JP2007146984A - 弾性歯付リングとこれを組み込んだ動力伝達機構及び電動式パワーステアリング装置 - Google Patents

弾性歯付リングとこれを組み込んだ動力伝達機構及び電動式パワーステアリング装置 Download PDF

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Abstract

【課題】回転軸29とウォーム軸27とに設けた雄、雌両スプライン部47a、48aの間に容易に組み付ける事ができ、しかも、組み付け作業時に損傷が発生する可能性を十分に低く抑える事ができる弾性歯付リング49bを実現する。
【解決手段】この弾性歯付リング49bの外周面の軸方向一端部に、小径段部63とテーパ面65とを設ける。この小径段部63は、この外周面の本体部64よりも、その周面を含む部分の厚さが小さくなる様に形成する。上記弾性歯付リング49bの内周面の軸方向他端部に、大径段部66とテーパ面68とを設ける。この大径段部66は、この内周面の本体部67よりも、その周面を含む部分の厚さが小さくなる様に形成する。
【選択図】図1

Description

この発明は、例えば自動車の操舵装置に組み込み、電動モータの出力を補助動力として利用する事により、運転者がステアリングホイールを操作する為に要する力の軽減を図る為の電動式パワーステアリング装置並びにこの電動式パワーステアリング装置等に組み込む動力伝達機構及び弾性歯付リングの改良に関する。
操舵輪(フォークリフト等の特殊車両を除き、通常は前輪)に舵角を付与する際に運転者がステアリングホイールを操作する為に要する力の軽減を図る為の装置として、パワーステアリング装置が広く使用されている。又、この様なパワーステアリング装置で、補助動力源として電動モータを使用する電動式パワーステアリング装置も、近年普及し始めている。電動式パワーステアリング装置は、油圧式のパワーステアリング装置に比べて小型・軽量にでき、補助動力の大きさ(トルク)の制御が容易で、しかもエンジンの動力損失が少ない等の利点がある。図15は、この様な電動式パワーステアリング装置の、従来から知られている基本構成の1例を略示している。
この電動式パワーステアリング装置は、基端部(図15の上端部)にステアリングホイール1を固定したステアリングシャフト2と電動モータ3との間に、減速機4を設け、この電動モータ3の動力を、この減速機4を介してステアリングシャフト2に伝達可能としている。操舵輪14に舵角を付与する為、上記ステアリングホイール1の操作によりステアリングシャフト2を回転させると、トルクセンサ5がこのステアリングシャフト2の回転方向とトルクとを検出し、その検出信号を制御器6に送る。この制御器6は、この検出信号に基づいて、上記電動モータ3に通電し、上記減速機4を介してステアリングシャフト2を、上記ステアリングホイール1の操作に基づく回転方向と同方向に回転させる。この結果、上記ステアリングシャフト2の先端部(図15の下端部)は、ステアリングホイール1から付与された力に基づくトルクよりも大きなトルクで回転する。上記ステアリングシャフト2の先端部は、自在継手7、7及び中間シャフト8を介してステアリングギヤ9の入力軸10に伝達される。この入力軸10は、ピニオン11を回転させ、ラック12を介してタイロッド13を押し引きし、上記操舵輪14に所望の舵角を付与する。この様な説明から明らかな通り、操舵輪14に舵角を付与する為に運転者がステアリングホイール1を操作する為に要する力は、上記電動モータ3から減速機4を介してステアリングシャフト2に加えられる補助動力分だけ小さくて済む様になる。
この様な電動式パワーステアリング装置の場合、上記ステアリングシャフト2と電動モータ3との間に設ける減速機4として、ウォーム軸とウォームホイールとから成るウォーム減速機が、従来から一般的に使用されている。又、上記電動モータ3の回転軸と減速機4を構成する入力軸とを、これら両軸のうちの一方に設けた雄スプライン部と、他方に設けたスプライン部とをスプライン係合させて成るスプライン係合部により、動力の伝達を可能に連結する事が、一般的に行なわれている。
但し、上記減速機4としてウォーム減速機を使用する場合、ウォーム軸のウォームとウォームホイールとの歯面同士の間に存在する不可避なバックラッシが大きくなると、これら歯面同士が強く衝合して、耳障りな歯打ち音が発生する可能性がある。例えば、路面が荒れている等により、車輪側からステアリングシャフト2に振動荷重が加わると、上記バックラッシの存在により、耳障りな歯打ち音が発生する。この様な事情から、近年は、ウォーム減速機を構成するギヤハウジングとウォーム軸との間に弾力付与手段を設けて、この弾力付与手段により、ウォーム軸に、ウォームホイールに向かう方向の弾力を付与し、上記バックラッシを抑え(小さくするか0にし)、上記歯打ち音の発生を抑える事が考えられている。
但し、この様な弾力付与手段を設けた構成により上記歯打ち音の発生を抑える場合には、ウォーム軸を電動モータ3の回転軸に対し傾斜させる為、これら両軸の間に設けたスプライン係合部を構成する各歯の一部が抉られる可能性がある。これに対して、スプライン係合部を構成する雄、雌両スプライン部の剛性を高くした場合には、上記各歯が抉られるのを防止する事はできるが、これら両スプライン部の歯面同士の間での歯打ち音が生じ易くなってしまう。この為、電動モータ3の回転軸に対するウォーム軸の傾斜を可能にしつつ、この歯打ち音の発生を抑える為には、これら両軸に設けた上記両スプライン部同士の間の隙間を厳密に規制し、管理すると言った、困難な作業を行なわなければならず、電動式パワーステアリング装置のコスト上昇を招く原因となる。
この様な事情に鑑みて、特許文献1に記載された動力伝達機構と、これを組み込んだ電動式パワーステアリング装置の場合には、ウォーム軸の端部に設けた雌スプライン部と、電動モータの回転軸に設けた雄スプライン部との間に、一部が弾性材製である弾性歯付リングを設け、この弾性歯付リングを介して上記両軸同士の間での動力の伝達を可能としている。図16〜22は、この特許文献1に記載された動力伝達機構を組み込んだ電動式パワーステアリング装置の従来構造を示している。
この電動式パワーステアリング装置は、後端部(図16の右端部)にステアリングホイール1を固定したステアリングシャフト2と、このステアリングシャフト2を挿通自在なステアリングコラム15と、このステアリングシャフト2に補助トルクを付与する為のアシスト装置16とを備える。
上記ステアリングシャフト2は、車両の後端側(図16の右側)に設けるアウターシャフト17と、同じく前端側(図16の左側)に設けるインナーシャフト18とを、回転力の伝達を可能に組み合わせて成る。又、このインナーシャフト18は、車両の後端側に設ける第一のインナーシャフト22と、前端側に設ける第二のインナーシャフト23とを、トーションバー24(図17)により連結している。上記ステアリングコラム15の前端部(図16の左端部)は、車体19の一部に支持したギヤハウジング21の後端面(図16の右端面)に結合固定している。上記インナーシャフト18の前端部は、このギヤハウジング21に挿通させると共に、このギヤハウジング21の前端面から突出させている。そして、このインナーシャフト18のこの前端面から突出させた前端部とステアリングギヤ9の入力軸10とを、自在継手7、7、中間シャフト8を介して、動力の伝達を可能に連結している。又、上記入力軸10にはピニオン11(図15参照)を固定しており、このピニオン11をラック12(図15参照)に噛合させている。従って、上記ステアリングシャフト2の回転に伴い、上記ラック12を介してタイロッド13、13が押し引きされ、操舵輪14(図15参照)に所望の舵角が付与される。
