JP2007145675A - 複合微粒子及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】複合微粒子及びその製造方法の提供。
【解決手段】表面がシリカ層で被覆された誘電体結晶の微粒子からなる複合微粒子であり、該誘電体結晶の微粒子の平均粒径が10〜1000nmであり、該シリカ層の厚みが1〜500nmであることを特徴とする複合微粒子。平均粒径が10〜1000nmの誘電体結晶微粒子と、塩基性化合物とを液状媒体中に添加し、混合、分散して分散液を得る工程と、該分散液に、加水分解性ケイ素化合物又はそのオリゴマーのアルコール溶液を添加し、混合液を得る工程と、該混合液にさらに水を添加し、前記ケイ素化合物を加水分解する工程と、を含む複合微粒子の製造方法。
【選択図】図1
【解決手段】表面がシリカ層で被覆された誘電体結晶の微粒子からなる複合微粒子であり、該誘電体結晶の微粒子の平均粒径が10〜1000nmであり、該シリカ層の厚みが1〜500nmであることを特徴とする複合微粒子。平均粒径が10〜1000nmの誘電体結晶微粒子と、塩基性化合物とを液状媒体中に添加し、混合、分散して分散液を得る工程と、該分散液に、加水分解性ケイ素化合物又はそのオリゴマーのアルコール溶液を添加し、混合液を得る工程と、該混合液にさらに水を添加し、前記ケイ素化合物を加水分解する工程と、を含む複合微粒子の製造方法。
【選択図】図1
Description
本発明は、表面がシリカ層で被覆された誘電体微粒子からなる複合微粒子及びその製造方法に関する。
近年、電子機器の小型化に伴い、その構成部品として用いられるセラミックスコンデンサの小型化への要求も強くなってきている。これに伴い、セラミックスコンデンサ中の誘電体層の薄膜化による抗電界の低電圧化が急務とされている。
従来、薄膜状の誘電体層を形成する方法としては、スパッタリング法等の物理的気相成膜法(PVD)やMOCVD等の化学的気相成長法及び化学的溶液成膜法(溶液法)が提案されている。このうち、溶液法は特殊で高価な装置を必要とせず、最も安価かつ簡便に誘電体層を形成できることが知られている。また溶液法は精密な組成制御が容易であり、多くの誘電体材料に見られる、組成の違いによる特性変動を抑制できるというメリットがあるため、非常に有効な誘電体薄層作製方法の一つとして検討が進められ、実用化されつつある。
ここで、サブミクロン以下の粒径の誘電体微粒子を含む液状組成物の塗布、乾燥、焼成をともなう溶液法により、数μm程度の膜厚の誘電体層を得るためには、液状組成物中の微粒子の分散状態を高度に高める必要がある。この分散状態を高める方法としては、液状組成物中に有機高分子からなる分散剤を含有させる方法が一般的に用いられている(非特許文献1及び2参照)。しかし、有機高分子からなる分散剤を用いると、焼成後に得られる誘電体層中に炭素が残留しやすく、その結果、誘電特性及び基体との密着性の低下を引き起こすという問題があった。特に、シリコン等の半導体基板上に液状組成物を塗布する場合、半導体基板への濡れ性に優れた液状媒体を液状組成物中に含有させる必要があり、そのための液状媒体として、一般に粘度、表面張力及び比誘電率の低い有機溶媒(低級アルコール等)が用いられているが、このような液状媒体に誘電体微粒子を高度に分散させるのは難しいという問題があり、有機高分子からなる分散剤の使用が事実上必須とされていた。そのため、有機高分子からなる分散剤を含有させることなく、半導体基板への濡れ性に優れた液状媒体中に誘電体微粒子を高度に分散させることが可能な技術の開発が急務とされている。
