JP2007144427A - アーク狭窄シールドノズル - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 極薄金属板Wの突合せ部へシールドノズル7からシールドガスGを流し、シールドガスGの雰囲気中でタングステン電極棒5と極薄金属板Wとの間にアークAを発生させ、そのアークAの熱で極薄金属板Wの突合せ部を溶融接合するようにしたGTA溶接のGTA溶接用トーチTに取り付けられるアーク狭窄シールドノズル1であって、前記アーク狭窄シールドノズル1は、シールドノズル7の先端部に取り付けられ、シールドノズル7よりも小径に形成されて発生したアークAの周囲にシールドガスGを集中的に流す先窄まり状の筒状のアーク狭窄ノズル2と、アーク狭窄ノズル2に取り付けられ、溶接直後の溶接ビード部分にアフターシールドガスG′を流して溶接ビード部分をシールドするアフターシールドノズル3とから成る。
【選択図】 図1
Description
又、溶接時に発生するアークAのエネルギー密度を高めて安定したアークAを形成し、且つ溶融池の酸化を防止するためにアルゴンガス等のシールドガスGによるシールド効果を高める必要がある。
しかし、TIG溶接法に用いるTIG溶接用トーチでは、図8に示すように比較的内径の大きいシールドノズル22の先端からアルゴンガス等のシールドガスGを拡散放出するだけであるため、アークA周辺のシールドガスGの濃度が低下し、エネルギー密度の高いアークAが得られず、不安定なアークAになると云う問題があった。特に、表面にセラミック被膜や絶縁被膜等を形成した電磁鋼板を突合せ溶接する際には、セラミック被膜や絶縁被膜等によってアークAがより不安定になり、突合せ溶接を安定して行えないと云う問題があった。
又、TIG溶接用トーチでは、シールドノズル22の先端からアルゴンガス等のシールドガスGを拡散放出するだけであるため、シールドガスGにより溶融池への空気の進入を完全に遮断し難く、溶接の仕上がり状態が悪化する等の問題を生じることがあった。
しかし、プラズマ溶接法に用いるプラズマ溶接用トーチでは、極薄金属板の端部同士を突合せ溶接する際にインサートチップノズル25とシールドノズル26との間に形成したシールドガス通路28が溶融池から離れるため、アルゴンガス等のシールドガスGによる溶融池のシールド効果が低下し、溶融池への空気の進入を遮断し難くなり、ピンホールやブローホール等の溶接欠陥を生じ易いと云う問題があった。
(1)即ち、本発明の請求項1のアーク狭窄シールドノズルは、先窄まり状のアーク狭窄ノズルの先端からアークの周囲にシールドガスを集中的に流すようにしているため、アーク周辺のシールドガスの濃度が高められ、発生したアークがシールドガスによるサーマルピンチ効果により絞られてエネルギー密度の高い安定したアークとなると共に、溶融池周辺のシールド効果も高められて溶融池への空気の進入を確実に遮断することができる。その結果、板厚が0.05mm〜0.2mmの極薄金属板の突合せ溶接を安定して行える。特に、表面にセラミック被膜や絶縁被膜等が形成された電磁鋼板を突合せ溶接する場合であっても、エネルギー密度の高い安定したアークによってセラミック被膜や絶縁被膜等を焼き切ることができるため、電磁鋼板の突合せ溶接を安定して行うことができる。
(2)本発明の請求項1のアーク狭窄シールドノズルは、先窄まり状のアーク狭窄ノズルによりアークのエネルギー密度を高められるため、ビード幅が狭くて深い溶け込みの高品質の安定した溶接を行える。
(3)本発明の請求項1のアーク狭窄シールドノズルは、エネルギー密度の高い安定したアークが得られるため、従来のTIG溶接の溶接速度(600mm/min〜1200mm/min)に比較して溶接速度を速くすることができ、溶接速度が2000mm/min〜6000mm/minの高速溶接を行える。
(4)本発明の請求項1のアーク狭窄シールドノズルは、タングステン電極棒の周囲のシールドガス(アルゴンガス等の不活性ガス)の濃度が高くなるため、タングステン電極棒の寿命が従来のTIG溶接の場合に比較して5倍以上長くなり、タングステン電極棒の長命化を図れる。
