JP2007148702A - 歩数計 - Google Patents

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Abstract

【課題】向きによる検出感度の変化を低減でき、しかも低コスト化及び高精度化を図ることができる歩数計を提供することにある。
【解決手段】歩数計1は、3軸加速度センサ2と、マイクロコンピュータからなる演算処理装置3と、歩数等を含む情報を表示面4aに表示する液晶表示器等の表示装置4と、小型の1次電池を含む電源装置5と、歩数計測のスタート/ストップを行う押釦スイッチ6a等を有する操作入力装置6と、これらを内蔵するとともに表示部4の表示面4a及び押釦スイッチ6aを前面に露出させる筐体7とを備え、演算処理装置3は、3軸加速度センサ2より取得した3軸の加速度値と前回取得した3軸の加速度値との差をそれぞれ算出し、算出した差の合成値を出力する差分演算手段と、該差分演算手段の出力である合成値と所定の閾値との比較結果に基づいて歩数を計数する歩数計数手段とを備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、歩数計に関するものである。
従来から、人体等に装着して装着者の歩数を計数する歩数計が提供されており、この種の歩数計としては、3軸加速度センサ(振動センサ)を用いて振動回数を計数(カウント)することによって、歩数を計数するものがある。
このような歩数計は人体に装着して歩数を計数するものであるから、装着場所の自由度を求めるユーザーは多く、そのため、歩数計の検出感度はどの向きでも等しいことが望まれている。そこで、3軸加速度センサの出力値に基づいて重力加速度方向を検出することにより、歩数計の検出感度の方向依存性を改善したものが提供されている(特許文献1)。
また、3軸加速度センサの出力を3次元の加速度ベクトルとして捉え、このような加速度ベクトルの大きさに基づいて歩数を計数することで、歩数計の向き(3軸加速度センサの向き)による検出感度の変化を低減して、歩数計の検出感度の方向依存性を改善したものが提案されている。或いは、3軸加速度センサの出力から鉛直下方向の加速度成分を検出し、このような加速度成分に基づいて歩数を計数することで、歩数計の検出感度の方向依存性を改善したものが提案されている。
特開2005−157465号公報(第1図)
ところで、上述したように歩数計において、歩数の計数を精度良く行うためには、当然ながら、3軸加速度センサで検出した各軸の加速度値が、誤差の少ない正確な値である必要がある。
しかしながら、3軸加速度センサとして一般的に用いられるMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)を利用した加速度センサは、出力信号に対して大きなオフセット(加速度が加えられていないとき(静止時)の加速度センサの出力信号)を有しているため、このようなオフセットによる誤差を低減するためにオフセット補正を行う必要があった。例えば、この種の3軸加速度センサは、174mV/Gの出力感度(1Gあたりに出力される電圧値)に対して、1.5V±20%(1.5V±300mV)のオフセットを有しており、オフセットのばらつきが出力感度に対しておよそ4倍となっている。
このようなオフセットは、各加速度センサ毎にばらつきを有しているため、歩数計毎に個別の補正を行う必要があり、また、3軸加速度センサであれば、各軸にばらばらのオフセットがあるため、軸毎にオフセットの補正を行わなければならない。しかも、オフセットの補正には、オフセット補正(調整)用の電子機器(例えば、オフセットを補正するためのボリューム抵抗や、オフセットのデータを記憶させる為のEEPROM等を有する機器)が必要になり、製造工程でも調整が必要となる。
つまり、従来の歩数計においてオフセットを補正するためには、オフセット補正用の電子機器を設けなくてはならず、これにより歩数計が非常に高コストになってしまうという問題が生じていた。