一方、近年では、金属微粒子がコアでシリカ層がシェルであるコア/シェル状複合微粒子の開発が盛んに行われている(非特許文献3及び特許文献1参照)。例えば、ナノサイズの金微粒子がコアでシリカ層がシェルである複合微粒子を作製し、得られた複合微粒子を含有する液状組成物を塗布、焼成して特定波長の可視光線を吸収可能な、薄膜状のLB膜を作製することが開示されている(非特許文献4参照)。これらの方法を用いて、ナノサイズの誘電体微粒子の表面を、半導体基板への濡れ性に優れた液状媒体への分散性を向上させる作用を有する無機質材料で被覆したコア/シェル状複合微粒子が得られれば、有機高分子からなる分散剤を使用することなく、該複合微粒子が高分散された液状組成物が得られることが期待されるが、上記のような複合微粒子は知られていない。
本発明は、上記したような従来技術の課題に鑑み、表面がシリカ層で被覆された誘電体微粒子からなる複合微粒子及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、表面がシリカ層で被覆された誘電体微粒子からなる複合微粒子であり、該誘電体微粒子の平均粒径が10〜1000nmであり、該シリカ層の厚みが1〜500nmであることを特徴とする複合微粒子を提供する。
また、本発明は、下記工程A〜Cを含むことを特徴とする複合微粒子の製造方法を提供する。
工程A:平均粒径が10〜1000nmの誘電体微粒子と、塩基性化合物とを液状媒体中に添加し、混合、分散して分散液を得る工程。
工程B:工程Aで得られた分散液に、加水分解性ケイ素化合物又はそのオリゴマーのアルコール溶液を添加し、混合液を得る工程。
工程C:工程Bで得られた混合液にさらに水を添加し、前記ケイ素化合物を加水分解する工程。
工程A:平均粒径が10〜1000nmの誘電体微粒子と、塩基性化合物とを液状媒体中に添加し、混合、分散して分散液を得る工程。
工程B:工程Aで得られた分散液に、加水分解性ケイ素化合物又はそのオリゴマーのアルコール溶液を添加し、混合液を得る工程。
工程C:工程Bで得られた混合液にさらに水を添加し、前記ケイ素化合物を加水分解する工程。
本発明により、ナノサイズの誘電体微粒子をコアとし、半導体基板への濡れ性に優れた液状媒体への分散性を向上させる作用を有するシリカをシェルとするコア/シェル状複合微粒子が提供される。本発明の複合微粒子は、液状組成物中に高濃度で均一に分散するため、有機高分子からなる分散剤を使用することなく、数μm程度の膜厚の緻密な誘電体層を溶液法で製造することが可能となる。そのため、本発明の複合微粒子を用いれば、焼成後の誘電体層中の残留炭素量が高度に抑制され、耐電圧特性の良好な誘電体層が得られる。さらに、該複合微粒子は、粒子表面から金属イオンが溶出しにくいため、水を含む液状媒体にも良好に分散する。
以下、本発明について詳細に記載する。
本発明において、誘電体微粒子の平均粒径は10〜1000nmとする。ここで、平均粒径とは平均一次粒子径を指し、異方性粒子の場合には長径を指すものとする。平均粒径が10nm未満であると所望の誘電特性を発現しにくく、一方、1000nmを超えると数μm程度の膜厚の誘電体層を得がたくなるため好ましくない。
また、上記誘電体微粒子の表面を被覆するシリカ層の厚みは1〜500nmとする。シリカ層の厚みが1nm未満であると、液状媒体への分散性を高める効果が充分に得られず、また、複合微粒子を液状媒体中に分散させた際に、誘電体微粒子中に含まれる金属イオンが液状媒体中に溶出して誘電特性が損なわれるおそれがある。一方、厚みが500nmを超えると所望の誘電特性が得られないおそれがある。
本発明の複合微粒子中のシリカの含有割合は0.001〜70質量%であると好ましい。上記割合を0.001質量%以上とすることで、液状媒体への分散性を高める効果を充分に発現させ、また、複合微粒子を液状媒体中に分散させた際に、誘電体微粒子中に含まれる金属イオンが液状媒体中に溶出することによる誘電特性の低下を防止できる。一方、上記割合を70質量%以下とすることで、所望の誘電特性が得られる。
