JP2007147287A - 排出流体モニタリング装置 - Google Patents

排出流体モニタリング装置 Download PDF

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Abstract

【課題】排出流体に含まれる特定核種以外の特定外核種のエネルギー領域の計数率も計算できるようにして、放射線管理をより有効的に行えるようにした排出流体モニタリング装置を提供する。
【解決手段】検出信号に基づいてエネルギー別に計数を行い、全エネルギー領域の計数率と、特定核種のピークエネルギー領域の計数率と、を集計し、特定核種のピークエネルギー領域の計数率にある定数を乗じて算出した計数率を、全エネルギー領域の計数率から減算して特定核種を除く特定外核種のエネルギー領域の計数率を算出するようなデータ処理部15を有する排出流体モニタリング装置1とした。
【選択図】図1

Description

本発明は、原子力発電所などの原子力施設及び大学・研究所などの放射性同位元素取扱施設から放出された気体状及び液体状の放射性排出物である排出流体についてモニタリングを行う排出流体モニタリング装置に関する。
従来技術の排出流体モニタリング装置として、気体状の排出流体についてモニタリングを行う排気モニタや、液体状の排出流体についてモニタリングを行う排水モニタが知られている。
排気モニタは、例えば、施設から放出される排気ガスに存在する放射性同位元素からの放射線を連続的に測定・監視・記録するガスモニタである。
また、排水モニタは、排水中に含まれる放射性同位元素からの放射線を連続監視する水モニタである。
このような排出流体のモニタリングを行うモニタリング装置については各種開発されており、例えば、特許文献1(特開平3−138593号公報)に記載の排ガス放射性モニタ装置や特許文献2(特開2001−42040号公報)に記載の放射性ガスモニタが開示されている。
特許文献1に開示されている排ガス放射線モニタ装置は、XeやKrの放射線希ガス測定に影響を及ぼす窒素核種13Nをオフガス中から除去して放射線測定を行うことで、測定精度を向上させた装置である。
また、特許文献2に開示されている放射性ガスモニタは、原子炉から放出されるオフガス中における注目核種のγ線を精度良く検出するため、メイン検出器とサブ検出器とを設けたものである。511kevの妨害γ線はメイン検出器を透過してメイン検出器及びサブ検出器の両方で検出され、その結果、その同時計数を利用して当該妨害γ線を測定結果から排除可能とし、特に低エネルギー領域にピークを有する注目核種からのγ線を精度良く検出可能としている。
特開平3−138593号公報 特開2001−42040号公報
従来技術の放射性希ガスモニタ(γ線計測)は全エネルギー領域の計数率の計測、または、特定核種のピークエネルギー領域の計数率の計測を行うものである。しかしながら、全エネルギー領域の計数率から、特定核種のピークエネルギー領域の計数率を減算する機能はなく、特定核種を除いたその他の希ガスのエネルギー領域(以下、単に特定外核種のエネルギー領域という)の計数率の計測ができない。
このように従来技術の排出流体モニタリング装置では、特定核種以外の特定外核種について考慮するものはなかった。
そこで、本発明は上記問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、排出流体に含まれる特定核種以外の特定外核種のエネルギー領域の計数率も計算できるようにして、放射線管理をより有効的に行えるようにした排出流体モニタリング装置を提供することにある。
このような本発明の請求項1に係る排出流体モニタリング装置は、
排出流体が通流する流出流体用流路からサンプリング用流路を介してサンプリング流体が流入するサンプリング部と、
サンプリング部内のサンプリング流体に対して放射線計測を行って検出信号を出力する計測部と、
計測部から出力された検出信号を入力してデータ処理を行うデータ処理部と、
を備え、
前記データ処理部は、
検出信号に基づいてエネルギー別に計数を行い、全エネルギー領域の計数率と、特定核種のピークエネルギー領域の計数率と、を集計する集計手段と、
特定核種のピークエネルギー領域の計数率にある定数を乗じて算出した計数率を、全エネルギー領域の計数率から減算して特定核種を除く特定外核種のエネルギー領域の計数率を算出する算出手段と、
として機能することを特徴とする。
また、本発明の請求項2に係る排出流体モニタリング装置は、
請求項1に記載の排出流体モニタリング装置において、
前記算出手段による算出は、