また、加速度センサのオフセットは、電源電圧依存性や温度依存性があり、電源電圧や温度変化によりオフセットが変化して精度が落ちるという問題もある。このような問題を解決するためには、オフセットと温度と電源電圧との関係を予め測定しておき、この測定データをEEPROM等の記憶媒体に記憶させて、加速度センサの測定時の温度と電源電圧に応じたオフセットの値を前記記憶媒体から取り出して、オフセットの補正を行う必要がある。
この場合、温度測定や電源電圧測定等のためにさらに多くの電子部品が必要になるとともに、複雑な調整工程が必要になり、その結果、歩数計の更なるコストアップに繋がってしまうという問題があった。
以上述べたように、従来の歩数計では、精度を向上させるために、オフセット補正用の電子部品等が必要となり、これにより低コスト化を図ることができないという問題があった。
本発明は上述の点に鑑みて為されたもので、その目的は、向きによる検出感度の変化を低減でき、しかも低コスト化及び高精度化を図ることができる歩数計を提供することにある。
上記の問題を解決するために、請求項1の歩数計の発明では、3軸加速度センサと、該3軸加速度センサより取得した3軸の加速度値と前回取得した3軸の加速度値との差をそれぞれ算出し、算出した差の合成値を出力する差分演算手段と、該差分演算手段の出力と所定の閾値との比較結果に基づいて歩数を計数する歩数計数手段とを備えていることを特徴とする。
請求項2の歩数計の発明では、3軸加速度センサと、該3軸加速度センサより取得した3軸の加速度値の合成値を算出し、算出した合成値と前回の合成値との差を出力する差分演算手段と、該差分演算手段の出力と所定の閾値との比較結果に基づいて歩数を計数する歩数計数手段とを備えていることを特徴とする。
請求項3の歩数計の発明では、請求項1又は2の構成に加えて、所定時間内における前記差分演算手段の出力のピーク値に基づいて、所定の閾値を調整する閾値調整手段を備えていることを特徴とする。
請求項1の歩数計の発明は、3軸加速度センサから取得した3軸の加速度値と前回取得した3軸の加速度値との差をそれぞれ算出し、算出した差の合成値を用いて歩数の計数を行っているので、歩数計の向きがどの方向を向いていても歩数を正確に計数することができて、向きによる検出感度の変化を低減できるという効果を奏する。しかも、3軸加速度センサが持つオフセットの影響を低減できるから、別途オフセット調整用の電子機器等を設けなくて済み、これにより低コスト化を図ることができるとともに、高精度な歩数の検出を行えるという効果を奏する。
請求項2の歩数計の発明は、3軸加速度センサから取得した3軸の加速度値の合成値と前回の合成値との差を算出し、算出した差を用いて歩数の計数を行っているので、歩数計の向きがどの方向を向いていても歩数を正確に計数することができて、向きによる検出感度の変化を低減できるという効果を奏する。しかも、3軸加速度センサが持つオフセットの影響を低減できるから、別途オフセット調整用の電子機器等を設けなくて済み、これにより低コスト化を図ることができるとともに、高精度な歩数の検出を行えるという効果を奏する。
請求項3の歩数計の発明は、所定時間内における差分演算手段の出力のピーク値に基づいて、歩数計数手段の所定の閾値を調整するので、歩数計を装着している人のその時の状態(走行、早足での歩行、ゆっくりとした歩行等)に応じて閾値を調整することが可能となり、これにより歩行以外の体動等によるノイズの影響を低減して、正確な歩数を検出することが可能になるという効果を奏する。
以下に、図1〜図6を参照して、本発明の歩数計の実施形態について説明する。
(実施形態1)
本実施形態の歩数計1は、図1(a),(b)に示すように、3軸加速度センサ2と、マイクロコンピュータからなる演算処理装置3と、歩数等を含む情報を表示面4aに表示する液晶表示器等の表示装置4と、小型の1次電池(例えば、ボタン電池やコイン電池等)を含む電源装置5と、歩数計測のスタート/ストップを行う押釦スイッチ6a等を有する操作入力装置6と、これらを内蔵するとともに表示部4の表示面4a及び押釦スイッチ6aを前面に露出させる合成樹脂製の筐体7とを備えている。