ここで、誘電体微粒子の例としては、一般式ABO3で表されるペロブスカイト型の結晶構造を有する誘電体又は層状ペロブスカイト型の結晶構造を有する誘電体が挙げられる。なかでも、誘電体微粒子が一般式Ba1−xSrxTiO3、BaTi1−xZrxO3、(Bi1―xLax)4Ti3O12、(Sr1−xBix)3Ta2O9、PbZr1−xTixO3[0≦x≦1]及びそれら相互の固溶体からなる群より選ばれる1種以上であると、優れた誘電特性が得られるため好ましい。また、上記以外にPb(Mg1/3Nb2/3)O3、PbTiO3、PbZrO3、Ba1−xSrxTiO3[0≦x≦1]及びそれら相互の固溶体からなる群より選ばれる1種以上の誘電体、一般式(Bi2O2)2+(Am−1TimO3.5m−0.5)2−[AはBi又はBiとLaであってLa/Biの原子比が0〜0.5であり、mは1〜5の整数である。]、一般式Sr1−nBi2+nTa2O9[0≦n≦0.8]等も好適に用いられる。
本発明の複合微粒子は、下記工程A〜Cを含むことにより製造される。
工程A:平均粒径が10〜1000nmの誘電体微粒子と、塩基性化合物とを液状媒体中に添加し、混合、分散して分散液を得る工程。
工程B:工程Aで得られた分散液に、加水分解性ケイ素化合物又はそのオリゴマーのアルコール溶液を添加し、混合液を得る工程。
工程C:工程Bで得られた混合液にさらに水を添加し、前記ケイ素化合物を加水分解する工程。
工程A:平均粒径が10〜1000nmの誘電体微粒子と、塩基性化合物とを液状媒体中に添加し、混合、分散して分散液を得る工程。
工程B:工程Aで得られた分散液に、加水分解性ケイ素化合物又はそのオリゴマーのアルコール溶液を添加し、混合液を得る工程。
工程C:工程Bで得られた混合液にさらに水を添加し、前記ケイ素化合物を加水分解する工程。
工程Aにおいて使用する誘電体微粒子はフラックス法、水熱法、固相反応法、ゾルゲル法及びシュウ酸塩法といった公知の方法により製造されうる。このうち、フラックス法及び固相反応法を用いれば結晶性の高い粒子が得られるため、溶液法により誘電体層を作製する際に該粒子が誘電特性の発現に寄与する結晶核として働き、また、焼成温度を低減しやすくなるため好ましい。フラックス法のなかでも、ガラスマトリックス中で誘電体粒子を結晶化させた後ガラスマトリックス成分を除去する、ガラス結晶化法と呼ばれる方法を用いると小粒径でかつ結晶性の高い微粒子が得られるため特に好ましい。すなわち、ガラス母材融液中に誘電体酸化物結晶粒子として析出させる成分を溶解させておき、融液を急速冷却してガラス化させた後、再度加熱アニールを行うことで母材中に微結晶を析出させる方法である。析出した微結晶は、ガラスマトリックスを適宜の薬液等によって溶解させることにより取り出される。上記ガラス母材としては、ホウ酸塩系、リン酸塩系、ケイ酸塩系等が使用できるが、溶融性や目的酸化物との複合化合物の製造のしやすさやマトリックスの溶脱の容易性等の点から、ホウ酸塩系のガラス母材が好ましく用いられる。
工程Aにおいて、塩基性化合物としてはアンモニア、メチルアミン、ジメチルアミン及びトリエチルアミンからなる群より選ばれる1種以上を用いることが好ましく、該塩基性化合物の添加により分散液を調整することが好ましい。上記で例示した塩基性化合物を用いることで、複合微粒子の表面にアルカリ金属イオン等が吸着して静電反発力による分散を阻害し、凝集を引き起こすことを防止しやすくなるため好ましい。