[数式]
特定外核種のエネルギー領域の計数率
=(全エネルギー領域の計数率)−Σαi×(特定核種[i]のピークエネルギー領域の計数率)

により行われることを特徴とする。
以上のような本発明によれば、排出流体に含まれる特定核種以外の特定外核種のエネルギー領域の計数率も計算できるようにして、放射線管理をより有効的に行えるようにした排出流体モニタリング装置を提供することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態の排出流体モニタリング装置について図を参照しつつ説明する。図1は本形態の排出流体モニタリング装置のブロック構成図である。
本形態の排出流体モニタリング装置1は、サンプリング用流路11、吸引ポンプ12、サンプリング部13、計測部14、データ処理部15、出力部16を備える。
排出流体用流路20は、放射性物質取扱施設から導出されており、この中を排出流体が流れるものとする。
排出流体とは具体的には気体と液体とがある。
排出流体が気体である場合、排出流体モニタリング装置1は、具体的には排気筒モニタなどであり、排出流体用流路20は具体的には排気筒であり、排出流体としてオフガスが流れる。
原子力発電所からは、非常にわずかな量であるが、気体状の放射性物質が施設内の換気空気とともに放出されている。そこで、施設内で発生した気体廃棄物は一時減衰タンクで貯蔵して放射能を弱め、さらにフィルターを通して、放射能レベルが基準より十分低いことを確認して排気筒から大気中に放出している。排気筒モニタはこの排気される放射性物質を監視する。
なお、排出流体に含まれる核種として、例えば、Xe−138、Kr−87、Kr−85、Kr−88、Kr−85m、Xe−135、Xe−133、Xe−135m、Xe−137、Kr−89、Ar−41などがあげられる。
また、排出流体が液体である場合、排出流体モニタリング装置は、具体的には放水口モニタなどであり、排出流体用流路20は具体的には放水管であり、排出流体として排水が流れる。
原子力発電所からは、非常にわずかな量であるが、液体放射性物質が排水とともに放出されている。このため、放出前には放射性物質の量をあらかじめ測定、分析し、環境に影響がないことを確認しているが、この放水口モニタは、放水される排水中の放射能を連続的に測定し再確認する。
排出流体に含まれる核種として、セシウム、コバルト等などが挙げられる。
本形態では排出流体として一括して説明するものとし、具体例については実施例1にて説明する。
続いて各構成の機能について説明する。
サンプリング用流路11は、放射性物質取扱施設から導出される排出流体用流路20と接続される。
吸引ポンプ12は、サンプリング用流路11の流路中に設けられ、サンプリング用流路11内に吸引力を与えており、排出流体用流路20から排出流体が少し流入するようになされている。このような少量の排出流体をサンプリング流体として流入させ、また、モニタ済みのサンプリング流体を排出流体として圧送して排出流体用流路20へ流出させる。
サンプリング部13は、サンプリング用流路11に連通し、図示しないが、サンプリング流体が流入する空間が形成されたチャンバである。サンプリング流体がこのチャンバを通過してサンプリングに利用される。サンプリング後は排気流体としてサンプリング用流路11を介して排出流体用流路20へ戻されて流出される。
計測部14は、例えば半導体型放射線検出器である。計測部14は、サンプリング部13内のサンプリング流体に対して放射線を検出するγ線計測を行って検出信号を出力する。この検出信号はエネルギーの大きさに比例して振幅が大きくなったパルス信号などである。
データ処理部15は、計測部14から出力された検出信号を入力して、図示しないA/D変換器などを介してデジタルデータである検出データとして読み込み、後に詳述されるような各種手段として機能し、特定外核種のエネルギー領域の計数率を算出する。
出力部16は各種の出力を行う。この出力部16は、出力を行う各種機能を想定したものであり、例えば、ディスプレイ装置および駆動装置であって、全エネルギー領域、特定核種のピークエネルギー領域、または、特定外核種のエネルギー領域それぞれの計数率を表示する。また、記憶装置などであって上記各種の計数率のデータ蓄積を行う。また、パーソナルコンピュータ装置であって、上記各種の計数率のディスプレイ出力とデータ蓄積とを行う。