前記アシスト装置16は、図17〜22に示す様に、ウォームホイール26と、ウォーム軸27と、このウォーム軸27に弾力を付与する弾力付与手段31と、電動モータ28と、動力伝達機構30と、トルクセンサ5及び制御器6(図15参照)とを備える。このうちのウォームホイール26は、前記インナーシャフト18の前端側に設ける第二のインナーシャフト23の中間部に外嵌固定する。又、上記弾力付与手段31は、前記ギヤハウジング21の内側にそれぞれ設けた、段付円筒状の軸受ホルダ32と、第一、第二の玉軸受33、34と、揺動軸35と、コイルばね36とを備える。上記ウォームホイール26とウォーム軸27とは、上記ギヤハウジング21の内側に設けており、このウォーム軸27の中間部に設けたウォーム37と上記ウォームホイール26とを噛合させている。これらウォーム軸27とウォームホイール26とが、ウォーム減速機20を構成する。又、上記ウォーム軸27は、請求項に記載した被駆動軸に対応する。
上記トルクセンサ5は、前記トーションバー24の捩れに基づく前記第一、第二の両インナーシャフト22、23の相対回転方向と相対回転量とから、前記ステアリングホイール1からステアリングシャフト2に加えられるトルクの方向と大きさとを検出し、検出値を表す信号(検出信号)を、上記制御器6に送る。そして、この制御器6は、上記検出信号に応じて、上記電動モータ28に駆動の為の信号を送り、所定の方向に所定の大きさで補助トルクを発生させる。
上記電動モータ28の回転軸29の先端部(図17〜19の右端部)と、上記ウォーム軸27の基端部(図17〜19の左端部)とは、上記動力伝達機構30により、動力の伝達を可能に連結している。この動力伝達機構30は、上記回転軸29の先端部に設けた雄スプライン部47(図17〜19)と、上記ウォーム軸27の基端部に設けた雌スプライン部48(図17〜19)と、これら両スプライン部47、48の間に設けた弾性歯付リング49とから成る。上記回転軸29は、請求項に記載した駆動軸に対応するもので、両端寄り部分を上記電動モータ28を構成するケース38に、図示しない第三、第四の玉軸受により、回転自在に支持している。そして上記回転軸29の中間部に、ステータと対向するロータ(図示せず)を設けている。
上記弾性歯付リング49は、図21〜22に詳示する様に、外周面に上記雌スプライン部48とスプライン係合する外歯50を、内周面に上記雄スプライン部47とスプライン係合する内歯51を、それぞれ有する。この様な弾性歯付リング49は、弾性材である合成ゴムにより円筒状に形成した本体部52の外周面の円周方向等間隔複数個所に、外径側に突出する外歯素子部54、54を、同じく内周面の円周方向等間隔複数個所に、内径側に突出する内歯素子部55、55を、それぞれ軸方向全長に亙り形成している。
又、上記各外歯素子部54、54の外径側表面と、上記本体部52の外周面でこれら各外歯素子部54、54の間部分とにナイロン帆布等の織布56aを、この外周面の全周に亙り連続する状態で貼着している。そして、上記各外歯素子部54、54と、上記織布56aでこれら各外歯素子部54、54の外径側表面を覆った部分とにより、上記外歯50を構成している。又、上記各内歯素子部55、55の内径側表面と、上記本体部52の内周面でこれら各内歯素子部55、55の間部分とにナイロン帆布等の織布56bを、この内周面の全周に亙り連続する状態で貼着している。そして、上記各内歯素子部55、55と、上記織布56bでこれら各内歯素子部55、55の内径側表面を覆った部分とにより、上記内歯51を構成している。この構成により、上記弾性歯付リング49の外径側と内径側とに、上記外歯50と内歯51とが、それぞれ設けられる。
上述の様に構成する弾性歯付リング49のうち、上記外歯50を前記雌スプライン部48に、上記内歯51を前記雄スプライン部47に、それぞれスプライン係合させる事により、前記電動モータ28の回転軸29の先端部とウォーム軸27の基端部とを、これら両軸29、27の相対回転を不能に連結している。この構成により、このウォーム軸27は、上記回転軸29と共に回転する。
一方、前記ギヤハウジング21の内側に前記軸受ホルダ32を設けると共に、この軸受ホルダ32の内側に上記ウォーム軸27を、回転自在に支持している。この軸受ホルダ32は、互いに同心の大径筒部39と小径筒部40とを段部41により連結している。そして、この軸受ホルダ32を、上記ギヤハウジング21の内側に、このギヤハウジング21に支持した揺動軸35により、この揺動軸35を中心とする揺動変位を自在に支持している。又、上記軸受ホルダ32の大径筒部39の内側に上記ウォーム軸27の基端部(図17〜19の左端部)を、前記第一の玉軸受33により、回転自在に支持している。又、上記ウォーム軸27の先端部(図17の右端部)を、上記軸受ホルダ32の小径筒部40の内側に、前記第二の玉軸受34により、回転自在に支持している。
更に、上記小径筒部40の先端部外周面と上記ギヤハウジング21の内面に設けた凹孔42の内周面との間に、弾性リング43を設けている。又、上記小径筒部40の長さ方向中間部の円周方向一部に、内外両周面を貫通する透孔44を形成しており、この透孔44を通じて前記ウォームホイール26と上記ウォーム軸27のウォーム37とを噛合させている。
又、上記軸受ホルダ32を構成する大径筒部39の外周面の円周方向一部に凹孔45を形成すると共に、この凹孔45の底面とギヤハウジング21の内面との間に、前記コイルばね36を設けている。そして、このコイルばね36により、上記ウォーム軸27の基端部に、上記軸受ホルダ32及び第一の玉軸受33を介して、径方向の弾力を付与している。この構成により、上記ウォーム軸27は、前記揺動軸35を中心として、上記ウォームホイール26に向かう方向に弾性的に揺動変位する。そして、このウォームホイール26を外嵌固定した前記第二のインナーシャフト23と上記ウォーム軸27との、中心軸同士の間の距離が弾性的に縮まって、上記ウォーム37とウォームホイール26との歯面同士が、予圧を付与された状態で当接する。この構成により、これら両部材37、26の噛合部での歯打ち音の発生を抑える事ができる。
上述の様に構成する、特許文献1に記載された動力伝達機構とこれを組み込んだ電動式パワーステアリング装置の場合には、ウォーム軸27に設けた雌スプライン部48と、電動モータ28の回転軸29に設けた雄スプライン部47との間に弾性歯付リング49を設けている。この為、これら雄、雌両スプライン部47、48の歯面同士が直接衝合する事を防止でき、これら歯面同士が衝合する事による異音の発生を防止できる。又、上記弾性歯付リング49の外径側に、一部が合成ゴム製の外歯素子部54、54である外歯50を設けると共に、上記弾性歯付リング49の内径側に、一部が合成ゴム製の内歯素子部55、55である内歯51を設けている。この為、上記雄、雌両スプライン部47、48の歯面と上記弾性歯付リング49の内歯51及び外歯50の歯面とが衝合する事による耳障りな異音を小さくできるか、又はなくせる。又、この耳障りな異音の発生を抑える為に、電動モータ28の回転軸29とウォーム軸27との曲げ剛性を低くする必要がない。
しかも、上記各内歯素子部55、55と各外歯素子部54、54とが弾性材である、合成ゴム製である為、上記雄、雌両スプライン部47、48に存在する不可避な寸法誤差を上記内歯51及び外歯50により吸収し易くできて、寸法管理及び組立作業を容易に行なえる。この為、動力伝達機構及びこれを組み込んだ電動式パワーステアリング装置のコストの上昇を抑える事ができる。更に、上記雄、雌両スプライン部47、48に偏心誤差や偏角誤差が存在する場合でも、これらの誤差を吸収しつつ、電動モータ28の回転軸29とウォーム軸27とを、動力の伝達を可能に連結する事が可能になる。
この結果、上述の図16〜22に示した特許文献1に記載された従来構造によれば、徒にコストを上昇させたり、上記回転軸29とウォーム軸27との曲げ剛性を低くする事なく、耳障りな異音の発生を抑える事ができる。尚、上述の図16〜22に示した構造の場合には、上記弾性歯付リング49の本体部52を構成する弾性材として、合成ゴムを使用しているが、この合成ゴムの代わりに、合成ゴム以外のエラストマー、合成樹脂等を使用する事もできる。
[先発明の説明]