工程Aにおいて使用する液状媒体としては、誘電体粒子に含まれる金属イオンにキレート配位でき、かつ、上記の塩基性化合物を高濃度で溶解可能な有機溶媒を含むことが好ましい。具体的には、β−ジケトン類(アセチルアセトン等)、β−ケトエステル類(アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル等)、多価アルコール類(オクチレングリコール、ジエチレングリコール等)、アルカノールアミン類(トリエタノールアミン等)、アミド類(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等)及びエーテルアルコール類(2−メトキシエタノール等)からなる群より選ばれる1種以上を用いると好ましい。
上記の誘電体微粒子と、塩基性化合物とを液状媒体中に添加し、混合した後、分散して分散液を得る(工程A)。このとき、混合及び分散を行うための方法としては公知の技術を用いることができ、具体的にはボールミル、ジェットミル、ロールミル等が挙げられる。また、混合後、高せん断混合により解凝集を行うことで、誘電体微粒子が有機溶媒中に高度に分散した分散液を得やすくなるため好ましい。特に、誘電体粒子に含まれる金属イオンへのキレート配位力を有しない有機溶媒を用いた場合、一度分散した誘電体微粒子が再凝集してしまう場合があるが、その場合にはこの高せん断混合による解凝集を行うことにより、誘電体微粒子の分散性を高められ効果的である。
ここで、上記分散液中に、誘電体微粒子を0.001〜50質量%含むことが好ましい。分散液中の誘電体微粒子の濃度が0.001質量%未満であると複合微粒子の収率が低くなり、経済的ではない。一方、濃度が50質量%より高いと微粒子同士の衝突頻度が増加し、凝集を引き起こしやすい。分散液中の誘電体微粒子の濃度は30質量%以下であることが好ましい。
工程Aで得られる分散液のpHは9〜12の範囲であると好ましい。分散液のpHを9以上とすることで、シリカが三次元架橋構造をとりやすくなり、シリカ被覆層がより良好に形成されるため好ましい。一方、分散液のpHを12以下とすることで、誘電体微粒子の溶解を防止できるため好ましい。
次に、上記で得られた分散液に、加水分解性ケイ素化合物又はそのオリゴマーのアルコール溶液を添加し、混合液を得る(工程B)。加水分解性ケイ素化合物(以下、単にケイ素化合物ともいう。)又はそのオリゴマーとしては、特に一般式RaSi(R’)4−aで表される加水分解性ケイ素化合物やそのオリゴマーを用いることが好ましい。ここで、aは0〜2の整数であり、特に0又は1であることが好ましい。2種以上の上記ケイ素化合物の混合物の場合の平均のaは整数でなくてもよい。
上記一般式において、Rはケイ素原子に直結する炭素原子を有する炭化水素基を表す。炭化水素基としては炭素数6以下の炭化水素基が好ましい。炭素数6以下の炭化水素基としては、炭素数6以下のアルキル基及び炭素数6以下のアルケニル基が好ましい。前記アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、及びヘキシル基等が挙げられ、メチル基及びエチル基が好ましい。上記一般式において、aが2以上である場合、これらの炭化水素基は同一であってもよく異なっていてもよい。
次に、R’は加水分解性基を表す。加水分解基とは、加水分解反応を受けて、シラノール基(ケイ素原子に結合した水酸基)を生成する基であり、ケイ素原子に直結する酸素原子や窒素原子を有する有機基、ハロゲン原子、アミノ基等が好ましく、具体的にはアルコキシ基、アシロキシ基、ハロゲン原子、及びイソシアネート基等が挙げられる。これらのうち、アルコキシ基及びハロゲン原子が好ましく、アルコキシ基が特に好ましい。アルコキシ基としては、炭素数1〜4のアルコキシ基が好ましい。該アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基等が挙げられ、メトキシ基又はエトキシ基が好ましい。ハロゲン原子としては、塩素原子が好ましい。また、上記一般式において、R’が複数ある場合、同一の基であっても異なる基であってもよいが、加水分解反応が進行する速度が均一であり、加水分解反応の制御が容易であることから、同一の基であることが好ましい。