続いて、特定外核種のエネルギー領域の計数率の算出について説明する。まず算出原理について図を参照しつつ簡単に説明する。図2は検出データのエネルギー−計数率特性図である。図3は検出データのエネルギー−計数率特性の内訳を説明する説明図である。図4〜図6はデータ処理部における検出原理の説明図である。
検出データからエネルギー別に計数率をプロットすると、図2で示すように、一または複数ピーク(図2では説明の具体化のため3本のピークが図示されている。)を含む特性図が現れる。この特性図の内訳は、図3で示すように、バックグラウンドノイズおよび三つの核種が検出されたと判定できる。このうち予め特定された特定核種(図2では特定核種[1],特定核種[2])のピークが含まれるならば、これらバックグラウンドノイズの計数率および特定核種[1],特定核種[2]についての計数率を減算することで、特定外核種のエネルギー領域の計数率を特定できる。
つまり、検出データから全エネルギー領域におけるバックグラウンドノイズの計数率を引くと図4で示すようになり、続いて特定核種[1]の全エネルギー領域における計数率を引くと図5で示すようになり、特定核種[2]の全エネルギー領域における計数率を引くと図6で示すように特定外核種の全エネルギー領域における計数率のみ残る。
ここで実際の検出データからは、図2で示すように、特定核種[1],[2]のピークエネルギー領域までは検出が可能であるが、特定核種[1],[2]のピークが現れるエネルギー以外のエネルギー領域にはコンプトン散乱による妨害γ線による計数率が重畳されている。例えば、図4で示すようにある特定核種[1]のピークが現れるエネルギーよりも低いエネルギー領域には妨害γ線による計数率が現れている。さらに全領域については多数の特定核種におけるコンプトン散乱による妨害γ線による計数率が重畳されてしまう。
そこで、ピークとその周辺のピークエネルギー領域の計数率は正確な値であることに着目して、ピークエネルギー領域の計数率からコンプトン散乱による妨害γ線の計数率も予測することで、特定核種についての全エネルギー領域の計数率を算出し、最終的に検出データからこれら特定核種ついての全エネルギー領域の計数率を除去することで、特定外核種の全エネルギー領域の計数率を算出するというものである。結果として、特定核種外であって、低エネルギーγ線を放出する注目核種を高感度に検出可能とするものである。
続いて、データ処理部15による処理について図を参照しつつ説明する。図7〜図9はデータ処理部におけるデータ処理の説明図である。
データ処理部15は最初に実ガス校正を行う。
まず、データ処理部15は、予め校正用のデータを取得するものであり、バックグラウンドノイズの校正用の計数率を取得する。サンプリング部13に通常の大気を導入して取得される、校正用のバックグラウンドノイズの計数率は、図7で示すように、特に顕著なピークもなく、白色ノイズの性質を有している。この校正用のバックグラウンドノイズの計数率はあるエネルギーE(kev)に対応させた計数率(min−1)データとして図示しないメモリやハードディスク等に登録される。例えば、あるエネルギーとして100kevを指定したならばその計数率が取得できるというものである。なお、バックグラウンドノイズの計数率は各エネルギーにおける平均値を用いてエネルギーに関係なく一律に適用するようにしても良い。
続いてデータ処理部15は、特定核種[1]の校正用データを取得する。サンプリング部13に所定濃度の特定核種[1]のみを含めた大気を導入して取得される。この場合特定核種[1]とバックグラウンドノイズとによる放射線が重畳された計数率が取得されるものであり、図7中の領域R1の全エネルギー領域のバックグラウンドノイズの計数率を除去することで、図8で示すような領域R1の全エネルギー領域の正味計数率が算出される。
特定核種[1]の正味計数率は、図8で示すように特定エネルギーE1にて計数率がC1のピークを有する。ここに誤差も考慮して所定幅を持つ特定核種のピークエネルギー領域を採用する。この際、全エネルギー領域(図8中の領域R1)の正味計数率Aと、特定エネルギーE1の前後(例えばE1±10%)からなる特定核種のピークエネルギー領域(図8中の領域R2)の正味計数率Bと、を算出する。この際、特定核種[1]の濃度が異なる大気を順次導入して、複数濃度a1,a2,a3についての正味計数率A1,A2,A3,B1,B2,B3を取得して、Ai/Biである係数α11,α12,α13を算出する。まとめると次表のようになる。
