合物半導体基板に集積化する化合物半導体スイッチ回路装置の製造方法において、
    前記基板上に動作領域を形成する工程と、
    該動作領域上に櫛状のソース電極およびドレイン電極を形成する工程と、
    前記動作領域とショットキー接合を形成する櫛状のゲート電極と、該ゲート電極に接続するゲート配線とを形成する工程と、
    前記ゲート配線上を絶縁膜で被覆する工程と、
    前記絶縁膜上に中空部を介して延在し前記ソース電極または前記ドレイン電極と接続するソース配線電極またはドレイン配線電極を形成する工程と、
    を具備することを特徴とする化合物半導体スイッチ回路装置の製造方法。
  12. 第1RFポートと、第2RFポートと、制御端子に接続し、高周波アナログ信号をスイッチングするスイッチング素子を化合物半導体基板上に集積化する化合物半導体スイッチ集積回路装置の製造方法であって、
    前記基板上にバッファ層、第1電子供給層、チャネル層、第2電子供給層、該第2電子供給層と格子整合する第1ノンドープ層、該第1ノンドープ層と格子整合する第2ノンドープ層、該第2ノンドープ層と格子整合する第3ノンドープ層、該第3ノンドープ層と格子整合する安定層、該安定層と格子整合するキャップ層を含む複数の半導体層を積層し、絶縁化領域により動作領域を分離する工程と、
    該動作領域上に櫛状のソース電極およびドレイン電極を形成する工程と、
    前記動作領域とショットキー接合を形成する櫛状のゲート電極と、該ゲート電極に接続するゲート配線とを形成する工程と、
    前記ゲート配線上を絶縁膜で被覆する工程と、
    前記絶縁膜上に中空部を介して延在し前記ソース電極または前記ドレイン電極と接続するソース配線電極またはドレイン配線電極を形成する工程と、
    を具備することを特徴とする化合物半導体スイッチ回路装置の製造方法。
  13. 前記絶縁膜の膜厚は、前記中空部の厚みより薄く形成することを特徴とする請求項11または請求項12に記載の化合物半導体スイッチ回路装置の製造方法。
  14. 前記絶縁膜は窒化膜であることを特徴とする請求項11または請求項12に記載の化合物半導体スイッチ回路装置の製造方法。
  15. 第1の感光性樹脂を前記中空部の形成領域に配置し、第2の感光性樹脂をマスクとして前記ソース配線電極または前記ドレイン配線電極を形成した後、前記第1の感光性樹脂を除去し前記中空部を形成することを特徴とする請求項11または請求項12に記載の化合物半導体スイッチ回路装置の製造方法。
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