3軸加速度センサ2は、例えば、小型で低消費電力なMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)を利用したピエゾ抵抗型の加速度センサであり、互いに垂直な3軸(x軸、y軸、z軸)の各加速度値X,Y,Zをアナログ出力するように構成されている。
演算処理装置3は、3軸加速度センサ2から各軸の加速度値を取得するサンプリング手段と、サンプリング手段で得た各軸の加速度値を元に演算を行う差分演算手段と、差分演算手段の出力を元に歩数を計数する歩数計数手段と、表示装置4を制御する表示制御手段と、操作入力装置6の操作情報の処理等を行う操作処理手段とを行うソフトウェアを備えるマイクロコンピュータからなる。
サンプリング手段は、3軸加速度センサ2の出力を所定のサンプリング周期(例えば、10Hz以上)でサンプリングしてA/D変換して差分演算手段に出力するものである。尚、以下の説明では、歩数計測のスタートからn回目にサンプリングした3軸加速度センサ2の3軸の各加速度値をX,Y,Z(n=1,2,3…)で表わすこととする。
差分演算手段は、サンプリング手段により取得した3軸加速度センサ2の各加速度値X,Y,Zと前回取り込んだ各加速度値Xn−1,Yn−1,Zn−1との差ΔX(=X−Xn−1),ΔY(=Y−Yn−1),ΔZ(=Z−Zn−1)をそれぞれ算出し、この算出した差ΔX,ΔY,ΔZに基づいて次式で表わす合成値F1を出力するものである。
Figure 2007148702
つまり、差分演算手段は、n回目にサンプリングした加速度ベクトルV=(X,Y,Z)と、n−1回目にサンプリングした加速度ベクトルVn−1=(Xn−1,Yn−1,Zn−1)との差を示すベクトルV=(ΔX,ΔY,ΔZ)の大きさを出力するのである。
ここで、3軸加速度センサ2のオフセットを考慮すると、n回目に取得した各加速度値X,Y,Zは、次式で表わすことができる。次式において、Xg,Yg,Zgは各軸における真の加速度成分であり、Xoff,Yoff,Zoffは各軸におけるオフセットであるとする。
Figure 2007148702
同様に、n−1回目に取得した各加速度値Xn−1,Yn−1,Zn−1は、次式で表わすことができる。次式において、Xgn−1,Ygn−1,Zgn−1は各軸における真の加速度成分であり、Xoffn−1,Yoffn−1,Zoffn−1は各軸におけるオフセットであるとする。
Figure 2007148702
したがって、ΔX,ΔY,ΔZは、次式で表わすことができる。
Figure 2007148702
ここで、3軸加速度センサのオフセットは、電源電圧依存性や温度依存性等があるが、比較的緩やかに変化する誤差であって、短時間では大きく変化しないことを考慮すると、10Hz以上のサンプリング周期のように短いサンプリング間隔であれば、オフセットは略等しいとみなすことができる。したがって、合成値F1は、次式のように表わすことができる。
Figure 2007148702
上式を見れば明らかなように、合成値F1から各軸におけるオフセットXoff,Yoff,Zoff,Xoffn−1,Yoffn−1,Zoffn−1を除去することができる。また、加速度値X,Y,Zと加速度値Xn−1,Yn−1,Zn−1とには、それぞれ重力加速度成分が含まれることになるが、10Hz以上のサンプリング周期のように短いサンプリング間隔であれば、重力加速度成分は略等しいとみなすことができるために、合成値F1から重力加速度成分を除去することができる。これにより、歩数計の向きがどの方向を向いていても歩数を正確に計数することができて、3軸加速度センサ2の向きによる検出感度の変化を低減できる。