Figure 2007147287
この係数α11,α12,α13の平均値を係数α1とする。
この係数α1は、特定核種[1]のピークエネルギー領域における正味計数率に対し、特定核種[1]の全領域の正味計数率の割合を示すものであって、次式のようなものである。
(数式1)
特定核種[1]の全エネルギー領域における正味計数率
=α1×(特定核種[1]のピークエネルギー領域における正味計数率)
続いてデータ処理部15は、特定核種[2]の校正用データを取得する。サンプリング部13に所定濃度の特定核種[2]を含めた大気を導入して取得される。この場合特定核種[2]とバックグラウンドノイズとによる放射線が重畳された計数率が取得されるものであり、図7中の領域R1の全エネルギー領域のバックグラウンドノイズの計数率を除去することで図9で示すような正味計数率が算出される。
特定核種[1]の正味計数率は、図9で示すように特定エネルギーE2にて計数率がC2のピークを有する。この際、全エネルギー領域(図9中の領域R1)の正味計数率Aと、特定エネルギーE2の前後(E2±10%)からなる特定核種のピークエネルギー領域(図9中の領域R3)の正味計数率Bと、を算出する。この際、特定核種[2]の濃度が異なる大気を順次導入して、複数濃度a4,a5,a6についての正味計数率A4,A5,A6,B4,B5,B6を取得して、Ai/Biである係数α21,α22,α23を算出し、これら係数α21,α22,α23の平均値を係数α2とする。なお、計算方法は表1に準ずる。
この係数α2は、特定核種[2]のピークエネルギー領域における正味計数率に対し、特定核種[2]の全領域の正味計数率の割合を示すものであって、次式のようなものである。
(数式2)
特定核種[2]の全エネルギー領域における正味計数率
=α2×(特定核種[2]のピークエネルギー領域における正味計数率)
これにより校正データである係数バックグランドノイズ、特定核種[1]のピークエネルギー値および計数α1、特定核種[2]のピークエネルギー値およびα2の取得を終了する。
続いて実際の検出時の動作について説明する。
図1で示すように排出流体用流路20に排出流体モニタリング装置1を設置し、吸引ポンプ12を稼働してサンプリング流体をサンプリング部13へ通過させる。
データ処理部15は、計測部14から出力される検出データを入力する。
まず、データ処理部15は、検出データに基づいてエネルギー(kev)別に計数を行う手段として機能する。検出データが一回入力される毎にエネルギー値別に用意されたカウンタにより計数が行われ、エネルギー値の入力回数が所定期間に何回カウントされたかを表す計数率が演算される。このような計数の所定期間は、例えば1分間や10分間である。検出データは一旦メモリ・ハードディスク等にエネルギー別に計数率が登録される。
この取得された検出データは、エネルギー別に算出された計数率であり、エネルギーを横軸に、計数率を縦軸にした特性図を表すと先に説明した図2で示すようになる。
図2からも明らかなように、ある特定核種で計数率が大きくなるピークエネルギー領域が存在する。そして、特定核種のピークエネルギー領域の正味計数率から特定核種による全エネルギー領域の正味計数率を予測し、この特定核種による全エネルギー領域の正味計数率を全エネルギー領域の正味計数率から除いた計数率が、特定外核種による全エネルギー領域の正味計数率となる。
続いて、データ処理部15は、エネルギー別に算出された計数率から全エネルギー領域の正味計数率と、特定核種[1]および特定核種[2]についての特定核種のピークエネルギー領域の正味計数率と、を集計する集計手段として機能する。
つまりデータ処理部15は、図2のような検出データが得られた場合に、まず、校正データのうちバックグラウンドノイズによる計数率を除去して正味計数率による検出データとし、この検出データからピークを検出し、ピークのエネルギー値を特定する。そして、校正データのピークエネルギー値(本形態ではE1,E2)と一致する場合に特定核種であるものとして校正データを読み出し、エネルギー値の±10%の領域をピークエネルギー領域(本形態では例えば[E1±10%]のエネルギーや[E2±10%]のエネルギー領域)として特定する。