上記ケイ素化合物としてはテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、メチルトリメトキシシランからなる群より選ばれる1種以上を用いることが好ましい。高級なアルコール由来のアルコキシドでは加水分解反応速度が遅く、シリカ被覆にかかる反応時間が長くなる。また、ケイ素化合物をアルコール溶液中に0.001〜10質量%含むと好ましい。アルコール溶液中のケイ素化合物の含有割合を0.001質量%以上にすることで、シリカ被覆にかかる反応時間を短縮でき、一方、上記含有割合を10質量%以下とすることで、シリカ被覆層の厚みを所望の範囲に調整しやすくなる。特に、上記含有割合を1質量%以下とすると、誘電体微粒子表面に薄いシリカ被覆層を均一に形成しやすくなり、誘電体微粒子由来の優れた誘電特性を維持しやすいため好ましい。
良好な誘電特性をそこなわない範囲であれば、上記ケイ素化合物又はそのオリゴマーと金属(例えば、アルミニウム、チタン、鉛、ビスマス、ジルコニウム、ニオブ、タンタル、バリウム、ストロンチウム等)のアルコキシドを併用して、シリカ層に上記金属又は金属酸化物をドープさせることもできる。このとき、上記金属アルコキシドの添加量の上限は、質量比で[金属アルコキシド]/[ケイ素化合物又はそのオリゴマー]=5%程度とする。また、シリカ層と誘電体微粒子との間に上記金属アルコキシドを加水分解してなる金属又は金属酸化物の層を挟むこともできる。さらに、上記ケイ素化合物又はそのオリゴマーと、シランカップリング剤又はそのオリゴマーとを併用することもできる。シランカップリング剤は2官能加水分解性シランや3官能加水分解性シランにおける炭化水素基の1つが官能基含有有機基(該有機基はケイ素原子と炭素−ケイ素結合で結合)に置換した構造を有するケイ素化合物である。そのオリゴマーはシランカップリング剤を部分加水分解縮合させて得られるものである。また、互いに反応性の官能基を有する2種のシランカップリング剤の反応物も使用できる。
工程Bにおいて用いるアルコールは上記ケイ素化合物又はそのオリゴマーを溶解可能なものであれば特に限定されないが、炭素数の少ない低級アルコールを用いることが好ましく、具体的にはメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール及び2−ブタノールからなる群より選ばれる1種以上のアルコールが好ましい。炭素数4以下の低級アルコールを用いることで、炭素数の多い高級アルコールを使用した場合と比較して誘電体微粒子表面が電荷を帯びやすくなり、シリカ層が誘電体微粒子表面に選択的に被覆しやすくなり好ましい。
このとき、工程Aで得られる分散液と同様に、上記ケイ素化合物又はそのオリゴマーのアルコール溶液をpH9〜12の範囲に調整すれば、上記分散液との混合が容易となるため好ましい。このとき、上記アルコール溶液のpHを9〜12の範囲に調整するための塩基性化合物としては、工程Aにおける塩基性化合物と同様のものが用いられる。
本発明において、工程Aで得られた分散液に、上記アルコール溶液を添加して混合液を得る工程(工程B)の後、該混合液にさらに水を添加し、前記ケイ素化合物を加水分解する工程(工程C)により、誘電体微粒子表面へのシリカ層形成が開始される。このとき、上記ケイ素化合物の加水分解性基が加水分解反応を受けてシラノール基を形成し、このシラノール基が誘電体微粒子表面に吸着し、さらにシラノール基同士、又はシラノール基と加水分解性基とが重縮合を繰り返すことによってシリカ層被覆を形成する。この間、反応系は塩基性に保たれている必要があり、一般にシリコンアルコキシド重合として知られている。この反応系において、反応速度、濃度分布を制御するために反応媒体の温度制御、撹拌を行ってもよい。