歩数計数手段は、差分演算手段から出力された合成値F1の値と所定の閾値(歩数増加の判断となる閾値)T1との比較結果に基づいて、歩行による合成値F1のピーク(合成値F1の傾きが正から負へ代わる点)を検出し、ピークを検出する毎に歩数を計数するものである。例えば、合成値F1が閾値T1を越えた際には、ピークを検出したとみなして歩数をインクリメント(1増加)させ、合成値F1が閾値T1以下であれば、歩数をインクリメントしないように構成されている。このように閾値T1を設けることで、歩行以外の体動やノイズによるピークを歩数として計数することがないようしている。加えて、歩数計数手段では、一旦歩数を検出した後には、合成値F1が閾値T1以下になるまで歩数の計数を行わないようにしてあり、これにより歩数を重複して計数してしまうことを防止している。
また、実際上、合成値F1のピークは、ノイズ等の様々な要因によって図3に示すように割れてしまうため、このような割れたピークを歩数として計数してしまうと、実際の歩数よりも歩数を多く計数してしまうことになる。このような問題を防止するためには、合成値F1が閾値T1を越えた際(歩数を計数した際)には、所定時間(例えば、0.2秒間)は歩数を計数しない不感時間を設けることが好ましい。上記の機能はフィルタ等を設けることで実現でき、このようなノイズ対策によってさらに高精度化を図ることができる。
尚、歩数計測のスタート直後の1回目の加速度値に対しては、前回の加速度値がないため、合成値F1として0を出力し、2回目以降から合成値F1を上記の式に基づいて算出するようにしている。そして、歩数計数手段は、上記のようにして得られた歩数情報を表示制御手段に出力する。
表示制御手段は、歩数計数手段より得た歩数情報に基づいて、表示面4aに歩数を含む情報を表示させるように、表示装置4を制御するものである。
操作処理手段は、操作入力装置6からの操作入力によって、歩数計測スタート/ストップの操作、累積保存している歩数総計のリセット、更に、表示を歩数計測スタートから現時点までの歩数表示や累積保存している歩数総計の表示等の歩数計として必要とされる操作を行えるように構成されている。
次に、本実施形態の歩数計1の動作について説明する。まず、操作入力装置6を操作して歩数計測をスタートさせると、演算処理装置3は、サンプリング手段により3軸加速度センサ2から各軸の加速度値を所定のサンプリング周期で取得する。ここで、サンプリング周期が20Hzで、5秒間に10歩歩いた際のグラフを図2に示す。尚、3軸加速度センサとしては、オフセットが1.5V±20%、出力感度が174mV/Gのものを用いている。
そして、差分演算手段は、サンプリング手段により取得した3軸加速度センサ2の出力に基づいてF1を求める。ここで、このようにして求めた合成値F1のグラフを図3に示す。ここで、比較例として、オフセット補正用の電子機器等を設けてオフセットの補正を行った場合の合成値F0のグラフを図4に示す。これら図3,4に示すグラフを見れば明らかなように、オフセット補正用の電子機器によりオフセット補正を行っていない図3に示すグラフでも、図4に示すグラフと同様に、1歩毎にピークが正確に得られていることがわかる。
歩数計数手段は、差分演算手段の出力(合成値F1の値)と、所定の閾値T1(本実施形態では、0.5G)とを比較し、合成値F1が閾値T1を越えた際に、歩数を1増加させ、表示制御手段は、歩数計数手段より得た歩数情報に基づいて、表示面4aに歩数を含む情報を表示させる。
以下、操作入力装置6により歩数計測がストップされるまでは、このような動作が繰り返し行われることになる。
以上述べた本実施形態の歩数計によれば、3軸加速度センサ2から取得した3軸の加速度値と前回取得した3軸の加速度値との差をそれぞれ算出し、算出した差の合成値F1を出力する差分演算手段と、該差分演算手段の出力である合成値F1と所定の閾値T1との比較結果に基づいて歩数を計数する歩数計数手段とを備えるので、歩数計の向きがどの方向を向いていても歩数を正確に計数することができて、3軸加速度センサ2の向きによる検出感度の変化を低減できるという効果を奏する。しかも、3軸加速度センサ2が持つオフセットの影響を低減できるから、別途オフセット補正用の電子機器等を設けなくて済み、これにより低コスト化を図ることができるとともに、高精度な歩数の検出を行えるという効果を奏する。