そして、特定核種[1]についての特定核種のピークエネルギー領域に入るエネルギーの計数率を加算して特定核種[1]のピークエネルギー領域の正味計数率が計数される。また、特定核種[2]についての特定核種のピークエネルギー領域に入るエネルギーの計数率を加算して特定核種[2]のピークエネルギー領域の正味計数率が計数される。最終的に特定核種[1],[2]についての所定期間の特定核種のピークエネルギー領域の正味計数率を算出する。
続いて、データ処理部15は、特定核種[1],[2]のピークエネルギー領域の正味計数率に計数α1,α2を乗じて算出した計数率を、全エネルギー領域の計数率から減算して特定核種を除く特定外核種のエネルギー領域の正味計数率を算出する算出手段として機能する。この算出は次の算出式を用いて行われる。
(数式3)
特定外核種のエネルギー領域の正味計数率
=(全エネルギー領域の正味計数率)−α1×(特定核種[1]のピークエネルギー領域の正味計数率)
−α2×(特定核種[2]のピークエネルギー領域の正味計数率)
れにより図9に示したような特定外核種のエネルギー領域が残ることとなり特定外核種の全エネルギー領域の正味計数率が算出される。
データ処理部15は、このような減算式により算出された特定核種以外の正味計数率を、出力部16へ出力する。
以上本形態の排出流体モニタリング装置について説明した。なお、本形態では特定核種[1],[2]という二種類ある場合について説明した。しかしながら、特定核種は一種のみ、または三種以上であっても良い。
また、データ処理部15は、一の特定外核種についてデータを得られた場合は特定核種として登録する手段として機能させるようにし、以後は特定核種に組み入れて他の特定外核種の予想に役立てても良い。
続いて本発明の実施例1について図を参照しつつ説明する。図10は、特定核種としてKr−85(クリプトン−85)を含む放射性希ガスのエネルギー−計数率特性図である。本実施例1では主排気筒管理施設から排気筒へ排気されるオフガス(排気ガス)に、特定核種としてKr−85が含まれている場合を想定し、排出流体モニタリング装置としてこのオフガスをモニタリングする放射性希ガスモニタを採用した事例である。
Kr−85を含む検出データのエネルギー−計数率特性図は図10で示すようになる。本実施例1での特定核種のピークエネルギー領域は、514kevで計数率が多くピークが現れているため、Kr−85ピーク(514kev)の前後領域(514kev±10%)であるKr−85ピークエネルギー領域である。
また、全エネルギー領域は50kev〜3MeVである。このようにKr−85の寄与計数率を差し引いた計数率を算出するというものである。
まず、データ処理部15は、予め校正用のデータを取得するものであり、まず、バックグラウンドノイズの校正用データを取得する。サンプリング部13に通常の大気を導入してバックグラウンドノイズの校正用データを取得する。このバックグラウンドノイズデータはあるエネルギー(kev)に対する計数率(min−1)データとして図示しないメモリやハードディスク等に登録される。
続いて、係数αを算出するためガス校正作業を行う。
データ処理部15は、特定核種Kr−85の校正用データを取得する。サンプリング部13に特定核種Kr−85を含めた大気を導入して実ガス校正により取得される。この場合、エネルギー値ごとにバックグラウンドノイズを予め除去して図8で示すような特定核種Kr−85の正味計数率を算出しておく。
特定核種Kr−85のデータは、図8で示すように特定エネルギーE1にて計数率がC1のピークを有する。この際、全エネルギー領域(50kev〜3MeV)と、Kr−85ピークエネルギー領域(514kev±10%)と、についてそれぞれ計数率を算出する。この際、Kr−85濃度が約21.1Bq/cm,約11.2Bq/cm、約5.7Bq/cmというように濃度が異ならせてKr−85ピーク領域の正味計数率を取得する。結果は次表のようになる。
Figure 2007147287
この係数αiの平均値を係数α=5.02とする。また、Kr−85のピークエネルギー領域はピーク周辺の514kev±10%、つまり463〜565kevの領域である。また、Kr−85ピークエネルギー領域の正味計数率は、同領域のBG計数率を減算して算出されたものである。
続いて実際の検出時の動作について説明する。
図1で示すように排出流体用流路20に排出流体モニタリング装置1を設置し、吸引ポンプ12を稼働してサンプリング流体をサンプリング部13へ通過させる。