(5)本発明の請求項1のアーク狭窄シールドノズルは、先窄まり状のアーク狭窄ノズルによりシールドガスを絞って放出しているため、シールドガスの使用量が従来のTIG溶接に使用するシールドガスの使用量の1/2〜1/5以下で良く、シールドガスの使用量が少なくなってコスト低減を図れる。
(6)本発明の請求項1のアーク狭窄シールドノズルは、ビード幅が狭い突合せ溶接を行えるため、極薄金属板の熱の影響を受ける部分も狭くなり、溶接部の強度の向上を図れる。
(7)本発明の請求項1のアーク狭窄シールドノズルは、アーク狭窄ノズルに取り付けたアフターシールドノズルから溶接直後の溶接ビード部分にアフターシールドガスを流して余熱のある溶接ビード部分をシールドするようにしているため、溶接部の酸化を防止することができる。
即ち、本発明の請求項2のアーク狭窄シールドノズルは、GTA溶接用トーチのシールドノズルの先端部にアーク狭窄ノズルを着脱自在に取り付けると共に、当該アーク狭窄ノズルにアフターシールドノズルを着脱自在に取り付ける構成としているため、既存のTIG溶接用トーチにもアーク狭窄シールドノズルを取り付けることができ、既存のTIG溶接用トーチであっても、高速で高品質の突合せ溶接を行える。
又、本発明の請求項2のアーク狭窄シールドノズルは、アーク狭窄ノズルとアフターシールドノズルの二つの部品から成り、アーク狭窄ノズルとアフターシールドノズルを着脱自在としているため、例えば、アーク狭窄ノズルのみが焼損した場合、アーク狭窄ノズルのみを新しいアーク狭窄ノズルに交換するだけで良い。その結果、一部分が焼損した場合でも、全体を交換する必要がなく、全体を交換する場合に比較してコスト低減を図れる。
又、本発明の請求項3のアーク狭窄シールドノズルは、長さの異なるアフターシールドノズルを複数個用意しておけば、溶接速度が変化した場合には、溶接速度に応じた長さのアフターシールドノズルと交換することによって、溶接ビード部分のシールドを確実且つ良好に行える。
このGTA溶接用トーチTを構成する各部材(トーチボディ4、電極コレット、コレットハンドル6及びシールドノズル7等)は、従来公知ものと同様構造に構成されているため、ここではその詳細な説明を省略する。
この実施の形態に於いては、タングステン電極棒5には、例えば直径が1.6mmのランタン入りタングステン電極棒が使用されており、その先端はアークAが集中するようにシャープな円錐状(先端の角度が20°に設定された円錐状)に形成されている。このランタン入りタングステン電極棒は、各種電極棒の中でも長寿命化を図れる電極棒である。
このアーク狭窄ノズル2は、トーチボディ4の下端部から取り外したシールドノズル7の内方へテーパ部2cから挿入し、ラッパ状の係止部2aをシールドノズル7の先端部内面へ係止させることによって、シールドノズル7の先端部に取り付けられており、アーク狭窄ノズル2を挿着したシールドノズル7をトーチボディ4の下端部に取り付けたときには、筒部2bの一部分及びテーパ部2cがシールドノズル7の下端から外方へ突出すると共に、タングステン電極棒5の円錐状の先端がテーパ部2cの先端に形成したノズル孔2eから外方へ1.2mm〜2.0mm程度突出するようなっている。
又、アフターシールドノズル3のボックス部3aの天井部分には、ボックス部3a内へアルゴンガス等のアフターシールドガスG′を供給するアフターシールドガス供給管13が継手14を介して接続されていると共に、ボックス部3aと取付け部3bの境界部分には、ボックス部3a内へ供給されたアフターシールドガスG′の一部分をアーク狭窄ノズル2側へ流すための傾斜状のガス通路3dが形成されている。
更に、アフターシールドノズル3のボックス部3a内には、アフターシールドガス供給管13及び継手14によりボックス部3a内に供給されたアフターシールドガスG′を均質拡散させて層流化してから極薄金属板Wの溶接ビード部分に吹き付けるための金属製フィルター15が積層状態で装着されている。この金属製フィルター15には、金網フィルターを積層したものが使用されている。