又、本発明の発明者は、本発明に先立って、図23〜25に示す様な、電動式パワーステアリング装置に組み込む先発明の動力伝達機構30aを発明した(特願2005−312498号)。この動力伝達機構30aも、上述の図16〜22に示した動力伝達機構30と同様に、電動モータ28の回転軸29とウォーム軸27とを動力の伝達可能に結合する。尚、図23〜25に示す構成に於いて、動力伝達機構30a部分以外の構造は、上述の図16〜22に示した特許文献1に記載された従来構造の場合と同様である為、同等部分には同一符号を付して重複する図示並びに説明は省略若しくは簡略にし、以下先発明の特徴部分を中心に説明する。上記動力伝達機構30aの場合、上記回転軸29の先端部(図23、24の右端部)に設けた雄スプライン部47aと、上記ウォーム軸27の基端部(図23、24の左端部)に設けた雌スプライン部48aとの間に、合成ゴム等の弾性材製の弾性歯付リング49aを設けている。
この弾性歯付リング49aは、図25に詳示する様に、外径側端部に位置する円周方向等間隔複数個所に設けた断面円弧形の外歯素子部54a、54aと、内径側端部に位置する円周方向等間隔複数個所に設けた断面円弧形の内歯素子部55a、55aとを、径方向中央部に設けた複数の連結部61、61を介して、円周方向に関して交互に連続させている。そして、上記弾性歯付リング49aの全体を円筒状に形成している。上記各外歯素子部54a、54aと各内歯素子部55a、55aと各連結部61、61とは、何れも弾性材製であって、一体成形している。又、上記弾性歯付リング49aの内周面及び外周面には織布56a、56b(図21、22参照)を貼着していない。そして、上記各外歯素子部54a、54aと、上記各連結部61、61の外周面寄り部分とにより、上記雌スプライン部48aとスプライン係合する、外歯50aを構成している。又、上記各内歯素子部55a、55aと、上記各連結部61、61の内周面寄り部分とにより、上記雄スプライン部47aとスプライン係合する、内歯51aを構成している。この様に構成する為、弾性歯付リング49aの外歯50aの頂部と内歯51aの頂部とは、円周方向に関して互いにずれており、上記外歯50aの頂部は上記内歯51aの歯底部に、この内歯51aの頂部は上記外歯50aの歯底部に、それぞれ径方向に対向している。
又、上記弾性歯付リング49aの径方向に関して、上記外歯50aの歯底部を、上記内歯51aの頂部(歯先面)に近付けている。又、上記径方向に関して、この内歯51aの歯底部を、上記外歯50aの頂部(歯先面)に近付けている。そして、この内歯51aの歯底部を、上記外歯50aの歯底部よりも、上記弾性歯付リング49aの直径方向外側に位置させている。この様な弾性歯付リング49aを、上記雄スプライン部47aと雌スプライン部48aとの間に設けた状態で、上記雄スプライン部47aの各歯と、上記雌スプライン部48aの各歯とを、これら雄、雌両スプライン部47a、48aの円周方向に重畳させている。例えば、図25に二点鎖線aで示す、弾性歯付リング49aと同心の仮想円を考えた場合に、この仮想円の円周上に、上記雄スプライン部47aの各歯と雌スプライン部48aの各歯とが存在する。
上述の図23〜25に示した先発明の構造の場合、電動モータ28の回転軸29に設けた雄スプライン部47aと、ウォーム軸27に設けた雌スプライン部48aとの間に弾性歯付リング49aを設けた状態で、上記雄スプライン部47aの各歯と、上記雌スプライン部48aの各歯とを、これら雄、雌両スプライン部47a、48aの円周方向に重畳させている。これに対して、前述の図16〜22に示した従来構造の場合には、外歯50の歯底部を内歯51の歯底部よりも直径方向外側に位置させている。この様な従来構造で、しかも、内、外両周面に織布56b、56a(図21、22参照)を貼着しない構造の場合には、電動モータ28の回転軸29とウォーム軸27との間で動力を伝達する際に、弾性歯付リング49の内径側部分と外径側部分とに、円周方向に関して互いに逆方向の力が加わる事により、上記弾性歯付リング49に大きな剪断力が加わる可能性がある。これに対して、上記先発明の構造の場合には、上述の様に、雄、雌各スプライン部47a、48aの各歯を、これら両スプライン部47a、48aの円周方向に重畳させている為、上記両軸29、27の間で動力を伝達する場合でも、弾性歯付リング49aに大きな剪断力が加わる事を防止できる。又、上記先発明の構造の場合には、上記両軸29、27の間で動力を伝達する際に、上記弾性歯付リング49aを構成する弾性材が、上記雄、雌両スプライン部47a、48aの円周方向に隣り合う歯同士の間で圧縮される様にはなるが、使用時に主に圧縮力が加わる弾性歯付リング49aは、使用時に主に剪断力が加わる弾性歯付リングよりも破損しにくい。この為、上記両軸29、27の間での伝達可能な動力を大きくできる。しかも、上記先発明の構造の場合には、上記外歯50aの頂部と内歯51aの頂部とが円周方向にずれており、しかも、この内歯51aの歯底部が上記外歯50aの歯底部よりも、直径方向外側に位置している。この為、弾性歯付リング49aの径方向の寸法を小さくできて、動力伝達機構30aの小型化を図れる。
又、上記先発明の構造の場合には、弾性歯付リング49aの直径方向中央部で、直径方向に関して各外歯素子部54a、54aと各内歯素子部55a、55aとの間に存在する、各連結部61、61の厚さT1 を、上記弾性歯付リング49aの内径側端部及び外径側端部に存在する、各外歯素子部54a、54a及び各内歯素子部55a、55aの円周方向中央部の厚さT2 、T3 よりも大きく(厚く)している(T1 >T2 、且つ、T1 >T3 )。この為、上記弾性歯付リング49aの径方向両端部の厚さT2 、T3 を小さくしつつ、上記両軸29、27同士の間で伝達可能な動力を大きくでき、耐久性を高くできる。又、上記雄、雌各スプライン部47a、48aの各歯の歯底部に対し径方向に対向する、弾性歯付リング49aの径方向両端部の厚さT2 、T3 を小さくできる為、これら雄、雌各スプライン部47a、48aの各歯の高さ(歯丈)h1 、h2 を小さくし易くできる。量産性を高くする為には、これら各スプライン部47a、48aの各歯を鍛造加工で成形する事が好ましいが、鍛造加工で成形する場合には、加工できる各歯の高さが小さく制限される。上記先発明の構造の場合には、上記各歯の高さを小さくできる為、上記雄、雌各スプライン部47a、48aを鍛造加工で成形する事を容易に行なえ、量産性を高くでき、製造コストの低減を図れる。
前述の図16〜22に示した従来構造及び上述の図23〜25に示した先発明の構造の何れの場合も、弾性歯付リング49、49aの、中心軸に対し直交する仮想平面に関する断面形状を、軸方向全長に亙り同じとしている(図21、24参照)。この為、この弾性歯付リング49、49aを、雄、雌両スプライン部47、47a、48、48aの間に組み付ける場合に、この雌スプライン部48、48aの開口端部(図17〜19、23〜24の左端部)に、上記弾性歯付リング49、49aの外歯50、50aの軸方向一端部(図19、24の右端部)を内嵌する作業が困難になる。又、上記雄スプライン部47、47aの先端部(図17、24の右端部)を、上記弾性歯付リング49、49aの内歯51、51aの軸方向一端部(図19、24の左端部)に内嵌する作業が困難になる。又、上記雄、雌両スプライン部47、47a、48、48aの端部に弾性歯付リング49、49aを無理に嵌合しようとすると、所定の組み付け状態を得られないだけでなく、弾性歯付リング49、49aを損傷させ、性能低下を招く可能性もある。
又、本発明者は、弾性歯付リングの製造コスト低減の為に、長さ方向に山部と谷部とを交互に連続させた長尺な弾性材製の板状素材を、円筒状に丸め成形する事により弾性歯付リングとし、この弾性歯付リングを、雄、雌両スプライン部47、47a、48、48a同士の間に組み付ける(セットする)事も考えた。但し、この場合には、板状素材を円筒状に丸め成形する事により弾性歯付リングを構成した後、この弾性歯付リングを雌スプライン部48、48aに内嵌したり、この弾性歯付リングに雄スプライン部を内嵌する為、この弾性歯付リングの円周方向一部の不連続部を介して両側に存在する、円周方向両端縁が互いに径方向にずれ易くなり、この弾性歯付リングの形状が崩れ易い。この為、前述の従来構造及び上述の先発明の場合と同様に、弾性歯付リングの、中心軸に対し直交する仮想平面に関する断面形状を、軸方向全長に亙り同じとしている場合には、上記弾性歯付リングを雄、雌両スプライン部47、47a、48、48aの間に組み付ける作業が更に困難になってしまう。又、この弾性歯付リングを雄、雌両スプライン部47、47a、48、48aの間に無理に組み付けようとすると、この弾性歯付リングが大きく捻じれてしまう。