データ処理部15は、計測部14から出力される検出データを入力する。
まず、データ処理部15は、検出データに基づいてエネルギー(kev)別に計数を行う手段として機能する。検出データが一回入力される毎にエネルギー領域別に用意されたカウンタにより計数が行われ、エネルギーの入力回数が一分間に何回カウントされたかを表す計数率が演算される。このような計数は所定期間(例えば1分間や10分間)行われる。
この取得された検出データは、エネルギー別に算出された計数率を用い、エネルギーを横軸に、計数率を縦軸にした特性図を表すと先に説明した図10で示すようになる。
図10からも明らかなように、Kr−85ピークエネルギー領域が存在する。
続いて、データ処理部15は、エネルギー別に算出された計数率から全エネルギー領域の正味計数率と、Kr−85のピークエネルギー領域の正味計数率と、を集計する集計手段として機能する。
続いて、データ処理部15は、特定核種のピークエネルギー領域の正味計数率に計数αを乗じて算出した計数率を、全エネルギー領域の計数率から減算して特定核種を除く特定外核種のエネルギー領域の正味計数率としてを算出する手段として機能する。この算出は次の算出式を用いて行われる。
(数式4)
特定外核種のエネルギー領域の正味計数率
=(全エネルギー領域の正味計数率)−α×(特定核種Kr-85のピークエネルギー領域の正味計数率)
=2.42E+03−5.02×2.75E+02
=1.04E+03
なお、数式4の数値は例示的なものであり、実情に応じて各種数値が用いられることはいうまでもない。
このような減算式により算出された特定核種以外の計数率を、データ処理部15は出力部16へ出力する。
このように、特定核種ガスのピークエネルギー領域の正味計数率に対して、実ガス校正試験によって求めた係数を乗じて計数率を算出し、全エネルギー領域の正味計数率から算出した計数率を減算することで特定核種以外のその他希ガスの計数率だけを計算する。
以上説明したように、本発明の排出流体モニタリング装置1では、放射性希ガスの放射線計測(γ線計測)において、特定核種以外のその他希ガスの計数率を測定することができる。
本発明を実施するための最良の形態の排出流体モニタリング装置のブロック構成図である。 検出データのエネルギー−計数率特性図である。 検出データのエネルギー−計数率特性の内訳を説明する説明図である。 データ処理部における検出原理の説明図である。 データ処理部における検出原理の説明図である。 データ処理部における検出原理の説明図である。 データ処理部におけるデータ処理の説明図である。 データ処理部におけるデータ処理の説明図である。 データ処理部におけるデータ処理の説明図である。 Kr−85を含む検出データのエネルギー−計数率特性図である。
符号の説明
1:排出流体モニタリング装置
11:サンプリング用流路
12:吸引ポンプ
13:サンプリング部
14:計測部
15:データ処理部
16:出力部

Claims (2)

  1. 排出流体が通流する流出流体用流路からサンプリング用流路を介してサンプリング流体が流入するサンプリング部と、
    サンプリング部内のサンプリング流体に対して放射線計測を行って検出信号を出力する計測部と、
    計測部から出力された検出信号を入力してデータ処理を行うデータ処理部と、
    を備え、
    前記データ処理部は、
    検出信号に基づいてエネルギー別に計数を行い、全測定エネルギー領域の計数率と、特定核種のピークエネルギー領域の計数率と、を集計する集計手段と、
    特定核種のピークエネルギー領域の計数率にある定数を乗じて算出した計数率を、全測定エネルギー領域の計数率から減算して特定核種を除く特定外核種のエネルギー領域の計数率を算出する算出手段と、
    として機能することを特徴とする排出流体モニタリング装置。
  2. 請求項1に記載の排出流体モニタリング装置において、
    前記算出手段による算出は、

    [数式]
    特定外核種のエネルギー領域の計数率
    =(全測定エネルギー領域の計数率)−Σαi×(特定核種[i]のピークエネルギー領域の計数率)

    により行われることを特徴とする排出流体モニタリング装置。
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