そして、アフターシールドノズル3は、その取付け部3bに形成した雌ネジ3cをアーク狭窄ノズル2の筒部2bに形成した雄ネジ2dに螺着することによって、アーク狭窄ノズル2に取り付けられており、アーク狭窄ノズル2をGTA溶接用トーチTのシールドノズル7に取り付けたときには、横長水平姿勢のボックス部3aが極薄金属板Wの突合せ部の上方に位置して突合せ部と平行になるようになっている。
又、左右のクランプ17は、主にアークAの拡がりを遮断して極薄金属板Wの突合せ部にアークエネルギーを集中的に与えるためのものであり、作業用テーブルの上方位置に昇降自在に配設されている。この左右のクランプ17間の間隔は、突合せ溶接する金属板の厚みに応じて調整されており、この実施の形態では、1.0mmに設定されている。
更に、極薄金属板Wの端部同士は、バックバー16のガス通路16a上で突き合わされ、左右のクランプ17とバックバー16とにより挾持固定されている。
このとき、アーク狭窄ノズル2から放出するシールドガスGの量とアフターシールドノズル3から放出するアフターシールドガスG′の量の比率は、1:3〜1:5としている。
更に、先窄まり状のアーク狭窄ノズル2によりエネルギー密度の高い安定したアークAが得られるため、ビード幅が狭くて深い溶け込みの高品質の安定した溶接を行えると共に、溶接速度が2000mm/min〜6000mm/minの高速溶接を行える。特に、ビード幅が狭い突合せ溶接を行えるため、極薄金属板Wの熱の影響を受ける部分が狭くなり、溶接部分の強度の向上を図れる。
そのうえ、先窄まり状のアーク狭窄ノズル2によりシールドガスGを絞って放出しているため、タングステン電極棒5周囲のシールドガスGの濃度が高くなってタングステン電極棒5の寿命が従来のTIG溶接に比べて5倍以上に延びると共に、シールドガスGの使用量が従来のTIG溶接に使用するシールドガスGの使用量の1/2〜1/5以下で良く、シールドガスGの使用量が少なくなってコスト低減を図れる。
加えて、アフターシールドノズル3のボックス部3aの内部に極薄金属板Wの溶接ビード部分に吹き付けられるアフターシールドガスG′を均質拡散させて層流化する金属製フィルター15を装着しているため、極薄金属板Wの溶接ビード部分をより確実且つ良好にシールドすることができ、溶接部の酸化をより確実に防止することができる。
Claims (3)
- 対向せしめたクランプ(17)によりバックバー(16)上に押圧固定された極薄金属板(W)の突合せ部へ向って筒状のシールドノズル(7)からシールドガス(G)を流し、シールドガス(G)の雰囲気中でシールドノズル(7)の中心位置に配設したタングステン電極棒(5)と極薄金属板(W)との間にアーク(A)を発生させ、そのアーク(A)の熱で極薄金属板(W)の突合せ部を溶融させて接合するようにしたGTA溶接のGTA溶接用トーチ(T)に取り付けられるアーク狭窄シールドノズル(1)であって、前記アーク狭窄シールドノズル(1)は、シールドノズル(7)の先端部に同心状に取り付けられ、シールドノズル(7)よりも小径に形成されて発生したアーク(A)の周囲にシールドガス(G)を集中的に流す先窄まり状の筒状のアーク狭窄ノズル(2)と、アーク狭窄ノズル(2)に取り付けられ、溶接直後の溶接ビード部分にアフターシールドガス(G′)を流して余熱のある溶接ビード部分をシールドするアフターシールドノズル(3)とから構成したことを特徴とするアーク狭窄シールドノズル。
- GTA溶接用トーチ(T)のシールドノズル(7)の先端部にアーク狭窄ノズル(2)を着脱自在に取り付けると共に、当該アーク狭窄ノズル(2)にアフターシールドノズル(3)を着脱自在に取り付けたことを特徴とする請求項1に記載のアーク狭窄シールドノズル。
- アフターシールドノズル(3)は、極薄金属板(W)の溶接直後の溶接ビード部分にアフターシールドガス(G′)を流す下面が開放された細長いボックス部(3a)備えており、ボックス部(3a)の内部に極薄金属板(W)の溶接ビード部分に吹き付けられるアフターシールドガス(G′)を均質拡散させて層流化する金属製フィルター(15)を装着したことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のアーク狭窄シールドノズル。
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