尚、前述の従来構造や上述の先発明の構造で、雄スプライン部47、47a又は雌スプライン部48、48aの軸方向端部に面取りや曲面部を形成する事により、これら雄、雌両スプライン部47、47a、48、48aに対する弾性歯付リング49、49aの組み付け性の向上を図る事も考えられる。但し、この様な手段を採用した場合でも、上記雄、雌両スプライン部47、47a、48、48aの間に弾性歯付リング49、49aを組み付ける作業の容易化を図れると言った効果を、未だ十分に得られるとは言い難い。
尚、本発明に関連する先行技術文献として、特許文献1の他に特許文献2がある。
特開2005−69470号公報 特開2002−211418号公報
本発明は、この様な事情に鑑みて、駆動軸と被駆動軸とに設けた雄、雌両スプライン部の間に容易に組み付ける事ができ、しかも、組み付け作業時に損傷が発生する可能性を十分に低く抑える事ができる弾性歯付リング、及び、これを組み付けた動力伝達機構と電動式パワーステアリング装置とを実現すべく発明したものである。
本発明の弾性歯付リングとこれを組み込んだ動力伝達機構及び電動式パワーステアリング装置のうち、請求項1に記載した弾性歯付リングは、前述の図16〜22に示した従来構造及び図23〜25に示した先発明の弾性歯付リングと同様に、駆動軸と被駆動軸との間に設けられて、これら両軸の間で動力を伝達する為の動力伝達機構に組み込む弾性歯付リングである。
この動力伝達機構は、雌スプライン部と、雄スプライン部と、弾性歯付リングとを備える。
このうちの雌スプライン部は、上記両軸のうちの一方の軸の端部内周面に設けられている。
又、上記雄スプライン部は、上記両軸のうちの他方の軸の端部外周面に設けられている。
又、上記弾性歯付リングは、上記雄、雌両スプライン部の間に組み付けている。
又、上記弾性歯付リングは、外周面に上記雌スプライン部とスプライン係合する外歯を、内周面に上記雄スプライン部とスプライン係合する内歯を、それぞれ有する。又、上記弾性歯付リングは、外径側と内径側とに、それぞれが弾性材製である複数ずつの外歯素子部と内歯素子部とを一体的に設けている。
尚、上記弾性歯付リングは、全体を円筒状としているものの他、全体を欠円筒状としているものも含む。又、弾性歯付リングは、全体を弾性材製としたものの他、弾性材製の本体部の内、外両周面のうちの少なくとも一方の周面に織布を貼着して成るものも含む。
特に、請求項1に記載した弾性歯付リングに於いては、内、外両周面のうち、少なくとも一方の周面の軸方向端部に、この一方の周面の軸方向の他の部分よりもその周面を含む部分の厚さが小さくなる様に形成された段部、又は軸方向端面に向かう程その周面を含む部分の厚さが小さくなる方向に中心軸に対し傾斜したテーパ面を設けている。
又、好ましくは、請求項2に記載した様に、少なくとも一部が弾性材製で、長さ方向に山部と谷部とが交互に連続している板状素子を円筒状に曲げる事により構成する。
又、請求項3に記載した動力伝達機構は、前述の図16〜22に示した従来構造及び図23〜25に示した先発明の動力伝達機構と同様に、
駆動軸と被駆動軸との間に設けられて、これら両軸の間で動力を伝達する為のものであり、
これら両軸のうちの一方の軸の端部内周面に設けられた雌スプライン部と、他方の軸の端部外周面に設けられた雄スプライン部と、これら雄、雌両スプライン部の間に組み付けた弾性歯付リングとを備える。
特に、請求項3に記載した動力伝達機構は、上記弾性歯付リングが上述の請求項1又は請求項2に記載した弾性歯付リングである。
又、上述の請求項3に記載した構成に於いて好ましくは、上記雄、雌両スプライン部のうちの少なくとも一方のスプライン部の軸方向端部に、この一方のスプライン部の軸方向の他の部分よりも、この一方のスプライン部と嵌合する内歯又は外歯から離れる様に形成された段部、又は、軸方向端面に向かう程この内歯又は外歯から離れる方向に中心軸に対し傾斜したテーパ面を設ける。
又、請求項4に記載した電動式パワーステアリング装置は、
電動モータの回転軸と減速機を構成する入力軸とを、上述の様な動力伝達機構により、動力の伝達を可能に結合している。
更に、請求項5に記載した電動式パワーステアリング装置は、
減速機の出力軸又は電動モータの回転軸と、ボールナットとを、上述の様な動力伝達機構により、動力の伝達を可能に結合している。
上述の様な本発明の弾性歯付リングを組み込んだ動力伝達機構及びこれを組み込んだ電動式パワーステアリング装置の場合には、雌スプライン部と雄スプライン部との間に弾性歯付リングを設けている。この為、前述の図16〜25に示した従来構造及び先発明の構造と同様に、上記雄、雌両スプライン部の歯面同士が直接衝合する事を防止でき、これら歯面同士が衝合する事による異音の発生を防止できる。又、上記弾性歯付リングの外径側に複数の弾性材製の外歯素子部を、この弾性歯付リングの内径側に複数の弾性材製の内歯素子部を、それぞれ設けている。この為、上記雄、雌両スプライン部の歯面と上記弾性歯付リングの内歯及び外歯の歯面とが衝合する事による耳障りな異音を小さくできるか、又はなくせる。又、この耳障りな異音の発生を抑える為に、駆動軸及び被駆動軸の曲げ剛性を低くする必要がない。
しかも、上記各内歯素子部と各外歯素子部とが弾性材製である為、上記雄、雌両スプライン部に存在する不可避な寸法誤差を上記弾性歯付リングにより吸収し易くできて、寸法管理及び組立作業を容易に行なえる。この為、動力伝達機構及びこれを組み込んだ電動式パワーステアリング装置のコストの上昇を抑える事ができる。従って、徒にコストを上昇させたり、上記駆動軸及び被駆動軸の曲げ剛性を低くする事なく、耳障りな異音の発生を抑える事ができる。又、上記弾性歯付リングの外周面と内周面とに、それぞれ織布を貼着した場合には、弾性材のちぎれや、歯面のむしれを有効に防止できる。
特に、本発明の弾性歯付リングの場合には、内、外両周面のうち、少なくとも一方の周面の軸方向端部に、この一方の周面の軸方向の他の部分よりもその周面を含む部分の厚さが小さくなる様に形成された段部、又は軸方向端面に向かう程その周面を含む部分の厚さが小さくなる方向に中心軸に対し傾斜したテーパ面を設けている。この為、上記雄、雌両スプライン部の間に上記弾性歯付リングを容易に組み付ける事ができ、しかも、組み付け作業時にこの弾性歯付リングに損傷が発生する可能性を十分に低く抑える事ができる為、歩留りの向上を図れる。例えば、弾性歯付リングの軸方向端部内周面に上記段部を設けた場合には、上記雄スプライン部をこの弾性歯付リングに内嵌する作業を容易に行なえる。
又、上記弾性歯付リングの内歯のうち、雄スプライン部とスプライン係合する部分と、上記内歯に設けた段部との間部分に、軸方向に関してこの段部に向かうに従って上記雄スプライン部から離れる方向に傾斜するテーパ面を設けた場合には、上記内歯の内側に雄スプライン部を挿入する際に、このテーパ面に雄スプライン部の端部を係合させつつ、上記弾性歯付リングの内径が小さくなった部分の内側に上記雄スプライン部を挿入できる。この為、上記弾性歯付リング内にこの雄スプライン部を挿入する以前に、これら弾性歯付リングと雄スプライン部との中心軸同士を厳密に一致させる必要がなくなり、この雄スプライン部の弾性歯付リング内への挿入作業をより容易に行なえる。又、上記弾性歯付リングの外歯のうち、雌スプライン部とスプライン係合する部分と、上記外歯に設けた段部との間部分に、軸方向に関してこの段部に向かうに従って上記雌スプライン部から離れる方向に傾斜するテーパ面を設けた場合には、上記雌スプライン部の内側に上記弾性歯付リングを挿入する際に、このテーパ面に上記雌スプライン部の端部を係合させつつ、この雌スプライン部の内側に上記弾性歯付リングの直径が大きくなった部分を挿入できる。この為、この弾性歯付リングを上記雌スプライン部内に挿入する以前に、これら弾性歯付リングと雌スプライン部との中心軸同士を厳密に一致させる必要がなくなり、この弾性歯付リングの上記雌スプライン部内への挿入作業をより容易に行なえる。