尚、本実施形態では、F1を数1で表わしているが、計算の容易性を考慮すると、ルート計算を行わずに、F1=ΔX+ΔY+ΔZとしてもよい。
また尚、本実施形態の歩数計1は、3軸加速度センサ2と、演算処理装置3と、表示装置4と、電源装置5と、操作入力装置6とを筐体7に内蔵しているが、これ以外に演算処理装置3へ測定条件を入力する為の押釦等の入力装置を付加してもよいし、1週間単位や1ヶ月単位での歩数総計の確認が行えるように累積歩数を記憶するメモリ等を設けてもよい。この点は、後述する実施形態2,3においても同様である。
(実施形態2)
本実施形態の歩数計は、上記実施形態1の歩数計1と同様に、3軸加速度センサ2と、演算処理装置3と、表示装置4と、電源装置5と、操作入力装置6と、筐体7とを備えているが、演算処理装置3の構成が上記実施形態1と異なっており、その他の構成については、上記実施形態1と同様であるから、同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
ここで、演算処理装置3は、3軸加速度センサ2から各軸の加速度値を取得するサンプリング手段と、サンプリング手段で得た各軸の加速度値を元に演算を行う差分演算手段と、差分演算手段の出力を元に歩数を計数する歩数計数手段と、表示装置4を制御する表示制御手段と、操作入力装置6の操作情報の処理等を行う操作処理手段とを行うソフトウェアを備えるマイクロコンピュータからなる。尚、サンプリング手段、表示制御手段、操作処理手段については上記実施形態1と同様のであるから説明を省略する。
差分演算手段は、サンプリング手段により取得した3軸加速度センサ2の各加速度値X,Y,Zの合成値と、前回取り込んだ各加速度値Xn−1,Yn−1,Zn−1の合成値との差F2を出力するものであり、ここで差F2は次式で表わされる。
Figure 2007148702
つまり、差分演算手段は、n回目にサンプリングした加速度ベクトルV=(X,Y,Z)の大きさの2乗と、n−1回目にサンプリングした加速度ベクトルVn−1=(Xn−1,Yn−1,Zn−1)の大きさの2乗との差を出力するのである。
ここで、3軸加速度センサ2のオフセットを考慮すると、n回目に取得した各加速度値X,Y,Zは、上記の数2の式で表わすことができる。同様に、n−1回目に取得した各加速度値Xn−1,Yn−1,Zn−1は、上記の数3の式で表わすことができる。したがって、差F2におけるXの項であるF2は、次式で表わすことができる。
Figure 2007148702
ここで、3軸加速度センサのオフセットは、10Hz以上のサンプリング周期のように短いサンプリング間隔であれば、略等しい(Xoff≒Xoffn−1)とみなすことができるため、F2は、次式のように表わすことができる。
Figure 2007148702
この点は、差F2におけるYの項であるF2、及び差F2におけるZの項であるF2についても同様である。
したがって、本実施形態の場合、Xoffの項が残るために上記実施形態1とは異なり3軸加速度センサのオフセットXoff,Yoff,Zoff,Xoffn−1,Yoffn−1,Zoffn−1を全て除去することはできないが、オフセットの2乗の項を全て除去することができるため、オフセットの影響を低減することが可能となる。また、本実施形態では、加速度値X,Y,Zと、加速度値Xn−1,Yn−1,Zn−1とについてそれぞれ合成値を求めており、各合成値は、重力加速度を含んだ歩数計が受けた加速度の大きさであるから、各合成値の大きさは、歩数計の向き(3軸加速度センサ2の向き)に依存しない。そのため、歩数計の向きに寄らずに正確に歩数を算出することが可能となり、これにより3軸加速度センサ2の向きによる検出感度の変化を低減できる。