本発明においては上記ケイ素化合物を加水分解するための水を反応の最後に系内に添加している。これは誘電体微粒子中の金属イオンが水へ溶出し、シリカ層の表面電位が低下してシリカ層同士が固着してしまうことを防ぐためである。
上記加水分解により形成される複合微粒子は、必要に応じ濃縮及び/又は遠心分離を行った後、乾燥工程を経て反応媒体から取り出される。このとき、乾燥工程を行うにあたっては公知の方法を使用可能であり、例えば遠心分離後に得られた液を乾燥機に投入する方法や、基体上に濃縮液を塗布し、乾燥させて粉末として取り出す方法が挙げられる。
本発明の複合微粒子はシリカ層によりその表面が被覆されている。通常、誘電体微粒子単体では半導体基板への濡れ性に優れた液状媒体には良好に分散しないが、本発明の複合微粒子は良好に分散する。これはシリカ被覆層が誘電体微粒子中の金属イオンの水への溶出を抑制するためであると考えられる。このため、有機高分子系の分散剤を使用することなく、各種溶媒中に複合微粒子が高度に分散した液状組成物にできるので、膜厚が1μm以下と薄くても耐電圧特性に優れた誘電体層の形成に有効である。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるわけではない。
[例1]
水熱法により作製した平均粒径80nmの略球状の結晶性チタン酸バリウムストロンチウム(以下、BSTという。)微粒子2g、ジメチルホルムアミド0.61g、アンモニア水0.04g及び1−プロパノール18gを蓋付き容器に入れ、混合した後、直径0.5mmのジルコニアボールを用いたポットミルにて5日間分散させて分散液Aを得た。該分散液Aの分散粒子径を動的光散乱式粒度分布測定装置(日機装社製マイクロトラック)を用いて測定したところ、分散粒子径は95nmであった。
水熱法により作製した平均粒径80nmの略球状の結晶性チタン酸バリウムストロンチウム(以下、BSTという。)微粒子2g、ジメチルホルムアミド0.61g、アンモニア水0.04g及び1−プロパノール18gを蓋付き容器に入れ、混合した後、直径0.5mmのジルコニアボールを用いたポットミルにて5日間分散させて分散液Aを得た。該分散液Aの分散粒子径を動的光散乱式粒度分布測定装置(日機装社製マイクロトラック)を用いて測定したところ、分散粒子径は95nmであった。
次に、エタノール19g、テトラエトキシシラン0.0044g、アンモニア水0.04gの混合物を準備し、撹拌しながら上記分散液Aを0.03g投入して混合液Bを得た。該混合液Bに対し、水を6g投入し、2時間撹拌した後、撹拌を停止してスラリー状の混合液Cを得た。混合液Cを遠心分離し、乾燥させて0.005gの白色の固形物を得た。
このとき、遠心分離を行う前の混合液Cの一部を採取してコロジオン膜付き銅グリッド上に滴下し、乾燥させた後、走査型電子顕微鏡によって観察した結果、平均5nmのシリカ層でBST微粒子が均一に被覆された複合微粒子であることが判明した。得られた複合微粒子の走査型顕微鏡写真を図1に示す。
[例2]
水熱法により作製した平均粒径80nmのBST微粒子に代えて、B2O3マトリックス中でBSTを結晶化させた後B2O3マトリックスを除去することによって得られた平均粒径50nmのBST微粒子を用いる以外は、例1と同様にして反応を行うと、平均5nmのシリカ層でBST微粒子が均一に被覆された複合微粒子が得られる。
水熱法により作製した平均粒径80nmのBST微粒子に代えて、B2O3マトリックス中でBSTを結晶化させた後B2O3マトリックスを除去することによって得られた平均粒径50nmのBST微粒子を用いる以外は、例1と同様にして反応を行うと、平均5nmのシリカ層でBST微粒子が均一に被覆された複合微粒子が得られる。