又、弾性歯付リングの内、外両周面のうち、少なくとも一方の周面の軸方向端部にテーパ面を設けた場合も、上記内歯のうち、テーパ面から軸方向にずれた本体部の内側に雄スプライン部を挿入する作業、又は、上記外歯のうち、テーパ面から軸方向にずれた本体部を雌スプライン部の内側に挿入する作業を、より容易に行なえる。
又、請求項2に記載した構成によれば、板状素子を造る為に使用する金型の形状を変更するだけで、軸方向端部に段部又はテーパ面を設けた、板状素子製の弾性歯付リングを造る事ができる。この為、段部又はテーパ面を持たない、板状素子製の弾性歯付リングを造る場合に比べて、製造コストが大幅に上昇する事がない。
[本発明の実施の形態の第1例]
図1〜4は、請求項1、3、4に対応する、本発明の実施の形態の第1例を示している。本例の弾性歯付リング及びこれを組み込んだ動力伝達機構と電動式パワーステアリング装置の特徴は、駆動軸である電動モータ28の回転軸29と、被駆動軸であるウォーム軸27との間での動力伝達を可能とする動力伝達機構30aの構造を工夫した点にある。本例に於いて、動力伝達機構30aを除く、電動式パワーステアリング装置の構造及び作用は、前述の図16〜22に示した従来構造、及び、図23〜25に示した先発明の場合と同様である。この為、これら従来構造及び先発明と同等部分に関する図示並びに説明は省略若しくは簡略にし、以下、本例の特徴部分を中心に説明する。
本例の場合、駆動軸である、電動モータ28の回転軸29の先端部(図1〜4の右端部)外周面に設けた雄スプライン部47aと、被駆動軸である、ウォーム軸27の基端部(図1〜4の左端部)内周面に設けた雌スプライン部48aと、これら雄、雌両スプライン部47a、48a同士の間に設けた弾性歯付リング49bとにより、動力伝達機構30aを構成している。本例の場合、上記弾性歯付リング49bの構造以外は、前述の図23〜25に示した先発明の場合と同様である。
本例の場合、上記弾性歯付リング49bは、前述の図23〜25に示した先発明の場合と同様に、合成ゴムの如きエラストマー、合成樹脂等の弾性材により全体を筒状に一体成形した本体部62と、この本体部62の外周面及び内周面にそれぞれ全周に亙り貼着した1対の織布56a、56b(図21、22参照)とを備える。尚、図1〜4では、簡略化の為に織布56a、56bの図示を省略するが、本発明の実施の形態の第1例では実際には、本体部62の外周面及び内周面に1対の織布56a、56bを設けている(後述する図5〜12で表す本発明の実施の形態の第2〜4例で同様とする。)。これら各織布56a、56bのうち、外径側の織布56aの実際の外周面の断面形状の外形は、図1〜4に表す弾性歯付リング49bの外周面の断面形状の外形と一致している。又、内径側の織布56bの実際の内周面の断面形状の外形は、図1〜4に表す弾性歯付リング49bの内周面の断面形状の外形と一致している。
上記本体部62は、前述の図23〜25に示した先発明の場合と同様に、外径側端部に位置する円周方向等間隔複数個所(図示の例の場合は6個所)に軸方向全長に亙る状態で設けた、断面円弧形の外歯素子部54a、54aと、内径側端部に位置する円周方向等間隔複数個所(図示の例の場合は6個所)に軸方向全長に亙る状態で設けた、断面円弧形の内歯素子部55a、55aとを備える。そして、上記各外歯素子部54a、54aと、各内歯素子部55a、55aとを、径方向中央部に設けた複数の連結部61、61を介して、円周方向に関して交互に連続する状態で一体成形している。又、上記外径側の織布56aと、この織布56aを貼着した、各外歯素子部54a、54aと、各連結部61、61の外周面寄り部分とにより、外歯50aを構成している。又、上記内径側の織布56bと、この織布56bを貼着した、各内歯素子部55a、55aと、各連結部61、61の内周面寄り部分とにより、内歯51aを構成している。
又、上記弾性歯付リング49bの径方向に関して、上記外歯50aの歯底部を上記内歯51aの頂部(歯先面)に、この内歯51aの歯底部を上記外歯50aの頂部(歯先面)に、それぞれ近付けている。そして、上記内歯51aの歯底部を、上記外歯50aの歯底部よりも、上記弾性歯付リング49bの直径方向外側に位置させている。従って、上記内歯51aの各歯底部を通るピッチ円の直径は、上記外歯50aの各歯底部を通るピッチ円の直径よりも大きくなる。
上述の様に構成する弾性歯付リング49bは、上記外歯50aを前記雌スプライン部48aに、上記内歯51aを前記雄スプライン部47aに、それぞれスプライン係合させる事で、上記雄、雌両スプライン部47a、48aの間に設けている。そして、前記電動モータ28の回転軸29の先端部とウォーム軸27の基端部とを、上記弾性歯付リング49bにより、これら両軸29、27の相対回転を不能に連結している。この為、上記ウォーム軸27は、上記回転軸29と共に回転する。又、上記雄スプライン部47aと雌スプライン部48aとの間に上記弾性歯付リング49bを設けた状態で、上記雄スプライン部47aの各歯と上記雌スプライン部48aの各歯とを、これら雄、雌両スプライン部47a、48aの円周方向に重畳させている(オーバーラップさせている)。
特に、本例の場合には、上記弾性歯付リング49bの外歯50aの外周面で、上記雌スプライン部48aの奥端部に対応する、軸方向一端部(図1〜2の右端部)に、上記外歯50aの外周面の軸方向の他の部分よりも、その周面を含む部分の厚さが小さくなる様に全周に亙り形成された小径段部63を設けている。又、上記弾性歯付リング49bの外歯50aのうち、上記雌スプライン部48aとスプライン係合する本体部64と上記小径段部63との間部分に、テーパ面65を全周に亙り設けている。このテーパ面65は、全周に亙り、軸方向に関して上記小径段部63に向かうに従って上記雌スプライン部48aから離れる方向に、中心軸に対し傾斜している。
更に、上記弾性歯付リング49bの内歯51aの内周面で、上記雄スプライン部47aの基端部に対応する、軸方向他端部(図1〜4の左端部)に、上記内歯51aの内周面の軸方向の他の部分よりも、その周面を含む部分の厚さが小さくなる様に全周に亙り形成された大径段部66を設けている。又、上記弾性歯付リング49bの内歯51aのうち、上記雄スプライン部47aとスプライン係合する本体部67と上記大径段部66との間部分に、テーパ面68を全周に亙り設けている。このテーパ面68は、全周に亙り、軸方向に関して上記大径段部66に向かうに従って上記雄スプライン部47aから離れる方向に、中心軸に対し傾斜している。尚、図1に於いて、上記弾性歯付リング49bの外歯50aに設けた本体部64の軸方向一端縁(図1の右端縁)と、内歯51aに設けた本体部67の軸方向他端縁(図1の左端縁)との間の軸方向寸法Aが、スプライン係合部の有効長さとなる。
上述の様に構成する本例の弾性歯付リングと、これを組み込んだ動力伝達機構及び電動式パワーステアリング装置の場合には、前述の図16〜25に示した従来構造及び先発明の場合と同様に、徒にコストを上昇させたり、電動モータ28の回転軸29とウォーム軸27との曲げ剛性を低くする事なく、耳障りな異音の発生を抑える事ができる。又、上記弾性歯付リング49bの外周面と内周面とに、それぞれ織布56a、56b(図21、22参照)を貼着している為、弾性材のちぎれや、歯面のむしれを有効に防止できる。