歩数計数手段は、差分演算手段から出力された差F2の値と所定の閾値(歩数増加の判断となる閾値)T2との比較結果に基づいて、歩行による差F2のピーク(差F2の傾きが正から負へ代わる点)を検出し、ピークを検出する毎に歩数を計数するものである。例えば、差F2が閾値T2を越えた際に、ピークを検出したとみなして歩数をインクリメント(1増加)させ、差F2が閾値T2以下であれば、歩数をインクリメントしないように構成されている。このように閾値T2を設けることで、歩行以外の体動やノイズによるピークを歩数として計数することがないようしている。加えて、歩数計数手段では、一旦歩数を検出した後には、差F2が閾値T2以下になるまで歩数の計数を行わないようにしてあり、これにより歩数を重複して計数してしまうことを防止している。また、実施形態1と同様に、差F2が閾値T2を越えた際(歩数を計数した際)には、所定時間(例えば、0.2秒間)は歩数を計数しない不感時間を設けてもよい。尚、本実施形態においても、上記実施形態1と同様に、歩数計測のスタート直後の1回目の加速度値に対しては、前回の加速度値がないため、差F2として0を出力し、2回目以降から差F2を上記の式に基づいて算出するようにしている。そして、歩数計数手段は、上記のようにして得られた歩数情報を表示制御手段に出力する。
次に、本実施形態の歩数計の動作について説明する。まず、操作入力装置6を操作して歩数計測をスタートさせると、演算処理装置3は、サンプリング手段により3軸加速度センサ2から各軸の加速度値を所定のサンプリング周期で取得する。ここで、サンプリング周期が20Hzで、5秒間に10歩歩いた際のグラフを図2に示す。尚、3軸加速度センサとしては、オフセットが1.5V±20%、出力感度が174mV/gのものを用いている。
そして、差分演算手段は、サンプリング手段により取得した3軸加速度センサ2の出力に基づいてF2を求める。ここで、このようにして求めた差F2のグラフを図5に示す。ここで、図4に示す合成値F0のグラフと比較すれば明らかなように、オフセット補正用の電子機器によりオフセット補正を行っていない図5に示すグラフでも、図4に示すグラフと同様に、1歩毎にピークが正確に得られていることがわかる。
歩数計数手段は、差分演算手段の出力(差F2の値)と、所定の閾値T2(本実施形態では、1.4G)とを比較し、差F2が閾値T2を越えた際に、歩数を1増加させ、表示制御手段は、歩数計数手段より得た歩数情報に基づいて、表示面4aに歩数を含む情報を表示させる。
以下、操作入力装置6により歩数計測がストップされるまでは、このような動作が繰り返し行われることになる。
以上述べた本実施形態の歩数計によれば、3軸加速度センサ2から取得した3軸の加速度値の合成値を算出し、算出した合成値と前回取得した3軸の加速度値の合成値との差F2を出力する差分演算手段と、該差分演算手段の出力である差F2と所定の閾値T2との比較結果に基づいて歩数を計数する歩数計数手段とを備えるので、歩数計の向きがどの方向を向いていても歩数を正確に計数することができて、3軸加速度センサ2の向きによる検出感度の変化を低減できるという効果を奏する。しかも、3軸加速度センサ2が持つオフセットの影響を低減できるから、別途オフセット調整用の電子機器等を設けなくて済み、これにより低コスト化を図ることができるとともに、高精度な歩数の検出を行えるという効果を奏する。
ところで、3軸加速度センサ2のオフセットは、上述したように製品毎のオフセットのばらつきや、オフセットの電源電圧依存性及び温度依存性等によって、製品毎にオフセットの値が異なっているが、このようなオフセットのばらつきは、オフセットの値に比べれば比較的小さい値であるから、おおよそ同性能となるように形成した3軸加速度センサ2では、n回目のサンプリングデータにおけるX軸のオフセットXoffを次式で表わすことができる。ここで、Xofftは、オフセットの中心値であり、ΔXoffは、製品毎のオフセットのばらつきや、オフセットの電源電圧依存性及び温度依存性等を含むばらつき成分を示す値である。尚、ΔXoffは、正の値に限らず、負の値または0をも含む。