[例3]
B2O3マトリックス中でBi4Ti3O12(以下、BITという。)を結晶化させた後B2O3マトリックスを除去することによって得られた平均粒径50nmのBIT微粒子2g、アセチルアセトン0.495g、アンモニア水0.04g及び1−プロパノール18gを蓋付き容器に入れ、混合した後、直径0.5mmのジルコニアボールを用いたビーズミルにて7日間分散させて分散液Dを得る。該分散液Dを分散液Aに代えて使用する以外は例1と同様にして、複合微粒子を作製すると、平均5nmのシリカ層でBIT微粒子が均一に被覆された複合微粒子が得られる。
B2O3マトリックス中でBi4Ti3O12(以下、BITという。)を結晶化させた後B2O3マトリックスを除去することによって得られた平均粒径50nmのBIT微粒子2g、アセチルアセトン0.495g、アンモニア水0.04g及び1−プロパノール18gを蓋付き容器に入れ、混合した後、直径0.5mmのジルコニアボールを用いたビーズミルにて7日間分散させて分散液Dを得る。該分散液Dを分散液Aに代えて使用する以外は例1と同様にして、複合微粒子を作製すると、平均5nmのシリカ層でBIT微粒子が均一に被覆された複合微粒子が得られる。
本発明の複合微粒子はチップコンデンサ等の電子部品、半導体デバイス用の容量素子や低温焼結多層セラミック(LTCC)向けの容量素子等で使用される誘電体層を溶液法で作製する際に好適に用いられる。
Claims (10)
- 表面がシリカ層で被覆された誘電体微粒子からなる複合微粒子であり、該誘電体微粒子の平均粒径が10〜1000nmであり、該シリカ層の厚みが1〜500nmであることを特徴とする複合微粒子。
- 前記誘電体微粒子が、一般式Ba1−xSrxTiO3、BaTi1−xZrxO3、(Bi1―xLax)4Ti3O12、(Sr1−xBix)3Ta2O9、PbZr1−xTixO3[0≦x≦1]及びそれら相互の固溶体からなる群より選ばれる1種以上である請求項1に記載の複合微粒子。
- 前記複合微粒子中のシリカの含有割合が0.001〜70質量%である請求項1又は2に記載の複合微粒子。
- 下記工程A〜Cを含むことを特徴とする複合微粒子の製造方法。
工程A:平均粒径が10〜1000nmの誘電体微粒子と、塩基性化合物とを液状媒体中に添加し、混合、分散して分散液を得る工程。
工程B:工程Aで得られた分散液に、加水分解性ケイ素化合物又はそのオリゴマーのアルコール溶液を添加し、混合液を得る工程。
工程C:工程Bで得られた混合液にさらに水を添加し、前記ケイ素化合物を加水分解する工程。 - ガラスマトリックス中で誘電体酸化物を結晶化した後、ガラスマトリックス成分を除去して前記誘電体微粒子を得る請求項4に記載の複合微粒子の製造方法。
- 前記塩基性化合物がアンモニア、メチルアミン、ジメチルアミン及びトリメチルアミンからなる群より選ばれる1種以上である請求項4又は5に記載の複合微粒子の製造方法。
- 前記分散液のpHが9〜12である請求項4〜6のいずれかに記載の複合微粒子の製造方法。
- 前記液状媒体がβ−ジケトン類、β−ケトエステル類、多価アルコール類、アルカノールアミン類、アミド類及びエーテルアルコール類からなる群より選ばれる1種以上である請求項4〜7のいずれかに記載の複合微粒子の製造方法。
- 工程Aにおいて、高せん断混合により解凝集して分散液を得る請求項4〜8のいずれかに記載の複合微粒子の製造方法。
- 前記アルコールがメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール及び1,3−プロパンジオールからなる群より選ばれる1種以上である請求項4〜9のいずれかに記載の複合微粒子の製造方法。
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