更に、本例の場合には、上記ウォーム軸27に設けた雌スプライン部48aの各歯と、上記回転軸29に設けた雄スプライン部47aの各歯とを、これら雄、雌両スプライン部47a、48aの円周方向に重畳させている(オーバーラップさせている)。この為、動力伝達部の直径方向の寸法を小さくでき、動力伝達機構30aの小型化を図れる。又、上記回転軸29とウォーム軸27との間で動力を伝達する際に、弾性歯付リング49bに大きな剪断力が加わる事を防止できる。上記両軸29、27の間で動力を伝達する際には、雄、雌両スプライン部47a、48aの円周方向に隣り合う歯同士の間に存在する、弾性歯付リング49bの円周方向複数個所に圧縮力が加わる様にはなるが、主に圧縮力が加わる弾性歯付リング49bは、主に剪断力が加わる弾性歯付リングに比べて破損しにくい(耐久性を確保し易い)。この為、上記回転軸29とウォーム軸27との間で伝達可能な動力(許容伝達動力)を大きくできる。又、この為に構造を大型化せずに済む。
特に、本例の弾性歯付リング49bの場合には、外歯50aの外周面の軸方向一端部(図1、2の右端部)に、この外周面の軸方向の他の部分よりもその周面を含む部分の厚さが小さくなる様に形成された小径段部63を設けている。又、内歯51aの内周面の軸方向他端部に、この内周面の軸方向の他の部分よりもその周面を含む部分の厚さが小さくなる様に形成された大径段部66を設けている。この為、図2に示す状態から、図3、4に示す状態に、上記雄、雌両スプライン部47a、48aの間に上記弾性歯付リング49bを組み付ける際に、上記雌スプライン部48aの内側に上記弾性歯付リング49bの軸方向一端部(図1、2の右端部)を容易に挿入する事ができる。更に、上記弾性歯付リング49bの軸方向他端部(図1、2の左端部)の内側に、上記雄スプライン部47aの先端部を容易に挿入する事ができる。従って、上記雄、雌両スプライン部47a、48aの間に上記弾性歯付リング49bを容易に組み付ける事ができ、しかも、この組み付け作業時にこの弾性歯付リング49bに損傷が発生する可能性を十分に低く抑える事ができる為、歩留りの向上を図れる。又、図1に示す様に、上記雄スプライン部47aの外周面の先端部(図1の右端部)にテーパ面69を、上記雌スプライン部48aの内周面の先端部(図1の左端部)にテーパ面70を、それぞれ全周に亙り設けた場合には、上記雄、雌両スプライン部47a、48aへの上記弾性歯付リング49bの組み付け作業をより容易に行なえる。
又、本例の場合には、上記弾性歯付リング49bの外歯50aのうち、上記雌スプライン部48aとスプライン係合する本体部64と、上記外歯50aに設けた小径段部63との間部分に、テーパ面65を全周に亙り設けている。このテーパ面65は、全周に亙り、軸方向に関して上記小径段部63に向かうに従って上記雌スプライン部48aから離れる方向に、中心軸に対し傾斜している。この為、上記雌スプライン部48aの内側に上記弾性歯付リング49bを挿入する際に、上記テーパ面65に上記雌スプライン部48aの端部を係合させつつ、上記雌スプライン部48aの内側に上記弾性歯付リング49bの外径が大きくなった部分を挿入できる。この為、この弾性歯付リング49bを雌スプライン部48a内に挿入する以前に、これら弾性歯付リング49bと雌スプライン部48aとの中心軸同士を厳密に一致させる必要がなくなり、上記弾性歯付リング49bの上記雌スプライン部48a内への挿入作業を、より容易に行なえる。
更に、上記弾性歯付リング49bの内歯51aのうち、上記雄スプライン部47aとスプライン係合する本体部67と、上記内歯51aに設けた大径段部66との間部分に、テーパ面68を全周に亙り設けている。このテーパ面68は、全周に亙り、軸方向に関して上記大径段部66に向かうに従って上記雄スプライン部47aから離れる方向に、中心軸に対し傾斜している。この為、上記内歯51aの内側に上記雄スプライン部47aを挿入する際に、上記テーパ面68に上記雄スプライン部47aの端部を係合させつつ、上記弾性歯付リング49bの内径が小さくなった部分の内側に上記雄スプライン部47aを挿入できる。この為、上記弾性歯付リング49b内に雄スプライン部47aを挿入する以前に、これら弾性歯付リング49bと雄スプライン部47aとの中心軸同士を厳密に一致させる必要がなくなり、上記雄スプライン部47aの上記弾性歯付リング49b内への挿入作業を、より容易に行なえる。
[本発明の実施の形態の第2例]
次に、図5〜6は、やはり請求項1、3、4に対応する、本発明の実施の形態の第2例を示している。本例の場合には、上述の図1〜4に示した第1例の場合と異なり、弾性歯付リング49cの外歯50aの外周面で、雌スプライン部48aの奥端部に対応する軸方向一端部(図5〜6の右端部)に、全周に亙り、上記弾性歯付リング49cの軸方向一端面に向かう程その周面を含む部分の厚さが小さくなる方向に、中心軸に対し傾斜したテーパ面71を設けている。又、上記弾性歯付リング49cの内歯51aの内周面で、上記雄スプライン部47aの基端部に対応する軸方向他端部(図5〜6の左端部)に、全周に亙り、上記弾性歯付リング49cの軸方向他端面に向かう程その周面を含む部分の厚さが小さくなる方向に、中心軸に対し傾斜したテーパ面72を設けている。
この様に構成する本例の場合も、上述の図1〜4に示した第1例の場合と同様に、上記雄、雌両スプライン部47a、48aの間に上記弾性歯付リング49cを容易に組み付ける事ができ、しかも、この組み付け作業時にこの弾性歯付リング49cに損傷が発生する可能性を十分に低く抑える事ができる為、歩留りの向上を図れる。即ち、上記雌スプライン部48aの内側に上記弾性歯付リング49cを挿入する際に、外歯50aの軸方向一端部に設けたテーパ面71に上記雌スプライン部48aの端部を係合させつつ、この雌スプライン部48aの内側に上記弾性歯付リング49cの外径が大きくなった部分を挿入できる。この為、この弾性歯付リング49cの雌スプライン部48a内への挿入作業を、より容易に行なえる。
又、上記弾性歯付リング49cの内側に雄スプライン部47aを挿入する際に、内歯51aの軸方向他端部に設けたテーパ面72にこの雄スプライン部47aの端部を係合させつつ、上記弾性歯付リング49cの内径が小さくなった部分に上記雄スプライン部47aを挿入できる。この為、この雄スプライン部47aの上記弾性歯付リング49c内への挿入作業を、より容易に行なえる。
その他の構成及び作用に就いては、上述の図1〜4に示した第1例の場合と同様である為、同等部分には同一符号を付して重複する説明を省略する。
[本発明の実施の形態の第3例]
次に、図7〜9は、請求項1〜4に対応する、本発明の実施の形態の第3例を示している。本例の弾性歯付リング49dの場合には、前述の図1〜4に示した第1例の弾性歯付リング49bと同様の構造で、円周方向一部に、軸方向全長に亙る不連続部73(図9)を設けている。この弾性歯付リング49bを造る為に、本例の場合には、図8に示す様な、幅方向寸法(図8のy方向)に対して長さ方向(図8のx方向)寸法がかなり大きい、長尺な板状素子74を造る。
この板状素子74は、弾性材製の本体部62の表、裏両側面にそれぞれ織布56a、56b(図21、22参照)を貼着している。この板状素子74は、長さ方向(図8のx方向)に山部75、75と谷部76、76とが交互に連続している。又、この板状素子74の片面(図8の表側面)の幅方向一端部(図8のy方向下端部)に他面側(図8の裏側)に向け凹んだ段部77を、長さ方向全長に亙り設けている。これと共に、この段部77と上記板状素子74の片面の本体部との間に、幅方向(図8のy方向)に関して上記段部77に向かう程他面に近づく方向に傾斜したテーパ面79を、長さ方向全長に亙り設けている。尚、本例の構造を表す図8〜9の場合も、上述した各例を表す図1〜7の場合と同様に、簡略化の為に織布56a、56bの図示を省略する。又、これら各織布56a、56bのうち、板状素子74の片面(図8の表側面)に設ける実際の織布56bの片面の形状も、幅方向一端部に段部77及びテーパ面79を設けた形状としている。