Figure 2007148702
オフセットの中心値として与えられるXofftは、3軸加速度センサ2の製品毎に不変の値であって、3軸加速度センサ2の設計仕様から推測される値であるから、3軸加速度センサ2のオフセット測定を行わなくても、Xofftの値を得ることが可能である。この点を考慮すると、数6で表わされる差F2におけるXの項F2は、次式で表わすことができる。
Figure 2007148702
ここで、上記の数2、及び数3、並びに数9を考慮すると、F2は、次式で表わすことができる。
Figure 2007148702
ここで、3軸加速度センサのオフセットは、上述したように10Hz以上のサンプリング周期のように短いサンプリング間隔であれば、略等しい(ΔXoff≒ΔXoffn−1)とみなすことができるため、F2は、次式のように表わすことができる。
Figure 2007148702
ここで、数8と数12とを比較すると、数8では、オフセットを含む項が2Xoff(Xg−Xgn−1)であったのに対して、数12では、オフセットを含む項が2ΔXoff(Xg−Xgn−1)となっており、数8に比べて、オフセットの中心値Xofftの分だけオフセットの影響を低減できていることがわかる。この点は、差F2におけるYの項であるF2、及び差F2におけるZの項であるF2についても同様である。
したがって、上述したようにオフセットの中心値を予め各加速度値から引いておくことで、さらなるオフセットの影響の低減を図ることが可能となる。また、オフセットの中心値は、実際に3軸加速度センサのオフセット測定を行わなくても得られる値であるので、演算処理装置3においてオフセットの中心値を各加速度値から引く計算式を付加するだけで済み、これにより従来のようにオフセット補正用の電子機器等を設ける必要がないから、低コスト化を図ることができる。
(実施形態3)
ところで、上記実施形態1では、歩数計数手段の閾値を一定値としているので、例えば、早足等の加速度変化の大きい歩行を行った際には、歩行に起因するピークだけでなく、早足等に伴って大きくなる体動等に起因するピークも歩数として誤って計数してしまうおそれがあった。また、このような誤計数を防止するために閾値を大きくすると、逆に、ゆっくりとした歩行に起因するピークが閾値を越えることができなくなって、このような加速度の変化量の小さい歩行を行った際の歩数を計数できなくなるおそれがあった。
本実施形態の歩数計は、このような問題を解決するためのものであり、上記実施形態1の演算処理装置3に、閾値調整手段を設けたことに特徴がある。尚、その他の構成については、上記実施形態1と同様であるから、同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
閾値調整手段は、10秒間等の所定時間内におけるピーク値の平均値(或いは、所定数のピーク値の平均値)を求めるピーク値演算機能と、ピーク値の数を計数するカウンタ機能と、算出したピーク値の平均値の大きさに応じて、次の所定時間における閾値T1の値を設定する閾値設定機能等を備えるものであり、例えば、ピーク値の平均値が大きければ、早足など加速度変化の大きい歩行をしていると認識して閾値T1を大きい値に設定し、逆に、ピークの平均値が小さければ、ゆっくりと歩行していると認識して閾値T1を小さい値に設定する。尚、閾値T1は、最大値および最小値を設定しその間で変動するようにしてあり、これにより歩行以外の外的要因に起因するピークを歩行時によるものと誤認して歩行していないのに歩数が計数されていくことを防止している。また尚、歩数計測のスタート時には、閾値T1は、標準歩行時に適した値に設定してある。