この様な板状素子74は、長さ方向両端縁同士を突き合わせる、又は微小隙間を介して対向させる様に、各山部75、75の頂部を内側にした状態で円筒状に曲げる事により、図7、9に示す様な弾性歯付リング49dを造る。これにより、この弾性歯付リング49dの軸方向一端部(図7、9の左端部)内周面に、前述の図1〜4に示した第1例の場合と同様に、大径段部66とテーパ面68とが設けられる。又、複数の外歯素子部54a、54aと複数の連結部61、61の外周面寄り部分とにより外歯50aを構成し、複数の内歯素子部55a、55aと複数の連結部61、61の内周面寄り部分とにより内歯51aを構成する事も、上記第1例の場合と同様である。そして、上記板状素子74を円筒状に曲げる事により上記弾性歯付リング49dを構成した状態で、図9に示す様に、この弾性歯付リング49dをウォーム軸27の基端部に設けた雌スプライン部48aにスプライン係合させつつ内嵌する。この場合、上記弾性歯付リング49dは、大径段部66及びテーパ面68と反対側の端部を先にして、上記雌スプライン部48aに内嵌する。次いで、上記弾性歯付リング49dの内側に、電動モータ28の回転軸29の先端部に設けた雄スプライン部47aをスプライン係合させつつ内嵌し、図7に示す様に動力伝達機構30aを構成する。
上述の様に構成する本例の場合も、前述の図1〜4に示した第1例の場合と同様に、上記雄、雌両スプライン部47a、48aの間に上記弾性歯付リング49dを容易に組み付ける事ができ、しかも、この組み付け作業時にこの弾性歯付リング49dに損傷が発生する可能性を十分に低く抑える事ができる為、歩留りの向上を図れる。更に、上記板状素子74を造る為に使用する金型の形状を変更するだけで、軸方向端部に大径段部66及びテーパ面68を設けた、板状素子74製の弾性歯付リング49dを造る事ができる。この為、大径段部66及びテーパ面68を持たない、板状素子製の弾性歯付リングを造る場合に比べて、コストが大幅に上昇する事がない。
その他の構成及び作用に就いては、前述の図1〜4に示した第1例の場合と同様である為、同等部分には同一符号を付して重複する説明を省略する。尚、本例の場合で、板状素子74の他面(図8の裏側面)の幅方向他端部(図8のy方向上端部)に段部を設ける事により、上記第1例の場合と同様に、弾性歯付リング49dの端部外周面に、小径段部63(図1、2参照)を設ける事もできる。
[本発明の実施の形態の第4例]
次に、図10〜12は、やはり請求項1〜4に対応する、本発明の実施の形態の第4例を示している。本例の弾性歯付リング49eの場合には、前述の図5〜6に示した第2例の弾性歯付リング49cと同様の構造で、円周方向一部に、軸方向全長に亙る不連続部80(図12)を設けている。この弾性歯付リング49eを造る為に、本例の場合には、図11に示す様な、幅方向(図11のy方向)寸法に対して長さ方向(図11のx方向)寸法がかなり大きい、長尺な板状素子74aを造る。
この板状素子74aは、上述の図7〜9に示した第3例を構成する板状素子74と同様の構造で、片面(図11の表側面)の幅方向一端部(図11のy方向下端部)に幅方向一端に向かうに従って、他面(図11の裏面)に近づく方向に傾斜したテーパ面81を、長さ方向全長に亙り設けている。
この様な板状素子74aは、長さ方向両端縁同士を突き合わせる、又は微小隙間を介して対向させる様に、各山部75、75の頂部を内側にした状態で円筒状に曲げる事により、図10、12に示す様な弾性歯付リング49eを造る。これにより、この弾性歯付リング49eの軸方向一端部(図10、12の左端部)内周面に、前述の図5〜6に示した第2例の場合と同様に、テーパ面72が設けられる。又、複数の外歯素子部54a、54aと複数の連結部61、61の外周面寄り部分とにより外歯50aを構成し、複数の内歯素子部55a、55aと複数の連結部61、61の内周面寄り部分とにより内歯51aを構成する事も、上記第2例の場合と同様である。そして、上記板状素子74aを円筒状に曲げる事により上記弾性歯付リング49eを構成した状態で、図12に示す様に、この弾性歯付リング49eをウォーム軸27の基端部に設けた雌スプライン部48aにスプライン係合させつつ内嵌する。この場合、上記弾性歯付リング49eは、上記テーパ面72と反対側の端部を先にして、上記雌スプライン部48aに内嵌する。次いで、上記弾性歯付リング49eの内側に、電動モータ28の回転軸29の先端部に設けた雄スプライン部47aをスプライン係合させつつ内嵌し、図10に示す様に動力伝達機構30aを構成する。
上述の様に構成する本例の場合も、前述の図5〜6に示した第2例の場合と同様に、上記雄、雌両スプライン部47a、48aの間に上記弾性歯付リング49eを容易に組み付ける事ができ、しかも、この組み付け作業時にこの弾性歯付リング49eに損傷が発生する可能性を十分に低く抑える事ができる為、歩留りの向上を図れる。更に、上記板状素子74aを造る為に使用する金型の形状を変更するだけで、軸方向端部にテーパ面72を設けた、板状素子74a製の弾性歯付リング49eを造る事ができる。この為、テーパ面72を持たない、板状素子製の弾性歯付リングを造る場合に比べて、製造コストが大幅に上昇する事がない。
その他の構成及び作用に就いては、前述の図5〜6に示した第2例又は上述の図7〜9に示した第3例の場合と同様である為、同等部分には同一符号を付して重複する説明を省略する。尚、本例の場合で、板状素子74の他面(図11の裏側面)の幅方向他端部(図11のy方向上端部)にテーパ面を設ける事により、上記第2例の場合と同様に、上記弾性歯付リング49eの端部外周面にテーパ面71(図5〜6参照)を設ける事もできる。
[本発明の実施の形態の第5例]
次に、図13〜14は、請求項1、3〜5に対応する、本発明の実施の形態の第5例を示している。本例の電動式パワーステアリング装置の場合には、上述した各例の場合と異なり、電動モータ28の補助トルクを、ウォーム減速機を介してステアリングシャフト2(図15〜17参照)に付与していない。本例の場合には、電動モータ28の補助トルクを、はすば歯車型の減速機82とボールねじ機構83とを介してラック12に付与する、所謂ラックアシスト式の電動式パワーステアリング装置に本発明を適用している。即ち、本例の場合には、上記ラック12の側方に電動モータ28を設けている。又、この電動モータ28の回転軸29とはすば歯車型の減速機82の入力軸84とを連結すると共に、この減速機82の出力軸となる出力歯車85とボールナット86とを連結している。これら出力歯車85とボールナット86とは、上記ラック12の周囲に外嵌する状態で設けている。そして、このラック12の一部外周面に設けた内径側ボールスクリュー溝87と、上記ボールナット86の内周面に設けた外径側ボールスクリュー溝88との間に複数のボール89、89を転動自在に設けている。上記ボールナット86は、ハウジング90に対し回転のみ自在に支持している。又、上記ラック12は、このハウジング90に対し軸方向の変位のみを自在に支持している。
この様なラックアシスト式の電動式パワーステアリング装置で、ステアリングホイール1(図15、16参照)を操作すると、ステアリングシャフト2又はピニオン11の周囲に設けられたトルクセンサ(図示せず)がこのステアリングシャフト2又はピニオン11に加えられるトルクの方向と大きさとを検出する。すると、制御器6(図15参照)がこのトルクセンサから入力された信号に基づき電動モータ28に通電し、上記減速機82を介して上記ボールナット86を回転させる。そして、このボールナット86の回転により、上記ラック12が軸方向に変位する。
特に、本例の場合には、上記電動モータ28の回転軸29の先端部内周面に設けた雌スプライン部48bと、上記減速機82の入力軸84の一端部(図13〜14の左端部)外周面に設けた雄スプライン部47bとの間に、前述の図1〜4に示した実施の形態の第1例の場合と同様の弾性歯付リング49bを設けて、この弾性歯付リング49bにより、上記回転軸29と入力軸84とを、動力の伝達可能に結合している。上記雄スプライン部47bと雌スプライン部48bとの各歯は、これら両スプライン部47b、48bの円周方向に重畳させている。
更に、前記減速機82の出力歯車85に設けた雌スプライン部48cと、前記ボールナット86の一端部(図13〜14の左端部)に設けた小径筒部91に形成した雄スプライン部47cとの間に、やはり前述の図1〜4に示した実施の形態の第1例の場合と同様の弾性歯付リング49bを設けている。そして、この弾性歯付リング49bにより、上記出力歯車85とボールナット86とを、動力の伝達可能に結合している。又、上記雄スプライン部47cと雌スプライン部48cとの各歯を、これら両スプライン部47c、48cの円周方向に重畳させている。
この様な本例の場合も、一部の動力伝達部に弾性歯付リング49b、49bを設けており、これら弾性歯付リング49b、49bの軸方向一端部外周面に小径段部63及びテーパ面65(図1、2参照)を、同じく軸方向他端部内周面に大径段部66及びテーパ面68(図1、2参照)を、それぞれ設けている。この為、上記雄、雌両スプライン部47b、47c、48b、48cの間に上記弾性歯付リング49b、49bを容易に組み付ける事ができ、しかも、この組み付け作業時にこれら弾性歯付リング49b、49bに損傷が発生する可能性を十分に低く抑える事ができる為、歩留りの向上を図れる。尚、本発明の範囲で、上記弾性歯付リング49bの代わりに、前述の図5〜12に示した実施の形態の第2〜4例で使用した弾性歯付リング49b〜49eを採用する事ができるのは勿論である。
又、図示は省略するが、ラックアシスト式の電動式パワーステアリング装置で、上述の図13〜14に示した構造以外に、電動モータを、この電動モータの回転軸とボールナットの回転軸とが同軸上に位置する様にラックの周囲に設けると共に、この電動モータの回転軸とこのボールナットとを、減速機を介さず直接連結する場合もある。この様な構造の電動式パワーステアリング装置でも、上記電動モータの回転軸とボールナットとの間の動力伝達部に、上述した第1〜4例の動力伝達機構30aと同様の構造を採用できる。
尚、上述した各例の場合には、弾性歯付リング49b〜49eを、弾性材製の本体部62の内、外両周面に1対の織布56a、56b(図21、22参照)を貼着して成るものとしている。但し、本発明の動力伝達機構は、これら織布56a、56bを設けた弾性歯付リング49b〜49eを使用した構造に限定するものではない。例えば、本発明は、弾性歯付リングとして、1対の織布56a、56bのうち、一方の織布56a(又は56b)、又は両方の織布56a、56bを省略したものを使用した構造でも実施できる。例えば、弾性歯付リングは、合成ゴムの如きエラストマー、合成樹脂等の弾性材のみにより構成しても良い。
本発明の実施の形態の第1例の動力伝達機構を示す、図24と同様の図。 同第1例の動力伝達機構の分解斜視図。 同第1例の動力伝達機構を構成すべく、ウォーム軸と弾性歯付リングと電動モータの回転軸とを組み合わせる途中の状態を示す斜視図。 同じく組み合わせた状態を示す斜視図。 本発明の実施の形態の第2例の動力伝達機構を示す、図1と同様の図。 同第2例の動力伝達機構の分解斜視図。 本発明の実施の形態の第3例の動力伝達機構を示す、図1と同様の図。 同第3例の動力伝達機構の分解斜視図。 同第3例の動力伝達機構を構成すべく、ウォーム軸と弾性歯付リングと電動モータの回転軸とを組み合わせる途中の状態を示す斜視図。 本発明の実施の形態の第4例の動力伝達機構を示す、図1と同様の図。 同第4例の動力伝達機構の分解斜視図。 同第4例の動力伝達機構を構成すべく、ウォーム軸と弾性歯付リングと電動モータの回転軸とを組み合わせる途中の状態を示す斜視図。 本発明の実施の形態の第5例のラックアシスト式の電動式パワーステアリング装置を示す部分切断面図。 図13のA部拡大断面図。 本発明の対象となる電動式パワーステアリング装置の1例の全体構造を示す略図。 電動式パワーステアリング装置の従来構造の1例を、一部を切断して示す図。 図16のB−B部分の部分切断面図。 図17の部分拡大図。 図18のC部拡大図。 同D−D断面図。 図19の動力伝達機構に使用する弾性歯付リングの拡大斜視図。 図18のE−E断面を拡大して示す図。 本発明に先立って発明した先発明の動力伝達機構を、一部を切断して示す斜視図。 図23の動力伝達機構を仮想平面Fで切断して示す図。 図24のG−G断面図。
符号の説明
1 ステアリングホイール
2 ステアリングシャフト
3 電動モータ
4 減速機
5 トルクセンサ
6 制御器
7 自在継手
8 中間シャフト
9 ステアリングギヤ
10 入力軸
11 ピニオン
12 ラック
13 タイロッド
14 操舵輪
15 ステアリングコラム
16 アシスト装置
17 アウターシャフト
18 インナーシャフト
19 車体
20 ウォーム減速機
21 ギヤハウジング
22 第一のインナーシャフト
23 第二のインナーシャフト
24 トーションバー
26 ウォームホイール
27 ウォーム軸
28 電動モータ
29 回転軸
30、30a 動力伝達機構
31 弾力付与手段
32 軸受ホルダ
33 第一の玉軸受
34 第二の玉軸受
35 揺動軸
36 コイルばね
37 ウォーム
38 ケース
39 大径筒部
40 小径筒部
41 段部
42 凹孔
43 弾性リング
44 透孔
45 凹孔
47、47a〜47c 雄スプライン部
48、48a〜48c 雌スプライン部
49、49a〜49e 弾性歯付リング
50、50a 外歯
51、51a 内歯
52 本体部
54、54a 外歯素子部
55、55a 内歯素子部
56a、56b 織布
61 連結部
62 本体部
63 小径段部
64 本体部
65 テーパ面
66 大径段部
67 本体部
68 テーパ面
69 テーパ面
70 テーパ面
71 テーパ面
72 テーパ面
73 不連続部
74、74a 板状素子
75 山部
76 谷部
77 段部
78 本体部
79 テーパ面
80 不連続部
81 テーパ面
82 減速機
83 ボールねじ機構
84 入力軸
85 出力歯車
86 ボールナット
87 内径側ボールスクリュー溝
88 外径側ボールスクリュー溝
89 ボール
90 ハウジング
91 小径筒部

Claims (5)

  1. 駆動軸と被駆動軸との間に設けられて、これら両軸の間で動力を伝達する為の動力伝達機構であって、これら両軸のうちの一方の軸の端部内周面に設けられた雌スプライン部と、他方の軸の端部外周面に設けられた雄スプライン部と、これら雄、雌両スプライン部の間に組み付けた弾性歯付リングとを備えた動力伝達機構に組み込む弾性歯付リングであって、
    外周面に上記雌スプライン部とスプライン係合する外歯を、内周面に上記雄スプライン部とスプライン係合する内歯を、それぞれ有し、外径側と内径側とに、それぞれが弾性材製である複数ずつの外歯素子部と内歯素子部とを一体的に設けている弾性歯付リングに於いて、
    内、外両周面のうち、少なくとも一方の周面の軸方向端部に、この一方の周面の軸方向の他の部分よりもその周面を含む部分の厚さが小さくなる様に形成された段部、又は軸方向端面に向かう程その周面を含む部分の厚さが小さくなる方向に中心軸に対し傾斜したテーパ面を設けている事を特徴とする弾性歯付リング。
  2. 少なくとも一部が弾性材製で、長さ方向に山部と谷部とが交互に連続している板状素子を円筒状に曲げて成る、請求項1に記載した弾性歯付リング。
  3. 駆動軸と被駆動軸との間に設けられて、これら両軸の間で動力を伝達する為の動力伝達機構であって、これら両軸のうちの一方の軸の端部内周面に設けられた雌スプライン部と、他方の軸の端部外周面に設けられた雄スプライン部と、これら雄、雌両スプライン部の間に組み付けた弾性歯付リングとを備えた動力伝達機構に於いて、
    上記弾性歯付リングが請求項1又は請求項2に記載した弾性歯付リングである事を特徴とする動力伝達機構。
  4. 電動モータの回転軸と減速機を構成する入力軸とを、請求項3に記載した動力伝達機構により、動力の伝達を可能に結合した電動式パワーステアリング装置。
  5. 減速機の出力軸又は電動モータの回転軸と、ボールナットとを、請求項3に記載した動力伝達機構により、動力の伝達を可能に結合した電動式パワーステアリング装置。
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