このような閾値調整手段を備える本実施形態の歩数計の動作について図6のフローチャートを参照して説明する。尚、サンプリング手段のサンプリング周期は、上記実施形態1と同様に、20Hzとし、閾値調整手段は、10秒間のピーク値の平均値を算出するものとする。
まず、操作入力装置6を操作して歩数計測をスタートさせると、演算処理装置3は、サンプリング手段により3軸加速度センサ2から各軸の加速度値を所定のサンプリング周期で取得する(ステップS1)。そして、差分演算手段は、サンプリング手段により取得した3軸加速度センサ2の出力に基づいてF1を求め(ステップS2)、閾値調整手段は、カウンタを1増加させる(ステップS3)。
歩数計数手段は、差分演算手段の出力(合成値F1の値)と、所定の閾値T1とを比較し、合成値F1が閾値T1を越えているか否かを判別する(ステップS4)。そして、ステップS4において合成値F1が閾値T1を越えていれば、歩数を1増加させるとともに、表示面4aに歩数を含む情報を表示させ(ステップS5)、この後にカウンタが200(=20Hz×10秒)か否かを判別する(ステップS6)。一方、ステップS4において合成値F1が閾値T1以下であれば、ステップS5を経ずにステップS6へ進む。
ステップS6においてカウンタが200であれば、閾値調整手段は、ピーク値の平均値の算出を行い(ステップS7)、この算出したピーク値の平均値に基づいて閾値T1を設定し(ステップS8)、カウンタを0にリセットして(ステップS9)、一連の動作を終了する。一方、ステップS6においてカウンタが200でなければ、ステップS7〜S9を行うことなく一連の動作を終了する。
以下、操作入力装置6により歩数計測がストップされるまでは、上記一連の動作が繰り返し行われることになる。
以上述べた本実施形態の歩数計によれば、閾値調整手段が、所定時間内における差分演算手段の出力のピーク値に基づいて、歩数計数手段の所定の閾値を調整するので、歩数計を装着している人のその時の状態(走行、早足での歩行、ゆっくりとした歩行等)に応じて閾値を調整することが可能となり、これにより歩行以外の体動等によるノイズの影響を低減して、正確な歩数を検出できるという効果を奏する。また、本実施形態によれば、装着者毎の歩き方の違い等に応じて閾値を調整することも可能となる。
尚、本実施形態では、上記実施形態1の歩数計に閾値調整手段を設けるようにしているが、本実施形態の閾値調整手段を実施形態2の歩数計に設けるようにしてもよい。
(a)は、本発明の実施形態1の歩数計のブロック図であり、(b)は、斜視図である。 サンプリング手段により取得した各軸の加速度値を示すグラフである。 実施形態1における差分演算手段の出力を示すグラフである。 比較例としてオフセット補正を行った例を示すグラフである。 実施形態2における差分演算手段の出力を示すグラフである。 実施形態3のフローチャートである。
符号の説明
1 歩数計
2 3軸加速度センサ
3 演算処理装置
4 表示装置
4a 表示面
5 電源装置
6 操作入力装置
6a 押釦スイッチ

Claims (3)

  1. 3軸加速度センサと、該3軸加速度センサより取得した3軸の加速度値と前回取得した3軸の加速度値との差をそれぞれ算出し、算出した差の合成値を出力する差分演算手段と、該差分演算手段の出力と所定の閾値との比較結果に基づいて歩数を計数する歩数計数手段とを備えていることを特徴とする歩数計。
  2. 3軸加速度センサと、該3軸加速度センサより取得した3軸の加速度値の合成値を算出し、算出した合成値と前回の合成値との差を出力する差分演算手段と、該差分演算手段の出力と所定の閾値との比較結果に基づいて歩数を計数する歩数計数手段とを備えていることを特徴とする歩数計。
  3. 所定時間内における前記差分演算手段の出力のピーク値に基づいて、所定の閾値を調整する閾値調整手段を備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の歩数計。
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